代数的整数論 020

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646Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 06:30:49
>>605
>Ψ を含む最小のσ-集合環(過去スレ007の189)を S(Ψ) と書く。

Ψ を含む最小のσ-集合環(過去スレ007の197)を S(Ψ) と書く。
647Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 06:41:15
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
>>617より Φ ⊂ Ψ であり、任意の M ∈ Φ に対して μ(M) = μ^*(M) である。
648Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 06:50:47
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。

任意の E ∈ H(Φ) に対して E ⊂ M となる M ∈ Φ で
μ^*(E) = μ(M) となるものが存在する。

証明
>>647より、任意の M ∈ Φ に対して μ(M) = μ^*(M) である。
よって、μ^*(E) = +∞ なら E ⊂ M となる任意の M ∈ Φ に対して μ(M) = +∞ である。
よって、μ^*(E) < +∞ と仮定する。
任意の整数 n ≧ 1 に対して E ⊂ M_n、M_n ∈ Φ で
μ(M_n) < μ^*(E) + 1/n となるものが存在する。
M = ∩M_n とおく。
Φ はσ-集合環だから M ∈ Φ である。
E ⊂ M だから μ^*(E) ≦ μ(M) である。
よって、逆向きの不等式を証明すればよい。
任意の整数 n ≧ 1 に対して M ⊂ M_n であるから μ(M) ≦ μ(M_n) < μ^*(E) + 1/n
n → +∞ とすれば μ(M) ≦ μ^*(E)
証明終
649Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 06:58:09
定義
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
任意の E ∈ H(Φ) (>>609)に対して μ_*(E) = sup {μ(M); M ⊂ E} を E の内測度と呼ぶ。
650Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 07:38:26
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
任意の E ∈ H(Φ) に対して M ⊂ E となる M ∈ Φ で
μ_*(E) = μ(M) となるものが存在する。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>649)である。

証明
μ_*(E) = +∞ の場合:
任意の整数 n ≧ 1 に対して M_n ⊂ E、M_n ∈ Φ で
n < μ(M_n) となるものが存在する。
M = ∪M_n とおく。
M ∈ Φ であり、任意の整数 n ≧ 1 に対して n < μ(M_n) ≦ μ(M)
よって、μ(M) = +∞ である。

μ_*(E) < +∞ の場合:
任意の整数 n ≧ 1 に対して M_n ⊂ E、M_n ∈ Φ で
μ_*(E) < μ(M_n) + 1/ n となるものが存在する。
M = ∪M_n とおく。
M ∈ Φ で M ⊂ E だから μ(M) ≦ μ_*(E)
よって逆向きの不等式を証明すればよい。
任意の整数 n ≧ 1 に対して μ_*(E) < μ(M_n) + 1/ n ≦ μ(M) + 1/ n
n → +∞ とすれば μ_*(E) ≦ μ(M)
証明終
651Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 09:04:31
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E を (μ^*)-可測(過去スレ007の768)で μ^*(E) < +∞ とする。
このとき、B ⊂ E となる B ∈ Φ で μ^*(E) = μ(B) となるものが存在する。

証明
>>648より、E ⊂ M となる M ∈ Φ で μ^*(E) = μ(M) となるものが存在する。
M = E + (M - E) であり、M と E は (μ^*)-可測であるから
μ(M) = μ^*(E) + μ^*(M - E)
μ(M) = μ^*(E) < +∞ だから μ^*(M - E) = 0
>>648より、M - E ⊂ N となる N ∈ Φ で μ^*(M - E) = μ(N) となるものが存在する。
μ^*(M - E) = 0 だから μ(N) = 0 である。
B = M - N とおく。
B ⊂ E である。
M = (M ∩ N) + (M - N) だから μ(M) = μ(M ∩ N) + μ(B)
ここで、μ(M ∩ N) ≦ μ(N) = 0 だから μ(M ∩ N) = 0 である。
よって、μ(M) = μ(B)
よって、B が求めるものである。
証明終
652Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 10:22:23
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
過去スレ007の778より、Ψ はσ-集合環であり、μ^* を Ψ に制限したものは
Ψ における測度(過去スレ007の316)である。
E ∈ Ψ がμ^*に関してσ-有限とする。

