1 :
◆ROSE/oAOvM :
メンヘルの僕が小さな小説を少しずつ投下していきます
普段小説を書いたりしないので、拙い文書・つまらないお話になるかもしれませんが
良かったら眠れぬ夜の時間潰しに読んでみて下さい。
2 :
猫山宵 ◆P/NcoY4a.A :2006/08/30(水) 05:25:08 ID:42NT54l9
今だ!
>>2ゲットォォォォ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄
∧∧ ) ("
⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡(⌒;
 ̄ ̄ (^(⌒;
ズザーーーーーッ
∩∩
〜|∪| (""
ヘノ ノ (⌒("
((つ ノ⊃≡≡(⌒;≡
 ̄ ̄ ̄(⌒(⌒;
ズズズズズ
∧∧ (⌒("
⊂(゚Д゚)≡(⌒;≡
⊆⊂ ̄⊂ソ (^(⌒;
 ̄ ̄ ̄ ズザーーーッ
`∧∧ (⌒(
(゚Д゚;) ∩∩ (⌒≡
⊆⊂´ ̄ ソ (⌒(⌒;
 ̄ ̄ ̄ ズザザーーッ
3 :
3:2006/08/30(水) 05:27:14 ID:OG+aMrHZ
わーい!楽しみ!
4 :
優しい名無しさん:2006/08/30(水) 06:06:38 ID:OG+aMrHZ
ん?まだ?待ってるよ〜
5 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/30(水) 13:55:14 ID:CfWTsQLX
考えながら書くので遅くなるし、話自体グダクダかもしれないけど宜しくです('A`)
6 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/30(水) 14:01:27 ID:CfWTsQLX
――蝉時雨――
―――……夏がきた。
今年もまた夏がきた。
僕は夏の訪れをいち早く感じ、外の世界へ出た。
――…!!
眩しい。
明るい陽射し、そよ吹く風。これが外の世界…!初めてみる世界に僕は少しばかり興奮気味だ。
何年もの間ずっと土の中で過ごしきたのだから興奮するのも致しかたないだろう。
――そう。僕は蝉。
初めての世界に、今、翼をひろげた。―――
7 :
優しい名無しさん:2006/08/30(水) 14:03:32 ID:767GQXq/
せみさんきたー
少しの間飛び回っていた。
初めは羽がうまく動かなかったけれど、徐々にリズムよく羽ばたく事が出来るようになった。
まだ他の蝉は土から出てきていないみたいだ。
僕が一番のり。
はしゃぎながら飛び回り、近くの樹に足をつけた。
沢山の葉っぱ。
これが樹……、僕は誰に言われるでもなく樹につき鳴き始めた。
ミーンミンミンミー!!
――!
気持ちいい!!外の世界で声をあげるというのはこんなにも気持ちが良い事なんだ。
僕はその日、一日中鳴き続けた。
9 :
優しい名無しさん:2006/08/30(水) 14:17:19 ID:767GQXq/
一生懸命ないてるせみたんかわいい
――次の日
気が付くと朝になっていた。
昨日は夕方まで鳴いていて、いつの間にか眠ってしまったみたいだ。
ミ゛ンミ゛ンミミンミン゛ミー!
……あれ?
声がする。僕はまだ鳴いてない。それに僕はあんな鳴き方はしない。
ミ゛ンミ゛ンミミンミ゛ンミー!
あ!隣の樹に他の蝉がいる!
僕はすぐに隣の樹に移った。
『こ…こんにちは!!』
『……。ミ゛ンミ゛ンミー』
『あのっ、僕昨日出てきたんです!一番乗りでした!へへへ。
』
『……。ミ゛ンミ゛ンミミンミ゛ンミー』
『あの…聞いてます?』
『うるせぇな!!勝手に俺の樹に来てペチャクチャしゃべりやがって!
今忙しいんだよ!わかるだろ?時間がねぇんだ!』
『ご…ごめんなさい……』
ちぇっ…、怒られちゃったよ。初めて会った蝉だから仲良くしたかったんだけどなぁ。
『と…友達になりたかったんで…つい喋り過ぎちゃって……本当ごめんなさい、それじゃ…』
僕は飛び立とうとした時―――
『…友達?何言ってんだお前さんよ。俺達はみんなライバルだろ。』
え…?ライバル?
