1 :
132人目の素数さん :
2007/03/16(金) 07:45:20
2 :
132人目の素数さん :2007/03/16(金) 09:29:59
今だ!2ゲットォオ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ (´´ ∧∧ ) (´⌒(´ ⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡  ̄ ̄ (´⌒(´⌒;; ズザーーーーーッ
3 :
くんまー :2007/03/16(金) 11:42:13
4 :
132人目の素数さん :2007/03/17(土) 19:44:50
C様ゲットだよん
5 :
モリゾー ◆AcSt49DSmc :2007/03/17(土) 19:46:48
Cinco!
6 :
132人目の素数さん :2007/03/17(土) 20:59:48
このスレ 〜〜〜終了〜〜〜
7 :
132人目の素数さん :2007/03/17(土) 21:25:10
このスレ 〜〜〜終了〜〜〜
8 :
過去スレ :2007/03/19(月) 11:12:25
9 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/19(月) 20:04:31
10 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/19(月) 20:06:02
過去スレの見方。
まずここに行く。
http://makimo.to/2ch/ そこで、「代数的整数論」を検索する。
すると、代数的整数論 001 〜 004 が表示される。
そのなかで見たいスレ、例えば 代数的整数論 #003 をクリックする。
そこの下段にキャッシュ1、2というのがあるから、最初から順番に
クリックする。今の場合だと5番目で見れる。
将来どうなるかわからないから。見れたら即コピーして保存した
ほうがよい。
11 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/19(月) 23:47:43
>>10 代数的整数論 001, 002 はそこでは見れないね。
どうしたら見れるんでしょうかね、タダで?
12 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/20(火) 20:11:47
n ≠ 0 を有理整数、p を奇素数で n を割らないとする。
不定方程式 p = x^2 + ny^2 を考える。
x^2 + ny^2 の判別式は D = -4n である。
p = x^2 + ny^2 に解があればそれは固有である。
>>717 より
x^2 ≡ -4n (mod 4p) は解をもつ。
よって x^2 ≡ -4n (mod p)
つまり (-4n/p) = 1
よって (-n/p) = 1 である。
このことは
>>717 を使わなくても以下のようにしてもわかる。
p = x^2 + ny^2 に解があれば、
x^2 ≡ -ny^2 (mod p)
y は p で割れないから yz ≡ 1 (mod p) となる z ∈ Z がある。
(xz)^2 ≡ -n (mod p)
よって (-n/p) = 1 である。
逆に (-n/p) = 1 とする。
このとき p = x^2 + ny^2 に解があるとは限らない。
しかし x^2 ≡ -n (mod p) に解があるので
p は x^2 + n を割る。
a を x と素な任意の有理整数とする。
x ≡ ac (mod p) となる c ∈ Z と
cb ≡ 1 (mod p) となる b ∈ Z をとる。
x^2 ≡ -n (mod p) より
a^2c^2 ≡ -n (mod p)
この両辺に b^2 を掛けて
a^2 ≡ -nb^2 (mod p)
よって p は a^2 + nb^2 を割る。
13 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/20(火) 20:30:50
命題 n ≠ 0 を有理整数、p を奇素数で n を割らないとする。 以下の条件は同値である。 (1) 有理整数 x, y があり、gcd(x, y) = 1 であり、 p は x^2 + ny^2 を割る。 (2) (-n/p) = 1 証明 (1) が成り立てば、x^2 ≡ -ny^2 (mod p) である。 y が p で割れるなら x^2 ≡ 0 (mod p) となり x も p で割れから gcd(x, y) = 1 と矛盾する。よって y は p と素である。 よって yz ≡ 1 (mod p) となる z がある。 (xz)^2 ≡ -n (mod p) だから (-n/p) = 1 である。 逆に (2) が成り立てば x^2 ≡ -n (mod p) が解をもつ。 y = 1 とすれば p は x^2 + ny^2 を割る。
14 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/20(火) 21:20:16
一般の2次形式では
>>13 に類似の次の結果がある。
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
m を奇数で gcd(D, m) = 1 とする。
