采配のゆくえ 〜 if 〜 第四話・B
昔語りをいたしましょう……。
関ヶ原にて本陣を陥落させられた石田三成は、
謎のくのいちの助けを得て、春日村まで逃走……。
九死に一生を得たのでございます。
しかし、彼を追う鳴り止まぬ追撃の足元……。
それからも三成は逃げに逃げ、逃げ続けましたが、
とうとう伊吹山の山中で、東軍の残党狩りに見つかってしまったのでございます。
絶体絶命の石田三成……。
今や彼の目に映る道は、敗北、絶望、そして死のみ……。
三成が生き延び、そして勝利する道は……本当に存在しないのでしょうか……?
*障子が開く。
――― 慶長5年9月21日 ―――
(関ヶ原から6日後)
――― 伊吹山 ―――
三成(くっ……。完全に囲まれたか……)
*吉政登場。
吉政「三成、ようここまで逃げた。じゃが、これまでじゃな。」
三成「吉政殿……。」
人物・『田中吉政』の情報を入手した。
『豊臣家臣だか、東軍に属す。石田三成とは旧知で、仲も良かった。』
吉政「お主がここに逃げてくるのは分かっておった。さぁ、大人しく投降せい」
ニア はい
いいえ
三成「……確かに、この状況で抵抗しても意味が無い……。
吉政殿、俺はまだ諦めたわけではないが……俺の身柄、あなたに預けよう。」
吉政「……すまない、三成……。」
三成「吉政殿がどうして謝ることがあるのです?
むしろ、俺を捕らえる者があなたで良かった。」
吉政「そ、そうか……そう言って貰えると俺も助かる……。」
*吉政、何かに気付く。
吉政「そうじゃ三成、腹を空かせておるだろう。
部下に何か食事を用意させようぞ。」
兵士「では、これを……。」
吉政「これっ! どうして柿を持ってくる!
柿は痰の毒だと知らんのか!?」
言ノ葉・『柿は痰の毒』を記憶した。
『吉政の言葉。柿は痰の毒ゆえ、食さないほうが良い。』
吉政「ニラ粥を用意せい。あれなら健康にも良かろう。」
三成「…………。」
*モノクロの吉継が映る。
三成(吉継……すまない、俺はお前の想いに答えることが出来なかった……。)
人物・『大谷吉継』の情報を入手した。
『石田三成の親友。病をおして戦うが、関ヶ原にて討死する。』
三成(吉継……やはり、俺なんかではなくおまえが大将になるべきだったのかもしれない……。)
*回想
吉継「この私に100万の軍勢を……? 秀吉様、ご冗談を。」
秀吉「冗談ではない。大将の道とは、どんな時でも決して勝利を諦めぬことじゃ。」
言ノ葉・『大将の道』を記憶した。
『秀吉の言葉。どんな時でも決して勝利を諦めぬことこそ、大将の道である。』
秀吉「死病を患っていても、最期まで懸命に生きようとする……。
そんな吉継こそ、100万の軍勢を与えるにふさわしい大将だと思うのだ。」
吉継「…………。
ありがたいお言葉ですが……やはり私にはその器はございません。
病気のこともございますし、辞退させて頂きたく存じます。」
秀吉「そうか……残念じゃな。」
吉継「……代わりと言っては何ですが……。
私は、大将にふさわしい男を私の他に知っています。」
秀吉「なんじゃと? 一体誰じゃ?」
吉継「それは……。」
(あの時、吉継は俺の名前を挙げたが……。
秀吉さまには冗談だと思われて笑い飛ばされてしまった。
あの方の目から見ても、やはり俺ごときでは大将の器では無かったのだ……。)
吉政「……三成、どうした?」
三成「…………。
吉政殿……俺は戦場から逃げ出してしまった……。
ほぼ壊滅状態だったとは言え、まだあそこには味方が残っていたはずだ……。
俺は大将として、最期まで戦場に踏みとどまって戦うべきではなかったのか……?」
吉政「あー……。」
*吉政は頭をかく。
吉政「三成、おまえは自分が逃走したことを気にしているようだが、気に病むことではない。
逃げることは恥ではないのだ。今日の勝利者である徳川殿も、
若き日に武田信玄公にボロボロに打ち負かされて逃げ去ったことがある。」
言ノ葉・『若き日の家康』を記憶した。
『吉政の言葉。若き日の家康は、武田信玄に負けて逃走したことがある。』
吉政「その時に家臣もかなり犠牲になったらしいが、
死んだ家臣たちは、むしろ徳川殿を守れたことを誇りに思っていたそうじゃ。」
三成「…………。」
吉政「犠牲になった者のことを忘れろとは言わんが……。
それに囚われていては、正しい采配も振るえまい?」
三成「……そう、だな……。ありがとう、吉政殿……。」
*吉政は照れ笑いをする。
吉政「いや、いや……。俺の言葉などで気を持ち直してくれてよかった。」
――― 大津城 ―――
――― 門前 ―――
吉政「ついたか……。これで俺の任務も完了だ。一旦お別れじゃな、三成。」
三成「吉政殿、ありがとう。敗将の俺を手厚くもてなしてくれたことを、俺は生涯忘れないだろう。」
吉政「おいおい、そこまで固く考えるな。そういう所が福島辺りに嫌われる理由なのかもしれんぞ。」
三成「…………。」
*しばしの間。
三成「吉政殿、最後に一つお聞きしたい。」
吉政「うん?」
三成「あなたは、これから天下の行末はどうなると考えている?」
吉政「……ふーむ……。やはり、徳川殿の天下になると言わざるを得んよ。」
三成「…………。」
吉政「俺はおまえを捕まえた功績で今後は安泰だろうが……。
一つ心配なのは、このまま徳川殿の天下になったとして、その後……。
上様……秀頼公のことを、徳川殿がどう処遇するつもりなのか……それだけが心配でなぁ……。」
言ノ葉・『秀頼公は上様』を記憶した。
『吉政の言葉。上様とは、豊臣秀頼公のことである。』
吉政「……まぁ、なるようにしかならんだろう。
おまえの助命も出来る限り嘆願してはみるが、あまり期待はせんでくれ。」
三成「いえ……。」
吉政「では、俺はもう行くぞ。」
*吉政、立ち去る。
兵士「では、あなたを門前に縛り付けさせていただきます。」
三成「…………。」
*縄がギチギチ言うSE。
三成(俺はこれからどうすればいい……?
