現代数学の系譜11 ガロア理論を読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
329現代数学の系譜11 ガロア理論を読む
>>328
つづき

で、まだよく理解できないのが
補助方程式 { x - (α-β)^2 } { x - (β-γ)^2 } { x - (γ-α)^2 } = 0 の根を、r1=(α-β)^2, r2= (β-γ)^2, r3= (γ-α)^2を全部添加したらどうなるのか?
ガロア論文第III節によれば、「各群において置換は同一である」と。はて?
330現代数学の系譜11 ガロア理論を読む:2012/02/21(火) 23:33:11.60
>>323
ラグランジュの定理というのが、ガロア理論の一つの補助線なんだね
補助線を一つ引くことで、見通しが良くなる

昔、小平邦彦が平面幾何の補助線を非常に重視していたとか(下記)
”補助線”の概念を、拡張すれば、上記のようにいえるかも・・

http://blog.goo.ne.jp/yamada-seismic/e/0d4c79bd25bfa30cb1db6d673df133f1
30 小平邦彦の「平面幾何の追放」に対する警鐘 2010-07-17 16:49:48

小平は著書「怠け数学者の記」(岩波現代文庫)の中で、
・・・・大脳生理学の知見が正しいとすれば・・・昔われわれが中学校で学んだユークリッド平面幾何は数学の初等教育のための最適な教材であることになる。
・・・平面幾何では図形を見ながら論証を進める。図形を見るのは右半球の働き、論証は左半球の働きであるから、平面幾何は左右の両半球を互いに関連させて同時に訓練することになる。
殊に証明のための補助線を引くには図形全体のパターンを眺めて総合的に判断することが必要である。
故にそれは右半球のための最もよい訓練である。
アダマールがいうように発見が「無意識」すなわち右半球の働きであるとすれば、したがって平面幾何は創造力を養うためにも最適な教材であることになる。
近年ユークリッド平面幾何は(文部省によって)数学の初等教育からほとんど追放されてしまったが、それによって失われたものは普通に考えられているよりもはるかに大きいのではないかと思う(34頁)。
・・・・幾何学的直観力の一つが補助線を発見する能力ですが、この能力を猛勉強によって獲得したという体験談があるんです(232頁)。
331132人目の素数さん:2012/02/22(水) 00:22:49.80
>>328
その通り。

>>329
つまり、今までは補助方程式の根を別々に添加していたわけだけど、同時に加えるということ。
俺の挙げた例でいうと、K(r1), K(r2), K(r3) ではなく K(r1, r2, r3) でF(x)を見たらどう分解されるか?
332みぃな:2012/02/22(水) 00:23:24.69
xの10じょう ÷Xの2じょう ー3x+2

ができません汗
解説できたらおねがいします1
333132人目の素数さん:2012/02/22(水) 11:11:24.96
>>326
>Q2.その時、各因子 f(V,r) の群は? 一致するか否か?
>A2.各因子 f(V,r) の群は、>>290の { e , (12) } 型の位数2の3つの部分群。同型だが、一致はしていない。

そういうことw ガロアは一般的な立場で補助方程式の根の添加、言い換えれば体の拡大を考察している。
334現代数学の系譜11 ガロア理論を読む:2012/02/22(水) 21:28:00.83
>>333
乙、ありがとう

>>331
>つまり、今までは補助方程式の根を別々に添加していたわけだけど、同時に加えるということ。
>俺の挙げた例でいうと、K(r1), K(r2), K(r3) ではなく K(r1, r2, r3) でF(x)を見たらどう分解されるか?