僕は羽をとめて話を続けた
『あの、ライバルって…?』
『馬っ鹿でぇー、お前はなんにも知らないのか?一体土の中で何やってたんだよ……しゃーねぇな。
いろいろ教えてやるよ。…ったく俺もお蝉良しだぜっ。けっ。』
『あ…ありがとう!あの!これって友達ですよね?へへへ』
『ばっか、だからライバルだろーが!ったく…ブツブツ…』
彼は何かブツブツ言ったり怒鳴ったりしていたけれど、根はいい人みたいだ。
ライバルの意味はわからないけど
僕はこの世界がとても楽しくなってきた。
その日から彼の所に毎日遊びに言った。と言っても隣の樹だから飛んですぐだけれど。
僕が行くと彼は面倒くさそうに怒りながらもいろんな事を話してくれた。
彼の名は我というらしい。
――…ジュワジュワジュワー――
…――ツクチーツクチーツクチーヤー…ジィー!――
周りの樹々からは毎日蝉の鳴き声が聞こえてくる。沢山の蝉の声、僕と彼以外の沢山の蝉。
『あー、俺も負けてられねぇな!もっと良く鳴かなくちゃいけねぇな!ちっ。ブツブツ…』
んー…?負ける?みんな歌声をきそっているのかな。誰が一番綺麗な声なのか。
へへへ、みんな負けず嫌いなんだ。
僕はライバルの意味をそう自分の中で解釈した。
『でも我さんの鳴き声はなんだか変ですよね、くすくす。』
『なっ!!何処が変なんだよ!!ミ゛ンミ゛ンミミンミ゛ンミー!』
『ほらー(笑)やっぱり変だぁ、へへへ。ミーンミンミンミー!』
僕達は一緒に鳴いた。
僕達はいつの間にか仲良くなっていた。
我さんは口は悪いけど、毎日一緒に過ごしてくれた。
ある日、我さんの方から僕の所へやってきた。
『お、おう!げ、元気か?』
『もちろんですよ、だって昨日会ったばかりじゃないですか(笑)』
『そ、そうだな…ブツブツ…』
我さんは少し様子がおかしい。
『どうしたんですか?我さんから僕の所へ来てくれるなんて、初めてですよね。毎日僕から通ってたのに』
『おう…実はな……、俺…俺よう、好きなヤツが出来たんだ』
僕はキョトンとした。
『……えっ?好きな…蝉?
――――――…!
うわぁ!うわぁ!すごいやすごいや!我さんに好きな蝉がーっ』
『ばっかお前興奮しすぎだぜ!普通外の世界に出たら好きな蝉の一匹や二匹出来るだろ!
なんの為に鳴いてんだよお前はよ…ブツブツ』
なんの為に鳴いている?
僕は我さんの言っている事がよくわからなかったけれど、
そんな事よりも我さんの恋に興奮して、その言葉には気にもとめなかった。
『へへへ、僕は恋なんてまだまだですよ。そーれよーり、ねぇ我さん…僕達、もう友達ですよね?』我さんはふてくされながら言った
『…けっ。ああ、全く世間知らずで馬鹿なお前だけど…………』
『けっ!友達だって認めてやるよ!』
僕は幸せだった。
13 :
優しい名無しさん:2006/08/30(水) 15:06:05 ID:767GQXq/
はつこい、ばんざーい(sageたほうがいいですか)
14 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/30(水) 15:18:49 ID:CfWTsQLX
ちょっと授業なのでまた夕方から夜にかけて投下します。稚拙の文ですみません…(^_^;)
>>13 sageでもageでも大丈夫です!
我さんが恋をした。
僕はなんだか凄く嬉しかった。我さんは、『じゃあ求愛に忙しいから邪魔するなよ』と言って自分の樹に戻って行った。
僕は嬉しくて鳴いた。
沢山鳴いた。
ミーンミンミンミー!
次の日。
我さんの所へ行ってみると、知らない蝉がいた。我さんも一緒だ。
ミ゛ンミ゛ンミミ゛ンミンミー♪
我さんはいつもと少し違う、いつもよりもっと綺麗な鳴き声で鳴いていた、
そんな我さんに知らない蝉が寄り添っていた。綺麗な蝉だった。
―――あっ!
鈍くて無知な僕は気が付いた。
あれが我さんの好きな蝉なんだ…二匹はうまくいったんだ……
僕は邪魔しちゃいけないと思い、自分の樹に帰った。
我さんの嬉しそうな顔。
優しい鳴き声。
あんな我さんを見るのは初めてだった。僕は、やっぱりいつものように凄く嬉しくて嬉しくて。
我さんの声がよく聴こえるように、今日は鳴かずに過ごそうと決めた。
――数日たったある日。
僕は公園の中を飛び回り、すこし遠くまで飛んでみた。そうすると、一つの樹が目に入った。
見た事のある蝉がいた。
男の蝉と仲良くしている。
誰だったかな…確かに何処かで見たような……
―――…
―――………
!!