このとき、B ⊂ E となる B ∈ Φ で μ^*(E) = μ(B) となるものが存在する。

証明
Ψ の元の列 E_1、E_2、...で各 n に対して μ^*(E_n) < ∞ であり、
E ⊂ ∪E_n となるものがある。
F_1 = E_1 とし、n ≧ 2 のとき F_n = E_n - (E_1 ∪...∪E_(n-1)) とおく。
F_n ∈ Ψ、n = 1、2、...で ∪E_n = ΣF_n である。
E = E ∩ ΣF_n = Σ(E ∩ F_n) である。
各 n に対して G_n = E ∩ F_n とおく。
E = ΣG_n であり、各 n に対して G_n ∈ Ψ であり、μ^*(G_n) < ∞ である。
>>651より、各 n に対して B_n ⊂ G_n となる B_n ∈ Φ で
μ^*(G_n) = μ(B_n) となるものが存在する。
B = ∪B_n とおく。
μ^*(E) = Σμ^*(G_n) = Σμ(B_n) = μ(B)
よって、B が求めるものである。
証明終
653Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 10:41:45
>>649の修正

定義
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
任意の E ∈ H(Φ) (>>609)に対して
μ_*(E) = sup {μ(M); M ⊂ E、M ∈ Φ} を E の内測度と呼ぶ。
654Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 10:52:22
定義
X を集合とする。
Ψ を X の部分集合からなる遺伝的(>>608)な集合とする。
μ^* を Ψ 上の外測度(過去スレ007の766)とする。
E を Ψ の元とする。
μ^*(E) < ∞ のとき E はμ^*に関して有限と言う。
Ψ の元の列 E_1、E_2、...で各 n に対して μ^*(E_n) < ∞ であり、
E ⊂ ∪E_n となるものがあるとき E はμ^*に関してσ-有限と言う。

Ψ の各元がμ^*に関して有限なとき μ^* は有限と言う。
Ψ の各元がμ^*に関してσ-有限なとき μ^* はσ-有限と言う。
655Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 11:35:11
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)でσ-有限(>>606)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
過去スレ007の778より、Ψ はσ-集合環であり、μ^* を Ψ に制限したものは
Ψ における測度(過去スレ007の316)である。
このとき、この測度はσ-有限(過去スレ007の448)である。
さらに外測度μ^*もσ-有限(>>654)である。

証明
任意の E ∈ H(Δ) に対して Δ の元の列 I_1、I_2、...で
E ⊂ ∪I_n となるものがある。
μ はσ-有限だから各 n に対して Δ の元の列 I_(n, 1)、I_(n, 2)、...で
各 m に対して μ(I_(n, m)) < ∞ であり、I_n ⊂ ∪I_(n, m) となるものがある。
E ⊂ ∪I_n ⊂ ∪I_(n, m) であり、
>>617より μ(I_(n, m)) = μ^*(I_(n, m)) であるから
E はμ^*に関してσ-有限(>>654)である。
よって、μ^*はσ-有限である。

同様に μ^* を Ψ に制限した測度もσ-有限である。
証明終
656Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 13:40:07
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上のσ-有限(過去スレ007の448)な測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
E を H(Φ) の元とする。
このとき μ_*(E) = sup {μ^*(F); F ⊂ E、F ∈ Ψ} である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
>>655よりμ^* を Ψ に制限したものはσ-有限な測度である。
F ⊂ E、F ∈ Ψ のとき F はμ^*に関してσ-有限であるから
>>652より、M ⊂ F となる M ∈ Φ で μ^*(F) = μ(M) となるものが存在する。
よって、sup {μ^*(F); F ⊂ E、F ∈ Ψ} = sup {μ(M); M ⊂ E、M ∈ Φ} = μ_*(E)
証明終
657Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 14:05:15
内測度(>>653)の性質を述べる。

命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。

1) 任意の E ∈ H(Φ) (>>609) に対して 0 ≦ μ_*(E) ≦ +∞

2) μ_*(φ) = 0

3) E ⊂ F ならば μ_*(E) ≦ μ_*(F)

4) E_n ∈ H(Φ)、n = 1、2、...で E = ΣE_n (直和)ならば μ_*(E) ≧ Σμ_*(E_n)

証明
1) と 2) は明らかである。

3) の証明:
M ⊂ E、M ∈ Φ ならば M ⊂ F だから μ(M) ≦ μ_*(F)
よって、μ_*(E) ≦ μ_*(F)

4) の証明:
μ_*(E) = +∞ ならば μ_*(E) ≧ Σμ_*(E_n) は明らかだから μ_*(E) < +∞ とする。
3) より各 n に対して μ_*(E_n) < +∞ である。
ε > 0 を任意の正数とする。
各 n に対して M_n ∈ Φ、M_n ⊂ E_n、μ(M_n) > μ_*(E_n) - ε/2^n となる M_n がある。
M = ΣM_n とおく。
μ_*(E) ≧ μ(M) = Σμ(M_n) ≧ Σμ_*(E_n) - ε
ε > 0 は任意の正数だから μ_*(E) ≧ Σμ_*(E_n)
証明終
658Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 14:11:04
>>657
>3) E ⊂ F ならば μ_*(E) ≦ μ_*(F)