誘導ありがとう
1.まず、K(r1)のとき、>>326でr1=(α-β)^2、F(x)=(x-V1)(x-V2)(x-V3)(x-V4)(x-V5)(x-V6)、f1(x,r1)=(x−V1)(x−V4)
  までは、すでに記した通り。
  で、F(x)=f1(x,r1)(x-V2)(x-V3)(x-V5)(x-V6)=f1(x,r1)g(X) 但しg(X)=(x-V2)(x-V3)(x-V5)(x-V6)として、g(X)がK(r1)に属するかだが
  ラグランジュの定理でいえるね。
  g(X)=F(x)/f1(x,r1)と書けて、F(x)とf1(x,r1)とも(α,β)(=α,βの互換)で変わらないから、g(X)も変わらない。だから、その係数はr1の有理式で、g(X)がK(r1)に属する
  だがそこまでで、g(X)=g(x,r1)とは書けるが、これ以上分解はできない
2.で、K(r1, r2, r3) は、r1, r2, r3を全て含む拡大体で、>>326 F(x)=f1(x,r1)xf2(x,r2)xf3(x,r3)で
  f1(x,r1)=(x−V1)(x−V4),f2(x,r2)=(x−V2)(x−V5),f3(x,r3)=(x−V3)(x−V6)となるが
  f1(x,r1)、f2(x,r2)、f3(x,r3)は全て、K(r1, r2, r3) に属するので、F(x)=f1(x,r1)xf2(x,r2)xf3(x,r3) (2次式)までの分解ができる
3.では、それ以上(1次式へ)の分解ができるか? これはできない
  K(r1, r2, r3) の元は、例えば(α,β)(=α,βの互換)で変わらないが、V1〜V6は、全て(α,β)で変わるから、K(r1, r2, r3) の元ではない。だから、1次式への分解はできないと
335現代数学の系譜11 ガロア理論を読む:2012/02/22(水) 21:33:49.37
>>334
補足
ここらは、倉田 ガロアを読む:>>4のP146 16節「根の有理式の添加によるガロア群の簡約」に関連した事項だ

で、中間体K(r1, r2, r3)のガロア群がどうなるかだが、P155の対応定理などで見るんだろうね
336132人目の素数さん:2012/02/23(木) 00:15:47.64
          __ノ)-'´ ̄ ̄`ー- 、_
        , '´  _. -‐'''"二ニニ=-`ヽ、
      /   /:::::; -‐''"        `ーノ
     /   /:::::/           \
     /    /::::::/          | | |  |
     |   |:::::/ /     |  | | | |  |
      |   |::/ / / |  | ||  | | ,ハ .| ,ハ|
      |   |/ / / /| ,ハノ| /|ノレ,ニ|ル' 
     |   |  | / / レ',二、レ′ ,ィイ|゙/   私は只の数ヲタなんかとは付き合わないわ。
.     |   \ ∠イ  ,イイ|    ,`-' |      頭が良くて数学が出来てかっこいい人。それが必要条件よ。
     |     l^,人|  ` `-'     ゝ  |        さらに Ann.of Math に論文書けば十分条件にもなるわよ。
      |      ` -'\       ー'  人          一番嫌いなのは論文数を増やすためにくだらない論文を書いて
    |        /(l     __/  ヽ、           良い論文の出版を遅らせるお馬鹿な人。
     |       (:::::`‐-、__  |::::`、     ヒニニヽ、         あなたの論文が Ann of Math に accept される確率は?
    |      / `‐-、::::::::::`‐-、::::\   /,ニニ、\            それとも最近は Inv. Math. の方が上かしら?
   |      |::::::::::::::::::|` -、:::::::,ヘ ̄|'、  ヒニ二、 \
.   |      /::::::::::::::::::|::::::::\/:::O`、::\   | '、   \
   |      /:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::'、::::\ノ  ヽ、  |
  |      |:::::/:::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::'、',::::'、  /:\__/‐、
  |      |/:::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::O::| '、::| く::::::::::::: ̄|
   |     /_..-'´ ̄`ー-、:::::::::::::::::::::::::::::::::::|/:/`‐'::\;;;;;;;_|
   |    |/::::::::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::::|::/::::|::::/:::::::::::/
    |   /:::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::O::|::|::::::|:::::::::::::::/
337132人目の素数さん:2012/02/23(木) 00:26:39.31
>>334
>K(r1, r2, r3) の元は、例えば(α,β)(=α,βの互換)で変わらない
そうかなw K(r1, r2, r3) は、例えば r2 を含むよね。これに(α,β)を施すとどうなる?
338現代数学の系譜11 ガロア理論を読む:2012/02/23(木) 21:49:15.68
>>337
ああ、そうか。誘導ありがとう。君は親切だね
ここの理解が不十分だから、すっきりしなかったんだ

