定義 K を可換体とする。 L/K を拡大(過去スレpart4の512)とする。 S を L の部分集合で K 上代数的独立(過去スレpart5の7)であるとする。 L = K(S)(過去スレpart4の539)となるとき L を K 上の純超越拡大体 または L/K は純超越拡大であるとも言う。 このとき L は S を不定元の集合とする K 上の有理関数体とも言う。
S = {X_1、...、X_n} のとき K(S) = K(X_1、...、X_n) は K 上の n 変数の有理関数体とも言う。
定義 G を群とする。 G の単位群を e とする。 H = {e} とおく。 G は G の H による左剰余類全体の集合 G/H と同一視される。 よって、過去スレpart5の108より G は推移的(過去スレpart5の107)な G-集合となる。 このとき G は忠実(過去スレpart5の843)な G-集合である。 よって、忠実な表現(過去スレpart5の843)G → Sym(G)(>>6)が得られる。 この表現を G の正則表現と呼ぶ。 このとき G は G 上の置換群(>>7)と見なされる。
命題 (G_i)、i ∈ I を群の族とする。 G = ΠG_i を (G_i)、i ∈ I の直積とする。 各 i ∈ I に対して S_i を (G_i)-集合(過去スレpart5の77)とする。 S = ΣS_i を族 (S_i)、i ∈ I の直和集合とする。 σ = (σ_i) ∈ G と x ∈ S_i に対して σx = (σ_i)x と定義することにより S は G-集合となる。 このとき、各 S_i が忠実(過去スレpart5の843)な (G_i)-集合であれば S は忠実な G-集合である。
命題 (G_i)、i ∈ I を有限群の族とする。 G = ΠG_i を (G_i)、i ∈ I の直積とする。 このとき、ある可換体 K と Galois拡大(過去スレpart4の848)L/K が存在し G は Aut(L/K)(過去スレpart4の847)と同型になる。 このとき K の標数(過去スレpart4の667)は任意に取れる。
命題 (G_i)、i ∈ I を有限群の族とする。 G = ΠG_i を (G_i)、i ∈ I の直積とする。 各 i に対して忠実(過去スレpart5の843)な (G_i)-集合(過去スレpart5の77)S_i が存在する。 例えば S_i として G_i を取り G_i の正則表現をとればよい(>>11)。 S = ΣS_i を族 (S_i)、i ∈ I の直和集合とする。 >>13より S は忠実な G-集合(過去スレpart5の77)となる。 k を任意の可換体とする。 >>9より S を不定元の集合とする k 上の有理関数体 k(S)(>>8)が存在する。 L = k(S) とおく。 >>10より G は Aut(L/k) の部分群と見なされる。 K = {x ∈ L;各σ ∈ G に対して σ(x) = x } とおく。 このとき L/K はGalois拡大(過去スレpart4の848)である。
証明 L は G-集合と見なされる。 x を L の任意の元とする。 過去スレpart5の848より x の軌道(過去スレpart5の92)O(x) = {σ(x); σ ∈ G} が 有限集合であることを示せば良い。 各 i ∈ I に対して G_i は G の部分群と見なされる。 I の有限部分集合 J があり x ∈ k(∪{S_j;j ∈ J}) となる。 σ = (σ_i) を G = ΠG_i の任意の元とする。 J = {j_1、...、j_n} のとき σ(x) = σ_(j_1)...σ_(j_n)(x) となる。 よって、|O(x)| ≦ Π[i ∈ J] |G_j| である。 ここで |O(x)| と各 |G_j| はそれぞれ O(x) と G_j の集合としての濃度を表す(過去スレpart1の180)。 各 G_j は有限群であるから |O(x)| は有限である。 証明終
補題 X を位相空間とする。 A と B を X の部分集合で B ⊂ A とする。 B の X における閉包を B~ とする。 このとき B~ ∩ A は部分空間 A における B の閉包である。
証明 A における B の閉包を B’とする。 B ⊂ B~ ∩ A であり B~ ∩ A は A の閉集合であるから B’⊂ B~ ∩ A である。 逆の包含関係を示せば良い。 x ∈ B~ ∩ A のとき x ∈ B’を示せば良い。 V を x の A における任意の開近傍とする。 V = U ∩ A となる X の開集合がある。 x ∈ B~ で x ∈ U だから U ∩ B ≠ φ である。 U ∩ B = U ∩ A ∩ B = V ∩ B だから V ∩ B ≠ φ である。 よって、x ∈ B’である。 証明終
命題 (G_i)、i ∈ I を有限群の族とする。 G = ΠG_i を (G_i)、i ∈ I の直積とする。 各 i ∈ I に対して G_i に離散位相を与えて G = ΠG_i を位相群と見なす。 このとき、ある可換体 K と Galois拡大(過去スレpart4の848)L/K が存在し G は Aut(L/K)(過去スレpart4の847)と位相群として同型になる。 このとき K の標数(過去スレpart4の667)は任意に取れる。
命題 G を任意の副有限群(過去スレpart5の705)とする。 このとき、ある可換体 K と Galois拡大(過去スレpart4の848)L/K が存在し G は Aut(L/K)(過去スレpart4の847)と位相群として同型になる。 このとき K の標数(過去スレpart4の667)は任意に取れる。
証明 >>38より、有限離散群(過去スレpart5の712)の族 (G_i)、i ∈ I があり G は G’= ΠG_i の閉部分群と見なされる。 >>36より、ある可換体 F と Galois拡大 L/F が存在し G’は Aut(L/F) と位相群として同型になる。 このとき F の標数は任意に取れる。 G’と Aut(L/F) をこの同型で同一視したときの G の固定体(過去スレpart4の863)を K とする。 Galois理論の基本定理(過去スレpart5の288)より Aut(L/K) = G である。 証明終
任意の有限群 G は副有限群であるから>>39より G はあるGalois拡大のGalois群と同型になる。 しかし、この事実は次のように簡単に証明出来る。
命題 G を任意の有限群とする。 このとき、ある可換体 K と Galois拡大(過去スレpart4の848)L/K が存在し G は Aut(L/K)(過去スレpart4の847)と同型になる。 このとき K の標数(過去スレpart4の667)は任意に取れる。
証明 忠実(過去スレpart5の843)な G-集合(過去スレpart5の77)S を任意にとる。 例えば S として G をとり G の正則表現をとればよい(>>11)。 k を任意の可換体とする。 >>9より S を不定元の集合とする k 上の有理関数体 k(S)(>>8)が存在する。 L = k(S) とおく。 >>10より G は Aut(L/k) の部分群と見なされる。 K = {x ∈ L;各σ ∈ G に対して σ(x) = x } とおく。 Artinの定理(過去スレpart1の438)より L/K はGalois拡大で G = Aut(L/K) である。 証明終
[与えられた可換体上のGaloisの逆問題] 有限群 G と可換体 K を任意に与えたときに Galois拡大(過去スレpart4の848)L/K で G が Aut(L/K)(過去スレpart4の847)と同型になるようなものが存在するか?
