【神々の】ガロア生誕200周年記念スレ【愛でし人】

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142Kummer ◆SgHZJkrsn08e
命題 45
体の代数的拡大(>>90)全体の集合 Ψ は正則(>>136)である。

証明
>>136の 1) の証明:
K ⊂ L ⊂ M を体とする。
M/K ∈ Ψ なら L/K ∈ Ψ かつ M/L ∈ Ψ は明らかである。

逆に L/K ∈ Ψ かつ M/L ∈ Ψ とする。
M/L は代数的拡大であるから、任意の β ∈ M に対して L 係数の定数でない1変数多項式 f(X) があり
f(β) = 0 となる。
f(X) の係数を α_1、...、α_n とする。
各 α_i は K 上代数的であるから、>>126より K(α_1、...、α_n)/K は有限である。
他方、β は K(α_1、...、α_n) 上代数的であるから、
>>120より K(α_1、...、α_n、β)/K(α_1、...、α_n) は有限である。
よって、>>125より K(α_1、...、α_n、β)/K は有限である。
よって、>>124より K(α_1、...、α_n、β)/K は代数的である。
よって、β は K 上代数的である。
よって、M/K ∈ Ψ である。

>>136の 2) の証明:
任意の E/K ∈ Ψ と任意の拡大(>>82) F/K をとる。
E の各元は K 上代数的であり、K ⊂ F だから E の各元は F 上代数的でもある。
よって、>>129より、EF = F(E) は F 上代数的である。
即ち EF/F ∈ Ψ である。
証明終
143Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 08:36:28.43
命題 46
σ: K → L を体の同型(>>121)とする。
このとき、環としての同型 ψ:K[X] → L[X] で f(X) ∈ K[X] のとき ψ(f(X)) = (σf)(X) となるものが
存在する。
ここで、(σf)(X) は f(X) の各係数にσを作用させたものである。

証明
自明である。
144Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 08:40:09.24
命題 47
σ: K → L を体の同型(>>121)とする。
f(X) ∈ K[X] のとき>>143の同型 ψ:K[X] → L[X] は
環としての同型 K[X]/(f(X)) → L[X]/((σf)(X)) を引き起こす。
ここで、(σf)(X) は f(X) の各係数にσを作用させたものである。

証明
自明である。
145Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 09:14:57.44
命題 48
σ: K → Ω (>>82) を埋め込み(>>121)とする。
α ∈ Ω を K 上代数的(>>89)とする。
このとき、埋め込み τ:K(α) → Ω で
σ の拡張となっているものが存在する。

証明
L = σ(K) とおく。
f(X) を α の K 上の最小多項式(>>116)とする。
(σf)(X) の Ω における任意の根をβとする。
ここで、(σf)(X) は f(X) の各係数にσを作用させたものである。
>>118>>119より、K(α) は K[X]/(f(X)) と同型である。
同様に L(β) は L[X]/(σf(X)) と同型である。
よって、>>144より、K(α) は L(β) に同型である。
この同型対応は g(X) ∈ K[X] のとき g(α) に (σg)(β) を対応させることにより得られる。
よって、この同型は σ の拡張である。
証明終
146Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 09:29:43.54
命題 49
L/K を体の有限拡大(>>87)とする。
σ: K → Ω (>>82) を埋め込み(>>121)とする。
このとき、埋め込み τ:L → Ω で
σ の拡張となっているものが存在する。

証明
L = K(α_1、...、α_n) (>>91)と書ける。
例えば α_1、...、α_n として L の K 上の基底をとればよい。
>>124より、各 α_i は K 上代数的である。
よって、>>145と n に関する帰納法を使えばよい。
証明終
147Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 09:51:00.36
命題 50
K を体(>>82)とする。
σ: K → Ω (>>82) を埋め込み(>>121)とする。
α_1、α_2、...、α_n、...を Ω (>>82)の元の可算無限列で
各 α_i は K 上代数的(>>89)であるとする。
L = K(α_1、α_2、...、α_n、...) とおく。
このとき、埋め込み τ:L → Ω で
σ の拡張となっているものが存在する。