縄で縛られた状態では、身体を自由に動かすことすらできん……。
もう俺にはどうすることもできないのか……?)
*正則が現れる。
正則「ガハハ、三成め、良いザマだわ!」
三成「福島殿……!」
人物・『福島正則』の情報を入手した。
『豊臣家臣だが、東軍に属す。策が苦手な、イノシシ武者。』
正則「ワシはこうやっておまえを見下ろす日が来ることを夢見ておった。
それが、ついに今日叶ったという訳だな!
貴様がこうなったのも、細川殿の奥方を殺した報いであろう!」
人物・『細川忠興』の情報を入手した。
『豊臣家臣だが、東軍に属す。石田三成を妻の死の原因として憎んでいたが、今は誤解が解けている。』
人物・『細川ガラシャ』の情報を入手した。
『細川忠興の妻。何者かに殺害された。』
三成(違う! 俺はガラシャ殿を殺してなどいない!
細川殿の奥方、ガラシャ殿を殺したのは……十中八九、東軍の手の者だ!)
言ノ葉・『ガラシャを殺したのは東軍の者』を記憶した。
『三成の言葉。ガラシャを殺害したのは東軍の手の者である可能性が高い。』
正則「くくく、このまま貴様の無様な姿を眺めていたい所だが、
ワシは徳川殿に顔を見せに行かねばならん。
せいぜい、わしが帰ってくるまでに衰弱死しないようにするのだな!
ガッハッハッハ!!」
*正則、立ち去る。
三成(くっ……俺をここに縛り付けておく理由は、
こうやって晒し者にして屈辱を与えるためか!
だが、俺は大将として毅然とした姿を見せねばならない!)
*風がヒュルリと流れるSE。
三成(うぅ……だが、流石にこのままではちょっと寒いな……)
*長政が現れる。
長政「流石は石田殿。捕らわれていようと、せイカんな態度を崩さぬと見える。」
三成「黒田殿……。」
人物・『黒田長政』の情報を入手した。
『豊臣家臣だが、東軍に属す。勝ちに拘っており、西軍本陣を狙っていた。』
長政「ですが、イカんですな、石田殿。そのままでは肩を冷やすだろう。
……どうぞ、これを。」
所持品・『長政の陣羽織』を入手した。
『晒し者になっている三成を気遣って、黒田長政がくれた物。』
三成「……黒田殿、かたじけない。」
長政「ふふ、陣羽織を着た石田殿、なかなかイカしておるぞ。」
*長政、立ち去る。
三成(まだ少し寒いが……それでも大分マシになった。
黒田殿は俺を嫌っていたように思ったのだが……。
まぁいい、今は彼の心遣いに感謝しよう。)
*高虎が現れる。
高虎「よう大将、お目にかかれて光栄だぜ。」
人物・『藤堂高虎』の情報を入手した。
『豊臣家臣だが、東軍に属す。忍の扱いに長けた、知恵者。』
三成「藤堂殿……。
……皮肉はやめていただきたい。」
高虎「まぁそう言うな、これでも敬意を払ってるつもりなんだぜ。
あんたは本当によくやったよ。ただ、相手が悪すぎたということだな。」
三成「…………。」
高虎「ところで、あんたの目から見て俺の部隊はどうだった?
あんたの戦の腕は見事だった。だから是非とも意見が聞きたい。
特に鉄砲隊は組織してから日が浅くてな、穴が無いかと心配なのさ。」
三成「藤堂殿の鉄砲隊ですか……そうですね……。」
兵士「藤堂様!」
*高虎、定規を落とす。
高虎「おっと、急用ができちまった。
ゆっくり考えて、後で気付いたことを教えてくれ。」
*高虎、立ち去る
三成(藤堂殿の鉄砲隊、か……。
全体的に高い水準で整っているとは思うが、
強いて言えば、作戦発動時の挙動が少々鈍いのが欠点だろうか。
おそらく、鉄砲隊を指揮する者に身分の高い者を置いてないのだろう。
あれではいざという時に迅速な指令伝達が行えず、機を逃す危険が高い。)
言ノ葉・『高虎の鉄砲隊の欠点』を記憶した。
『三成の言葉。高虎の鉄砲隊は指揮者の身分が低いため、迅速な作戦発動が出来ない。』
*秀秋が現れる。
秀秋「よう、三成! 哀れな姿だな!」
三成「小早川殿……!」
人物・『小早川秀秋』の情報を入手した。
『西軍の主力を率いていたが、東軍に寝返った。豊臣秀吉の後継者であった。』
三成「俺は、あなたを絶対に許さない……!