この問題は K が素体(過去スレpart4の667)の時が最も重要である。 K が有限体(過去スレpart4の681)であれば後で示すように G としては巡回群しか有りえない。 よって、K が有理数体の場合が問題になる。
この問題は現在のところ未解決であるが種々の結果が知られている。 例えば G が次の場合は上の問題は肯定的である。 ・対称群(Hilbert 1892) ・交代群(Hilbert 1892) ・可解群(Shafarevich 1954, 訂正 1989) ・Mathieu 群 M23 を除く25個の散在単純群(Matzat et al 1986, the Monster group Thompson 1984)
定義 K を可換体とする。 過去スレpart4の636より K は代数的閉包(過去スレpart4の634)K~ を持つ。 K の K~ における相対分離的閉包(過去スレpart4の890)を K の分離代数的閉包と言う。 過去スレpart4の648より K の代数的閉包は K-同型(過去スレpart4の514)を除いて一意に定まる。 よって、>>44より K の分離代数的閉包は K-同型を除いて一意に定まる。
定義 K を可換体とする。 K の代数的閉包(過去スレpart4の634)を K~ とする。 K の分離代数的閉包(>>45)を K^sep とする。 >>46より K^sep/K はGalois拡大であり G = Aut(K^sep/K) は Aut(K~/K) に位相群として同型である。 K^sep/K を K の絶対Galois拡大と言い、G を K の絶対Galois群と呼ぶ。
K を可換体とする。 K の絶対Galois拡大(>>47)K^sep/K は>>45より K が定まれば K-同型を除いて一意に定まる。 K^sep は K の分離代数的拡大、特にGalois拡大を K-同型を除いて全て含む。 よって、Galois理論の基本定理(過去スレpart5の288)より K の絶対Galois群(>>47)G は K の分離代数的拡大のほとんど全ての情報を含むと考えられる。 K が与えられたとき G の構造を決定することは可換体論において重要な問題である。 特に有理数体の絶対Galois群の構造を決定することは未解決の非常に重要な問題と考えられている。
命題 K を可換体とする。 L/K をGalois拡大(過去スレpart4の844)とする。 G = Aut(L/K)(過去スレpart4の847)とする。 G に標準位相(過去スレpart5の216)を入れる。 G の開部分群全体を Ψ とする。 L/K の中間体 M で M/K が有限次拡大となるもの全体を Φ とする。 H ∈ Ψ に対して H の固定体(過去スレpart4の863)を k(H) と書く。 M ∈ Φ に対して Aut(L/M) を g(M) と書く。 このとき k(Ψ) ⊂ Φ、g(Φ) ⊂ Ψ であり k:Ψ → Φ と g:Φ → Ψ は互いに逆写像である。
証明 H ∈ Ψ に対して M = k(H) とする。 H は過去スレpart5の249より G の閉部分群である。 よって、Galois理論の基本定理(過去スレpart5の288)より H = g(M) 過去スレpart5の325より [M_s : K] は有限である。 ここで、M_s は M における K の相対分離的閉包(過去スレpart4の890)である。 L/K はGalois拡大であるから M/K は分離代数的である。 よって、M_s = M である。 よって、M ∈ Φ である。
逆に任意の M ∈ Φ に対して標準位相の定義より g(M) は開部分群である。 よって、g(M) ∈ Ψ
命題 K を可換体とする。 L/K をGalois拡大(過去スレpart4の844)とする。 G = Aut(L/K)(過去スレpart4の847)とする。 G に標準位相(過去スレpart5の216)を入れる。 G の開正規部分群全体を Ψ とする。 L/K の中間体 M で M/K が有限次の正規拡大となるもの全体を Φ とする。 H ∈ Ψ に対して H の固定体(過去スレpart4の863)を k(H) と書く。 M ∈ Φ に対して Aut(L/M) を g(M) と書く。 このとき k(Ψ) ⊂ Φ、g(Φ) ⊂ Ψ であり k:Ψ → Φ と g:Φ → Ψ は互いに逆写像である。
証明 H ∈ Ψ に対して M = k(H) とする。 H は過去スレpart5の249より G の閉部分群である。 よって、Galois理論の基本定理(過去スレpart5の288)より H = g(M) よって、過去スレpart5の308より M/K は正規拡大である。 よって、>>49より M ∈ Φ である。
命題 K を有限体(過去スレpart4の681)とする。 L/K を有限次拡大とする。 n = [L : K](過去スレpart4の560)とする。 過去スレpart4の686より |K| は素数冪 q = p^m である。 このとき L は X^(q^n) - X ∈ K[X] の根全体と一致する。 従って L は X^(q^n) - X の K 上の最小分解体(過去スレpart4の542)である。
証明 |L| = q^n である。 過去スレpart1の332より L の乗法群 L^* は巡回群である。 |L^*| = q^n - 1 である。 よって、L^* の任意の元 α に対して α^(q^n - 1) = 1 である。 よって、α^(q^n) = α である。 即ち α は多項式 X^(q^n) - X の根である。 0 は X^(q^n) - X の根であるから L の全ての元は X^(q^n) - X の根である。 |L| = q^n であるから L は X^(q^n) - X の根全体と一致する。 証明終
証明 K を有限体とする。 K の標数(過去スレpart4の667)を p とする。 ψ:K → K をFrobenius自己準同型(過去スレpart1の220)とする。 ψ は単射で K は有限集合だから ψ は全射である。 よって、K = K^p(過去スレpart1の229)である。 よって、過去スレpart1の238より K は完全体(過去スレpart1の222)である。 証明終
補題 K を可換体とする。 K 係数の奇数次の多項式は K において常に根を持つとする。 L/K を任意の有限次Galois拡大(過去スレpart4の844)とする。 このとき G = Aut(L/K)(過去スレpart4の847)の位数は 2 の冪である。
証明 L ≠ K と仮定してよい。 原始要素の定理(過去スレpart1の335)より L = K(α) となる α ∈ L がある。 仮定より α の K 上の最小多項式(過去スレpart4の557)の次数は奇数では有り得ない よって、G の位数は偶数である。 |G| = (2^n)m で m は奇数とする。 過去スレpart5の802より G は位数 2^n の部分群 P を持つ。 P で固定される L の部分体を M とする。 [M : K] = m は奇数だから上と同様の理由により m = 1 である。 即ち M = K である。 よって Galois理論の基本定理(過去スレpart5の288)より G = P である。 証明終
証明 R を実数体とし C を複素数体とする。 過去スレpart4の635より R 係数の次数 ≧ 1 の任意の多項式 f(X) が C において1次式の積に分解することを証明すればよい。 f(X) の C 上の最小分解体(過去スレpart4の542)を L とする。 L は (X^2 + 1)f(X) の R 上の最小分解体であるから L/R はGalois拡大(過去スレpart4の844)である。 >>61の(1)と>>62より G = Aut(L/R) の位数は 2 の冪である。 よって、H = Aut(L/C) の位数も 2 の冪である。 過去スレpart5の782より H は可解群(過去スレpart1の550)である。 よって、|H| > 1 とすると過去スレpart1の564より H は指数 2 の正規部分群 N を持つ。 N で固定される L の部分体を F とすると [F : C] = 2 である。 これは>>61の(2)に矛盾する。 よって |H| = 1、即ち L = C となり f(X) は C において1次式の積に分解する。 証明終
定義 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 各整数 k、0 ≦ k ≦ n に対して集合 {1、...、n} の部分集合 H で k 個の要素からなるもの全体を P_k とする。 各 k に対して s_k = Σ[H ∈ P_k] Π[i ∈ H] X_i とおく。 s_k は明らかに k 次の同次多項式であり対称多項式(>>64)である。 s_k を次数 k の基本対称多項式と言う。
定義 n ≧ 1 を整数とする。 (Z+)^n を Z+(>>71)の n 個の直積集合とする。 a = (a_i) と b = (b_i) を (Z+)^n の元とする。 a ≠ b のとき k = min{i;a_i ≠ b_i} が定まる。 a_k < b_k のとき a < b と書く。 a = b または a < b のとき a ≦ b と書く。
命題 I を順序集合とする。 I が整列集合(>>84)であるためには I の空でない任意の部分集合が最小元を持つことが必要十分である。
証明 必要性: I を整列集合とする。 J を I の空でない任意の部分集合とする。 仮定より J は極小元(>>77) a を持つ。 I は全順序集合であるから J の任意の元 x に対して a ≦ x または x ≦ a x < a では有り得ないから a ≦ x よって、a は J の最小元である。
十分性: I の空でない任意の部分集合が最小元を持つとする。 I の任意の2元 a, b に対して {a, b} は最小元をもつ。 よって、a ≦ b または b ≦ a よって、I は全順序集合である。 I の空でない任意の部分集合の最小元はその集合の極小元でもあるから I は整列集合である。 証明終
定義 I が整列集合(>>84)とする。 (M_i)、i ∈ I を順序集合の族とする。 M = ΠM_i を族 (M_i)、i ∈ I の直積集合とする。 a = (a_i) と b = (b_i) を M の元とする。 I は整列集合だから a ≠ b のとき k = min { i ∈ I;a_i ≠ b_i} が定まる。 a_k < b_k のとき a < b と書く。 a = b または a < b のとき a ≦ b と書く。
命題 I を整列集合(>>84)とする。 (M_i)、i ∈ I を順序集合の族とする。 各 M_i は空でないとする。 M = ΠM_i を族 (M_i)、i ∈ I の直積集合とする。 このとき M が辞書式順序(>>88)により全順序集合となるためには 各 M_i が全順序集合であることが必要十分である。
証明 必要性: M が辞書式順序で全順序集合であるとする。 ある k ∈ I に対して M_k が全順序集合でないと仮定して矛盾を導けば良い。 M_k の元 x、y で x ≦ y でも y ≦ x でもないものがある。
1)k が I の最小元の場合: 各 M_i は空でないから選択公理より M の元 a = (a_i) で x = a_k となるものがある。 同様に M の元 b = (b_i) で y = b_k となるものがある。 このとき辞書式順序で a ≦ b でも b ≦ a でもない。 これは M が全順序集合であることに矛盾する。
2)k が I の最小元でない場合: 各 M_i は空でないから選択公理より M の元 a = (a_i) で x = a_k となるものがある。 同様に M の元 b = (b_i) で y = b_k となるものがある。 M の元 c = (c_i) を以下のように定義する。 i < k のとき c_i = a_i k ≦ i のとき c_i = b_i このとき辞書式順序で a ≦ c でも c ≦ a でもない。 これは M が全順序集合であることに矛盾する。
