WTC周辺活性化に手応え…市長就任2年
市民理解のためATC賃料鑑定
19日に1期目の折り返し点を迎える大阪市の平松邦夫市長=写真=。読売新聞のインタビューで、大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)の周辺活性化を巡る官民一体の取り組みへの手応えを強調。
市部局のアジア太平洋トレードセンター(ATC)への新規入居に向け、市として賃料鑑定を行う考えを明らかにした。主なやりとりは次の通り。(聞き手は森克二・社会部長)
――2年を振り返って。
やりがいをものすごく感じている。民間ならば普通に考える「なんで?」という提案に、職員の気づきが出てくることで、大阪は間違いなく変わる。
私も、市民協働チームと一緒に街中に飛び出し、いろんな話をしてきた。そうした積み重ねが、一つの方向をはっきり示してくれている。
――WTC周辺の活性化に向けて、官民が連携して取り組むことになった。
府にWTCを買っていただき、負の遺産の象徴がベイエリア活性化のシンボルになった。府、市、経済界が役割分担で企業誘致やまちづくりを展開したい。これが失敗すると、日本中で成功する場所がないんじゃないかというぐらい、立地条件の良さもある。
――府部局のWTC移転により、WTCに現在入居している市部局の多くが、ATCに移ることになる。
すでに、ATCに入居している市部局の賃料(1平方メートル当たり月6230円〜6104円)は、住民訴訟で裁判所が出した鑑定(同3985円〜1685円)より高い。新規入居の場合は、しっかりと鑑定して、市民に説明できる賃料を議会に示すのが筋だ。
――梅田スタジアム構想について、考えがあれば。
国立競技場であれば、大阪のチームだけでなく、京都、神戸、広島、岡山といろんなところに使っていただくセールスができる。
周辺に森や林を残し、公園の中にスタジアムがあるイメージ。電車から降りて5分なら、世界規模でみても非常にまれな存在になるし、大きな夢を描きたい。
――前市長までは、地域後援会があった。今後、再結成する考えはあるか。
周りがそういう動きになってくれば、否定するつもりはない。地域の中には「早く、後援会を作らないとあかん」と言ってくれる方もいる。
今後、そんな動きが出てきたら「平松邦夫後援会」ではなく、誰が市長になっても応援する「大阪市長後援会」のようになってくれたら、と考える。(2000年1月1日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/osaka_h/20091216kf03.htm?from=tokusyu
就任2年 平松市長に聞く 府市連携 かつてない高レベル
就任2年を振り返る大阪市の平松邦夫市長
19日に就任2年を迎える大阪市の平松邦夫市長が産経新聞のインタビューに応じ、府市連携などの成果を強調した。主なやりとりは次の通り。
??2年の自己採点は
就任半年は60点、1年で61点と言った。それらをはるかに上回る成果は上げられたが、何点とは付けられない。
今年はベイエリア発展に向け、府にWTC(市の第三セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」)を買い上げてもらった。
これから具体的にどう形をつくり、深めていくかという段階に入る。橋下徹知事の協力で、わずか2年で府市連携という今までになかったレベルにまで高めることができた。
??市民憲章や住民投票条例制定など選挙で掲げた基本政策は未達成だが
基本政策は着実に着手している。例えば全中学校への(選択制)給食導入は、第一歩といえる全中学校での昼食(弁当)提供事業を始めた。半分以上の到達点だ。
市民憲章や住民投票条例も私が進める「市民協働」の動きからどう築き上げるか。2年で項目を何個そろえたかが勝負ではない。
??重要課題に挙げている生活保護制度の改革は
9月設置の生活保護行政特別調査プロジェクトチームで、不正受給・請求や貧困ビジネスをあぶり出し、国に法改正や法律のバックアップをお願いする。
特に年金生活者が「なぜ働きながら掛けてきた年金で暮らすより、生活保護を受けた方が楽な暮らしをしているのか」という逆転現象のない社会にならなければならない。
全額国庫負担が最大の目標だが、生活保護にいたる過程で救う雇用施策などを整備するのは国の役目ということを、私が先頭に立って言い続けていく覚悟だ。
??厳しい財政事情の中、平松版市政改革とは
前市長の市政改革基本方針を踏襲すべきは踏襲してきた。当時想像もできなかったほどの不況が世界を覆っているが、改革は進めなければならない。