あなたが裏切ったせいで、みんなは……!」
*秀秋、ガンを飛ばす。
秀秋「はっ、自分の無能を人のせいにするなよ。
裏切りは世の常だぜ? 読めなかったおまえが悪いのさ!」
言ノ葉・『裏切りは世の常』を記憶した。
『秀秋の言葉。裏切りは世の常であり、それを読めなかった者が愚かだと言う。』
三成「……確かに、あなたの裏切りが読めなかった俺は愚かだ……。
だが、あなたの裏切りは、未来永劫語り継がれて非難され続ける!
必ずや、あなたは報いを受けるはずだ!」
秀秋「ちっ……こんな状況になってまで威勢のいい野郎だ。
その威勢がいつまで続くか、じっくり観察しててやるぜ。感謝しな!」
*秀秋、立ち去る。
*画面、暗転
(この後も、俺は様々な武将の目に晒され続けた。
城に上げられ、部屋を与えられたのは、日が暮れてからのことだった。)
・現在の状況を記録しますか?
――― 大津城 ―――
――― 城内 ―――
三成(……野晒しは流石に応えたな……。
だが、今も自由は無いとは言え、一室を与えられた。
これならゆっくり休んで体力を蓄えることが出来るだろう。)
コン、コン。
三成「ん、どなたです?」
*正信登場、不敵に笑う。
正信「石田殿、ご機嫌麗しゅう。」
人物・『本多正信』の情報を入手した。
『徳川家康の家臣。もとは鷹匠。智謀に優れ、家康に重用されている。』
三成「……正信殿、俺に何用ですか?」
正信「ほっほっほ、お疲れのようですな。
流石のあなたも野晒しは堪えたと見える。」
*正信は鷹を撫でる。
正信「どうかな、石田殿。我が殿に恭順を示してみては?
このまま抵抗した所で、互いに不利益を生むだけであろう。」
三成(家康に、恭順を……?
……確かに、今はそうするしかないのか……?)
はい
ニア いいえ
三成(いや、駄目だ! 俺は誓ったじゃないか!
秀吉様のためだけではない……戦場で散った友のため……。
例え俺の器が秀吉様や、家康に劣っていたとしても……俺はここで家康に従うわけには行かない!
俺は絶対に家康に恭順しないと、説得を持って正信殿に思い知らせる!)
〜〜 説 得 ・ 開 始 〜〜
三成(正信殿は、あの手この手で、俺から屈従の言葉を引き出そうとするはずだ!
迂闊なことを言わないように気をつけた上で、逆にこっちが言いくるめてやる!)
正信「おっと、忘れるところであった。」
三成(!)
正信「上様からの差し入れだ、この小袖を羽織るがいい。」
三成「……上様? 上様とは、一体誰のことでしょうか?」
正信「知れたこと。徳川家康様よ。」
正信「さぁ、上様からの小袖を受け取れ!」
はい
ニア いいえ
三成「俺はその小袖を受け取るわけにはいかない……。
なぜなら……!」
ニア 言ノ葉・『秀頼公は上様』
三成「上様と言えば、大阪に居られる秀頼公を置いて他に無いはずだ!
その小袖を受け取ってしまえば、俺は家康が上様だと認めてしまうことになる!」
正信「ほう……。この期に及んで秀頼公への忠義を貫くとは、いやはや立派なことよ。」
*正信、不敵に笑う。
正信「だが、やせ我慢も大概になされよ。
今の石田殿は疲れきっておる。養生のためにもこの小袖は必要であろう?」
はい
ニア いいえ
三成「俺にはそんなものは必要ない! 何故なら……。」
ニア 所持品・『長政の陣羽織』
三成「俺には黒田殿から頂いた、この陣羽織がある!
もうこれ以上、着る物を頂く必要はない!」
正信「ふむぅっ!」
*正信は顔を真っ赤にする。
正信「我が主君から賜った小袖より、黒田ごときの羽織を取るというのか。不遜な奴め……!」
三成「俺は決して家康に屈することはしない!」
正信「全く……情けをかけていただいている分際でよくもそこまでほざけるものよ。」
三成「…………。」
正信「そも……。石田殿が今ここに居ることこそ、全くもって不可解なことでは無いのかね?」
三成「何……?」
正信「卑しくもあなたは敗軍の大将……。即刻、腹を切って責任を取るべきでは無かったのかな?」
三成(俺に切腹を勧めているのか……。俺は、やはり腹を切るべきなのか……?)
はい
ニア いいえ
三成(……そうだ、切腹を勧めるということは、それだけ奴が俺を恐れているということ。
俺は決して自分から死を選ぶべきではない……その理由を、この言ノ葉で主張する!)
ニア 言ノ葉・『大将の道』
三成「正信殿……。あなたの言っていることは全くの逆、正反対だ!」
正信「なんですと……?」
三成「俺には、西軍の大将として軍を勝利へと導かねばならない。
だからこそ、最期の最期まで決して諦めるわけにはいかない。
それこそ、大将としての最も重大な責任……。
腹を切ってあの世に逃げ場を求めるなど……葉武者のすることだ!」
正信「ぐむぅっ!!」
*正信、目を泳がせる。
正信「そ、そんなことは詭弁にすぎん!