記法 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 B の元 f は f(X_1、...、X_n) = Σc_(a_1、...、a_n) (X_1)^(a_1)...(X_n)^(a_n) と書ける。 ここで (a_1、...、a_n) は (Z+)^n(>>73)の元であり、 c_(a_1、...、a_n) は A の元である。
このとき a = (a_1、...、a_n) X = (X_1、...、X_n) X^a = (X_1)^(a_1)...(X_n)^(a_n) c_a = c_(a_1、...、a_n) と略記する。 よって、f = Σc_a X^a である。
定義 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 (Z+)^n(>>73)には辞書式順序(>>75)を入れておく。 f = Σc_a X^a(>>97)を B の 0 でない元とする。 max {a;c_a ≠ 0} ∈ (Z+)^n を f の複次数(multi-degree)と呼び mdeg(f) または mdeg f と書く。
a = mdeg(f) のとき c_a X^a を f の主項(leading term)と呼び lead(f) と書く。 c_a を f の主係数と呼ぶ。
命題 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 G を集合 {1、...、n} 上の対称群(>>6)とする。 >>64より B は忠実(過去スレpart5の843)な G-集合(過去スレpart5の77)となる。 このとき、任意の f ∈ B に対して h = Σ[g ∈ O(f)] g は対称多項式(>>64)である。 ここで、O(f) = {σ(f); σ ∈ G} は f の軌道(過去スレpart5の92)である。
証明 H を f の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 即ち H = {σ ∈ G;σ(f) = f} である。 G/H を G の H による左剰余類全体の集合とする。 σ_1、...、σ_m を G/H の完全代表系とする。 O(f) = {σ_1(f)、...、σ_m(f)} である。 よって、h = σ_1(f) + ...+ σ_m(f) である。 任意の τ ∈ G に対して τσ_1、...、τσ_m は G/H の完全代表系である。 よって、τh = τσ_1(f) + ...+ τσ_m(f) = σ_1(f) + ...+ σ_m(f) = h よって、h は対称多項式である。 証明終
命題 A を可換環とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n) を次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 このとき、A[X_1、...、X_n]_sym(>>64)= A[s_1、...、s_n] である。 即ち、A 係数で n 変数の任意の対称多項式は s_1、...、s_n の A 係数の多項式として表される。
証明 >>91より、(Z+)^n (>>73)は整列集合(>>84)である。 M = {(a_1、...、a_n) ∈ (Z+)^n; a_1 ≧ a_2 ≧ ...≧ a_n} とおく。 M は整列集合の部分集合であるから整列集合である。 各 a ∈ M に対して次の命題 P(a) を考える。
P(a):a = mdeg(g) となる g ∈ A[X_1、...、X_n]_sym は常に g ∈ A[s_1、...、s_n] となる。
>>107より g ≠ 0 を A[X_1、...、X_n]_sym の元としたとき mdeg(g) ∈ M である。 よって、M の全ての元 a に対して P(a) が真であることを証明すれば良い。 そのため M に関する超限帰納法(>>110)を使う。
証明 f:M → Z+ を次のように定義する。 a ∈ M のとき f(a) を {x ∈ M; x < a} の元の個数とする。 f は明らかに単調増加(過去スレpart5の783)である。 a < b なら明らかに f(a) < f(b) であるから f は単射である。 任意の n ∈ Z+ に対して n = f(a) となる a ∈ M があることを n に関する帰納法で証明しよう。 n = 0 のときは a として M の最小元をとれば良い。 n > 0 として n - 1 = f(b) となる b ∈ M があると仮定する。 このとき n = f(a) となる a ∈ M があることを示せば良い。 M は無限集合だから {x ∈ M; x > b} は空でない。 a を {x ∈ M; x > b} の最小元とする。 f(a) = f(b) + 1 = n である。
以上から f:M → Z+ は全単射であることが分かった。 f の逆写像を g:Z+ → M とする。 g が単調増加であることは明らかである。 証明終
命題 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 C = A[X_1、...、X_(n-1)] とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n) を B における次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 t_k(1 ≦ k ≦ n - 1) を C における次数 k の基本対称多項式とする。 このとき各 k、1 ≦ k ≦ n - 1 に対して s_k = t_k + t(k-1)X_n となる。
証明 各 k、1 ≦ k ≦ n - 1 に対して 集合 {1、...、n} の部分集合 T で k 個の要素からなるもの全体を P_k とする。 集合 {1、...、n - 1} の部分集合 S で k 個の要素からなるもの全体を Q_k とする。 R_k = {H ∈ P_k; n ∈ H} とおく。 P_k = Q_k ∪ R_k と直和分割される。 R_k の各元は Q_(k-1) の各元と1対1に対応する。 よって、本命題が得られる。 証明終
定義(過去スレpart5の2の拡張) A を可換環とする。 A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 C を可換な A-線型環(過去スレpart1の97)とする。 α_1、...、α_n を C の元の有限列とする。 過去スレpart4の550より A-線型環としての準同型 ψ:A[X_1、...、X_n] → C で 各 i に対して ψ(X_i) = α_i となるものが一意に存在する。 ψ が単射のとき α_1、...、α_n は A 上代数的独立であるという。
命題(van der Waerden) A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n) を B における次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 このとき s_1、...、s_n は A 上代数的独立(>>119)である。
証明 n に関する帰納法を使う。 n = 1 のときは s_1 = X_1 であるから本命題は成り立つ。 n > 1 と仮定する。 s_1、...、s_n が A 上代数的独立でないとして矛盾を導こう。 B の元 f ≠ 0 で f(s_1、...、s_n) = 0 となるものがある。 f として X_n に関する次数 m が最小のものをとる。 f = g_m(X_n)^m + g_(m-1)(X_(m-1))^(m-1) + ...+ g_0 とする。 ここで、各 g_i は A[X_1、...、X_(n-1)] の元である。 このとき g_0 ≠ 0 である。 何故なら g_0 = 0 なら f は X_n で割れて m の最小性に反するからである。
命題 A を可換環とする。 A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n) を次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 f ≠ 0 を A[X_1、...、X_n]_sym(>>64)の元とする。 >>111より G ∈ A[X_1、...、X_n] で f = G(s_1、...、s_n) となるものが存在する。 >>120より G は f により一意に定まる。 e = (e_1、...、e_n) = mdeg(f) (>>101)とする。 このとき e_1 = deg(G)(>>121)である。
命題 A を可換環とする。 A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n) を次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 f ≠ 0 を A[X_1、...、X_n]_sym(>>64)の元で同次多項式(>>124)とする。 >>111より G ∈ A[X_1、...、X_n] で f = G(s_1、...、s_n) となるものが存在する。 >>120より G は f により一意に定まる。 このとき G は同重(>>125)でその重さ(>>125)は f の次数(>>121)に等しい。
f の主係数(>>101)を c とする。 f = c(s_1)^(a_1)...(s_n)^(a_n) なら G = c(X_1)^(a_1)...(X_n)^(a_n) とおけば f = G(s_1、...、s_n) となり n = e_1 + ... + e_n = a_1 + 2a_2 + ...+ na_n これは G の重さに等しい。
f ≠ c(s_1)^(a_1)...(s_n)^(a_n) なら h = f - c(s_1)^(a_1)...(s_n)^(a_n) とおく。 各 s_k(1 ≦ k ≦ n)は同次多項式であるから c(s_1)^(a_1)...(s_n)^(a_n) も同次多項式である。 deg(c(s_1)^(a_1)...(s_n)^(a_n)) = e_1 + ... + e_n = n であるから h も次数 n の同次多項式である。 h ≠ 0 であるから mdeg(h) が定義され mdeg(h) < e である。 帰納法の仮定より H ∈ A[X_1、...、X_n] で h = H(s_1、...、s_n) となるものが存在し、 n = deg(h) は H の各項の重さに等しい。 f = c(s_1)^(a_1)...(s_n)^(a_n) + H(s_1、...、s_n) G = c(X_1)^(a_1)...(X_n)^(a_n) + H とおけば G ∈ A[X_1、...、X_n] で f = G(s_1、...、s_n) となる。 G は同重でその重さは f の次数 n に等しい。 証明終
定義 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 B の任意の元 f は f = Σc_a X^a(>>97)と書ける。 f の c_a ≠ 0 となる各項 c_a X^a の次数(>>121)が全て等しいとき f を同次多項式と言う。 定数、つまり A の元も同次多項式である。
命題 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n) を次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 f を A[X_1、...、X_n]_sym(>>64)の任意の元とする。 f = Σc_a X^a(>>97)と書ける。 C を {c_a; c_a ≠ 0} で生成される A の部分環とする。 このとき G ∈ C[X_1、...、X_n] で f = G(s_1、...、s_n) となるものが一意に存在する。
