嗚咽 その2

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176大人の名無しさん
高校の頃、進路や人間関係のゴタゴタでちょっと鬱が入って、暫く学校を休んでいた時期があった。
その日も学校休んで、何にもやる気がしなくてごろごろと寝っ転がっていたら、家の庭から猫の鳴き声がして、
なんか気になったから見に行ってみたんだ。そしたら、柿の木の上にガリガリに痩せた子猫がいた。
登ったはいいが、恐くて自力で降りれなくなったみたいだったから、脚立を持ってきて、
激しい抵抗をされながらも降ろしてやった。
頬も凄くこけてて痛々しかったし、ひどく怯えた様子がまるで自分を見ているみたいで、放っておけなくなって、
それから毎日餌をやるようになった。
最初は俺が見ている間は餌に近づこうともしなかったけど、餌をあげるうちに慣れてきて、呼べば遠くにいても
凄い勢いで駆けてきてくれるようにまでなった。
177176:02/01/24 16:19 ID:sAcyKk8I
その猫と接しているうちに心の方も落ち着いてきて、なんとか学校に行けるようにもなった。
相変わらず悩み事はあったけど、学校から帰ってくる時、俺の足音を聞きつけて玄関の前にちょこんと座って、
毎日毎日出迎えてくれてたから、なんとか乗り越えられてた。
そんなことが一年ちょい続いて、無事に志望大学にも合格して、あとは卒業式を待つだけになった。
下宿先に猫を連れて行こうと思ってペットOKのマンションを選んだり、猫のトイレや首輪なんかも買って
楽しみにしてた。そんな矢先だった。
ちょっとコンビニに買い物に行って帰ってきたら、家の前の道路の端にグレーの塊が置いてあった。
胸騒ぎがして駆け寄ってみたら、その猫だった。さわったら、まだ暖かかった。でも、もう息はしてなかった。
車に撥ねられたみたいで、口から血を出していた。
そのまま猫を抱えて、柿の木の根元に埋めて墓を作ってやった。頭をガンガン殴られているような気がしたが、
不思議と涙は出なかった。

夜、布団に入って電気を消したらいきなり涙が溢れてきた。親兄弟に泣いているのを聞かれたくなかったから、
布団を頭から被って歯を食いしばって堪えようとした、けど駄目だった。
次から次へと楽しかった事が思い出されて、涙と声が止められなかった。
178176:02/01/24 16:29 ID:sAcyKk8I
あれから十数年、実家で今飼っている猫が子供を産んだので、この間見に帰った。
四匹産まれた内、一匹だけ白い親猫に似ていない、グレーのシマトラの猫。
瞳の色もあの猫と同じ色だった。初めて会ったはずの俺に凄く懐いてくれた。
記憶がフッ、と蘇ってきて、知らないうちに涙が出てた。

今、その猫を引きとって、一緒に暮らしてます。