石田殿は、結局自分が死ぬのが恐ろしいだけではないのか!?」
三成「では、あなたは敗北した大将は必ず腹を切るべきだとおっしゃるのですか。」
正信「と、当然のことだ! そうせねば死んだ者たちも浮かばれまい!」
三成「では……どうしてこの人物は、今なお生き続けているのですか!」
ニア 人物・『徳川家康』
正信「い、家康様だと!? 何を言い出すのだ!」
三成「あなたは自分の主君のことも知らないのか!
あなたの主張が正しいなら、家康も今生きているのはおかしいのです!」
ニア 言ノ葉・『若き日の家康』
三成「家康も、過去に武田信玄に大敗を喫して逃走した過去がある!
それも、数多くの家臣を犠牲にした上で!」
正信「ぐぬっ!!」
*三成、腕を振り上げる。
三成「俺が切腹するべきだと言うなら、あなたの主君も腹を切っていなくてはならないのです!」
正信「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぅう!!!」
〜〜 説 得 ・ 成 功 〜〜
三成「……俺は、決して家康に恭順することはない。
あなたの主君にも、そうお伝え願いたい。」
正信「くっ……今のうちに吼えているがいい……。
何にしろ、貴様はすぐに首を落とされることになるのだからな……。」
*正信、立ち去る。
三成(……正信殿の言う通りだ……。
このままでは何を言おうと俺の命運が尽きるのは間違いない……。
……だが……しょせん俺一人では何も出来ない……。
誰でもいい、こんな俺に協力してくれる人物が居れば……!)
シナリオ形式なのかな?
コン、コン。
三成(またか。次はどなただろう。)
*忠興が現われる。
忠興「三成殿……」
三成「! 細川殿。」
忠興「門前に野晒しとは、大変な目に合われたようですな。
そんな三成殿を見たくなかった為、私は入城には裏口を使ったのです。
それで先ほどは挨拶の一つも出来なかった故、改めて挨拶に参りました。」
三成(そうだ、もしかしたら細川殿なら……。説得次第で、俺に力を貸してくれるかもしれない!)
三成「細川殿……俺からあなたへ、お願いがございます!」
忠興「むっ……?」
〜〜 説 得 ・ 開 始 〜〜
三成「細川殿……。恥を偲んで申し上げる。
この俺、石田三成の窮地をどうにかして救っていただきたい!」
忠興「…………。
私が、どうしてあなたを助けなければならない?
三成殿がガラシャの仇ではないことは分かっているが、
だからと言って、貴殿に手を貸す理由も無い。」
三成(細川殿が俺に手を貸す理由が無い……。本当にそうだろうか?
……きっとこの人物のためになら、俺に力を貸してくれるはず……!)
ニア 人物・『細川ガラシャ』
三成「……細川殿! ご自分でもおっしゃったように、あなたには何よりも大切な奥方が居ました!
そのガラシャ殿の為に、どうか俺に力を貸していただきたい!」
忠興「……三成殿に手を貸すことが、どうしてガラシャのためになる?
今の私がガラシャにしてやれることと言ったら、手厚く葬ってやることぐらいだ……」
三成(もちろん、手厚く葬って差し上げるのも重要なことだろう……。
だが細川殿には、まだガラシャ殿のことで引っかかっていることがあるはず……それを主張する!)
ニア 言ノ葉・『ガラシャ事件の犯人は東軍の者』
三成「いいえ、あなたにはまだガラシャ殿の為にできることがある!
それは、彼女を殺した真犯人を見つけ出して、仇を討つことだ!」
忠興「……!!」
三成「そして、その犯人は東軍の手の者である可能性が非常に高い!
東軍と敵対する俺に協力してくれれば、ガラシャ殿の仇を討てる可能性もずっと高まるはずだ!」
忠興「ぐっ……!」
*忠興、汗をかき始める。
忠興「……貴殿の言う通り、おそらくガラシャを殺した犯人は東軍の中にいるのだろう……。
だが、私は既に徳川殿に忠誠を誓ってしまった身……。
今更、徳川殿に敵対することなどできはしない。
……三成殿、悪いが諦めてくれ。」
三成(果たしてそうだろうか……?
一度忠誠を誓った相手と敵対することは、絶対に出来ないのか……?)
ニア 言ノ葉・『裏切りは世の常』
三成「……細川殿。俺は、この言葉はあまり好きではありません。
だが、あなたの背中を押すために、あえて言います。
裏切りは……世の常なのです!」
忠興「ぬぅっ……!!」
三成「そもそも徳川殿に忠誠と言うが、
その徳川殿自身も、桶狭間において亡き今川義元公を裏切っている!
それだけではありません! 徳川殿は今においても、
豊臣家へ誓った忠誠を完全に蔑ろにしているではありませんか!」
忠興「ぐはっ!」
三成「細川殿……。あなたが裏切りを躊躇う理由は、何一つとしてありません!」
忠興「ぐおおっ!!」
*忠興、仰け反って揺れる。
忠興「だが、俺は……俺はぁっ……!!」
■■■■■■■■■■■■■
■大 一 大 万 大 吉■
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三成「むっ……。これは、忠興殿の心……?」
忠興(父上! 明智光秀殿が謀反を起こしたというのは本当ですか!?)
藤孝(左様……。援軍を要求する書状も届いておる。)
忠興(ならば、急ぎ明智殿の下に馳せ参じましょうぞ!)
藤孝(ならぬ!!)
忠興(……な、何故です! 我らと明智殿はじっ魂の仲のはず……!)
藤孝(確かに我らは明智殿と親しい間柄であった……。
だが、それもたった今を持って過去の話とする。
……細川は、裏切りに手を染めるようなことは、絶対にせぬ!!)