証明 f ∈ C[X_1、...、X_n]_sym であるから >>111より G ∈ C[X_1、...、X_n] で f = G(s_1、...、s_n) となるものが存在する。 >>120より G は f により一意に定まる。 証明終
補題 A を可換環とする。 A[X] を 1 変数の多項式環とする。 f ∈ A[X] をモニック(過去スレpart1の115)な多項式とする。 n = deg f とする。 M = A + AX + ...+ AX^(n-1) とおく。 このとき A[X] は A-加群として M と fA[X] の直和である。
証明 A[X] の任意の 元 g ≠ 0 に対して g = fq + r、deg r < n となる A[X] の元 q, r が一意に定まる。 これより本命題は明らかである。 証明終
補題 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 C = A[X_1、...、X_(n-1)] とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n) を B における次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 t_k(1 ≦ k ≦ n - 1) を C における次数 k の基本対称多項式とする。 このとき各 k、1 ≦ k ≦ n - 1 に対して t_k = (-1)^k (X_n)^k + Σ[i = 1、...、k] (-1)^(k-i) s_i (X_n)^(k-i)
証明 k に関する帰納法を使う。 t_1 = X_1 + ...+ X_(n-1) = -X_n + s_1 だから k = 1 のときは成り立つ。
補題 A を可換環とする。 E = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n)を E における次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 B = A[X_n] とする。 E = B[X_1、...、X_(n-1)] である。 R = B[X_1、...、X_(n-1)]_sym (>>64)とする。 このとき R = B[s_1、...、s_(n-1)] であり s_1、...、s_(n-1) は B 上代数的独立(>>119)である。
証明 t_k(1 ≦ k ≦ n - 1)を A[X_1、...、X_(n-1)] における次数 k の基本対称多項式とする。
補題 A を可換環とする。 E = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 S = A[X_1、...、X_n]_sym (>>64)とする。 B = A[X_n] とする。 R = B[X_1、...、X_(n-1)]_sym とする。 このとき R は 1、X_n、...、(X_n)^(n-1) を S 上の基底とする S-自由加群である。
命題 A を可換環とする。 B を A 上の可換な線型環(過去スレpart1の97)とする。 C を B 上の線型環とする。 (e_i)、i ∈ I を B の A 上の基底とする。 (f_j)、j ∈ J を C の B 上の基底とする。 このとき、((e_i)(f_j))、(i, j) ∈ I×J は C の A 上の基底である。
命題 A を可換環とする。 E = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k を E における次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 S = A[X_1、...、X_n]_sym (>>64)とする。 I = {(a_1、...、a_n) ∈ (Z+)^n(>>73); 0 ≦ a_i < i、(1 ≦ i ≦ n)} とおく。 このとき単項式の族 (X^a)、a ∈ I は E の S-加群としての基底である。 即ち、E は S 上の階数 n! の自由加群である。
証明 n に関する帰納法を使う。 n = 1 のときは本命題は自明である。 n > 1 とする。 B = A[X_n] とする。 E = B[X_1、...、X_(n-1)] である。 R = B[X_1、...、X_(n-1)]_sym とする。 t_k(1 ≦ k ≦ n - 1) を A[X_1、...、X_(n-1)] における次数 k の基本対称多項式とする。 J = {(a_1、...、a_(n-1)) ∈ (Z+)^(n-1)(>>73); 0 ≦ a_i < i、(1 ≦ i ≦ (n-1))} とおく。 帰納法の仮定より、単項式の族 ((X_1)^(a_1)...(X_(n-1))^(a_(n-1)))、a ∈ J は E の R-加群としての基底である。 一方、>>143より R は 1、X_n、...、(X_n)^(n-1) を S 上の基底とする S-自由加群である。 よって、本命題は>>144より得られる。 証明終
命題 A を可換環とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n) を次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 f を A[X_1、...、X_n]_sym(>>64)を任意の元とする。 このとき f = G(s_1、...、s_n) となる G ∈ A[X_1、...、X_n] が存在する。 さらに G の重さ(>>125)は f の次数(>>121)に等しくなるように G を選べる。
証明 m = deg f(>>134)とする。 n と m に関する2重帰納法を使う。 n ≦ 1 のときは自明である。 n > 1 とする。
A[X_1、...、X_(n-1)]-線型環(過去スレpart1の97)としての準同型 ψ:A[X_1、...、X_n] → A[X_1、...、X_(n-1)] を ψ(X_n) = 0 により定める。 t_k(1 ≦ k ≦ n - 1) を A[X_1、...、X_(n-1)] における次数 k の基本対称多項式とする。 >>118より各 k、1 ≦ k ≦ n - 1 に対して s_k = t_k + t_(k-1)X_n よって、ψ(s_k) = t_k
ψ(f) は対称多項式であるから帰納法の仮定より P ∈ A[X_1、...、X_(n-1)] があり ψ(f) = P(t_1、...、t_(n-1)) となる。 P の重さは deg ψ(f) に等しくなるように P を選べる。 ψ(f - P(s_1、...、s_(n-1))) = P(t_1、...、t_(n-1)) - P(t_1、...、t_(n-1)) = 0 よって、>>136より f - P(s_1、...、s_(n-1)) は X_n で割れる。 f - P(s_1、...、s_(n-1)) は対称多項式であるから各項は X_i (1 ≦ i ≦ n - 1)で割れる。 よって、f - P(s_1、...、s_(n-1)) は s_n = (X_1)...(X_n) で割れる。 よって、f = P(s_1、...、s_(n-1)) + (s_n)h となる h ∈ A[X_1、...、X_(n-1)] がある。 任意の σ ∈ Sym({1、...、n})(>>6)をこの等式の両辺に作用(>>64)させると f = P(s_1、...、s_(n-1)) + (s_n)σh よって、(s_n)h = (s_n)σh >>159より h = σh よって、h は対称多項式である。
deg P(s_1、...、s_(n-1)) = deg P(t_1、...、t_(n-1)) = deg ψ(f) ≦ deg f = m よって、deg (s_n)h = deg(f - P(s_1、...、s_(n-1)) ≦ m deg (s_n)h = n + deg h だから deg h ≦ m - n < m
よって、帰納法の仮定より h = Q(s_1、...、s_n) となる Q ∈ A[X_1、...、X_n] がある。 Q の重さは deg h に等しくなるように Q を選べる。 G(X_1、...、X_n) = P(X_1、...、X_(n-1)) + X_nQ(X_1、...、X_n) とおけば G(X_1、...、X_n) ∈ A[X_1、...、X_n] で f = G(s_1、...、s_n) である。 P の重さ = deg ψ(f) ≦ deg f = m Q の重さ = deg h ≦ m - n よって、X_nQ の重さ ≦ m よって、G の重さ ≦ m G の重さ < m なら deg f < m となって矛盾。 よって、G の重さ = m 証明終
命題 A を可換環とする。 B と C を次数付き A-線型環(>>158)とする。 f:B → C を次数付き A-線型環としての準同型(>>159)とする。 1_B と 1_C をそれぞれ B と C の恒等写像とする。 次数付き A-線型環としての準同型 g:C → B で gf = 1_B、fg = 1_C となるものがあるとき f を次数付き A-線型環としての同型写像または同型と呼ぶ。 このとき B と C は次数付き A-線型環として同型であると言う。
定義 A を可換環とする。 B と C を次数付き A-線型環(>>158)とする。 f:B → C を次数付き A-線型環としての準同型(>>159)とする。 1_B と 1_C をそれぞれ B と C の恒等写像とする。 次数付き A-線型環としての準同型 g:C → B で gf = 1_B、fg = 1_C となるものがあるとき f を次数付き A-線型環としての同型写像または同型と呼ぶ。 このとき B と C は次数付き A-線型環として同型であると言う。
命題 A を可換環とする。 B を次数付き A-線型環(>>158)とする。 C を B の A-線型部分環(過去スレpart1の108)とする。 C が B の次数付き A-線型部分環(>>169)であるためには C の任意の元の各同次成分(>>170)が C に属すことが必要十分である。
証明 必要性: C が B の次数付き A-線型部分環であるとする。 C は A-部分加群 C ∩ B_n、n = 0、1、...の直和である。 よって、C の任意の元 x は x = Σy_n と一意に書ける。 ここで y_n ∈ C ∩ B_n、n = 0、1、...である。 他方、x = Σx_n と一意に書ける。 ここで x_n ∈ B_n、n = 0、1、...である。 よって、y_n = x_n、n = 0、1、...である。 よって、各 x_n は C に属す。
十分性: C の任意の元の各同次成分が C に属すとする。 C の任意の元 x は x = Σx_n と一意に書ける。 ここで x_n ∈ B_n、n = 0、1、...である。 仮定より各 x_n は C に属すから x_n ∈ C ∩ B_n、n = 0、1、...である。 よって、C は A-部分加群 C ∩ B_n、n = 0、1、...の直和である。 よって、C は B の次数付き A-線型部分環である。 証明終
命題 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 B の次数付けを同次(>>167)として B を次数付き A-線型環(>>158)と見なす。 このとき、A[X_1、...、X_n]_sym(>>64)は B の次数付き A-線型部分環(>>169)である。
命題 A を可換環とする。 B = A[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n)を B における次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 B の次数付けを同次(>>167)として B を次数付き A-線型環(>>158)と見なす。 >>172より A[X_1、...、X_n]_sym(>>64)は B の次数付き A-線型部分環(>>169)である。