僕は、ハッと思い出した。あの蝉は、我さんの好きな蝉じゃないか!どうして違う男蝉といるんだ!?僕は心臓をドキドキさせながらその樹にとまった。
『ねぇ!君!君は我さんの恋蝉だよね?どういう事?どうして違う蝉と恋蝉みたいな事をしているの!?』
怒りに震えながら、僕は叫んだ。
すると、
『……だからどうしたのかしら?貴方大丈夫?』
何を言ってるんだろうこの女蝉は。反省するどころか開きなおっている。
僕の怒りは頂点に達した。
『我さんは僕の大事な友達だ!!我さんを傷付けるような女蝉は絶対許さない!!』
ブゥン!!!!
僕の体に何か当たった。
男蝉が僕に体当たりしてきたのだ。
『何を言ってるんだ貴様は。蝉の間に友達だの恋蝉だの。
貴様は少し頭がおかしいんじゃないかい?』
そういって男蝉と女蝉は二匹で飛んで行ってしまった。
17 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/30(水) 18:53:46 ID:CfWTsQLX
――……
僕の頭が…おかしい?
何を言ってるんだろう
体当たりされた所が痛い。僕は近くの樹に止まって休む事にした。
――ミンミンミーミンミンミーミンミンミー!!――
――ジュワジュワジュワジュワジュワジュワ………ワ…ジュワジュワジ…!!――
――――…
みんながおかしい。
夏の始めの頃と違って異常なまでの鳴き声が響く。
必死になにかを求めるように、切実に鳴いている。
みんながおかしい。
僕にはみんなが何故そこまで鳴くのかわからない。
考えて込んでいると、
隣に少し年が上の蝉がいた。
『……どうして皆…あんなに必死に鳴いているんですか……?
楽しく鳴くのが良いのに…みんな…どうしてあんなに切なそうに鳴いているんですか……?』
『どうして恋蝉がいるのに、他の蝉と仲良くするんですか……!裏切りじゃないですか!
それなのに僕がおかしいとか言って……』
まとまらない頭で口から出る言葉を全てぶつけた。
老蝉がゆっくりと口を開いた
『もう…涼しくなってきただろう………夏も終わりが近付いてきたのう…』
何を言っているのだろう
この老蝉は…。
『僕の問いに答えてよ!!』
『……君は…若い。何も知らないで地上に上がってしまったのだねぇ…。』
『何も知らずに落ち逝くよりも……知って最後を落ちるほうが……よいのか…』
老蝉は少し迷いながらも
答えた
18 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/30(水) 19:02:37 ID:CfWTsQLX
『地上に上がった蝉はのぉ……夏の、ほんの僅かな時間しか生きられ無いのだよ…。
それを皆、知って地上に上がってくる。暖かな土の下でずっと過ごせば、長く生きる事もできるじゃろう……
それでもな…皆上がってくるのだよ。
それが生命の営みだと本能がそうさせるのじゃよ……。
何故鳴くか君は知らんのだね…
君は楽しくて鳴いていたのだねぇ……
でも違うんじゃよ。
男の蝉はのぅ…自分の子孫を残す為に一生懸命鳴くんじゃよ。
より大きな、より美しい声で鳴く声に、女の蝉は惹かれやってくる。そして結ばれ…女の蝉は去ってゆく。
女の蝉はまた次の蝉のもとへといくのじゃ……。
』
19 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/30(水) 19:16:30 ID:CfWTsQLX
僕はわからなかった。
話は頭に入るけど、そんな事を今更言われて理解なんてできなかった。
『う…嘘です!そんなの…嘘だ!』
『だって…もうすぐ夏は終わるけど僕はまだこんなに元気ですよ!
それに…恋蝉同士はずっと…ずっと一匹を愛し続けるんじゃないんですか…!?』
老蝉は小さく羽を震わせながら続けた
『……男は…生きた証を残す為に鳴く。そして自分の生きた証である子孫を女に託す……。
そして女も託される為にあちこちの蝉のもとを回る。生きた証をより多く紡ぐ為に。
それさえ終えたら…な…蝉は黙って落ちてゆくんじゃよ…。
皆、決して楽しくて鳴いているのでは無いのだよ。
命をかけてないているんだ……
』
『若い君、まだ生きた証を残していないのなら…急がれよ。
もう…ほら、蜩が鳴いておる。
…ほっほ……少し喋り過ぎたようじゃ…。休ませていただくよ……』
そういって老蝉は眠った。
僕は呆然としながら自分の樹に戻った…………
20 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/30(水) 19:22:52 ID:CfWTsQLX
僕は信じない、あんなのは信じない……
樹に戻る途中、下を見下ろしてみた。
沢山の蝉が落ちていた。
――…!!!!