証明
各整数 n ≧ 1 に対して K_n = K(α_1、...、α_n) とおく。
>>145と n に関する帰納法により、各 n ≧ 1 に対して埋め込み σ_n:K_n → Ω で
σ_n は σ_(n-1) の拡張となっているものが存在する。
ただし、σ_0 = σ とする。

写像 τ:L → Ω を次のように定義する。
L = ∪K_n であるから、任意の x ∈ L に対して x ∈ K_n となる n がある。
τ(x) = σ_n(x) とおく。
τ(x) は n の取り方によらない。

このとき、τ が埋め込みであり、σ の拡張となっていることは明らかである。
証明終
148Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 10:00:46.14
Zornの補題を使えば>>147を任意の代数的拡大 L/K に拡張できる。

命題 51
L/K を代数的拡大(>>90)とする。
σ: K → Ω (>>82) を埋め込み(>>121)とする。
このとき、埋め込み τ:L → Ω で
σ の拡張となっているものが存在する。

証明
K ⊂ E ⊂ L となる体 E と埋め込みρ: E → Ω で σ の拡張となっているものの対 (E, ν) 全体Ψを
考える。
(K, σ) ∈ Ψ であるから Ψ は空でない。
(E, ν)、(F, μ) ∈ Ψ、E ⊂ F で μ が ν の拡張になっているとき (E, ν) ≦ (F, μ) と書く。
関係 ≦ により Ψ は順序集合となる。
Φ を Ψ の空でない全順序部分集合とする。
G = ∪{E;(E, ν) ∈ Ψ} とおく。
G は体である。写像 ρ:G → Ω を以下のように定義する。
x ∈ G のとき (E, ν) ∈ Φ で x ∈ E となるものがある。
ρ(x) = ν(x) と定義する。
ρ は (E, ν) の選び方によらない。
(G, ρ) ∈ Ψ である。
各 (E, ν) ∈ Φ に対して (E, ν) ≦ (G, ρ) である。
よって Zornの補題により Ψ は極大元 (H, τ) を持つ。
このとき、H = L を示せばよい。
H ≠ L とする。
α を L の元で H に含まれないものとする。
>>145より、τ は埋め込み H(α) → Ω に拡張される。
これは (H, τ) が Ψ の極大元であることに反する。
証明終
149Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 10:30:40.07
定義 52
K を体(>>82)とする。
f(X) を K 係数の定数でない1変数多項式とする。
f の Ω における全ての根を α_1、...、α_n とする。
K(α_1、...、α_n) (>>91)を f(X) の最小分解体と言う。
150Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 10:36:50.88
定義 53
K を体(>>82)とする。
(f_i)、i ∈ I を K[X] の次数1以上の元からなる族とする。
各 f_i の Ω における全ての根の集合を S_i とする。
S = ∪{S_i;i ∈ I} とおく。
K(S) (>>91)を (f_i)、i ∈ I の最小分解体と言う。

注意: I が有限集合のとき (f_i)、i ∈ I の最小分解体は g = Πf_i の最小分解体(>>149)である。
151Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 11:11:55.15
命題 54
K を体(>>82)とする。
α_1、...、α_n を Ω(>>82) の元の有限列とする。
各 α_i が K 上代数的(>>89)なら
K(α_1、...、α_n) = K[α_1、...、α_n] (>>91)である。

証明
n に関する帰納法による。
>>119より、K(α_1) = K[α_1] である。
n ≧ 2 とし、K(α_1、...、α_(n-1)) = K[α_1、...、α_(n-1)] と仮定する。

K(α_1、...、α_n)
= K(α_1、...、α_(n-1))(α_n)
= K(α_1、...、α_(n-1))[α_n]  ← >>119
= K[α_1、...、α_(n-1)][α_n]  ← 帰納法の仮定
= K[α_1、...、α_n]
証明終
152Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 12:32:36.38
命題 55
K を可換体とする。
V を K 上の有限次元の線型空間とする。
σ:V → V を K-線型写像とする。
σ が単射であれば σ は全射である。

