「陰口」が蝕むネット言論の自由
日本最大のネット掲示板といえば?「2ちゃんねるだ。」と多くの日本ネチズンは言うだろう。
2ちゃんねる www.2ch.net は400以上のカテゴリを抱え、1日100万以上と言われる
アクセスを稼ぐ掲示板サイトである。政治、経済の話題から芸能人のスキャンダル、ちょっと
した生活の知恵やアングラな告発までが書き込まれ、「祭り」と2chネチズンたちが呼ぶ
バカ騒ぎでは実際に新聞沙汰になる事件も起こっている、まさに言論の自由の象徴のような場所だ。
しかし、その2chは今、書き込み数が激減するという危機を迎えている。書き込み評論サイト
「もなチャット」
http://fradio.gotdns.org/monachat.html では、「投稿格付け」という
コーナーを設け、そこで「今日の痛い書き込み」というランキングを発表している。一言で言えば、
2chの書き込みをランク付けし、発表しているのだ。2chに投稿された書き込みのうち、
「大きな勘違いをしている」と思われた書き込みが晒され、笑いものにされているのだ。
数ヶ月前から2chに書き込みをしていないという菊地正男氏(仮名)は、こう語る。
「僕の書きこみが上位に格付けされたときは本当にへこんだ。あそこに晒されるのが怖くて
最近は全く書き込んでいない」「知らないうちに自分の書き込みがああいうところに載せられ、
皆に評論されるのは不快だ。自分と同じように考えている人も多いようだ」
「格付け」は言論の質を保つためには重要だ。しかし、本人の知らぬところで行われていればそれ
は「陰口」に過ぎない。言論の自由と悪質な言論の駆逐はいつの世も難しい問題だ。
【Newsweek日本版 2004年2月4日号】