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天之御名無主 :
アラビア語で龍はティンニーンTinn?n。
13世紀のカズウィーニーの「創造の驚異」によれば、特徴は以下のとおり。
海の動物で5〜30mで恐ろしい外見をしている。豹のように黒い斑点があり
魚のように二つのヒレがあり、耳は長く、蛇の頭をした首が6つ出ている。
目は稲妻のように光り、口は牛を飲み込むほど大きい。満腹になると陸に上がり、
日向ぼっこ。そして蓄えた熱であちこちを焼き払う。あんまり悪さばかりするので
神様はティンニーンを雲で持ち上げて遠ざけた。
イルハン国時代に出現したティンニーンは大蛇のようであり、なんでも食べた。
これまた神様の遣わした天使によって海に投げ込まれた。しかし海でも悪事を
働いたのでゴグとマゴグのところに持っていき、彼らの餌食にさせた。
ペルシアでは龍はアジュダハーAzhda(r)h?。大蛇に近い怪物を意味する。
「王書」や「ガルシャースプの書」など叙事詩に現れる。
狼、虎、スフィンクスなどの姿で表現され、時には黒雲として語られた。
頭は一つで、口からは炎や煙が噴出され、騎士と馬、空を飛ぶ鷲などを吸い込む力があった。
山のように巨大で、頭からは剛毛が垂れ下がり、また2本の枝角が生えていた。
目は星のように大きく輝き、2本の牙も非常に大きい。脚は8本。
体色は濃い黄色、灰色、黒、青など色々言われた。時には人語を解することもあった。
バフラーム・グール、イスカンダル、イスファンディヤール、ルスタム、フェリードゥーンなどの
英雄は龍を退治した。また、カリフのアリーが龍を退治するという伝説も民衆に流布した。
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天之御名無主 :03/02/12 19:17
トルコの龍は色々ある。しかし、いずれもアラビア・ペルシアとは違い、
宇宙や英雄などの象徴となる肯定的な存在だった。
セルジューク朝のときまで十二支暦も使用していたトルコ民族は「龍」には
リュLü、またはルLuと表記された。
カシュガルの事典(1074)には、龍年はLüではなくネクNekという言葉が当てられている。
ただネクそのものにはワニTimsahという訳語をあたえ、ネク・イラン(ワニ蛇)を
エジュデルハEjderhaとしている。
また、龍と大蛇を表す言葉としてビュケBükeという言葉も挙げられているが、
この語は英雄という意味でも使用された。
同時代のユースフ・ハッス・ハージブによって書かれた「幸福の為の知識」では
エヴレンEvrenという言葉が現れる。この語は一般的には天・宇宙を表すが、
ウイグル後のキョクルKöklu(天龍)に与えられた語だという説もある。
「デデ・コクルトの書」ではエヴレンが龍という意味のほかに英雄という意味としても
用いられている。
セルジューク朝、オスマン帝国時代を通じてトルコ人は龍をエヴレンと呼んだが、
同時にアジュダハーという語も用いられた。
トルコ民族の原郷中央アジアでは天は調和の取れた雌雄一対の龍によって管理されていると
された。セルジューク朝の美術に見られる一対の龍や十二宮とともに表される龍は
天・宇宙の調和を象徴しているとされる。図像上、この2匹は絡み合っていることが多い。
イスラーム全般においても、龍は黄道と白道の2つの交点になぞらえられた。
452 :
天之御名無主 :03/02/12 19:18
異常、ヤマンラール水野美奈子「イスラーム美術における龍」『アジアの龍蛇』より
適当にはしょりますた