民族・神話学板の人間が小説を書くスレッド。
作家さん光臨きぼん。
2外道
糞スレの予感 !
>>1=冬厨決定!
逝ってよし!
みんなでちょこっとずつ書き足していこうじゃないか。
「ある朝、がしゃどくろが不安な夢からふとさめてみると・・・」
ぬらりひょんが国境の長いトンネルを越えるとそこは雪国だった。
北の風が吹く日は頭がヒューヒュー痛いよう。
・・・・・髑髏が語った。
>>5-6 妖怪小説ってそういうもののことだったのか?w
そりゃ妖怪の私小説じゃねえかyo!
そんな髑髏は,誰も足を踏み入れないような山中に暮らしていた。
10 :
天之御名無主:03/12/24 17:20
「よぉ、がしゃどくろ。今日も冷えるのぉ」
小豆洗いの奴だ。なんの用だろうか?
がしゃどくろは全身の骨に力を込め、ゆっくり立ち上がる。
11 :
天之御名無主:03/12/24 22:56
「こんな日はお前さんにはこたえるだろうよ。身体をぴゅうぴゅう風が吹き抜けるってな」
「なんだと?それぁ一体どういう意味だい」 髑髏は声を低めた。
12 :
天之御名無主:03/12/24 23:12
「いや、なあに。別に言葉どおりの意味さね。他意はないよ」
小豆洗いはぷいと顔を傍へやると、近くの切り株に腰をおろした。
こいつ、なにか知っている。髑髏にはこういうとき妙に勘の鋭いところがあって、
本人もまた自分で感じたことを信じて、曲げない。
髑髏は八百年前のことを思い出した。
「八百年後の今月今夜、この月をお主の血煙で曇らせてみせようぞ」とは
まだ髑髏に耳朶が、いや生身の肉体があった頃に聞いた科白だ。
あれ以来かたときも忘れたことはない。
ぞっとするような凄味に、忘れようとしても忘れられないのである。
13 :
天之御名無主:03/12/26 02:10
リレー以外はダメですか?
とりあえず妖怪を出せば書いてもよかですか?
>>10-12 続きが気になりますな
14 :
天之御名無主:03/12/26 02:32
>>13 今続いているリレー小説はタイトルをつけて区分しませう。タイトル「今宵かぎり」。
ではご期待にこたえまして連載再開。
「聞いたか、今夜の話を」
「なんのことだ」
「やっぱりまだ知らないようだねえ。ほかの者はすっかり姿をくらましたってのにさ」
「だから、なんのことだと聞いている」
語気が荒くなる。
他の妖怪たちから離れて、ひとり山奥に暮らすがしゃどくろは世情に疎い。
世間との唯一の接点が小豆洗いである。
髑髏はこの背の低い、キザで、もったいぶった喋り方をする妖怪を内心、苦々しく思っている。
思ってはいるが、貴重な情報源だから追い払うようなこともしない。
追い払わないから、小豆洗いはときどきやって来てはよもやま話をして帰る。
そのほとんどが、よもやま話とも言えないような、あまりに一方通行の無駄口である。
その端々に髑髏を下に見ているようなところがあって、髑髏もつい語気が荒くなるのである。
八百年前のまだ人の姿をしていた髑髏は名の知れた賊で
まさに道を外した行いの限りを尽くしていた。
人殺し、姦淫、盗み、およそ思いつく限りのことをやった。
その頃の京と言えば疫病、災害、人の心は荒れ荒み
加茂の川は屍で度々堰き止められるという具合だった。
髑髏も親を知らず野の獣と変わらない暮らしをしていた。
「今夜、あやしがりがここら一帯であるってえ話なんだがね」
「あやしがり?」
耳慣れない言葉に髑髏が聞き返す。
「ああ、なんでも里の人間どもが狐狸妖怪の類を退治するんだって息巻いてるのさ。
つまり『怪し狩』ってわけだな」
「ははぁ、人間どもも何かと気苦労なことだな」
皮肉ではない。まず最初にそう思ったことをそのまま口にしたまでである。
「なにを呑気なことを言ってんだい。
お前さんは元が人間だったせいか、どうも人間どもに同情的でいけない。
所詮オレたちは影なのだ。人間どもとは住む世界が違うのだからねえ」
「そんなことはお前に言われずとも解っている」
ついまた語気が荒くなる。
「ああ、そうかい。しかし、これを聞いても呑気でいられるかな?
信心深い里の人間どもが『怪し狩』なんぞと言い出したには訳があるのさ」
一人が頑張っているのか?
小豆洗いの話では、ひと月ほど前に里に一人の男がやってきたことに端を発するという。
その男は東京から来た学者だと名乗って、調査のため一軒家を借りて長逗留している。
それだけなら妖怪たちには関係のない話だが、問題は調査の内容である。
まず最初に男がやったことは里人への聞き込みだった。周辺に伝わる古今の『あやし』を聞いて回った。
次に近隣の墓地や石碑をひとつひとつ丹念に調べた。やがて、毎日昼は山へ出かけては何やら
瓶につめて山をおり、夜は男衆の寄り合いに一升の酒を持参して参加する。
さらに夜更けから明け方頃まで彼の家の灯りをともして何かやっているようで、
いったいいつ寝ているものか里人の間でも噂になったという。
>>19 いまのところ11,12,15,17,18,20は漏れだよ。伏線だけ作ったら消えるから見逃してくれぃ
男の名は川野伸益といった。
学者というには全体に引き締まった体つきをしており、
眼光の鋭さと相まって古武士といった印象である。
右の額に火傷の痕があり、それを隠すように前髪をだらりと垂れている。
村人の評判はよかった。それどころか、寄り合いでも男が意見をいえば
たちまち打ち静まって皆が従うというような具合になっていた。
男が『怪し狩』の話を持ち出したのも、そんな寄り合いの場だった。
では小生は消えまする。あとはどなたか続きをよろしくー。
おいおい
そんな内容が限定される伏線だけ貼られて消えられても
あとが大変だぞw
申し訳ない〜。
書いてるうちに乗っちゃって、学者の名前まではどうしてもたどり着きたかったので……。
どんなオチだろうと文句はいいませんので、どなたかお頼み申し上げます。
その男が言うには
「妖というのは一種の病の源である」
ということだった。
山の上から冷たい風と共に降り落ちては里に悪さをすると言うのだ。
「何を馬鹿なことを」
髑髏は骨だけの顎でカタカタと笑った。
しかし、小豆洗いは神妙な顔で続ける。
「妖とは人の陰の部分が凝り固まった姿で人が息を吐くようにその胞子を常に吐き散らす。
その吐き出された胞子が山の土、川の水に染み込んで里に流れ、それを里の者が口にする。
口にした里の者は病に倒れ、ある者は死にまた妖を増やすという循環を繰り返す!」
小豆洗いはその学者の口調を真似て熱っぽく髑髏に語って見せた。
これには髑髏も少し顔色を変えてきた。
元々里人も農業で暮らし土着の信仰にも厚く自分達妖怪にも決して悪い印象を持っているものではなかった。
だが、ここ最近病が流行り信心の強い年寄りや小さな子供がバタバタと死んでいた。
これには変化の乏しい髑髏の顔色もさすがに少し変わらざる負えなかった。
こんな感じでいいのか?
「さぁ、どうだ」
小豆洗いは一通り喋り終え、ぎょろりとその目で髑髏をねめつけた。
胸骨を掻きながら髑髏は中身のない頭をフル回転、一つの妙案にたどりついた。
なら---髑髏は言う。
「なら一刻も早くここから逃げ」
逃げることができたら呑気に座ってなぞいないッ---小豆洗いは
髑髏の発言を妨げ怒鳴った。
「すまん。ただ、ちょっと、な。残念だがここからは出られん」
「何故」
小豆洗いはまぶたを閉じ、語り出した。
「不落々々---ぶらぶらを知っているか」
「ああ…二、三お前から聞いたことがある。里の輩を脅かしてる、だの」
「それだ。そいつが、まあ逃げようとしたんだ。狩られちゃあたまんねぇもんな。
そしたらよぅ、村から一歩出た瞬間、だぞ。灰、灰になった」
髑髏が首をひねった。
「その学者と坊主やら山伏どもが呪いをかけやがったんだよ。ここらの里から
逃げ出すバケモンはどれもこれもサラッサラの灰になるってなぁ」
小豆洗いが痰を地面に吐いた。
とつぜん降り掛かった粘液に驚き、そこにいた小さな虫が飛んで行った。
「逃げれば死ぬ。ここにいても狩られて死ぬ…てぇのか」
髑髏がここに来てやっと口を開いた。
「だろう、な。なんせそんだけの呪いがかけられる連中がいやがる。
それにあの学者だ。狩る狩られる、灰になるならないは時間の問題だ」
しかし---小豆洗いは数秒の間をおき再び喋りはじめた。
「しかしだ。あの呪い…灰になる、てなやつ。ありゃあ強力な呪いだから、
消耗も早えぇ。ここらの妖怪皆が調べた結果…今日の深夜零時きっちりに
呪いがとけるんだ」
髑髏の顔が引き締まる。もっとも、顔面に肉はないのだが。
その顔を見、小豆洗いがふふふと笑う。
「今夜中逃げとおせば…灰になることも狩られることもない」
小豆洗いは手を広げ、天をおおげさに仰ぐ。
「今宵かぎりの鬼ごっこに勝ちゃあ、この天道様をまた拝めるってぇ訳だッ」
小豆洗いが豪気に、また狂気にもにた笑い声をあげた。
下司な笑いだ---髑髏は思った。
こんな感じでよかとですか。
>>29 (・∀・)グッジョブ!
じゃあちょっと続けてみよっか。
33 :
天之御名無主:03/12/26 20:24
「鬼ごっこか… 幸いこの山の中なら隠れる場所がいくらでもある」
髑髏は独りごちて,山中にある自分の隠れ家のいくつかに思いをめぐらせた。
そこに行けば,たやすく人間から逃げおおせることができるはずだ。
それに,他の妖怪との付き合いも少ないから,
万が一他の妖怪が人間にとらわれても,自分の隠れ家がばれる恐れは少ない。
姿を見られれば,そのときは人間を相手に戦わなくてはならなくなる。
確かに髑髏は生前は賊だった。人間相手に組み合ったとしても,
そうやすやすととらわれない自信はある。
しかし,800年という年月は彼を変えた。
できることなら,これ以上過ちを繰り返したくない。
いくら自分が生き延びるためとはいえ,人間を傷つけねばならないような状況は
極力避けたい。
「うまく隠れてやり過ごすか」
スマソ,あんま思いつかんかった。
つづきよろしこ。
いやあ、ちょっと見ないうちにずいぶん進んでてびっくりしましたw
おもしろいです。ありがとうございます。
>>27さんの、漏れの書いた「影」を「陰」に読み替えたり、「怪し」を「妖」に置き換えたりするあたり感服です。
>>30さんの、「今宵かぎり」も生きてるなあ。あんまり先を考えずにタイトルつけたんですが、いいですねえ。
妖怪だけに「鬼」ごっことはまた、先が楽しみですw
漏れもときどきカキコしますんで、皆さんもじゃんじゃん進めてくださいな。
「人間の年寄りより遥かに古く朽ちてから子供の遊びをするとは思わなかったな」
髑髏はカタリと苦笑した。
「そうじゃないな、俺はいつだって鬼ごっこをしていたな。
もっとも遊びであったことは一度としてなかったが…」
逃げ支度をしながらそんなことを考えていた。
あまり過去のことなど考えない髑髏にしては珍しいことだった。
思えば髑髏は生れ落ちたときから人の目から逃げていた。
髑髏が生まれたのはまだ人と人外の者の区別すら怪しい時代だった。
その頃の都と言えばおよそありとあらゆる災厄の見本を簡単に見ることが出来た。
辻に人の屍骸が鳥獣のそれと変わらず打ち捨てられ、
片付けた側から新しい屍が積まれるという具合だった。
もはや何の臭いかわからぬ臭いで煙っていた。
そんな中で髑髏は祝福されずにただ落されるように生まれた。
母親は貴い出の女ということがわかる美しい顔をしていたが、
いつも泣いているような陰気な女だった。
父親は一目でその賎しさがわかる風貌をした男だった。
ギョロリ大きな目の印象が強くその体の全ては浅黒く大造りだった。
ただ術に似た不思議な魅力のある男だった。
その周りには酒と肉に溢れ、やはり賎しい男達が常に囲んでいた。
いまのところ16,19,24,26,27,28,36は漏れだ。
しかし、どうも鈍いし、読むヤツもいないみたいだからやめようかな。
内容が全部想像出来たからつまらん。
書いてるの三人ですかw
まあ、やめるとか言わずそこを膨らませるのが腕ですから。
新展開、期待しております。
書いてるヤツが限られてくるのもそうだが
読むヤツ限られるのが一番痛いw
もう、あらすじにしたくなる誘惑にw
>>39 読むヤツ限られる
うっ!痛たたたw
ではしばらく放置してみますか?
一日でずいぶん進みましたからねえ。
こういうのは気が向いたときに、焦らず気長にマターリと。
放置なら俺はずっと放置するぞw
短距離ランナーだからw
内容なくても読んだぐらい言って欲しいものだ。
つまんないならつまんないとか言ったらお前が書け!と言うがw
そのうち誰かが新展開を出してくれるでしょう。
そしたらついつい書き込みたくなりますって。
読んだ感想がほしいのには禿同です。
うう、読み手がいない…痛いなぁ。
まあ、気長に頑張りましょう。…気長に。
>>36さん
>>辻に屍〜
帷子辻みたいですかぁ。京極氏の小説を思い出しました。
なるほどイメージは京極堂ですか。
実は私は司馬遼太郎と上田秋成を意識してますた。
訂正
帷子辻みたいですかぁ→ですなぁ
スマソ
書き手が三人なら相談しやすくはなるけどなw
もう少しルール決めないとカブってくるだろうし。
新展開というか800年の間はちゃんとやりたいけどな。
いきなり飛ぶんじゃなくて。
京極小説ちゃんと読んだこと無い。
しかし、誰かが誰かが言うと誰もやらねぇと思うぞw
47 :
天之御名無主:03/12/27 00:03
このスレ痛いね
だって。
やめるか?
気長にやりましょう。
…何だか暗くなってきた。
ひゃひゃひゃひゃ
言われちまいましたねえ。
まあ、痛いとか言わずみんなも書き込んでくださいな。
あんまりサロン化すると閉鎖的になるので、雑談は減らしますかw
代わりに質の高い文をまったりと綴れば日の目をみることもありますよ。
つづけば、ですけどwww
痛いレスだらけになるよ、間違いなくw
いいじゃん、未完でw
周囲の獣の臭いを嗅ぎつづけた髑髏は当然のごとく、外道を走った。
弱者をなぶり強者を騙し、気に入らぬ輩はどれもこれも殺めた。
悪行という悪行は何でもやった。
四十の師走だった。
外道の道を疾走しつづけると、本物の外道と出会った。
面倒な輩に追われていた俺はそこに駆け込んだ。そこでそいつらは
昼食を貪っていた。三匹ほどの妖怪が、獣を喰らっていた。
「おや」
頭が白くなっていく俺に一匹が言った。
何だ、こいつらは。
「ここに人間が来るなんて、まぁ…ひひ。ひ」
厭な笑いだ。
そいつは左手に持っていた升に盛られていた小豆をまいた。
頭が白くなってゆく。
前が暗くなってきた。
53 :
天之御名無主:03/12/27 00:22
数日俺は気を失っていたようだ。
四日ほど追われていた疲れ、そして異様なものを視た衝撃。
夢か 夢 すべて夢だ
夢ではなかった。目をあけると異様なものがいた。
小豆をまいていた奴ではない。暗くてよく見えないが---人外のものだ。
そいつが何かをもそもそと喋った。
「八百年後の今月今夜、この月をお主の血煙で曇らせてみせようぞ」
血煙。
誰だ。誰だお前は。俺を。俺。俺は誰だ。血煙。いやお前は
何ものだ。名を名乗れッ。名を 俺は 眠い。
54 :
天之御名無主:03/12/27 00:25
頑張ってるところ悪いんだが…
妖怪モノに限らずたいていリレー小説ってうまくいかんのだよね。
特に長篇は。皆が短編を持ち寄ってああだこうだ言い合えばいいのでは?
何も書いてないのに?
講釈垂れが多いからダメなのは目に見えてわかってるけどな。
>>54 はげどふ。
今宵かぎりタンとか29タンそれなりに文章上手いから普通の
妖怪モノ読みたい。
本当に面白いネタはみんな自分の手元に残すから
似たような話になるのは目に見えてるし
やめようぜ、馬鹿馬鹿しい。
文句言われてまでやるこっちゃないって。
誰でもいいからとりあえず短編書いてくれまいか。
そうすりゃこのスレも風向き変わる。
今日はもう寝ます。
>>56さんお褒めいただいてありがと。
リレー小説もなにもこういうの書くの漏れ初めてだけど、参加するのが楽しいのだw
まとまりのある文章と違ったハチャメチャぶりが愉快なのです。こりゃ性分ですね。
とりあえず誰が書きつなごうと、「今宵かぎり」は責任もって最後まで見守ります。
つづかなくなったら漏れが継ぐからいいよ。ちゃんと成仏させたげたいからねw
>>58 まぁ、そういうことだけ言ってると無理やね。
漏れは「今宵かぎり」
まぁ、頑張れw
短編好きの評論家諸君。
リレー楽しく読んでまつよ。
自分にはつないでいくだけの力はないですが(w
気長にマターリやってください。
ちょくちょく覗きますんで。
川野と名乗る男とその一行はなだらかな山をもう三つも越えていた。
日没に出発してから、かれこれ六時間がたつ。しかしまだ収穫は狐一匹に狸三匹だけだった。
二十人からいる里人の中には疲労の色を見せるものも出てきていた。
山は先だって降った雪がところどころに残り、ぬかるんだ道が靴を濡らす。
吐く息は白く、つま先ばかりか、鉄砲や鎌をもつ手がかじかんでくる。
明かりは松明だけだったが、幸いなことにその日は見事な満月で、それが雪に反射して周りを照らしていた。
しかし、それだけに、寒い。
「なあ川野さん、もう引き返さないか?
狐も狸ももう取ったことだし、妖怪退治ならまたいつでも出来る。
それにさっきから同じようなところを行ったり引き返したりしているようだが」
川野はなにも言わない。ただ睨むようにしながら前に進むだけである。
里人たちも知った山とはいえ、夜道をひとりで帰るのがどれほど危険か知っているから、
ついていくよりほか仕様がない。里人たちは川野ひとりを置いて山を下りてはどうかと目配せしあった。
彼らにはわからなかったが、もし自分たちの行程を俯瞰することができたなら
ちょうど五芒星の形を踏んでいたことに気づいたろう。各頂点には川野の連れてきた
僧侶や術者たちが残って、なにやら怪しげな修法をはじめるのだった。
そして今、一行には最後の頂点が近づいていた。出発地点の登山口から程近い場所である。
たどり着いたとき、里人たちは一様に、それこそ狐につままれたようなキョトンとした顔をした。
なにしろ、どこをどう歩いたものかいつの間にか里まで戻ってきていたのである。
「さあ、役目は終わった。皆さんはお帰りなさい。ここからは私ひとりでいく」
終始無口だった川野が今日はじめて口を開いた。
皆、安堵と戸惑いの表情を隠せない。ようやく帰れるという思いと、
川野を置いていこうとしたことが見透かされたのではないかという後ろめたさとである。
「しかしセンセイ、こんな時間におひとりで山にお戻りになられちゃあ危険だよ」
「なぁに心配御無用。妖怪どもは今日はいない、皆さんもお気づきになったはずだ」
「なら、なおさら山に戻る必要なんてないじゃあありませんか?」
「ああ、そうですな。ここからは私用だ。ですから私ひとりでいくのですよ」
里人たちは川野を止めることはできなかった。
誰も熱心に止めようとする者がいなかったといった方が正確かもしれない。
これまで盲目的なまでの尊敬と信頼を寄せていた川野に対して、
憑き物がおちたかのように、今では疎ましく感ぜられるようになっていたからである。
髑髏の過去が長くなっていたので、学者たちのほうへ場面転換してみました。
ここで場面を髑髏に戻すとスムーズではないでしょうか。
がしゃどくろには妖怪になる前後の記憶がない。ただ、妖怪たちに出くわしたこと、
奇妙な科白を聞いたこと、そんな記憶の断片があるばかりである。
だから実はなぜ自分がこのような浅ましい姿になったか覚えていない。
妖怪になってからの八百年という歳月の記憶もすでに薄れている。
単調な毎日の繰り返し。殺して、喰って、寝る、それだけである。
世の中がどうかわろうと、妖怪どもが騒ぎを起こそうと、自分は距離を置いて過ごしてきた。
いったいこの八百年にどんな意味があったというのか。
しかし、不思議と人間だったころの記憶だけは鮮明に残っていた。
むかし、好いた女がいた。名を葉月という。
強盗に押し入った神社で巫女をしていたのが、葉月であった。
68 :
天之御名無主:03/12/27 14:23
今宵かぎりタン、微妙。
名前の付け方とか展開がありがち。もっとも展開はいろんな人間が
書いているわけだが。だから短編持ってこい。
69 :
天之御名無主:03/12/27 14:24
短編クレクレ厨ウザイ
短編、ですか。うーん。
>>68 時代をね、いつにするか考えたんですよ。
「東京」ってくらいだから明治〜現代まで幅がある。
そうすると800年前は平家の興隆から鎌倉幕府の成立あたりです。
となれば白拍子の静御前のイメージが……。
展開ありがちですが、やはり過去に女の影ありというのは必須かなと。
名前は源氏物語の夕月をイメージ。月のつく名前がふさわしいと思ったので。
×夕月 ○夕顔
まだ短編クレクレ厨が粘着してるのが不愉快だが
宵ぎりタンが頑張ってるから俺も遊んでいくかな。
でも、宵ぎりタンあんま名前付けられると続くヤツ皆無になるぞw
髑髏は父親から様々なことを学んだ。
父親がまともな人間でないということは間違いないことだったが
不思議とこの男は何でも良く知っていた。
酒ばかり喰らうこの男は坊主のような事さえ言う時があった。
その父親の周りに集まる男達もまともな人間など一人としていないが
子供の髑髏を退屈させることはなかった。
元々は腕の確かな大工だったが些細なことで棟梁を釘抜きで叩き殺した男、
大店の番頭をしていたが店の金に手を出して博打や色に狂った男、
頭も口も回るが崩れた見た目に誰にも相手にされなかった男、
それこそ氏素性のまったく不確かな男など一癖も二癖もある人間が
よくもまぁと集まっていた。
その男達がみな戯れに子供の髑髏に色んな話をしては遊んでやった。
物心つく頃には同じ年頃の子供よりよっぽど読み書きも出来るようになっていた。
あぼーん
我輩は髑髏である。名前はまだ無い。
と、つぶやいてみて自嘲した。小豆粗いが不審そうな顔で覗き込む。
思えば、誰からともなくいつしか「がしゃどくろ」と呼ばれるようになっていた。
オレには人間だったころ名前があったはずである。
が、思い出せない。
父親やその取り巻き連中、そして葉月の顔ははっきりと思い出せるのに、
どのような名で呼ばれていたのか、そこだけ思い出せない。
ぼんやりとした霞のような記憶の向こうで葉月が手を振ってオレの名を呼んでいた。
>>77 スマソ。三人称だったのに一人称で語ってしまった。文体がブレるから次の香具師は三人称に戻してくれ。
「あー、お母さんが川の向こうで手を振っているぅ」
優しい気持ちと一緒に意識が薄れゆく…。
「知らないお爺さんも笑っているぞぉ、お花畑も綺麗だなぁ」
ますます意識が薄れてゆく…。
短編厨が居座っているのはここですね
82 :
天之御名無主:03/12/27 21:08
タンペン?タンペン?イエス短編。アイワズ短編。haha。
タンペ…タンペンペン?ペペペン?OH!短編イズム!
タンペニズム!グッド。OKOKOK。HAHAHA!!。
83 :
天之御名無主:03/12/27 21:10
基地外もいるな
84 :
天之御名無主:03/12/27 21:12
誰か短編まいてくれ。まきゃ厨も少しは沈むだろ。
.
.
.
.
俺が書け?書けりゃ世話ないよ。
「おい、大丈夫か?おい!」
小豆洗いの声で我に返った。
今夜は、妙だ。身体の節々がきしむ。昔のことがやたら思い出される。
挙句、人間だった頃と錯覚して、そのままどこか取り返しのつかない場所まで
行ってしまいそうになる。
「今ここはどこだ?」
小豆洗いの導くまま走るうちに、意識が途切れてもはや自分がどこにいるかも判らない。
四辺にはいつしか霧がたちこめ、まるで夢うつつに見た霞の中の光景を彷彿とさせた。
「ここがどこかって?お前さんがようく知ってる場所さ」
小豆洗いが口のはしを歪めて笑った。
「なんだと?どういうことだ、お前は小豆洗いじゃないな、誰だてめえは」
「オレは小豆洗いさ。お前さんのようく知ってる、な」
「そうか、ならば……これでも食らえ!」
言うが早いか杖代わりに持っていた長刀(なぎなた)を横一線になぎ払った。
が、刃は空を切る。切っ先の二、三歩先に飛びのいた小豆洗いは相変わらず嫌な笑いを浮かべている。
「とりあえずオレはここまでだ。じゃあな」
そう言い残すと霞の中に溶け込んで、消えた。
残ったのはあらゆるものを飲み込む真っ白な静寂だけである。
>>70こと29氏へ
興味があるんなら書いてくれんか、短編。
1つ誰かが書いてくれりゃ
>>84の通りクレ厨も静かになる。
>>87 白々しいな。あたかも自分がクレ厨でないみたいに言うな。
魂胆見え見えで激しくウザい
>>87 短編って、「今宵かぎり」もふつうの小説としては短編の部類だと思うんですが……。
ショートショートくらいの掌編をイメージされてるんでしょうか?数レスで終わる程度の?