新たに平成23年度以降の方針として22年秋には人員削減、経費節減のデータ目標を示す。大きな方向性は2月ごろに出せると思う。今年は3174の事務事業を総点検した。見直しに向けたたたき台として有効に活用する。
??改革の具体像は
区役所改革。地域主権といいながら各区役所がまったく同じ施策であっていいはずがない。市を地域主権のモデル都市にしたい。
??橋下知事への注文は
知事はアドバルーンを上げて反応をみながら落としどころを探る。うまくいったり、何も言わなくなったりしたケースもある。もう少しきちんとしたデータに基づき、その発言力や影響力を関西活性化に使ってほしい。今はあちこち飛びすぎている思いがする。
??2期目の意向は
今は体力、精神的にしんどいが、それ以上にやりがいや具体的な成果となりつつあるものがいくつもあると胸を張って言える。2期目とか考えずに当面の仕事を一つずつこなす。時々知事のアドバルーンの尻尾を引っ張りながら(笑)。(2009年12月16日 09:16)
http://www.sankei-kansai.com/2009/12/16/20091216-018342.php
府と合同部局、エネルギータウン目指す…平松市長、新設に意欲
就任2年、本紙と会見
大阪市の平松邦夫市長はベイエリア活性化に向け、大阪府と合同で「まちづくり部局」を新設し、電気自動車(EV)普及のための実証実験の拠点づくりに乗り出す考えを明らかにした。
大阪城東側で市関連施設が集中する森之宮地区では、10年後をめどに、ごみ焼却場や下水処理場の廃棄エネルギーを活用して電力を作り、周辺の住宅などに供給するエネルギータウンを目指す構想も披露した。
19日に就任2年を迎えるのを前に、読売新聞のインタビューに応じて述べた。
府市合同部局は、府の購入が決まった市の第3セクタービル「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)周辺のまちづくりを進めるため、双方の職員で構成。
連携を強化して環境・新エネルギー産業の集積に取り組む。来年4月にも準備室を設け、府の一部部局のWTC移転が始まる来年秋頃の正式設置を目指す。
平松市長は「府と市が職員を出し合い、一緒にまちづくりに取り組む部局と考えている。WTCのスペースをお借りできれば」と意欲を見せ、「EVの実験をやりたい」と具体的な内容にも言及した。
充電スタンドをWTC周辺に整備し、EVレンタカーなどの事業展開を検討。6月に産官学で設立した大阪EVアクション協議会(会長=橋下徹・大阪府知事)とも連携し、EV以外の自動車の流入を規制する特区やEVカーレースの実現なども視野に入れる。
エネルギータウン構想では、老朽化した森之宮ごみ焼却工場の建て替えに合わせ、ごみ焼却で生じる熱や電力を効率的に回収する最先端技術を導入。隣接する下水処理場のメタンガス発電で得られる電力とともに周辺のマンションやオフィスなどに提供するという。
一方、JR大阪駅北側の梅田北ヤードに8万人規模の新スタジアムを建設する構想については「梅田には1日260万人の乗降客があり、実現すれば強烈なメッセージになる」と歓迎。
国に設置を働きかけ、「ナショナルスタジアム」として、試合がない時は天然芝を市民に開放する考えを示した。(2009年12月16日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/osaka_h/20091216kf01.htm?from=tokusyu
平松大阪市長、任期後半へ問われる真価
大阪市の平松邦夫市長は19日で就任から2年を迎える。職員厚遇問題などを受けて関淳一前市長が力を入れた市政改革路線の継承を明言し、産経新聞のインタビューで「目標達成は見えてきた」と強調した。
ただ、平成20年度決算などの財政データを通じて市政改革の現状を点検すると、さらなる職員数の削減や外郭団体の整理、市債残高の圧縮といった課題が浮かび上がる。
◇職員数ワースト1
関前市長が策定した市政改革の基本方針(18〜22年度)は財政再建を第一に掲げ、人件費などの年間経常経費を900億円圧縮し、職員を7千人以上削減して3万人台にする−とした。
15年12月まで2期8年務めた磯村隆文元市長▽15年12月から19年12月まで2期4年の関前市長▽19年12月以降の平松市長−の3代にわたる13〜20年度の職員数と人件費(退職金を除く)の推移を示したのがグラフ(1)。
関前市長時代、人件費はおおむね大きく減少した。ペースを緩めながら19、20年度も減少は続き、18〜20年度で約394億円が削減された。人件費は経常経費の3割程度にあたるため、目標以上の達成度となった。職員数も22年4月には4万人を割る見通しだ。