C = A[Y_1、...、Y_n] を n 変数の多項式環とする。 C の次数付けを同重(>>168)として C を次数付き A-線型環と見なす。
ψ(f) は対称多項式であるから帰納法の仮定より P ∈ A[X_1、...、X_(n-1)] があり ψ(f) = P(t_1、...、t_(n-1)) となる。 ψ(f - P(s_1、...、s_(n-1))) = P(t_1、...、t_(n-1)) - P(t_1、...、t_(n-1)) = 0 よって、>>136より f - P(s_1、...、s_(n-1)) は X_n で割れる。 f - P(s_1、...、s_(n-1)) は対称多項式であるから各項は X_i (1 ≦ i ≦ n - 1)で割れる。 よって、f - P(s_1、...、s_(n-1)) は s_n = (X_1)...(X_n) で割れる。 よって、 f = P(s_1、...、s_(n-1)) + (s_n)h となる h ∈ A[X_1、...、X_(n-1)] がある。
任意の σ ∈ Sym({1、...、n})(>>6)をこの等式の両辺に作用(>>64)させると f = P(s_1、...、s_(n-1)) + (s_n)σh よって、(s_n)h = (s_n)σh >>159より h = σh よって、h は対称多項式である。
deg P(s_1、...、s_(n-1)) = deg P(t_1、...、t_(n-1)) = deg ψ(f) ≦ deg f = m よって、deg (s_n)h = deg(f - P(s_1、...、s_(n-1)) ≦ m deg (s_n)h = n + deg h だから deg h ≦ m - n < m
よって、帰納法の仮定より h = H(s_1、...、s_n) となる H ∈ A[X_1、...、X_n] がある。 G(X_1、...、X_n) = P(X_1、...、X_(n-1)) + X_nH(X_1、...、X_n) とおけば f = G(s_1、...、s_n) である。 証明終
定義 K を可換体とする。 L = K(X_1、...、X_n) を K 上の n 変数の有理関数体(>>8)とする。 G を {1、...、n} 上の対称群(>>6)とする。 >>10より G は Aut(L/K)(過去スレpart4の847)の部分群と見なされる。 G の固定体(過去スレpart4の863)を K(X_1、...、X_n)_sym と書き K 上の n 変数の対称有理関数体と言う。 K(X_1、...、X_n)_sym の元を K 上の n 変数の対称有理関数と呼ぶ。
命題 K を可換体とする。 L = K(X_1、...、X_n) を K 上の n 変数の有理関数体(>>8)とする。 K(X_1、...、X_n)_sym(>>6)は K[X_1、...、X_n]_sym(>>64)の商体である。
証明 A = K[X_1、...、X_n] S = K(X_1、...、X_n)_sym R = K[X_1、...、X_n]_sym とおく。 R の商体を M とする。 R ⊂ S だから M ⊂ S よって、逆の包含関係を示せば良い。
G を {1、...、n} 上の対称群(>>6)とする。 f ∈ S を任意の対称有理関数とする。 f = g/h、g ∈ A、h ∈ A と書ける。 h’= Π[σ ∈ G]σh とおく。 h’∈ R である。 h ≠ 0 だから h’≠ 0 である。 g’= h’f とおく。 g’= h’(g/h) ∈ A 一方、g’は対称有理関数の積だから対称有理関数である。 よって、g’∈ A ∩ S = R よって、f = g’/h’∈ M よって、S ⊂ M 証明終
命題 K を可換体とする。 L = K(X_1、...、X_n) を K 上の n 変数の有理関数体(>>8)とする。 K(X_1、...、X_n)_sym(>>178)は K[X_1、...、X_n]_sym(>>64)の商体である。
証明 A = K[X_1、...、X_n] S = K(X_1、...、X_n)_sym R = K[X_1、...、X_n]_sym とおく。 R の商体を M とする。 R ⊂ S だから M ⊂ S よって、逆の包含関係を示せば良い。
G を {1、...、n} 上の対称群(>>6)とする。 f ∈ S を任意の対称有理関数とする。 f = g/h、g ∈ A、h ∈ A と書ける。 h’= Π[σ ∈ G]σh とおく。 h’∈ R である。 h ≠ 0 だから h’≠ 0 である。 g’= h’f とおく。 g’= h’(g/h) ∈ A 一方、g’は対称有理関数の積だから対称有理関数である。 よって、g’∈ A ∩ S = R よって、f = g’/h’∈ M よって、S ⊂ M 証明終
命題 K を可換体とする。 A = K[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k(1 ≦ k ≦ n)を A における次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 L = K(X_1、...、X_n) を n 変数の有理関数体(>>8)とする。 このとき、K(X_1、...、X_n)_sym(>>178)= K(s_1、...、s_n)である。
命題 K を可換体とする。 f(X) を K 係数の定数でない1変数多項式とする。 L/K を f(X) の最小分解体(過去スレpart4の542)とする。 G = Aut(L/K)(過去スレpart4の847)とする。 f(X) の L における根全体の集合を S とする。 任意の σ ∈ G に対して σ(S) ⊂ S であり S は有限集合であるから σ(S) = S である。 よって、σ は S の置換を引き起こす。 よって S は G-集合(過去スレpart5の77)となる。 このとき S は忠実(過去スレpart5の843)な G-集合である。
証明 σ ∈ G が S の恒等写像を引き起こすとする。 σ = 1 を示せば良い。 S = {α_1、...、α_m} とする。 L = K(α_1、...、α_m) (過去スレpart4の539)である。 過去スレpart4の609より L = K[α_1、...、α_m] である。 よって L の任意の元 x に対して x = G(α_1、...、α_m) となる G ∈ K[X_1、...、X_m] がある。 σ(x) = σ(G(α_1、...、α_m)) = G(σ(α_1)、...、σ(α_m)) = G(α_1、...、α_m) = x よって、σ = 1 である。 証明終
命題 K を可換体とする。 A = K[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k(0 ≦ k ≦ n)を A における次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 L = K(X_1、...、X_n) を n 変数の有理関数体(>>8)とする。 このとき、K(X_1、...、X_n)_sym(>>178)= K(s_1、...、s_n)である。
証明 S = K(X_1、...、X_n)_sym とおく。 M = K(s_1、...、s_n) とおく。
G を {1、...、n} 上の対称群(>>6)とする。 >>10より G は Aut(L/K)(過去スレpart4の847)の部分群と見なされる。 S は G の固定体(過去スレpart4の863)だから Artinの定理(過去スレpart1の438)より L/S はGalois拡大(過去スレpart4の844)で G = Aut(L/S) である。 過去スレpart1の317より |G| = [L : S] であるから [L : S] = n! である。
命題 K と L を可換体とする。 ψ: K → L を同型(過去スレpart4の513)とする。 f(X) を K 係数の定数でない1変数多項式とする。 E/K を f(X) の最小分解体(過去スレpart4の542)とする。 (ψf)(X) を f(X) の各係数にψを作用させた多項式とする。 F/L を (ψf)(X) の最小分解体とする。 このとき、Aut(E/K)(過去スレpart4の847)と Aut(F/L) は同型である。
証明 G = Aut(E/K) H = Aut(F/L) とする。 過去スレpart4の622より同型 φ:E → F で ψ の拡張となっているものが存在する。 σ ∈ G に対して φσφ^(-1) ∈ H を対応させる写像を f:G → H とする。 τ ∈ H に対して φ^(-1)τφ ∈ G を対応させる写像を g:G → H とする。 f と g は準同型であり互いに逆写像である。 よって、G と H は同型である。 証明終
証明 A = K[X_1、...、X_n] を n 変数の多項式環とする。 s_k(0 ≦ k ≦ n)を A における次数 k の基本対称多項式(>>66)とする。 M = K(X_1、...、X_n) を n 変数の有理関数体(>>8)とする。 G を {1、...、n} 上の対称群とする。 >>10より G は Aut(M/K)(過去スレpart4の847)の部分群と見なされる。 S = K(s_1、...、s_n)とする。 >>185より S = K(X_1、...、X_n)_sym(>>178)である。 よって、S は G の固定体(過去スレpart4の863)だから Artinの定理(過去スレpart1の438)より M/S はGalois拡大(過去スレpart4の844)で G = Aut(M/S) である。
命題 G を I = {1、...、n} 上の対称群(>>6)とする。 G の任意の元は台(>>211)が互いに交わらない巡回置換(>>210)の積として一意に表される。
証明 σ を G の任意の元とする。 σ で生成される G の巡回部分群を H とする。 H は I 上の置換群(>>7)と見なされる。 よって、過去スレpart5の92より I は H による軌道により直和分割される。 i を I の任意の元とする。 Z を有理整数環とする。 O(i) = {σ^m(i); m ∈ Z} を i の H に関する軌道(過去スレpart5の92)とする。 σ^m(i) = i となる最小の整数 m ≧ 1 を r とする。 任意の整数 m に対して m = rq + k、0 ≦ k < r となる整数 q、k が存在する。 σ^m(i) = σ^k(i) である。 よって、O(i) = {i、σ(i)、...、σ^(r-1)(i)} となる。 このとき τ = (i、σ(i)、...、σ^(r-1)(i)) は長さ r の巡回置換(>>210)であり、 σ は O(i) 上で τ と一致する。 I は軌道により直和分割されるから σ は台が互いに交わらない巡回置換の積として表される。 これが一意であることは明らかである。 証明終
定義 G を群とする。 Set を小さい集合(代数的整数論017の321)全体の圏とする。 Set における G-対象(過去スレpart5の75)X とは G-集合(過去スレpart5の77)に他ならない。 このとき標準射(過去スレpart5の75)f:G → Sym(X) を G-集合 X に付随する置換表現(>>267)という。
定義 G を群とする。 過去スレpart5の77より G-集合全体は圏 C をなす。 G-集合の射 f:X → Y は C における同型射のとき同型射または同型写像または同型と呼ぶ。 即ち f は写像として全単射であり、任意の σ ∈ G と任意の x ∈ X に対して f(σx) = σf(x) となる。 このとき X と Y は G-集合として同型であるという。