それなら試してみてもいいですけど、遠野物語にでもありそうな昔話になっちゃいますよ?
たとえばこんなのどうでしょう。
讃州は金毘羅さんのふもとに、灸万屋という素封家がいた。
当主の灸兵衛はたいそう信心深い男で、庭の片隅にあるお稲荷様に
朝晩手を合わせては商売の繁盛に感謝していた。
灸万屋にはお稲荷様がついている、周りの人間はやっかみ混じりにそう言ったものだ。
さて、灸兵衛には今年十四になる一人娘がいる。お絹という。
お絹がまだ幼い頃に母親に先立たれてからは男手ひとつで育ててきた。
娘は成長するにつれ母親に似たたいそうな美人になり、近在でも評判であった。
ある晩のことである。その日も商売の無事をお稲荷様に感謝しつつ、
夕餉をすませて床についた。その日はどうしたものか妙に目が冴えて寝付けない。
ちょいと寝酒でも酌むかと床をたったところ、娘の部屋から吐息とも呻き声ともつかない
苦しげな声が漏れてくる。
不審に思った灸兵衛は、襖を少し開けるとそっと中を覗いた。
あろうことか、娘しかいないはずの部屋に男がうつ伏せになってお絹に覆いかぶさっているではないか。
呻き声と聞こえていたのはお絹の快楽を貪るあられもない喘ぎの声であったのである。
あっ、叫びそうになる口を必死でおさえ、這う這うのていで部屋に戻った。
人のいい灸兵衛は、あまりのことに混乱していた。その晩は一睡もしないまま朝を迎えた。
朝になって考えてみるに、どうも男は近郷の誰かに違いない。
この辺りの百姓には夜這いの習慣があると噂には聞いていたが、ふつうは百姓同士、
互いの身分をわきまえるのが常で、灸万屋のような家に夜這いするなど考えられないことである。
しかし、その考えられないことが起こってしまった。可愛い一人娘を傷ものにされてしまった。
どうして昨夜押し入って、男を縛り上げなかったかと今になって悔やまれる。
また、男は来るに違いない。
そう考えた灸兵衛は腕の立つ浪人を雇って、再び男の来る日を待った。
ひと月後の新月の晩、はたして男はやってきた。
灸兵衛たちは物陰に隠れて男が娘の部屋へ入るのを待った。
娘にはなにも知らせていない。知らせたところで男を庇うに違いないから
なにも気づいていない振りをつづけてきた。
男が来たところを捕まえようと言ったが、雇いの浪人に、
それでは逃げられてしまうおそれがある。ご心情は察するが、男が色に惑って
注意を怠ったその時を狙うがよろしかろう、と言われると、こうした荒事には縁のなかった
灸兵衛だけに従わざるを得なかった。
今夜もお絹は汚される、そう思うと腹の底から打ち震える思いであったが、
これも男を捕らえるためである。場合によっては殺しても構わない、そう浪人には告げてあった。
さて、半刻もするとやがて娘のおぞましい声とともに、ペチャペチャと豆腐を杓子で叩くような音がする。
今こそ待ちかねた時ぞとばかりに、襖を開け放つが早いか、浪人が男の背中に飛び掛った。
その刹那、浪人は首から血しぶきをあげて斃れた。絶命している。
灸兵衛にはなにが起こったかわからなかった。
わからなかったが、男が脇をすり抜けて逃げようとしていることだけは慥かである。
咄嗟に灸兵衛は手に持っていた刀で男の額に切りつけた。
ぐわあぁっ
男は凄まじい悲鳴をあげながら、それでも走り続け、闇に消えた。
初めて人を斬った灸兵衛は足が震えて追いかけることができないでいる。
娘は裸身のまま寝息をたてていた。なにも気づいていないようであった。
>>89 短編って、リレー小説なんだからまだ長篇ともなんとも言いがたいだろ。
この調子で行けばそれなりの長篇になると思うぞ。
クレ厨はいつ終わるか終わらないかの作品じゃあなくて既に完結している
短編を求めていると思われる。
翌朝、娘の部屋から点々とつづく血のあとを追って灸兵衛は驚いた。
血は庭の片隅にあるお稲荷様の祠まで続いて途切れていた。
石のお稲荷様の額には、まだ出来たばかりと思しい刀傷が刻まれていた。
ああ、あれはお稲荷様であったか、と灸兵衛はその場にへたり込んだ。
それから間もなくして、灸万屋は傾いた。
船荷が沈んだり、蔵が出荷したりと災厄が重なったためである。
ほどなくして娘のお絹は病ではかなくなった。
いまや灸兵衛の行方を知るものはいない。
ただ、はたしてあれはお稲荷様であったのだよと人の口にのぼったらしいが、
やがてそのことを語るものもいなくなった。
おしまい
×蔵が出荷 ○蔵から出火
>>90-95 これぞ民話、って感じのオハナシだな。面白い。
クレ厨の言う『短編』の定義ってのがよう分からんがな。
とりあえずこの2パターンくらいか?
(1) 今宵かぎり氏の書いた
>>90-95のような昔話風のショート
(2) 少々長いが(20レスくらいの)完結しているもの
>>97 クレ厨の漏れとしては後者。今宵かぎりタンの
>>90-95も面白かったけど。
29タンの光臨を待とう。
黙れ!短小
>>86の続き
「今宵一夜とはいえ、この狭い村だ。逃げ切れるかよ。」独り言を呟く
がしゃどくろの足がフト止まった。
「待てよ、おかしいぞ・・・何故他の化け物に会わない。それに・・・」
自分の歩みが自分のものでは無い気がした。
「まったく無茶苦茶なおかしな夜だ、頭がこんがらがっていけない」
髑髏は軽い頭をふるふると振ってふーっと息を吐いた。
「待てよ、これが小豆の馬鹿が言っていたあやし狩りの連中の術とやら
じゃなかろうか?」
そう考えると見慣れたはずの道もまるで違ったものに見えてくる。
「こんなときは…」
は呟いて薄れた記憶を手繰り寄せる。
「…よ、道ってのは未知と音が同じだろう。慣れた人間でも平気で迷う」
子供の髑髏に猟師をしていた男がそんなことを言っていたのを思い出した。
「そんな時はまずは息をふーっと吐いて動かず目を凝らせ」
男の教えを守ってなぞってみる。
息はもう吐いちまったから立ち止まって目を凝らしてみた。
「妖怪になんか妖怪?」
やべぇ、妖怪駄洒落爺だ!
>16は幼稚だな。リアル厨かリアル高だろ?
一生懸命むずかしい言葉つかってみせても底が浅いからすぐわかる(w
そだね、どーでもいいもん。
どうせ書かないで御託言う奴ばっかだし。
16モンなんだから俺は。
どーでもいいんなら帰れ。今宵かぎりタンや29タン達に迷惑だ。
107 :
天之御名無主:03/12/28 03:36
>>104 29は文章のイタさと稚拙さから言ってリア厨だな
>>107 少々イタいが下手じゃないだろ。
イタくて下手ならなんでもリア厨リア工呼ばわりは考えもんだ
おや、ちょっと見ないうちにずいぶんと荒れてますねえ。
部屋の掃除をしていたらもうこんな時間w
徹夜明けでイライラしてるんでしょうか、皆さん。
>>16さん面白いんじゃないでしょうか。漏れは意外と嫌いじゃありません。
せっかくなので
>>16さんのギャグをお借りして続けてみますか。
「お、こんなところに土器が!これがホントのドッキドキィ!!なあんてね」
がしゃどくろは軽い眩暈(めまい)をおぼえた。
お構いなく駄洒落爺がつづける。
「今日は満月。十五夜の月。じゃあ明日の月はなんていう?」
「い、いざよ……」
「イロもーん!!なあん−−
斬!!
髑髏の長刀が空間を切り裂いた。
ボトリ、と地に落ちた駄洒落爺の首級が口から最期の言葉が漏れる。
−−てね」
>>110 × 首級が口から ○ 首級から
もっと膨らまそうと思ってたのに速攻で殺しちゃった。
すまそ。その方が面白そうだったので、ついw
「−−さん。−−さん」
女の声がした。懐かしい声だ。
振り向くと美人だが少し陰のある女がそこにいた。
「母様……」
「お前は賢い子だよ。
誰よりも早く字を覚えたし、教養だって公達にも負けはしない。
私はお前の父親にさらわれて今でこそこんな境涯に身を落としているが、
お前が出世してきっとまたいつかあの暮らしに戻してくれると信じてるよ。
お前だけが私の生きがいなんだ。都で仕官して私を救っておくれ。
ああ、きっとお前ならできるだろうよ。どうか後生だよ」
そうだった。そうして十になったばかりのオレは一人都に上ったのだ。
「人の目」
高野と葛城の間の小さな寺。
元は役行者殿にも縁ある寺だったが今や老法師と小僧が一人。
人がいないのには辺鄙なのもそうだがもう一つ故がある。
この小寺の老法師、茅原山の修験を極めた得の高い坊主だが、
小言がそれはうるそうてうるそうて努めに参った小僧がみな逃げ出してしまう。
やれ物は大事に扱え、やれ音を立てて動くなとそれは口うるそう言うものだからかなわない。
坊主というのは大なり小なりそんなものかもしれないが、
中でも掃除の仕方の気の張りようと言ったら鬼でも逃げ出すと噂だった。
そんなもんだから人が寄り付きゃしない、小僧もみな逃げ出す。
ところが、一人残った小僧が風変わりな小僧で坊主がやかましく小言を言おうと
「へぇへぇ、やりゃした。また明日。やってもやっても人手が足りぬ」
と坊主に返す生来の怠け者。坊主が折檻しようがへんへらへらへら笑っとる。
という具合だった。
続き書くかな?どうするかな。
その頃の京は都中を腐臭がただよい、昼間から盗賊が闊歩しているような有様だった。
貴族たちは私腹を肥やすことだけに心を砕き、とても政治と呼べるような代物ではなかったのである。
そんな中、彗星のようにあらわれたのが平忠盛、清盛の親子だった。
彼らは瀬戸内海での経済力を背景にさかんに宮廷工作をおこない、
また貴族たちが「穢れる」として、見て見ぬふりを続けてきた清掃活動や治安維持活動にも心を配った。
京にはいっときの秩序が戻っていた。
平親子を支持する民衆の声は日に日に高まるとともに、はなぐすりに弱い貴族たちはとうとう
武士であったこの親子に昇殿を許したのである。
それからの平家の勢いは凄かった。
父親の忠盛が辣腕な実務家とするならば、息子の清盛は細心の野望家であった。
父親の死後、清盛は圧倒的な経済力と武力とをもって、たちまち従一位の太政大臣の位にまで登りつめたのである。
当世では院でも六波羅殿の許可なくしては厠へもゆけぬなどと揶揄された。
平家は人を欲していた。
これからは侍たちの世になる。時代の空気を機敏に感じ取った若かりし日の髑髏は
身分を偽って、平家の若大将の馬の口取りとして奉公に出たのだった。
主人の名を平敦盛といった。
敦盛は清盛の甥にあたる男で、そのときの年齢は髑髏と同じくらいかそれよりも若いくらいであった。
まだ幼ないと言える年頃だったが、非常に聡明な少年で周りのおとなたちとも対等に話してひけをとらなかった。
髑髏は歳が近いせいか、敦盛にたいそう気に入られて話し相手としては屋敷の中にまで上げられた。
ある雪の日のこと。
敦盛がふと謎かけのような問いを発した。
「香炉峰の雪いかならむ」 (香炉峰の雪はどうであろうかなあ)
家臣団は突然なにを言い出すのかといぶかしむばかりである。
ただ髑髏だけが、つと席を立つとするすると簾を巻き上げて見せたのである。
ぴしゃりと扇でひざを叩くと、「見事!」と敦盛が叫んだ。
「お前は以前どこに勤めていたのだったかなあ」
問われて髑髏は偽りの身分をこたえた。
「はい。鞍馬山にて修行いたしておりましたが、ゆえあって今はあなた様にお仕えしております」
「ほう、鞍馬では白氏(白居易)の詩まで教えるというか。大天狗殿は雅も解するとみえる」
そう目を細めて微笑むと、なにか思いついた風で家臣の名を呼んだ。
「伸綱、伸綱はおるか」
「はい、ここに」
「たしかお主には跡継ぎがないと申していたな。
どうだ、この者をお主の養子とせぬか。そうして私の家来にするのだ」
「おおせのままに」
こうして髑髏は名も改めて、その男の養子となったのだった。
敦盛はことあるごとに髑髏をつれて歩き、他の家来が嫉妬するほどだった。
そしてとうとう髑髏は清盛とも顔を合わすことになる。
「叔父上、これは私の家来で非常に有能な男にござりまする。以後お見知りおきを」
「ふむ、鍛えた身体をしておるな。結構なことじゃ。さしずめ敦盛の用心棒といったところか」
と高笑いをしてその場は別れたが、そのときのことを清盛は覚えていたとみえて
後になって髑髏のために一振りの長刀が贈られてきた。名のある刀工の作であったらしい。
敦盛は髑髏のことを愛した。が、髑髏は敦盛のことを憎んでいたのである。
敦盛に目をかけられ、可愛がられていた髑髏だったが、そのことを善しとしなかった。
むしろ、同じ年頃で文武の才とて髑髏には及ばぬ(と髑髏が思っている)若造に、
生まれが違う、というこの一点のために片や主となり、片や従となることを宿命づけられるのである。
そのことが髑髏には我慢ならなかった。
髑髏は懐から薬の包みを取り出だした。
以前、父親たちが稼業でときどき使っていた唐渡りの薬で、少量ずつ食べ物に混ぜて与えると
やがて身体が黒ずみ、最期には高熱を出して死ぬという恐ろしい薬だった。
それを、そのころ懇ろになっていた炊き屋番の娘にそっと手渡した。
症状はどうしたものか、敦盛にではなく清盛にあらわれた。
炊き屋番の娘に問い質すと、滋養強壮の妙薬だと敦盛の椀に入れていたところを
上役に見つかり、取り上げられたのだという。それが清盛の所へいったのだろう。
しまったと思ったが今さらどうすることもできぬ。取り戻そうとすれば疑惑を招く。
病状の悪化していく清盛をただ指をくわえて見ているよりしょうがなかった。
清盛の病状の悪化と歩調を合わせるように、平家には暗い影がさしはじめていた。
以前から平氏のやり方に不満をもっていた以仁王が平氏追討の令旨を出したのである。
源氏と組んだ以仁王の反乱はなんとか鎮圧した。しかし、その火種は各地の源氏に
飛び火しつつあった。時代は急速に不穏な空気をはらみだした。
清盛の健康が優れないと聞いて、以仁王は挙兵を決意した。
いかに以仁王とて、以前の壮健な清盛に楯突こうなどとは思わなかったろう。
あともう二、三年でも清盛が長生きしていたならば、安徳天皇を中心とした平家の体制は
磐石のものとなっていただろう。そうすれば髑髏とて一国の大臣くらいにはなれたかもしれぬ。
しかし、清盛は衰えている。そうさせたのは元をただせば髑髏なのである。
治承五年二月二十七日に人も近づけぬほどの高熱を出した清盛は、翌月の四日ついに事切れた。
歴史とは皮肉なものだ。
諸国で兵を挙げる源氏を必死で食い止めていた平氏だったが、
清盛の死を境に雪崩うつように敗走を重ねた。
ついには都を捨てて、安徳天皇を戴いて西へと逃れた。
いったんは九州まで退いた平氏だったが、敦盛らの獅子奮迅の働きによって
かつて平家の都をおいた福原の地まで戻した。後白河院などは恐怖に震え上がったという。
さて、一の谷でのことである。
前に海、後ろに断崖をもつこの要衝の地で平家方はすっかり気をよくしていた。
海に面して陣をしかせた幹部たちは、まもなく後白河法皇から和睦の使者がくるだろうと高をくくっている。
兵たちも皆、酒を飲み、歌い、久しぶりの安息に浮かれている。
ただ、敦盛ひとりが妙な不安をもって背後の崖を見上げていた。
「背後の崖から攻められれば我が方はひとたまりもありませぬ。
どうか兵たちの引き締めとともに、後方の守りを固くしてくだされ」
「ははは。敦盛どのはお若い。まだ戦の経験とて浅いから怖がるのも無理はない。
しかし、どうしてこの断崖絶壁を越えられようか?皆、久しぶりの平安を楽しんでおるのだ。
せっかくの休息を邪魔するのは野暮というものぞ」
敦盛の訴えを知盛ら幹部連中は相手にしない。
失望した敦盛は自分の陣に戻ると、髑髏にこう言った。
「たとえ、敵が背後から攻めてこようと、降りなんとする将を射てしまえばあとの指揮がつづかぬ。
さすれば、多勢に無勢。混乱のうちに敵を討ち取ることも容易であろう。
今宵、私はここで待つことにしよう」
そう言うと、弓を脇に引き付け、どっかとその場に腰を下ろした。
はたして、源氏は背後からやってきた。
コトリと砂礫の落ちてくる音が聞こえたかと思うや、
地を割るような凄まじいヒヅメの音と、騎馬武者どものときの声と、
悲鳴にも似た馬のいななきとが一斉に駆け下りてくるのである。
やがて壁面に姿が見える。
その先頭を走る男は、小柄ではあったが、他の誰よりも勇ましく、煌びやかで、
まるで火の玉が落ちてきたかのようであった。源義経であった。
あいつが将に違いない。
そう見抜いた敦盛は、上を見上げたまま後ろ手に弓をつかんだ。
箙から矢を一本引き抜くと、弓につがった。いや、つごうとしたが手応えがない。
見れば弦が切れている。さきほどまで確かにぴんと張っていたのにおかしい。
「お前の弓を!」
仕方なく髑髏に手を差し伸べるが、
どうしたものか機敏なこの男らしくもなく愚図愚図と渡すのに手間取っている。
そうこうするうちに、敵の騎馬武者たちはすっかり崖を降りきって
味方の陣幕へと土煙をあげて突進していった。
弦を切ったのは他でもない、髑髏であった。
敦盛に対する憎しみはそこまでであったのである。
敦盛に愛されれば愛されるほど、髑髏は胸のうちにある憎悪の炎を燃え滾らせた。
理屈ではない。相性、とでも言おうか、これはもう生理的な問題であった。
敦盛を陽とするならば、髑髏は陰であった。無口でどこか影のある髑髏には、
朗らかで、誰からも愛されるこの美しい平家の若武者の輝きに、なぜか
激しい嫉妬と苛立ちと憎悪の念を覚えた。敦盛はそんなこととはついぞ知らぬ。
戦は四時間にも及ぶ激しいものとなった。
が、時代の勢いというものであろうか、平家が善戦するもついには押し込まれ、
皆ちりぢりとなって逃げた。ある者は山へと逃れ、ある者は海へと逃れた。
今はそのときではなかったか。また時を待って再決起を。
唇をかみながら敦盛は海岸線を駆けた。先に舟が待っているという。髑髏の手配だった。
途中髑髏と別れ単騎で駆けていると、やがて沖に舟が見えた。馬に乗ったまま海へ乗り入れる。
中天に昇ろうかという太陽の光が海に反射して敦盛の鎧をきらきらと照らす。
そのとき、後ろの藪から何人かの男たちが出てきた。
「やあ、あの男の言ったとおりだったわい。
こやつは名のある平家の将に違いない。ひっとらえて首を落とすのだ」
なぜ?どうしてこの場所に源氏方の兵が先回りしているというのか。
「あの男」とは誰なのか。呆然としながら敦盛は馬を下りた。
もうそんなことはどうでもよいか。敦盛の顔には覚悟の色が浮かんでいた。
気がつくと髑髏はさきほどまでと同じ乳色の靄の中にひとり立っていた。
幻想を見ていたか……。古い話だ、と髑髏はひとりごちた。
話ではあのあと敦盛はその源氏の武将に討ち取られたという。
源氏方もまだ年若い敦盛のいさぎよい死に様に、涙を流して惜しんだと聞くが、
髑髏にしてみれば胸のつかえが下りたような爽快感のみであった。
そうだ。平家滅亡ののち、オレは落武者狩りにあって命からがら里へと戻ったのだった。
髑髏はまた過去の幻想へと誘われた。
家に戻ると、既に親父は亡くなっており、母親は別の男の情婦となっていた。
親父は賊に入ったさきで何者かに斬られたという。よほどの手練れであったのだろう。
組織はいまはかつて二番手だった男−−母親の情夫−−が継いでいた。
こうして二十歳をやっと過ぎたばかりの髑髏は再び元の生活に戻っていった。
盗み、強請りは言うに及ばず、強盗でも殺しでもなんでもやった。
平家の落武者の烙印をおされた自分にとって生きらるのはここしかなかった。
葉月に出会ったのは、そんな生活にすっかり慣れて、
人の心などとうに忘れてしまっていた頃のことである。
その晩、髑髏は小高い丘のうえにある神社へとひとりで押し入った。
ご神体の鏡がたいそうなものだという話だと聞いたからである。
こんな夜遅くに誰もいるはずがないと思い、本殿の扉を大きく開け放った。
と、そこにはまだ二十歳にも満たない若い娘がいた。
娘はこの神社に務める巫女のようだった。
振り向いたその顔が、開け放たれた扉から漏れる月の光を浴びて
この世のものとも思えないような美しさでこちらを見ていた。
「こんな遅くに何用です。ここがどこだかお分かりか」
娘は怖れを隠して、必死で厳しい口調を装った。が、しかしその声は微かに震えていた。
「鏡を、鏡を貰い受けにきたのよ」
それを聞くと、娘の顔がキッと引き締まり、先ほどまでとは打って変わって落ち着いた声で言い放った。
「無礼者。ここに坐ます鏡はただの鏡などではない。
保食大神(うけもちのおおかみ)様の依り代じゃ。当社のご神体にあらせられますぞ。
保食大神様がおらるればこそ、そなたも穀物を口にすることができる。
この丘の麓に住む者たちにとってかけがえのない穀霊さまなのじゃぞ」
髑髏は驚いた。
この細い体のどこからこのような張りのある澄んだ声が出てくるものかと思った。
巫女の手のさす先を見れば、なんのことはない、薄汚れたただの銅鏡である。
こんなもの、いらぬ。娘の一喝にすっかり毒気を抜かれた髑髏はその晩はそのまま帰った。
髑髏はもう四十に手が届くかという年齢であった。
その歳になるまでこんな気持ちは経験したことがない。
なぜだかわからぬが、どうもあの娘のことが気になって仕方ないのである。
恋であった。
人の心を忘れ、畜生にももとる行いを重ねてきた髑髏であったが、
あの娘の無垢な声、清らな叫びが人の心を呼び戻させたのであろうか。
髑髏は、武士であったころの名前を騙って再び神社を訪れた。
強盗に入ったときには頭巾で顔をおおっていたし、ただでさえ暗い中、
月の光を背に浴びて逆光になっていたから正体がバレるはずはなかった。
「申し。申し」
髑髏が拝殿から声をかけると、本殿の中からこの前の巫女が出てきた。
「はい。どちら様でしょう」
いそいそと巫女は近づくと、髑髏の顔を見て表情をこわばらせた。
「そなたはあの晩の……。何しにまいりました」
髑髏は驚いた。バレるはずがないと思っていたのに、娘が一目でそれと見抜いたからである。
いや参った。この娘には驚かされることばかりだと、内心苦笑いをした。
娘は先ほどからじっとこちらの目を見ている。その透き通った瞳で胸の奥底まで見られているような気がした。
>>115-132 平家と繋げましたか、面白いですなぁ。
そして噂の巫女さん登場。こっからどうなるんでしょうかねぇ。
短編ですが、書けと言われるんなら書かせていただきます。
どんな形であれ読み手の方々は大事にしませんと。
「い、いや、なぁに。このあいだはすまなかったな。
オレとしたことがあんな小汚い鏡を欲するとは、い、いやはやまったく」
元来喋るのが得意でない髑髏は、
いきなり正体が露見したことで焦ってしまってうまく喋ることができない。
「それで謝っているおつもりか」
娘が畳み掛けるように言った。
「お、おう。ごもっとも。いや、あい済まなかった。
本当に心から申し訳なく思っているのだ。
いや、まさかそんな霊験ある鏡だとはつゆ知らず、ま、誠にご無礼をした」
汗をかきながら、顔を真っ赤にしてしどろもどろの言い訳をする髑髏を見て、
娘は思わず、くすりと吹き出した。それで髑髏は救われるような心持がした。
>>134 面白いから連続投稿してしまいました。すみません。
29さん、ぜひ短編書いてくださいよ。期待しています。