それでも職員の多さは際立つ。19年度の人口千人あたりの職員数は11・27人で、全国の政令市17市(当時)の平均7・51人を大きく上回りワースト1。
自治体が自由に使える財源のうち人件費など毎年必ず支出しなければならない経費が占める割合を示す経常収支比率も99・9%と政令市最悪で、人件費は財政の硬直度を増す要因となっている。
市幹部は「常住人口は約260万人だが、企業が多いために昼間人口が350万人を超えるという市の特殊な事情もある」と話す。
◇三セクに巨費
外郭団体のスリム化も市政改革の重要な柱だ。これまで外郭団体への補助金や、赤字の第三セクターのずさんな経営が市財政を圧迫する要因となってきた。
グラフ(2)は18〜20年度の外郭団体数と市が交付した補助金の推移を示す。外郭団体は減少しているのに、補助金は18年度の約104億円から19年度に約304億円に急増。
20年度も高水準が続いた。市によると、阪神なんば線や京阪中之島線の建設主体となった三セクへの補助金が膨らんだといい、インフラ整備のため三セクに巨費を投じる構造はバブル期とほとんど変わらない。
市政改革基本方針では、17年度に146あった外郭団体数を19年度末までに116に減らす目標も掲げられていたが、今年末現在で120と達成できていない。その理由について、市は市議会や株主総会などでの反対の多さを挙げる。
◇建設費は減少
市が今年7月に発表した中期財政収支見通しは、景気悪化による市税収入の大幅減で30年度に累積赤字が2600億円に達し、27年度には国の管理下で再建を進める「財政再生団体」に転落する可能性があるとした。
借金にあたる市債の残高が多いほど、元利償還金や利子支払いに充てる公債費が増え、厳しい財政をさらに圧迫する。市債残高とハコもの・道路などの普通建設事業費との関連をまとめたのがグラフ(3)。
普通建設事業費の歳出全体に占める割合は13年度以降ほぼ減少を続けており、歩調を合わせるように全会計の市債残高も16年度をピークに減少。財政難による大型開発の抑制が市債残高の減少につながっている。
財政再生団体への転落は、いわば自治体の倒産にあたる。しかし市が本当に危機感をもっているのか疑問は残る。例えば市長や議員、一般職員らの今冬のボーナスの削減は民間企業と比べれば厳しいものとはいえず、総支給額は約350億円に上った。
仮に今後、全員を半額にすれば、30年度に予想される累積赤字は一掃され、財政再生基準も楽々とクリアできるのだ。
任期後半に入る平松市長は来年2月にも、23年度以降の平松版市政改革の骨子を示す方針という。徹底的に無駄を排して“筋肉質”の組織に転換させ、自治体のモデルへと導くことができるのか。大阪市政で戦後初の民間出身市長としての真価が問われる。(西見由章)
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/091216/lcl0912160201003-n1.htm
大阪市、臨海部再生へ府と常設組織──平松市長方針、活性化へ連携強化
大阪市の平松邦夫市長は19日の就任2周年を前にインタビューに応じ、大型開発に失敗した臨海部の活性化策実施に向け、大阪府と共同で「常設組織」を設ける方針を明らかにした。
来春をメドに準備室を設置。府が購入する予定の大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)に、府の部局が移転する時期に合わせ正式に立ち上げる考え。「府市連携」を強化し、臨海部の再生に臨む。
新設する組織の名称や形態、職員の規模などは未定。9月から府、市、経済団体で臨海部の活性化策を検討している「夢洲(ゆめしま)・咲洲(さきしま)地区まちづくり推進協議会」に関与する府市の部局のほか、企業誘致担当などの職員を集める考えだ。
平松市長は「来年4月にも準備室を設置することで橋下徹知事と相談している」と表明。組織の設置時期は、WTCビルに府部局が移転する時期を検討しており、2010年秋ごろになる見通し。
新組織はWTCビルか、隣接する市の第三セクタービル「アジア太平洋トレードセンター(ATC)」に置く方向。
大阪市の臨海部では情報通信拠点の整備をめざした「テクノポート大阪」計画で、人工島の舞洲(まいしま)、咲洲の整備が進められたが、バブル崩壊で頓挫。
08年の五輪招致にも失敗した。関西経済の停滞で企業誘致も進まず、多額の財政負担を余儀なくされている。 2009/12/16配信
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news003505.html