複素関数論スレッド

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>>929
そうなんですか、>>927で古いと言われているのですが、どの位前に
研究されていたのでしょうか?
レベルについていけないやつが、下らんレスつけ始めた…

「おまえもな」

だよな w
>>931
お ま え が な
933132人目の素数さん:03/08/06 03:06
じっと静かになるまで見守っている視線に気がつかんかなあ?
お前等、実生活でもそういう視線に気がついたほうがイイんと違うか?
>>933
ごめ
すづかにしてますです…
935132人目の素数さん:03/08/06 06:10
>>874
ワイルの「リーマン面」のディリクレの原理による調和関数の存在証明は、区分的に滑らかな関数の列
 u_1, u_2, u_3, …, u_n, …
をうまく構成して、その極限として求める調和関数
 u=lim u_n
を得るというもので、直交射影の方法による証明よりもはるかに安全である考えられていた。
それはワイルが直観主義の立場に立っていたからだそうだ。
936132人目の素数さん:03/08/06 06:20
直交射影の方法は、調和微分形式の存在証明に有効な方法でありワイルが発見した。

Weyl,H., The Method of Orthogonal Projection in Potential Theory, Duke Math. Jour., 7(1940), 411-444

もっとも、ワイルの「リーマン面」は1913年だから、まだ直交射影の方法は発見されていないのだが。
937132人目の素数さん:03/08/06 07:42
ワイルの「リーマン面」の第一部はトポロジーで、第二部はポテンシャル論になっている。

リーマン面上の実数値関数uが(多価)複素解析関数の実数部であるための必要十分条件は、リーマン面上の実数値関数uが調和関数であることであり、ワイルの「リーマン面」ではこの証明を二つの部分で構成している。
[1]リーマン面上に与えられた特異性をもつ実調和関数を構成する。
[2]その調和関数を実部とする複素解析関数の存在を証明する。

[2]に用いたディリクレの原理はリーマンの証明に穴を空けた事でも有名である。
938132人目の素数さん:03/08/07 05:12
ディリクレの原理と簡単にいっているが、実は2つある。
1形式に関するディリクレの原理と関数に関するディリクレの原理の2つがそれ。
1形式に関するディリクレの原理から関数に関するディリクレの原理を導くことが出来る。
ワイルの「リーマン面」では関数に関するディリクレの原理を証明しているのに対し、
小平の「複素解析」では1形式に関するディリクレの原理を証明するという方針の違いがある。
直交射影の方法は1形式に関するディリクレの原理の証明に使われるが小平の「複素解析」ではあえて使っていない。

K.Kodaira, Harmonic fields in Riemannian manifolds(generalized potential theory), Ann. of Math.,50(1949),587-665

こちらの論文には直交射影の方法が使われている。
939132人目の素数さん:03/08/07 07:52
前にも紹介した堀川の本に書いてある方法。
O_Xをコンパクトなリーマン面Xの正則関数のなす層。
H^1(X, O_X)を1次元コホモロジー群とする。
これがC上有限次元が言えれば、X上に0でない有理型関数
が存在することが簡単に出る。H^1(X, O_X)の有限性は
2乗可能積分なコチェインを考え、直交射影の方法を使うと
2,3ページで証明できる。
940132人目の素数さん:03/08/07 15:14
解析的方法には3つぐらい有名な本がある。

1形式に関するディリクレの原理を証明するという方針には、
直交射影の方法を使っている岩澤の「代数函数論」と
直交射影の方法を使っていない小平の「複素解析」がある。

岩澤の本はルベーグ可測関数を用いる方法で、
小平の本はルベーグ可測関数を用いない方法と考えてもいい。

関数に関するディリクレの原理を証明するという方針には、
ワイルの「リーマン面」がある。

岩澤の「代数函数論」を読んで分からないなら、
まず小平の「複素解析」を読んでみるとルベーグ可測関数を用いない方法なので理解できるかもしれない。
小平の「複素解析」を読んで分からないなら、ワイルの「リーマン面」を読んでみるといい。
こちらは1形式に関するディリクレの原理を証明するステップを踏まずに、直接、関数に関するディリクレの原理を証明するので論理が明快で分かりやすい。
941132人目の素数さん:03/08/07 19:46
ワイルの本の内容を簡単に書き出してみると