定義(過去スレpart5の92の修正) G を群とする。 X を G-集合(過去スレpart5の77)とする。 x、y ∈ X に対して y = σx となる σ ∈ G があるとき x 〜 y と書く。 これは明らかに同値関係である。 商集合 X/〜 を G-集合 X の軌道空間(orbit space)と呼び、X/G と書く。 この同値関係による各同値類を軌道(orbit)または G-軌道(G-orbit)と言う。 x ∈ X が属す軌道を x の軌道または G-軌道と言い、Gx または O(x) と書く。
命題 G を群とする。 X を G-集合(過去スレpart5の77)とする。 〜 を X における G-不変(>>297)な同値関係とする。 x ∈ X のとき [x] を x の属す同値類とする。 σ ∈ G のとき σ[x] = [σx] と定義する。 〜 は G-不変であるからこの定義は x の取り方に寄らない。 このとき商集合 X/〜 は G-集合である。
定義(代数的整数論018の558) f:X → Y を圏 C における射とする。 f がある二つの射の差余核(coequalizer)(代数的整数論017の850)と一致するとき f を正則全射(regular epimorphism)と言う。 即ち次の完全な図式(代数的整数論017の870)があるとき f を正則な全射と言う。
例 Set を小さい集合(代数的整数論017の321)全体の圏とする。 Set における全射は強全射である。
証明 f:X → Y を Set における全射とする。 f は写像として全射である。 g:X → Z を任意の f-等価射(>>307)とする。 f(x) = f(y) とする。 P = {p} を一点からなる集合とする。 r:P → X を r(p) = x で定義する。 s:P → X を s(p) = y で定義する。 fr = fs であるから gr = gs である。 よって、g(x) = g(y) である。
f は全射であるから任意の y ∈ Y に対して y = f(x) となる x ∈ X がある。 上記から g(x) は y のみで決まり y = f(x) となる x の取り方によらない。 よって、写像 u:Y → Z を u(f(x)) = g(x) で定義出来る。 このとき g = uf である。 f は全射であるからこのような u は一意である。 証明終
例(正則全射の例) Grp を小さい集合(代数的整数論017の321)上で定義された群全体の圏とする。 G ∈ Grp とする。 N を G の正規部分群とする。 f:G → G/N を標準射とする。 このとき f は正則全射(>>313)である。
証明 r:N → G を包含写像とする。 s:N → G を各 x ∈ N に対して s(x) = 1 となる写像とする。 fr = fs である。 H ∈ Grp とし g:G → H を gr = gs となる準同型とする。 各 x ∈ N に対して g(x) = 1 である。 よって、準同型 u:G/N → H で g = uf となるものが存在する。 f は全射だから u は一意である。 証明終
証明 f:X → Y を強全射とする。 g:X → Z m:Z → Y f = mg で m は単射とする。 r:T → X s:T → X fr = fs なら mgr = mgs m は単射だから gr = gs よって、g は f-余等価射(>>308)である。 よって、u:Y → Z で g = uf となるものが一意に存在する。 f = mg = muf >>318より f は全射だから mu = 1 よって、mum = m m は単射だから um = 1 よって、m は同型 証明終
命題 f:X → Y を強全射(>>312)とする。 g:Y → Z を極値的全射(>>314)とする。 このとき gf は極値的全射である。
証明 h:X → T m:T → Z gf = mh で m は単射とする。 m が同型であることを示せばよい。
r:S → X s:S → X fr = fs なら gfr = gfs よって、mhr = mhs m は単射だから hr = hs よって、h は f-余等価射(>>308)である。 f は強全射だから h = uf となる u:Y → T が一意に存在する。 gf = mh = muf >>318より f は全射だから g = mu g は極値的全射だから m は同型である。 証明終
証明 f: X → Y を引き込みとし、g: Y → X は fg = 1 となる射とする。 f = Coker(gf, 1_X)(代数的整数論017の850)を証明しよう。
fgf = f(1_X) である。 h:X → Z を hgf = h(1_X) となる射とする。 k = hg:Y → Z とおく。 kf = hgf = h である。 >>324より f は全射であるから k は kf = h となる唯一の射である。 以上から f = Coker(gf, 1_X) である。 証明終
命題 f:X → Y を引き込み(>>322)とする。 g:Y → Z を強全射(>>312)とする。 このとき gf は強全射である。
証明 h:X → W を任意の gf-余等価射(>>308)とする。 h = kgf となる k:Z → W が一意に存在することを示せばよい。 >>324より f は全射だから gf は全射である。 よって、h = kgf となる k は一意に定まる。
f は引き込みだから fu = 1 となる u:Y → X がある。 r:T → Y s:T → Y gr = gs とする。 gfur = gr = gs = gfus よって、hur = hus よって、hu は g-余等価射である。 g は強全射だから hu = kg となる k:Z → W が一意に存在する。
一方、gfuf = gf であり h は gf-余等価射であるから huf = h よって、h = huf = kgf 証明終
r:T → X s:T → X gfr = gfs とする。 hfr = hfs である。 よって、hf は gf-余等価射である。 gf は強全射だから hf = kgf となる k:Z → W がある。 f は全射だから h = kg である。 >>318より gf は全射だから g も全射である。 よって、h = kg となる k は一意に定まる。 証明終
命題 G を群とする。 X を G-集合(過去スレpart5の77)とする。 H を G の正規部分群とする。 X は H-集合と見なされる。 x、y ∈ X に対して y = ηx となる η ∈ H があるとき x 〜 y と書く。 このとき 〜 は X 上の G-不変(>>297)な同値関係である。
証明 x 〜 y とする。 y = ηx となる η ∈ H がある。
任意の σ ∈ G に対して σy = σηx = (σησ^(-1))σx
H は G の正規部分群であるから σησ^(-1) ∈ H である。 よって、σx 〜 σy 証明終
命題 G を群とする。 X を G-集合(過去スレpart5の77)とする。 x を X のある元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 B を x を含むブロック(>>357)とする。 このとき H ={σ ∈ G;σB = B} は G_x を含む G の部分群である。
証明 σ を G_x の任意の元とする。 σx = x ∈ B であるから x ∈ σB ∩ B よって、>>365より B = σB よって、σ ∈ H である。 証明終
命題 G を群とする。 X を G-集合(過去スレpart5の77)とする。 x を X のある元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 H を G_x を含む G の部分群とする。 Hx = {ηx; η ∈ H} と書く。 このとき Hx は X のブロック(>>357)である。
証明 x ∈ Hx だから Hx は空でない。 σ ∈ G に対して σHx ∩ Hx ≠ φ とする。 σηx = ρx となる η、ρ ∈ H がある。 ρ^(-1)σηx = x だから ρ^(-1)ση ∈ G_x ⊂ H よって、σ ∈ ρHη^(-1) = H よって、σHx = Hx よって、>>367より Hx は X のブロックである。 証明終
命題 G を群とする。 X を G-集合(過去スレpart5の77)とする。 x を X のある元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 H を G_x を含む G の部分群とする。 Hx = {ηx; η ∈ H} と書く。 このとき H = {σ ∈ G; σHx = Hx } である。
証明 σ ∈ H のとき σHx = Hx である。
逆に σ ∈ G、σHx = Hx とする。 σηx = ρx となる η、ρ ∈ H がある。 ρ^(-1)σηx = x だから ρ^(-1)ση ∈ G_x ⊂ H よって、σ ∈ ρHη^(-1) = H
命題 G を群とする。 X を推移的な G-集合(過去スレpart5の77)とする。 x を X のある元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 B を x を含むブロック(>>357)とする。 >>369より H ={σ ∈ G;σB = B} は G_x を含む G の部分群である。 このとき B = Hx である。
証明 Hx ⊂ B であるから逆の包含関係を示せばよい。 y ∈ B を任意の元とする。 G は X に推移的に作用するから y = σx となる σ ∈ G がある。 y ∈ σB ∩ B だから σB = B である。 よって、σ ∈ H である。 よって、y = σx ∈ Hx である。 証明終
命題 G を群とする。 X を推移的な G-集合(過去スレpart5の77)とする。 x を含むブロック(>>357)全体の集合を Λ(x) とする。 G_x を含む G の部分群全体の集合を Γ(x) とする。 >>369より B ∈ Λ(x) に対して H = {σ ∈ G;σB = B} は Γ(x) に属す。 このとき B に H を対応させる写像 ψ:Λ(x) → Γ(x) は全単射である。
命題 G を群とする。 X を推移的な G-集合(過去スレpart5の77)で |X| ≧ 2 とする。 x を X の任意の元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 X が原始的(>>355)な G-集合であるためには G_x が G の極大部分群であることが必要十分である。
補題 G を群とする。 X を推移的(過去スレpart5の107)な G-集合とする。 m ≧ 2 を整数とする。 x と y を X の元とする。 G_x と G_y をそれぞれ x と y の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 G_x が X - {x} 上 m - 1 重推移的(>>382)なら G_y は X - {y} 上 m - 1 重推移的である。
証明 G は X 上推移的だから σx = y となる σ ∈ G がある。 z = (z_1、...、z_(m-1)) と w = (w_1、...、w_(m-1)) を (X - {y})^[m-1] の元とする。 z’= σ^(-1)z w’= σ^(-1)w とする。 z’、w’∈ (X - {x})^[m-1] だから τz’= w’となる τ ∈ G_x がある。 τσ^(-1)z = σ^(-1)w よって、στσ^(-1)z = w στσ^(-1) ∈ σG_xσ^(-1) = G_y よって、G_y は (X - {y})^[m-1] 上推移的である。 証明終
命題 G を群とする。 X を G-集合とする。 x を X の元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 m ≧ 2 を整数とする。 X が m 重推移的(>>382)であるためには G が X 上推移的で G_x が X - {x} 上 m - 1 重推移的であることが 必要十分である。