忠興(で、ですが……。私の妻、ガラシャはどうなるのです!?
ガラシャは明智殿の娘……。我らが味方しないとなると、ガラシャが一体どう思うか……!)
藤孝(……そうか、ガラシャ殿の存在を忘れていたな……)
忠興(では……!)
藤孝(忠興、ガラシャ殿を奥の土蔵に幽閉するのだ。今、すぐに。)
忠興(なっ……!)
藤孝(これは細川家当主としての命令ぞ!)
忠興(……わ……わかりました……。)
ガラシャ(忠興さま、どうして!? お願いです、私をここから出してください!)
忠興(すまぬ……すまぬ、ガラシャ……。俺は父上に逆らうことは……。)
ガラシャ(忠興さまーーーっ!!)
忠興『私があの時、父に逆らってでも戦っていれば、ガラシャはあんな想いをせずに済んだのだ……。
私は……本当はガラシャの為に戦いたかった! 例え、裏切り者と呼ばれても!!』
言ノ葉・『裏切り者と呼ばれても』を記憶した。
『忠興の言葉。裏切り者と呼ばれようとガラシャの為に戦いたかったが、それは叶わなかった。』
三成(……細川殿……。
彼はもう、自分の中で答えを見つけている。
俺に出来ることは、彼の想いを代弁して差し上げることだけだ!)
ニア 言ノ葉・『裏切り者と呼ばれても』
三成「細川殿! あなたが裏切りを躊躇する気持ちは分かります!
ですが、あなたにとって、それ以上に大切なもの……。
何をおいても貫くべき、ガラシャ様への想いがあるのではないですか!」
*三成、腕を振り上げる。
三成「そう……例え、裏切り者と呼ばれても!!」
忠興「う……うおおおおおおおおおおおおっ!!!」
〜〜 説 得 ・ 成 功 〜〜
忠興「……ガラシャを失った今の私は抜け殻同然だった……。
しかし、そんな私にあなたは戦う理由を与えてくれた……。
ならばこそ……三成殿、俺はあなたに命を預けよう!」
三成「細川殿……かたじけない。」
忠興「……さて、肝心の三成殿を助ける方法だが……。
この城にいる間は、どうやっても不可能だな。
だが、直に処刑の為に三成殿は外に連れ出されるはずだ。
その機を見計らい、私は兵を率いてあなたを救出しよう。」
三成「分かりました。
俺はその機を逃さぬよう、常に注意を払っておくことにします。」
忠興「ああ、任せるがいい。」
*忠興、立ち去る。
*画面、暗転。
(こうして俺は、細川殿の協力を取り付けることが出来た。
おかげで一筋の光明は見えたものの、
やはり彼一人の力では、俺が生き延びるのは難しいだろう……。
だが……それでも、俺は決して諦めるわけには行かない!
細川殿が俺に命を預けてくれると言ったのだから!!)
・現在の状況を記録しますか?
――― 慶長5年10月1 ―――
(関ヶ原から16日後)
――― 六条河原 ―――
(俺は今、城から連れ出され、京都市中を引き回された上で、この川原に連れて来られた。
おそらくここで俺の首を切るつもりなのだろう……。
だが、俺は今際の際まで、生き延びることを諦めるわけにはいかない!)
*高虎が現れる。
高虎「さて、三成殿はこれから斬首に処されるわけだが……。」
折角だ、この柿をやろう。この世で最期のごちそうだぞ。」
柿を貰う
ニア 柿を断る
高虎「何故だ? 腹を空かせたまま死ぬのも空しいと思うが?」
三成「それは……。」
ニア 言ノ葉・『柿は痰の毒』
三成「柿は痰の毒ゆえ、ありがたいがお断りしよう。」
*高虎、定規を落とす。
高虎「ほう! この期に及んで己の身体を気遣うと言うのか。」
兵士「バカな……死を目前にして何の養生だと言うのだ。
やはり家康様に逆らうだけあって、愚かな男よ。」
高虎「いやいや、これこそ大将の器なのだろう。
バカなぐらいでないと大将は勤まらないということだな。」
三成(……何とでも言うがいい。
直に細川殿が俺の為に兵を挙げてくれるはずだ。
その一瞬の機会を逃さぬためには、柿など食べている場合じゃない!)
高虎「まぁいい、これより石田三成の処刑を始める!」
三成(くっ……。まだか……まだなのか細川殿!?)
高虎「石田三成、何か言い残すことがあれば―――」
……パァーン!
パァーン、パァーーーン!
高虎「ん、何事だ!」
兵士「て、敵襲! 何者かが兵を率いて石田三成を救出しに来た模様!」
高虎「何っ!? まさか本当に西軍の残党が現れるとは……!」
*高虎、立ち去る。
三成(細川殿、来てくれたか!)
兵士「ええい、急いで三成めの首を……ぐわっ!?」
*秀家登場。
秀家「三成、助けに来てやったぞ、感謝するのだな!」
*秀家、鼻を伸ばす。
三成「う、宇喜多殿!? どうしてここに!?」
人物・『宇喜多秀家』の情報を入手した。
『西軍の武将。中央の戦場で指揮を取っていたが、敵を支えきれずに敗走した。』
秀家「おまえも知っての通り、我が部隊は敵に破れ、敗走した。
……明石にはそのまま逃げるように言われたが……わしは、逃げなかった。
どうしてか分かるか、三成?」
三成「えっ……。」
秀家「それは、おまえという大将が居たからじゃ。
三成、おまえが居れば、我々は絶対に負けん!