……涼しい風が吹いていた……
少しづつ…蝉達の声は小さく、少なくなっている…。
――怖い、怖い、怖い…!僕はとても怖かった。みんな死んでしまうの?生きた証?悲しい鳴き声?
頭がパンクしそうだ。
数日の間、じっと樹にとまり動かずにいた。鳴きたくもないし、何処にも行きたくなかったんだ。
再開しましたね、せみたん、よしよし、こわくないよ。
今朝は催促しちゃってごめんね。がんばってね!楽しく読ませてもらってるよ
23 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/30(水) 23:57:26 ID:CfWTsQLX
>>21 蝉『あの…ありがとう!へへへ。僕は弱虫だから…』
>>22 いえいえ、読んでいただけて光栄です、頑張ります。
25 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/31(木) 00:11:57 ID:aP0nZ4ne
――――蜩(ひぐらし)の声が響きわたる。
………
…………
…………あ!
我さん!我さんに会いに行かなくちゃ!
僕は目が覚めた。ぼんやりしすぎていた。
我さんに会えば、この不安も消えるはずだきっと!皆死んだりしない、僕はまだこんなに元気なんだ。
皆だって元気に決まってる。我さんもまだ元気に鳴いているはずだ!
いろんな事を考えながら僕は我さんの樹に向かった。
―――……
樹から声がしない。
我さん、出掛けているのだろうか?
『我さん!いるかな?僕だよ!我さーん!』
『…………ぉぅ…』
小さい声がした。
良かった!やっぱり我さんも生きているじゃないか。
あんな話は嘘だったんだ。
僕はウキウキしながら声のする方へ周りこんだ。
―――…!!!!
そこには、羽がすりきれ、体の小さくなった我さんが、樹から落ちそうにしがみ付いていた
『ばー…か……。ぉ前…ぁんまり……おせーから………っ…
待ちくたびれた…ぜ…、毎日…来てたくせに………けっ……』
もう喋るのも精一杯な我さん。
僕は愕然とした。
『え…やだ…我さん…、嘘でしょ?どうして……』
僕はわからなかった。
――――蝉はのぅ…夏のほんの僅かな間しか生きられないのだよ……―――――
老蝉の言葉が頭を霞めた。
26 :
◆ROSE/oAOvM :2006/08/31(木) 00:24:13 ID:aP0nZ4ne
我さんは弱々しく話を続けた
『お…前………初めて会った時は…ほんっと邪魔…くさ……い…ヤツ…だ……ったよ……
無知…だ…し…、馬鹿だ…し……、空気……よめねぇ…し…。ほんっ…と…、お前は……。
でも………お前と会ってか…ら…毎日…楽しかっ…た…ぜ……。
落ちる前…に…お前の…恋の話………ききたかった……なぁ…。それだ…け……心残りだ…』
我さんはまるで死に際の言葉みたいに話す。
『な…何言ってるの我さん、僕達まだまだ一緒に鳴こうよ?こ、恋だってするんだ、そしたら我さんに一番に話すよ!ねぇ?我さん?』
僕は泣きそうだった。
『ばーっか……ブツブツ………』
我さんは笑っていた。
『おい……、俺達よぉ……
友達……だよな…?』
僕は、涙をポロポロ溢しながら頷いた。
『僕達、最高の親友…だよ』
ミ゛ーンミ゛ンミンミ゛ミ゛ンミンミー………
我さんはニカッと笑って、最後の力を振り絞り鳴いた。
――…ポトッ…………
我さんは地面に落ちた。
我さんの最後だった。
27 :
優しい名無しさん:2006/08/31(木) 00:45:31 ID:ALIWGvFT
我さん…(T_T)
28 :
優しい名無しさん:2006/08/31(木) 05:43:14 ID:aP0nZ4ne
ちょっとあげておきます
29 :
3:2006/08/31(木) 21:46:10 ID:ALIWGvFT
忙しいかな?楽しみにしつます!
