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優しい名無しさん:
睡眠薬を大量に服薬して自殺未遂をおこし救急車で搬送される患者さんがいます。
私の経験でははるかに女性が多いと思います。
毒物を飲むならともかく、いわゆる一般的な睡眠薬では
20錠や30錠飲んでも簡単に自殺することは出来ません。
ほとんどは誰かに昏睡状態(単なる深い睡眠のことが多い)で発見され
病院に運ばれます。
あるいは最初から死ぬ気はなくいわゆる当てつけ自殺(未遂)の目的で
大量に睡眠薬を内服する人がいます。
初発はよいですが、こういうことを何度も何度も繰り返す人がいます。
われわれ医師も最初は一生懸命処置をしますが、2回目、3回目になると
「またあの患者さんか!」という気持ちになります。
たいへん迷惑な話です。
しかしドクタ−たるもの目の前に急患が運ばれてきて、
救急処置をしないわけにはいきません。
睡眠薬の大量服用の時の処置は通常、胃洗浄(大量の水で洗います)、
大量の輸液、下剤をかけるなどを行います。
胃洗浄は家庭用の水まきのホ−スより一回り大きい管を口から胃まで挿入し、
約10リットルから20リットルの水で洗います。飲んだものを出させることが目的です。
輸液はすでに小腸に入り吸収された薬物を早く尿に排泄させる目的です。
下剤はすでに小腸に入った薬物でまだ吸収されていないものを
便として排泄させる目的です。
いずれもたいせつな薬物中毒の処置です。
この中で最も患者さんにとって辛いのはやはり胃洗浄でしょう。
胃カメラのようにのどに麻酔するわけでもなく、
胃カメラよりはるかに大きな管を突っ込まれます。
そして大量の水で胃の中を洗浄されます。
かわいそうな処置ですが、私は実は洗浄しなくいても良いくらいの軽症の
患者さんにもわざと胃洗浄することがあります。
何故かと言いますと、同じことを繰り返して
当てつけ自殺の常習犯にならないように、少し辛い思いをさせるのです。
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