3) E ∈ H(Φ)、F ∈ H(Φ)、E ⊂ F ならば μ_*(E) ≦ μ_*(F)
659Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 14:23:53
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Φ) が(μ^*)-可測(過去スレ007の768)で
μ^*に関してσ-有限(過去スレ007の448)とする。
このとき、μ^*(E) = μ_*(E) である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
>>652より、M ⊂ E となる M ∈ Φ で μ^*(E) = μ(M) となるものが存在する。
μ_*(E) ≦ μ^*(E) であるから μ_*(E) ≦ μ(M) ≦ μ_*(E)
よって、μ_*(E) = μ(M) = μ^*(E)
証明終
660Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 14:41:36
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Φ)、μ^*(E) < +∞ とする。
このとき、E が(μ^*)-可測(過去スレ007の768)であるためには
μ^*(E) = μ_*(E) が必要十分である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
必要性は>>659で証明されている。

十分性:
μ^*(E) = μ_*(E) とする。
>>648より、E ⊂ A となる A ∈ Φ で μ^*(E) = μ(A) となるものが存在する。
>>650より、B ⊂ E となる B ∈ Φ で μ_*(E) = μ(B) となるものが存在する。
A = B + (A - B) だから μ(A) = μ(B) + μ(A - B) である。
μ(A) = μ(B) < +∞ だから μ(A - B) = 0 である。
E - B ⊂ A - B より μ^*(E - B) = 0
よって、E - B は(μ^*)-零集合であり従って (μ^*)-可測である。
よって、E = B + (E - B) も(μ^*)-可測である。
証明終
661Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 04:14:45
>>656の前に次の命題を置くべきだった。

命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
E を H(Φ) の元で μ^*(E) < +∞ とする。
このとき μ_*(E) = sup {μ^*(F); F ⊂ E、F ∈ Ψ} である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
F ⊂ E、F ∈ Ψ のとき μ^*(F) < +∞ であるから
>>651より、M ⊂ F となる M ∈ Φ で μ^*(F) = μ(M) となるものが存在する。
よって、sup {μ^*(F); F ⊂ E、F ∈ Ψ} = sup {μ(M); M ⊂ E、M ∈ Φ} = μ_*(E)
証明終
662132人目の素数さん:2010/09/06(月) 04:21:36
おはようございます。早起きですね
663Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 04:55:12
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
E ∈ H(Φ)、F ∈ Ψ、E ⊂ F、μ^*(F) < +∞ とする。

このとき、μ_*(E) = μ^*(F) - μ^*(F - E) である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明(現代数学概説U p.251)
>>650より、B ⊂ E となる B ∈ Φ で μ_*(E) = μ(B) となるものが存在する。
F - E ⊂ F - B であるから μ^*(F - E) ≦ μ^*(F - B)
μ^*(F) = μ(B) + μ^*(F - B) ≧ μ_*(E) + μ^*(F - E)

よって、逆向きの不等式を証明すればよい。
>>648より F - E ⊂ A となる A ∈ Φ で
μ^*(F - E) = μ(A) となるものが存在する。
C = A ∩ F とおく。C ∈ Ψ である。
F - E ⊂ C ⊂ A だから μ^*(F - E) ≦ μ^*(C) ≦ μ(A)
よって、μ^*(F - E) = μ^*(C) である。
E = F - (F - E) ⊃ F - C だから>>657の 3) より、
μ_*(E) ≧ μ_*(F - C)
>>659より μ_*(F - C) = μ^*(F - C) だから μ_*(E) ≧ μ^*(F - C)
よって、μ^*(F) = μ^*(C) + μ^*(F - C) ≦ μ^*(F - E) + μ_*(E)
証明終
664Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 05:05:28
>>663より、>>628における μ_i(E) は μ_*(E) と一致することが分かる。
665Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 05:32:23
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(E_n), n = 1, 2, ... を H(Φ) の元の列で、
E_1 ⊂ E_2 ⊂ . . . なら n → ∞ のとき lim μ^*(E_n) = μ^*(∪E_n)

証明
各 n に対して E_n ⊂ ∪E_n だから μ^*(E_n) ≦ μ^*(∪E_n)
よって、lim μ^*(E_n) ≦ μ^*(∪E_n)
よって、逆向きの不等式を証明すればよい。

