小説うpスレinメンサロ板 (2)

このエントリーをはてなブックマークに追加
333アトミック・クールビズ:2011/06/24(金) 03:54:01.36 ID:WAl3ItPt
 夏まっさかりの太陽が、橋の上を進む男たちを照りつけた。
 彼らの行く先には、震災で崩壊し、放射線で汚染された、原子力発電施設が待ち受けている。
 集団の先頭を歩く男が、空を見上げて呟いた。
「今日も暑いな」
 彼の頭は放射線防護服の白いフードに覆われ、防塵ゴーグルと防塵マスクを着けているため、顔は分からない。
 だが、その放射線防護服は半袖、半パンだった。
 下に着ている作業服も半袖、半パンだ。
 彼に続く二十人の男たちも全員、日焼けした逞しい腕と脚を、風にさらしている。
 後ろの男が先頭の男に訊いた。
「半袖の防護服なんて意味あるんですか?」
 先頭の男は落ち着いた声で答える。
「意味はある。クールビズだ。夏服は涼しいだろう?」
「そうじゃなくて……」
「放射線防護服なんていっても、どのみち放射線は防げん。細かいことは気にするな」
「プルトニウムとか付着したらどうなるんですか!」
「プルトニウムか、世の中そんなものもあるかもしれん。気合と感性で避けろ。お前にもそれができる」
「……」
 新入りらしい、その男は押し黙った。
「忘れるな、俺たちはただの原発作業員じゃない。鋼の原発作業員だ。誰も死なん!」
「……孫受けですよね」
 その時、ガイガーカウンターがいっそう高く唸り始めた。橋の半ばを過ぎたのだ。
「はい、駆け足ー」
 先頭の男がランニングスタイルで走りはじめると、後ろの男たちも続く。
「カーチャンの為ならエーンヤコーラッ!」
「……カーチャンの為ならエーンヤコーラ」
 橋の上を小走りに、汚染地域に突入していく男たち。
 放射線、放射性物質、天候、政治的思惑。
 鋼の男たちは自らの染色体の損傷にも負けず、今日も様々なものと闘い続ける。
 未来に賭けて。
334優しい名無しさん:2011/06/24(金) 23:38:16.35 ID:k09oiml6
>>333
面白い
335優しい名無しさん:2011/06/25(土) 03:04:59.56 ID:ipy30zja
>>334
あっざーーーーーーーーーーーーーーすっ!
テキスポ来なせい。
テキスポ自体は壊れかけのようだけど、投稿者のレベルは高いよ。
336砂原 ◆SeOVkba5Tw :2011/06/25(土) 07:11:49.38 ID:z72kZFhl
>>333
すごいおもしろい
叙情的で感傷的
337優しい名無しさん:2011/06/26(日) 02:17:11.82 ID:rzRjoGCR
>>336
おおおおおおおおっ! このスレで2レスもつけば大・好・評!
この「アトミック・クールビズ」はテキスポの800字バトルに参戦した作品なのれす。
800字バトルってのは800字で作品を書いて、優劣を争うもの。
テキスポ、今日いきなりクラッシュしてて焦ったけども。
大好評だったので、調子に乗ってもう一編うpしちゃう。
これも参戦予定。
338夏のさだめ:2011/06/26(日) 02:17:37.00 ID:rzRjoGCR
 俺は平凡な男だ。
 地元の高校、大学と進学し、今は実家から自転車で通える会社に勤めている。
 ただ、夏まっさかりともなると、俺はある特別なものを視た。
 初めて視たのは十八年前、俺が六歳のときだった。
 夏祭りの帰り道、父母と歩いていると、家へ向かう枝道にかかる橋の上から、女が飛び降りた。
 川面に水柱を立てたきり女は消える。
 俺は大騒ぎした。
 その時は父も橋の方向を眺めていたらしい。
 そんな事なかったと宥められたあと、熱中症を疑われて病院に担ぎ込まれた。
 それから夏がくる度に、彼女を視た。橋から飛び込み、水面に消えるさまを。
 齢を重ねると、近所の高校の夏服を着ている少女だと分かった。
 いつの間にか、彼女の歳を追い越してしまった。
 その夏の夕べにも彼女を視た。
 帰宅する途中だった。
 人通りの少ない橋の上、彼女はうつむいて水面を見つめている。
 彼女はもう、夏の風物詩でしかない。
 俺は躊躇無くペダルを漕いだ。
 だが、橋の袂まで行っても、彼女は立っていた。
 ここまで近づけたことはない。こんな角度から彼女を視るなんて初めてだった。
 何が起きるか分からない。
 俺は自転車を降り、用心しながら、それでも彼女に近づいて行った。
 彼女の腕と脚は殴られたような痣だらけだった。
 生々しい。
 腕を伸ばせば届くところまで来たとき、俺は声をかけずにいられなかった。
「君、何をしてるんだ?」
 彼女はこちらを見もせず、欄干を越えようとした。
「待て!」
 俺は彼女をつかんで引き戻し、振りほどこうとするのを押さえつける。
 彼女は泣いていた。
「辛くて……辛くて」
 俺は彼女を抱きしめていた。
「俺が……守ってやるから」
 それが妻との出会いだった。
 もう、橋から飛び込む少女の姿を視ることはなかった。
339優しい名無しさん:2011/07/01(金) 23:56:42.88 ID:iyR2I8gk
ユートピア思い出した
もう少し長い話しで読みたい
340優しい名無しさん:2011/07/02(土) 00:51:11.92 ID:xMX+0CHD
800字程度だから寸詰まりになりがちだけど、
個人的にはあんまり長く書く話でもないかなと思ってる。
1600字程度にできればちょうどいいかな。
ところでユートピアってなんだい?
341優しい名無しさん:2011/07/03(日) 20:21:40.95 ID:Q3ulg0T+
>>340
びっくりするほどユートピア!
びっくりするほどユートピア!
342優しい名無しさん:2011/07/04(月) 00:04:56.85 ID:IoQD7Coh
>>341
びっくりするほどユートピアって初めて知ったわw
凄まじい儀式だな!
343擬似的:2011/07/04(月) 01:48:41.92 ID:K2CipLsA
今、手を握っていることに意味はあるのかな?
二人の空いているもう一方の手は、互いの性器に触れている。
触れているだけではなく、愛撫している。快楽を与え合っているのだ。
それが目的なら、手を握り合う必要なんてないはずだが、私たちはそのままでいた。
少なくとも私はそうしたかったからだ。彼-がどうかは知らない。

