未使用岸壁の施設料を免除――国・大阪市、夢洲の港湾運営会社への支援策合意
大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で10月に稼働予定の高規格コンテナターミナルの運営会社に対する国と大阪市の支援策がまとまった。
景気悪化に伴う貿易量の落ち込みに対応し、運営会社が施設の一部を使用しないことを容認、その分の使用料を減免する。
ベイエリア地区は大阪府庁の移転問題を契機に府・市による活性化策が検討されており、運営会社への支援をてこに国際物流拠点の構築を目指す。
運営会社は夢洲コンテナターミナル(DICT、社長=高森昭辰巳商会会長)。
国内主要港の国際競争力強化に向けスーパー中枢港湾の整備を推進する国や、港湾管理者の大阪市が夢洲に3つの連続岸壁(総延長1100メートル、水深16メートル)を整備し、DICTが一体運営する計画。
しかし、DICTの構成会社が国や市からの108億円の無利子融資に対する連帯保証を義務づけられたため、2004年の発足当初に参加した14社のうち、投資リスクを懸念した7社が脱退。
昨年11月以降、大阪港の貿易量が大きく落ち込むなか、収益確保のメドが立たないとして国と市に支援を要請していた。
このほどまとまった合意では、当初計画で年105万本(20フィートコンテナ換算)を見込んでいたコンテナ取扱量が当面、80万本弱になると予測。
3つの連続岸壁の一体運営を凍結、需要に合わせて使用する岸壁の範囲を限定する。年16億円と試算した施設使用料も10億円程度に減らす。105万本達成は16年ごろを見込み、それまで不使用部分の使用料は免除する。
またDICTは無利子融資を受けて整備中の大型クレーンについて、当初稼働する6基に加え、10年度中に3基増やす予定だったが、うち1基を延期し約7億5000万円を節減する。これにより、施設使用料の減免と合わせ年間で約14億円の経費削減につなげる。
DICTが求めていた連帯保証の免除などは認めなかった。ただ、国は港湾運営システム構築費への補助を09年度補正予算案に盛り込む方向で検討。国・市ともDICTの収支が成り立つよう全面協力することを確約した。
国・市との合意を受け、DICTは現有の港湾7社による結束を確認。運転資金の確保に向け1億4000万円の資本金を9月末に4億9000万円に増資する。
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news005365.html