それから「今宵かぎり」ですが、皆様リレーしてくださって構いませんよ。
私が居座っているので遠慮なされているのではないかと……。
というか、私のおはなし面白いんでしょうか?感想がききたい。
評判悪そうなら身を引きますので。
今からちょいと飲み会に行ってきます。
そのあいだに感想などいただけるとありがたき幸せ。
>>136 作品の投稿中割り込むように書き込んでしまって
スミマセン。逝ってきます。
短編ですが、僕は
>>97さんの(2)の方が性にあっているんですが、
その前に至極短いものを2、3書いてみて読み手の方々の反応を
見てよかったら(2)のような少々長ったらしいものを書いてみたいです。
とりあえず出来次第晒しますので。では。
あ
げ
て
み
ま
し
ょ
う
あらら、29さんしか書込みがない。誰も呼んでくれてないのねw
いいや。29さんの新作発表まで私のお遊戯場にさせてもらいますよ。くすん
そんなことがあってから、二人は打ち解けた。髑髏は娘の元をちょくちょく訪ねるようになった。
「そなた、な、名はなんと申すのか」
「葉月、と申します。わたしはあなた様をなんとお呼びすればよろしゅうございます?」
「皆は拙者のことをノブマスと呼んでいる」
そうだ、オレの名前はノブマス。伸綱が養子の、伸益であった。にわかに髑髏の記憶がよみがえる。
「まあ、お侍さまのような名前」
葉月が笑う。
「こ、これでも昔は侍をやっておった」
「……では、今は?」
髑髏は黙り込む。あの月夜の晩に強盗に押し入ったくらいだから、葉月もうすうす勘付いてはいる。
しかし、それでも自分の口から盗賊であることを名乗るのはためらわれた。
「おっしゃりたくないのならば、葉月はこれ以上聞きませぬ。
どうぞ伸益様がおっしゃる気になられた時にお教えくださいまし」
髑髏が躊躇しているのを察して葉月はそう言った。気の回る娘だった。
彼女と話していると時のたつのを忘れた。ひとつひとつの所作に気品があり、
無垢で屈託のない笑顔は髑髏の荒んだ心を癒した。朗らかで誰からも愛される娘であった。
その快活さが誰かに似ている、と思ったが、それが誰であるか思い出せなかった。
「ノブマス、お前ちかごろ仕事もせずにどこかをほっつき歩いてるそうじゃあねえか」
呼び出されるなり、親方がそう言った。
この親方と呼ばれる男の名はササガニといい、今は髑髏の実の母親の情夫となっている。
したがって、髑髏にとっては義理の父にあたるわけだが、髑髏はこの男が嫌いだった。
醜悪な容姿をしており、なぜ母親があのような男に抱かれたかがわからぬ。
ササガニは奇怪な外見ゆえに、親に捨てられ、誰からも相手にされず、
もはや野のケモノも同然の生活をしていたところを、髑髏の父親に拾われた。
驚いたことに、ササガニは運動能力がきわめて発達しており、人間ばなれした動きで
目を見張る働きをあげた。また、その容姿に似合わず小才のきく男で、
組織のなかを巧妙に立ち回って、めきめきと頭角をあらわしていった。
ただ、ササガニには残忍で狡猾なところがあったために人望が薄かったが、
ちょうどその頃、有力幹部たちが次々と熱病にかかって死ぬという事件があったため、
やがてササガニは組織の二番手にまでのし上がった。
髑髏の父親という人は酒呑みで気性の荒いところはあったが、
あらゆる知識に造詣が深く、剣の腕前も右に出るものがいないという風変わりな人物であった。
部下からはその人柄を慕われ、ひと癖もふた癖もある人間たちを人望ひとつでまとめていたのである。
その父親が、盗みに入った先で何者かに刺し殺された。よほどの手練であったに違いない。
父の跡を継いだのはササガニだった。
ササガニは髑髏の父親とはうってかわり、恐怖政治によって組織をとりまとめた。
かつての父親の腹心たちは濡れ衣を着せられ殺された。当然のように母親を自分の情婦とした。
組織はそっくりそのまま父親の座にササガニが収まる形で引き継がれたかに見えた。
そこに、かつての親方の息子、つまり髑髏が帰ってきたのである。
爾来、ふたりの間には見えない亀裂ができた。
ササガニは親方として髑髏に命令をするが、そのやり口に猫が鼠をいたぶるようなところがあった。
まず、いやな仕事ほど髑髏にやらせた。数人で組んで仕事をするときでも、
髑髏の入っている組だけはささいな失敗でも厳しく罰せられた。
自然、仲間たちは髑髏といっしょに仕事をしたがらなくなり、組織の中でも疎まれるようになった。
あるとき、親方の命令で仲間と組んで盗みに入ったとき、
暗闇で後ろから誰かに斬りかかられた。殺気を感じた髑髏は振り向きざま
相手を抜き打ちにはなった。危なかった。あと一瞬遅れていればこちらがやられていただろう。
突っ伏した刺客を足でごろりと転がすと、それは同じ組の仲間のひとりであった。
見れば、他の仲間も抜き身をこちらに向けて構えている。一瞬の緊張が走った。
しかし、そのうちのひとりが、男はつまづいて斬りかかるような形になったのだ、
それで逆に斬られてしまったのは残念だが、まあ仕方なかろうというようなことを言ったので
その場はそれで収まった。しかし、あれは偶然などではない。たしかに殺気がこもっていた。
そんなこともあって、髑髏はひとりで仕事をすることが多くなった。
それでも上がりは他の者たちよりもよほど多く稼いできたから、誰からも文句は言わせなかった。
十年来そうして過ごしてきた。
それが、突然ササガニから呼び出されたと思ったら、さきほどの言葉を浴びせかけられたのである。
髑髏はぎろりとササガニの顔を睨みつけると、言った。
「いやあ、私ごときはほっつき歩いているうちには入りませぬよ。
この十年、昼間から女を抱いて、人の金で無駄飯をくらって生きている人間もいるそうで」
ササガニに対するあてつけである。ササガニは髑髏の母親のみならず、
京やその近在から女をさらってきては昼間から乳繰りあっている。
さらわれてきた女どもは初めこそ抵抗するものの、手篭めにされると人が変わったように大人しくなった。
目の焦点は空をむすび、正気を失っているように見えた。
なにか怪しげな術を使っているのだと仲間内で噂されていた。
髑髏の母親も例外ではない。髑髏が里に帰ってきたときには、息子の顔を見ても「ああ、そうかい」の一言ぎり、
石ころでも見るかのような無関心ぶりで、ぼんやりと虚ろな表情を変えることはなかった。
「なんだと、誰のことを言っている?」
ササガニが凄んだ。
「いやあ、とくに誰というわけではござらぬ。
そういう人間もいるらしい、という噂にござりますよ。そう、噂でござる」
そういって高笑いをすると、「他に用がないのであればこれにて失礼つかまつる。御免」
といってすたすたと部屋を出て行ってしまった。
部下の前で恥をかかせられる恰好になった、ササガニはそのまま何も言わず、
凄まじい表情で髑髏の出て行った先を睨みつづけていた。
髑髏は女が嫌いではない。過去には何人か無理矢理犯したこともある。
しかし、葉月に対してはそのような気持ちになることはなかった。
葉月はこれまで付き合ってきた女たちとは違う、一緒にいるだけで幸せを感じられるのは、
世界広しといえども、葉月のほかにはいないと思った。
葉月が自分のことをどう思っているかは判らぬ。
しかし髑髏は無性に、自分のことを知ってもらいたいという欲求に駆られた。
葉月に自分の正体を包み隠さず話そうと決めた。
「はい。どのようなことでも驚きませぬゆえ、心置きなくお話くださいまし」
神妙な面持ちで葉月は髑髏の目を見据えた。
女にしては肝の据わっている葉月ではあったが、
髑髏の、賊としての過去の非道な行いを聞いて、さすがに眉をひそめた。
その葉月の表情を見るにつけ、髑髏は告白したことを後悔したが、もはやどうにもならぬ。
ええいままよと、この十数年の盗賊としての自分を洗いざらい晒けだした。
すべてを語り終えたとき、髑髏は今まで腹の底にたまっていたどす黒いもやもやとしたものが
何十年かぶりで晴れていくのを感じた。不安そうな眼差しで葉月の顔を見た。
葉月は泣いていた。ぽろぽろと涙を流しながらぎゅっと髑髏の頭を胸に抱き寄せて言った。
「お可哀想な伸益様。いままでひとりで苦しい思いをなさってきたのですね。
すべてを話してくださいましてありがとうござりまする。これからは一人ではありませぬ。
葉月が、この葉月がついておりますゆえ」
髑髏は葉月の胸に抱かれながら、知らず、涙がこぼれた。
涙はとめどなく溢れ、どうしようもなくなって最期には二人声をわんわん上げて泣いた。
髑髏が賊から足を洗おうと思ったのはその時からである。
葉月さえよければ、どこか人里はなれたところに庵をむすんで二人で過ごしたいと考えるようになっていた。
しかし、所詮かなわぬ夢と、髑髏がそれを口にすることはなかった。
髑髏が自分の正体を明かしてからは、二人は以前にも増して色々なことを話すようになった。
ひとつ、以前から気になっていたことで、葉月に聞いたことがある。
「はじめてそなたと出会った夜、はじめ拙者を見て恐れている風であったのに、
ご神体の鏡をよこせと言った途端、急に開き直ったようになって拙者を一喝したものだが、
あれはいかなる事であったのか?」
「はい。こんなことを申せば頭のおかしな女だとお思いになるかもしれませぬが、
私は幼い頃、この神社の御祭神にお会いしたことがあるのでございます」
「御祭神に?」
髑髏は眉をひそめた。
「私は都で生まれたのですが、ゆえあって幼い頃この神社の麓にある里に引き取られました。
私を育ててくださったのは蓮生様というお坊様でございます。昔は熊谷直実という
源氏の立派なお侍さまだったそうですが、世を儚んで出家され、私を引き取ったのでございます」
髑髏は知らなかったが、熊谷直実といえば平敦盛を討ち取った源氏方の武将、その人である。
自分の息子ほどの敦盛を、立場ゆえに討ち取らねばならなかった自らの業を悔いて出家している。
「私が里から少し離れた谷あいで遊んでいたときのことでございます。
ひとり夢中で遊ぶうちに日も暮れて、帰り道がわからなくなって途方にくれておりましたところ、
向こうの谷川のほとりに子供が座っているのが見えたのでございます。
他にも里の子がいる、そう思ってほっとした私はその子供に近づいて後ろから声をかけました。
すると振り向いたその子供の顔ときたら、不思議なことに老人のように皺くちゃの顔に
ぎょろりと大きな目がついていて、つるりと禿げた頭をしていて、なんだか猿のようでもあったのです」
乳色の霞の中にたたずむ髑髏には、ぼんやりとその者の顔がわかるような気がした。
「『あなたは誰ぁれ?ここで、何をしているの?』
そう私が問いかけますと、その子供はこう答えました」
「オレか?オレはこの上にあるお社に住む者だ。
今日はこの川まで龍神殿の使いがきておったので、来年の天候を聞いていたのよ」
「お社に?あすこは神様の住むところだってお父様は言ってらしたわ」
「ははぁ、たしかに里の者からはオレはウケモチなどと呼ばれているらしい。
別の場所では別の呼び方をする者もいる。なんと呼ぼうがそんなことは一向構わない。
誰がなんと言おうと、オレはオレだし、やるべきことは一つだからね」
幼い葉月にはよく意味が判らなかったが、それが話に聞いていた保食大神様なのだと思った。
「やるべきことってなぁに?お仕事は何をしてるの?」
「穀物の霊を司るのがオレの仕事さ。
人間どもが食い、寝、働き、産み、死んでいく、そうした当たり前のことが当たり前に過ぎていくよう見守っているのさ。
しかし、来年は何人か犠牲になってもらわねばならぬようだ。
使いによれば、龍神殿のご機嫌が麗しくないようでね、来年は寒い夏になりそうだ。
そうだ、お前にいいものをやろう。ほら小豆だ。ちょいと思いが大事に持って帰って蒔くがいい。
さすれば来年もなんとか過ごせよう」
そういってひょいと大きな岩に飛び乗ると、そのまま岩陰に隠れて見えなくなった。
気づけば四辺はもう真っ暗で、遠くで自分を呼ぶ声がしていた。
「私を迎えにきた里の人にそのことを話しました。
でも、どうせ夢でも見ていたんだろうと、大人たちには相手にされませんでした。
ただ、私のいた場所のすぐそばに小豆がいっぱい入った袋があって、
里の人たちは半信半疑ながらも春になると皆でそれを蒔いたのです」
髑髏はこれまで自分だけを信じて生きてきた。不思議など信じぬ。
そんなものを認めていたのでは夜盗など務まらぬ。髑髏は葉月の話を判断しかねるままに聞いていた。
「その夏は、はたして保食大神様の言われたとおり、日の照らない寒い夏になりました。
米も麦もあらかた作物は実をつけず、このままでは冬を越せそうにもありませんでした。
ところが、春に蒔いたあの小豆だけは青々と茎を伸ばし、自分の重さに倒れてしまうかと思うくらい
たわわな房を幾つも幾つもつけたのです」
葉月は瞳を輝かせながら、うっとりと遠くを見ている。
そうして里は助かった。それ以来、将来は丘の上の神社で働くのだと心に決め、
保食大神や、その依り代である鏡のことを悪く言われると我がことのように許せなくなったのだという。
髑髏はぽかんとしてその話を聞いた。そんな馬鹿なことがあるはずがない。
神様やもののけがそう簡単に見えて堪るものか。しかし、実際に葉月は見えたと言い張る。
錯覚には違いなかろうが、そう言えば葉月が怒ることは火を見るより明らかだから、
髑髏は、ふうんそんなものか、とだけ答えておいた。
葉月との良好な関係にヒビが入ったのは、葉月のこんな問いかけがきっかけだった。
「伸益様、そういえば伸益様の盗賊時代のお話は伺いましたけれど、
お侍さまであった頃のお話を聞いたことがございませぬ。どんなお侍であられましたの?」
「そう、拙者が公家侍の屋敷に奉公に出たのは十を少しすぎたくらいの頃だ。
最初は馬の口取りとして雇われた。馬子とはいえ、今をときめく平家のお屋敷ゆえ
生まれの賤しいものでは雇ってもらえぬ。私は出自を詐称したのだ。
鞍馬山で修行していてゆえあって山を下りたものです、とな。
もっとも、親父の下での生活に比べれば、鞍馬山の方がいくらか楽なものだったろうよ」
髑髏は当時を思い出したらしく笑った。
「屋敷のあるじは平経盛殿といって、あの清盛公の弟君にあたられるお人だった。
私はその家の三男にあらせられる平敦盛様の馬子として雇われたのだよ」
「タイラノ……アツモリ……サマ」
葉月が茫とした顔で繰り返した。日の加減か、なんだか顔が白くなったように見えた。
「この敦盛公というのが、私よりも二、三も若いというのに、
大人たちからも一目置かれるほどの神童でな、見目麗しく朗らかで快活な少年であった。
歳が近いこともあり、敦盛様に見出された私は、あるきっかけで川野様という家臣のお侍の
養子として取り立てられたのだ」
「そう、美しいお侍であられたのですね」
葉月が陶然とつぶやいた。
「私は敦盛様については、話し相手から、剣術指南、身辺警護と身の回りのすべてを任された。
あのお方を取り巻く全てがあの方を愛さずにはいられなかったが、私だけが唯一の例外だった」
戸惑った顔で葉月が私の顔を見た。
「いま考えれば、あれは幼稚な嫉妬であった。
かつて拙者が親父の下にいたころ、拙者も神童と呼ばれていた。
学識では親父の配下の誰よりも高かったし、剣術でも十にして親父と、
あのササガニ以外には、誰にも負けないくらいの腕になっていた」
ササガニの名前のところだけは、いかにも苦々しそうに髑髏は言った。
「自分だけの力でなんでもできるのだと過信していた。
たとえ身分の高い奴がいても、中身は自分の方が優れている、
そう思うことで、生まれというこの浮世の不条理を自らに納得させていたのだ」
「ところが、あの敦盛様だけは違った。
拙者よりも若くして、学識は私よりも数段上をいっていた。
剣術の腕前はさすがに私の方が上だったが、それは年齢ゆえの腕力の差にすぎぬということは
指南役であった自分が一番よくわかっていた。その上、敦盛様はいまを時めく平家の御曹司なのだ。
いや、一番の問題はそんなことではない。私がどうしても隠しきれなかった、屈折した心、
暗く影のさした心の闇を、あのお方はそれを知りながら私を愛してくださったのだ。
私にはなかったその明るさ、純粋さが私には許せなかった」
髑髏は話すことに夢中になって、葉月の表情が尋常でないのに気づかない。
「拙者は敦盛様を毒殺しようと企んだ。
しかし、どう間違ったかそれは清盛殿の身体を蝕み、それがきっかけとなって平家は崩壊しはじめた。
再び敦盛様を亡きものにする機会はそのとき訪れた。九郎判官義経公で有名な鵯越の戦さ」
「あの戦のとき、後方は峻険な崖だから大丈夫だろうと平家方はみな油断していた。
ただ、敦盛様だけがそここそ守りの要であると、ひとり弓を手に崖の下で夜を明かしたのだ。
日も昇らんとする頃、九郎判官どのが火の玉のごとき勢いで駆け下りてきた。
敦盛様は弓を引こうとしたが、引くことができぬ。拙者が弦を切っておいたからだ。
笛と弓は平家一とうたわれた敦盛様とて、さすがに弦のない弓は引けぬ。
こうして一の谷での戦いは源氏のものとなった」
むかしは手柄話として笑いながら盗賊仲間に聞かせた話だったが、
なぜか今は昔のような得意な気持ちにはなれなかった。
むしろ今の髑髏の心には自分の口から発する一言一言が重い澱みのように胸奥に
層のように溜まっていって、その声色を悲痛なものに塗りつぶすかのようであった。
「敦盛様は今は難を逃れて、機をみて再決起するのだと、唇をかみ締めながら言われた。
拙者は舟の浮かべてある沖へ行く道に、遠廻りする道を教えた。そして拙者は舟まで
先回りすると、途中出会った源氏方の武将に、まもなくここへ平氏の武者が来るから物陰に潜んで
討ち取るようにと告げてその場を去ったのだ……」
「もうよい!」
突然の葉月の振り絞るような大声に、髑髏は驚いて葉月の顔を見た。
葉月は顔面を真っ青にして、くちびるを小刻みに震わせていた。
眼からは幾条も涙が溢れ、その瞳の奥には憎しみの感情が込められていた。
「義兄上を謀殺したは、伸益様、そなたでありましたか」
髑髏には状況が飲み込めぬ。ただ、葉月には瞳におよそ似つかわしくない
憎悪の光が宿りつつあることに困惑するばかりである。
葉月は語りだした。
「私の名は平葉月と申します。平経盛が娘、敦盛とは腹違いの兄妹にござりまする。
平家が都落ちする前の年に生まれた私は、義兄の顔も、父の顔も覚えてはおりませぬが、
壇ノ浦ののち、平家一門とて都に住むこともならず、困り果てていたところを熊谷直実様に
引き取られました。その熊谷様こそ我が養父にして、そなたが密告した源氏方の武将その人です。
養父上は、そのとき義兄上を助けたいと思ったそうですが部下たちの手前どうしてやることもできず、
泣く泣く兄上を討った。そのことを悔いて出家し、せめてもの償いにと私を引き取ってこの村で育てたのです」
あまりのことに髑髏はすっかり動転してしまっている。
いくつもの修羅場を潜り抜けたさしもの髑髏といえど、好いた女から仇として憎しみの目で見られては
冷静を保つこともできぬ。釈明もなにもできぬまま、ただ阿呆のようにただ黙って突っ立っているだけである。
「もう、ここへは二度と来てくださいますな」
最期にそう言い残すと、葉月はぴしゃりと本殿の扉を閉め切ってしまった。
なにがどうなったのか、髑髏にははっきりと理解することができなかった。
ことの重大さがおぼろげながら判ってきたのは夜も子の刻を過ぎてからである。
二度と来るな。たしかに葉月はそう言った。
あれは果たして自分に向けれた言葉であったのだろうか。思えばそうではなかったのではないか。
あのときいた他の誰か……。いや、あそこには髑髏と葉月、ふたりしかいなかった。
してみれば、やはりあの言葉は自分に対して発されたものか。とすれば二度と会えぬ。会えぬ?
頭の深いところが鈍く濁って、考えは何度も同じところを巡るばかりであった。
下書きせずに書き込んでるから、誤字脱字が多くなってきましたね。
明日から年明け4日ごろまで不在にするので、今日でなんとか終わらないかと
追い込みかけてみましたが、まだしばらく続きそうなヨカーン!ふぅ。
ところで、誰か見てくれてる人はいるのでしょうか?
はっきりいって見捨てられてますよね?すみません。
近ごろ、京周辺で変死事件が頻発している。
見つかる死体は全て若い女であったが、その死体というのが妙だった。
体中の体液すべてを吸い出されたように干からびた状態で発見される。
さらに、全身を白くて細い粘着質の紐のようなものでぐるぐる巻きにされており、
この紐が見たこともない材料で作られており、刀でも簡単には切れなかった。
こういった事件は実は十数年前からときどきあるにはあった。
しかし、近ごろは一月とおかず事件が起こる。さすがに鎌倉の幕府も動かざるを得なかった。
ときには、木乃伊のようになりながらも息のあるうちに発見される場合があったが、
そのとき女は「クモ」という言葉を残して死んだという。鎌倉では土蜘蛛の復活が噂された。
土蜘蛛といえば、源氏の遠戚・頼光公の討伐した妖怪である。幕府は威信をかけて犯人逮捕に乗り出した。
>>163 読んでるよー。不器用な髑髏タン萌え…。
ああしかしなんてまあ悲しい展開…
>>165 悲しい展開
すみませんですぅ。でも主人公が妖怪な時点で、どうやっても悲しいさだめかと。
ベム・ベラ・ベロの例もあることですしw
しかし、ここのところ私しか書いてないので辻褄あわせが楽でいいですw
歴史年号とか登場人物の年齢とか注意深く書いてるのですが、
>>52さんの
「四十の師走」というのが未だに難問で、これのためにストーリー作りが大変大変w
それ以外はだいぶクリアしました。小豆洗いとか、謎の学者とか、いや、そうでもないですね。
このスレがあがると皆様に迷惑かかるので、またしばらくsageませう?
>>166 ちょっとパソが不調だったんで今日復活。読みました。
ううん、悲しい。水木しげる氏の漫画ばかり読んでて
「妖怪とはかくも気楽にあるべきだー!ふはっ」
なぞと口走っていたところに、読みまして…いいですなぁ。
やはり上手ですね。髑髏が葉月に言われた言葉を反すうする
(自分に対して発せられた言葉か。とすれば二度と会えぬ。会えぬ?)
シーンなんかは、髑髏のとぼけたところにおかしさを感じさせつつも
物悲しい気分に…素晴らしいっす。
ああ、自分も精進せにゃあならぬ。ならぬ?
訂正
>>166 ちょっとパソが不調だったんで今日復活。読みました。
ううん、悲しい。水木しげる氏の漫画ばかり読んでて〜
>>167の間違いです。スンマセン。
あと文中「妖怪は気楽に〜」とありますが、水木氏の漫画すべてが
ノンキではない、と言うことを一応。ファンの方なら分かるでしょうが。
水木氏の漫画は悲しい場面でも、それを飄々とした雰囲気で何だか
悲しさをぼんやりとさせ…水木スレ逝ってきます。
169 :
天之御名無主:03/12/30 00:30
>>166 四十の師走、っつうのは
四十歳の終わり頃って意味じゃないのか?
いや、四十歳の頃の12月か?