相手の気持ちを考える余裕などなかった。あるのはただ彼-が与えてくれる快楽と、
(つまり、奪われた私の快楽)
過ぎていく何かにすがりつくような気持ちで、私も相手に与えている快楽と、
(奪った快楽)
これらに属さず、繋いだままで静かに置かれた、
二人のもう一方の手だけだった。

電流は先に私からほとばしった。
暖かな遠い空中へと、支えもなく投げ出されるような感覚。
私は彼-への感謝と、同じ感覚を感じてほしい願望から、
電流の中に埋もれそうになる意識を懸命にとどめた。
そして彼-の性器に与える刺激がより深く、より繊細になるよう、心を尽くす。

「いっぱい」
ふいに彼-が、そんなことをつぶやいた。深い夢の中で眠りながら話す人のようだった。
その声を聞いたとたん、私の中からは自分の快楽が消え、彼-への愛しさだけが残った。
私は彼-の唇に自分の唇を当てた。反応は弱々しく、それが一層私の欲望を掻き立てた。
私は性器を握る手に全ての想いを込めた。彼-の背中が弓なりに曲がった。
彼-の電流がやってくる。手の届くところにそれが感じられる。

その瞬間、自分の身に起きたことが信じられなかった。
興奮のあまりだろう、私たちはどちらからともなく、
性器に当てていたのではない、もう一方の繋いだ手を離してしまった。
すると、電流は止まった。私と彼-の間には、もう何も存在しなかった。
私たちは互いを、歩きながらうつむいて見るアスファルトの路面のように、見た。
そこにはもう何もなかった。
344優しい名無しさん:2011/07/05(火) 00:53:15.81 ID:uSoKObkE
おぢさん、こーゆーのグロより苦手なんだけど、評価したほうかいいかい?
とりあえず、苦手意識を持って読んだせいか、素でダメなのか、何がなんだかよく分からないよ!
345優しい名無しさん:2011/07/17(日) 12:54:21.53 ID:qfghQW1u
リハビリ作品

