26 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/31(木) 00:24:13 ID:aP0nZ4ne
我さんは弱々しく話を続けた
『お…前………初めて会った時は…ほんっと邪魔…くさ……い…ヤツ…だ……ったよ……
無知…だ…し…、馬鹿だ…し……、空気……よめねぇ…し…。ほんっ…と…、お前は……。
でも………お前と会ってか…ら…毎日…楽しかっ…た…ぜ……。
落ちる前…に…お前の…恋の話………ききたかった……なぁ…。それだ…け……心残りだ…』
我さんはまるで死に際の言葉みたいに話す。
『な…何言ってるの我さん、僕達まだまだ一緒に鳴こうよ?こ、恋だってするんだ、そしたら我さんに一番に話すよ!ねぇ?我さん?』
僕は泣きそうだった。
『ばーっか……ブツブツ………』
我さんは笑っていた。
『おい……、俺達よぉ……
友達……だよな…?』
僕は、涙をポロポロ溢しながら頷いた。
『僕達、最高の親友…だよ』
ミ゛ーンミ゛ンミンミ゛ミ゛ンミンミー………
我さんはニカッと笑って、最後の力を振り絞り鳴いた。
――…ポトッ…………
我さんは地面に落ちた。
我さんの最後だった。
27 :
優しい名無しさん:2006/08/31(木) 00:45:31 ID:ALIWGvFT
我さん…(T_T)
28 :
優しい名無しさん:2006/08/31(木) 05:43:14 ID:aP0nZ4ne
ちょっとあげておきます
29 :
3:2006/08/31(木) 21:46:10 ID:ALIWGvFT
忙しいかな?楽しみにしつます!
30 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/01(金) 18:07:14 ID:fC+nt+HT
学校が始まってから、なかなか投下できなくてすみません><
明日あたりに投下しますね
31 :
優しい名無しさん:2006/09/02(土) 14:55:23 ID:wdSzStfe
ヽ(´ー`)ノ
32 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/02(土) 22:55:39 ID:YjX5vAXo
―――――――…
我さんが死んだ。
地面に落ちて、ピクリとも動かない。
僕はまざまざと蝉の運命を見せ付けられた。たった一匹の友達が死んだ。もう、我さんのいた樹からは声は聞こえない。
『っ…!』
その現実から逃げるように僕はとびたった。
――誰か!――誰か!
僕は一匹になるのが恐かった。誰かに頼りたい、すがりたい、泣き付きたい。
飛びながら地面をみると自転車にひかれ半分粉々になった蝉が落ちている。
老蝉だ。
その近くには我さんの恋蝉だった蝉も落ちて死んでいた。
この公園のあちこちに蝉の亡骸が落ちていた。
―――夏の終わりだった
33 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/02(土) 23:02:49 ID:YjX5vAXo
また少ししたら投下します
ダラダラしててすみません><
34 :
3:2006/09/03(日) 09:10:58 ID:1G499c/F
(TOT)
保守しておきますね
36 :
優しい名無しさん:2006/09/06(水) 07:28:09 ID:jtIhJDsw
応援あげ
37 :
優しい名無しさん:2006/09/07(木) 06:33:00 ID:WCccyMBf
待っててあげる
38 :
優しい名無しさん:2006/09/09(土) 12:21:20 ID:lbiNMM8e
保守
もう戻って来ないんじゃない
40 :
優しい名無しさん:2006/09/09(土) 20:23:24 ID:lbiNMM8e
それは残念だな
42 :
優しい名無しさん:2006/09/11(月) 18:48:53 ID:VtioOobZ
これはこれで完結でいいかも
バッドエンドだけど
44 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:14:31 ID:RGXFzKUF
もう誰もいない。いるのは僕だけ、蜩の声さえ聞こえない。
夜になった――――……
『寒い……』
季節は秋に入っていた。まだ僕は生きている。でも羽はもげて飛ぶことはできない。足も1〜2足もげてブラブラしている。
真夏を生きてきた僕にはこの秋風は冷たいすぎた。
死期が迫っている―――…
せれは確実に、すぐ側まで。
45 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:20:31 ID:RGXFzKUF
恐い…恐い…恐い恐い恐い…
