806 :
河豚比礼:
雪女・滝川
雪の降る夕暮れに空知川のほとりに佇み、雪が止むとともに姿を消す女性
がいて、「狐か狸の仕業か」と噂が立っていた。山形に恋人を残して
出稼ぎに来ていた吾助が、雪の降る夕方、恋人に似たその女と出逢い、
声をかけた。女は「あんたを待ってたの」と家に誘う。朝起きると
女の姿は無く、布団が湿っている。こんな事が毎夕続き、吾助はみるみる
痩せ衰えていく。同僚が後を尾けると、川辺の洞でつららを抱いて
眠っている。程無く吾助は骸で発見された。女は、故郷の恋人が病死、
魂となって現れた姿という。