硫化水素自殺は本当に苦しまないのか? 3

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316優しい名無しさん
【肥田美佐子のNYリポート】2045年:コンピューターが人類の知能を追い抜く「特異点」到来か
2011年 3月 4日 10:25 JST

 2045年、人工知能(AI)を搭載したスーパーコンピューターが地球を支配する日が訪れる。
コンピューターが人間の知性を超え、世界は「シンギュラリティー(特異点)」に到達する。
病気や老化といった生物学的限界が取り払われ、もはや死さえも「治療可能な」ものになる――。

 こんなSF映画さながらの「未来」の到来を固く信じ、研究や講演、執筆活動、映画制作に
飛び回る一人の米国人男性がいる。ニューヨーク出身の米主要発明家にして未来学者、起業家、
ベストセラー作家であるレイ・カーツワイル氏(63)だ。あのビル・ゲイツ氏に「AIを語らせたら
右に出る者がいない未来学者」と言わしめるほど、米国では、天才的人物との評価が高い。

 カーツワイル氏は、その日を自分の目で見届けるべく、毎日、150粒のサプリメントを服用し、
老化と闘っている。昨年、05年にベストセラーとなった同氏の著書『The Singularity Is Near:
When Humans Transcend Biology』(邦訳「ポスト・ヒューマン誕生――コンピューターが
人類の知性を超えるとき」日本放送出版協会)を映画化したドキュメンタリー『The Singularity
Is Near』(「シンギュラリティーは近い」今年1月公開)の試写会で言葉を交わしたが、
その肌のハリとつやには思わず目を奪われた。
317優しい名無しさん:2011/03/29(火) 20:14:55.67 ID:wIH0i+SL
 だが、ベストセラーの出版以来、シンギュラリティーという言葉も徐々に受け入れられるように
なってきたとはいえ、まだ一部マニアの「ファンタジー」という批判も根強い。

 そんななか、2-4月にかけて、カーツワイル氏の軌跡と思想にスポットを当てたドキュメンタリー映画
『Transcendent Man』(超人)の試写会が、ニューヨークを皮切りにロサンゼルスやロンドンで
開催されるのを機に、米誌『タイム』が「2045年――人間が不死になるとき」と題する特集を掲載
(2月21日号)し、大きな反響を呼んだ。テレビの著名インタビュー番組などにも出演するなど、
カーツワイル氏のシンギュラリティー論が再び脚光を浴びている。本紙2月17日付オピニオンへの
同氏の寄稿も注目を集めた。IBMのスパコン「ワトソン」が、テレビの人気クイズ番組「ジョパディ!」で、
チャンピオンたちを次々と破った話などが紹介されている。

 「3年前、フェイスブックが世界の5億人の人々をつなぐことになるなどと、誰が想像できたろうか。
2004年、ハーバード大学(の寮の一室)で始まったソーシャルメディアが、推定時価総額500億ドルもの
新規株式公開(IPO)を目指すまでに成長するとは(注:2012年にIPOの見込みと報じられている)。
世の中は、すさまじいまでに目まぐるしく変化している。しかも、そのスピードは速まる一方だ。
速く、より速く、さらに速く」
318優しい名無しさん:2011/03/29(火) 20:16:12.76 ID:wIH0i+SL
 つまり、あと35年でコンピューターが人類の知能を超えるわけがないなどと断言できるはずがないと、
カーツワイル氏は訴える。というのも、1400年代半ば、グーテンベルク(独)が、羅針盤、火薬とともに
「ルネサンス三大発明」といわれる活版印刷を発明した際には、市民に出版技術がいきわたるまで
4世紀かかったが、1800年代後半に発明された「電話」は、半世紀で欧米の全世帯の4分の1に普及した。
携帯電話は7年、ブログやソーシャルメディアは3年だ。進化のスピードは、加速度的に速まっており、
開発コストも、その速度に比例して減っていく。カーツワイル氏が、ある発明は他の発明を生み、
より短い年数で、また別の発明をもたらすという「収穫加速の法則」を唱えるゆえんだ。

 『ポスト・ヒューマン誕生』は、グラフや専門用語が頻出する分厚い書だが、カーツワイル氏が
繰り返し説くのは、「テクノロジーの進化は、直線グラフ的ではなく、指数関数的(二乗、三乗など、
定数を掛ける勢いで加速する)に速まる」という一点だ。現在の知識で未来を予測することは
不可能であり、変化というものは、予期できない形で、激しく、爆発的に加速する。その結果、
研究当初、思いもよらなかったことが起こりうるという。そう考えると、未来を現時点での知識レベルで
「予想」したSF映画が押しなべて退屈なのも納得がいく。

 17歳のころ、テレビのクイズショーで、自身が開発したコンピューター制御の音楽を演奏し、
200ドルを手にして以来、数々の発明で富を築いてきたカーツワイル氏。
マサチューセッツ工科大学(MIT)在籍中には、高校生向けの大学選びのコンピュータープログラムを
ニューヨークの出版社に10万ドル(約820万円)で売り、早くも印税を手にする身分になった。
319優しい名無しさん:2011/03/29(火) 20:17:20.44 ID:wIH0i+SL
 その後、世界初の文章朗読機を発明した際には、目の不自由な著名ミュージシャン、スティービー・ワンダーを
顧客第1号に持ち、話題をさらった。シンセサイザーの開発など、音楽業界への貢献でも有名だ。
これまで取った特許は39、手にした名誉博士号は約19に上る。2008年、米航空宇宙局(NASA)の協力を得て、
シリコンバレーのNASAエイムズ・リサーチ・センターに共同開設した「シンギュラリティー大学」には、
全世界の起業家やエグゼクティブ、研究者などが詰めかける。あるコースは、わずか9日間で1万5000ドル(約123万円)もの
高額の学費にもかかわらず、だ。

 「エリートの道楽」「テクノロジー依存症」「シンギュラリティーは、(最新のテクノロジーを享受できる)持てる者と
持たざる者の格差を拡大させる」――。

 カーツワイル氏は、こうした数々の批判を弁舌巧みに一つ一つ論破していく。

 「ひと昔前には、富裕層のステータスだった特大の携帯電話が、今や手のひら大の低コスト電話に変身し、
60億人の世界人口に対して50億台が出回るまでになった。今後2-3年で、スマートフォンが携帯電話市場を独占するという
業界の予想もある」といった具合だ。

 加速するテクノロジーの進歩は、最終的に大半の層をうるおし、人類を幸せにする。シンギュラリティーに到達すれば、
IT(情報技術)が、人間の知識や倫理観さえも取り込めるようになり、テクノロジーと人類は一体化する。
その結果、われわれには運命を超越したパワーが授かり、寿命も運命も自由自在に操れる日が訪れる――。

 そう主張するカーツワイル氏が描く「未来」は、もうそこまできているのかもしれない。もっとも、特異点に達した人類が
生物学的限界を乗り越え、死という宿命さえコントロールできる「特権」を市民が手にするまでには、まだしばらく時間が
かかりそうだが。

http://jp.wsj.com/US/Economy/node_191639