予算陳情、9知事のみ 民主新ルールで11県が中止
予算編成に向け、要望書を携えて中央省庁をめぐる「陳情」を今年末にかけて行う知事が9人にとどまっている。
一方で、民主党が陳情を幹事長室で一元化する新ルールを打ち出したなかで、11県は今年から知事の陳情を中止した。知事や自治体の議長らがそろって上京していた歳末の光景は様変わりしている。
多くの都道府県は例年、11月から年末にかけ、公共事業や制度改正に関する要望を包括的にまとめ、知事が大臣や省庁幹部に持参する「陳情」を行ってきた。こうした形式の陳情を今年も知事が行うかどうか、朝日新聞が各都道府県の秘書課や東京事務所などに取材した。
今年、すでに済ませた知事は青森、福島、岡山、高知、大分、鹿児島の6人で、ほかに長野、鳥取、島根の3人がこれから行うとしている。11日に陳情した青森県の三村申吾知事は「地域の実情を理解していただくうえで必要な機会だ」と話している。
一方、陳情をしないと明確にしているのは31人。うち秋田、山梨、愛知、兵庫、徳島などの11県が今年から取りやめた。三重の野呂昭彦知事は新ルールに従い、民主党県連に「提言書」を提出。
11月に上京して、地元選出国会議員に説明した。滋賀の嘉田由紀子知事は「政治主導を掲げる民主党政権では、各省に対して一斉に行うことは効果が低いと判断した」(企画調整課)として取りやめた。
静岡の川勝平太知事は新政権ができる前に「国と地方は平等であるべきだ」として陳情廃止を表明している。20都府県の知事は昨年に続いて陳情せず、大阪府は橋下徹知事の名前で党大阪府連に緊急要望を提出した。
また、予算編成の日程が不透明なこともあり、7道府県は行くかどうか「わからない」と答えた。
こうした包括的な陳情とは別に、道路整備など公共事業や地域固有の課題に絞った「面会」も残っている。
11月2日に新ルールが公表されて以降、省庁の政務三役に面会した知事は23人(複数の知事がそろったケースは除く)。「陳情」という言葉を使わず、民主党幹事長室を通したうえで「表敬訪問」「政策提言」という形で行われているのがほとんどだ。
宮崎の東国原英夫知事は「表敬」などの名目で前原誠司国土交通相と3度面会し、東九州自動車道の早期整備などを要請。愛知の神田真秋知事も11月25日、「提言」の形で木曽川水系導水路や名古屋港整備などを求めた。(伊藤喜之、沢木香織)
http://www.asahi.com/politics/update/1212/TKY200912120274.html