1.さて、K(r1, r2, r3) :補助方程式 { x - (α-β)^2 } { x - (β-γ)^2 } { x - (γ-α)^2 } = 0 の根を、r1=(α-β)^2, r2= (β-γ)^2, r3= (γ-α)^2 >>326
2.で、ガロア分解式(>>28)にならって
V’=A’r1+B’r2+C’r3で、係数A,B,Cは体Kに属するとして、r1, r2, r3の置換すべてで、異なる値を取る様に選んだとする
書き直すと
V’=A’(α-β)^2+B’(β-γ)^2+C’ (γ-α)^2
3.このV’は、拡大体K(r1, r2, r3)に属する元
これに(α,β)を施すと
V1’=A’(α-β)^2+B’(α-γ)^2+C’ (γ-β)^2となり、V’≠V1’となり値は変わる(異なる値を取る様に選んだので)
4.つまり、V’は互換(α,β)で値が変わる。これは、全ての互換にいえる。
5.また、長さ3の巡回置換(α,β,γ)でも値が変わる。これは、互換とは別の式で値も異なる
6.結局、V’=A’(α-β)^2+B’(β-γ)^2+C’ (γ-α)^2は、根α,β,γの置換の全てで異なる値を取る
7.ラグランジュの定理>>317で、V’は全ての置換で変わって、これを変えないのは恒等置換eのみ(>>289-290参照)で、
  もとの方程式のガロア分解式V=Aα+Bβ+Cγ >>235 とV’=A’r1+B’r2+C’r3とは、いずれも、恒等置換e以外のすべての置換で値を変えるから
  お互いに有理式で表される関係(VとV’は同じ分解能力を持つってことか)
8.だから、VはV’の有理式で表されるということで、拡大体K(r1, r2, r3)の中で、F(x)=(x-V1)(x-V2)(x-V3)(x-V4)(x-V5)(x-V6)は、1次の式に分解される
  つまり、V1、V2、V3、V4、V5、V6たちは、拡大体K(r1, r2, r3)の元?
339現代数学の系譜11 ガロア理論を読む:2012/02/23(木) 21:54:01.88
>>338
つづき

ということは、補助方程式 { x - (α-β)^2 } { x - (β-γ)^2 } { x - (γ-α)^2 } = 0 を解くことは、即もとの方程式を解くことに
また、補助方程式のガロア分解式V’=A’(α-β)^2+B’(β-γ)^2+C’ (γ-α)^2は、6つの異なる値を取り、補助方程式のガロア群はS3(3次の対称群)となる・・
340現代数学の系譜11 ガロア理論を読む:2012/02/23(木) 22:00:21.58
>>339
つづき

(α-β)^2自身は、(α,β)(=α,βの互換)で変わらない
(β-γ)^2、 (γ-α)^2も同様

しかし、この3つを集めて、V’=A’r1+B’r2+C’r3を作ると、V’は根α,β,γの置換の全てで異なる値を取ると
面白ね
341現代数学の系譜11 ガロア理論を読む:2012/02/23(木) 22:26:47.98
>>340
つづき

なお、(β-γ)^2=(β+γ)^2−4βγ

と書けて
3次方程式:f(x)=x^3+A*x^2+B*x+C=(x-α)*(x-β)*(x-γ) >>323
で、α+β+γ=A、αβγ=Cより

β+γ=A−α
βγ=C/α
となり、これを代入すると

(β-γ)^2=(β+γ)^2−4βγ=(A−α)^2−4(C/α)
つまり、αだけの式になる
まあ、(β-γ)^2は、αの化身だと
342132人目の素数さん:2012/02/23(木) 23:39:48.29
>>338
>8.だから、VはV’の有理式で表されるということで、拡大体K(r1, r2, r3)の中で、F(x)=(x-V1)(x-V2)(x-V3)(x-V4)(x-V5)(x-V6)は、1次の式に分解される
>  つまり、V1、V2、V3、V4、V5、V6たちは、拡大体K(r1, r2, r3)の元?
まあそういうこと。あと付け加えると、F(x)はK(r1, r2, r3)の中で

F(x)=(x-V1)(x-V2)(x-V3)(x-V4)(x-V5)(x-V6)

と分解されるよね? このとき、各因子(x-V1)〜(x-V6)の群はすべて恒等置換よりなることがわかる。
すなわち、補助方程式のすべての根を添加することによって、

>>329 ガロア論文第III節によれば、「各群において置換は同一である」と。はて?