[1]コンパクト1次元複素多様体が三角形分割を持つことを示した。
[2]リーマンの切断線の理論を厳密に再構築した。
[3]ディリクレの原理を用いて特異点を持った調和函数や調和形式の存在を証明した。
[4]リーマン・ロッホの定理を証明した。
[5]アーベルの定理を証明し、関連するヤコビの逆問題とアーベル函数論の関係を示した。。
[6]リーマン・ポアンカレ・ケーベの一意化定理によって、リーマン面をその普遍被覆多様体の商多様体として取り扱うことが可能になった。

これを高次元化した小平の論文ではリーマン・ロッホの定理は含まれなかったが、その他はほとんど含まれている。ワイルにとってこの論文の手法が自分の本を原型にしていることが余程うれしかったらしく、第三版の序文で紹介している。

K.Kodaira, Harmonic fields in Riemannian manifolds(generalized potential theory), Ann. of Math.,50(1949),587-665

実はその5年前にドイツ語で刊行された論文もある。

K.Kodaira, Uber die harmonischen Tensorfelder in Riemannschen Mannigfaltigkeiten, U, Proc. Imp. Acad. Tokyo, Vol. 20 (1944)

リーマン・ロッホの定理の高次元化は、セールが予想し、ヒルツェブルッフが証明した。
942132人目の素数さん:03/08/07 19:55
ヒルツェブルッフのリーマン・ロッホの定理の証明はドイツ語で刊行された論文にある。小平の東大紀要以来12後のことである。

F.Hirzebruch: Neue Topologische Mwthoden in der Algebraischen Geometrie, Erg. der Math., H. 9, Springer-Verlag, 1956.
943132人目の素数さん:03/08/07 19:56
小平の全集が欲しいんだが、絶版みたい。
944132人目の素数さん:03/08/07 20:22
>>943
インターネットで古本を見つけたので注文した。270ドルなり。
210ドルのもあったが、こっちはハードカバーなんで。
天才数学者の全集だ、安い買い物。
>>944
3冊セットで $270?
946132人目の素数さん:03/08/07 20:25
>>942
英語版、日本語版もある。小平はちょっとくやしかったみたいだね。
「私にはこういう難しい定理を証明する才能がないようだ」みたいな
ことを書いていた。
947132人目の素数さん:03/08/07 20:26
>>945
Yes.
数学板にしてはレスが速めのスレなので>>950あたりで次にいきますか?
949132人目の素数さん:03/08/07 20:43
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950132人目の素数さん:03/08/07 20:44
数学の本はすぐ絶版になるね。いいと思ったら無理してでも買って
おいたほうがいいね。
951_:03/08/07 20:45
952132人目の素数さん:03/08/07 21:33
高次元化の流れで話を続けよう。

リーマンの理論で最後に解明されたのがモジュライの理論である。
リーマンの等角写像の理論がタイヒミュラーの擬等角写像の理論に1930年代に拡張されると、
リーマンが示した3p-3次元のパラメーターの解析的な明らかになった。
その後、タイヒミュラー空間の理論は姿形を変えて骨太く一般化され、
小平・スペンサーの複素構造の変形理論へと発展した。
この発展段階は多くの著作物に再現されて残されている。

K.Kodaira, D.C.Spencer, On deformations of complex analytic structures, T-U, Annals of Math., 67(1958), pp.328-466
小平邦彦「複素多様体と複素構造の変形 I.」TOKYO UNIV.MATH.(1968)
小平邦彦「複素多様体と複素構造の変形 U.」TOKYO UNIV.MATH.(1974)
小平邦彦「複素多様体論」岩波書店(1992)
953132人目の素数さん:03/08/07 21:43
>>946
ちょっとどころか、かなりね。

少し引用してみよう。
『ヒルツェブルッフはプリンストンに来たときには、あまりものを知らなかったですね。
・・・
ヒルツェブルッフはプリンストンに来てからチャーン類の多項式の研究を始めて、
わずか一年と二ヶ月で有名なリーマン・ロッホ・ヒルツェブルッフの定理を証明したんです。』

こういう奴を間近に見ると自分には才能がないようだと思うんでしょうね。
954132人目の素数さん:03/08/07 21:48
種数g > 1のコンパクト・リーマン面の同型類の全体が、
ある高次元の代数多様体の点と1対1に対応する
というのがモジュライの理論。この代数多様体の次元が
3g-3になることを、既にリーマンの天才は見抜いていた。
955132人目の素数さん:03/08/07 21:56
しかしリーマンといえども複素構造の変形理論までは見えていなかったでしょう。
変形理論は奥が深いよ〜。
複素多様体って、どんな分野なんでしょうか?

