予算編成関与で府議会二分
橋下知事の「議会は当初予算案編成の段階から議論に参画してほしい」という要請をめぐり、府議会が揺れている。そもそも府議は、議会で予算をチェックするのが大きな役割。
「意見を言う場が増える」と積極的な議員がいる一方で、「予算案づくりに参加してしまえば議会のチェック機能が揺らぎかねない」と懸念する声が出ている。
8日、府議会の運営委員会理事会で、議会がかかわる新しい予算編成作業の試案が主要会派に提出された。
知事が各部局の予算要望をまとめて聞く1月中旬の「全体状況報告」と、知事が重要項目を部局から聞く1月下旬の「復活折衝」の場に、府議10〜15人が出席する。
この後、知事が予算査定をする前にも出席し、知事と意見交換する。原則として報道陣に公開するという。
試案は、正副議長が府総務部と協議して作成した。各会派に持ち帰って協議したうえで、最終案をまとめる。
橋下知事は、議会での大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)への府庁移転をめぐる議論が佳境を迎えた10月中旬ごろから、
「一人では責任を負えない」「一人ですべてを見るのは無理」などとたびたび発言するようになり、「議員と一緒に政策を考える議院内閣制にできないだろうか」と親しい府議に漏らし始めた。
その後、地方自治体のあり方として「部局長の上に取締役のような監視機能が必要。大きな政治的対立がない地方自治体では、議員内閣制が目指すべき方向」と語るようになった。
11月25日、知事を支持している自民党・維新の会、自民党ローカルパーティー(LP)との会合で、「政務三役のように行政の中に入ってほしい」と発言、両会派の府議に予算編成への参画を求めた。
その後、他会派にも「行政に参画し、マネジャーになってもらいたい」と要請。
「民主党がやっていることを地方でもやりたい」とも語っており、事業の是非を国会議員らが次々に判断する行政刷新会議の「事業仕分け」にも刺激を受けたとみられる。
だが議員からは、予算編成に参加してしまえば議会で問題点を指摘できず、チェック機能を果たせなくなると疑問視する声が上がっている。