……そう信じたからこそ、わしは命を懸けておまえを助けに来たのじゃ!」
三成「……!」
秀家「さぁ三成、この采配を取れ!
早速だが、おまえが戦場の指揮を取るのじゃ!」
所持品・『三成の采配』を入手した。
三成「宇喜多殿……ありがとう!」
――― 合 戦 ―――
三成(宇喜多殿のおかげで、風前の灯だった俺の命は繋がった!
宇喜多殿の信頼に応える為にも、ここは絶対に負けられない!)
秀家「さて三成、我らの目的はこのまま西進して安全地帯まで離脱することじゃ。
不意をついた勢いでこのまま一気に脱出と行きたかったのじゃが……。
残念ながら邪魔が入った。藤堂隊と京極隊が行く手をさえぎるように現れおった。」
*藤堂隊と京極隊が地図上に出現する。
京
↓
藤→
←宇
高虎「まさか本当にこんな所まで三成を救いにくる奴がいるとは……。
念のために俺の部隊を伏せて置いて正解だったようだな。」
*高虎、顔を押さえてガンを飛ばす。
高虎「さぁ、逃がしはせんぞ、石田三成!」
秀家「わしがおぬしを救出しに来るであろうことを読んでおったのじゃろう。
敵が二部隊に対して、こちらはわしの一部隊のみ……。
じゃが、やるしかない! 三成、指示は任せたぞ!」
三成「はい、任せてください!」
秀家(独り言)「しかし、まさかここで二部隊も相手にすることになるとは……!」
☆報告!
三成「宇喜多隊、報告せよ!」
秀家「よし、報告するぞ。
我が隊は、危険を覚悟でそのまま西進した。
上手く奴らの脇をすり抜けられれば良かったのじゃが……流石にそうもいかんようじゃ。」
京
↓
藤⇔宇
宇喜多隊vs藤堂隊
宇喜多隊vs京極隊
秀家「案の定、我が隊は待ち構えていた藤堂隊と京極隊に挟撃されてしまっておる!
三成を救いに来たつもりが、ミイラ取りがミイラになったという訳じゃ!
このままでは、我が隊は持ちこたえられん!
かと言って、後ろに退いたところで逃げ場は無い! はっきり言って絶体絶命じゃ!」
三成(宇喜多殿の言う通り、状況は絶望的だ……。
しかし味方が宇喜多隊だけでは打てる手段も限られている……。
くそっ、どうすればいい……!)
☆報告!(自動)
*秀家、目を丸くして仰天する。
秀家「三成、これはどういうことじゃ!?
突然現れた部隊が、京極隊と戦闘を始めおったぞ!
……あれは……どうやら細川忠興の部隊のようじゃ!」
京⇔細
藤⇔宇
細川隊vs京極隊
忠興「細川忠興、故あって石田三成殿にお味方する!」
*高虎、驚く。
高虎「な、なんだと!? 細川め、徳川の恩賞を蹴ってまで三成の味方をするというのか!?」
三成(来てくれたか、細川殿!)
三成「宇喜多殿、安心してください! 細川隊は我らの味方です!」
秀家「なんじゃと!? あの細川を味方にできたと申すのか。」
*秀家、鼻を伸ばす。
秀家「はっはっは、流石は三成じゃ!」
よーし、これで一対一じゃ! これなら負けはせん!
さぁ行くぞ、ものども!」
秀家(独り言)「ふんばるのじゃ! ここを突破しない限りはどうにもならんぞ!」
☆報告!
三成「宇喜多隊、報告せよ!」
秀家「うむ、報告じゃな?
見ての通り、一対一になったものの、未だ藤堂隊に行く手を塞がれておる。
意地でも通す気は無いらしく、とても力技では突破できん!
一瞬でも隙があれば、即座に我が精鋭の鉄砲隊で蜂の巣にしてやるのじゃが、
言ノ葉・『我が精鋭の鉄砲隊』を記憶した。
『宇喜多の言葉。一瞬でも隙があれば、即座に敵を蜂の巣にできる。』
所持品・『鉄砲隊:作戦指示書』を入手した。
『味方に、射撃を指示する。横一列に並ぶ、二部隊以上の敵に大打撃を与える。』
敵の陣形がこのままではどうにもならん! 何とか敵を一列に並べたい所じゃが、
わしが下がった所で、足止めが目的の藤堂隊が追って来ることはまずあるまい。
何か良い手があれば良いのじゃが……。」
三成(作戦を使わずに無理やり突破するのはムリか……。
ここはやはり、宇喜多殿の鉄砲隊に頼るしかないな。
だがしかし、敵を一列に並べるには……。)
忠興(独り言)「もはや迷いは無い……。全力で戦うのみ!」
☆報告!