 イライラする。やたらイライラする。毎日わたしは何かにイライラしている。
例えばマクドナルドの店員の笑顔。何愛想振りまいてんの?そんなやっすい笑顔となんていらないからさっさとコーラ寄越せよ。
 わたしは不機嫌を表に出さず、あくまで穏やかにコーラをひったくるように受け取ってプラスチックの椅子に座る。そして辺りを見回してみる。
 バカっぽい話をしてるバカっぽい高校生たち。大人しそうだけど妄想逞しそうなネクラ女。
いわゆる草食系男子とか言いつつ、皮一枚剥いだら性欲の塊で常に瞳をギラギラさせて女を狙っていそうな醜い生物。
 全てにイライラする。でも一番イライラするのは自分だ。
こいつらに愛想笑いしたり、媚びへつらったり、頭下げたり、
何より同じ世界に生きている自分、死ぬ勇気なんてカケラもないバカでバカで仕方なくて愚かな自分にイライラする。
 コーラをズルズルと飲み干してマクドナルドを出る。イライラする世界よ、ようこそ。
346優しい名無しさん:2011/07/17(日) 23:08:33.06 ID:YsMTvTN0
さらにイラつくネタを提供してあげよう。
マックで一番喜ばれるのはコーラらしいぞ。
なんせ原液は無料で仕入れてるらしいから。
俺はマックで飲み物なんて、まず買わない。
マックでコーラなんてブルジョワジーだな、ねねねタン?
347優しい名無しさん:2011/07/18(月) 00:53:43.63 ID:AHSSSL3a
当たり前のように個人特定乙
どう受け取っていいかわからない感想ありがとうございます
ドリンク系は原価安いのは知ってます コーラはスーパーで買う節約派です
348優しい名無しさん:2011/07/23(土) 12:30:13.03 ID:/UMXB8wn
>>346
クッソワロタww
349優しい名無しさん:2011/07/29(金) 02:18:59.66 ID:Nl7IWWn+
ふへへ、笑われちゃったぁ〜。
ところで>>333の「アトミック・クールビズ」が800字バトルでグランプリを獲ったんですぞ!
もう一週間も前だけど、報告忘れてたわ。
350優しい名無しさん:2011/08/01(月) 23:45:17.69 ID:b/QkLtxi
このスレは大丈夫なのか?
351優しい名無しさん:2011/09/01(木) 21:47:36.97 ID:bFxuBoD3
age
352優しい名無しさん:2011/09/03(土) 03:32:58.12 ID:Kzk6INH/
アゲ厨が出現してしまったか
何かうpらねばなるまい。
ちょっと古いが短いの。
353怪人の夕べ:2011/09/03(土) 03:33:21.36 ID:Kzk6INH/
「お前さ、信号待ちってする?」
築四十年のボロアパートの一室で、カマキリ男がクモ男に尋ねた。
クモ男はほおばっていた焼きソバを、あわてて飲み下して答える。
「するんじゃないの、普通?」
「車が通ってなかったとしてもか?」
カマキリ男は黄色い大きな目をぎょろっと回して、クモ男の四つある目のうち、上の二つを見つめながら訊いた。
「そりゃまあ一応、俺たち改造人間だし」
「だからだろ、俺たちトラックに撥ねられたって平気じゃねーの? なんで信号待ちなんかすんの?」
クモ男はやきそばを箸でこねくりまわしながら答えた。
「俺たちはちょっとふっとぶだけで済むけど、トラックの運転手には迷惑かかるじゃん。だいいち君はどうなんだ、カマキリ男くん?」
「待つよ」
「なんで?」
カマキリ男は緑色をしているだけの、普通の両腕を組んで答える。
「どこで子供たちが見てるか、わかんねーじゃん。信号無視なんて見られたら教育に良くない」
「だよねー」
「総統もさ、なんでヒーローっぽい改造してくんなかったのかね、俺たちのこと。お前はまだいいよ、クモ男って感じするもん」
「君なんてさ、カマキリだっつっても肌が緑で目が大きいだけだもんねぇ? あと頭がちょっと尖ってるかな」
「でもさ、いいこともあったぜ? こんだけ目がでかくなったのに、痒くないんだぜ」
「痒く、ってなに?」
「花粉症。改造受けたら治っちゃったね」
「へー」
そんな感じで怪人たちの夜は更けてゆく。
二人は知らなかった。
毎晩、ボロ部屋のカーテンに映し出される二人の怪人の影絵に胸躍らせる、近所の子供たちがいることを。
354ひきニート 1/1:2011/09/16(金) 23:26:14.76 ID:xo4UdeH5
入院してました。お久しぶりです。