>>650より、各 n に対して E_n ⊂ A_n となる A_n ∈ Φ で
μ^*(E_n) = μ(A_n) となるものが存在する。
各 n に対して B_n = ∩{A_m; m ≧ n} とおく。
E_n ⊂ B_n ⊂ A_n であるから μ^*(E_n) = μ(B_n) である。
B_1 ⊂ B_2 ⊂ . . . だから過去スレ007の323より、
n → ∞ のとき lim μ^*(E_n) = μ(∪B_n) ≧ μ^*(∪E_n)
証明終
666Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 05:36:53
>665
>>>650より、各 n に対して E_n ⊂ A_n となる A_n ∈ Φ で

>>648より、各 n に対して E_n ⊂ A_n となる A_n ∈ Φ で
667Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 05:44:11
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(E_n), n = 1, 2, ... を H(Φ) の元の列で、
μ_*(E_1) < +∞、E_1 ⊃ E_2 ⊃ ...なら
n → ∞ のとき lim μ_*(E_n) = μ_*(∩E_n)

証明
各 n に対して E_n ≧ ∩E_n だから>>657の 3) より μ_*(E_n) ≧ μ_*(∩E_n)
よって、lim μ_*(E_n) ≧ μ_*(∩E_n)
よって、逆向きの不等式を証明すればよい。

>>>650より、各 n に対して A_n ⊂ E_n となる A_n ∈ Φ で
μ_*(E_n) = μ(A_n) となるものが存在する。
各 n に対して B_n = ∪{A_m; m ≧ n} とおく。
A_n ⊂ B_n ⊂ E_n であるから μ_*(E_n) = μ(B_n) である。
B_1 ⊃ B_2 ⊃ . . . だから過去スレ007の323より、
n → ∞ のとき lim μ^*(E_n) = μ(∩B_n) ≦ μ_*(∩E_n)
証明終
668Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 11:23:43
定義(Halmos)
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
E ∈ H(Φ) (>>609)、A ∈ Φ で E ⊂ A とする。
任意の B ⊂ A - E、B ∈ Φ に対して μ(B) = 0 のとき
A を E の可測包(measurable cover)と呼ぶ。
669Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 11:48:28
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
E ∈ H(Φ) がμ^*に関してσ-有限(>>654)とする。
このとき E は可測包(>>668) A で μ^*(E) = μ(A) となるものを持つ。

証明
1) μ^*(E) < +∞ の場合:
>>648より E ⊂ A となる A ∈ Φ でμ^*(E) = μ(A) となるものが存在する。
B ⊂ A - E、B ∈ Φ ならば E ⊂ A - B
よって、μ^*(E) ≦ μ(A - B) = μ(A) - μ(B) = μ^*(E) - μ(B)
よって、μ(B) = 0
よって、A は命題の条件を満たす。

2) μ^*(E) = +∞ の場合:
E はμ^*に関してσ-有限だから H(Φ) の元の列 (E_n), n = 1, 2, ... で、
各 n に対して μ^*(E_n) < +∞ で E = ∪E_n となるものがある。
上で示したことから各 n に対して E_n の可測包 A_n で
μ^*(E_n) = μ(A_n) となるものが存在する。
A = ∪A_n とおく。
E ⊂ A だから μ^*(A) = +∞ である。
B ⊂ A - E、B ∈ Φ ならば B = ∪(B ∩ A_n) である。
各 n に対して (B ∩ A_n) ⊂ (A_n - E_n)
よって、μ(B ∩ A_n) = 0
よって、μ(B) ≦ Σμ(B ∩ A_n) = 0
よって、A は命題の条件を満たす。
証明終
670Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 11:50:14
>>669への補足
μ^* は>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度である。
671Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 13:19:10
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
A と B を E ∈ H(Φ) (>>609)の可測包(>>668)とする。
このとき μ(AΔB) = 0 である。
ここで、AΔB は A と B の対称差(過去スレ007の191)、即ち A△B = (A - B) ∪ (B - A) である。

証明
E ⊂ A ∩ B ⊂ A だから A - B = A - (A ∩ B) ⊂ A - E
よって、μ(A - B) = 0
同様に μ(B - A) = 0
よって、μ(AΔB) = 0 である。
証明終
672Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 13:31:13
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Φ) とする。
B を E の任意の可測包(>>668)とする。
このとき μ^*(E) = μ(B) である。