証明 必要性: >>383より G は X 上推移的である。 Y = X - {x} とおく。 a = (a_1、...、a_(m-1)) と b = (b_1、...、b_(m-1)) を Y^[m-1](>>381)の任意の元とする。 a’= (a_1、...、a_(m-1)、x) b’= (b_1、...、b_(m-1)、x) とおく。 a’、b’∈ X^[m] である。 X は m 重推移的であるから σa’= b’となる σ ∈ G がある。 このとき σx = x であるから σ ∈ G_x である。 σa = b であるから G_x は Y 上 m - 1 重推移的である。
十分性: >>385より X の任意の元 y に対して G_y は X - {y} 上 m - 1 重推移的である。 a = (a_1、...、a_m) と b = (b_1、...、b_m) を X^[m] の任意の元とする。 σ(a_1、...、a_(m-1)、a_m) = (b_1、...、b_(m-1)、a_m) となる σ ∈ G_(a_m) がある。 τ(b_1、...、b_(m-1)、a_m) = (b_1、...、b_(m-1)、b_m) となる τ ∈ G_(b_1) がある。 よって、τσa = b よって、G は X 上 m 重推移的である。 証明終
定義(>>210の拡張) X を空でない有限集合とする。 G = Sym(X)(>>6)とする。 J = {i_1、...、i_r} を X の空でない部分集合で |J| = r とする。 σ ∈ G で σ(i_1) = i_2、...、σ(i_(r-1)) = i_r、σ(i_r) = i_1 となり X - J の各元 x に対して σ(x) = x となるものを G の巡回置換と呼び、 σ = (i_1、...、i_r) と書く。 r を σ の長さと呼ぶ。
命題 X を空でない有限集合とする。 Z を有理整数環とする。 {-1、1} を Z の乗法に関する可逆元からなる群とする。 G = Sym(X)(>>6)とする。 このとき準同型 ε:G → {-1、1} で G の任意の互換(>>240)σ に対して ε(σ) = -1 となるものが一意に存在する。
証明 |X| = n とする。 I = {1、...、n} とする。 f:X → I を任意の全単射とする。 σ ∈ G に fσf^(-1) ∈ Sym(I) を対応させることにより 同型 ψ:G → Sym(I) が得られる。 σ ∈ Sym(I) に sgn(σ)(>>230)を対応させる写像を sgn:Sym(I) → {-1、1} とする。 ε = sgnψ とおく。 G の任意の互換 σ に対して ψ(σ) は Sym(I) の互換だから>>232より ε(σ) = sgn ψ(σ) = -1 である。 >>222と同様に G の任意の元は互換の積として表されるからこのような ε は一意に決まる。 証明終
定義(>>235の拡張) X を空でない有限集合とする。 G = Sym(X)(>>6)とする。 σ ∈ G に sgn(σ)(>>6)を対応させる写像を sgn:G → {-1、1} とする。 sgn:G → {-1、1} は準同型であるから sgn の核 H は G の部分群である。 H を X 上の交代群と呼ぶ。 H は G の全ての偶置換(>>390)からなる。
命題 X を空でない有限集合とする。 |X| = n とする。 n ≧ 3 のとき Alt(X)(>>392)は X 上推移的(過去スレpart5の107)である。
証明 a と b を X の元とし a ≠ b とする。 n ≧ 3 だから c ∈ X - {a, b} がある。 σ = (a, b, c) を X 上の巡回置換(>>238)とする。 σ = (a, c)(a, b) ∈ Alt(X) である。 b = σa だから Alt(X) は X 上推移的である。 証明終
命題 X を空でない有限集合とする。 Y を X の空でない部分集合とする。 任意の τ ∈ Sym(Y)(>>6)に対して τ’∈ Sym(X) を次のように定義する。 x ∈ Y のとき τ’x = τx x ∈ X - Y のとき τ’x = x τ ∈ Sym(Y) に τ’∈ Sym(Y) を対応させる写像を f:Sym(Y) → Sym(X) とする。 このとき f は単射準同型であり、 f(Sym(Y)) = {σ ∈ Sym(X);各 x ∈ X - Y に対して σx = x} である。
定義(>>235の拡張) X を空でない有限集合とする。 G = Sym(X)(>>6)とする。 σ ∈ G に sgn(σ)(>>389)を対応させる写像を sgn:G → {-1、1} とする。 sgn:G → {-1、1} は準同型であるから sgn の核 H は G の部分群である。 H を X 上の交代群と呼ぶ。 H は G の全ての偶置換(>>390)からなる。
命題 X を空でない有限集合とする。 |X| ≧ 3 のとき Alt(X)(>>392)は n - 2 重推移的(>>382)である。
証明 G = Alt(X) とする。 |X| = n とする。 n に関する帰納法を使う。 n = 3 のとき>>393より G は X 上推移的である。 n ≧ 4 とする。 x を X の元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 >>397より G_x は Alt(X - {x}) と同一視される。 よって、帰納法の仮定より G_x は n - 3 重推移的である。 >>393より G は X 上推移的である。 よって、>>386より G は n - 2 重推移的である。 証明終
命題 G を群とする。 X を 2 重推移的(>>382)な G-集合とする。 x を X の任意の元とする。 H を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 σ ∈ G - H とする。 このとき G = H ∪ HσH と直和分割される。
証明 >>393より G は X 上推移的である。 よって、過去スレpart5の121より X は G-集合として G/H と同型である。 よって、>>386より H は G/H - {H} 上推移的である。 よって、任意の τ ∈ G - H に対して τH = hσH となる h ∈ H がある。 τ ∈ HσH であるから G = H ∪ HσH である。 H ∩ HσH = φ であるからこれは G の直和分割である。 証明終
命題 G を群とする。 X を 2 重推移的(>>382)な G-集合とする。 x を X の任意の元とする。 H を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 σ ∈ G - H とする。 このとき G = H ∪ HσH と直和分割される。
証明 >>383より G は X 上推移的である。 よって、過去スレpart5の121より X は G-集合として G/H と同型である。 よって、>>386より H は G/H - {H} 上推移的である。 よって、任意の τ ∈ G - H に対して τH = hσH となる h ∈ H がある。 τ ∈ HσH であるから G = H ∪ HσH である。 H ∩ HσH = φ であるからこれは G の直和分割である。 証明終
命題 G を群とする。 X を 2 重推移的(>>382)な G-集合とする。 このとき X は原始的(>>355)な G-集合である。
証明 x を X の任意の元とする。 H を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 X は 2 重推移的だから |X| ≧ 2 である。 >>383より G は X 上推移的である。 よって、>>379より H が G の極大部分群であることを証明すればよい。 K を H を含む G の部分群で H ≠ K とする。 σ ∈ K - H とする。 >>400より G = H ∪ HσH と直和分割される。 K は H と HσH を含むから G = H である。 よって、H は G の極大部分群である。 証明終
補題 G を群とする。 X を G-集合(過去スレpart5の77)とする。 x を X の元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 H を G の正規部分群とする。 H は X 上正則(>>280)であるとする。 >>402より H は (G_x)-集合と見なされる。 このとき H と X は (G_x)-集合として同型である。
証明 写像 f:H → X を f(η) = ηx により定義する。 H は X に正則に作用するから f は全単射である。 よって、f が (G_x)-射であることを示せばよい。 σ ∈ G_x、η ∈ H のとき f(σησ^(-1)) = σησ^(-1)x = σηx = σf(η) よって、f は (G_x)-射である。 証明終
命題 G を群とする。 H を G の正規部分群とする。 K を H の特性部分群(>>404)とする。 このとき K は G の正規部分群である。
証明 σ ∈ G のとき τ(σ) を G の内部自己同型(過去スレpart5の749)とする。 H は G の正規部分群であるから τ(σ) は H の自己同型 φ(σ) を引き起こす。 φ(σ)(K) ⊂ K であるから τ(σ)(K) ⊂ K である。 よって、K は G の正規部分群である。 証明終
命題 G を有限群とする。 X を 2 重推移的(>>382)な G-集合とする。 H を G の正規部分群で X に正則(>>280)に作用するとする。 このとき H は基本アーベル群(>>406)である。 よって、|X| = |H| は素数冪である。
証明 |H| = |X| であり |X| ≧ 2 であるから |H| ≠ 1 である。 x を X の任意の元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 >>386より X - {x} は推移的な (G_x)-集合である。 よって、>>403より H - {1} は推移的な (G_x)-集合である。 よって、H - {1} の元は全て同じ位数 m である。 p を m の任意の素因子とすると H は位数 p の元をもつ。 よって、H - {1} の各元の位数は p である。 よって、Cauchyの定理(過去スレpart5の775)より H の位数は p の冪である。 Z(H) を H の中心(過去スレpart5の751)とすると過去スレpart5の781より Z(H) ≠ 1 である。 >>408より Z(H) は H の特性部分群(>>404)であるから>>405より G の正規部分である。 H は X に正則に作用するから Z(H) の X への作用は自明(>>352)ではない。 >>401より G は X に原始的(>>355)に作用する。 よって、>>353より Z(H) は X に推移的に作用する。 Z(H) ⊂ H であるから Z(H) における x の安定化部分群は 1 である。 よって、>>284より Z(H) は X に正則に作用する。 よって、|X| = |Z(H)| = |H| である。 よって、Z(H) = H である。 よって、H はアーベル群である。 よって、>>410より H は基本アーベル群である。 証明終
命題 G ≠ 1 を有限可解群(過去スレpart1の550)とする。 N を G の極小正規部分群(>>412)とする。 このとき N は基本アーベル群(>>406)である。
