名古屋市は25日、来年度実施を目指す市民税10%減税について、予定していた市議会への
財源検討状況の報告ができず、短期間で減税を実現させる困難に直面している。
河村たかし市長は必要額238億円を全額事業などの削減で確保する方針を変え、
近く新たな削減策を市各局に指示するが、議会との関係を考慮し、提出済みの
減税基本条例案を取り下げる可能性も出てきた。
市財政局は財源捻出(ねんしゅつ)に当たり、各局に一定基準で経費削減を割り当て、
25日に各局の作業結果を市議会財政福祉委員会に示す予定だった。しかし必要額が
積み上がらず、市長が人件費カットなどを念頭に今後削減額の圧縮を指示することや、
途中経過の公表に難色を示したことから報告が見送られた。
これに対し、委員らは「これでは真摯(しんし)な議論ができない」などと一斉に反発。
現在、継続審議中の減税基本条例案について、柴田達男局長は私見と前置きしたうえで
「取り下げもあり得る」と述べた。
さらに、柴田局長は財源案を議会に示すのは、最終結論が出た後の来年1月になるとの
見通しを説明した。河村市長は、11月議会に減税の細部を盛り込んだ本条例案を出す
考えだが、来年1月まで議会が要求する具体的な財源が示されなければ、本条例案の審議も
暗礁に乗り上げるのは必至。減税をめぐる市と議会との対立が深刻化し、市政が混乱に
陥りかねない。
委員会終了後、江口文雄委員長は記者団に「(財源を)1月に示すなら、本条例案は
来年2月の予算案提出時に併せて出すのが常識」と述べた。一方、河村市長は、検討の
途中経過を公表しないとしたことについて「商売でも見積書に至るまでの経過を出せば
大混乱する。(見積書がなければ審議できないという主張は)あり得ない」と話した。
【岡崎大輔】
▽News Source 毎日jp 毎日新聞 2009年9月26日 2時12分
http://mainichi.jp/life/money/news/20090926k0000m040162000c.html