北朝鮮の民俗・神話学

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13天之御名無主
高麗王朝の末期、排仏の法令が出され、僧侶は次々に逮捕連行されて行きました。
そんなある日、士官を望む男の家にその兄である僧侶が現れ、保護を求めてきます。
男は兄を押入にかくまっていました。兄は食事は差し入れてもらいますが、
閉じこめられて退屈でたまりません。手慰みに残った飯粒を捏ねて動物を作りました。
そしてその口を針で突いたところ、その飯粒の動物は針を食べてしまいました。
鉄を食う怪物に変身してしまったのです。兄は動物を山に放しました。
士官を望む男はなおも兄を匿いますが、兄は自分がいると迷惑がかかるから、と
家を出ることにしました。そして「何かあったらこれを開け」と、煙草入れを
手渡したのです。
(高麗時代には煙草はないはずですが、伝説と言うことにしておきましょう)
しばらくして、鉄を食う怪物の噂で国が大混乱です。刀で斬りつければ
その刀を食べる、矢で射てもダメ、大切な鉄製品を食いあらされ、国を挙げて
大弱りです。男がこの時だとばかりに煙草入れを開きますと、そこには
「ファガサル」(火ならば殺せる)と書かれた紙が書かれていました。
男は都に上りますと、王にまみえ、私が怪物を殺して見せます、成功の暁には
士官の口をと頼み込みました。王は家来に命じ、男の意見に従って王宮の庭に
囮用の鉄製品を集めさせました。やがて怪物がやってきてワシワシワシと
鉄を食います。男はこっそりと後ろに回り、火打ち石を打ちました。
するとそのとたんに怪物は消え去り、後にはただ手垢にまみれた飯粒の動物が
転がっているだけでした。
男はめでたく役人に取り立てられたということです。

「ファガサル」という言葉が訛り、プルガサリとなったそうな。