寒い…淋しい……悲しい…淋しい淋しい…恐い。
気持ちが心の中でループする。
――死にたくない!!――
蝉は必死に樹にしがみついて離れない。もうずっとだ。何も食べないし、飲まない。
体はボロボロで動けないのもあったが、何より、『ここを離れたらもし他の蝉が戻ってきた時に会えないじゃないか』という気持ちが強く、決して動かなかった
蝉は『死』というものを受け入れていない。また我さんや蜩、老蝉や女蝉が帰ってくると思っていた
46 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:26:47 ID:RGXFzKUF
粉ごなに踏まれた蝉の死骸。
『うわ!でかい蝉落ちてる!きもちわるい!』
罵る人間の声。
『………。あんな奴ら…!』
蝉は怒りに震えながらも、傷付いた体を必死にささえていた。
そこに一匹の蛾が飛んできた。毒々しい、とても綺麗とは言えない蛾だ。
蝉の樹に止まる。
蛾はフラフラだった。僕は蛾に話しかけてみた
『……どうしたの』
『見ての通りさ。羽が半分無いだろ?後数分で死ぬよ私は。寿命だったみたいわね』
蛾はたんたんと話す
47 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:37:38 ID:RGXFzKUF
『死ぬって…馬鹿だよ!君は死ぬって事をわかっていないんだ!僕の仲間は皆しんだ!
何故君はそんなに簡単に死ぬなんて言える!どうして!!』
僕はたまっていた怒りと疑問を蛾にぶつけた。理性を失っていた。
蛾は小さな息をしながらゆっくりと話だす
―――…
『君は本当に『死』ということを知らないのね。』
『生命にはね、与えられた運命がある。生命には限りがある。私達はその枠組みの中で生活をいとなんでいるのよ』
『『死』があるから『生』がある、『生』があるから『死』がある。ただそれが、生物によって長いか短いか。それだけなんだよ。』
蛾の息はだんだん小さくなる
『『死』をおそれないで。『死』は終わりではないの…土に落ち、体は土に還り、土となり、土の中からまた夏に蝉が産まれてくる……』
『君はよく生きたよ…頑張ったね………もう眠る時間だわ…さよう…な…ら…』
蛾は息を引き取った
48 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:39:26 ID:RGXFzKUF
――――…蝉は夏しかいきられない…――
―――命をつむぐために…――
――…死をおそれないで――
――――もう時間がきたみたいだ…――――
49 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:44:47 ID:RGXFzKUF
…………
僕は意地になっていたんだ。
何も知らずな地上に上がってしまった。
夏と いう時間を過ごす
その事を僕は知らなかった。
学ぼうとしなかった。でも、やっと今受け入れる事が出来た。
我さんが言った事
蛾が言った事
老蝉が言った事
女蝉が言った事
それが蝉に、僕に与えられた生命だったんだ。
―――…寒い。
50 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:55:08 ID:RGXFzKUF
――――――――――――――――――……よく…生きたなぁ…。
夏。
いろんな事があったなぁ…
――…一番早く地上に出た事
――我さんと出逢い、語り合った事。
――かなしい恋の事
――――蝉の一生の事
………
僕は頭がぼんやりとしてきた。ふわふわと思い出がフィルムのように駆け巡る。
初めて飛んだ時の羽の感触、青い空の中。日の暮れた紅い公園、元気な皆の鳴き声
―『女が男からさすがった、生きた証を運ぶんじゃよ…』――『お前さんも早く恋を……』――
――『ばーか!お前ほんっっ無知だな』―『恋…しちまったんだ』―――
『最高の親友だよ』
あー………、こうして振り替えれば…いい…一生を過ごしたなぁ、僕は。
51 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 02:04:51 ID:RGXFzKUF
僕は我さんを忘れないだろう。死んだらどうなるかはわからない、わからないけど忘れたりしないだろう。しんでしまうまえな僕の恋を聞いてほしかったな…一緒に恋をしたかったな。
世界で唯一の親友。
僕は老蝉を忘れないだろう。悲しみに暮れた僕にさとしてくれた老蝉。
ずっと僕の師匠だ。
僕は蛾を忘れないだろう。死ぬ直前最後に僕に『死』を教えてくれた。
僕に生命を与えてくれた。
きっと誰も忘れない
忘れないよ
だから…だから…僕の事も忘れないで、どうか忘れないで。僕という存在があった事を!!