 拝啓、天国のお母様、オレは大学を中退して、流行の最先端、ニートひきこもりになりました。
 と死んでもいない母親を死んだことにしてしんみりした雰囲気を吐き出しながら、しかしオレが大学中退ニートひきこもりと言う事実は変わらないのであった。
それにオタクだしね。てへりっ☆
 四畳半のオレの城(築六十二年、フロ無し、トイレ共同)はエロゲーが積んであったり、妖艶な姿をした俺の嫁(二.五次元)のフィギュアが大量にあったり、
八ヶ月かけて作ったガンダム(シャアザク)のプラモがあったり、
かと思えば食べ終わったコンビニ弁当やカップ麺の容器、コカコーラのペットボトルの残骸があちらこちらに散らばっていて、
オレのことを知らない人が見たら、ゴミ溜めかと思われるだろう。
しかしオレにとっては城である。戦闘城砦である。マスラヲ? マクロス? ナデシコ? そんな感じである。わかる人がわかればよろし。ご了承下さい。
 そんなニートひきこもりであるオレ、もちろん好きでニートでひきってる訳ではない。
355ひきニート 1/2:2011/09/16(金) 23:30:15.43 ID:xo4UdeH5
 大学に入ったら脱オタして大学デビューしてサークルで女の子とキャッキャウフフ☆な展開とか
バイトで活躍して店長に褒められるとか、そんなありきたりだけど超ハッピーリア充タイムを期待していた時期がわたくしにもありました。
 あったんですが、全てが真逆で、大学生活はドブ色、サークルに入っても女の子と話しなれてないし、チャラいDQNに圧倒されたり、バイトしたら失敗だらけで店長に叱られてクビにされたり、本当に何なのこれ。
何で現実って攻略不能な訳? オレ生まれてきた時人生ハードモード設定しちゃったの? とか思う訳ですよ、ええ。偉い人にはそれがわからんとです。
 そんなオレが、人生の一大決心をした。もったいぶりらいけど、もったいぶってるうちに聞いてくれる人がいなくなりそうな悪寒なので、とっとと言う。
356ひきニート 1/3:2011/09/16(金) 23:34:34.34 ID:xo4UdeH5
 自爆テロである。
 この超平和国家スパイ天国日本で、自爆テロ。
 冗談?
 ラノベの読みすぎ?
 違う。
 オレは本気である。
 幸運なことに大学では薬品関係の勉強をしていた。
 それに今の世の中は「ザ・殺人術」とか爆弾の作り方とか載ってる本は売ってるところには売っている。
便利な密林さん、マジぱねぇです。
 オレは三ヶ月の期間を費やし、破壊力ハイパーな爆弾を作った。
 乗り込み先は国会議事堂。
 決行日は今日。
 英語で言えばトゥデイ。
 じゃあちょっくら、ニートのひきこもりの底力、平和ボケした世の中に見せてやってきますよ。
 んじゃ、行ってきますか。
357わたしの家族:2011/09/30(金) 15:13:08.00 ID:yxYNbcC/
メーオセイオーと三回唱えれば来てくれるダークヒーローなんていない世界だけど今日のわたしの世界はいつもと同じで泥沼でハッピーイエー。
 不登校の弟が今日も深夜アニメの録画したの(なんかやたら語尾がおかしくて、やたら白いモヤのモザイクがかかってるヤツ)見てて、
同じく不登校の妹はそんな弟にちょっかい出してはサンドバックにされてて、
同じく不登校のわたしは、駄菓子を食べながらその光景を見ていて、
社会的不登校なお母さんは「納豆ねばねば納豆ねーる納豆が納豆が納豆が……」とゲシュタルト崩壊なう。
 わたしの家のお父さんは社会的優等生くんだったけど、
お母さんいわく
「お父さんは別の家のお父さんになっちゃったから、もうサヤ達のお父さんじゃないの。
お父さんはお父さんは別のお父さんになって、
サヤ達のお父さんは消えてしまったの向日葵畑の向こう側へ十二月の向日葵は大層綺麗ね、って十一次元の彼女が言ってたわ」
「お前ジャマなんだよ向こう行けよもう死ねよ」ドカバキ。
「なんでお兄ちゃんあたしにだけそんなひどいこと言うの? ねぇなんでなんで。お母さん、おかーさーん」しくしく。
「納豆納豆、え、何? 今、お母さん、納豆で忙しいの納豆納豆……サヤー」納豆納豆。
「ああ、ごめん。お母さん。わたし今、練り飴練るので忙しいの」ねーるねる。
本当はヨーグリッチをほじくるのに忙しいんだけどね。てへっ。
 ヒーローなんていない。大好きなメーオーセーオーもいない。
世界線も変動しない。
そんな世界だけど今日もわたしの家族は最低で最悪で醜悪でにぎやかで楽しいです、まる。
358俺とミサコ:2011/10/17(月) 21:21:44.22 ID:5xlwnjVF
ミサコ曰く、地球は狙われているらしい。……って何に?
 そんな意味のわからん女が自分の妹である、と言う事実は目を背けたいとしか言いようが無いが、
しかし背けたところでそこにミサコ。俺の後ろにべったり張り付いてやがる。お前は背後霊か。
「お兄ちゃん、地球は狙われてるんだよ」
 今日もミサコの電波攻撃開始。ビビビビ。
「へー。地球防衛軍にはがんばって貰いたいねぇ」
「お兄ちゃんには地球に対する危機感が足りてない。バファリンの優しさを見習うべきだよ! お兄ちゃんが地球防衛軍になってよ!」
「いやぁ、俺は一介の高校生やるんで忙しいんだよ。あ、今日部活だから晩御飯は適当に食べといて」
「えー、お兄ちゃん部活なの? ミサコ放置で部活? ひどい!」
「ひどくない。お前もオカ研なんて幽霊帰宅部入ってないで、運動部入れよ」
「嫌。運動きらい」
「運動嫌いで地球が守れるんですかね、ミサコさん?」
「守れるもん! わたしには宇宙神から授かったマル秘パワーがあるもん!」
「へー、すげーな」
 設定が。
 そんな会話をしながら、俺ら兄妹は学校へ向かう。
 本日も快晴なり。
 早く妹の中二病が治りますように、といるか解からん宇宙神に祈っておいた。
359ねねね ◆wQSXY643Ks :2011/10/18(火) 10:09:48.19 ID:gPXQuZ/h
 モテ期