m が判別式 D の原始的2次形式により固有に表現される
(過去スレ004の
>>701 )ためには x^2 ≡ D (mod m) に解があること
が必要十分である。
証明
m が判別式 D の2次形式により固有に表現されるなら、
過去スレ004の
>>717 より D ≡ l^2 (mod 4m) となる有理整数 l が
存在する。このとき当然 D ≡ l^2 (mod m) でもある。
逆に x^2 ≡ D (mod m) に解があるとする。
D ≡ 0, 1 (mod 4) なら x^2 ≡ D (mod 4) にも解がある。
m と 4 は素だから x^2 ≡ D (mod 4m) にも解がある。
この解を l とし、D = l^2 - 4mk とする。
gcd(D, m) = 1 だから gcd(m, l, k) = 1 である。
よって2次形式 mx^2 + lxy + ky^2 は原始的で判別式は D であり
(x, y) = (1, 0) のとき m を固有に表現する。
証明終
15 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/20(火) 21:47:35
>>14 から次の命題が直ちに得られる。
命題
n ≠ 0 を有理整数、p を奇素数で n を割らないとする。
以下の条件は同値である。
(1) p は判別式 -4n の原始的2次形式により固有に表現される
(2) (-n/p) = 1
証明
>>14 より (1) は (-4n/p) = 1 と同値である。
(-4n/p) = (-n/p) だからこれは (2) と同値である。
16 :
132人目の素数さん :2007/03/21(水) 12:20:48
前スレ(004)見れないんだけどどうなってるの?
50モリタポ(2chがやってるネット通貨的なもの)あれば過去ログが1スレッド読めて、 また、モリタポはアンケートに答えることでタダで手に入れられる。
18 :
132人目の素数さん :2007/03/21(水) 14:30:04
aho
19 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/22(木) 20:22:32
前にも書いたけど、この代数的整数論スレで扱ってるような 2元2次形式論について書いてある本はほんとに少ないね。 これについて本格的に学ぼうとしたらまず Gauss の Disquisitiones Arithmeticae(数論考究)を読むしかない。 続いて Dirichlet の Vorlesungen uber Zahlentheorie(整数論講義)。 これは皮肉なことに Dedekind の影響なんですね。 つまり Dedekind が代数的整数論を創始したことにより、 2元2次形式論は2次体論にとって代わられたわけ。 このようにして古くてしかも重要な数学というのは忘れられていく 危険があるのでしょうね。
20 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/22(木) 20:49:34
しかし、Gauss のDisquisitiones Arithmeticae(数論考究)は 読みにくいですね。 Weil だったか誰かが書いてるけど、Gauss の数学のスタイルは、足場をほとんど 完全に取り除くんですね。 つまり、どのようにしてその証明を思いついたかの手がかりがほとんど 得られないような書き方をしている。 さらに、Disquisitiones は Gauss も書いてるようにページ数の制限 もあって、なおさらその傾向が強い。 Dirichlet が Disquisitiones を旅行のときにも携えていた理由と しては、勿論それが重要な文献ということもあるでしょうが、 このGaussのスタイルも一因かもしれないと想像します。
y^2 = x^3 - 2の整数解は (x,y) = (7,5),(-7,5) だけ ということの証明をしりたくて調べたら2次体とか単項イデアル整域とか出てきて 岩波講座基礎数学の代数学の本を読みはじめたのが数学を始めたきっかけ
ミス(7,5),(7,-5)
23 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 09:57:08
>>21 y^2 = x^3 - 2 の整数解は (x, y) = (3, 5), (3, -5) だけですね。
この式は (y + √(-2))(y - √(-2)) = x^3 と書ける。
2次体 Q(√(-2)) の整数環 Z[(-2)] は一意分解整域であることから、
αα' = x^3 から α = β^3 となる β ∈ Z[(-2)] があることが
結論される。ここで α = y + √(-2) と α' = y - √(-2) とおいた。
β = a + b√(-2) とすると
α = a^3 - 6ab^2 + (3a^2b - 2b^3)√(-2)
3a^2b - 2b^3 = b(3a^2 - 2b^2) = 1 から b = ±1
よって -2b^2 + 3a^2 = ±1 だが -2b^2 + 3a^2 = -1 なら
3a^2 = 1 となって矛盾である。よって b = 1
-2b^2 + 3a^2 = 1 から a = ±1