証明
μ^*(E) ≦ μ(B) だから μ^*(E) = +∞ なら μ^*(E) = μ(B) である。
よって、μ^*(E) < +∞ と仮定する。
>>669より、E は可測包 A で μ^*(E) = μ(A) となるものを持つ。
>>671より、μ(AΔB) = 0 である。
よって、μ(A - B) = 0
A = (A ∩ B) + (A - B) だから μ(A) = μ(A ∩ B)
同様に μ(B) = μ(A ∩ B)
よって、μ(A) = μ(B)
よって、μ^*(E) = μ(B)
証明終
673Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 13:35:31
定義(Halmos)
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
E ∈ H(Φ) (>>609)、A ∈ Φ で A ⊂ E とする。
任意の B ⊂ E - A、B ∈ Φ に対して μ(B) = 0 のとき
A を E の可測核(measurable kernel)と呼ぶ。
674Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 14:44:59
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Φ) をμ^*に関してσ-有限(>>654)とする。
このとき、E は可測核(>>673)を持つ。

証明(Halmos)
>>669より、E は可測包(>>668) A を持つ。
>>669の証明より A は μ に関してσ-有限(過去スレ007の448)と仮定してよい。
よって、A - E はμ^*に関してσ-有限である。
よって、>>669より、A - E は可測包 N を持つ。
B = A - N とおく。
B = A - N ⊂ A - (A - E) = E

C ⊂ E - B、C ∈ Φ とする。
C ⊂ E - B = E - (A - N) = E ∩ N = N - (A - E)
ここで、N は A - E の可測包だから μ(C) = 0 である。
よって、B は E の可測核である。
証明終
675Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 15:00:21
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
E ∈ H(Φ) (>>609)とする。
A を E の任意の可測核(>>673)とする。
このとき μ_*(E) = μ(A) である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
μ(A) ≦ μ_*(E) は明らかである。
μ(A) < μ_*(E) と仮定する。
μ(A) は有限である。
B ⊂ E かつ μ(A) < μ(B) となる B ∈ Φ が存在する。
B ⊂ (A ∪ B) = A + (B - A) だから μ(B) ≦ μ(A) + μ(B - A)
よって、μ(B - A) ≧ μ(B) - μ(A) > 0
B - A ⊂ E - A だからこれは矛盾である。
証明終
676Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 15:04:39
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
A と B を E ∈ H(Φ) (>>609)の可測核(>>673)とする。
このとき μ(AΔB) = 0 である。
ここで、AΔB は A と B の対称差(過去スレ007の191)、即ち A△B = (A - B) ∪ (B - A) である。

証明
(A ∪ B) - A ⊂ E - A だから μ((A ∪ B) - A) = 0
(A ∪ B) - B ⊂ E - B だから μ((A ∪ B) - B) = 0
よって、μ(AΔB) = 0 である。
証明終
677Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 16:54:03
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
X の部分集合 E で A ⊂ E ⊂ B かつ μ(B - A) = 0 となる
A ∈ Φ と B ∈ Φ が存在するようなもの全体を Φ^* とする。
μ^*(E) = μ(A) と定義する。

このとき、Φ^* はσ-集合環であり、μ^* は Φ^* 上の測度である。

証明
まず μ^*(E) が A, B のとり方によらないことを証明する。
A ⊂ E ⊂ B、A ∈ Φ、B ∈ Φ、μ(B - A) = 0
C ⊂ E ⊂ D、C ∈ Φ、D ∈ Φ、μ(D - C) = 0
とする。
A - C ⊂ E - C ⊂ D - C だから μ(A - C) = 0
μ(A) = μ(A ∩ C) + μ(A - C) だから μ(A) = μ(A ∩ C)
同様に μ(C) = μ(A ∩ C)
よって、μ(A) = μ(C)

(続く)
678Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 16:54:49
>>677の続き

次に Φ^* がσ-集合環であることを証明する。

1) φ ∈ Φ^* は明らかである。

2) E ∈ Φ^*、F ∈ Φ^* のとき E - F ∈ Φ^* の証明:
A ⊂ E ⊂ B、A ∈ Φ、B ∈ Φ、μ(B - A) = 0
C ⊂ F ⊂ D、C ∈ Φ、D ∈ Φ、μ(D - C) = 0
とする。
A - D ⊂ A - F ⊂ E - F ⊂ B - F ⊂ B - C である。
(B - C) - (A - D) ⊂ (B - A) ∪ (D - C) であるから
μ((B - C) - (A - D)) ≦ μ((B - A) ∪ (D - C)) ≦ μ(B - A) + μ(D - C) = 0
よって、μ((B - C) - (A - D)) = 0
よって、E - F ∈ Φ^*