 人生十七年、今まで一度もモテたことの無かったオレにもとうとう「モテ期」とやらが来たらしい。
通常ならばそれはとても嬉しくてニヤニヤが止まらないだろうところであるが、オレの場合は違うのであった。
 オレの「モテ期」の相手、つまりオレのことを好き好き大好き超愛してるな相手は――有体に言えばストーカー女だった。
 ストーカーだから、日常のストーキング行為は当たり前。
無言電話、愛してる愛してる愛してると延々綴られたロングファックス。
教えても無いのに、携帯電話の電話(留守電)やら、メールやらに大量のラブコール。
最近に至っては自宅に届くオレ宛の郵送物が謎の失踪事件を遂げている。
 通常であれば、即刻ポリスメンにお助け女神事務所をするところであるが、オレはしないし、その予定は無い。
 何故なら、そのストーカー女――白雪はオレの好みのドストライク、超絶美少女なのである。
 天使のわっかが出来ているセミロングの黒髪。陶器のように滑らかな肌。小さな顔には大きなアーモンド形の瞳と、薄い桃色の唇が嵌め込まれ、
町中で出会ったら確実に見とれるタイプの女子。
 流石「モテ期」、まさかここまですごいとは思わなかったぜマサルさん……ゴクリ。
 ストーカーゆえ、白雪は当然の如く、オレが白雪のことを好きだと思っているし、
もしかしたらもう付き合っている気分で明るい家族計画すら立っているかも知れない。
 失礼な友人には「あいつ美人だけどマジヤバいって。早く警察突き出すなりどうなりしろよ。お前、刺されるぞ」
など、言われているが、オレはもう人生に三度も訪れる気がしない「モテ期」を楽しんで、
ゆくゆくは明るくラブラブちゅっちゅな家庭を白雪と作る所存である。
360優しい名無しさん:2011/10/20(木) 00:45:46.69 ID:Hcyu2kek
>>359
そういう状況に憧れるわ
女にストーカーされたいな
361ねねね ◆wQSXY643Ks :2011/10/20(木) 01:53:02.86 ID:GPP9SQTj
>>360
「未来日記」のゆのさま、「さよなら絶望先生」のまといちゃんなど、
美少女ヤンデレキャラは正義だと、わたくしは思っております。
362優しい名無しさん:2011/10/20(木) 04:35:16.82 ID:zqg0+Tbe
>>361
くだらない質問をしますが
あなたは結構、男慣れしてる子ですか?
セックス、なんて言葉が普通に小説に出てくるのでどうなのかなと
363ねねね ◆wQSXY643Ks :2011/10/20(木) 19:07:57.72 ID:GPP9SQTj
>>362
童貞的な意味で言えば魔法少女です。
男性は苦手です。人間自体、お話すると緊張しちゃうタイプですわ。
364優しい名無しさん:2011/10/20(木) 20:38:34.24 ID:zqg0+Tbe
>>363
30歳まで先は長いですが、頑張ってください。
たしか30歳まで処女なら魔法少女になるんでしたっけ?
ちょっと知識不足でわかりません。
365彼方 ◆Ph.D./LIn. :2011/10/21(金) 09:15:06.88 ID:D1urhRKQ BE:975014227-2BP(0)