30 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/01(金) 18:07:14 ID:fC+nt+HT
学校が始まってから、なかなか投下できなくてすみません><
明日あたりに投下しますね
31 :
優しい名無しさん:2006/09/02(土) 14:55:23 ID:wdSzStfe
ヽ(´ー`)ノ
32 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/02(土) 22:55:39 ID:YjX5vAXo
―――――――…
我さんが死んだ。
地面に落ちて、ピクリとも動かない。
僕はまざまざと蝉の運命を見せ付けられた。たった一匹の友達が死んだ。もう、我さんのいた樹からは声は聞こえない。
『っ…!』
その現実から逃げるように僕はとびたった。
――誰か!――誰か!
僕は一匹になるのが恐かった。誰かに頼りたい、すがりたい、泣き付きたい。
飛びながら地面をみると自転車にひかれ半分粉々になった蝉が落ちている。
老蝉だ。
その近くには我さんの恋蝉だった蝉も落ちて死んでいた。
この公園のあちこちに蝉の亡骸が落ちていた。
―――夏の終わりだった
33 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/02(土) 23:02:49 ID:YjX5vAXo
また少ししたら投下します
ダラダラしててすみません><
34 :
3:2006/09/03(日) 09:10:58 ID:1G499c/F
(TOT)
保守しておきますね
36 :
優しい名無しさん:2006/09/06(水) 07:28:09 ID:jtIhJDsw
応援あげ
37 :
優しい名無しさん:2006/09/07(木) 06:33:00 ID:WCccyMBf
待っててあげる
38 :
優しい名無しさん:2006/09/09(土) 12:21:20 ID:lbiNMM8e
保守
もう戻って来ないんじゃない
40 :
優しい名無しさん:2006/09/09(土) 20:23:24 ID:lbiNMM8e
それは残念だな
42 :
優しい名無しさん:2006/09/11(月) 18:48:53 ID:VtioOobZ
これはこれで完結でいいかも
バッドエンドだけど
44 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:14:31 ID:RGXFzKUF
もう誰もいない。いるのは僕だけ、蜩の声さえ聞こえない。
夜になった――――……
『寒い……』
季節は秋に入っていた。まだ僕は生きている。でも羽はもげて飛ぶことはできない。足も1〜2足もげてブラブラしている。
真夏を生きてきた僕にはこの秋風は冷たいすぎた。
死期が迫っている―――…
せれは確実に、すぐ側まで。
45 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:20:31 ID:RGXFzKUF
恐い…恐い…恐い恐い恐い…
寒い…淋しい……悲しい…淋しい淋しい…恐い。
気持ちが心の中でループする。
――死にたくない!!――
蝉は必死に樹にしがみついて離れない。もうずっとだ。何も食べないし、飲まない。
体はボロボロで動けないのもあったが、何より、『ここを離れたらもし他の蝉が戻ってきた時に会えないじゃないか』という気持ちが強く、決して動かなかった
蝉は『死』というものを受け入れていない。また我さんや蜩、老蝉や女蝉が帰ってくると思っていた
46 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:26:47 ID:RGXFzKUF
粉ごなに踏まれた蝉の死骸。
『うわ!でかい蝉落ちてる!きもちわるい!』
罵る人間の声。
『………。あんな奴ら…!』
蝉は怒りに震えながらも、傷付いた体を必死にささえていた。
そこに一匹の蛾が飛んできた。毒々しい、とても綺麗とは言えない蛾だ。
蝉の樹に止まる。
蛾はフラフラだった。僕は蛾に話しかけてみた
『……どうしたの』
『見ての通りさ。羽が半分無いだろ?後数分で死ぬよ私は。寿命だったみたいわね』
蛾はたんたんと話す
47 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:37:38 ID:RGXFzKUF
『死ぬって…馬鹿だよ!君は死ぬって事をわかっていないんだ!僕の仲間は皆しんだ!
