8 :
ダンの花:
タイの霊媒の事例を紹介します。
タイの霊媒は沖縄でのユタ、青森のイタコのように霊を憑依して口寄せを行う職能者です。
現在も北タイの村には1人の霊媒がおり病気治療や占いを行っています。
1970年代ころまでは下層農民の女性であることが多かった。彼女たちは霊媒になる前は身体的苦痛、精神的苦悩を経験し、
先生としての霊媒に出会い、治療を受けることによって苦悩から脱し、自ら霊媒になって占いや病気治療をおこなうようになります。
このあたりのシャーマンとなる過程は日本の事例と類似しており興味深いですね。
霊媒の活動は都市で活発化しています。
北タイの中心都市チュンマイでは1990年代後半で1000人以上いるといわれています。
古来、村の霊媒は女性が主ですが、都市の霊媒には男性がなることも多くなってきています。
霊媒とそこに集まりサービスを求める人々によってコミュニティが構成されています。
霊媒コミュニティの規模は様々で、数人のクライアントがいるというだけの零細コミュニティがほとんどながら、
政府高級官僚・軍幹部・大企業経営者等のクライアントを抱えて、巨大な収入を得ている霊媒もいます。
都市の霊媒は近代的な競争原理の中にいます。
若い世代の霊媒は憑依する新たな霊を生み出し、他の霊媒との差別化を図っています。
とくに若いクライアントにアピールするために斬新なキャラクターを持った霊を生み出しています。
日本から輸入されたアニメ映画、中国のカンフー映画、歴史上の王たちetc・・・
霊媒たちはグローバル化した表象の世界を自由に自由に駆け巡っているのです。
田辺繁治『生き方の人類学』講談社現代新書から、大幅の編集をして引用しました。
9 :
ダンの花:05/01/02 13:01:20
この事例に見られるように、現在、現代創作物が実際の民俗に影響を与えることが確認されています。
ここで紹介した日本から輸入されたアニメ映画が何であるかは分かりません。
だけど神話・民間伝承をもとにして、アニメ・マンガ・ゲームが作られていくことだけではなく、
その作られたアニメ・マンガ・ゲームから影響を受けて民俗が作られていくことも充分ありえることなのです。
このことを指して、誰が「歪曲」だと非難できるでしょうか?
これを「歪曲」だと言い切ってしまったとき、大事なことが手のひらから零れ落ちてしまうでしょう。
だから私は「歪曲」ではなく「影響」という語句にこだわっていたのです。
このスレでは、考証がいい加減な現代創作物を嘆くのだけではなく、どうして考証がいい加減と思われる現代創作物を作者は作り、また消費者は受け入れられるのかを、愚痴も交えながら語っていけたらと思っていました。
このことから近代と民俗なんて大上段なことも考えていけたら素敵だと考えていました。
山野氏が自治スレで仰っていたように、今現在客観的に観察・考察出来る能力の持ち主を探す事は困難です。
私もその能力は持ち合わせていません。
しかし大勢で語っていくうちに、その片鱗でも捉えることができるんじゃないかと、淡い希望を抱いていた、私は2ちゃんに夢を見てるんでしょうな。