いったいみんなどこでねねね様の小説読んできたのかと思ったらこんなスレもあったのか。
366ねねね ◆wQSXY643Ks :2011/10/21(金) 13:24:10.23 ID:MIUj5YIB
彼方氏
テキスポでも「ねねね」名義で活動しております。
367ねねね ◆wQSXY643Ks :2011/10/21(金) 21:28:04.06 ID:MIUj5YIB
探偵とぼく

「何故世の中の蒙昧たる愚民どもは俺の偉大なる才能に気づかないのかっ……!」
 ソファーに腰掛けた木田が、忌々しそうに呻いた。一体何度目か、数えるのも面倒だ。
「木田、探偵やめなよ」
 ぼくな何度と無く言ってきた忠告を、友人にもう一度告げた。
「貴様の分際で何を言う! 探偵は浪漫だ! 怜悧さと聡明な推理力、
 すかした台詞……全て俺に当てはまるだろう! 言わば俺の天職だ」
「……って言っても開店閉業中みたいなものだし、犬猫探しだの、浮気の調査しかしてないじゃん」
「ふふん、甘いな。だから貴様は俺の足元にも及ばぬのだ。
俺の爪の垢を全身煎じて飲むと良い。今の仕事は……その、将来への布石、投資である!
 日々業務に勤しむことによって、素敵で可憐な事件が俺の元へ舞い込んでくるのだ!」
「今の仕事……」辺りで歯切れが悪くなったのは気のせいではないだろう。
本人も苦虫を噛み潰したような表情をしている。
 こんな具合にぼくと自称スーパー探偵木田の日常は、何の変化も無く連続される。
368優しい名無しさん:2011/10/21(金) 21:46:21.74 ID:SoUBx+7H
>>367
「ぼくな」は「ぼくが」かな

できれば起承転結の物語に挑戦してもらいたい。
369優しい名無しさん:2011/10/21(金) 22:37:44.26 ID:hO3dAFya
>>368
今はリハビリ中らしいから、好きなようにやらせてやれば?
>>249>>268>>291>>298>>313>>317>>320
上が全部、ねねねの作品。
だんだん、長く書けなくなってるようだな。
370優しい名無しさん:2011/10/21(金) 23:48:49.83 ID:SoUBx+7H
小節の学校へ行くようになってからどういう風に変わっていくのか興味がある。
371優しい名無しさん:2011/10/21(金) 23:52:44.41 ID:ebSH31Ff
369はストーカーかよ
372優しい名無しさん:2011/10/22(土) 00:03:46.56 ID:n5oz5dHk
>>369
十代の女がアップしてる他の作品と比べたら段違いで上手い
373優しい名無しさん:2011/10/22(土) 00:09:45.09 ID:/zyMQ+fw
>>371
くっくっく、そういう奴が出てくると思ってた。
このスレでは、ほとんど二人だけで遊んでた時期があるので、覚えてしまっても不思議はない。
なんで今になって、ねねねブレイクなのか分からないが。
374ねねね ◆wQSXY643Ks :2011/10/22(土) 01:16:10.36 ID:6OMOyyJx
長いのは合同本ように書いてあって、
ここで投稿するのは息抜きです。
わたくし、どこからレスポンスしていいかわかりません。
おめめがぐるぐるねるねるです。
375優しい名無しさん:2011/10/22(土) 01:26:53.31 ID:n5oz5dHk
>>374
合同本の完成を祈ってるぜ。
後で後悔しないように、何度も推敲してくれ。
376ねねね ◆wQSXY643Ks :2011/10/22(土) 02:37:38.31 ID:6OMOyyJx
>>375
もう推敲と完成はしてあって、相方の原稿ごにょごにょって感じです……。
もちろん良い本作ります!わたくし、燃えておりますゆえ。
377優しい名無しさん:2011/10/22(土) 03:54:00.24 ID:n5oz5dHk
>>376
期待してるぜ