何故君はそんなに簡単に死ぬなんて言える!どうして!!』
僕はたまっていた怒りと疑問を蛾にぶつけた。理性を失っていた。
蛾は小さな息をしながらゆっくりと話だす
―――…
『君は本当に『死』ということを知らないのね。』
『生命にはね、与えられた運命がある。生命には限りがある。私達はその枠組みの中で生活をいとなんでいるのよ』
『『死』があるから『生』がある、『生』があるから『死』がある。ただそれが、生物によって長いか短いか。それだけなんだよ。』
蛾の息はだんだん小さくなる
『『死』をおそれないで。『死』は終わりではないの…土に落ち、体は土に還り、土となり、土の中からまた夏に蝉が産まれてくる……』
『君はよく生きたよ…頑張ったね………もう眠る時間だわ…さよう…な…ら…』
蛾は息を引き取った
48 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:39:26 ID:RGXFzKUF
――――…蝉は夏しかいきられない…――
―――命をつむぐために…――
――…死をおそれないで――
――――もう時間がきたみたいだ…――――
49 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:44:47 ID:RGXFzKUF
…………
僕は意地になっていたんだ。
何も知らずな地上に上がってしまった。
夏と いう時間を過ごす
その事を僕は知らなかった。
学ぼうとしなかった。でも、やっと今受け入れる事が出来た。
我さんが言った事
蛾が言った事
老蝉が言った事
女蝉が言った事
それが蝉に、僕に与えられた生命だったんだ。
―――…寒い。
50 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 01:55:08 ID:RGXFzKUF
――――――――――――――――――……よく…生きたなぁ…。
夏。
いろんな事があったなぁ…
――…一番早く地上に出た事
――我さんと出逢い、語り合った事。
――かなしい恋の事
――――蝉の一生の事
………
僕は頭がぼんやりとしてきた。ふわふわと思い出がフィルムのように駆け巡る。
初めて飛んだ時の羽の感触、青い空の中。日の暮れた紅い公園、元気な皆の鳴き声
―『女が男からさすがった、生きた証を運ぶんじゃよ…』――『お前さんも早く恋を……』――
――『ばーか!お前ほんっっ無知だな』―『恋…しちまったんだ』―――
『最高の親友だよ』
あー………、こうして振り替えれば…いい…一生を過ごしたなぁ、僕は。
51 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 02:04:51 ID:RGXFzKUF
僕は我さんを忘れないだろう。死んだらどうなるかはわからない、わからないけど忘れたりしないだろう。しんでしまうまえな僕の恋を聞いてほしかったな…一緒に恋をしたかったな。
世界で唯一の親友。
僕は老蝉を忘れないだろう。悲しみに暮れた僕にさとしてくれた老蝉。
ずっと僕の師匠だ。
僕は蛾を忘れないだろう。死ぬ直前最後に僕に『死』を教えてくれた。
僕に生命を与えてくれた。
きっと誰も忘れない
忘れないよ
だから…だから…僕の事も忘れないで、どうか忘れないで。僕という存在があった事を!!
ミーンミンミンミンミンミーー!!
我さんのように最後の力を振り絞って、鳴いた。泣いた。哭いた。
生まれてきて良かった…
ありがとう………………
―――――――…ポテ。
52 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/15(金) 02:16:20 ID:RGXFzKUF
『あれ…?もう秋なのに蝉さんが鳴いてたよ…?』
『蝉なんて夏のあつさを倍増させるだけのうるさい害虫だ』
『秋はいいね、うるさい虫がなかなくてさ(笑)』
『蝉さん…もう聞こえなくなっちゃった…』
また…また来年、青い空の下で蝉にあうだろう。
小さな蝉の小さな一生は、本当に小さく終わった。
月が綺麗な夜だった。
蝉の死を嘆くように、蝉の後をつむぐように鈴虫がなく。
そうして生命は繰り返される。
蝉は幸せな一生を送れた。
きっとそう思う。
楽しい毎日を過ごした蝉。
『親友だから…』『死は恐くなんかないから…』
―――――蝉の一生は終わった。――
鈴虫の鎮魂歌の中で。
――完――
53 :
優しい名無しさん:2006/09/15(金) 02:18:41 ID:RGXFzKUF
――あとがき――を明日書かせて頂きます。長い間あけてしまいすみませんでした(>_<)
詳しいことやあとがきは明日まとめて投下します。お待ち下さい。
54 :
優しい名無しさん:2006/09/15(金) 02:18:51 ID:lujvOFdA
パチパチ
素晴らしい作品でした!
お疲れ様です
久々にきたら続きキター!見にきてよかった。
おつです。
あとがきも楽しみにしてます。
あなたのマイペースでどうぞ。
56 :
優しい名無しさん:2006/09/17(日) 23:52:34 ID:z0Y8ZIeN
おぉ待ってたよ!来ないかと思ってたから嬉しいO(≧∇≦)o
57 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/19(火) 17:10:29 ID:vWDlj1pQ
―――あとがき―――
この度は稚拙な文章をご拝読いただきありがとうございます。
書き始めたきっかけは、東京の姉の家に遊びに行った時でした。
姉の家の窓のすぐ側に大きな樹があって、蝉がたくさんいてもの凄くうるさかったんですよ(笑)
蝉なんていなくなれ!なんて思っていた時に、ふっ…と、この物語が頭に浮かんだんです。
蝉ってあんなに鳴いてすぐ死んで、何のために生まれてきたんだろう?と。
これは人間、特に私達メンヘラによく共通する事だと思うんです。
蝉は長年、土のしたで幼虫と暖かくして過ごします。(もちろん他の虫や鳥に食べられて終わる事も多いです)
私メンヘラも子供時代を家や学校で暖かく育ちます(こちらも学校でいじめられたり家で嫌な思いをする事もありますね)
そうして社会へと出てきます。右も左も分かりません。
どうやって生きるの?何を目的に生きるの?