よって y = a^3 - 6ab^2 = ±5
x = 3
24 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 10:20:06
>>23 αα' = x^3 から α = β^3 となる β ∈ Z[√(-2)] があることを
証明するため、補題を用意する。
補題
A を一意分解整域とする。
A の元 a, b, c と有理整数 n ≧ 1 に対して
ab = c^n とする。
gcd(a, b) = 1 なら a = d^n となる d ∈ A がある。
証明
p を A の任意の素元とする A の元 x が p^e できっかり割れるとき
ord_p(x) = e と書くことにする。
ord_p(a) = e とすると gcd(a, b) = 1 だから ord_p(c^n) = e である。
よって e は n の倍数である。
これから補題の主張はあきらかである。
証明終
25 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 10:43:22
補題 2次体 Q(√m) の整数 α ≠ 0, β ≠ 0 と奇数 n ≧ 1 に対して αα' = β^n とする。 さらに α と α' をともに割る素元 π があり、(π) = (π') で あるとする。 α がきっかり π^e で割れるとき e は n の倍数である。 証明 α がきっかり π^e で割れるから、 α の共役 α' はきっかり π'^e で割れる。 仮定より (π) = (π') だから α' はきっかり π^e で割れる。 よって αα' はきっかり π^2e で割れる。 αα' = β^n より 2e は n の倍数である。 n は奇数だから e は n の倍数である。 証明終
26 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 10:57:21
補題 2次体 Q(√(-2)) の整数 α = y + √(-2) にたいして α と α' をともに割る素元 π は ±√(-2) である。 ここで y は任意の有理整数である。 証明 α - α' = 2√(-2) = -(√(-2))^3 N(√(-2)) = 2 だから √(-2) は素元である。 Q(√(-2)) の単数は±1 だから √(-2) と同伴な素元は ±√(-2) のみである。 以上から補題の主張は明らかである。
27 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 11:00:33
28 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 11:16:10
訂正
>>25 の2次体 Q(√m) の類数は1と仮定する。
つまり Z[ω] は一意分解整域とする。
29 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 11:23:59
訂正
>>26 >α と α' をともに割る素元 π は ±√(-2) である。
α と α' をともに割る素元 π があるとすると π = ±√(-2) である。
30 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 13:00:38
>>24 はいろいろ応用がある。
x, y, z ∈ Z として x^2 + y^2 = z^2 を考える。
gcd(x, y) = 1 と仮定する。
α = (x + y√(-1)) とおくと α ∈ Z[√(-1)] で
αα' = z^2 である。
α - α' = 2y√(-1)
α + α' = 2x
よって α と α' をともに割る素元 π があると、
gcd(x, y) = 1 だから π は 2 を割る。
よって π は λ = 1 + √(-1) と同伴である。
よって z は λ で割れるから z ∈ Z ∩ (λ) = 2Z となって
z は 2 で割れる。よって αα' = z^2 は 4 で割れる。
即ち αα' は λ^4 で割れる。よって α は λ^2 で割れる。
よって α は 2 で割れるが、これは gcd(x, y) = 1 に矛盾する。
以上から gcd(α, α') = 1 となり
>>24 から
α = β^2 となる β ∈ Z[√(-1)] がある。
β = a + b√(-1) とおくと明らかに gcd(a, b) = 1 である。
β は λ で割れないから次に述べる補題から a ≡ b (2) ではない。
α = β^2 より α = a^2 - b^2 + 2ab√(-1)
よって
x = a^2 - b^2
y = 2ab
z^2 = αα' = (ββ')^2 = (a^2 + b^2)^2
よって z = a^2 + b^2
31 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 13:05:05
>>30 から次の命題が得られる。
命題
x^2 + y^2 = z^2 の整数解で gcd(x, y) = 1 となるものは
x = a^2 - b^2
y = 2ab
z = a^2 + b^2
で与えられる。
ここで a, b ∈ Z で gcd(a, b) = 1 であり、a ≡ b (2) ではない。