まあ通りがかってみただけだからどうでもいいが。
お、29さんおひさです。って一日だけですが。
短編は水木しげるタッチになるのでしょうか。興味深い。
四十の師走は、「四十歳の終わり」でしたか。
でもどちらにしても、四十男と二十前半乙女のロマンスはきついのですw
>>170 さて偉大な先生のタッチなんぞで書けるでしょうか…w
到底僕なんぞにゃあ無理でしょうなぁ。水木氏の漫画は
水木氏以外描けない、ってくらい私的に独特なタッチの人ですし。
つげ義春くらいじゃあないでしょうか。
さらにそれを文章にする…とてもとてもw。
まあ、頑張ってみます。
葉月と会えなくなってから、髑髏は荒れた。
酒に溺れ、ささいなことで仲間と揉め事をおこした。
その日もなにげない一言がもとで喧嘩が始まった。
そこへササガニが帰ってきた。
「おい、てめえら何してやがる。ここでは騒ぐなと言っているだろう。
まったくこいつらときたら、ちょっとオレが目を離すとすぐこれだ」
それだけ言うと奥へと引っ込んでしまった。
みな首をひねる。こういう時、ササガニは陰湿に絡んできて、一言で済んだ例などない。
ただ、髑髏だけが見ていた。隠してはいたが、ササガニは左腕に怪我を負っていた。
あれはおそらく刀傷である。ササガニほどの手練が斬られるなど、相手が多勢であったか、
よほどの達人であったに違いない。しかし、それほどの達人はこの京にはおらぬ。
本人はなにも言わなかったが、ともかくあれは人に知られたくない類の傷らしい。
翌朝、都は土蜘蛛のうわさで持ちきりになった。昨日も土蜘蛛は出たらしい。
それを幕府の京都守護の侍が見たというのだから、土蜘蛛復活の噂はいよいよ真実味を帯びてきた。
京都守護は、平家の残党狩り、義経の捜索、京都の治安維持などを目的に立てられた幕府の機関で、
京都における鎌倉幕府の代官機能を兼ねている。ここに、鎌倉から屈強な坂東武士たちが送り込まれていた。
土蜘蛛討伐のためである。昨夜も坂東武者たちは市内見廻りに出ていた。
五条大橋の下のあたりで、人とも獣とも違う大きな影が蠢いているのが目撃された。
駆けつけると、はたして大きな蜘蛛の化け物であった。そのモノは女の尻から体液を吸いだしているところで
あったが、夢中になって侍たちの近づくを気づかない。
侍たちの中でも一番体格のよい男が大きく振りかぶって蜘蛛を拝み撃ちにした。
が、気張りすぎたか刃先は横へ流れ、蜘蛛の一本目の右脚に深い傷を与えただけであった。
びょお、というような凄まじい悲鳴をあげると、蜘蛛は振り向きざまに鋭い後脚で
件の武士の太ももを刺し貫いた。皆があっと思う間に蜘蛛は飛ぶようにして橋の上に飛び乗り、
侍たちが橋まで上がってきたときには、すでにそこにはいなかった。
刺された武士は、大したことはないと嘯(うそぶ)いてみせたが、
毒でも塗ってあったのであろうか、穴のあいた周りから肉が腐りはじめ、
やがて全身が爛れて半月もせぬうちに死んでしまった。
死んだときには肉体はほとんど溶け出し、骨すらぼろぼろと零れ落ちて、なにも残らなかったらしい。
最期の方はあまりの腐臭に、近くに看取る者すらいない寂しい死であったという。
髑髏はこのひと月というもの、ただ葉月のことだけを考えている。
忘れようとして酒を浴びるほど飲んだりもした。しかし、忘れられぬ。
無用の喧嘩もした。勝った負けたといったところで、空しさは募るばかりであった。
このままでは元の人でなしに戻ってしまう。
いや、あの頃以下の人間になってしまうに違いない。
髑髏は、心を決めた。
もう一度葉月と会うしかない。会って許しを請おう。それしか髑髏にはなかった。
人の世の辛酸をなめてきた髑髏だ、神や仏などはなから信じてなどいない。
しかし、今度ばかりは神に祈りたい気持ちであった。
髑髏は丘の上にある神社を尋ねた。
「申し。申し」
初めて葉月を訪ねてきたときのように、髑髏は拝殿から声をかけた。
「申し。申し」
再び声をかける。しかし返事はない。
いないはずはない。その証拠に本殿の扉の前には沓がちょこんと並べて置いてある。
「申し。申し。拙者でござる。伸益にござる。
葉月どのおられるのであろう。おられるのであれば、返事をしてくれぃ」
祈るような気持ちで髑髏は声を張り上げた。
「お帰りくださいませ」
本殿の中から声がした。たしかに葉月の声である。
初めてここへ来たとき、葉月はあの扉を開けて近づいてきたが、今は固く閉ざされたままである。
それでも髑髏は返事を貰えたことに勇気づけられて叫んだ。
「葉月殿ぉー、敦盛様のことは誠に申し訳なく思っている。
いま考えれば、敦盛様ほどの人間をだまし討ちにするなど、万死にも値する行いだ。
心から申し訳なかったと思っている。
できることならば、拙者の命と引き換えに敦盛様を生き返らせたいとさえ思う。
しかし、それと同時に、まだ死ねない、死ぬには早すぎるとも思うのだ」
社殿の中で聞いていた葉月は、この人は何を言い出すのだろうと思った。
「拙者には夢がある。そなたと出会って抱いた小さな夢だ。しかし、拙者にはかけがえのない夢なのだ。
どこか、人里はなれたところに庵をむすび、そなたと二人でひっそりと生きていきたい。それが拙者の夢だぁ。
拙者のような人間が、そのような幸せをつかむことは許されぬ。そんなことは承知している。
だが、どうかこのささやかな夢を叶えてほしい。拙者には葉月殿しかおらぬのだぁ」
無口なこの男が、精一杯想いを言葉にして吐き出した。
本殿から声が帰ってきた。微かに震えている。
「わ、私にはこの神社がありまする。保食大神様を置いてはゆけぬ」
髑髏は喜んだ。置いてはゆけぬということは、心の底では行きたいということに相違ない。
葉月殿は多少なりともまだ自分のことを思ってくれているのだ。それだけで髑髏は嬉しくなった。
>>178 修正
どうかこのささやかな夢を叶えてほしい。それまでは死ねぬ。拙者には葉月殿しかおらぬのだぁ
真ん中の一文がないと前後の問答の意味がなくなるため必須。
「では、どうすれば拙者といっしょに来てくださいますー?」
しばらく沈黙がつづいた。
やがて意を決したように葉月が振り絞るような声で返してきた。
「保食大神様が、『行ってよし』と仰ってくださるのならば、あなた様についていきましょう」
一瞬、髑髏は喜んだ。
しかし次の瞬間、それが断りの意だと知って絶望した。
いもしない神様が行ってよいなどと言う筈がない。
言うはずもないものが言ったらついて来るというのだから、
それはついて来る気がないということに他ならない。
髑髏は打ち砕かれたような姿で神社をあとにした。
家に戻ると髑髏は手紙を書いた。
いずれにしても、もう夜盗をつづける気にはなれぬ。
幕府の探索方の目はいまだ執拗を極めていたから都会には戻れぬが、
誰も知らない山奥でひとりで過ごそうと思った。
が、その前に最後の賭けをこの手紙に託した。
--------------------------------------------------
葉月殿
もし自分を許してともについてきてくれる気があるのならば、
今夜、亥の刻、祇園の八坂神社の灯篭の前まで来てほしい。
待っている。
川野 伸益
--------------------------------------------------
髑髏はササガニに暇乞いにいった。
こういうことははっきりさせておかないと後々に禍根を残すうらみがある。
むかし、親方にことわりなく女と駆け落ちした男がいた。優男ではあったが、周りから慕われていた。
しかし、数日後に股から喉にかけて一本の杭で打ちぬかれた状態でそいつの死体は発見されたのである。
無論絶命していたが、死んでからではなく、生きたまま貫かれたことを苦悶の表情が物語っていた。
裏の稼業から足を洗う以上、指の一本二本は覚悟せねばならぬ。
しかし辞めたいという者に命をとることまではしない。それが暗黙の掟である。
命を失ってしまったのでは、葉月との約束を守れない。だから、指の数本は仕方ないだろう。
そんなことを髑髏は考えていた。
「ノブマス、お前抜けたいんだってなあ」
ササガニは例のからみつくような話し方で髑髏に語りかけた。
「思えばお前とオレは長い因縁だったじゃあねえか。
オレは元々お前の親父に拾われたのだ。世間様はだぁれも相手にしてくれない中、
お前の親父だけがオレを見てくれたんだ。感謝してるぜぃ、本当に」
言葉とは裏腹に、さも忌々しげに言った。
そういえば、今でこそササガニは常人離れした運動能力を誇るが、
拾われたばかりの頃はササガニはむしろ何をやらせても鈍な男ではなかったか。
確かにそうだった。
それで周りのものが、まだ六つにもならぬ髑髏と比較して、子供にも劣るのかと嘲けっていたものだ。
もっとも、六つとはいえ髑髏は並みの子供よりずっと早熟ではあったが。
それが、なぜ?
いつからササガニが超人的な働きをするようになったかは思い出せない。
しかし、いつの頃からか人が変わったように動き回り、髑髏が親元を離れて京に上る頃には
組織の二番手にまでのし上がっていた。
それももう、組織を離れる髑髏には関係のない話だ。髑髏はそう思った。
「いいぜ、好きな場所にいきな。止めねえよ」
ササガニの口がはっきりとそう言った。
一瞬髑髏の思考が停止した。想像もしていない答えだったからである。
しかし考えてみればそうかもしれない。前代親方の息子という、ササガニにとって
目の上のたんこぶのような存在であった自分がいなくなる話なのだ。
ササガニも熨斗をつけてでも追い出したいくらいの気持ちであったのかもしれない。
指は、ないよりはあったに越したことはない。
髑髏は表情にこそ出さなかったが、ひそかに安心した。
「で、お前さん今からどこに行こうとしてたんだい?」
ササガニのさりげない問いかけに髑髏は応えた。
「はい、祇園八坂神社に寄って、その足でどこぞの山へでも向かいたいと思いやす」
安心して、油断した。気が緩んでいたのであろう。
ササガニは「そうかい、気をつけてな」と言ってニヤリと笑った。
が、髑髏は、その凶兆になにも気づかなかった。
もうだめぽ。眠くてこれ以上書けそうもないぽ。
この続きは年明けということで、それでは皆様よいお年をー。
読み返してて、一時間以上も経ってしまった。案外おもしろいじゃん、我ながらw
でも推敲したいところがいっぱいある。「てにをは」も変なところ多いしね。
なにより、ヒロインの名前を「葉月」じゃなくて「阿月」にすれば良かったよ。小豆洗いだけに。
まあ、名前付けた時点ではそこまで決めうちしてないからしょうがないけどね。
>案外おもしろいじゃん、我ながらw
>案外おもしろいじゃん、我ながらw
>案外おもしろいじゃん、我ながらw
>案外おもしろいじゃん、我ながらw
>案外おもしろいじゃん、我ながらw
>案外おもしろいじゃん、我ながらw
>案外おもしろいじゃん、我ながらw
>案外おもしろいじゃん、我ながらw
>案外おもしろいじゃん、我ながらw
案外どころか、漏れはかなり面白く読ませてもらっている。
◆IPfiLq4jAIタン = 今宵かぎりタン
>>188で「葉月」と名付けたとあるが
名前がついたのは
>>67の今宵かぎりタンのレスだ罠
結局今宵かぎりだけというのがどうしょうもないな。
自画自賛が出来るのは製作者の特権だ。
俺は
>>75の馬鹿のせいでアクセス規制かかったりしてたんで
もう二度とココで長文書くことはないが。
続き書きたかったが…。
源平じゃなくて藤原と陽成帝を絡めたかった。
髑髏たち一味の多くは親方の居館に居候するか、あるいはその近在で起居している。
もちろん中には、女の家から通う者や、都ちかくに家を借りている者もいた。
ひとりで仕事をすることの多かった髑髏もまた京師のはずれに隠れ家をもっている。
髑髏は親方への挨拶をすませたあと、いったん隠れ家へ戻った。
約束の刻限までまだ少しあったし、旅の前に着替えも済ませておきたかった。
これから過去を捨てて新たな人生を踏み出すにあたってけじめの意味もあったし、
ササガニの臭いが衣服に染み付いているようで気になったということもある。
髑髏は別に潔癖というわけではなかったが、ササガニには獣の臭いともまた違った、
嫌悪感を催させる独特の臭いがあって、髑髏は過去もろとも脱ぎ去ってしまいたかった。
もしも、このとき髑髏が家へ寄らず、まっすぐ待ち合わせ場所へ向かっていたなら、
これから先おこる悲劇は防げたかもしれない。
しかし、今の髑髏はそんなことは知らぬ。もしもの話をしても詮無いことである。
その頃、葉月は祇園八坂社の境内裏にある灯篭のもとに立っていた。
この灯篭には妖怪が出る。葉月が生まれる何十年も前にそうした噂があった。
噂を恐れた時の白河上皇は、検非違使であった平忠盛に妖怪退治を命じた。
平忠盛といえば、かの清盛公の父親であり、辣腕家として鳴らした男である。
当時、忠盛はまだ二十歳そこそこの若者であったが、実務に有能で目端がきくと評判のうえに、
盗賊討伐など武門にも優れた手腕を発揮し、口さがない京雀たちは
「陰(院)に篭りて岩戸を閉ざす 割りて出づるは伊勢の神様(伊勢守) 晴れて官武(桓武)を 平らけくせむ」
などと陰口を叩いた。妖怪退治は、それをよく思わなかった上皇の罠でもあった。
万が一、本当に妖怪が出現して退治したならば都の平安は保たれる。
退治できず逆に忠盛が殺されでもすれば、労せずして目の上の瘤が消えるのだから笑いが止まらぬ。
ましてや、おめおめと逃げ帰ったとあらば忠盛の名は地に落ちるだろう。
どう転んでも上皇にとっては都合がよい。罠は巧妙に仕組まれていた。
小雨降る夜半、忠盛が灯の消えた灯篭の影に身を隠していると、はたして妖怪は現れた。
手には人の首ほどのものを掲げ、顔は狒狒よりも赫々として、
背中に銀色の針のようなものを逆立てた鬼の姿をしている。
忠盛は太刀を抜いて鬼の前に躍り出ると、しかし切りつけることはせずに
豪胆にも鬼に掴みかかると、そのまま組み伏せて生け捕りにしてしまった。
正体もわからぬまま切り捨ててはならぬという配慮からであった。
捕らえた鬼を明かりのもとに見てみれば、
なんのことはない、それは八坂神社の社僧であった。
灯篭の火を献じに、松明と油壺とを手にやってきたのである。
赫々とした顔は松明に照らされたためであり、銀の針と見えたのは雨に濡れた蓑であった。
これ以降、この灯篭は「忠盛灯篭」と呼ばれ、長く忠盛の勇気と賢さとを讃えるものとなった。
一方、憂き目をくったのは上皇である。噂におびえ、あまつさえ社僧を斬れという命令を出したのだから
面目は丸つぶれであった。そんなこともあって忠盛を憎み、かつ恐れた上皇は、自分の寵愛する
祇園女御という女を与えて忠盛をなだめるとともに、地方へ任官して都から遠ざけた。
忠盛は任官先でも手腕を発揮した。地方経営でたちまち財をなしたかと思うと、
各地の盗賊や海賊、僧兵などの騒乱を収めるといった八面六臂の活躍ぶりで、
ふたたび都へ帰ってくる頃には一大勢力となっていたのである。
しかし、忠盛出世のきっかけともなったこの灯篭の話には裏がある。
妖怪を退治できても、退治できなくても手柄は上皇のものである。
下手をうてば自分の評判は地に落ちる。
上皇の罠を見抜いた忠盛は一計を案じた。
八坂神社の社僧を、雇ったのである。つまりは買収であった。
上皇の評判を落とすことになったこの事件は、すべて忠盛の掌のうえで動いていたのである。
一連の政治劇へとつづいていく英雄譚には以上のようなからくりがあった。しかし、それはどうでもよい。
問題は、このとき灯篭周辺に出没する妖怪が、実際には退治されなかったということである。
むかしから、土蜘蛛は灯篭の火袋に棲むといわれる。
実際、京都の北野天満宮からほど近い東向観音寺というお寺の境内には、
土蜘蛛が棲み家にしたという灯篭の火袋が残っていて、現在は塚として供養されている。
かつて、源頼光と配下の四天王によって大和国葛城山で討たれた土蜘蛛は、
それでも一命をとりとめ、命からがら都へと逃げ落ちると、復讐を誓って頼光の家から遠からぬ
祇園の地に棲みついた。そこで傷が癒えるまで年寄りや子供など非力な者を襲っては力を蓄えた。
仇の頼光は、ほどなくして病に斃れたが、土蜘蛛はその場を離れなかった。
やがて八坂神社にもののけが出るという噂が上皇の耳にとまり、忠盛の妖怪退治につながっていくのだが、
もしもこのとき土蜘蛛が忠盛と闘っていたなら、おそらく土蜘蛛は勝てなかったろう。
頼光との戦いから百年も経とうかというのに、まだ十分に回復していなかったからである。
土蜘蛛を退治するとすれば、このときこそ、またとない好機だったのである。
とりあえず、今日はここまで。
思ったより早く実家に帰ってきたので早速書いてみました。
しかし、自画自賛すると荒れますねえw
軽い気持ちで書いたのですが、ご迷惑をおかけしました。
「今宵かぎり」は小説のタイトルのつもりだったので、
固定ハンドル化するのを嫌って途中から名無しに戻しました。
トリップは無用なトラブルを避けるために使ってますが、基本は名無しでいくつもりです。
ところで、
>>113の「人の目」、つづき読みたいです。タイトルが期待を持たせます。
悪いね。
「人の目」書いたの俺なんだ。
でも、続き書かない、理由は
>>194 仕舞いまで考えてあるけど全部書かなきゃみたいな使命感ないんで。
文句言うだけで書かない奴らも普通に不愉快だし。
応援してるんで今宵かぎりさんには頑張って欲しいが。
平経盛を父にもつ葉月にとって、平忠盛は祖父にあたる。
葉月は平家興隆のきっかけとなった灯篭を見上げた。
祖父の伝説のある夜とは違い今日はすでに灯篭に火が入っていて、
笠の部分に刻まれている天竺の文字がかすかに浮かび上がっている。
周りには明かりといえばこの灯篭ばかりである。葉月は早く髑髏が来てくれぬかと念じた。
と、向こうの闇溜りにぽっと提灯らしき光が揺れるのが見えた。
伸益様にちがいない。葉月は胸を高鳴らせた。
提灯の明かりが近づくにつれ、それが髑髏でないことがはっきりした。
葉月は失望と不安の色を顔に浮かべた。
「申し。川野伸益殿をお待ちかな」
葉月の二三歩前で立ち止まった男はそう問いかけた。
提灯に照らされた男の顔は、人とも思えぬほど醜かった。
額が著しく前に突き出し、その影に隠れた三白眼ばかりがギラギラと光っている。
低く横に広がった鼻は上を向き、薄い唇は耳元まで裂けて、喋ると不ぞろいの黄ばんだ歯が覗いた。
髪は泥と脂で不潔に固まり、発達した顎から頬にかけて不精ひげがぼうぼうと伸びてあばた面を覆っていた。
「わしは川野伸益殿の使いでここに参った」
葉月が黙っていると男はふたたび口を開いた。
男が喋るたび、口から厭な臭いがした。いや、男の全身から異様な臭気が漂っていた。
「はい、左様にございます」
葉月はおそるおそる答えた。
「ひひひ。そちが忠盛殿の孫かえ」
そう言うと、男は猫背の姿勢のまま葉月の方へ一歩にじり寄った。
「祖父を、ご存知か」
葉月は一歩退がりながら問うた。
「忠盛殿はわしの命の恩人よ。もっとも、本人はそうは思っていまいがの。
そなたの祖父殿が賢(さか)しい茶番劇をうったおかげで、わしは大過なくこうして生きているというわけさ」
忠盛が死んで既に五十年以上がたつ。もしこの男の言うことが真実であれば、
その頃まだ生まれていないか、せいぜい赤ん坊ほどの年齢であったはずである。なにかがおかしい。
「そなた、何者ぞ」
この男は髑髏の使いなどではない。
そう感じ取った葉月は恐怖を押しこらえながら必死でそう言った。
男は葉月の質問を無視してつづけた。
「わしを見逃してまで手に入れた一族の繁栄というに、いまはこの通り、
哀れにうち震える孫娘を守る者とておらぬ。まこと人の世は諸行無常よ」
そう言うと、口の端を歪めてニヤリと笑ったように見えた。
髑髏は亥の刻を少しまわった頃に八坂神社についた。
道々考えごとをしていたために約束の刻限にすこし遅れてしまったのである。
考えごとというのは葉月のことだった。
おそらく葉月は来るまい。しかし万に一つ、もしも葉月が来てくれたならば、自分は生まれ変われる。
葉月のため、真人間となってやり直そう。これまでの人生を償いながら、ひっそりと二人暮らしていこう。
そんなことを考えていたために、つい歩みがゆっくりになっていたのである。
八坂神社には入り口が二つある。南門と西桜門である。
南門がいわゆる正門にあたるのだが、しかし今でも賑やかな四条通に面した西桜門の方が有名である。
髑髏が境内裏にある灯篭を待ち合わせ場所にした理由のひとつがそれであった。
二つの門で場所を間違えぬための配慮である。また、人目を避けて生きてきた髑髏が、
無意識に門前を嫌ったということもあった。
髑髏が門をくぐると、向こうからなにか黒い影がこちらへ駆けてくる。
見れば、この世のものとも思えぬ大きな蜘蛛である。八本の脚が気味悪く蠢き、
二列に並んだ八つの眼が、闇にほの蒼く燐光を放っている。
ただならぬ妖気を感じた髑髏は長刀を低く構えると、
大蜘蛛が髑髏に向かって跳び上がったところを、えいと袈裟切りに払った。
刃は蜘蛛の眼の右上あたりをえぐった。
頭部から生臭い血を吹き上げると、蜘蛛はそのまま物凄い勢いで逃げていった。
あとにはなんとも言えぬ厭な臭気がたちこめた。
葉月は無事か。嫌な胸騒ぎがして髑髏は駆けた。
境内までの坂を夢中で駆け上ると、灯篭のあかりに照らされた女の姿が見えた。
葉月である。来てくれていた。
安堵と歓喜の思いで髑髏が近づくと、すぐに、様子がおかしいことに気づいた。
帯がほどけ、着物の裾が乱れている。
髪はばらばらと顔にかかり、虚ろな表情で葉月はそこに立っていたのである。
「葉月殿!葉月殿!」
駆け寄った髑髏は葉月の肩をゆすりながら名を呼んだ。
葉月の目は空に焦点をむすび、ぼんやりとして正気を失っていた。
乱れた着物の裾には泥に混じって血のあとがついていた。
髑髏はここで何があったか全てを悟った。
「葉月殿ぉーーー!」
ぐっと抱きしめると、天も割れんばかりの声で叫んだ。
ぴくりと、葉月の手が動いた。葉月がなにか言っている。
「−−マス殿……伸益殿」
髑髏の名を呼んでいるのである。しかし目の焦点は相変わらず合っていない。
「保食大神(うけもちのおおかみ)様がね、行ってもよいと仰ってくださったのですよ。
お前が伸益殿を支えて、正しい道にみちびくのだと、そう言ってくださったのです」
うわごとである。他愛もないその言葉に髑髏は涙が溢れた。
ああ、自分がこんな約束さえしなければ。もっと早くここへ来さえしていれば。
悔やんでも悔やみきれない。
「葉月殿、すまぬ。
拙者のようなものが幸福を手に入れようとしたばかりに……」
強く葉月を抱きしめたとき、ふいに葉月の目が大きく見開かれ、焦点が合った。
「伸益……様?わたし、わたし……?」
そうつぶやくと、突然顔を恐怖にひきつらせ、身体をぶるぶると震わせた。
「ああ、伸益様、伸益様。
来てくださったのですね。どんなにお待ちしたことか。でも……遅すぎました。
葉月は、もう、伸益様とご一緒することができませぬ。御免」
言うが早いか、葉月は胸に懐剣を突き立てた。髑髏が止める間もなかった。
「葉月殿……? 葉月殿ぉ!」
支える髑髏の腕の中で葉月の口元からひとすじ血が流れた。
「ゆくな、ゆくな葉月殿。一緒に住もうと約束したではないか。
拙者をおいていくな、愛しているのだ葉月殿ぉぉお!」
「葉月も……、伸益様と、いっしょに行きとうございました。
ふたりで、暮らしとう……ござい……まし……た……」
そう言うと、葉月は髑髏の腕の中でずっしりと重みを増し、息を引き取った。
キリがいいので、とりあえずここまで。
文中、感嘆符や長音、小さい母音を多用すると安っぽくなるので
あまり使わないように心がけてたのですが、激情をあらわすこのシーンではつい多くなりました。
それから、葉月が髑髏を呼ぶときは「様」づけでしたね。途中表記が揺れたのはご勘弁。
つーか本当、読んでくれてる人すくなそうだなあw
>>202 16さん、せっかく最後までストーリーが出来ているのでしたら、書かれてみてはいかがです?
誹謗中傷でも反応があるだけマシですよ。私なんか糠に釘うってるような気がします。
私が不法占拠しているために他の方が書き込みづらい状況とは思いますが、前に提案したように
名前欄に小説のタイトルをつければ判別できると思いますので、トライしてみてください。
216 :
天之御名無主:04/01/04 02:41
>>211 読んでるが、どうもつまらん。
『あまり使わないように〜』とあるが使ってるならそんな発言無意味だぞ。
あと展開がダラダラしすぎだ。髑髏の過去もいいが一応妖怪小説スレなんだ。
>>211 読んでますよ。
こっから現在の髑髏に〜ってな展開ですかね?