ところで、キリシタンになったら結婚するまで処女を守らないといけないって話は本当?
それならそう簡単に恋愛できないのでは・・・
378ねねね ◆wQSXY643Ks :2011/10/22(土) 04:00:23.08 ID:6OMOyyJx
サオリ
「暇やー」
 わたしのベッドに寝転びながら、サオリが本当に暇そうに言った。
「暇なら帰れば?」
「帰っても暇やし、なら自分のとこいた方が暇潰れるし」
 冷徹な言葉でも、のらりくらりと交わすサオリ。
「だったらさ、趣味とか、部活とか」
「無理無理無理。うち無趣味やもん。強いて言えば授業中の昼寝?
 みたいな。運動やって嫌いやし、文化部なんてネクラなオタクばっかやんけ」
「文化部の人に謝りなさい」
「は? なんでうちが謝らんといけん訳? 本当のこと言っただけやし」
 そう言うと、サオリはベッドの上で足をばたつかせる。
「……本当はウチかて解かってるて。無趣味で無価値で、どうしようもないぐらい。
何かとりえでもあれば救いやけど、うちには何ひとつない。平凡な、どこにでもいる女子高生。埋没する存在」
「まぁ、そんなもんだよ。大半の高校生は。サオリだけじゃない」
「慰めはいらんねん。聞いてくれるだけでよくて、聞いてもらう女々しい自分が嫌やねん」
「……あそ」
 サオリは、ばたばたさせていた足を止め、部屋に静寂が満ちる。
 数秒後。
「よっしゃ。うち復活! めちゃ元気! 超がんばる!」
 がばりとベッドから飛び起き、ベッドの上に立ったサオリがはなまる笑顔で言った。
 わたしはサオリのこういうところが大好きだ。
 普通の高校生は無趣味で無価値。でもいいじゃん。開き直り? 
なんとでも言え。人生、楽しんだもの勝ちだ。
- - -
>>377
自宅が浄土真宗ゆえ、ミサには毎週通ってキリスト教の勉強はしますが、
洗礼は受けません。
ただ未来のだんな様に失礼ゆえ、貞操を守る所存でありますし、
デブスゆえ、恋愛などありませぬ。本と結婚致します。
379優しい名無しさん:2011/10/22(土) 04:56:30.71 ID:n5oz5dHk
>>378
貞操を守るとは、良い心掛けだね

その小説を読んで気になったんだけど、君って学生の時は何部だったの?
380ねねね ◆wQSXY643Ks :2011/10/22(土) 05:08:46.12 ID:6OMOyyJx
>>379
ありがとうございます。

中学→パソコン部
高校→文芸サークル(実際はオタクの巣窟)
高校転校して文化部に体験入学するものの、志の低い人ばかりで1度でやめる

です。
381優しい名無しさん:2011/10/22(土) 06:14:07.79 ID:n5oz5dHk
>>380
そこらの高校に君みたいに幅広く本を読んでる子なんていそうにないもんな
昔ならともかく、今の時代はネットが無ければ文学マニアとの交流も難しい。

文系の大学へ行く気は無いの?
382ねねね ◆wQSXY643Ks
>>381
個人的なお話でスレを消費はいかがか、と思うゆえ、メールで
read_or_die☆@vivi.to