【神々の】ガロア生誕200周年記念スレ【愛でし人】

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159Kummer ◆SgHZJkrsn08e
次の命題はGalois理論において重要である。

命題 59
K を体(>>82)とする。
f(X) を K 係数の定数でない1変数多項式とする。
L を f(X) の最小分解体(>>149)とする。
E を K ⊂ E ⊂ L となる体(>>82)とする。
σ:E → Ω (>>82) を K-埋め込み(>>122)とする。
このとき σ(E) ⊂ L であり、σ は L/K の自己同型(>>123)に拡張される。

証明
f(X) の Ω における全ての根を α_1、...、α_n とする。
L = K(α_1、...、α_n) である。
各 α_i は K 上代数的(>>89)であるから>>126より、 L/K は有限拡大である。
よって、L/E も有限拡大である。
よって、>>146より、埋め込み τ:L → Ω で σ の拡張となっているものが存在する。
σ は K-埋め込みだから τ も K-埋め込みである。
よって、>>153より τ(L) = L であり、τ は L/K の自己同型(>>123)と見なせる。
τ は σ の拡張だから σ(E) = τ(E) ⊂ L
証明終
160Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 14:16:40.89
>>155の補足
>よって、>>154より σ(L) = L である。

これを言うには L/K が代数的であることを示す必要がある。
しかし、これは>>129より明らかである。
161Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 14:18:22.38
>>159は容易に多項式の族の最小分解体(>>150)に拡張される。

命題 60
K を体(>>82)とする。
I を任意の空でない集合とする。
(f_i)、i ∈ I を K[X] の次数1以上の元からなる族とする。
(f_i)、i ∈ I の最小分解体(>>150)を L とする。
E を K ⊂ E ⊂ L となる体(>>82)とする。
σ:E → Ω (>>82) を K-埋め込み(>>122)とする。
このとき σ(E) ⊂ L であり、σ は L/K の自己同型(>>123)に拡張される。

証明
>>129より、L/K は代数的(>>90)である。
よって、L/E も代数的である。
よって、>>148より、埋め込み τ:L → Ω で σ の拡張となっているものが存在する。
σ は K-埋め込みだから τ も K-埋め込みである。
よって、>>155より τ(L) = L であり、τ は L/K の自己同型(>>123)と見なせる。
τ は σ の拡張だから σ(E) = τ(E) ⊂ L
証明終
162Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 14:34:59.71
定義 61
L/K を体の拡大(>>82)とする。
f(X) を K 係数の定数でない1変数多項式とする。
f(X) が L において1次多項式の積になるとき、f(X) は L で分解するという。

これは f(X) の Ω(>>82) における全ての根が L に含まれることと同値である。
これはまた f(X) の最小分解体(>>149)が L に含まれることと同値である。
163Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 14:43:33.63
定義 62
L/K を代数的拡大(>>90)とする。
任意の α ∈ L に対して α の K 上の最小多項式(>>116)が L で分解(>>162)するとき
L/K を正規拡大(normal extension)または準Galois拡大(quasi-Galois extension)と言う。
164Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 15:30:03.20
命題 63
K と L を体(>>82)とし、σ: K → L を同型(>>121)とする。
α ∈ Ω を K 上代数的(>>89)とする。
f(X) を α の K 上の最小多項式(>>116)とする。
σf(X) を f(X) の各係数にσを作用させた多項式とする。
β を σf(X) の Ω(>>82) における根の一つとする。
このとき、同型 τ:K(α) → L(β) で
σ の拡張となっているものが存在する。

証明
>>118>>119より、K(α) は K[X]/(f(X)) と同型である。
同様に L(β) は L[X]/(σf(X)) と同型である。
よって、>>144より、K(α) は L(β) に同型である。
この同型対応は g(X) ∈ K[X] のとき g(α) に σg(β) を対応させることにより得られる。
ここで、σg(X) は g(X) の各係数にσを作用させた多項式である。
よって、この同型は σ の拡張である。
証明終
165Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 15:42:23.39
>>164の修正

命題 63
K と L を体(>>82)とし、σ: K → L を同型(>>121)とする。
α ∈ Ω を K 上代数的(>>89)とする。
f(X) を α の K 上の最小多項式(>>116)とする。
σf(X) を f(X) の各係数にσを作用させた多項式とする。
β を σf(X) の Ω(>>82) における根の一つとする。
このとき、同型 τ:K(α) → L(β) で τ(α) = β となり、
σ の拡張となっているものが一意に存在する。

証明
>>118>>119より、K(α) は K[X]/(f(X)) と同型である。
同様に L(β) は L[X]/(σf(X)) と同型である。
よって、>>144より、K(α) は L(β) に同型である。
この同型対応は g(X) ∈ K[X] のとき g(α) に σg(β) を対応させることにより得られる。
ここで、σg(X) は g(X) の各係数にσを作用させた多項式である。
よって、この同型は σ の拡張であり、τ(α) = β である。
τ の一意性は明らかである。
証明終
166Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 15:51:06.81
命題 64
L/K を代数的拡大(>>90)とする。
以下の条件は互いに同値である。

1) L/K は正規拡大(>>163)である。

2) K[X] の次数1以上の元からなる空でない族 (f_i)、i ∈ I があり、
L は (f_i)、i ∈ I の最小分解体(>>150)である。

3) σ:L → Ω (>>82) を任意の K-埋め込み(>>122)とする。
このとき σ(L) = L である。従って、σ は L/K の自己同型(>>123)と見なせる。

証明
1) ⇒ 2)
各 α ∈ L に対して f_α を α の K 上の最小多項式(>>116)とする。
仮定により、各 f_α は L で分解する。
よって、L は多項式の族 (f_α)、α ∈ L の最小分解体(>>150)である。

2) ⇒ 3)
>>155で証明済みである。

3) ⇒ 1)
任意の α ∈ L に対して f(X) を α の K 上の最小多項式(>>116)とする。
β を f(X) の Ω(>>82) における任意の根とするとき、β ∈ L を示せばよい。
>>165より、K-同型(>>122) σ:K(α) → K(β) で σ(α) = β となるものが一意に存在する。
L/K は代数的拡大であるから L/K(α) も代数的拡大である。
よって、>>148より、埋め込み τ:L → Ω で
σ の拡張となっているものが存在する。
σ は K-同型であるから τ は K-埋め込み(>>122)である。
よって、仮定より τ(L) = L である。
よって、β = σ(α) = τ(α) ∈ L
証明終