>>212さんは
いい加減妖怪出せ、ってな言い方してるようだし。
自分が今書いてるやつは連作短編モノです。
軽い、茶でも飲みながら読むようなやつっす。
>>216 おお、久々に反応が!貴重な読者さまですね。
「つまらん」「ダラダラ」とのご指摘、ごもっともです。
自分でもストーリーの陳腐化には苦労させられていますw
「髑髏の過去もいいが一応妖怪小説スレ」については少々異見があって、
そもそも「妖怪小説」自体に明確な定義があるわけじゃありません。私が思いつく限りで、
(1)上田秋成 「雨月物語」
(2)水木しげる 「墓場の鬼太郎」
(3)京極夏彦 「姑獲鳥の夏」
などのタイプがあり、それぞれ違ったテイストがあります。(1)は主人公の過去の部分が多く語られます。
(2)はマンガですが、もっぱら妖怪の生活記のような気安さがあり、おそらく216さんは、このようなものを
期待されているのではないかと思われます。(3)はジャンルとしては探偵小説で、妖怪とからめた怪奇趣味
が最大の売りでしょう。してみれば、私の書いてるものは不肖ながら(1)上田秋成の系譜をひくかと。
だから、「妖怪小説ニ非ズ」というのではなく、これも一つの妖怪小説として読んでいただけると幸いです。
>>217 29さん、あけおめです。
着々と進行しているようですねえ。
私の方は陳腐化が進行しているので、ここらで新風が欲しいところです。
29さんも、16さんも、はやく新作アップきぼんぬです。
期待しないで下さい。
答えられそうにありませんw
色んな人間が様々な文体で色んな内容を、と期待していたんですが
どうもそうはならないようなので。
稚拙でもギャグでもいいんじゃない?と考えてる俺には息苦しいんですよ。
妖怪って悲しいとかもあるでしょうがファニーやユニークな要素も、と考えているので。
ホラー、時代的過ぎるのは好きじゃないですし。
今宵かぎりの内容も予想してたのとそれほど違いがないですし…。
今宵かぎりさんの継続できる力は素直にリスペクトですが。
なんかチャント紙に書いたのをキーで叩き直すみたいな作業も嫌ですし。
一番の理由は年末年始に一部の心無い人間のせいでアクセス規制がかかって
やる気がなくなったというのが大きいんですが…。
221 :
天之御名無主:04/01/04 23:56
>>216 …お前の発言最後まで読んでなんだか損な気分がしたよ。
魍魎の匣
狂骨の夢
224 :
天之御名無主:04/01/05 00:04
なにこのすれっど
髑髏はその場にくずおれると、声をあげて泣いた。
涙も涸れはてるほどそうしていたが、やがて何を思ったか葉月の遺体を抱きかかえてすっくと立ち上がった。
どこへ行くともないままに来た道を引き返した。門のあたりを過ぎたときである。厭な臭いがした。
さきほど大蜘蛛を斬ったときの血の臭いが残っていた。しかし、その臭いになぜか憶えがある。
髑髏には、葉月を襲ったものが誰であるのか、おぼろげに判った気がした。
葉月の遺体を自分の家まで運び、そっと寝かせると、髑髏はふたたび家を出た。
足はかつての古巣、ササガニの屋敷へと向かっていた。
ササガニの屋敷には組織の若い衆が居候して、夜でも多くの人がいる。
もっとも、本来が夜の仕事だから朝方まで出かけている者も少なくないが、
それでも常に門番が屋敷の周りを見張り、親方の部屋の外には護衛が数人控えていた。
髑髏が屋敷へつくと、その晩もやはり門番がいた。
門番といっても、乞食になりすまして門の前に座っているのである。幕府への目くらましであった。
髑髏は乞食姿の男に声をかけた。
「親方はいるか?」
「へえ、いらっしゃいます。ただ、誰が来ても入れるな。
たとえノブマスの兄貴でも入れてはならぬと、そう仰せつかっておりやす」
「親方がそう言ったのか?なにかあったのだな」
「はい、こんなことを言ってよいものかわかりませんが、
半刻ほど前に親方が頭をおさえながら帰ってきたかと思うと、上から下まで全身血まみれで、
へえ、あれはどうも誰かに斬られたに相違ありやせん。
わしらが手当てしようと近づきますと何だか聞き取れないような言葉で怒鳴られまして、
そりゃあもう凄い剣幕ですから、結局誰も近寄れないまま部屋へお入りなすって、
いつもの護衛も遠ざけなさると、それきりひとり篭ってしまわれた。
部屋からはおかしな呻き声が聞こえてきますし、見たところ相当な深傷(ふかで)を負っておられる。
わしらも心配しているのですが、どうも恐ろしいような気がして入るに入れないというような訳でして」
「ならばオレが見てきてやろう」
そう言って門を開けようとすると、乞食姿の男は慌てて立ちはだかった。
「それはできませぬ。兄貴はもうここの人間じゃあない。
兄貴をこの中へ入れたら、わしがこっぴどい目に合わされる」
「馬鹿。そんなことを言っている場合か。構わぬ。責任はオレが取るゆえ入れよ」
それを聞いて乞食姿の門番はしぶしぶ道を譲ると、ひゅうと一つ口笛を吹いた。
門が音もなく開いた。
ずかずかと庭から土足のままササガニの部屋へ上がりこんだ。
ササガニはそこにいた。頭にはさらしを巻いており、血が滲んでいる。
間違いない。信じられぬが、あの大蜘蛛はササガニであったに違いない。
「親方、どうなされた」
髑髏はササガニを睨みつけながら言った。
「ノブマス……。入れるなと言っておいたにあの役立たずめ」
「拙者が勝手に入ったのだ。それよりもその頭の怪我はどうなさった」
「恐い顔をしてどうした。それより草鞋を履いたまま部屋へ上がりこむとは失礼じゃねえか」
はぐらかすようなこの言葉を聞いて、髑髏の中で渦巻いていた感情が一気にはじけた。
「葉月を、葉月をあんな目に遭わせたのはお前であろう、ササガニ!」
激しい憤怒の表情で髑髏が叫んだ。
その目には、怒りと憎しみと悲しみとがない交ぜになった暗い光が灯っている。
「ひひひひひ。なんだ判ってるんじゃあねえか、ノブマスよお。
そうさ、あの女はオレが犯ってやったのよ。ひいひい喚いてよ、久々に上等な女だったぜ。
楽しませてもらったよ。お前には感謝してるぜ」
かっとなって髑髏は最後まで聞き終わらぬうちに長刀を振り下ろした。
しかし、そこにはササガニの姿はない。背後からササガニの声がした。
「二度もお前ごときに斬られはせぬわ。あのときは油断したがねえ、痛かったぜえ」
言いながら頭のさらしをほどいた。
右の額あたりの肉がごっそりとこそげ落ち、血に塗れて骨が見えていた。
「ノブマスぅ、オレがなんでササガニと呼ばれているか知ってるか?」
そう言うと、ササガニは不気味な笑みを浮かべた。
「ササガニとは小さな蟹の意味だが、知ってのとおり、クモの異名でもある。
オレはなあ、生まれた時からのこの容貌ゆえに、親にも捨てられ、
世間からはササガニと蔑まれたのよ。オレはこの名が大嫌いだった。
クモを意味するからじゃあない、ササ、つまり小物と思われていることに我慢がならなかったんだよ」
突然、激昂したように叫んだ。髑髏は、間合いを測りかねてその場で動けずにいる。
「そんなとき、ようやくオレにもツキが回ってきた。橋の下で寝ていたオレの耳に誰かが囁いたのさ。
『お前に力をやろう、代わりにお前の肉体をよこすのだ』とな。一も二もなくオレは約を交わしたよ。
まだ六歳ばかりだったお前にすら馬鹿にされ、お前の親父からは憐れんだ目で見られた。
オレにはあの目が堪えられなかった。かならず見返してやろうと思っていたのだ」
今夜はここまで。
>>220 16さん、わかります。ここの読者はたしかに手厳しいw
私も筆を擱こうと何度か思いましたが、一人でも読んでくださる方がいるなら最後まで続けようと。
それに、あとで誰かがスレを読み返したときにオチがないのではあまりに寂しいですしね。
私もアクセス規制されるたびに一度回線を切ってIPアドレスを再取得しながら投稿しておりますw
「今宵かぎり」ではファニーやユニークな要素を落としてしまったので、その辺は他の方に期待してます。
>>221-224 すみません。私ひとりのカキコスレと化していますが、もうすぐ終わると思いますので。
できるだけ迷惑をかけないようsageで進行しますので、それまでそっとしておいてやってくださいな。
234 :
天之御名無主:04/01/05 20:54
◆IPfiLq4jAIタンは直接書いてんのか?
ササガニが言い終わらぬうちに、髑髏は長刀を横一閃なぎはらった。
その刃先をひょいとササガニがかわす。
「無駄だよ、ノブマサ。そうして無駄な抵抗をするあたり、お前の親父そっくりだ」
「なんだと?どういう意味だ」
髑髏はササガニを鋭く睨みつけた。
「お前の母親を犯したことにお前の親父が気づきやがってな、
ちょうど今のお前みたいにオレに挑みかかってきたから殺してやったのさ。
かすりもしない剣を必死で振り回してなあ、そりゃあ惨めな死に様だったぜ。
耳をそぎ、目を潰し、喋れぬように喉を切った。それでもあいつは何日か生きてたよ。
何もしらない子分どもが瀕死の親方をこの屋敷に運び込んだが、しかしそのあとがもっと惨めだったよ」
思い出しながらササガニは恐ろしい笑いを浮かべた。
「やがてあいつの体は腐りだした。
そうなると現金なものだ。あれだけ親方、親方と慕っていた子分どもが部屋にすら近づかなくなった。
臭かったんだよ、生きながら腐っていくあいつの肉体がなあ。
ただあいつのことをあんなに嫌っていたお前の母親だけがずっと看病していたが、
目障りだったから犯して、そうして魂を抜いてやったのさ。
あとには一人寂しく朽ち果てていく肉の塊だけが残った、誰にも真相を告げられないままなあ」
「おのれササガニ」
全身の血が逆流した。
「ササガニ?二度とその名でオレを呼ぶな。
オレは生まれ変わったのさ、もう一人のオレと出会ってな。
オレには奴の力と記憶がある。そして奴はオレの肉体と記憶を手に入れた。
今やオレたちを分かつことはできぬ。オレたちは二人で一人なのだからな」
わけの解らぬことを口走りながら、大きく反り返ったかと思うとみるみる身長が伸び、
全身に黒い剛毛が沸き立ち、両わき腹のあたりから二本ずつ槍のような黒い脚が突き出した。
「オレはかつてのササガニなどではない、偉大なる土蜘蛛となったのだアアア」
最後は言葉にならず、おぞましい獣の咆哮となってこだました。
そこにはもはやササガニの姿はなく、ただ牛ほどもある大きな蜘蛛が不気味に息づいていた。
恐ろしい獣の咆哮を聞きつけて、屋敷の若い者が何人か部屋へ駆けてきた。
「親方、親方大丈夫ですかい。ひいいぃ」
部屋へ入るなり、土蜘蛛を見て腰を抜かす者、逃げ出す者、剣を抜こうとする者、皆、瞬殺だった。
あっと思った次の瞬間には槍のように鋭く尖った足先で腹や胸を串刺しにされて即死していた。
「さあて、これで邪魔がいなくなった。次はお前だノブマス」
地の底から響くかという恐ろしい声で土蜘蛛が髑髏ににじり寄った。
土蜘蛛は左右の前脚で交互に髑髏の喉もとを突いてきた。
幾多の白刃の下をくぐり抜けてきた髑髏もさるもので、無駄のない動きで土蜘蛛の攻撃をかわす。
単純な攻めでは髑髏には通用せぬと見てとった土蜘蛛は、第二肢を使って髑髏の足元を狙う。
床板を貫かんばかりの土蜘蛛の突きを後ろに跳びのいてよけたが、土蜘蛛はその落下地点めがけて
足元と喉の両方に長い脚を突き出してくる。
下への攻撃はかろうじて寸差で見切ったものの、
上への攻撃はよけきれぬと見て髑髏は長刀の柄で大きく振り払ってしのいだ。
さすがの髑髏も息が切れている。
いつの間にか壁際まで追い詰められていた。もう、あとがない。
脇の下を冷たいものが走った。
じりじりと髑髏に詰め寄った土蜘蛛が力を溜めたかと思うと、
もの凄い勢いで髑髏の頭めがけて左脚を伸ばした。
思い切り頭を横にふってよける。
が、次の瞬間、死角になっていた左脇から鞭のようにしなる土蜘蛛の脚が襲い掛かった。
これを反射的に長刀の柄でうけたが、髑髏はそのまま大きく右へと吹っ飛ばされた。
全身を痛打した髑髏はしばらく立ち上がることができぬ。
しかし土蜘蛛もまた、突き出した左前脚が板壁に刺さって動けずにいた。
髑髏が立ち上がるのと、土蜘蛛がこちらへ向き直るのと同時であった。
土蜘蛛は物凄い速度で髑髏の方へ突進した。体当たりである。
髑髏はなにを思ったか、長刀の刃ちかくを両手で握り締めて後ろに振りかぶった。
あわや衝突するかというとき、髑髏は長刀の柄尻で床を強く叩くと、
その反動で宙を舞い、土蜘蛛のうえを大きく飛び越えた。
後ろをとった。
髑髏がそのまま土蜘蛛の背中に長刀を振り下ろそうとした瞬間、
何者かに足首をつかまれて大きく体勢を崩した。
見れば、土蜘蛛の尻から出された糸が自分の足首に巻きついて、床に固定されている。
これではこの場から動くことができぬ。
「ひぃひぃひぃ、ここまでだなノブマス」
土蜘蛛がきいきいと金属をこするような耳障りな声で笑いながら言った。
土蜘蛛はくるりと向き直ると、髑髏の右腕を強く打った。
骨が折れた。思わず長刀を落とす。土蜘蛛はすかさず落ちた長刀を遠くへ蹴りやった。
「ここから、どうやって闘う?ノブマスよお」
その声には例の、肉食獣が獲物を弄びながら殺すような残酷な響きがあった。
土蜘蛛ははじめと同じように左右の前脚を使って交互に髑髏を突いてきた。
しかし、片足を固定された髑髏にとっては身をよじってこれをよけるのが精一杯である。
「なかなかやるじゃあねえか。じゃあ、これならどうだい」
そういうと、第二肢も使って四本の脚で波状攻撃を仕掛けてきた。
はじめは傷つきながらもなんとかよけていた髑髏であったが、そういつまでもよけきれるものではない。
ついに土蜘蛛の脚が髑髏を捉えた。髑髏の腹には土蜘蛛の槍のような脚が深々と突き刺さっている。
「ひひひぃ、つかまえたぁ」
土蜘蛛は嬉しそうにそう言った。
今日はここまで。
もっとストーリーを進めるつもりだったのに、ちゃんばらを描いてるうちについのめり込んでしまった。
>>234 ◆IPfiLq4jAIタンは直接書いてんのか?
はい。下書きはしていません。
だから投稿と投稿の時間差がそのままストーリーとか文章を考えてる時間です。
本業がSEなのでタイピングは苦になりません。むしろ手書きより速いですw
リアルタイムで見てましたー。
殺陣シーン、ド迫力ですなぁ。ううん、自分も頑張ろう。
>>245 ありがとでやんす。
29さんのお言葉が励みです。(たとえ他の人から邪魔がられようと(泣
247 :
天之御名無主:04/01/06 01:39
直接書きか。
大体10分くらいで書いてる、のか。まあそんだけの短時間で
これだけ書けるのも凄いが漏れは文書作成ソフトで書いておいて
貼るのをオススメするぞ。誤字脱字の訂正もできるし展開が
いきあたりばったりにならんしな。
書いてない漏れが言うのもアレだが。
「どうだい、串刺しになってみた気持ちは?痛いか?苦しいか?
どうしてほしい?いっそ一思いに殺してほしいか?」
言いながら髑髏の体を持ち上げて、髑髏の足が宙に浮くか浮かぬかのところで上下させた。
身体が持ち上がるたびに腹の傷が広がって激痛が走る。
顔をしかめてこらえたが、上下するたびに苦悶の表情と苦しい息が漏れた。
額には大粒の脂汗が幾つも浮かび、眉間から鼻筋をつたって顎へと落ちる。
土蜘蛛は楽しんでいた。
とうとう髑髏は口から大量の血を吐いた。
しかし、それでも土蜘蛛を下に見おろして激しい憤怒で睨みつけた。
「なんだ、その目は。気に食わねえなあ。
お前、まさかまだオレと闘れるとでも思っているのか。
それなら残念だったな。もう諦めな。このまま放っておいてもお前は助からぬ。
この腹の周りから徐々に腐っていくのさ、お前の親父と同じようにな。ひひひ」
髑髏は土蜘蛛につばを吐きかけた。
唾液はちょうど眼の上あたりの、髑髏が神社で斬りつけたときの傷口に落ちた。
びょおおおお
凄まじい雄叫びをあげて土蜘蛛が苦しむ。
つばが弱点であったのか、額の傷が思うより重症であったのか、
あるいはその両方であったか、土蜘蛛はのたうつように苦しみ回る。
土蜘蛛は激昂のままに髑髏の体を満身の力をこめて擲げつけた。
髑髏の体はびゅうと庭まで飛んでいき、そのまま地面に叩きつけられた。
内臓がいくつか破裂した。激しく血を吐く。
……これまでか。
見上げれば上天には高々と月があがり、周りのすべてを明々と照らしていた。
うつくしい。こんな状況だが、髑髏はかつてないほど静かな気持ちになっていくのを感じた。
折れていない左の掌を、そっと胸の上にのせた。
なにかがあたる?
違和感をおぼえて髑髏は胸のあたりをまさぐった。
葉月の懐剣であった。葉月が自らを突いたあの剣を、形見として懐に入れていたのである。
ああ、そうだ。
このまま死んだのではあまりに葉月が哀れだ。
最後にお前のこの剣で一矢むくいてやらねば。
遠くで土蜘蛛の声が聞こえた。
「おのれノブマサァ。
そうまでしてオレに逆らうとは、もう許さぬぞお。
このまま捨て置こうかと思ったが、お前は生きている限りオレに凶をなす存在らしい。
やはりこの場にて止めを刺そうぞ」
次の瞬間、髑髏の顔に影がさした。明々と照らす月を土蜘蛛の影がさえぎったのである。
土蜘蛛は天高く飛び上がり、髑髏のはるか真上ににいた。
252 :
天之御名無主:04/01/07 01:29
「殺す。喰らう。そうだ、喰らう。殺めて喰う」
そんなことを叫びながらなおも土蜘蛛は月光を遮る。
髑髏は懐剣を見る。懐剣はとても美しかった。
253 :
天之御名無主:04/01/07 01:36
土蜘蛛は髑髏に覆いかぶさるように落ちてくる。
髑髏は笑う。この笑いは葉月に向けるような笑みではない。
怒る男の笑み。
「外道がぁッ」
外道は降り立った。強靱かつ鋭利な前足で髑髏の脳天を貫かんと
勇んだが、髑髏はその刹那、身を低くし避ける。
土蜘蛛が一瞬怯む。
そして。
外道と男の宴は呆気無いまでに終わった。
「骨ごと砕け散れいノブマサーーー!」
自分を圧し潰すつもりらしい。倒れたままの髑髏にはもはやよけることさえかなわぬ。
髑髏には土蜘蛛の姿がゆっくり落ちてくるように見えた。
髑髏は残る力すべてを振り絞るように、握った懐剣を上に突き上げた。
折れた右手を左手に添えようとして薬指が刃先に触れ落ちたが気にしなかった。
今はただ、全ての力を剣に託すことだけに集中していた。
土蜘蛛が、落ちてきた。
すみませんが、
>>252-253は私ではありませんです。
そこを含めると
>>254の連続性に破綻をきたすため、無視させてください。ごめんなさい。
読まれる方は各自のお好みでどうぞ。
文体とか長さから ◆IPfiLq4jAIタンじゃないと思ってたが…
無視、って
>>252-253をか?
結局どっから続けるんだ?
ちょっと強引な◆IPfiLq4jAIタンハァハァ
喪前らもう寝なさい
切っ先が土蜘蛛の腹に触れ、皮を裂き、手首あたりまで土蜘蛛の体内に入り込む様子が、
時間が止まったようにゆっくりと髑髏には見えた。もうすぐ潰される。頭の底の方で静かにそう言っていた。
が、突然、時の流れがもとに戻ったかと思うと、耳元でどすんという大きな音がして、
天空に冴え冴えとした師走の月が輝いているのが見えた。髑髏はまだ自分が生きていることを知った。
真上にいたはずの土蜘蛛がわずかに髑髏の右にそれて着地していた。
土蜘蛛は腹のあたりから煙のようなものを出しながら呻いている。状況が飲み込めなかった。
「うぬぬ、ノブマサ、おぬし何をしたぁ」
土蜘蛛は呻きながら言った。
しかし、髑髏自身なにがどうなったのか解らなかった。
土蜘蛛の腹の傷口はじゅくじゅくと音を立てて沸きかえり、腹の中が焼き爛れているようであった。
「ま、まだなにか隠し持っていやがったのか。油断のならぬ男だ。
しかし、た、ただの剣ではあるまい。いったい何を、何をもっていた」
髑髏は左手の剣を見た。
「葉月、お前が力を貸してくれたのだな」
土蜘蛛はのたうちながら言った。
「葉月だとぉ……そ、そうか、あの巫女の持っていた神剣であったかよ。
どうりでこのオレの体を、焼き尽くす。も、もはやこの肉体は滅びる……。
しかし、ふたたび誰かの肉体を手に入れて、か、かならず甦ってみせようぞ。
そうさ、八百年の後にすべての力を取り戻し、に、人間どもの世を恐怖に陥れてやろうぞぉ」
「ならば」
髑髏はあらん限りの声で叫んだ。
「ならばオレはそれまで生きて、
八百年後の今月今夜、この月をお主の血煙で曇らせてみせようぞぉお!」
もはや体のほとんどが溶け、蒸発し、わずかばかりに残った土蜘蛛の頭が答えた。
「ひひひ。おぬしは死ぬよ。
もはやおぬしは、う、動けぬ。放っておけば、い、いずれは腐って死ぬさだめ。
お、おぬしには、このオレを止めることなど、と止めることなどできぬわぁぁアアア」
恐ろしい最期の断末魔をあげると、土蜘蛛のすべては溶けて、消えた。
今夜はここまでにしときます。
>>256-260 ひゃひゃひゃひゃひゃ、途中でリレーされちゃいましたねえw
252-253さんには失礼なことをしてどうも申し訳ありませんでした。
昨日247さんからも先に文章つくっておいてコピペした方がよいとご指摘いただきまして、
本当、文章の質からいえばその方がよいのはそうなんですよねえ。
でも、幾つか思うところがあって敢えてそうしてなかったんです。
それというのが、リアルタイムでアップしていくライブ感が面白いかなというのと、
その場で書いてると一晩あたりの文章量がちょうどよい感じだったこと、そして何より
一応リレー小説と銘打っている以上コピペはフェアじゃないかなあと。
だから基本的には匿名投稿にしてたんですね。
でも、さすがに物語も終盤。ここまできて話がブレますと、これまでの伏線がすべて
辻褄あわなくなってしまいかねませんので、もうさすがにリレーはご勘弁していただけませんか?
身勝手なお願いで申し訳ありませんが、ここまでもってくるのに苦労したのでw
単独で葉月と髑髏の出会い〜土蜘蛛VS髑髏で一つのオハナシとしても
よかったかもしれん。面白い。
ここで現在、『あやしがり』に戻すとちょっと何だかなぁな気も。
この壮大な土蜘蛛との戦いの過去が本編につながってくるんだよ!
◆IPfiLq4jAIタンがやってくれる。
いいんじゃないの。◆IPfiLq4jAIタンが一人で最後までやったら。
…で、この『今宵かぎり』が終わったら何が始まるのかな、と。
誰か書けって
その後、どこをどう来たものか髑髏は覚えていない。気がつけば神社の前にいた。葉月の神社である。
すべての力を使い果たしたと思っていたのに、
葉月を弔ってやらねばならぬという想いと、土蜘蛛を怨む気持ちとが、
心の中で燃えさかり、長刀を杖に、這うようにして必死で歩いているうち、いつしか神社の前にきていた。
「この里ももう終わりよ……。龍神殿の使いが今日参ってな」
「あたしの所も同じさ。来年は地から蝗(イナゴ)が湧き、五穀すべてを食い尽くす。
そのあと疫(えやみ)が流行って村は飢饉と病に絶えるそうだよ」
誰もいないはずの本殿から声がした。
先にした声は低くくぐもった男の声で、後の方は年増女の声らしく聞こえた。
「ここら近在はもう駄目だ。わずかに残った者も村を捨ていづくへか去るだろうさ。
してお前さん、お前さんがたいそう可愛がっていたあの娘はどうするね」
もう一人いるらしい。妙に甲高い声で男とも女ともつかぬ。狐の遠吠えにも似た声だった。
「葉月……か。あの娘もここにいたのでは助かるまい。
あの娘はもう十分オレに尽くしてくれた。だから、ここを出て好いた男のもとへ行くよう告げたさ」
最初の男の声が答えた。
葉月?中にいる奴は葉月のことを知っているのか?髑髏はそば耳をたてた。
「例のこそ泥に女まで盗まれちまうなんて、お前さんもだらしないねえ」
「そのこそ泥を正しい道へ戻してやるように言ったのさ。
あの男はいままで人の道を踏み外して生きてきた。
人が人として生き、人として死んでいく。
その当たり前のことが当たり前に過ぎていくよう見守るのがオレの役目だからな」
「ふふふ。まったくあんたらしいよ。
おや、外に誰かいるようだねえ。誰だい盗み聞きする奴は。悪いいたずらだよ」
そう女の声がしたかと思うと、ギイと扉が開いた。
「おや、まあ人だよ。めずらしい」
「ここに人間が来るなんて、まぁ…ひひ。ひ」
でっぷりと肥え太った女と、人の背ほどもある大きな白い狐が髑髏を取り囲んだ。
「オオゲツ、こいつ怪我をしているらしい。それもひどい怪我だ。こりゃあもう助からぬ」
「可哀想にねえ。まだ息のあるのが不思議なくらいだよ」
奥に座っていた小柄な男が近づいてきて叫んだ。
「なに?お前はあの男ではないか。たしか名を伸益とか。
どうしたのだ!葉月は、葉月はどこにいる!?」
見上げると、男は背丈は子供ほどであるのに、顔は猿じみた老人のような顔をしている。
「そ、そうか。あんたがここの神様か……。
葉月の言ってたのは、嘘じゃなかったんだな」
髑髏は口の端を歪めた。
「あんたに、伝えなくちゃならないことがある。葉月は、死んだ……。
土蜘蛛という化け物に汚されて、自害したのだ。土蜘蛛に殺されたようなものだ……。
葉月の亡骸はオレの家に安置してある。どうかねんごろに弔ってやってほしい」
「なんと。そ、そはまことか?
なんたること!オレが葉月に行けと言うたが徒(あだ)となってしまったというのか」
「仇はこのオレがうった。土蜘蛛は溶けて消えた」
「信じられぬ。お前のような人間ごときがたった一人であの土蜘蛛を倒したというのか」
傍にいたオオゲツとかいう年増女と、狐の姿をしたもののけが口を揃えた。
「そ、それから、神様よぉ。もう一つ頼みがあるのだ。
オレを、オレを生かしてくれ。まだ死ぬわけにはゆかぬ」
しかし、神様と呼ばれた小男は静かに首をふった。
「ああ。伸益よ、さすがのオレにもそれは無理だ。
お前の肉はすでに朽ちはじめている。土蜘蛛にやられたのだろう。もはや誰にも止めることはできぬのだ」
「それでは、それでは、駄目なのだ。人の世が滅びてしまう。
八百年の後にあやつは甦るといって消えたのだ。オレが止めねば。
どうか、どうかそれまでオレを生かしてくれ」
小男は静かな眼差しで髑髏を見つめて、言った。
「ひとつだけ、方法はある。
しかし、それにはお前は並々ならぬ苦痛に耐えねばならぬ。
そして仮に耐え抜いたとしても、その先に待つのは悲しい運命ぞ。
それでもやるというか?」
「ああ、やる。やってくれ」
「お前の、肉を剥ぐ。
土蜘蛛の毒がお前の骨まで侵してしまう前に、生きながらに肉を剥ぎ、魂を骨にとどめるのだ」
白狐が口を挟んだ。
「なんと、それではこの男は人でなくなってしまう。ウケモチよ、それでもやるというのか」
髑髏は静かな、しかし断乎とした口調で応えた。
「それで、構わない。放って置いても尽きるこの命だ。
本当に命が尽きてしまう前に、早くやってくれ。頼む」
それを聞いて、ウケモチと呼ばれた小男はくるりと後ろの二人に向き直って言った。
「オレは、ここに残ることにするよ」
「大宜都比売(おおげつひめ)殿、荼吉尼天(だきにてん)殿、穀霊たちのこと、お頼み申す」
ウケモチが深々と二人に頭を下げた。
「なんだい、急にあらたまって気持ち悪いね。いつも通り、オオゲツにイナリでいいよ。
しかし、あんた、この里は滅びるんだ。祭る者もいない場所に残れば、あんたも零落するよ……」
オオゲツが言った。
「ふふふ、人から神と呼ばれようと、もののけと呼ばれようと、オレはオレさ。
人が人として生き、人として死んでいく、その当たり前のことを見守るのがオレの役割だ。
それなのに、この男ときたらこのままでは人として死んでいくこともできぬ。
オレがいてやらないと何ともなるまい。それにな、この里には我々と違って
他所へ移ることのできない地神やこの里だけの神様たちがいっぱいいる。
オレはあいつらの面倒も見てやらないといけないからねえ」
「……そうかい、わかったよ。お前さんの好きにしな。あとのことはオイラたちに任せな」
そう言い残すと二人は社を出て、いづくへともなく立ち去った。
では、今日はここまでということで。
>>265-268 私の身勝手を許していただき、ありがとうございます。
皆様の応援のおかげでここまでこれました。もう明日か明後日くらいで完結できそうですね。
次は短編でしょうか?リレー小説でしょうか?新たな書き手のご登場を心待ちにしております。
「ここに人が来るなんてまぁ〜」ってのは
>>52あたりのシーンと
とっていいのか?