ミーンミンミンミンミンミーー!!
我さんのように最後の力を振り絞って、鳴いた。泣いた。哭いた。
生まれてきて良かった…
ありがとう………………
―――――――…ポテ。
52 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 02:16:20 ID:RGXFzKUF
『あれ…?もう秋なのに蝉さんが鳴いてたよ…?』
『蝉なんて夏のあつさを倍増させるだけのうるさい害虫だ』
『秋はいいね、うるさい虫がなかなくてさ(笑)』
『蝉さん…もう聞こえなくなっちゃった…』
また…また来年、青い空の下で蝉にあうだろう。
小さな蝉の小さな一生は、本当に小さく終わった。
月が綺麗な夜だった。
蝉の死を嘆くように、蝉の後をつむぐように鈴虫がなく。
そうして生命は繰り返される。
蝉は幸せな一生を送れた。
きっとそう思う。
楽しい毎日を過ごした蝉。
『親友だから…』『死は恐くなんかないから…』
―――――蝉の一生は終わった。――
鈴虫の鎮魂歌の中で。
――完――
53 :
優しい名無しさん:2006/09/15(金) 02:18:41 ID:RGXFzKUF
――あとがき――を明日書かせて頂きます。長い間あけてしまいすみませんでした(>_<)
詳しいことやあとがきは明日まとめて投下します。お待ち下さい。
54 :
優しい名無しさん:2006/09/15(金) 02:18:51 ID:lujvOFdA
パチパチ
素晴らしい作品でした!
お疲れ様です
久々にきたら続きキター!見にきてよかった。
おつです。
あとがきも楽しみにしてます。
あなたのマイペースでどうぞ。
56 :
優しい名無しさん:2006/09/17(日) 23:52:34 ID:z0Y8ZIeN
おぉ待ってたよ!来ないかと思ってたから嬉しいO(≧∇≦)o
57 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/19(火) 17:10:29 ID:vWDlj1pQ
―――あとがき―――
この度は稚拙な文章をご拝読いただきありがとうございます。
書き始めたきっかけは、東京の姉の家に遊びに行った時でした。
姉の家の窓のすぐ側に大きな樹があって、蝉がたくさんいてもの凄くうるさかったんですよ(笑)
蝉なんていなくなれ!なんて思っていた時に、ふっ…と、この物語が頭に浮かんだんです。
蝉ってあんなに鳴いてすぐ死んで、何のために生まれてきたんだろう?と。
これは人間、特に私達メンヘラによく共通する事だと思うんです。
蝉は長年、土のしたで幼虫と暖かくして過ごします。(もちろん他の虫や鳥に食べられて終わる事も多いです)
私メンヘラも子供時代を家や学校で暖かく育ちます(こちらも学校でいじめられたり家で嫌な思いをする事もありますね)
そうして社会へと出てきます。右も左も分かりません。
どうやって生きるの?何を目的に生きるの?
