【近藤節】近藤唯之スレその3

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96神様仏様名無し様
生え抜きで頑張ってきたエリート社員が、去年転職してきた粗忽な男に
仕事を奪われたと考えてみてくださいよ。
二岡のはらわたは煮えくり返っていたと思いますよ。
97神様仏様名無し様:2007/07/16(月) 23:06:52 ID:GD8E9MX0 BE:146349375-2BP(71)
>96
御大はエリートにはあまり思い入れがないんじゃないかな。
98神様仏様名無し様:2007/07/18(水) 10:23:39 ID:3XFSCwAi
>>97
どちらかといえば、小関の立場になって書くと思う。

小関も2002年には、2番打者として3割1分4厘を記録した実力者である。
その小関が今は流れ流れて巨人にいるのだ。
巨人には2002年に監督だった伊原春樹がヘッドコーチとして在籍している。

伊原は小関にこう声をかけたに違いない。
「おい、小関。お前の出番だ。」
この場面で小関は燃えたと思いますよ。
「俺は骨が舎利になっても打ってみせる。」
だが、男の人生なんて思ったことの10分の1も上手くいかない。
宮崎充登投手(智弁和歌山高ーホンダ鈴鹿)の前に、三振に終わってしまった。
99神様仏様名無し様:2007/07/18(水) 21:41:43 ID:8XJowOgc
代打で出て行って三球三振。つまり、糞の役にも立っていない。

「なぁ小関よ。打席に立ってるだけならデパートのマネキンでも
 できるよなぁ。いますぐ郷里の栃木に帰ってラーメン屋継げや」

と言われても仕方のない結果である。原も伊原も何も言わなかった
ものの、小関は二軍落ちを覚悟した。それどころか、今シーズン限りで
戦力外通知されることすら考えた。どこの世界でも、生え抜きばかりが
大事にされて、外様は使い捨てである。

ドラマはそこから72時間、つまり3日後にやってきた。
7月18日、甲子園球場で阪神−巨人戦が行われた。1−5とリードされて
迎えた7回表、マウンド上には久保田智之投手が仁王立ちしている。
この回先頭の木村拓也二塁手が四球で出塁すると、原はベンチを
ぐるりと見回した。阪神には藤川球児という絶対的な抑え投手がいることを
考えれば、このチャンスを活かすか活かさないかは「ダイヤモンドと消し炭」
くらいの違いがある。この時点でベンチには、小関以外にも小坂誠、古城茂幸、
清水隆行、鈴木尚広と4人もの左打者が残っていた。
これまでの実績、久保田との相性、そして生え抜きベテランであるなどを考えれば、
ここは清水を使うのが定石である。しかし次の瞬間、原の意を伝える伊原の言葉を
聞いて小関は思わず前につんのめった。

「小関、お前の出番だ」

小関が震える手で自分のバットを掴んで打席に向かい、久保田が2球目に
投げた150キロの直球をぽんと振ると、ぽんと右越本塁打になった。
おぼつかない足取りでダイヤモンドを一周しながらベンチの原を見ると、
そっぽを向きながら鼻毛を抜いている。伊原はと見てみれば、下を向いて
帳面を開き、次の作戦のメモをとっている。しかし小関の心の底には、2人の
上司の思いがじぃーんと染みわたっていた。

結局この日は3−5で敗戦、首位・中日とのゲーム差も2.5と広まった。

「こら、惨めな負け方ばかりしやがって、恥を知れ、辞めちまえ」

原監督以下、コーチ・選手が巨人ファンの罵声を浴びながら宿舎行きの
バスに乗り込むと、先頭の座席に座っていた原が、最後に乗ってきた小関の
肩をぽんと叩きながらこう囁いた。

「小関、ありがとうよ」

その夜、伊原は宿舎ホテルのバーに小関を誘い、こうつぶやいた。

「なぁ小関、俺たちは外様だけど、ちゃーんと見ていてくれる上司もいるんだ。
 シーズンが終わるまで、このことだけは忘れないでいような」

管理職、とりわけプロ野球チームの監督なんて、評価されるのは1人だけで
あとの11人は無能呼ばわりされ、毎年半分は首にされてしまう。
そんな中で、生え抜きエリートを差し置いて外様の選手にチャンスを与えることが
どれだけ勇気のいることか、監督経験者の伊原はわかっていたのだと思う。

男にとって、よき上司との出会いこそが人生の99%を決めるのだと、私は本気で思っている。
100神様仏様名無し様:2007/07/20(金) 01:01:49 ID:bUCy1ZIg
>>99
伊原を外様とするのは厳しいような…。
でもGJ。
101神様仏様名無し様:2007/07/20(金) 13:26:50 ID:Wt+HFBq6
確かに伊原は2年間巨人でプレーしたことがあるし、実際
球団から請われてコーチになったのだから「外様」とするのは
無理があるのかもしれない。しかし、この場面で伊原が小関に
「お前は外様だけど…」と言ったらどうなると思いますか。
言外に「俺は身内だけどお前は仲間はずれだ」と言っているのと
同じことになるんですよ。
「身内」と「仲間はずれ」、字にすればたった3文字の違いでも
その中身は極楽と釜茹地獄くらいかけ離れている。

同じ部下を励ますのでも、「お前は外様」と突き放すのではなく
「心配するな、俺もお前と同じ境遇だ」と相手の懐に入り込む
伊原の心意気を思うたび、鼻の奥がつーんとなってしまう。
普段「俺は俺の腕一本で食っている。同情なんかいらない」と
ふんぞり返っていても、心のどこかで肌寄せ合える相手を探して
いるものなんですよね。