>>280 そうです。
「三匹の妖怪」ってのと、「ここに人が……」というのは髑髏が妖怪になるためのシーンとして
以前どなたかが書かれていたので、それを踏まえた構成になっています。
ところどころにリレー小説時代のハードルが待ち構えてておもしろいですなあw
ただ、「獣を食らった」り、「小豆を撒いた」りは演出過剰なので割愛させていただきました。ご了承を。
282 :
天之御名無主:04/01/08 01:04
人の書いた伏線でもキッチリ消化する、いいねぇ。
まあ多少の改ざんなら構わんのじゃない。
283 :
天之御名無主:04/01/08 16:04
このスレいいね
保守上げ
「では、はじめるぞ。よいな」
ウケモチが髑髏の顔を覗き込むと、髑髏は息も絶え絶えに答えた。
「ああ、頼むよ。ただ……その前にひとつだけ聞いておきたいことがあるんだ。
オ、オレは、土蜘蛛を葉月の形見の神剣で突き刺した。それで、土蜘蛛は、と、溶けて消えた。
それだのに、きやつは最期に言ったのだ。か、かならず甦ってみせるとな。
な、なぜだ……なぜ土蜘蛛は死なぬ。どうすれば倒せるのだ」
「伸益、お前、そうまで土蜘蛛が憎いか。怨めしいか……。
しかし、だからこそ土蜘蛛は死なぬのだよ。土蜘蛛の正体は人の心さ。
人が人を憎しむ心や、恨む気持ちが凝り固まりてモノとなった。
その体は人間の肉体を借りて現れたかりそめのもの。その魂魄は人の目には見えぬ。
いずれ鬼とは隠(オン)であり、目には見えぬものなのさ。たとえ肉体が滅びようとも、
魂魄が消え去るまでに次の肉体を見つけて生きながらえるのだよ」
「そうか……。オレの心に住まう鬼が、あやつをまた生かしたのだな……。皮肉なことだ。
さあ、お喋りはもういい。はじめてくれ」
そのあと、ウケモチの手が髑髏の体へと伸びて、突然すさまじい痛みが襲ってきたことまでは
憶えがあるが、そこから先なにがどうなったのか髑髏には思い出せなかった。
気がついたのは数日後のことである。
嫌な夢をみたと思いながら髑髏は目覚めた。
妙な妖怪どもにあった。誰の科白だか、空恐ろしいような言葉が頭の底にこびりついている。
「八百年後の今月今夜、この月をお主の血煙で曇らせてみせようぞ」
妙な夢だ。
そのあと自分は誰かに生きながら肌を剥かれ、肉をそがれ、考えるのもおぞましい。
と、まだぼんやりとしていた視界がはっきりしてくると、格子の天井が見えた。
自分の家の屋根には天井などない。小屋組むきだしのままのあばら家である。
ここは何処だと周りを見渡すと、かつて、葉月と初めて出会った晩に見た御神鏡らしきものが見えた。
まさか、あれは真実であったかよと、にじり寄って御神鏡をのぞき込んだ。
安心した。ちゃんと顔には肉がついている。やはり夢であったか。
しかし、鏡に映る姿にしてはいやに小さい。いや、遠くに見えている。
目をこらすと、鏡の中の自分がこちらへ近づいてきているようであった。
よく見れば、額の右に火傷のような、妙な痕がある。なんであろうか。
いぶかしむ髑髏に、鏡の向こうの自分が話しかけた。
「ノブマス殿、久しぶりであったなあ」
気がつけば髑髏は乳色をした霞のなかに立っていた。
ああ、そうか自分は過去の幻想を見ていたのか。ここは八百年慣れ親しんだ山の中。
人間たちの「あやしがり」とやらから身を隠していたところであった。
目の前の男に向き直ると尋ねた。
「誰だ、貴様は」
「私は川野伸益だよ。自分の姿を忘れたのかい」
たしかに、男はかつて生身の人間であった頃の髑髏の姿をしていた。
しかし、自分はとうの昔に骨ばかりになって、こうして生きながらえている。
目の前にいるのはあやかしに相違ない。
「おまえ、土蜘蛛だな」
静かにそう言うと、相手は声を低めて笑った。
「ひひひ。違いない。そうさ、オレは土蜘蛛さ。
しかし、同時に川野伸益でもあるのだよ。わかるか?」
髑髏は無言である。
「あの晩、オレはお前に刺され、消えようとしていた。
しかしな、全てが消えなんとしたその時に、すぐ近くに素晴らしい宿主を見つけたのさ。
……指だよ」
嫌な予感がした。
「それはなあ、たった一本の指であったが、しかし凄まじい憎悪と怨嗟に燃えていたのだ。
そこからひとつひとつ、指の持ち主の肉片を集めて彷徨(さまよ)うたよ。
肉をかき集めてみたものの、足らぬものがあった。骨さ。
長い間オレは神話に出てくるヒルコのような姿で身を隠した。
そして何百年という歳月のなか、かつての力を取り戻し、骨のないまま人の姿に化けることが
できるまでになった。しかし、どうしてもお前に斬られた額の傷と、腹の傷は元には戻らぬ。
なぜか。それはまだオレの力が完全ではないからさ。完全になるためには骨が必要だ。
オレは骨を捜して何年も歩き回ったよ。しかしなんのことはない、骨はずっと京にあったのだ、なあノブマスよ」
土蜘蛛のはなしのどこまでが真実かは判らぬ。
しかし、土蜘蛛が自分を狙って来たことだけは確かなようだった。
髑髏は強い口調で言った。
「土蜘蛛よ、お前をこれ以上生かすことはできぬ。お前の命も今宵かぎりだ」
髑髏は長刀を振るった。剣先は大きく弧を描き、土蜘蛛の左腕を切り落とした。
しかし土蜘蛛は微動だにしない。
「ひひひ、無駄だよ。オレの身体は見せかけだ。斬ってもまたすぐに付く」
言いながら右腕で落ちた左腕を拾い上げると、傷口に接ぎ合わせた。
付くやいなや、すぐに左の手が広げたり握ったりしはじめる。
髑髏はそれでも無闇矢鱈に斬りつけた。土蜘蛛の身体がばらばらになる。
しかし肉片はすぐにむくむくと動き、たちまち元の姿に戻ってしまった。
「ひぃーひひひ。変わらないねえ、八百年前のあの頃と同じだ。変わったのは姿だけさ。
では、そろそろこちらから行かせてもらおうか」
土蜘蛛が一歩、髑髏の方へ近づいた。
髑髏の方から切りかかろうとした瞬間、
土蜘蛛の身体が無数の肉片に分かれて髑髏をとり囲んだかと思うと、
びちゃびちゃと音をたてて髑髏の体に張り付いてきた。
髑髏は全身をうねる肉の塊に包まれた。
振り払おうと必死でもがいたが、やがて肉のうねりは収まり、静かになった。
そしてそこには一人の男の姿があった。外見は、かつての髑髏、川野伸益であった。
「ひひひひひ。とうとうやったぞ。オレは肉体を手に入れたのだ」
男は叫んだ。
土蜘蛛の声であった。
「ノブマスは消えた。この世からいなくなった。ひぃーひっひっひひひ」
下卑た笑い声をあげた。
「オレはまだいるよ。自分の心をよく見てみるがいい」
笑っていたのと同じ口から、土蜘蛛とはまた別の声がした。髑髏の声であった。
「な、なんだとぉ!?どういうことだ。ノブマス、貴様まだどこぞに残っておったか」
「残っているのではない。オレがこの肉体の主人なのだ。
この肉体からやがて消えようとしているのはお前の方だよ、土蜘蛛」
ひとつの口から二人の声が交互に漏れた。
「どうしたことだ。この肉体から憎しみや怨みの気持ちがなくなっている」
「そうさ。この八百年は怨みつづけるための八百年ではなかった。
怨みを忘れ、すべてを許すための八百年だったのさ。
つい先ほどまではお前のことすら忘れていたのだ、土蜘蛛よ。もはやお前を怨む心などない。
今オレにあるのは、かつて葉月を愛したという思い出と、人間の世を救いたいという希いだけさ」
「ぬぬぅ。このままではオレの魂魄が消えてしまう。もはやこの肉体は要らぬわぁ」
そう言うと、土蜘蛛は魂魄を宙に放そうとした。
「離さぬよ、お前は私とともに、長すぎた生を終えるのだ。今宵かぎりな」
静かに、諭すように髑髏はそう言うと、どこからか懐剣を取りだし、自らの胸に突き立てた。
血煙があがった。その真紅の血は、高く、高く噴き出して、師走の満月を煙らせた。
霞はいつしか晴れていた。
そこには、かつて神社であったであろう廃屋があり、墓石を抱くようにして死んでいる男がいた。
墓には平葉月とある。男の顔は笑っているように見えた。
人が人として生き、人として死んでいく……。
そんな、当たり前のことに随分と、時間がかかったものさ……。
どこからともなくそんな声がした、山はもとの静けさを取り戻していた。
(完)
以上です。
つかれたぁ。年末から始まった「今宵かぎり」の連載、いかがだったでしょうか?
私にとって、小説とかこういう文章を書くこと自体はじめての経験だったので
悩むところも多かったのですが、それ以上に楽しい思いをさせていただきました。
感想をお待ちしておりますw
このスレが民俗神話学板でいちばん伸びているという事実が悲しい。
オモツロかった。
土蜘蛛と戦ってからも、だらだら長くなんのかなぁなどと漏れは
思っていたがあっさりと終えたな。
300 :
天之御名無主:04/01/09 23:35
どうせなら髑髏の過去(盗賊の息子〜土蜘蛛と戦闘)を主にして
怪し狩りはそのエピローグ的なものにしたほうがよかったんでは
ないだろうか。…いや、面白かったけどさ。
301 :
天之御名無主:04/01/10 00:24
あっさりしすぎてもの足りんラストだなぁ。
もうちょっと濃くラストを書いてもとかったんじゃぁ。
いいじゃないか。
どうせこれでこのスレも終了だ。
盗賊の息子は俺がふったネタでちゃんと設定もあったんだが
今宵かぎりタンの足が速すぎてあっという間に置きざりにされた。
もう書くことはない。
外伝的なこともやりたくないだろ?
しかし、後半急に昔のRPG的でドラクエかFFの曲が聞こえた…。
なんかすごく萎えた。
今宵かぎりタンがすごく頑張ったのはわかるが実は早く終わらせたかった?
305 :
天之御名無主:04/01/12 23:00
一応保守
お久しぶりです。小説の方が終わったらすっかり過疎化しましたねえ。
>>299-304 皆さま鋭いですねえ。ラストは本当は二日間で書くつもりだったんです。
が、この三連休でスキー(ショートスキーです)に行ってまして、金曜夜の出発だったため、
どうしても木曜中に仕上げようということで無理矢理一日で書き上げました。
しかも、金曜昼は本業のシステム提案が控えていたので手短に済ませたかったというのもあります。
その関係で、小豆洗いのエピソードなど、入れたかった部分をだいぶ削ってコンパクトにしました。
ただ、どちらにしても最後のあらすじはあのまんまのつもりでした。
主に髑髏の過去に因縁をもってきて、それを現代に戻したところで昇華させるという構想でしたので、
クライマックスと呼ぶべき部分はストーリーの最後よりも、むしろ過去の因縁話だったかもしれません。
二日で書いたとしても、ちょっと肉付けを厚くできた程度でストーリー自体は同じですからご安心を。
ま、おかげさまで、システム提案もスキーの方もバッチリでしたw
>>304 昔のRPG的でドラクエかFF
私、ファミコン世代(20代後半)ですけど、ゲームはあまりやらなかったので、
ドラクエも1と2くらいまでしか知らないんですけど、ストーリー、似てますか?
陳腐ってことですかねえ?もしかしたら、RPGが小説や物語をモチーフにしていたのかもしれませんね?
モチーフといえば、この「今宵かぎり」では
合計10以上の神話、古典、歴史、逸話、伝説、小説などのパロディを織り交ぜてます。
なかには、実際の歴史とからめながら微妙に捏造とかしてるので、この小説を読んで
知ったかぶったりすると思わぬ恥をかくことになるかもしれませんよ ( ̄ー ̄)ニヤリッ
判りやすいところでは、葉月のセリフ中に「行ってよし(逝ってよし)」というのがありました。
皆さんはパロディ部分、どれくらい判りましたか?
全部わかっただけに辛かった…。
おもいっきり斜め読みさせてもらいました。
申し訳ないが最初に自分が想像していたのとあまり違わなかった…。
なんかこういうエピソードって似通るんでしょうかねぇ。
実はもっと使える話ってあの時代にはいっぱいあるんだが
実際は源平、頼光と四天王とか同じ物が多いんですよね。
まぁ、こんなとこで晒すのは勿体ないと思うのは至極当然なんですが…。
川野伸益という名前も生きてないなぁ。使えるのに…。
伏線をフルに活用できたのに、しなかったんだよな。
このスレももう終わりか。
>>308-309 本当におわかりで? では私が捏造した部分をご指摘くださいなw
あと名前はちょっとしたギャグでして、それを伏線に使ってしまうのはいかがなものかと……
ギャグやらないんでしょ?
今宵かぎりタン意外にかなり性格悪いよね。
2chだからってのはここの板では嫌われるしな。
>>311 今宵かぎりタン意外にかなり性格悪いよね。
ヒドいお言葉。……どうして私のことを知っているんで? なあんて。
いえね、308さんに釣られているような気がしたので、釣り返してみたのですが、
少々挑戦的な口調になってしまいましたね。失礼失礼。
で、パロディ部分ですが、平家物語とか御伽草子などは周知のとおりと思います。
タイトルは国定忠治、『今月今夜この月』のセリフは「金色夜叉」ですね。
マニアックなところでは、ササガニの名前が能「土蜘蛛」に想を得ています。
とはいえ、これらの原典を完読したわけではなく、断片的知識を寄せ集めただけですがw
他にもいろいろありますが、主な捏造部分は下記のとおり。
漏れがあるかもしれませんが、覚えている分だけ。
(1) 敦盛は笛の名手でしたが、弓の名手との伝承はありません。敦盛自身、平家物語中では
一ノ谷の合戦で少し出てくるくらいですから、髑髏との絡みなど史実なわけがありませんね。
敦盛はむしろ幸若舞など平家物語以外でよくモチーフとなってますね。
(2) 忠盛灯篭の伝承はたしかに八坂神社に残っていますが、白河上皇と忠盛が不仲だったとか、
妖怪退治が上皇の罠だったとかは完全な捏造です。むしろ忠盛は上皇の懐刀として気に入られた
ために出世したとさえ言えます。清盛後落胤説はこのときの祇園女御にまつわるものですね。
ですから「陰に篭りて……」の落首風の歌は私のオリジナルでして、歴史上どこを探しても
あのような歌はありません。蛇足ながら、院政批判と平家賞賛を、岩戸神話で掛けたつもりです。
(3) 土蜘蛛の弱点が「つば」というのも真っ赤な嘘です。
つばが弱点なのは俵藤太のお話に出てくる大ムカデですね。これもパロディ、かな?
他にもいろいろありますが、とりあえず。もしかしたら私の知識ミスによる純粋な間違いもあるかもですw
つーか、もういいよ。
今宵限りは終わったし、誰か次は?
317 :
天之御名無主:04/01/17 00:12
リレー小説 「三つの悩み」
近頃、餓鬼は食欲不振に悩んでいる。
以前は食っても食っても飽き足らぬほどのハングリーさで周囲を驚かせたものだが、
近頃はいつも腹がぽんと膨れたような感じで、死肉などをみると吐き気さえ覚える。
大食いを自慢していただけに、他人様には相談できぬ悩みである。
最近、獏は睡眠不足に困っている。
昔は毎晩毎晩、不眠不休で人の夢を喰らいつづけて世間を呆れさせたものだが、
最近はいつも瞼がとろんと重くなるような感じで、人の夢よりも先に自分が夢をみる始末。
宵っ張りを自慢していただけに、他人様には相談できぬ悩みである。
このところ、慈慧大師は色狂いに困っている。
若い頃は一切衆生悉皆成仏と説法してまわり、善男善女の範となるよう努めたものだが、
このところは股座がむらむらと盛り上がるような感じで、小坊主にすら欲情するほどである。
悟りによって民衆教化していただけに、他人様には相談できぬ悩みである。
318 :
天之御名無主:04/01/17 00:48
昼過ぎから降り出した雨がようやくあがった砂利道をユリコは歩いていた。
学校の帰り道、来るはずのバスがいつまで待っても来ないので
家まで歩くことにした。彼女は最近、食欲が旺盛になったのを悩んでいた。
なぜか体型が変わらないのが、奇妙なのだが。
だから、もういいって。
>319の自己厨さんへ
不要論がある一方で、要望論もあるわけで、
よほどの糞スレでない限りは誰かが必要としているスレは活かすのが2ちゃんのやり方。
もちろんそれを荒らすのも2ちゃんの定石だけど、この板ではそれは流行らないでしょ。
基本的にsage進行してるんだから、楽しみにしてる人たちに水をさすのはやめなさいね。
それともあなたが素晴らしい小説でもお書きになりますか?(プ
楽しみにしてる人間少なっ。
人間が書く妖怪小説より
妖怪が書く人間小説希望。
>320
仕方ない。2ちゃんはそういうところだ。
口だけ野郎ばっかり(w
非生産的人間の批判によって生産的人間の
やる気をそいでいるのは悲しいことだが。
というか、批判者には生産能力がないから
批判くらいしかできないのだ。いわば嫉妬まじり。
許してやれ。
生産能力のない能無しは現実社会でいじめられてるのだ、
ここくらいしか威張れる場所がないのだから。
口ばかり動かして手を動かさない奴、
率先して働かない奴らは実社会で嫌われ者なのだから。
で、作品は無いわけか?
先生!
本当の働き者がこんなとこで小説書くんですか?
>>323 なんかオリジナリティーの無い話だな。
そういうこと言うのが趣味の人?
このスレに関係なく其処彼処でコピペ?
328 :
天之御名無主:04/01/17 03:09
>>319-327 どうでもいいから早くつづき書く!
面白けりゃ読んでやるyo
漏れは
>>323のいう生産能力のない側だから書けないが、
そのかわり批判もしないから面白いのキボンヌ!!
面白かったら商業誌に書くだろ。
そうか?
面白さはひとそれぞれだから別にいいんだが、
>>331よ、そこまでいうなら藻前かきなさい。
俺は中盤からがっくり萎えたけどなぁ。
>>332 藻前が書け!
いやいや、藻前が!
藻前だったら!
藻前こそ!
>
>>333でも誰でもいいからとにかく面白いの書いてくれ。
このままだと本当に
>>323の言うとおりだ。
悔しくないのか?負け犬にならないためにもガツンと面白いのキボンヌ
漏れはもう負け犬宣言してるからwww
今日の若い者が
>>323のような説教親父の言葉に奮起するものか。
おもしろければ自然に続く。
つまらんから続かんだけだよ。
自然にはつづかんだろうw
もういいや。どうも
>>324以降で漏れ以外のレスはジサクジエーンくさいからアホらしくなったw
自作自演、自画自賛推奨スレ
リレーは無理でファイナルアンサー?
負け犬の遠吠えが聞こえるスレはここでつか?
アォーン、ワンワン
荒れてますな……。幾つかレスを。
>>320 2ちゃんはそういうところだ。口だけ野郎ばっかり(w
なんか、私が言いそうなセリフw
おっしゃりたいことも解りますが、身も蓋もないおっしゃりようで。
ただ、批判にも、批判のための批判と、建設的な批判とあるということはあるかもですね。
>>326 本当の働き者がこんなところで小説書くんですか?
ひゃひゃひゃ。まったくその通りですな。
私も年末年始で仕事が流せる時期だったからですけど、今はもう書けませんもん。
リレー小説で一行二行ていどなら可能ですけどね。
>>330 今宵限りタンのは面白かったyo
ありがとうございます。しかしsageでいきませんか?ageると荒れるので。
今宵かぎりタンは小説はそこそこだがレスが鼻につく。
黙っていた方がカッコいいよ。
345 :
天之御名無主:04/01/19 12:37
>>318 1ヶ月前から始まった異常な食欲は、日に日に酷くなってきた。
最初のうちは「成長期だから」などとのんきに思っていたのだが、最近はさすがに
「やばいかも」と考えを改めた。
こんな感じでいいんですかねぇ?
現代女性の深刻な問題?
あとは片付けられない女性とか?
指突っ込んであとでトイレで吐くんだろ?
吐きダコが…。
>>344 すみません。消えます。
リレー小説、つづくといいですね。
348 :
天之御名無主:04/01/22 22:27
妖怪タイガース (リレー小説)
「お聞きください、この怒涛のような歓声を。
墓場ドーム5万の客席が満員の観衆によって埋め尽くされております。
それもそのはず。妖怪タイガースvs剣豪ジャイアンツ、因縁の対決の行方が
今夜のシーズン最終日にまでもつれ込んで、とうとう今日ここで決着が付こうとしています。
勝ち星も貯金もまったく同じというこの2チーム、リーグ優勝は今夜の結果次第!
この試合のあとに勝利の美酒に酔っているのはいったいどちらのチームなのかぁ。
解説のカラス天狗さん、どうですか!?」
349 :
天之御名無主:04/01/23 00:04
「え〜、そーですねー、どちらも曲者ぞろいですから面白い試合になりそうですねー。
剣豪ジャイアンツには宮本武蔵をはじめとする強打者陣がいますからねー、
これを妖怪タイガースがどうやって抑えるか、と、ここら辺がポイントになってきますかねー」
カラス天狗が甲高い声で答えた。
「しかし、カラス天狗さん、タイガースも妖術攻撃など多彩なプレーで見せてくれるんじゃないですか?」
「はいー、しかしタイガースの負け試合のほとんどが反則負けという、
同じ妖怪野球出身としては残念なところがありますから、どうなるかわかりませんよ。
とりあえず、大天狗親分には頑張ってもらいたいですねー」
「あっと、そろそろ試合が始まるみたいですよ」
350 :
天之御名無主:04/01/23 00:10
「先攻は剣豪ジャイアンツ。ベンチから守備陣が各位置につきましたね。
今日の先発は……手長ですね。
おや?手長を誰かが肩車していますよ。えーと、あれは足長ですか。
彼はセンターに登録されていたと思ったんですが、おやおや、そのまま二人で
マウンドに上がってしまいましたね。これは最初から波乱含みの展開となってきました」
「外野守備の要の足長不在では心配ですねー」
「さて、ここで今夜のゲストをご紹介しましょう。
今夜のゲストは前剣豪ジャイアンツ監督の平将門さんをお招きしています」
351 :
天之御名無主:04/01/23 00:15
「おう。只今紹介にあずかった平将門じゃ。最近首の調子がおかしくてのお」
「将門さんは先シーズンに妖怪タイガースへ情報をリークしていたんではないかという
スパイ疑惑で監督罷免になっているわけですが、そのあたり真相はどうだったんでしょうか?」
それを聞いて将門がギクリとした一瞬、将門の首と胴体が離れたように見えた。
ゆっくりと解説の方を向くと、物凄い形相で睨みつけている。
「え、えー、少々不適切な発言がありましたこと、視聴者の皆様にお詫び申し上げます。
あ、は、はじまったみたいです」
352 :
天之御名無主:04/01/23 00:21
「ピッチャーふりかぶって……投げ……ない。
投げません。どうやらアンパイアからストップがかかったようですよ。
どうしたんでしょうか」
「あー、観客が怒ってますよー。開始早々水をさすなって野次が飛んでますね。ケケケ」
「どうやら判定は、ボーク!ボークのようです!
ピッチャーの足がプレートから離れていたようです。
そりゃあそうでしょう。プレートを踏んでいるのは足長です。手長ではない!」
「いきなり出塁を許したようじゃな。先が楽しみだわい」
「足長はすごすごとセンターに戻っていきます。これでようやく正常な状態になりました。
その間に先頭バッターの猿飛サスケが一塁へと歩いていきます。
二番バッターは誰でしょうか……手元の資料では……」
>>351 × ゆっくりと解説の方を向くと ○ ゆっくりと実況アナウンサーの方を向くと
「二番は土方歳三ですね。彼は社会人野球出身で、もとは建設会社新撰組に勤めていました。
新撰組はすごいですねえ、彼以外にも今日ベンチ入りしている近藤勇と沖田総司のふたりが
登録されています。さあ、土方はどうか」
「あの男、血の臭いがするわい」
「さあ、ピッチャーの手長、振りかぶって……投げたぁ。
おっとぉ?手がするすると伸びてバッターボックスの前までたどり着きました。
いま、そこからひょいとキャッチャーの金長タヌキに放りました。ストラーイク!
