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■解説
◇地元の意向、国は尊重を
国に対し大戸川ダムの建設凍結を求める見解を、4知事が共同で表明した。河川法上は国は知事の意見を聴くだけでよく、無視してダムを造れる。だが意見聴取が盛られた法改正の経緯を考えれば、国は意見に従うべきだ。
法改正は、95年の長良川河口堰(ぜき)建設への住民や市民団体の強い反対がきっかけだった。
ダム建設などを国の一存で決める手法が問題になった。国は反省し、建設前に知事、住民、学識者から意見を聴くことを同法で定めた。
治水事業は本来、都道府県の仕事だった。しかし淀川など複数の自治体を流れる川で上下流の利害対立が目立ち64年に重要河川の治水は国直轄となった。
その結果、国は地元の意向を軽視し、全国でダム建設を進めてきた。法改正後も住民の反対を意に介さず八ッ場(やんば)ダム(群馬県)や川辺川ダム(熊本県)を推進してきた。
だが今年9月、川辺川ダムに蒲島郁夫・熊本県知事が反対。福田康夫首相は「地元の意向は優先されるべきだ」と発言した。そして今回の4知事見解だ。
ダムなど治水事業は純粋に地元のための事業だ。地元以外に利用者の多い、道路建設などとは性格が異なる。国は河川法の趣旨に沿った判断をするべきだろう。【野田武】
http://mainichi.jp/kansai/news/20081111ddf001010002000c.html