となっていることがわかる。俺の挙げた例では、恒等置換だけだからおもしろみはないけどね。
なお、ちゃんとした証明は、守屋や矢ケ部の本にあったと思う。お持ちのようだから
読んでみれば? 定理のイメージがつかめたなら、それほど難しくない・・・と思うw

それでは、>>275からの件はこれで終わりと言うことで。気が向いたらまたコメントするよw
343現代数学の系譜11 ガロア理論を読む:2012/02/25(土) 09:47:41.21
>>342
ありがとう。君は親切だね

>それでは、>>275からの件はこれで終わりと言うことで。気が向いたらまたコメントするよw


>>上記のような分解ができるということは、元の方程式のガロア群が正規部分群を持っている場合だけ>>268

えーと、ここから始まったんだが。いろいろ誘導ありがとう。おかげですっかり理解できた
((有理式と置換に関する)ラグランジュの定理というのが、ガロア理論の一つの補助線なんだ>>330ということも)

1.>>280のように、ある方程式(例えば3次方程式(以下例えばを略する))の根(α、β、γ)のある有理式を考える( (α-β)^2)
2.倉田>>4のP146のように、この有理式((α-β)^2)の最小定義多項式(=補助方程式と見ることもできる)を考える({ x - (α-β)^2 } { x - (β-γ)^2 } { x - (γ-α)^2 } = 0 )
  この有理式が、根(α、β、γ)の全ての置換で取る異なる値を集めて例にならって多項式をつくる
  そうすると、ラグランジュの定理から作った多項式の係数は、元の体kに属することが分かる
3.そうして、この有理式((α-β)^2)の添加で、ガロア分解方程式(F(x)=(x-V)(x-V')(x-V'')・・・・(x-V''*) )がどうなるかを考える
  可約になる場合がある(>>323-327
4.この場合、最小定義多項式の根を全て添加すると、さらに低い次数への分解ができる場合がある(>>338
5.これを群論の言葉でいうと、この有理式を不変にするガロア群Gの部分群Hがあって
  Hの左剰余類によるGの分解
  G=H+s1H+・・・+sk-1H (ここで、s1・・・sk-1は、倉田P146ではシグマに下付の1・・・k-1が添えられたものだが、ギリシャ文字が面倒なので代用)
6.で、3の可約によるガロア分解方程式の因数分解は、上記左剰余類によるGの分解G=H+s1H+・・・+sk-1Hに従う
(つづく)
344現代数学の系譜11 ガロア理論を読む:2012/02/25(土) 09:51:14.74
>>343
つづき

7.で、4の最小定義多項式の根を全て添加するとは、Gの分解G=H+s1H+・・・+sk-1Hで、H、s1H、・・・、sk-1Hの共通部分(最大公約部分群などと書いてある本もある)を考えることになって
  これは、Gの正規部分群。このとき、正規拡大になっている
8.ということは、ある有理式を考えて、その最小定義多項式(=補助方程式)を考えると、その最小定義多項式(=補助方程式)の全ての根が使えるが、それを全て添加すると、Gの正規部分群と正規拡大の話になる
9.これすなわちガロア理論

”上記のような分解ができるということは、元の方程式のガロア群が正規部分群を持っている場合だけ”>>268
を正しく言い換えると上記のようになる?

これでOK?
345132人目の素数さん:2012/02/25(土) 14:07:13.39
>>344
まだやるのか?w 

肝心なことがわかってないかな。

>7.で、4の最小定義多項式の根を全て添加するとは、Gの分解G=H+s1H+・・・+sk-1Hで、H、s1H、・・・、sk-1Hの共通部分(最大公約部分群などと書いてある本もあ

ここが違う。H、s1H、・・・、sk-1H に共通部分はない。
手短に書くと以下。

F(x)に補助方程式の根を添加して因数分解されたとき、各因子の根の順列は
各々(上の記号を使えば)、

H s_1H ・・・ sk-1H

となる。このとき、各因子のガロア群は、

H s_1*H* s_1^{-1} ... s_{k-1}*H*s_1^{k-1}

となる。記号がわかりにくいが、要するに、Hを(恒等変換を含めて)、s_1・・・s_{k-1}で変換したときに
できる群のこと。

そして、すべての補助方程式の根を添加したときのガロア群とは、上のk個の
群の共通部分をとってできる根のことだよ。なお、この群はGの正規部分群の性質をもっている。
すでにHが正規部分群のときは、上の共通部分はH自身となる。俺のあげた例では
恒等置換となる。