証明
σ(V) は V の部分線型空間で V と同じ次元である。
よって、σ(V) = V である。
証明終
153Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 12:36:09.58
命題 56
K を体(>>82)とする。
f(X) を K 係数の定数でない1変数多項式とする。
L を f(X) の最小分解体(>>149)とする。
σ:L → Ω (>>82) を K-埋め込み(>>122)とする。
このとき σ(L) = L であり、σ は L/K の自己同型(>>123)と見なせる。

証明
f(X) の Ω における全ての根を α_1、...、α_n とする。
L = K(α_1、...、α_n) である。
各 i に対して f(α_i) = 0 であるから σ(f(α_i)) = f(σ(α_i)) = 0
よって、σ(α_i) は f(X) の根である。

一方、各 α_i は K 上代数的(>>89)であるから>>151より、
K(α_1、...、α_n) = K[α_1、...、α_n] である。
よって、L の任意の元 x は x = P(α_1、...、α_n) と書ける。
ここで、P(α_1、...、α_n) は K 係数の n 変数多項式 P(X_1、...、X_n) の
各変数 X_i に α_i を代入したものである。
σ(x) = P(σ(α_1)、...、σ(α_n)) であるが、
上で示したように各 σ(α_i) は f(X) の根であるから σ(x) ∈ L である。
よって、σ(L) ⊂ L である。

各 α_i は K 上代数的であるから、>>126より L/K は有限である。
σ は K-埋め込みであるから、K-線型写像と見なせる。
よって、>>152より σ(L) = L である。
証明終
154Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 12:50:44.42
>>153を多項式の族の最小分解体(>>150)に拡張しよう。
そのため次の命題を準備する。

命題 57
L/K を代数的拡大(>>90)とし、σ:L → Ω(>>82) を K-埋め込み(>>122)とする。
σ(L) ⊂ L なら σ(L) = L である。
従って、σ は L/K の自己同型(>>123)と見なせる。

証明
α を L の任意の元とする。
f(X) を α の最小多項式(>>116)とする。
f(X) の L における根全体を S とする。
α ∈ S であるから S は空でない。
任意の β ∈ S に対して σ(β) は f(X) の根である。
仮定より σ(β) ∈ L であるから σ(β) ∈ S である。
よって、σ(S) ⊂ S である。
σ は単射で S は有限集合であるから σ(S) = S である。
よって、σ(β) = α となる β ∈ S がある。
よって、σ(L) = L である。
証明終
155Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/07(月) 13:12:52.14
命題 58
K を体(>>82)とする。
I を任意の空でない集合とする。
(f_i)、i ∈ I を K[X] の次数1以上の元からなる族とする。
(f_i)、i ∈ I の最小分解体(>>150)を L とする。
σ:L → Ω (>>82) を K-埋め込み(>>122)とする。
このとき σ(L) = L であり、σ は L/K の自己同型(>>123)と見なせる。

証明
各 f_i の Ω における全ての根の集合を S_i とする。
S = ∪{S_i;i ∈ I} とおく。
L = K(S) (>>91) である。
J を I の空でない任意の有限部分集合とする。
S_J = ∪{S_i;i ∈ J} とおく。
f_J = Π{f_i;i ∈ J} とおく。
K(S_J) は多項式 f_J の最小分解体(>>149)である。

L の任意の元 x に対して I の空でない有限部分集合 J があり、x ∈ K(S_J) となる。
σ:L → Ω は K-埋め込み K(S_J) → Ω を引き起こすから>>153より σ(x) ∈ K(S_J) である。
よって、σ(L) ⊂ L である。
よって、>>154より σ(L) = L である。
証明終
156132人目の素数さん:2011/11/07(月) 13:25:13.42
“In my life I have dared to advance propositions about which I was not sure.
But all have written down here has been clear in my head for over a year,
and it would not be in my interest to leave myself open to the suspicion that
I announce theorems of which I do not have complete proofs.
Make a public request of Jacobi or Gauss to give their opinions not as to the truth but
to the importance of these theorems.
After that, I hope some men will find it profitable to sort out this mess.”
– Évariste Galois, Letter to Auguste Chevalier, May 29, 1832