三成「細川隊! 報告せよ!」
忠興「報告か、分かった。
現在、我々の部隊は宇喜多隊を助けるために京極隊と交戦中だ。
敵の士気が低いため、戦況はこちらの優勢で、やや余裕もあるが、
それでもこのままでは足止めを食わされてしまうのは否めないだろう。
……我が部隊は、選りすぐりの精鋭兵を用意している。
所持品・『強襲:作戦指示書』を入手した。
『味方に、強襲を指示する。隣接する敵一部隊を、強制的に後退させる。』
このまま強襲によって京極隊を藤堂隊と一列に並べることも可能だが……。
そうすると同時に我々も一列に並んでしまう。
おそらく、藤堂隊も鉄砲隊を準備しているはずだ。
だから味方が一列になるのは出来れば避けたい所だが……もうあまり迷っている時間は無いだろう。
おそらく援軍はすぐにでもやってくるはずだ。
そして、もし援軍が到着しようものなら我々に勝ち目は無い。
多少強引な手段を使ってでも、次の一手で藤堂隊と京極隊の撃破を狙うべきかもしれないな……。」
言ノ葉・『援軍がやってくる』を記憶した。
『忠興の言葉。すぐに敵の援軍が来るため、多少強引な手段を使ってでも藤堂隊と京極隊の撃破を狙うべき。』
三成(そうだ、俺達には時間が全く無い……。
急いで敵を突破して脱出しない限り、援軍に囲まれて終わりだ!
……強引な手段か……。細川隊、宇喜多隊、それぞれの伝令を少し変えてみるか。)
☆伝令!
三成「細川殿、強襲の実行をお願いします!」
忠興「……やはりそう来たか、確かに今はそれしか道はあるまい。
だが、一瞬でも作戦発動が遅れたらそれで終わりだ。
私が強襲を実行する前に、宇喜多殿にも話をしておいた方が良かろう。
宇喜多殿と話をつけた上で、改めて俺に指示を出してくれ。」
三成(確かに、先に宇喜多殿と話をつける必要があるか……)
☆伝令!
三成「宇喜多殿! 鉄砲射撃の準備を!」
秀家「なんじゃと!? 敵は一列に並んでおらんではないか!」
三成「ええ、ですから『準備』をお願いしたのです。
これから細川隊が強襲を発動することによって、敵味方共に一列になります!
そこからは先に鉄砲射撃を実行できた方の勝ちです、だからこそ今のうちに準備を!」
秀家「……確かにそうすれば我が隊は鉄砲射撃が行えるようになるが……やはり駄目じゃ!
敵の部隊も確実に鉄砲隊を持っているはず、そんな状況で味方も一列になる危険は犯せん!」
三成「宇喜多殿! 状況の危険を言うなら、もっと別に差し迫った危険があるのです!」
ニア 言ノ葉・『援軍がやってくる』
三成「細川殿が言うには、すぐにでも援軍がやってくるのです!
もし目の前の敵を撃破できないまま援軍が現われたら……それこそ我らは絶体絶命です!」
秀家「……三成。焦る気持ちは分かるが、ヤケになってはいかん。
確かに即座に敵を撃破する必要はあるが、イチかバチかの博打ではどうにも……。」
三成「これは博打ではありません! 十分に根拠のある勝利への道です!
宇喜多殿の鉄砲隊は、必ず敵に先制できます! その理由は、これです!」
ニア 言ノ葉・『我が精鋭の鉄砲隊』
三成「宇喜多殿の精鋭の鉄砲隊なら、必ずや敵に先制することができましょう!」
秀家「……確かにわしの鉄砲隊は自慢の精鋭部隊だが……。
それだけで敵に先制できる根拠とするにはムリがあるのではないか?
ありえんとは思うが、敵が我が隊以上の精鋭だった場合はどうする?」
三成「そ、そうですね……。」
*パァーン! 矢羽が一つ落ちる。
三成(……確かに、宇喜多殿の鉄砲隊が精鋭であるというだけでは根拠が弱いな……。
ここで考えるべきは、味方のことよりも敵のことなのかもしれない……。)
.
三成「宇喜多殿、今一度俺の意見を聞いていただきたい。
これは博打ではありません! 十分に根拠のある勝利への道です!
宇喜多殿の鉄砲隊は、必ず敵に先制できます! その理由は、これです!」
ニア 言ノ葉・『高虎の鉄砲隊の欠点』
三成「藤堂隊の鉄砲隊には、重大な欠点があります!」
秀家「藤堂の鉄砲隊の欠点、じゃと?」
三成「はい、彼の鉄砲隊はおそらく指揮者の身分が低い。
それによって、迅速な作戦発動ができないのです。」
*秀家、目を丸くして仰天する。
秀家「な、なんと……。
バカな奴め、鉄砲隊こそ最も高い身分の配下を置くべきだと言うのに。」
三成「加えて、藤堂隊は細川隊が危険を覚悟して強襲を行うなど、夢にも思っていないでしょう。
その隙をつけば、この作戦……必ずや成功します!」
秀家「あいわかった! 陣形が変わり次第、即座に鉄砲射撃が実行できるように手を回しておこう。
細川隊への伝令を頼んだぞ!」
三成「はい!」
秀家(独り言)「準備を怠るな! 必ずや藤堂隊より先に鉄砲射撃を実行するのじゃ!」
☆伝令!
三成「細川殿! 今こそ強襲の実行を!
作戦は宇喜多隊にも伝令済みです!」
忠興「いいだろう。宇喜多隊の鉄砲の精鋭ぶり、信じるぞ。」
*顔を赤くして髪の毛をゆらゆらさせる忠興。
忠興「さぁ、我が精鋭の兵たちよ! 敵に我らが怒りをぶつけるのだ!」
「うおおっ、何という勢いか!」
*京極隊を細川隊が押し込み、敵味方共に一列に並ぶ。
京⇔細
藤⇔宇
高虎「なに、まさかここで細川に強襲を実行させるとは……。
流石の石田三成も死を目前にして焦ったか? 鉄砲隊、奴らを蜂の巣にしてやれ!」
秀家「蜂の巣になるのはそちらじゃ! 撃てぇーーい!!」
ダダァーン!