代数幾何?
位相幾何?
微分幾何?

それとも、この全部を網羅してる分野?
957132人目の素数さん:03/08/07 22:17
>>956
全部を網羅しているわけではない。
つまり、複素多様体論をやったからと言って、上記の3分野の
専門家になれるわけではない。
しかし、上記の分野のかなりの知識が必要なことは確か。
数学は結局一つ。つまり数学の各分野は密接に関連しているんじゃ
ないでしょうか?
958132人目の素数さん:03/08/07 22:41
>953
あまりものを知らなかったのはスペンサーだったと書いて
いた。
959132人目の素数さん:03/08/07 23:04
ヒルツェブルフについて、この本は外せないでしょう。

ヒルツェブルフ「代数幾何における位相的方法」吉岡書店

層の理論と同環境の理論、Todd種数を用いてヒルツェブルフのリーマン・ロッホの定理を証明し、ファイバー束、特性類等の概念に明快な解説を与える。
960132人目の素数さん:03/08/07 23:06
>>953,>>958
やっぱりヒルツェブルフですね。>>953の一節がそのまま掲載されてます。
怠け数学者の記のP.221参照。
961132人目の素数さん:03/08/07 23:24
リーマン面のオリジナルがこれ↓なら、

H.ワイル「リーマン面」岩波書店(原書1913,和訳1974)

高次元化はこれら↓3つを会わせたものに相当する。

K.Kodaira, Harmonic fields in Riemannian manifolds(generalized potential theory), Ann. of Math.,50(1949),587-665
ヒルツェブルフ「代数幾何における位相的方法」吉岡書店
小平邦彦「複素多様体論」岩波書店(1992)
962132人目の素数さん:03/08/07 23:26
これ↓の和訳に相当するのってあるのかな?

K.Kodaira, Harmonic fields in Riemannian manifolds(generalized potential theory), Ann. of Math.,50(1949),587-665
963132人目の素数さん:03/08/07 23:51
>>962
論文の英語、それも日本人の書いた英語だ。
辞書を引けば理解出来る。
964132人目の素数さん:03/08/08 00:19
>>963
そういうことじゃなくってさあ。
すぐそういう反応ってのも、底の知れた奴だな。
浅い研究しか出来ないと思うよ。
大数学者の書いた論文の劣化コピーを日本語で読みたいと言ってるほうが・・・
966132人目の素数さん:03/08/08 00:53
>>965
知らないなら書くなよ。
そんなレスしてどうするよ。
ただの荒らしか?
967132人目の素数さん:03/08/08 02:14
>>942
ヒルツェブルッフがリーマン・ロッホの定理の証明を解決したのは1953年の秋らしいんだけど、
論文は1956年なんだね。
小平とヒルツェブルッフの共著論文も1957年まで3年ぐらい出来あがらなかったらしいし。
この頃、多産だった所為で論文を書くのが追いつかなかったみたいだね。
偉大な数学者って必ずこういう時期があるんだろうね。
次スレは970が立ててくれ。
このスレッドと同じ展開になるようなタイトルなら何でもいいから。
969もゲットしとく。
970132人目の素数さん:03/08/08 05:00
小平さんがアメリカにいた1949年から1967年までの18年間の略年表

