広島・長崎 被爆地五輪の願い分断…JOC方針 橋下知事もJOC批判
「核兵器廃絶の象徴」として広島、長崎両市が目指してきた五輪共催に、赤信号がともった。25日、日本オリンピック委員会(JOC)が五輪憲章に反するとして候補地に推薦しない方針を示した。
広島市の秋葉忠利市長はこれを受けて、単独開催の可能性についても示唆した。
両市は今年10月、2020年夏季五輪の共催に向けた招致検討委員会を設置。大阪府、大阪市など21自治体が協力姿勢を示し、複数都市による新しい五輪開催のモデルを提案する方向で協議を重ねてきた。
しかし、この日、JOCの竹田恒和会長に「NO」を突きつけられたことに、田上富久・長崎市長は「とても残念に思っている。ユース五輪の開催など、広島市と早急に協議をしたい」と話した。
一方、秋葉市長は単独開催について示唆する一方で、東京都内で「広島と長崎は、被爆体験では一体化された都市。それをどう生かすか、今後も知恵をお借りし、可能性を探りたい」と語った。
広島県東広島市の蔵田義雄市長は「共催が否定されたのであれば、広島市での開催の形をとって、周辺の自治体も競技会場となることなど、議論を進める必要があるのでは」とした。
広島県原爆被害者団体協議会の坪井直理事長は「広島、長崎での共同開催の歴史的意義は大きい。両市はくじけずに、理解されるよう取り組んでほしい」と訴えた。
一方、大阪府の橋下徹知事は定例記者会見で、JOCの判断について、「(発想が)役所と一緒。東京に(16年の)五輪を持ってこれなかったふがいなさを全く感じていない。ダメな霞が関と同じくらいダメ」と批判。
さらに「(核兵器のない世界を目指す)オバマ米大統領のメッセージを受け止められるのは、広島と長崎しかない。普通の人間だったら感じることを、JOCは感じないんですか」と述べた。(2009年12月26日)
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