32 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 13:15:23
>>30 で引用した補題を証明する。
補題
a + b√(-1) ∈ Z[√(-1)] が λ = 1 + √(-1) で割れるためには
a ≡ b (mod 2) が必要十分である。
証明
a + b√(-1) が λ で割れるとする。
a + b√(-1) = λ(c + d√(-1)) となる c, d ∈ Z がある。
λ(c + d√(-1)) = (1 + √(-1))(c + d√(-1))
= c + d√(-1) + c√(-1) - d = c - d + (c + d)√(-1)
よって a - b = c - d - (c + d) = -2d である。
よって a ≡ b (mod 2) である。
逆に a ≡ b (mod 2) とする。
b = a + 2k となる k ∈ Z がある。
a + b√(-1) = a + (a + 2k)√(-1) = a(1 + √(-1)) + 2k√(-1)
2 は λ で割れるから a + b√(-1) は λ で割れる。
証明終
33 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 13:21:54
訂正
>>24 >gcd(a, b) = 1 なら a = d^n となる d ∈ A がある。
gcd(a, b) = 1 なら a = ud^n となる d ∈ A と 単元 u ∈ A^* がある。
34 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 13:27:27
>>27 Z[√(-2)] の単元は ±1 で (-1)^3 = -1 に注意する。
35 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 13:34:43
訂正
>>30 >以上から gcd(α, α') = 1 となり
>>24 から
>α = β^2 となる β ∈ Z[√(-1)] がある。
α = εβ^2 となる β ∈ Z[√(-1)] がある。
ε は Z[√(-1)] の単数で±1, ±√(-1) である。
ごめんなさい 27と25をずっと思い浮かべながら書いてたからか(7,5)とか書いちゃってました 証明ありがとうございます
37 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 13:52:15
38 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 13:58:41
>>36 こちらもかなり間違えているので、お互いさまです。
39 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 15:16:41
>>31 と同様にして次の命題が得られる。
命題
x^2 + y^2 = z^3 の整数解で gcd(x, y) = 1 となるものは
x = a^3 - 3ab^2, y = b^3 - 3a^2b, z = a^2 + b^2 で与えられる。
ここで a, b ∈ Z で gcd(a, b) = 1 であり、a ≡ b (2) ではない。
証明
α = (x + y√(-1)) とおくと α ∈ Z[√(-1)] で
αα' = z^3 である。
α - α' = 2y√(-1)
α + α' = 2x
よって α と α' をともに割る素元 π があると、
gcd(x, y) = 1 だから π は 2 を割る。
よって π は λ = 1 + √(-1) と同伴である。
よって z は λ で割れるから z ∈ Z ∩ (λ) = 2Z となって
z は 2 で割れる。よって αα' = z^3 は 8 で割れる。
よって α は 2 で割れるが、これは gcd(x, y) = 1 に矛盾する。
以上から gcd(α, α') = 1 となり
>>24 ,
>>33 から
α = εβ^3 となる β ∈ Z[√(-1)] がある。
ε は Z[√(-1)] の単数で±1, ±√(-1) である。
√(-1) = (-√(-1))^3
-√(-1) = (√(-1))^3
-1 = (-1)^3 だから ε は単数の3乗となる。
よって α = β^3 としてよい。
β = a + b√(-1) とすると gcd(a, b) = 1 であり β は λ で
割れないから
>>32 より a ≡ b (mod 2) ではない。
α = β^3 から
α = (a + b√(-1))^3 = a^3 - 3ab^2 + (3a^2b - b^3)√(-1)
よって x = a^3 - 3ab^2, y = b^3 - 3a^2b (yの符号を変えてもよい)
z^3 = (ββ')^3 = (a^2 + b^2)^3 で z > 0 より
z = a^2 + b^2 である。
証明終
40 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/24(土) 17:58:35
>>31 ,
>>39 は x^2 + y^2 = z^n に一般化出来そうですね。
