淀川水系ダム問題:大戸川ダム凍結見解 40年超、国策で受難
◇嘉田知事「新しいルール考える」
◇山田知事「地域の現実踏まえた」
◇橋下知事「地方のことは我々に」
「(大戸川(だいどがわ)ダムを)河川整備計画に位置づける必要はない」。京都・山田啓二知事は記者会見の冒頭で強調した。
国土交通省が計画した大戸川ダム(大津市)に関し、滋賀、京都、大阪の3知事は11日、和歌山市で共同会見し、地元に政策決定権を取り戻そうとする固い意志を見せた。【石川隆宣、服部正法、武井澄人】
環境社会学者で治水に明るい滋賀・嘉田由紀子知事は「(大戸川ダムと丹生(にう)ダムの地元は)40年以上の計画の中で国策に翻弄(ほんろう)され受難の歴史だった」と訴え、
「予算や計画について県は国にお願いすればよかったが、今はそんな時代ではない。下流と共に地元の犠牲を踏まえて新しいルールを考えようとしている」と述べた。
同ダムを造れば今後、約80億円の負担を迫られる大阪・橋下徹知事は「(国交省見解と4知事見解の)どちらを府民、県民が支持するか。
国も問題山積だから地方のことは我々になすりつけていただいて結構だ」と話し地方分権を強調した。
知事主導での合意を打ち出してきた山田知事は「(治水の高い理想を求めた)国の計画論に対し我々は地域の現実を踏まえて合意に至った」と説明した。
3知事は「地方分権の試金石」(橋下知事)と合意にこだわった。滋賀県は淀川上流、大阪府は下流だ。上、下流は利害が対立しがちだが、携帯電話やメールでやりとりし乗り越えた。
「ダム中止なら(滋賀県に建設中の)道路は予算化できない」とする国の揺さぶりもはねのけた。
10月18日に「河川整備計画案に大戸川ダムを位置づけず見送りを」との案を用意し京都府公館で3人が極秘会談。今月8日に再会談し合意を成立させた。
一方、共同意見に名を連ねた三重県の野呂昭彦知事は欠席し副知事が代理出席した。
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