>>96 大まかにまとめてみた。
なお、数字は分かりやすいように、
「課程の実施年」ではなくて、「その課程による最初の入試の実施年」とした。
また、選択科目として存在するが、入試の主要な出題科目でないものは割愛した。
(たとえば、「基礎数学」「応用数学」のような科目)
昭和26年(1951)〜
解析I、解析II、幾何
概要
戦後の混乱期を越え、新制高校発足後初めて施行された指導要領。
入試トピックス
それまでの単問単答式テストや客観式穴埋めテストから一転して、記述・論述式テストが主流となる。
方程式・不等式の解法、等式・不等式の証明、関数とグラフ、幾何の証明などが花盛り。
昭和36年(1961)〜
数学I(「代数」「幾何」に分かれる)、数学II、数学III
数学カリキュラムの現代化が推し進められ、初等幾何の扱いが後退する。
入試トピックス
数学Iの「統計」「空間図形についての証明」「三角形の解法」「いろいろな曲線」
数学IIの「順列・組合せ」「確率・統計」
の各項目は入試問題として出題してはならないことになっていた。
昭和41年(1966)〜
数学I、数学IIB、数学III
概要
数学IIBに「複素数とベクトル」として、複素平面およびベクトルの概念が登場。
指数・対数関数の微積分が登場。部分積分が登場。微分方程式が登場。
ちなみにこの頃は中学校で「sin,cos,tan」を学んでいたので、高校では「cot」を新たに学ぶ。
入試トピックス
初等幾何の問題がほぼ消滅。
41年度には数題のみだった微分方程式が、その後一気に増え、一時代を築く。
昭和51年(1976)〜
数学I、数学IIB、数学III
概要
「複素平面」が消滅。代わりに「空間座標」「空間ベクトル」が登場。
「行列と1次変換」が登場。
「電子計算機と流れ図」が出現し、「計算尺の原理」が消滅したことは時代の変遷を物語っている。
また、この時から「根」「函数」が「解」「関数」に変わる。
入試トピックス
1次変換の問題は量的にも質的にも爆発的に拡大し、一大流行となる。
課程末期には空間図形の方程式、積分法の応用などの分野で問題の複合化が進む。
昭和54年からの共通1次試験の導入により、数I分野の出題が大幅に減少。
昭和60年(1985)〜
数学I、代数・幾何、基礎解析、微分・積分、確率・統計
概要
「場合の数・確率」の内容が一本化され、理系専用科目となる。
三角関数の扱いが一般化し、前課程では回転の合成として導かれていた加法定理が一般的に扱われるようになり、
その応用も高度化する。
平成2年からセンター試験開始。
入試トピックス
行列・1次変換・空間図形の方程式などの分野はますます高度化し、難問が増える。
平成に入った頃からは、「チェビシェフ多項式」等、何らかの数学的背景を持った話題が、
難関大学を中心に手を変え品を変え出題することが流行する。
平成9年(1997)〜
数学I、数学II、数学III、数学A、数学B、数学C
概要
「新学力観」にもとづく最初の課程。ゆとり教育が推進され、カリキュラムの削減が行われる。
「1次変換」「空間図形の方程式」「微分方程式」が消滅。
「複素数平面」が復活。
入試トピックス
「場合の数・確率」が再び数Iに移行したことにより、文系学部で確率が最重要項目の一つとなる。
平成11年に東大が「三角関数の加法定理の証明」を出題し、大学入試や数学教育に一石を投じて話題となる。
また、学力低下と学習の画一化が問題視され、定型化されていない整数問題が流行する。
平成18年(2006)〜
数学I、数学II、数学III、数学A、数学B、数学C
概要
「複素数平面」「弧長・道のり」が消滅。
「1次変換」が復活。ただし「点の移動」としての扱いのみで、一般的な性質(線形性など)はなし。
前課程で選択学習であった「平面図形」が必修に。ただし、その大部分は中学からの移行内容。
入試トピックス
1次変換の問題が量的・質的に復活の兆しを見せる。
難関大学では相変わらず複合的かつ高度な出題がなされる一方で、
中堅以下の大学では教科書レベルの問題が並ぶなど二極化が加速。
全体として平易化、定型化の傾向。