*高虎、吹き飛ぶ。
高虎「ぐわっ!!」
*京極隊、ダメージ。
京極「こ、これはたまらん……撤退せよ!」
*京極隊、消滅。
*高虎、焦る。
高虎「バカな……宇喜多の鉄砲隊に先を越されただと!?」
兵士「我が隊の鉄砲隊は指揮者の身分が低いため、指令の伝達に時間がかかってしまったようです!」
高虎「くっ……。
三成め……まさか俺の隊のこの欠点に気付いてやがったのか!?
……ちくしょう、撤退だ!!」
*藤堂隊、消滅。
秀家「敵を撃破したぞ! ものども、今の内にこの戦場を離脱するのじゃ!」
☆報告!(自動)
忠興「まずいぞ三成殿、思った以上に援軍が現れるのが早かった!」
*北東に小早川隊が出現。
←小
←細
←宇
秀秋「はっ、三成を信じるバカがまだ居たとはな!
敵は寡兵だ、追撃しろ! 絶対に三成を逃がすなよ!」
*宇喜多、腕を振る。
秀家「おのれ秀秋! 関ヶ原の裏切りに飽き足らず、また我々の邪魔をする気か!」
三成「うっ……このまま逃げては追撃される……!
だが迎え撃って時間を取られたら、それこそ向こうの思うツボだ!」
忠興「その通りだ。ここは全力で逃げて、何とか奴を振り切るしかないだろう。」
三成「くっ……」
☆伝令!(自動)
三成「全軍、全力で西方へ離脱せよ! 敵に構うな!」
*全軍、隣の戦場に脱出。
☆報告!(自動)
忠興「三成殿、まずいぞ! 前方に待ち構えてる部隊がある!」
三成「な、なんですって!」
?→ ←細
←宇
*前方に???部隊が出現。
忠興「しかも悪いことに、よりにもよって槍ぶすまを構えている!」
所持品・『槍ぶすま:作戦指示書』を入手した。
『味方に、構えを支持する。構えて、最初に隣接した敵一部隊に大打撃を与える。』
忠興「誰が率いているのかは分からんが……このままでは挟み撃ちだ!」
三成「くっ……。
ここまで来て……もうダメ、なのか……?」
☆報告!(自動)
秀家「三成、安心せい。あれは味方じゃ。」
三成「え……?」
?⇔小
←細
←宇
*謎の部隊が忠興隊の脇をすり抜け、槍衾によって追撃して来た小早川隊を撃破する。
秀秋「や、槍ぶすまだと……!? 三成め、まさかまだ伏兵を用意していたとは……!
……ええい、退くぞ! 奴らごときの始末はいつでも出来る!」
秀家「くくく、秀秋の奴、ざまぁないのう!」
三成「あ、あの部隊は一体……?」
*小西が現れる。
小西「ほっほ。三成殿、ご無事でしたか。
宇喜多殿、どうやら上手くいったようですな」
人物・『小西行長』の情報を入手した。
『西軍の武将。敗色濃厚であることを悟り、東軍に投降した。』
三成「こ、小西殿!? 一体どうやってここへ……?
あなたは俺と同じく捕らえられたと聞いておりましたが……。」
小西「ほっほっほ、何とか上手く逃げおおせることが出来たのですわ。
……ま、その為に少々散財してしまいましたが。いわゆる袖の下って奴でして。」
三成「小西殿……。
助けに来て頂けたのはありがたいが、
損をするのが嫌いなあなたが、何故そこまでして……?」
小西「……わかりませんか、石田殿。」
*小西、そろばんを弾く。
小西「得する方につくのが商人の心意気!
その商人の眼力が、家康ではなく……。石田殿、あなたを選んだのです!」
秀家「商人の心意気は知らんが……三成、わしも小西と同じ気持ちよ。」
忠興「私も同じだ。かつて私とあなた方は敵同士だった。
だが今は……石田三成という大将を信じる気持ちは、あなた方と少しの違いも無い!」
小西「石田殿……我らがあなたを信じているように、今一度あなたも我らを信じていただきたい。
卑しくも、私は堺の商家の出身……絶対に、石田殿に損な取引はさせませんぞ!」
三成「小西殿……宇喜多殿……細川どの……。
ありがとう……ありがとう……!
あなた方に救われたこの命、俺は必ずや勝利に導いて見せる!」
――― 勝 利 ―――
*障子が閉まる。
こうして、仲間達の助けを得て、石田三成は絶体絶命の状況を生き延びました。
しかし、未だ味方は少なく、散り散りで……。
絶望的な状況であることにはいささかの違いもございません。
ですが、三成はもう迷いはしません。
命を懸けて自分を救出しに来てくれた宇喜多殿と小西殿……。
徳川における地位を捨ててまで自分に力を貸してくれた細川殿……。
そして、自分を信じて関ヶ原に散っていった多くの仲間……。
その強い絆が、三成の歩みを止めさせないのです。
しかし、その歩みの一寸先は、常に闇……。
歩みの先に何があるのか、何が起きるのか……。
それは三成にも……いえ、誰にも分からないことなのです。
はたして、ガラシャ殿を殺害した真犯人は、本当に東軍に居るのでしょうか?
そして、三成の采配のゆくえは……。
この物語を真実と取るか、嘘偽りと見るか……。
全ては皆様のお心のままにて……。
〜 了 〜