大阪府庁移転案提出、WTC再挑戦に厚い壁衆院選で自公と溝
大阪府の橋下徹知事は、大阪市の第3セクタービル「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)への府庁舎移転に再挑戦するため、25日に開会した9月定例府議会に関連議案を提出した。
政権交代が起きた衆院選や、混戦模様となっている堺市長選が知事与党との関係に影を落とし、移転条例の成立に必要な「賛成3分の2」の壁は、大差で否決された3月議会よりもなお高く、厚い。
チキンレース
「もう、知事与党なんてない」。知事選で橋下知事を支援した自民党府議団のベテラン府議は怒りが収まらない様子で言い放った。
逆風が吹いた衆院選で、頼みの綱だった橋下知事は土壇場で「民主支持」を宣言した。さらに堺市長選で、橋下知事は新人を支援し、民主、自民、公明、社民各党が支援する現職に「相乗り批判」を浴びせる。
「知事は裏切り者」「信頼できない」。会派内には批判の声が広がる。3月のWTC移転案否決をきっかけに、会派から移転推進派が分裂し、自民党・維新の会を結成したという経緯もある。
ただ、来夏の参院選などで“橋下人気”を味方に付けたい思惑もあり、中堅府議は「知事が引くか、こちらが引くか。チキンレースだ」と話す。
橋下知事はこの日、本会議で「今議会が最後の機会」と訴えた後、最大会派である同党府議団の総会に出席。
「大阪を変える起爆剤に」と、移転への賛同を呼びかけたが、府議からは「どこまで責任を持って実現させるのか」など疑問を投げかける声が相次いだ。
もう一つの知事与党・公明党府議団との溝も広がる。今月9日、橋下知事はこっそり控室を訪れ、衆院選に触れ「ご迷惑をおかけしました」と謝罪。
しかし、小選挙区の議席を失った同党の府議らは「信義というものがある」と知事を批判し、WTC移転も「今の状態で賛成は難しい」と突き放す。