忌み地の話ではないが、前述の茨城県稲敷郡江戸崎町下君山から、上君山へ
向かう国道408号には他にこんな怪談もある。
これも昭和の初め頃の話で、小雨がしとしとと降る寂しい夕方に火の車が
現れるという話があった。
火の車は近付いてくると、側によって「乗ったか?乗ったか?」と声を掛ける。
返事をしないと何時までもまとわりついて「乗ったか?」と決して去らない。
そこで「乗ったあ!」と答えると、まっしぐらに走り去る。
行く先は多分、上君山の「いも薬師」だろうという。
※「いも薬師」は別名:「車堂」と呼ばれている。
国道に面した、雨よけのあるだけの奥行きのない木造の祠堂である。
何故「車堂」と呼ぶのかは、はっきり分からない。