アイヌについて その2

このエントリーをはてなブックマークに追加
24理系の人
● 演繹的な思考(一般論から個別の事例を説明します)
一般論「民族は帰属意識を持つ人によって構成される。人種、血統とは分けて考えるべき」

具体例1)「ナチスドイツによる『ゲルマン民族』という呼称は、選民思想を植え付け、民衆に国家への帰属意識を持たせるために喧伝された」
具体例2)「アイヌ民族はアイヌへの帰属意識を持つ人によって構成される。
血統や人種については考えない」

● 帰納的な思考(主に民族史にかかれたことを理論として構成します)
具体例1)「ナチスドイツ時代の『ゲルマン民族』はヒトラーによって、選民思想のもとに、意図的に作られた言い方である」
具体例2)「『ユダヤ民族』というわれわれ意識は聖書に基づく選民思想によって成立している」

一般論「民族は帰属意識を持つ人によって構成される。人種、血統とは分けて考えるべき」

で・・・。そもそも、「民族」という言葉は後者の「帰納的な思考」によって成立しました。
あくまで包括的な概念なわけですね。「未だにはっきりとした結論が出ていない言葉」
だから、あまり個別の「民族」に対して演繹的に使用しすぎるのは危険ですね。
(詳しくは『文化人類学事典』(弘文堂)の「民族」の項参照)

だから、
「最低限言えることは、アイヌ「民族」はアイヌへの帰属意識を持つ人によって構成される。
『血統』とか『人種』については『ここでは』考えないことにする」
ということまでは正解ですが、
「『帰属意識』があれば『血統』とか『人種』が関係なくともアイヌになれる」
とまで言うのは勇み足だし、言いすぎだし、まずいでしょう。(この違いわかります?)