16路線廃止 空路めぐり火花 日航撤退で地方Vs.国交省
企業再生支援機構の活用を申請して経営再建を目指す日本航空が、来年6月までに国内外16路線の廃止を検討していることが2日、明らかになった。
再建には不採算路線からの撤退が不可欠だが、対象となる地方空港や関西国際空港などからは猛反発が起きている。
大阪府の橋下徹知事は同日、国土交通省を訪れ、関空のハブ(拠点)化を求め、日航路線の縮小・撤退を牽制(けんせい)した。再建と公共性のための路線維持という難しい問題に国交省は直面している。
「関空をハブにするため、伊丹空港の廃止を念頭に置き、これから大阪で議論していきたい」。橋下知事は2日、辻元清美国交副大臣との会合後、記者団にこう語った。
前原誠司国交相が羽田空港の24時間ハブ空港化を打ち出して以来、関空の存在感は大きく揺らいでいる。
一方、日航の経営再建をめぐっては、前原国交相直轄の専門家チームが内外45路線の不採算路線からの撤退を提案。
専門家チームの解散で白紙に戻ったものの、日航の経営を健全化させるためには、同等の路線廃止は不可避な状況。そうなれば、松本空港(長野県)をはじめ定期便の発着がなくなる空港もでてくる。
前原国交相は10月31日、神戸市内で記者団に「飛行機が飛ばない空白の空港がない形にしたい」と述べ、政府として何らかの支援策を検討する考えを示した。
着陸料や航空燃料税の引き下げなどによる支援が念頭にあるとみられるが、政治的対応から日航の不採算路線の切り込みに緩みが生じれば、再建自体に大きな影響を及ぼす可能性も出てくる。
撤退路線の選定は、国が民間企業の再建に全面的にかかわることの難しさを表している。(石垣良幸)
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