その距離わずか50センチの投球です。これにはさすがに土方も手が出ないか」
「ケケケ。やはり三球見送りの三振でしたねえ。ケーケケケ」
「土方、くやしそうにベンチに戻っていきます」
「さあ三番、机龍之介の登場です。盲目ながら、恐るべき殺人打法「音無しの構え」の持ち主ですが、
手長のあの投法は通用するのか、それとも机の殺人打法の前に斃れてしまうのか!?
あー、ピッチャー第一球、投げました。ストラーイク!
先ほどの土方と同様、ただ黙って見送るだけです」
「うーむ、ここは何とか出塁して次の宮本武蔵につなげてもらいたいものじゃが」
「いえ、今日の四番は武蔵ではないみたいですよ。
資料によると……匿名希望となっていますね。いったい誰なんでしょうか。
あー、そう言っている間にもツーストライクです。
おっと、ここで待ちきれずに一塁ランナーのサスケが飛び出しました。盗塁です。
サスケ、滑り込む。惜しいー!タッチアウトです。タッチしたのは……なんと手長の腕!
このピッチャーに死角はないのか!?いったいどう闘ったいいのかジャイアンツ攻めあぐねています。
これで剣豪ジャイアンツは2アウトになってしまいました」
「さあ、第三球ふりかぶって、投げた。
あっ!打ちました!机龍之介がどうやら打ったようです。
ボールは三遊間を抜けていきます……おや?ボールが輝いてみえるんですが気のせいでしょうか?」
「気のせいじゃないガァー!見てくださいー、ボールはキャッチャーの足元に落ちていますよー」
「おや、そうすると飛んでいったボールは?あー、キャッチャーの金長タヌキがうずくまっているようですよ?
ん?審判がなにか言っていますね。いま担架で……キャッチャーが運ばれていくようですね。
なにがあったかスローモーションで見てみましょう。
はい、ここですね。手長がひょいと金長タヌキに放った。そこを机が振……あっ!
かなり下のほうからスイングして、あーーー!なんともうしましょうか。キャッチャーの、その、
だらんと垂れ下がりました、いわゆるボール、野球ボールとは別のボールを打っていますねえ。
これは意図的でしょうか?だとしたら相当悪質ですが……どうやら審判の判定は事故ということで
収まったようです。まことに不幸なアクシデントでした」
「ふん、これまでピッチャー返しで数々の投手を冥土に送ってきた机龍之介じゃが、
とうとうキャッチャーまで病院送りにしたか。しかし、あれではもう助かるまい」
「いずれにしましても、これで机も三振になりましたので、チェンジとなります。
初回表の攻撃は0点に抑えました妖怪タイガース」
「せっかくのサスケの出塁を活かせなかったのは痛いですねぇ。ケケ」
「さて、攻守変わりまして、剣豪ジャイアンツ。
投げるは牛若丸、それを受けるのは武蔵坊弁慶です。
この二人は今年プロになったばかりのルーキーで、高校時代もバッテリーを組んでいました。
息のあった投球で定評がありますが、その辺、高校野球経験のあるカラス天狗さん、どう思われますか?」
「はいー、牛若丸は小柄ながら七色の変化球を武器に三振の山を築き、
弁慶選手も大型バッターとして甲子園の本塁打記録をぬり替えたという超高校級の二人ですからねえ。
プロになってからの活躍にもうなずけるものがありますねー。グワァ」
「さて、対する妖怪タイガースの先頭バッターは……」
「一番、セカンド、垢嘗(あかなめ)。一番、セカンド、垢嘗」
うぐいす嬢の声がドームにこだました。
「この垢嘗選手、こういっては失礼ですが、打率、打点、本塁打、どれをとっても
とくにこれといって光るものもないように思われますが、どうして一番バッターなんですかねえ?」
「ケー、あれは去年で青行灯が引退したからですよー」
「は?」
「あいうえお順で一番早いものが一番バッターというのが妖怪タイガースの慣例でしてね。ケケ」
「はぁ……」
「牛若丸、第一球を投げました。鮮やかなスライダー!
もはや彼の変化球は芸術的とさえいっていいでしょう!」
「垢嘗ごときでは太刀打ちできんわい」
「やはり見送り三振。本当に彼はなんのためにいるんでしょうか。
続きまして二番バッターは大蛇(おろち)。いったい彼がどうやってバットを握るのか注目されます。
あー、思ったとおり口でくわえてますねえ。ルール上、手で持たなくてはならないとは
書いてありませんのであれでも問題ないようです」
「どうせ打ちゃしないしねえ。カーカーカー」
「しかし、この選手、盗塁王を猿飛サスケ選手と競っていますよ?
出塁してるってことなんじゃありませんか?……あっ、デッドボールです!ボールが当たりました!
……というか心なしか自分から当たりに言ったようにも見えたんですけれども」
「細かいことを気にしてはいかんわい」
「さあ、続く三番バッターは助っ人ガイジンのドラキュラ伯爵です。
縦じまのユニフォームの上から黒いマントを羽織る姿が今日も凛々しいですねえ。
あー、観客の声援も大きくなっていますねえ。本当に彼は人気がありますねえ?解説のカラス天狗さん」
「ええ、やはり高貴な紳士という感じがしますからねえ。こうしてグラウンドに立っていても映えますねえ。
また、デイゲームには出場しないということから、プレミア的な人気も手伝っているようですよ。ケケ。
人気の上では、うちの大天狗親分もかなわないかもしれませんねー」
「さあ、ピッチャーの牛若丸大きくふりかぶってぇ投げた!
あ、一塁の大蛇が盗塁ですか?キャッチャーの弁慶、急いでセカンドに投げる。
セカンド捕球して、アウト……ではありませんね?まだ大蛇選手の足が一塁から離れていないということで
アウトになりませんでした。盗塁成功です。いや、大蛇選手、そのまま三塁へと向かいますよ。
いやいやいや、三塁もそのまま通過してホームを狙っています。ホームスチールです!
これはクロスプレーか!?弁慶がタッチする……しかしセーフです!セーフッ!!
なんと大蛇選手、一回のデッドボールでホームスチールまで決めてしまいました!!
これは防ぎようがない!次の塁にたどり着いても前の塁に足がかかっているんですから、
これはアウトにならない。いいんでしょうか?」
「細かいことは気にするな!」
「大蛇選手の貴重なホームスチールで貴重な一点をあげた妖怪タイガース。
先制点を取ったのは妖怪タイガースでした。
さて、ピッチャー第二球を、投げました。ドラキュラ見送り!
さすがのドラキュラもあの変化球には手が出ないか?」
「いや、あれは見送ったんではなくて、客席の処女に見とれていたんです。カー」
「故郷ルーマニアを遠く離れた異国の地で、恋人に焦がれているんですかねえ?」
「いや、そうじゃなくて今夜の食事を見繕っていたんじゃわい」
「…………。最後の一球も見送り三振です」
「さあ、次はいよいよ主砲の登場だカー」
362 :
天之御名無主:04/01/25 00:41
363 :
天之御名無主:04/01/26 18:40
「出ましたー。妖怪タイガースが誇る不動の四番、酒呑童子!
今夜もその巨躯をゆさぶりながらの堂々の登場です!」
「いよ!妖怪番長!ケケー!」
「さあ、酒呑童子、バッターボックスにつきました。
あれ?主審になにか注意されていますね?
あー、どうやら飲酒して打席に立ってるんじゃないかと言われたみたいですね」
「馬鹿な。あやつの素面(しらふ)を見た者なんぞおらぬわい」
「なにやら主審の注意がまだ続いているようですよ。
今日の主審は厳しい態度で臨んでいますね。これは退場もありうるか?
あ、いま酒呑童子がバットを振り上げましたね。バットには何かイボイボが付いていませんか?」
「バット……ではないですねぇ。まあ、鬼ですから推して知るべしでしょう。
カーとなると何をするかわかりませんよー。審判はそのあたり気をつけるべきですね。カー」
「主審も身の危険を悟ったのか、今回は注意勧告だけで終わったようですね。
さあ試合再開です。ピッチャーふりかぶって、投げたぁ。
おっとぉ、酒呑童子、初級打ち!打球の行方はショート猿飛サスケの上を越えてレフト前に落ちた。
レフトはセカンドに投げる。酒呑童子、一塁で止まりました。ヒットです」
「さすがじゃわい」
「さて、次の五番は女性ですね。倩兮女(けらけらおんな)選手です。
あれ?ベンチから出てきませんね?どこにいるんでしょうかぁ?」
「ケー、そんなに窓を覗き込むと……」
「う、うわあぁぁぁぁっ!」
「ほら、言わんこっちゃないですよ。ケケケケケ」
「あーーー、びっくりしました。
お聞きの皆さんには何が起こったかわからないと思いますのでご説明いたしますと、
私が窓を覗きましたところ、ぽかんと首が浮かんでいたんですねえ。
思慮浅く見えるまなざし。紅さした花のくちびる。そう、それこそ倩兮女選手その人でした」
「あの娘の登場はいつもこうじゃ。カッカッカッ」
「さあ、紅一点の倩兮女、どんなプレーを見せてくれるのか?
牛若丸、一塁へ牽制球投げた。セーフ。
どうやら牛若丸選手は一塁の酒呑童子選手が気になっているようですね」
「集中できてないですねー。倩兮女選手、いまがチャンスですよー。ケケ」
「あ、倩兮女選手がいまバッターボックス上でニヤリと笑いませんでしたか?
なにか名案でも浮かんだんでしょうか。マウンドの牛若丸、投げる」
「なんと、バントだー。送りバント!名案とはこのことだったのか!?
しかし、ピッチャー転がったボールを拾って、一塁へ投げる。アウト!3アウト、チェンジです!」
「投手が累上のランナーを気にしていたから、進塁させたらもっと気にするだろうと
考えたんでしょうかねー。しかし2アウトで送りバントなんて聞いたことがありませんねー。
思慮浅い倩兮女選手ならではの珍プレーですね。ケケケ」
「最後のアウトは勿体なかったんですが、それでも妖怪タイガース1回裏に先制点をもぎ取りました」
「さて、問題は次じゃわい。剣豪ジャイアンツの四番とやらは一体誰じゃ?」
「そうでした。手元の資料には匿名希望と書かれていますが、これは一体誰なのか!?」
「あーっと、剣豪ジャイアンツの四番バッターが今ベンチから出てきました。
おやぁ?四番というから酒呑童子選手のような体格のいい選手を想像していたんですが、
むしろ小柄ですねぇ。小柄というよりも、子供くらいと言ったほうが正しいかもしれません。
そして何より、目を引くのはそのいでたちでしょう。
顔には黒い覆面をかぶり、ユニフォームの上から黄色と黒のしまのチャンチャンコを着ています。
さらに足元にはスパイクではなく下駄を履くという異様ないでたちでの登場です」
「ガァーー、ありゃ一体誰でしょうねー?」
「におう、におうぞ。なにやら臭いにおいがプンプンするわい」
>>365 適当にけらけらおんなでググって出てきた文章をコピペしたんですが、
原典は個人(アマチュア)の書かれた詩であったようです。
意図せずして盗作になってしまいましたことお詫び申し上げます。
370 :
天之御名無主:04/03/03 01:31
ひ の え ん ま っ
なんですかこのすれっどは
スレタイの通りのすれっどです。
373 :
天之御名無主:04/04/03 00:47
茶を飲み終わった火車は、勢い良く茶碗を置いた。
「さてと、行くとするか。」
374 :
天之御名無主:04/04/03 02:08
仕事である死者の運搬をするために家を出た。今日は美少女の骸が出たと
聞いているので、他の火車に取られぬよう急いでいるのだ。どうせあの世へ
運ぶなら、野郎より女がいい。
地図を見ながら「お袖か。この辺だな・・・」
375 :
天之御名無主:04/04/03 08:35
おかしいぞ。いくら探しても見当たらぬ。うわぁ半鐘だ。火の粉だ。
376 :
天之御名無主:04/04/03 12:45
「おいおい火事かよ。お袖の家じゃ無いだろうなぁ。」あせる火車。
. / ̄ ̄ヽ
|__T_i_
|ミ/ ・ ・ l <タイガースがんばれ〜!!
(6 〈 / Jヽ〉
|. ∀|
|\__)
___( つ日と )__
ノ \ ○ ___\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.<\※ \______|i\___ < さあ剣豪ジャイアンツの攻撃・・・
ヽ\ ※ ※ ※|i i|.====B|iヽ\______
\`ー──-.|\.|___|__◎_|i‐>
 ̄ ̄ ̄ ̄| .| ̄ ̄ ̄ ̄|
\| |〜
このスレまだ生きてたんですね。さすが民神板。
『今宵かぎり』 の頃からもう半年経つのか。
今さらながら、月日の移ろいゆくのは早いものですね。
IPfiLq4jAI氏はHP持ってますか?
2chでこういう質問もないですね。失礼しました。
捨てアド取りましたのでそちらに。
いえ、お気遣いなく。HPありません。
残念ながら小説とかもここに書いたのが全てです。
妖怪小説のファンなのでしょうか?秀逸なものがあれば是非ご紹介ください。
ところで、言われて思ったんですが、せっかくだから 『今宵かぎり』 だけでも
手直ししてアップしてみるのも一興かも。個人の記念として。
>IPfiLq4jAI氏
残念。HPないですか。今まで読んだ小説の中で…と言ってもあまり読んでませんが、
かなり気に入ったほうだったので。
妖怪小説なんてジャンルは今までほとんど無縁だったんですが、こういう感じの
ならもっと読んでみたいですね。
アップ大賛成です。ほかの小説の連載とか始まったら、379的に大喜びです。
>>382 亀レスすまそです。
なんとありがたいお言葉!うれしいかぎりです。
せっかくですので、フリーのHPスペースとって 『今宵かぎり』 をアップしてみました。
読みやすいように適当な箇所で章立てしたのと、気づいた範囲での誤字脱字修正しましたが、
内容的にはそのまんまコピペです。
簡単なあとがきをつけたのと、フリーの掲示板を立てたほかは目新しくもなく、
非常に素っ気のないつくりとなっておりますが、よろしければ一度お越しください。
ttp://f46.aaacafe.ne.jp/~miroku/koyoi_00.html
おおー。
祝アップ!非常に嬉しい。氏の文章は個性的でもあり、人を惹きつける
文章なので是非新作も期待します。
ありがとうございます。
>IPfiLq4jAIタン
ありがとうございます。
ワタシのせいでスレの流れを止めてしまって申し訳ありませんでした。
改めて妖怪小説スレ続行。ということで。ノシ
389 :
天之御名無主:04/09/13 14:06:08
砂利仏福生は風雪に折りたたまれんと灼耽々午扱いていた。
白銀の昼夜みやごうばかりの御見積に滴れる。
岐路円略搾れる隔絶に鬼盛る人も隈入らんと。
満月と済まされるべからず消え入る風前。
死にたるる運命ああこれいかに。
時は同じく少年時代。
川から降りるる盗人河童。
みるから巨大な変容変化。
口から万勝、口から万勝。
ああ、おそろしや。
万勝万勝。
390 :
天之御名無主:04/09/16 00:15:07
こんなとこでリレーやってるとはw
結構面白いね。頑張れよ。
391 :
天之御名無主:04/12/24 00:52:41
「今宵かぎり」 ほぼ一周年age
392 :
天之御名無主:2005/09/10(土) 02:23:47
「さて、先ほどの回で不幸な事故により病院へ運ばれた金長タヌキですが、
いま続報が入りまして、なんとか命はとりとめたとのことです。
何よりでしたね、将門さん?」
「フン!あれ以外に自慢するものもない妖怪だったに、それを失って何がなによりか」
「えー、この回から金長タヌキに代わって河童がキャッチャーに入っています。
おや?プロテクタを付けずに守備位置についていますね…… と思ったら、
おもむろに甲羅を前後ろにしてミットを構えました。 うーん、捕手になるために
生まれてきたような肉体をしていますねえ。天性のキャッチャーです」
「カー、いやいや、そんなことよりあいつが本当に恐いのは口撃ですよ。
軽快なトークで小いやらしくバッターに話しかけて集中力を殺ぐ手口は
まさにベテランならではのいやらしさだカー」
「さて、匿名のジャイアンツ四番打者の力量はどれほどのものか。
黄色と黒のちゃんちゃんこはまるで妖怪タイガースの一員かのようですねえ」
「うーむ、まるで妖怪の一員のようか……何か気になるのお」
「ピッチャーの手長、振りかぶって、第一球を、投げたー。
ストラーイク!……っと?手長が目の辺りを覆ってマウンドに崩れていますよ?
どうしたんでしょうか?スローモーションで何が起こったか見てみましょう。
手長の手からボールが離れた、その瞬間、何かキラリと光るものが画面を横切りましたね。
なんでしょうか?あっ、針のようなものが手長選手の目に刺さっているのが確認できます」
「むむぅ、針じゃと!まさか!まさか……な」
「手長選手、針を顔面に受けたもののなんとか続投可能なようです。
しかし、その形相が怒りに燃え上がっていますよ?」
「今度は手長、セットポジションではなく、すらりと伸びた長い手を頭上に
大きく振りかぶって、身体を大きくひねって、投げたー。
これはスゴイ!はるか高い位置から手放された猛スピードのボールが
上から突き刺さるようにバッターに襲い掛かる。ストラーイク!!
さすがに、この角度からでは手が出ないか、ジャイアンツ四番。見送っています」
「これが手長の真骨頂だカー。今までのひょいと手を伸ばしてポトリとキャッチャーに
落とすような投法は遊びに過ぎないことを思い知ったカー」
「さて、2ストライク・ノーカウントと追い込まれた覆面選手、振らないことには当たらない。
あの高い位置からの投法にどう出るのか?
ピッチャー続けて第三球を、投げた!」
カキ─────────ン!!
「あーーーっと!低く構えた位置から伸び上がるようにバットを振り上げる。
その小さな体からは想像できないような強靭な足腰なバネだ!!
ボールは手長の投げた軌跡よりもさらに高い角度で上空へ上がって、
伸びる伸びる、ぐんぐん伸びる。そしてそのまま……センターを越えて
バックスクリーンに突き刺さるか!?」
「センターには守護神がおるわい」
「そうでした!妖怪タイガースの守りの要、足長がゆうゆうとグラブを構えています。
普通ならゆうゆうスタンドに入るボールですが、足長にかかっては
この好打球も単なるライナーで終わってしまいそうだ」
「あっ!足長が突然ころびました!
そしてボールはその隙にバックスクリーンに、当たった!!ホームランです。
謎に包まれたジャイアンツの四番、さっそくその真価を発揮しています。
しかし、どうして足長は突然ころんだでしょうかね、解説のカラス天狗さん?」
「ええ、みんな打球の行方にばかり目を奪われていたようですが、
私は見ていましたよ。バッターが打ったあとバットを放り投げると同時に、
なんというんですか?あの独特の履物。下駄というんですか?
あれを思い切り蹴り出したかと思うと、それがそのままのスピードで
足長のヒザ目掛けて飛んでいって、したたか打ち付けると塁を走るバッターの元に
ひとりでに戻ってきたんだグワァ」
「そんなまさか……リモコンが付いているわけでもないでしょうに」
「むむむぅ、そのまさかだとしたら、これは……」
「えー、ここで先ほどの金長タヌキ選手の続報です。
いったんは妖怪病院に運ばれた金長タヌキ選手でしたが、その、男性の機能が
失われたことを知ると、『生まれ変わって新しい人生を歩みたい』とコメントを残して
そのまま本人の希望でモロッコの病院に移送されたそうです」
「カーカーカー。カルーセルたぬきとして再出発とはお笑いだカー」
「あんな醜いタヌキがと思うと、笑うよりも気持ち悪いわい。
日本に帰ってきたらワシが成敗してくれる」
「さて、続く5番は打ってよし、守ってよし、走ってよしの児雷也選手です。
彼は一番バッターの猿飛選手と高校の先輩後輩だそうですよ」
「走ってよしって、あやつ、自分で歩かずに何かに乗っておるように見えるのじゃが」
「あー、あれはペット?のガマですよ。
児雷也選手といえばガマとは二人で一人。一心同体みたいなもんですからねえ」
「それは侍ジャイアンツ側の言い分じゃろう。見ろ、やはりタイガースの監督が出て来おった」
「あー、本当ですねえ。妖怪タイガースのぬらりひょん監督が審判に抗議していますよ。
それを見て観客からブーイングが挙がっております。ガマファンも多いですからねえ。
このブーイングを聞いて、さすがのぬらりひょん監督も少し言っただけで帰りましたね。
さあ、試合再開です」
「ピッチャー投げる。ファール!
あの上から降りそそぐようなボールにはさすがの児雷也選手も合わせるのが
やっとのようです。あー、二球目がバットに当たったが、ボテボテのゴロだ。
ピッチャーが前に出てきて補球する。それをファーストに投げる。
おっと、ここで児雷也選手、地面になにかを叩きつけた」
「カー!ボカンと煙が出たと思ったら、児雷也がいないグァ!」
「消えました!消えました児雷也選手。
と、いましたよ。いました、それもいつの間に走ったのか既に二塁にいる。
満面の笑みでVサインをする児雷也選手。ちゃんと一塁は踏んだのでしょうか」
「侍ジャイアンツ6番手は、本来なら4番を打つはずの宮本武蔵選手です。
今日のジャイアンツは恐いですよー。あの武蔵が6番で、4番はまた別にいる。
これはピッチャーにとっては精神的に休まるひまがありませんねえ」
「うーむ、奴は日ごろから真剣よりも木刀をよく使っておるだけに、パワーだけでなく
バットコントロールも秀逸じゃでな、タイガースもここは難しいところじゃぞ」
「そうなんだカー。得点圏にランナーを置いて迎えたバッターが武蔵というのは厳しい展開だカー」
「スイッチヒッターで、広角打法。右へ左へと打ち分けるバッティングセンスもさることながら、
やはり武蔵選手といえば、二刀流打法ですね、将門さん?」
「うむ、噂では夜も二刀流ということじゃ。いっそ金長タヌキめが帰国したらこやつに……」
「手長投手、連続の被安打にすこしペースを乱されているようですね。
投球に先ほどまでのキレがありません。ボールが先行しています。
あーっと、武蔵選手ボールを選んだ。フォアボールです」
「これでランナー一塁二塁。次も大砲の弁慶だカー」
「奴は三振も多いが、当たれば一発がデカいでのお。油断ならんぞ」
「ピッチャー手長、ふりかぶってぇ……投げた、と弁慶選手バントの構えだ。
これを引っ込めた。しかし、二塁の児雷也選手がすでに飛び出している。
キャッチャーの河童、ボールを三塁へ。慌てて児雷也選手、というか
その下にいるガマ選手、ぴょんこぴょんこと跳ねながら二塁に戻る」
「一番の佐助といい、この児雷也といい、忍学園出身者は足で攻める野球に
自信をもちすぎで自滅することが多いのお。情けない」
「サードの大蛇(おろち)選手、二塁垢舐めに送球する。
さあ、児雷也選手はさまれたが、どうする?」
「浅はかだガァ。三塁へ突っ込む気カー!」
「ボールはセカンドから再びサードへ、大蛇選手にタッチされて万事休すか!?」
「ん!?大蛇の動きが止まったガー」
「はい、そして一点を見つめています。その視線の先は……ガマだぁ!
ガマ選手をじっと見つめています、大蛇選手!!」
「ガマは進むことも戻ることもできず、というか、動くことすらできず固まっとるのぉ」
「両者睨み合いがつづきます!」
「というか、一方的に睨まれとるんだガー」
「この緊張状態を……先に破ったのはァ、大蛇選手だ!
大蛇選手が児雷也・ガマ両選手に襲い掛かる!!これは激しいクロスプレーだあぁぁ!!
児雷也選手、ここで得意の煙玉を地に叩きつけた!!」
「むむ、どうなったんじゃ!?煙って何も見えんゾ」
「あーーーーっと!この勝負、勝ったのは児雷也選手だ。
三塁をしっかりと踏んでいる!セ───フ!!セーフです!」
「よく見てみぃ。一匹足りんのじゃないか?」
「あれあれ?言われてみれば、ガマ選手の姿が見当たりませんが、どこに行ったんでしょうか?」
「児雷也選手と大蛇選手の姿は見えますが、ガマ選手がいません。
ん!?心なしか、大蛇選手のお腹のあたりが若干膨らんでいるように見えるのですが、
気のせいでしょうか???大蛇選手はタッチすることも忘れて満足げにゲップをしていますねえ」
「あわれだカー」
「一心同体とかいいながら、あやつ自分だけ助かるために見殺しにしおったわ」
「満員のレフトスタンドからは観客たちの咽び泣く声が聞こえます……。
突然神隠しにあったガマ選手の行方に皆、心を痛めているのでしょう」
「神隠しというか、行方はわかっているんだカー」
「おっと、タイガースファンで埋められたライトスタンドからも泣き声に打たれたのか、
応援吹奏団による蛍の光の演奏が聞こえてきます」
「カー。いや、あれはむしろ嫌がらせなんじゃあ……」
「さあ、二回表1対1の場面でランナーは1・3塁。
ノーアウトでワンナッシング、依然剣豪ジャイアンツの攻撃がつづきます。
バッターボックスは期待の大型ルーキー弁慶選手。
妖怪タイガースとしてはこの回1点だけで守りきりたいところ。
このピンチをどう乗り切るんでしょうか。手長、河童のバッテリー」
「手長はリズムを取り戻したようだカー」
「手長選手、2球目を投げた。打った、弁慶選手。しかしこれはボテボテの内野ゴロだ」
「2塁垢舐め選手捕球して、ショート大天狗選手へ送る。
そのままファースト酒呑童子選手へ。4・5・3のダブルプレー!ゲッツーだ!