誰も教えてくれません。
でも蝉は本能で繁殖と媒介を行います。
でも私達メンヘラは本能がありません。ここがこの物語の主人公の蝉との共通点です。
主人公の蝉は本能が働かず、鳴く事だけ繰り返しています。友達も出来ました、
でもその友達も主人公とは違い本能を持って生きていますから、繁殖を行います。
主人公は何もしません。ただ毎日楽しい気分で過ごします。そのまま育った主人公は
友達の死や老いた蝉の話や報われない恋にぶちあたります。つまり現実を見せられ逃げ場がなくなります。
逃げ場のなくなった主人公は恐くて、ただ目の前の事だけ(鳴きながら生きる)を行います。
自分以外はもう誰もいない、寒い寂しい。メンヘラの心の中のように。
(続きます)
58 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/19(火) 17:37:28 ID:vWDlj1pQ
―――あとがき―――(続き)
本当は死んだ方が楽になれるのに、必死に生きる主人公。
主人公が何故必死に生きているのか書いていて私も分からなくなりました。
もう主人公が勝手に物語の中で生き始めていきました。でも主人公には死を受け入れてほしかったので
他の蝉の死殻を見せるための行動をさせました。そうしたら主人公は分かるだろう、そう思いました。
やがて主人公は死を受け入れ地に落ちます。
さて疑問点が残ります。
何故主人公だけ長く生きたのか?
主人公が長く生きた訳ではないのです。他の蝉が生きた時間が短かったのです。
自殺したい、死にたい、消えたい、不安。こんな気持ちを抱えたメンヘラ達はODしたりリストカットをしたりしても自殺未遂で終わります。私達メンヘラは死にたいのに何故か死ねません。
しかし周りを見てみると死ぬ人ばかりです、親戚の死・友人の死・ニュースに出てくるたくさんの死。
これです。
主人公=メンヘラ的な死
周りの蝉=一般的な死
主人公は生きる事にしがみつきましたが心の何処かで楽な道を選んでいました。
楽に死にたいと。楽に死にたいが故に長く生きてしまいます。自殺志願者も同じです。楽に死にたい楽に楽に、と思い中々死のうとしません。
すこしずるさがあるのかもしれません
でも純粋でした、純粋すぎる故に最後は苦しみました。メンヘラもそうです、みんな純粋なんです。純粋すぎて苦しんでしまうのです。
周りの誰かのように(物語でいえば女蝉でしょうか)
世渡りを上手く出来たら死ぬ事も生きる意味も悩まずに一生を送れたでしょう。
後半は苦しんだ主人公でしたが死に際は穏やかに落ちてゆきます。死んでゆきます。
死ぬ事は恐くない、楽になれる、安らかな眠り。
主人公にこの安らかな眠りを与えました、そして物語は終わります。
蝉の一生は惨めです。うるさい、一週間位しか生きられない、子供に捕まればずっと狭い檻の中。
うるさくて嫌いな蝉ですが、私達とよく似ています。ちょっと考えると共通点が沢山あります。
だからまた来年の夏も蝉が鳴き始めたら応援してあげてください(笑)
夏の終わりに蝉が最後に『泣く』まで。
長く分かりづかい後書きですみません。また思いついたら、物語を書きますね。
ありがとうございました
59 :
優しい名無しさん:2006/09/19(火) 17:41:45 ID:OORcFlIS
お疲れ様てした!
<※ 花束
とても良かったです!
素敵な作品をありがとうございました
60 :
優しい名無しさん:2006/09/19(火) 22:30:38 ID:kiWnmsu3
良かったよ。
文才あるっていいなぁ
次回作も楽しみ。
61 :
優しい名無しさん:2006/09/19(火) 22:42:11 ID:FFBAluAE
本当に良かったよ。次回作も楽しみに待ってます。
62 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/19(火) 23:35:19 ID:vWDlj1pQ
皆さん本当にありがとうございます、嬉しいです。
63 :
優しい名無しさん:2006/09/19(火) 23:38:39 ID:OORcFlIS
蝉とメンヘラの共通的を見つけている所がまた凄い
あとがき を読んで 納得したし、もっと感動しました
64 :
優しい名無しさん:2006/09/22(金) 00:05:38 ID:ghblMSTV
ほす
そろそろ何かまた書こうかな(恐れながらも^^;)と思っています。
今月内に書けたらすぐ投下しますね。また宜しくお願いします…!