41 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/28(水) 22:30:17
今度は判別式が正の2次形式について調べる。 判別式が負の2次形式は2次の虚数の SL_2(Z) による同値類が関係 していた(過去スレ4の406)。 判別式が正の2次形式は2次の実無理数の SL_2(Z) による同値類が 関係する。 この問題は以下に見られるように連分数の理論と密接に関係する。 連分数は実数 θ を有理数で近似する問題から自然に現れる。 [θ] で θ 以下の最大の有理整数を表す。 k_0 = [θ] とおく。 k_0 ≦ θ < k_0 + 1 である。 0 ≦ θ - k_0 < 1 である。 0 < θ - k_0 なら θ - k_0 = 1/θ_1 となる実数 θ_1 がある。 θ_1 > 1 である。 θ = k_0 + 1/θ_1 となる。 同様に k_1 = [θ_1] とおく。 0 < θ_1 - k_1 なら θ_1 - k_1 = 1/θ_2 となる実数 θ_2 がある。 θ_2 > 1 である。 θ_1 = k_1 + 1/θ_2 となる。 θ = k_0 + 1/θ_1 より θ = k_0 + 1/(k_1 + 1/θ_2) である。 この操作を続けていくと θ = k_0 + 1/(k_1 + 1/(k_2 + ... + 1/(k_(n-1) + 1/θ_n))...) となる。 この右辺の式に現れた k_0 + 1/(k_1 + 1/(k_2 + 1/(k_3 ... + 1/k_(n-1))...) の形の分数を連分数 と呼ぶ。正確には正則連分数という。 これを [k_0, k_1, ..., k_(n-1)] と書くことにする。 高木の「初等整数論講義」ではこの記号を別の意味で使っているので注意 する必要がある。
42 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/29(木) 19:49:47
前スレの代数的整数論004、DAT落ちじゃないみたいだね。 間違って削除されちゃったのか?
43 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/29(木) 21:20:35
>>41 の続き
θ = k_0 + 1/θ_1 = (k_0θ_1 + 1)/θ_1
この右端の式は A_0(θ_1) と書ける。
ここで A_0 は2次の正方行列 (k_0, 1)/(1, 0) を表す
(過去スレ4の196)。
det(A_0) = -1 だから A_0 ∈ GL_2(Z) である(過去スレ4の285)。
GL_2(Z) の元は R ∪ {∞} に一次分数変換として作用する
(過去スレ4の285)。
A_0(θ_1) は θ_1 に A_0 を作用させたものである。
同様に
θ_1 = k_1 + 1/θ_2 = (k_1θ_2 + 1)/θ_2 = A_1(θ_2)
A_1 = (k_1, 1)/(1, 0)
一般に、
θ_n = A_n(θ_(n+1))
A_n = (k_n, 1)/(1, 0)
ただし、θ_0 = θ
以上から、
θ = A_0A_1. . . A_n(θ_(n+1))
B_n = A_0A_1. . . A_n とおき、
B_n = (p_n, r_n)/(q_n, s_n) とする。
ここで、p_n, r_n, q_n, s_n は有理整数である。
44 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/29(木) 21:41:33
定義から(
>>43 ) B_(n+1) = B_nA_(n+1)
= (p_nk_(n+1) + r_n, p_n)/(q_nk_(n+1) + s_n, q_n)
よって
p_(n+1) = p_nk_(n+1) + r_n
r_(n+1) = p_n
よって
p_(n+1) = p_nk_(n+1) + p_(n-1)
同様に
q_(n+1) = q_nk_(n+1) + q_(n-1)
容易にわかるように p_n は k_0, ... ,k_n の多項式として表される。
この多項式を P(k_0, ... ,k_n) と書く。
高木の「初等整数論講義」では、P(k_0, ... ,k_n) を
[k_0, ... ,k_n] と書いている。これは Gauss の記法(Disquisitiones)である。
45 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/29(木) 21:53:37
q_n = P(k_1, ... ,k_n) となることを、n に関する帰納法により示す。
p_0 = k_0
q_0 = 1
p_1 = k_0k_1 + 1
q_1 = k_1
だから n = 1 のときは正しい。
n ≧ 1 のとき q_n = P(k_1, ... ,k_n) と仮定する。
q_(n+1) = q_nk_(n+1) + q_(n-1) だから
q_(n+1) = P(k_1, ... ,k_n)k_(n+1) + P(k_1, ... ,k_(n-1))
一方、
>>44 より p_n = p_nk_n + p_(n-2)
これは
P(k_0, ... ,k_n)