3塁の児雷也選手は動けません。これでツーアウト。
しかし、依然ピンチはつづく妖怪タイガースですが、
次の打者はピッチャーの牛若丸だ。ここはなんとしても抑えたい」
「牛若丸はピッチャーながら、あれでなかなか打てるでのぉ。
高校時代は先頭打者を打っとったくらいじゃから」
「そうですね。投手でありながら、9番バッターではなく8番に納まっています。
長距離タイプではないのですが、器用に打ち分けるタイプですから、
ランナー3塁のこの場面ではいやらしいバッターかもしれません」
「でも9番の柳生まで回すともっと厄介なことになるカー」
「そうですね。『僕はヤギュウをするために生まれてきた』は去年の
流行語大賞にもなったことでも記憶に新しいかと思います。
しかし、この牛若丸選手も、 投球練習よりフリーバッティングの方が
好きと試合前のインタビューで語っていましたからね。
どちらもいやな選手には変わりありませんよ。
剣豪ジャイアンツの強打者陣には死角なしといったところでしょうか」
「おやぁ?牛若丸、なにかしきりとキャッチャーを気にしていますね?」
「出たーぁ!河童お得意の口撃だガァ。
高校出たてのルーキーにはエロトークでもして集中力を掻き乱しているんだカー」
「牛若丸選手、バッターボックスで顔を真っ赤に染めていますね。
いったい何を吹き込まれているんでしょう?スタンドからは
『牛若丸カワイイー!』という黄色い声援と、『牛若さまに変なこと吹き込むな』
という女性ファンからのブーイングが相半ばしているようです。
おーっと、そうこうしているうちに三球見逃しの三振だ。チェンジです。
ベテランの手練手管で打席に集中できなかったようですね。
ジャイアンツは貴重なチャンスを活かすことができませんでした」
「まだまだ青いのぉ」
「河童が小ズルすぎるんだカー。さすがエロ河童!」
ageを兼ねて、久々に書いてみた。今日はここまで。
板違いだけど、スレ主旨には合ってるということで、基本sage進行にて。
つーか、前回 『今宵限り』 がリレーにならなかった反省から、
ストーリーの一貫性がなくてもなんとかなるようにイニング毎で話題を切り替えられ、
かつ妖怪もかなりの数を好きなように登場させられる野球という舞台を選んだにも関わらず、
リレーを誰も継いでくれなかったという悲しさ……。
次のイニング誰か続けてくれていいので、リレーしませうよ。
よろしうに。
「さあ、2回裏の攻撃は6番、唐傘選手の打席からです。
独特の一歩足打法でバッターボックスに立つ唐傘選手」
「逆に二本足打法ができるもんなら見てみたいわい」
「対するピッチャーは先ほどいいところを見せられなかった牛若丸です。
女性の観客からは『うっしー』コールが巻き起こっています。
この牛若丸選手は高校時代から多くの女性ファンの支持を得ていましたからねえ」
「最近ではスポーツ選手だてらに大河ドラマで主演を張るなど、
若い女性だけでなく、幅広いファン層を獲得しているんだカー」
「さあ、芸術的な変化球ではやくも2ストライクと追い込んだ牛若丸。 第三球を、投げた。
おーっと、バッターの唐傘選手、カサを広げたかと思うとボールをその上で受けて
クルクルと回し始めました。これは器用だ。そうしてボールの勢いを殺いでおいて、
そのまま遠心力でレフト方向へぽーんと弾き返した」
「レフトは守ってよしの児雷也なんだカー」
「ボールは詰まりながらもひょろひょろとレフトの頭上を越えそうだ。
児雷也選手、お得意のジャンピングキャッチを見せるか?
あー、ジャンプするも届かない!いつもの驚異的なジャンプ力はガマあっての
ものだったのか。入りました。あっさりホームランです!」
「いや、待て。主審がなにやら手を振っておるぞ」
「ここで主審がホームランの取り消しを宣言したみたいですね。
えー、今の一球ですが、ホームランではなく唐傘選手へのデッドボールということで
記録されたようです。惜しい、唐傘選手。幻のホームランとなってしまいました」
「しかし、これでランナー一塁なんだカー。続く7番大天狗親分が打ってくれるカー」
「解説のカラス天狗さんは大天狗選手とは師弟関係だそうですね?」
「そうなんだカー。しかも牛若丸も鞍馬キャンプでは一時期大天狗親分から
直接教えを受けている間柄だから、奴とは兄弟弟子にあたるカー。
親分と牛若、かつての師弟にあたるこの二人の対決は見ものなんだカー」
411 :
天之御名無主:2006/01/04(水) 02:08:44
人間が妖怪や魔物に変貌する姿をリアルに書いて欲しい。
412 :
天之御名無主:2006/10/08(日) 23:21:11
不思議なスレだなあ
「さぁ、Ladyメリーの登場です!
薔薇の刺繍のドレスを纏い、
か細き腕には、一振りの鎌
カラダと別れる覚悟はできたのかしら?
Uoo La La〜、
私は見つける、法を犯したもの、そして私は知らせる、ベルを鳴らして、
そして私は近づく、確実に一歩ずつ、そして私は準備する、死刑執行のその時を、
そして私は恐怖を与える、罪を後悔させるため、
そして私は鎌を振るう、汚れた命を絶つために・・・」
第一話
「先輩! ヤベェっすよ、テレビ見ました? あの事件の事・・・」
先輩と呼ばれた男は、首を鳴らしながら、めんどくさそうに応えた。
「ボケェ! 真二ぃ! 証拠はな〜んも残しとらんじゃろぉ?
どんだけニュースになろうと、ばれやせんて・・・。
たくのぉ、あのクソアマ、おとなしくゆーこと聞いとりゃー、
火だるまになることもなかったのにのぉ。」
・・・数ヶ月前、一人の少女が行方不明になった・・・、
警察の必死の捜索にもかかわらず、消息はつかめなかった。
ところがつい先ごろ、犬を散歩中の男性が、湖に浮かんだ少女の死体を発見したのである。
死体が腐乱していたためか、石の重りが外れたと見られている。
そして、警察の発表によれば少女は生きながら顔を焼かれたらしい・・・。
「たく、アホが、クスリの運び屋なぞ、楽な仕事じゃろが・・・、それより真二ぃ、
余計なとこで口滑らさんとけよぉ、そンときゃおどれが水の底やぞ! ええな!」
真二は高校を中退して以来、ずっとこの男についてきた。
彼に逆らうマネは決して取らない。
「だ、大丈夫っす、オレを信じてくださいよぉ・・・ん? 先輩、ケータイ鳴ってますよ。」
「ん? おお・・・あーこれか? お? 誰じゃ・・・非通知?」
男はいぶかしがりながらも携帯を耳にあてた。
「おー、誰じゃ? ・・・もしもし」
携帯からは、小さく、しかしはっきりとした女性の声で、彼の耳に届いた。
「わたし・・・メリー 」
第二話
「あ? なんじゃい、お姉ちゃん、この電話、誰に聞いたんじゃ? ・・・お?」
通話はすぐに途切れたようだ。
「先輩、何すか?」 男は不機嫌そうに携帯を閉じた。
「分らん、『お客さん』かものぉ、ワシんとこには直接かけんことになっとるんじゃが。」
彼らの世界では、分業は徹底されている。捕まるリスクを最小限に抑えるためだ。
だが、彼らはまだ気づいてなかった、
警察や同業の犯罪者より、もっと恐ろしいものに見つかったことを・・・。
二時間後、兄貴分の男は事務所を出て、自宅へ帰ろうとしていた。
何の気なしにカーラジオをつけた時、奇妙なノイズに気づいた。
『・・・道路状況です・・・国道○号線では、事故処理のため・・・ジジ・・・
キュィ〜ン・・・』
「ん? 変じゃのう、このあたりの電波は、入りがええはずじゃが・・・」
その時、彼は耳を疑った・・・ラジオのスピーカーから、聞き覚えのある声が流れたからだ。
『・・・もしもし、わたし・・・メリー、』
反射的に男はブレーキを踏んだ。
後ろの車が肝を冷やしたようだが、知ったことではない。
むしろ、飯の種だ。残念ながらというか、車は無事だ、だがそんなことはどうでもいい。
ラジオは、元の放送に戻ってる、携帯は今は鳴ってない、着信の記録もない。
なんじゃ・・・?
待ち伏せや闇討ちなど、彼らの世界では珍しくない。
だが、今起きてる不可思議は、暴力的なにおいは感じさせなかった。
それゆえ、まだ、彼は落ち着いてたのだが、
自分のマンションに着いた時、彼の心に恐怖と言うものが芽生え始めた・・・。
自宅の電話にメッセージとファクスが届いていた。
まさか・・・
ファクスには「わ た し メ リ −」
第三話
ありえなかった・・・、携帯ならともかく、この電話は身内しか知らない。
着信メッセージにも例の声が入っていた・・・、
「ざけやがって・・・!」
不意に携帯が鳴った。
何処の誰じゃあ、クソッタラァ!
喉まで用意した言葉だったが、今度は発信者が表示されていた。
・・・真二だ。
「おぅ! 真二ぃ!ええとこにかけてきた、わしにつまらんマネしよるアホがおってな・・・」
彼の言葉が終わらないうちに、真二は怯えた様子で訴え始めた。
「せ、先輩! 事務所に誰かいるんです!
で・・・電気も切られて、
上の部屋の窓が割られました!」
彼らの事務所は三階建てで、一階はガレージ兼物置だ。
普段は二階をメインに使い、部屋は上の階を含めて六つある。
今夜は真二が夜の番というわけだ。
「・・・真二! 落ち着かんかい! 鍵はかけとろう? 上から入られたんか?
そいつは一人なんか?」
・・・自分達の事務所に侵入する・・・それが何を意味するか、彼らにはもちろん、わかっている。
死人が出ることも覚悟せねばならない。
「あ、ハイ、ひ・・・一人だと思います、もしかすると女かもしれ・・・ません。」
それは意外な返答だった。
「あぁ? そんなモンにびくついとるんかぁ!? ・・・待たれ、何で女や思うんじゃ?」
そう聞きながらも、彼には予感めいたものがあった。
「す・・・すいません、先輩が事務所を出てから、電話が何度もあったんです・・・
女の声で・・・『わたし メリー』・・・って! (遠くのほうで大きな音) !!」
第四話
真二のうろたえた声を聞く男の背筋に寒気が走った。
「おぃ、今の音は何じゃ!? エモノは持っとるな? 近場の奴を応援に行かす、
それまで持ちこたえとけ! 」
(何じゃ? ただのクスリでおかしくなった奴ちがうんか?
対立組織? まさか? こんなふざけた手口の奴らなぞおらんわ!
しかも三階から事務所に侵入したじゃと?)
そう考えていると、電話の向こうから真二の強がる声が聞こえた。
「と・・・隣の部屋やと思います。今もなんかごそごそやってます! 物盗りかもしれません、
大丈夫っすよ・・・一人で片付けます!」
そうは言うものの、男の胸中には言い知れぬ不安感がぬぐえなかった。
「お・・・おい、ちょっと待たれ・・・」
「先輩・・・一度、電話きり ま す・・・う わ あ あ
ガチャーン!
激しい窓ガラスの破れる音が聞こえた。今度は電話口のすぐそばだ。
真二の叫びが早かったかもしれない、窓の外に「それ」を見たのだろうか?
また、それと前後して、携帯を床に落としたような衝撃音も続いた。
「おい! 真二ぃ! 真二ぃぃ!!」
電話口からは人間の声というより、動物の悲鳴のような嗚咽が断続的に聞こえている。
何かを引きちぎるような嫌な音も聞こえる。
男は必死で呼びかけるが、悲鳴はもはやそれ以上発せられることはなかった・・・。
電話口ではまだなにかゴソゴソ、音が聞こえる・・・
「真二ぃ・・・!」何が起きたかは想像に難くない、
彼が携帯に向かって怒鳴り声をあげようとしたまさにその時、
向こうの電話を拾い上げるような音が入ってきた。
相手の呼吸音が小さく聞き取れる・・・間違いなくそれは真二のものとは違う。
「おまえ・・・誰じゃ・・・!?」
小さな声は、しかしはっきりと男の耳に届いた・・・。
「わたし、 メリー・・・ 若くして 生きることを奪われた少女に 安らぎを・・・!」
418 :
天之御名無主:2007/04/12(木) 01:16:43
☆ 続きもあるのですが、妖怪じゃないからダメ?
妖怪・・・なのかなぁ?
第五話
「・・・お姉ちゃん、あの小娘のツレかなんかか?
・・・真二は 死んだンか?」 男は冷静になった。
自分を慕っていた真二を殺された怒りもあったが、狙われた原因を特定できたこと、
相手が対立組織でなければ、たいしたことはできまい、という予想もあった。
電話は程なく切れた。
その後の男の行動はすばやかった。
部屋に隠してある武器の確認−手に吸い付く大振りのナイフ、
窓や戸締りの確認、部屋の中の死角のチェック・・・、
そして他の舎弟たちに連絡を取ろうと、携帯を再び取ろうとした時、一つの疑問が生まれた。
(なんで真二は簡単に殺られたんじゃ?)
不意をつかれれば、暴力の世界に住む彼らとて遅れをとることはある。
だが、すでに真二は警戒していた。もし、相手が本当に女性なら、
本当に反撃もできずに真二が殺されるだろうか?
・・・そんなことを考えながら、携帯のリストを開こうとした時、
またもやそれは鳴った・・・発信者非通知・・・彼はゆっくりとボタンを押し、自分の耳にあてた・・・
「もーしもーし お姉ちゃんかいのー?」
二、三秒応答はなかったが、もはや聞きなれた声が流れた。
「わたし メリー・・・ いま、あなたの家の下にいるの 」
第六話
(はぁぁ? 何を言っとんじゃい?) あの事務所からここまで、車を使ったところで五分はかかる。
先ほどの通話を終えてから三分も経ってない。
彼女の言葉を信じはしなかったが、慎重な男は警戒しながら部屋のドアを開け、
マンションの通路に出て階下をのぞいた。
・・・人の気配は感じなかった。
だが、耳を澄ますと、遠くのほうで、カツ、 カツ・・・というゆっくりとしたヒールの音が聞こえていた。
昇ってきている・・・。
男はコートの内側にナイフを忍ばせ、ゆっくりと音のする階段のほうへ向かっていった。
突然、音は止んだ・・・まだ階上まで上がりきってはないはずだ、
下の階の住人だというのか?
男は警戒したまま、息を殺し、足音を忍ばせ、階段を見渡せるすぐそこまでにたどり着いた・・・
もし女が飛び出してきても、冷静に対処できる心構えがあった。
男は階段の防火扉を注視した。身を潜めるにはそこしかない。
彼は十分に間合いを取りながら、その内側を覗く為に回り込んだ・・・!
!!
「うぉッ!!」
いたのだ! 銀色のカールした髪を垂らし、血の気のない白い肌、
肩のパフスリーブのレースの下から、折れそうなほど細い腕が露出している。
あらぬ方向を向いたグレーの瞳、薔薇の刺繍のついたドレスを纏った女・・・
だが、それは・・・精巧にできたマネキンだったのである。
警戒はしていたが、予想外の出来事に彼の心臓は早鐘を打った。
「脅かしおって・・・!」 男は左手の拳でマネキンを叩いた。
間違いなく人形の感触である。勢い余って人形は後ろに倒れた。
ゴトッ、無機質な音が階下に響く。
だが、いつからこの人形はあったのか? 男はあたりを伺って部屋に戻ろうとした。
「待てよ・・・アレはもしかして・・・おとり・・・?」
彼は警戒態勢を保ったまま、部屋の前まで戻り、ゆっくりドアを開けた。
異状は・・・ないか? いや、またしても家の電話機に新しいメッセージが入っていた・・・。
彼は静かにドアの鍵を閉め、電話機の前に向かい再生ボタンを押した。
録音は、自分が外にいた、まさにその時だった。
「・・・わたし、メリー・・・ 今、あなたの部屋の前にいるの 」
第七話
ピーンポーン・・・
インターホンが鳴った・・・、そんな馬鹿な、何処に隠れとったんじゃ!?
男は身動きを止め、息を潜めた・・・。
ピーン ポーン・・・
男はゆっくりドアに近づきスコープから外を覗いた。・・・案の定、何も見えない・・・。
突然、小さな窓の視界が塞がれた! いや、グレーの瞳がこちらを見つめている。さっきの人形・・・。
思わず男は、外に飛び出す衝動に駆られたが、真二の例もある。
男は部屋の真ん中に戻り、携帯を開いた。
「おぅ、わしじゃ! 真二がやられたかもしれん・・・連絡取れる奴、
みんな集めてワシの部屋に集合じゃ! 道具も用意せられ!」
小声で短い会話と細かい指示をした後、携帯を切り、もう一度ドアスコープに寄ってみた。
・・・もう人形は見えない。
バスルームのほうから、何かを壊すような大きな音が聞こえた。
・・・バスルームにも小窓はある。
だが、人の入れる大きさではない・・・そう思ったが、男は恐ろしい事実に気づいた。
バスルームの窓の外は、マンションの壁・・・もちろん、何の取っ掛かりもない。
そういえば、真二の話では何者かは三階から侵入したという、
そして恐らくは、隣の部屋から一度外に出て、外の壁を伝って真二のいる部屋の窓から・・・。
男は注意深くバスルームの扉の前まで寄った・・・、
電気をつけ曇りガラスの向こうを見透かそうとする。動くものはない。
そおっと扉を開けてみると・・・小窓が窓枠ごと破壊されていた。
この時、彼にはキッチンから聞こえてくる、小さな金属音に気づくことができなかった・・・
事前に仕掛けられていたのか、キッチンの換気扇が容易に外されてしまった事に。
彼が窓の外に注意を向けてた隙に、「それ」は部屋に侵入していた。
男が部屋の中に再び、眼を向けた・・・のは、ほぼ強制的だったといえる。
テレビが突然大音響で響いた。
彼はもはや無言で部屋に戻った・・・手に持ったナイフはいつでも反応できる。
画面ではくだらないバラエティをやっていたが、しばらくすると、画面が乱れ始め、
サンドストームになった。男にはそれが必然的な結果であるように思われた。
テレビの雑音の中に、はっきりとした声が聞こえる・・・
「・・・わたし、メリー ・・・今、あなたの 後ろにいるの」
422 :
天之御名無主:2007/04/13(金) 01:51:37
第八話
もし、第三者がそこにいたら、この奇妙な事態はどう見えるのか?
テレビと男の一直線上の天井に「彼女」は這いつくばっていた。
そして、細い・・・細い腕を一つの関節ごと延ばしていき、
そのか細い腕の先には、さらに細いアラベスク文様の装飾を施された鎌を床に延ばしていた。
形容するならば、毒蜘蛛が獲物を捕まえた時に、
蜘蛛の巣を伝って降りてくる様が適当かもしれない。
終いには、天井に接しているのは、つま先と両膝のみで、
細い身体は床に向かって、ぶら下がっているだけになっていた。
「彼女」は鎌を使ってゆっくり・・・スローモーションのように着地した。
・・・音はしなかった、だが、男にはそれがわかった・・・、
自分の命に絶望的な死を与えようとする凶悪な気配を。
全身鳥肌が立ち、呼吸は不規則になり、
口の中は鉄の味しかせず、ナイフを握っているはずの手は汗でビショ濡れだった。
・・・どれぐらいの時間が経ったのか・・・いや、ほんの数秒だったのか・・・、
男はあらん限りの叫び声を上げ、ナイフをかざして振り返った!
彼は見た! 目の前にいる人の姿をした「彼女」を。
不気味に光る鎌を持ち、薔薇の刺繍のドレスを纏い、肩のレースからは小枝のように
か細く白い肌が露わになったその姿を! 銀色の髪は無機的に輝き、生気のない
青白い頬を! そして鏡のように全てを写すグレーの瞳、この世のあらゆる美しさを
備えながらも、かつ、何者をも拒絶するかのような神聖な顔立ちを・・・!
つい今しがた見たはずのマネキン人形とは全くの異質なものだった。
眼球だけが、本物の人間のように小刻みに動いている。
無慈悲な鎌の軌道は、男の首に触れる寸前で止まった・・・、
男は必死で左手で鎌の柄をつかみ、右手のナイフを何度も「彼女」に突き刺そうとした。
だが、何度彼女の頬に刃を立てても、表面を傷つけるだけでひるまない。
それどころか、装飾鎌の力がどんどん強くなって、左手で支えきれなくなっていた。
「なんでじゃぁ・・・! なんでマネキン人形にこんな力があるんじゃぁッ・・・!」
男の声は悲鳴に変わっていた。人形は獲物を見つめながら、独り言のようにつぶやいた。
「・・・わたし、 メリー・・・憎しみ、恨み・・・救われる事の無い苦しみが わたしのちから・・・」
423 :
天之御名無主:2007/04/13(金) 01:53:45
つづく。
第九話
・・・もはや男の手にはナイフは無い・・・。
刃物が効かないと分ったからには、両の手で鎌を持つ手を抑えるしかない。
何故だ!?
何故マネキンが動いている?
この感触の冷たさ・・・このか細い腕・・・
何故折れない・・・!?
白いコルセットで締められたウェストは、男の太ももより細いかもしれないのに・・・!
「あ あ あ あ・・・!」
力の増加は既に止むことが無い・・・。
もはや、その力は男の限界を超えようとしていた・・・。
「・・・わ、悪かったぁ! 殺すつもりはなかったんじゃぁ! 頼むぅ! 許してくれぇッ!!」
文様のある鎌の刃は、既に男の咽喉の皮膚を切り裂き始めている・・・。
男の首から鮮血が溢れ始めた・・・。
「わたしの名は メリー・・・ わたしは鎌を振るう・・・汚れた命を絶つ・・・ために」
マンションの下には、男の舎弟たちが集まっていた・・・。
彼らが階下から階段を昇ろうとしたとき、
彼らの耳に、生理的な嫌悪をもよおす叫び声が聞こえた・・・。
彼らは大きな声を張り上げ、男の部屋の前にたどり着いた。
外されている換気扇・・・鍵の閉まった扉・・・チャイムを押すもの・・・ドアを叩くもの・・・
携帯で必死に通話を試みるもの・・・もはや全てが無駄だった・・・。
彼らがドアを破壊し、部屋に入った時には、大量の血の海の中に・・・
頭部が切り離され、既に肉の塊となった男の死体が転がっているだけだった・・・。
・・・マンションの下ではゆっくりとしたハイヒールの音が響いていた。
彼女は小さく、はっきりした声でつぶやきながら歩いていた・・・
最終話
「・・・うぅ らぁ らぁ・・・
私は 見つける 法を犯したもの
そして 私は 知らせる ・・・ベルを鳴らし・・・
そして 私は 近づく 確実に・・・一歩ずつ
そして私は 準備する 死刑執行の その時を
そして 私は・・・恐怖を与える 罪を後悔させる ため
そして私は 鎌を・・・振るう 汚れた 命 絶つ ために・・・」
壊れたゼンマイ人形のように・・・、
「彼女」は一定の無機的な動作で、闇の中に消えようとしていた・・・、つぶやきながら・・・。
「主よ、われを助けたまえ・・・
われに平安と安息を与えたまえ・・・
ヒトの心を失い・・・思い出を奪われたわたしに・・・
大いなる慈悲を お恵み下さいますよう・・・ 」
うぅ らぁ らぁ・・・
もはや誰にも彼女の姿は見えはしない・・・。
ただ・・・小さな声がそこに残っているだけだった・・・
うぅ らぁ らぁ・・・・・・うぅ らぁ らぁ・・・・・・
・・・うぅ らぁ らぁ・・・・・・・・・(エコー)
426 :
天之御名無主:2007/04/15(日) 00:18:34
これでお終いです。
では!
427 :
天之御名無主:2007/05/04(金) 11:56:55
ヤバイ。このスイーツまぢヤバイ。
私今までこんなスピリチュアルなスイーツ食べたことなかったよ。
この間もセレブな友達とランチしに行ったの。
若い女性に人気って噂のパスタ超おいしかった〜☆
秋色コスメも買ったし、ちょっとフンパツしちゃったな…。
でもいいよね♪頑張った自分へのご褒美だもん♪
女だけで、楽しむってのもなかなかイイ!
この前気合い入れてデート服着て行っちゃった。
夏色コスメも小悪魔メイクにまだまだ使えそう。
さらにふわモテカールでばっちり自分らしさを演出!
常に上目遣いで等身大の私を「魅せる」!!
私って恋愛体質だから、ついケータイ小説読んじゃうの。
まぢ泣けるハートフルストーリー!
まぁ綺麗になって彼氏にも愛される為には
日々の努力やスキンケアが必須だよね。
CanCam見てればわかるよ。
今時ドナーカード保持者なんてブス子しかいないから(笑)
ダイエットはもちろん、マイナスイオンで身体を癒す岩盤浴なんかもいいよ。
美肌のカリスマも言ってた。
最近はハッピースピリチュアルメイクアップアドバイザーが
紹介してたアロマテラピーとホットヨガがマイブーム。
頑張ってデキる女目指します!!!!
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ハ // ̄
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( ◎) / .|
_ノ(ノヽノ .ヽ-ヾ _
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/ ノ人 ヽ
| イ・ヽ\) )
| .| | ヾ) )
ヾ人__ノ(。。` ヽ /
| ⌒ | ノ ノ
人 | レノ /
ヽ、 ⌒ ノノノノ
/~/`ーーーー´/___/ヽ
/ | ̄~|ヽ/\/| | |
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430 :
天之御名無主:2009/10/09(金) 03:18:32
こわいよ〜
431 :
天之御名無主:
岡田外務大臣キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku2ch/1256630318/1
早く記念カキコしないと埋まっちゃうwww