証明 過去スレpart1の565より N は可解群である。 よって、>>435より [N、N] ≠ N である。 >>429より [N、N] は N の正規部分群である。 N は G の極小正規部分群であるから [N、N] = 1 である。 よって、>>431より N はアーベル群である。 a ≠ 1 を N の元で位数 m とする。 p を m の任意の素因子とすると H は位数 p の元をもつ。 H = {x ∈ N;x^p = 1} とおく。 N はアーベル群であるから H は N の部分群である。 H は位数 p の元をもつから H ≠ 1 である。 >>410より H は基本アーベル群である。 H は明らかに N の特性部分群(>>404)である。 よって、>>405より H は G の正規部分群である。 N は G の極小正規部分群であるから H = N である。 証明終
命題 G を有限可解群(過去スレpart1の550)とする。 X を忠実(過去スレpart5の843)かつ原始的(>>355)な G-集合とする。 このとき |X| は素数冪である。
証明 G は X 上原始的だから X 上推移的で |X| ≧ 2 である。 よって、>>437より G ≠ 1 である。 よって、>>413より G は極小正規部分群(>>412)H を持つ。 H ≠ 1 だから>>438より H は X に推移的に作用する。 よって、過去スレpart5の122より |X| は |H| の約数である。 >>436より H は基本アーベル群(>>406)であるから |H| は素数冪である。 よって、|X| も素数冪である。 証明終
命題 G をアーベル群とする。 X を忠実(過去スレpart5の843)かつ推移的(過去スレpart5の107)な G-集合とする。 このとき X は正則(>>280)な G-集合である。
証明 x を X の任意の元とする。 G_x を x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 >>284より G_x = 1 を証明すればよい。
G は X 上推移的であるから、任意の y ∈ X に対して y = σx となる σ ∈ G がある。 >>283より G_y = σ(G_x)σ^(-1) である。 G はアーベル群であるから G_x = G_y である。 よって、G_x = ∩{G_y; y ∈ G} G は忠実だから、この右辺 = 1 証明終
命題 G を有限可解群(過去スレpart1の550)とする。 X を忠実(過去スレpart5の843)かつ原始的(>>355)な G-集合とする。 H を G の極小正規部分群(>>412)とする。 >>436より H は基本アーベル群(>>406)である。 このとき H は X に正則(>>280)に作用する。 特に |X| = |H| である。
証明 H ≠ 1 だから>>438より H は X に推移的に作用する。 H はアーベル群であるから>>440より H は X に正則に作用する。 証明終
定義 A を必ずしも可換とは限らない環とする。 n ≧ 1 を整数とする。 A 上の n 次の正方行列全体のなす環を Mat(n, A) と書いた(過去スレpart1の814)。 Mat(n, A) の乗法に関する可逆元全体のなす群を A 上の一般線型群(general linear group over A)といい GL(n, A) と書く。
補題 G を群とする。 X を忠実(過去スレpart5の843)な G-集合(過去スレpart5の77)とする。 N を G の正規部分群とする。 N は X に推移的(>>281)に作用するとする。 x を X の任意の元とする。 H を G に関する x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 Int:G → Aut(G) を内部表現(過去スレpart5の749)とする。 σ ∈ H のとき Int(σ)(N) = N であるから Int(σ) は N の自己同型を引き起こす。 これを φ(σ) と書けば準同型 φ:H → Aut(N) が得られる。 このとき φ は単射である。
証明 σ ∈ Ker(φ) とする。 N は X に推移的に作用するから任意の y ∈ X に対して y = τx となる τ ∈ N がある。 一方、φ(σ) = 1 であるから任意の τ ∈ N に対して φ(σ)(τ) = στσ^(-1) = τ よって、στ = τσ よって、σy = στx = τσx = τx = y G は忠実だから σ = 1 証明終
命題 G を群とする。 N をその正規部分群で指数 p の基本アーベル群(>>406)とする。 |N| = p^n とする。 H を G の部分群とする。 G = NH、N ∩ H = {1} とする。 Int:G → Aut(G) を内部表現(過去スレpart5の749)とする。 σ ∈ H のとき Int(σ)(N) = N であるから Int(σ) は N の自己同型を引き起こす。 これを ψ(σ) と書けば準同型 ψ:H → Aut(N) が得られる。 このとき ψ が単射であれば G は AGL(n, Z/pZ) (>>446)の部分群に同型である。
命題 G を有限可解群とする。 X を忠実(過去スレpart5の843)かつ原始的(>>355)な G-集合とする。 >>439より |X| は素数冪 p^n である。 このとき G は AGL(n, Z/pZ) (>>446) の部分群に同型である。 ここで、Z は有理整数環である。
証明 N を G の極小正規部分群(>>412)とする。 >>436より N は基本アーベル群(>>406)である。 >>443より N は X に正則(>>280)に作用する。 よって、|X| = |N| = p^n である。 x を X の任意の元とする。 H を G に関する x の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 >>447より G = NH である。 >>443より N は X に正則(>>280)に作用する。 よって、>>284より N ∩ H = 1 である。
Int:G → Aut(G) を内部表現(過去スレpart5の749)とする。 s ∈ H のとき Int(s)(N) = N であるから Int(s) は N の自己同型を引き起こす。 これを ψ(s) と書けば準同型 ψ:H → Aut(N) が得られる。 >>448より ψ は単射である。 よって、>>461より G は AGL(n, Z/pZ) の部分群に同型である。 証明終
命題(Galois) G を有限可解群とする。 X を素数次数(>>275)の忠実(過去スレpart5の843)かつ推移的(過去スレpart5の107)な G-集合(過去スレpart5の77)とする。 このとき G は AGL(1, Z/pZ) (>>446) の部分群に同型である。 ここで、Z は有理整数環である。
証明 >>363より G は X に原始的(>>355)に作用する。 よって、>>462より G は AGL(1, Z/pZ) の部分群に同型である。 証明終
命題 G を有限可解群(過去スレpart1の550)とする。 X を忠実(過去スレpart5の843)かつ原始的(>>355)な G-集合とする。 このとき G は唯一の非自明な(即ち単位群でない)アーベル正規部分群 H を持つ。 H は G の唯一の極小正規部分群(>>412)であり基本アーベル群(>>406)である。
証明 G は X 上原始的だから X 上推移的で |X| ≧ 2 である。 よって、>>437より G ≠ 1 である。 よって、>>413より G は極小正規部分群(>>412)N を持つ。 >>436より N は基本アーベル群である。 >>438より N は X に推移的に作用する。 >>440より N は正則に X に作用する。 よって、|N| = |X| である。
H ≠ 1 を G のアーベル正規部分群とする。 N = H を示せば良い。 >>438より H は X に推移的に作用する。 よって、>>440より H は正則に X に作用する。 よって、|H| = |X| である。 N は G の極小正規部分群だから H ∩ N = 1 または H ∩ N = N である。 H ∩ N = 1 なら HN は G のアーベル正規部分群であり |HN| = |H||N| = |X|^2 となる。 他方 NH は正則に X に作用するから |NH| = |X| である。 これは矛盾である。 よって、N ∩ H = H である。 よって、H ⊂ N である。 |H| = |N| = |X| であるから H = N である。 証明終
命題 Z を有理整数環とする。 p を素数とする。 G = AGL(1, Z/pZ) (>>446) とおく。 X = Z/pZ とおく。 G は Sym(X) の部分群である。 よって、X は忠実(過去スレpart5の843)な G-集合と見なせる。 このとき X は 2 重強推移的(>>465)な G-集合である。
証明 任意の b ∈ X に対して X 上の置換 x → x + b は 0 を b に写すから G は X に推移的に作用する。 H を G に関する 0 の安定化部分群(過去スレpart5の93)とする。 H は X 上の置換 x → ax 全体からなる。 ここで a ∈ X - {0} である。 任意の x、y ∈ X - {0} に対して y = ax となる a ∈ X - {0} が存在する。 よって、H は X - {0} に推移的に作用する。 よって、>>386より G は X に 2 重推移的(>>382)に作用する。 a ∈ X - {0} に対して ax = x となる x ∈ X - {0} が存在するなら a = 1 である。 よって、>>284より X は 2 重強推移的な G-集合である。 証明終
命題 K を有限体(過去スレpart4の681)とする。 b ∈ K のとき K 上の置換 x → x + b を τ_b と書く。 このとき N = {τ_b; b ∈ K} は K と群として同型であり、 AGL(1, K) (>>446)の唯一の非自明な(即ち単位群でない)アーベル正規部分群である。 さらに N は AGL(1, K) の唯一の極小正規部分群(>>412)であり基本アーベル群(>>406)である。
証明 >>492の証明より AGL(1, K) (>>446)は (K僵^*)_ψ (>>452)と同型である。 写像 f:K → (K僵^*)_ψ を f(b) = (b, 1) で定義する。 >>453より f は単射準同型であり f(K) は (K僵^*)_ψ の正規部分群である。 f(K) に対応する AGL(1, K) の部分群は N であるから N は K と同型であり AGL(1, K) の正規部分群である。
>>483より AGL(1, K) は K に忠実(過去スレpart5の843)かつ 2 重推移的(>>382)に作用する。 >>401より AGL(1, K) は K に原始的(>>355)に作用する。 よって、>>464より本命題の主張が得られる。 証明終
命題 K を有限体(過去スレpart4の681)とする。 b ∈ K のとき K 上の置換 x → x + b を τ_b と書く。 このとき N = {τ_b; b ∈ K} は K と群として同型であり、 AGL(1, K) (>>446)の唯一の非自明な(即ち単位群でない)アーベル正規部分群である。 さらに N は AGL(1, K) の唯一の極小正規部分群(>>412)であり基本アーベル群(>>406)である。
証明 G = AGL(1, K) とおく。 >>492の証明より Gは (K僵^*)_ψ (>>452)と同型である。 写像 f:K → (K僵^*)_ψ を f(b) = (b, 1) で定義する。 >>453より f は単射準同型であり f(K) は (K僵^*)_ψ の正規部分群である。 f(K) に対応する G の部分群は N であるから N は K と同型であり G の正規部分群である。
>>483より G は K に忠実(過去スレpart5の843)かつ 2 重推移的(>>382)に作用する。 よって、>>401より G は K に原始的(>>355)に作用する。 >>492より G は可解群(過去スレpart1の550)である。 よって、>>464より本命題の主張が得られる。 証明終