3) (E_n), n = 1, 2, ... を Φ^* の元の列としたとき E = ∪E_n ∈ Φ^* の証明:
各 n に対して A_n ⊂ E_n ⊂ B_n、A_n ∈ Φ、B_n ∈ Φ、μ(B_n - A_n) = 0 とする。
A = ∪A_n、B = ∪B_n とおく。
A ⊂ E ⊂ B である。
B - A = ∪(B_n - A) ⊂ ∪(B_n - A_n) だから μ(B - A) ≦ Σμ(B_n - A_n) = 0
よって、E ∈ Φ^*

以上から Φ^* はσ-集合環である。

次に 3) において (E_n), n = 1, 2, ... を互いに交わらない Φ^* の元の列とする。
A = ΣA_n (直和) であるから μ^*(E) = μ(A) = Σμ(A_n) = Σμ^*(E_n)
よって、μ^* は Φ^* 上の測度である。
証明終
679Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 07:26:49
>>677で定義した測度空間(過去スレ007の317)は明らかに完備(過去スレ007の779)である。
680Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 07:29:36
定義
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
>>677で定義した測度空間 (X, Φ^*, μ^*) を (X, Φ, μ) の完備化と呼ぶ。
このとき μ^* を μ の完備化とも言う。
さらに Φ^* を Φ の完備化とも言う。
681Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 08:00:41
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は A ∪ N の形の X の部分集合全体と一致する。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合である。

証明
A ∪ N の形の X の部分集合全体を Φ’とおく。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合である。

E ∈ Φ~ とする。
X の部分集合 E で A ⊂ E ⊂ B かつ μ(B - A) = 0 となる A ∈ Φ と B ∈ Φ が存在する。
N = E - A とおくと E = A + N であり N ⊂ B - A である。
よって、E ∈ Φ’である。
よって、Φ~ ⊂ Φ’である。

逆に E ∈ Φ’とする。
E = A ∪ N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合 M の部分集合である。
B = A ∪ M、C = A - M とおく。
C ⊂ E ⊂ B であり、C ∈ Φ、B ∈ Φ である。
B = C + M だから B - C = M
よって、E ∈ Φ~
よって、Φ’⊂ Φ~ である。
証明終
682Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 08:09:18
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は A + N (直和)の形の X の部分集合全体と一致する。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合である。

証明
A + N の形の X の部分集合全体を Φ’とおく。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合である。

E ∈ Φ~ とする。
>>681より、E = A ∪ N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合 M の部分集合である。
A = (A - M) + (A ∩ M) だから E = (A - M) + (A ∩ M) + (N - A)
(A - M) ∈ Φ であり、(A ∩ M) + (N - A) ⊂ M だから E ∈ Φ’である。
よって、Φ~ ⊂ Φ’である。
逆の包含関係は明らかである。
証明終
683Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:16:48
>>682の修正

命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は A + N (直和)の形の X の部分集合全体と一致する。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合である。

証明
A + N の形の X の部分集合全体を Φ’とおく。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合である。

E ∈ Φ~ とする。
>>681より、E = A ∪ N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合 M の部分集合である。
E = A + (N - A)
N - A ⊂ N ⊂ M
よって、E ∈ Φ’である。
よって、Φ~ ⊂ Φ’である。
逆の包含関係は明らかである。
証明終
684Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:18:50
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ^*, μ^*) を完備(過去スレ007の779)な測度空間で
Φ ⊂ Φ^* かつ μ^* は μ の拡張になっているとする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき、Φ~ ⊂ Φ^* かつ μ^* は μ~ の拡張になっている。

証明
E ∈ Φ~ とする。
>>682より、E = A + N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合部分集合である。
(X, Φ^*, μ^*) は完備で μ^* は μ の拡張であるから N ∈ Φ^* である。
よって、E ∈ Φ^* である。
よって、Φ~ ⊂ Φ^* である。
μ~(E) = μ(A) = μ^*(E)
よって、μ^* は μ~ の拡張になっている。
証明終
685Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:27:59
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
P(X) を X の冪集合とする。
A と B を X の部分集合とする。
A - B が (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合であるとき
A ≦ B と書く。
このとき P(X) における関係 ≦ は前順序(過去スレ008の139)である。

証明
任意の A ∈ P(X) に対して A - A = φ だから A ≦ A である。

A ≦ B、B ≦ C とする。
A - C ⊂ (A - B) ∪ (B - C) であるから A ≦ C である。
よって、関係 ≦ は前順序である。
証明終
686Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:33:59
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
P(X) を X の冪集合とする。
A - B が (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合であるとき
A ≦ B と書く。
>>685より P(X) における関係 ≦ は前順序である。
よって、A ≦ B かつ B ≦ A のとき A 〜 B と書けば関係 〜 は P(X) における同値関係である。