1949 調和積分論の発表(Harmonic fields in Riemannian manifolds)
1949 プリンストン高等研究所に渡米。
1949.10 プリンストン大学のスペンサーと出会う。調和形式のゼミを週一回行う。
1950.01-04 ワイルとジーゲルの指導で調和形式のゼミが始まる。
1950.05 MITで講演。ザリスキー、ホッジと親睦。
1950夏 シカゴ大学でヴェイユ、岩澤と勉強。ケーラー曲面上のリーマン・ロッホの定理を証明。
1950.09-1951.06 ジョーンズ・ホプキンス大学に移る。チャウと共同で研究。
1951 リーマン・ロッホの定理の証明(The theorem of Riemann-Roch on compact analytic surfaces)
1951.06 プリンストン高等研究所に戻る。
1951? スペンサーと層のゼミを始める。複素曲面分類論の開始。
1952 チャウと共同で代数的に独立な有理型関数をもつ曲面は代数曲面であることを証明(On analytic surfaces with two independent meromorphic functions)
1952.09 スペンサーの世話でプリンストン大学に移る。スペンサーとの共同研究が始まる。
1953春 スペンサーとの共同でセベリの予想の層による証明。
1953秋 ヒルツェブルッフがリーマン・ロッホの定理の証明。
1953 消滅定理を発表(On a differential-geometric method in the throry of analytic stacks)
1954 ホッジ多様体が射影的になる証明を発表(On Kahler varieties of restricted type(an intrinsic …))
1954.09 フィールズ賞を受賞。
1955.04 アインシュタイン死去。
1956 フレーリッヒアとノイエンハウスが複素射影空間の複素構造は変形できないことを証明。
1956秋 スペンサーとの共同で複素構造の変形理論の研究を開始。
1957 ヒルツェブルッフとの共同論文(On the complex projective spaces)
1958 複素構造の変形理論を発表(On deformations of complex analytic structures, T-U)
971132人目の素数さん:03/08/08 05:01
1960 楕円曲面論の発表(On compact complex analytic surfaces, T)
1960 高木貞治死去。
1961.09-1962.06 ザリスキーの誘いでハーバード大学に移る。
1961冬 広中平祐が特異点解消問題を解決。
1962.09-1965.06 チャウの誘いでジョーンズ・ホプキンス大学に移る。
1963 楕円曲面論の発表(On compact complex analytic surfaces, U-V)
1964 K3曲面論の発表(On the structure of compact complex analytic surfaces, T)
1964.08-09 スタンフォード大学でスペンサーと休暇を楽しむ。
1964.10 ギルバーグにスタンフォード大学に誘われる。
1964.10 ミルナーにプリンストン大学に誘われる。
1965夏 スタンフォード大学に移る。
1966 K3曲面論の発表(On the structure of compact complex analytic surfaces, U)
1966夏 日本に一時帰国。
1967.08 帰国
1968 K3曲面論の発表(On the structure of compact complex analytic surfaces, V)
1968 K3曲面論の発表(On the structure of compact complex analytic surfaces, W)
>>970
複素関数論スレッド§2
http://science.2ch.net/test/read.cgi/math/1060287216/
立ててくれてありがとね。
973小平邦彦:03/08/08 05:15
次スレを建てました。

複素関数論スレッド§2
http://science.2ch.net/test/read.cgi/math/1060287216/
974小平邦彦:03/08/08 05:16
>>972
どういたしまして。
この二つの特集号もおもしろいらしいよ。

数学セミナー1997.12 特集 小平邦彦

数学のたのしみ2000.08 特集 小平数学の調和と美
>>962
和訳ではないけどいい解説があります。

数学のたのしみ2000.08 特集 小平数学の調和と美,
深谷賢治「複素多様体論あるいは小平数学における超越的方法」pp.11-25

この本でHarmonic fields in Riemannian manifoldsの中でも重要なホッジ・小平の分解定理の話が解説されています。
他にも消滅定理や変形理論の解説なども分かり易く書いてあってお勧めです。
受賞理由が↓これなら、
Achieved major results in the theory of harmonic integrals and numerous applications to Kählerian and more specifically to algebraic varieties. He demonstrated, by sheaf cohomology, that such varieties are Hodge manifolds.

この辺りの論文が対象なんだろうな。たしかに上3つで理論の枠組や道具を作って、
4つめでホッジ多様体が代数的になる証明ってすごいよね。
ひとつめもワイルがGreat Workと呼んだぐらいすごいんだから。
Harmonic fields in Riemannian manifolds
The theorem of Riemann-Roch on compact analytic surfaces
On a differential-geometric method in the throry of analytic stacks
On Kahler varieties of restricted type(an intrinsic …)
Fields Medal Prize Winners (1954)
Kunihiko KODAIRA
born March 16, 1915, Tokyo
Princeton University

http://www.icm2002.org.cn/general/prize/medal/1954.htm
>>971
> 1968 K3曲面論の発表(On the structure of compact complex analytic surfaces, V)
> 1968 K3曲面論の発表(On the structure of compact complex analytic surfaces, W)
このころは50才を超えているんですね。
すごい能力だ。