誰も教えてくれません。
でも蝉は本能で繁殖と媒介を行います。
でも私達メンヘラは本能がありません。ここがこの物語の主人公の蝉との共通点です。
主人公の蝉は本能が働かず、鳴く事だけ繰り返しています。友達も出来ました、
でもその友達も主人公とは違い本能を持って生きていますから、繁殖を行います。
主人公は何もしません。ただ毎日楽しい気分で過ごします。そのまま育った主人公は
友達の死や老いた蝉の話や報われない恋にぶちあたります。つまり現実を見せられ逃げ場がなくなります。
逃げ場のなくなった主人公は恐くて、ただ目の前の事だけ(鳴きながら生きる)を行います。
自分以外はもう誰もいない、寒い寂しい。メンヘラの心の中のように。
(続きます)
58 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/19(火) 17:37:28 ID:vWDlj1pQ
―――あとがき―――(続き)
本当は死んだ方が楽になれるのに、必死に生きる主人公。
主人公が何故必死に生きているのか書いていて私も分からなくなりました。
もう主人公が勝手に物語の中で生き始めていきました。でも主人公には死を受け入れてほしかったので
他の蝉の死殻を見せるための行動をさせました。そうしたら主人公は分かるだろう、そう思いました。
やがて主人公は死を受け入れ地に落ちます。
さて疑問点が残ります。
何故主人公だけ長く生きたのか?
主人公が長く生きた訳ではないのです。他の蝉が生きた時間が短かったのです。
自殺したい、死にたい、消えたい、不安。こんな気持ちを抱えたメンヘラ達はODしたりリストカットをしたりしても自殺未遂で終わります。私達メンヘラは死にたいのに何故か死ねません。
しかし周りを見てみると死ぬ人ばかりです、親戚の死・友人の死・ニュースに出てくるたくさんの死。
これです。
主人公=メンヘラ的な死
周りの蝉=一般的な死
主人公は生きる事にしがみつきましたが心の何処かで楽な道を選んでいました。
楽に死にたいと。楽に死にたいが故に長く生きてしまいます。自殺志願者も同じです。楽に死にたい楽に楽に、と思い中々死のうとしません。
すこしずるさがあるのかもしれません
でも純粋でした、純粋すぎる故に最後は苦しみました。メンヘラもそうです、みんな純粋なんです。純粋すぎて苦しんでしまうのです。
周りの誰かのように(物語でいえば女蝉でしょうか)
世渡りを上手く出来たら死ぬ事も生きる意味も悩まずに一生を送れたでしょう。
後半は苦しんだ主人公でしたが死に際は穏やかに落ちてゆきます。死んでゆきます。
死ぬ事は恐くない、楽になれる、安らかな眠り。
主人公にこの安らかな眠りを与えました、そして物語は終わります。
蝉の一生は惨めです。うるさい、一週間位しか生きられない、子供に捕まればずっと狭い檻の中。
うるさくて嫌いな蝉ですが、私達とよく似ています。ちょっと考えると共通点が沢山あります。
だからまた来年の夏も蝉が鳴き始めたら応援してあげてください(笑)
夏の終わりに蝉が最後に『泣く』まで。
長く分かりづかい後書きですみません。また思いついたら、物語を書きますね。
ありがとうございました
59 :
優しい名無しさん:2006/09/19(火) 17:41:45 ID:OORcFlIS
お疲れ様てした!
<※ 花束
とても良かったです!
素敵な作品をありがとうございました
60 :
優しい名無しさん:2006/09/19(火) 22:30:38 ID:kiWnmsu3
良かったよ。
文才あるっていいなぁ
次回作も楽しみ。
61 :
優しい名無しさん:2006/09/19(火) 22:42:11 ID:FFBAluAE
本当に良かったよ。次回作も楽しみに待ってます。
62 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/19(火) 23:35:19 ID:vWDlj1pQ
皆さん本当にありがとうございます、嬉しいです。
63 :
優しい名無しさん:2006/09/19(火) 23:38:39 ID:OORcFlIS
蝉とメンヘラの共通的を見つけている所がまた凄い
あとがき を読んで 納得したし、もっと感動しました
64 :
優しい名無しさん:2006/09/22(金) 00:05:38 ID:ghblMSTV
ほす
そろそろ何かまた書こうかな(恐れながらも^^;)と思っています。
今月内に書けたらすぐ投下しますね。また宜しくお願いします…!
66 :
優しい名無しさん:2006/09/25(月) 16:53:10 ID:HUR6uFma
感動した…次回期待してる
無理すんなよー
また久々にのぞいてみました。
そしたら次回作が出るんですねー
楽しみです!