66 :
優しい名無しさん:2006/09/25(月) 16:53:10 ID:HUR6uFma
感動した…次回期待してる
無理すんなよー
また久々にのぞいてみました。
そしたら次回作が出るんですねー
楽しみです!
(´・ω・`)保守
71 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/28(木) 00:30:57 ID:2D66A3GG
――――生きる術(すべ)――――
・まえがき・
この度はスレをお開き頂きありがとうございます。
さて、今回の小説も前回に引き続きメンタルヘルス的な話になると思います。
まだ話の末路や冒頭が全く出来ていないので、前回に比べまたかなり
たどたどしい文章になると思います…(汗)
途中、修正のレスや取り消しのレスが入るかもしれません。すみません…;
今回は他の生き物ではなく『人間』をテーマにしてみました。
不快な点も多々あるかと思いますがよろしくお願い致します。
72 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/28(木) 00:42:06 ID:2D66A3GG
―――……真っ白かった。
何もない。面も横も縦もない。本当に何もない。
その後、恍惚感が脳内を巡る。フワフワと浮かぶ様な、重りを全て外した様な、言葉にならない恍惚。
・
・
・
・
・
・
…………。
ザワザワ…ザワザワ…
教室の中、廊下、階段、何処に居ても人の声が煩い。
今日も機嫌が悪い、気分も悪い、具合も悪い。昼間に薬を飲まなかったからだろう。
私はA。高校三年、もうすぐ卒業だ。
73 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/28(木) 00:53:47 ID:2D66A3GG
「A!生徒会の集会が来週にあるから頼むな」
生徒会指導の先生が私に話しかける。
「A、集会前にテストがあるから無理しないようにな」
担任の先生が私に話しかける。
『はい、大丈夫です!頑張りますから!』
私は空っぽな笑顔で返事をする。頑張らなくちゃ…頑張らなくちゃ………。
こうやって点数を稼げば推薦に有利なるんだから、具合悪いの位は我慢しなくちゃ。
Aは卒業後、進路は大学へ行くと高校二年の始め頃から決めていた。
テストの点数は平均より上。生活態度や出席日数、学校の活動等も問題無し。
面接でヘマさえしなければ推薦でするりと受かる。Aは推薦を貰う為に
積極的に学校活動に参加し、働いていた。
平日は学校。日が暮れるまで学校で部活の指導や生徒会の仕事をし、
休みの日は朝からバイト。大学への資金を貯めるためだ。
74 :
◆ROSE/oAOvM :2006/09/28(木) 01:14:03 ID:2D66A3GG
Aは幼い頃からずっと人見知りで、誰かと接するのが苦手だった。
幼稚園から中学まで、登校拒否。家で引きこもり、友達なんて居なかった。
中学までは酷い生活だった。起きるのは昼間過ぎ、起きた後は夕飯までひたすらゲームや漫画。
典型的な引きこもりだ。
親に促され、なんとか落ちこぼれの高校に入学。
A自身も、高校テビューで頑張ってみよう!という気力で入学した。
入学してからは毎日遅刻もせず学校へ通った。友達が出来たからだ。
友達と話す事を楽しみに。
そして授業の楽しさも知った。
図書室で本を読みあさり、知識を得ていった。
三年になった春先、一番仲の良かった友人が退学した。
学校を辞めるかもしれないという相談は受けてはいたが、かなりのショックな出来事だった。
友人は県外に彼氏が出来て、彼氏と同棲する事にしたのだ。
元々が男好きで、仕事も夜の仕事をしていたので学校より男や金の方が飛び付きやすかったのだろう。
そんな友人でも、常に一緒に居たのだ。いきなり隣から去ってしまい、
休み時間やHRはもっぱら一人になった。辞めてから連絡もほとんど来ない。
また一人に戻ってしまった。
75 :
◆ROSE/oAOvM :
そんな事もあり、夏休み前のAはシビアになっていた。
――友人の様にはなるまい…――
――……大学に入ってもっと勉強をして今までの分を取り戻すのだ…!―――
―――知識を得て、活動して、社会や世界に自分の名を広く伸ばそう――
一直線に大学へと足を進めた。全ては其所にある、また新しく其所から始めよう。
推薦で大学に入る事に頭を絞り一心不乱に学校へ通った。
そこには、かつて友人がいた頃の笑顔は無く、ただただ机に向かっていた。