明らかに A 〜 B であることと A と B の対称差(過去スレ007の191) AΔB が
(X, Φ, μ) の零集合の部分集合であることは同値である。
687Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:47:09
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
P(X) を X の冪集合とする。
A と B を X の部分集合とする。
A と B の対称差(過去スレ007の191) AΔB が
(X, Φ, μ) の零集合の部分集合であるとき A 〜 B と書く。
>>686より、これは P(X) における同値関係である。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は Φ のある元と同値となる X の部分集合全体と一致する。

証明
E ∈ Φ~ とする。
>>682より、E = A + N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合部分集合である。
よって、A 〜 E である。

逆に A ∈ Φ、E ∈ P(X) で A 〜 E とする。
A - E は零集合の部分集合であるから A - E ∈ Φ~ である。
よって、A ∩ E = A - (A - E) ∈ Φ~ である。
E - A は零集合の部分集合であるから E = (A ∩ E) + (E - A) ∈ Φ~ である。
証明終
688Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 10:45:56
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は AΔN (直和)の形の X の部分集合全体と一致する。
ここで、A ∈ Φ であり、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合であり、
AΔN は A と B の対称差(過去スレ007の191)である。

証明
AΔN の形の X の部分集合全体を Φ’とおく。
ここで、A ∈ Φ であり、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合である。

E ∈ Φ~ とする。
>>683より、E = A + N と書ける。
ここで、A ∈ Φ であり、N は (X, Φ, μ) の零集合部分集合である。
A + N = AΔN であるから E ∈ Φ’である。
よって、Φ~ ⊂ Φ’である。

逆に E ∈ Φ’とする。
E = AΔN と書ける。
ここで、A ∈ Φ であり、N は (X, Φ, μ) の零集合部分集合である。
N ∈ Φ~ だから AΔN ∈ Φ~ である。
よって、Φ’⊂ Φ~ である。
証明終
689Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 11:21:46
命題
(X, Φ, μ) をσ-有限(過去スレ007の448)な測度空間(過去スレ007の317)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
μ^* を Ψ に制限したものを μ’と書く。
過去スレ007の778より、(X, Ψ, μ’) は測度空間である。

このとき、(X, Ψ, μ’) は (X, Φ, μ) の完備化(>>680)である。

証明
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化とする。
>>617より Φ ⊂ Ψ であり、μ’は μ の拡張である。
(X, Ψ, μ’) は完備であるから>>684より Φ~ ⊂ Ψ かつ μ’は μ~ の拡張になっている。
よって、Ψ ⊂ Φ~ を証明すれば良い。

E ∈ Ψ として、まず μ’(E) < +∞ と仮定する。
>>648より、E ⊂ B となる B ∈ Φ で μ’(E) = μ(B) となるものが存在する。
>>651より、A ⊂ E となる A ∈ Φ で μ’(E) = μ(A) となるものが存在する。
μ(A) = μ(B) < +∞ だから μ(B - A) = 0 である。
よって、完備化の定義(>>680)より、E ∈ Φ~ である。

μ’(E) = +∞ ならば>>655より E はμ’に関してσ-有限であるから
上で示したことより E ∈ Φ~ である。
証明終
690Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 12:37:41
補題
X を集合とする。
Δ = {A ⊂ X; A または X - A は有限集合} とおく。
このとき、Δ は集合代数(過去スレ007の196)である。

証明
A ∈ Δ なら X - A ∈ Δ である。

A, B ∈ Δ で A と B がともに有限集合なら A ∪ B ∈ Δ である。
A が無限集合なら R - A は有限集合である。
よって、R - (A ∪ B) = (R - A) ∩ (R - B) は有限集合である。
よって、A ∪ B ∈ Δ である。
同様に B が無限集合なら A ∪ B ∈ Δ である。
以上から A, B ∈ Δ なら常に A ∪ B ∈ Δ である。
証明終
691Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 13:12:08
>>690の修正