(´・ω・`)保守
71 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/28(木) 00:30:57 ID:2D66A3GG
――――生きる術(すべ)――――
・まえがき・
この度はスレをお開き頂きありがとうございます。
さて、今回の小説も前回に引き続きメンタルヘルス的な話になると思います。
まだ話の末路や冒頭が全く出来ていないので、前回に比べまたかなり
たどたどしい文章になると思います…(汗)
途中、修正のレスや取り消しのレスが入るかもしれません。すみません…;
今回は他の生き物ではなく『人間』をテーマにしてみました。
不快な点も多々あるかと思いますがよろしくお願い致します。
72 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/28(木) 00:42:06 ID:2D66A3GG
―――……真っ白かった。
何もない。面も横も縦もない。本当に何もない。
その後、恍惚感が脳内を巡る。フワフワと浮かぶ様な、重りを全て外した様な、言葉にならない恍惚。
・
・
・
・
・
・
…………。
ザワザワ…ザワザワ…
教室の中、廊下、階段、何処に居ても人の声が煩い。
今日も機嫌が悪い、気分も悪い、具合も悪い。昼間に薬を飲まなかったからだろう。
私はA。高校三年、もうすぐ卒業だ。
73 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/28(木) 00:53:47 ID:2D66A3GG
「A!生徒会の集会が来週にあるから頼むな」
生徒会指導の先生が私に話しかける。
「A、集会前にテストがあるから無理しないようにな」
担任の先生が私に話しかける。
『はい、大丈夫です!頑張りますから!』
私は空っぽな笑顔で返事をする。頑張らなくちゃ…頑張らなくちゃ………。
こうやって点数を稼げば推薦に有利なるんだから、具合悪いの位は我慢しなくちゃ。
Aは卒業後、進路は大学へ行くと高校二年の始め頃から決めていた。
テストの点数は平均より上。生活態度や出席日数、学校の活動等も問題無し。
面接でヘマさえしなければ推薦でするりと受かる。Aは推薦を貰う為に
積極的に学校活動に参加し、働いていた。
平日は学校。日が暮れるまで学校で部活の指導や生徒会の仕事をし、
休みの日は朝からバイト。大学への資金を貯めるためだ。
74 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/28(木) 01:14:03 ID:2D66A3GG
Aは幼い頃からずっと人見知りで、誰かと接するのが苦手だった。
幼稚園から中学まで、登校拒否。家で引きこもり、友達なんて居なかった。
中学までは酷い生活だった。起きるのは昼間過ぎ、起きた後は夕飯までひたすらゲームや漫画。
典型的な引きこもりだ。
親に促され、なんとか落ちこぼれの高校に入学。
A自身も、高校テビューで頑張ってみよう!という気力で入学した。
入学してからは毎日遅刻もせず学校へ通った。友達が出来たからだ。
友達と話す事を楽しみに。
そして授業の楽しさも知った。
図書室で本を読みあさり、知識を得ていった。
三年になった春先、一番仲の良かった友人が退学した。
学校を辞めるかもしれないという相談は受けてはいたが、かなりのショックな出来事だった。
友人は県外に彼氏が出来て、彼氏と同棲する事にしたのだ。
元々が男好きで、仕事も夜の仕事をしていたので学校より男や金の方が飛び付きやすかったのだろう。
そんな友人でも、常に一緒に居たのだ。いきなり隣から去ってしまい、
休み時間やHRはもっぱら一人になった。辞めてから連絡もほとんど来ない。
また一人に戻ってしまった。
75 :
◆ROSE/oAOvM :
そんな事もあり、夏休み前のAはシビアになっていた。
――友人の様にはなるまい…――
――……大学に入ってもっと勉強をして今までの分を取り戻すのだ…!―――
―――知識を得て、活動して、社会や世界に自分の名を広く伸ばそう――
一直線に大学へと足を進めた。全ては其所にある、また新しく其所から始めよう。
推薦で大学に入る事に頭を絞り一心不乱に学校へ通った。
そこには、かつて友人がいた頃の笑顔は無く、ただただ机に向かっていた。