補題
X を集合とする。
Δ = {A ⊂ X; A または X - A は有限集合} とおく。
このとき、Δ は集合代数(過去スレ007の196)である。

証明
A と B を X の部分集合とする。
A ∈ Δ なら X - A ∈ Δ である。

A と B がともに有限集合なら A ∪ B も有限集合だから A ∪ B ∈ Δ である。
X - A が有限集合なら X - (A ∪ B) ⊂ (X - A) だから X - (A ∪ B) も有限集合である。
よって、A ∪ B ∈ Δ である。
同様に X - B が有限集合なら A ∪ B ∈ Δ である。
以上から A, B ∈ Δ なら常に A ∪ B ∈ Δ である。
証明終
692Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 13:22:07
補題
X を集合とする。
Φ = {A ⊂ X; A または X - A は可算集合} とおく。
このとき、Φ はσ-集合代数(過去スレ007の198)である。

証明
A と B を X の部分集合とする。
A ∈ Φ なら X - A ∈ Φ である。

(A_n), n = 1, 2, ... を Φ の元の列とする。
A = ∪A_n とおく。
各 A_n が全て可算集合なら A も可算集合だから A ∈ Φ である。
ある k に対して A_k が可算でないとする。
X - A ⊂ X - A_k であり、X - A_k は可算だから X - A も可算である。
よって、A ∈ Φ である。
証明終
693Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 14:48:07
補題
X を集合とする。
P(X) を X の冪集合とする。
A ∈ P(X) で A が有限集合のとき μ(A) をA の元の個数とし、
A が無限集合のとき μ(A) = +∞ とする。
このとき、(X, P(X), μ) は完備(過去スレ007の779)な測度空間(過去スレ007の317)である。

証明
P(X) がσ-集合代数(過去スレ007の198)であることは明らかである。
(A_n), n = 1, 2, ... を P(X) の元の列で各 A_n は互いに交わらないとする。
A = ΣA_n とおく。
μ(A) = Σμ(A_n) を証明しよう。
ある k に対して A_k が無限集合であれば μ(A) = Σμ(A_n) は
両辺がともに +∞ であるから明らかである。
よって、各 A_n は有限集合と仮定してよい。
μ(A_n) > 0 となる n が有限個の場合は A は有限集合となり
μ(A) = Σμ(A_n) は明らかである。
μ(A_n) > 0 となる n が無限個の場合は A は無限集合となり
μ(A) = +∞、Σμ(A_n) = +∞ だからこの場合も μ(A) = Σμ(A_n) である。
以上から (X, P(X), μ) は測度空間である。

(X, P(X), μ) が完備なことは明らかである。
証明終
694Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 15:27:19
補題
X を集合とする。
Φ = {A ⊂ X; A または X - A は可算集合} とおく。
>>692より、Φ はσ-集合代数である。
A ∈ Φ で A が有限集合のとき μ(A) をA の元の個数とし、
A が無限集合のとき μ(A) = +∞ とする。
>>693より、(X, Φ, μ) は測度空間である。
X ∈ Φ だから P(X) を X の冪集合とすると、P(X) = H(Φ) (>>609)である。
μ^* を>>611で定義した P(X) = H(Φ) 上の外測度とする。

このとき、任意の E ∈ P(X) に対して μ^*(E) は E が有限集合のとき E の元の個数であり、
E が無限集合のとき μ^*(E) = +∞ である。

証明
μ^*(E) = inf {μ(A); E ⊂ A、A ∈ Φ} である。
E が有限集合のとき E ∈ Φ であるから μ^*(E) = μ(E) である。
よって、μ^*(E) は E の元の個数である。
E が無限集合のとき E ⊂ A、A ∈ Φ なら A も無限集合であるから μ(A) = +∞ である。
よって、μ^*(E) = +∞ である。
証明終
695Kummer ◆g2BU0D6YN2

Y を非可算集合とする。
X = Y + Y (直和)とおく。
Φ = {A ⊂ X; A または X - A は可算集合} とおく。
>>692より、Φ はσ-集合代数である。
A ∈ Φ で A が有限集合のとき μ(A) をA の元の個数とし、
A が無限集合のとき μ(A) = +∞ とする。
>>693より、(X, Φ, μ) は測度空間である。
明らかに (X, Φ, μ) は完備(過去スレ007の779)である。
X ∈ Φ だから P(X) を X の冪集合とすると、P(X) = H(Φ) (>>609)である。
μ^* を>>611で定義した P(X) = H(Φ) 上の外測度とする。
>>694及び>>693より、(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体は P(X) と一致する。
>>693より、(X, P(X), μ^*) は完備な測度空間(過去スレ007の317)である。
一方、Y は Φ の元ではないから Φ ≠ P(X) である。
よって、(X, Φ, μ) の完備化(即ち (X, Φ, μ) 自身)は (X, P(X), μ^*) ではない。
よって、>>689から (X, Φ, μ) のσ-有限性をはずすことは出来ない。