= P(k_0, ... ,k_(n-1))k_n + P(k_0, ... ,k_(n-2))
を意味する。
この式で k_0, ... ,k_(n-1), k_n を k_1, ... , k_n, k_(n+1) に
置き換えると、
P(k_1, ... ,k_(n+1))
= P(k_1, ... ,k_n)k_(n+1) + P(k_1, ... ,k_(n-1))
よって
q_(n+1) = P(k_1, ... ,k_(n+1))
これで q_n = P(k_1, ... ,k_n) が証明された。
>>42 容量オーバーじゃありませんでしたか?後で確認してみますけど
47 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/29(木) 22:37:06
>>46 容量の点では過去スレ003のほうが大きいです。
と言ってもほとんど違いはないですが。
プレーンテキストとしてコピーしたものでは003が約380KBで
004が370KBです。
004は500KBいってたよ。
49 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/29(木) 23:44:20
>>48 004をプレーンテキストにコピーしたのはjaneを使ったからサイズが小さくなったかも
しれませんね。003はIEでコピーしました。
500KB超えるとどうなるんですか?
>>49 512kBぐらいで落ちるはず。
2chの書き込みはURLを書けば自動的にリンクされたり、
名前欄をクリックしたらメールが起動するなどいろいろ細工してあるから、
プレーンテキストより実際の容量は大きい。
51 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/29(木) 23:52:24
落ちると、もう見れないんですか?
500KBを超えると書き込めなくなる。 専ブラならログ残ってれば見れるし、 datファイルをhtml化して見せることも出来る、のかな。 詳しいことは分かりません。
53 :
132人目の素数さん :2007/03/30(金) 00:56:35
54 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/30(金) 01:00:01
,. -─────────‐- .、 // ̄ ̄\ / ̄ ̄\\ ┌─┴─┐E三ヨ / \ //\\─── / :::::::::::::::::::::::::::::::: \ /| ̄ ̄|\E王ヨ / / / ̄\\::::;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::// ̄\\ \ |__| _土_ / | |. ┃ .| | ::::;;;;;;;;;;;;;::::| |. ┃ .| | \ / \ \_// :::::::::::::::::: \\_// \ /‐┼‐ ───┐ / ../ ̄ ̄\ / ::|:: \ / ̄ ̄\.. \ ,イ.匚工コ ┌──´ / ::::: | | | ::::: ヽ. | ∧ ─┐| | | | | |. | / \ ┘└──┘ | \__/\__/ | | | | | | , ┼ ┼ | |r─‐┬──、| | ─┼┼┐ |─┐ L_\ ヽ |/ | | / | ─┐| /| \ \ \ / / | ┘|└─ \| ノ \  ̄ ̄ ̄ ̄ /
56 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 00:50:18
>>43 ,
>>44 より
B_n = A_0A_1. . . A_n = (p_n, p_(n-1))/(q_n, q_(n-1))
det(A_i) = -1 であるから
det(B_n) = p_nq_(n-1) - q_np_(n-1) = (-1)^n
である。
57 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 00:57:12
>>56 訂正
>>43 ,
>>44 より
B_n = A_0A_1. . . A_n = (p_n, p_(n-1))/(q_n, q_(n-1))
det(A_i) = -1 であるから
det(B_n) = p_nq_(n-1) - q_np_(n-1) = (-1)^(n+1)
である。
58 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 00:58:13
>>44 より
p_(n+1) = p_nk_(n+1) + p_(n-1)
よって
P(k_0, ... , k_n) = P(k_0, ... ,k_(n-1)) k_n + P(k_0, ... ,k_(n-2))
59 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 01:13:22
>>57 より
A_0A_1. . . A_n = (p_n, p_(n-1))/(q_n, q_(n-1))
>>44 より
p_n = P(k_0, ... , k_n)
p_(n-1) = P(k_0, ... , k_(n-1))
>>45 より
q_n = P(k_1, ... , k_n)
q_(n-1) = P(k_1, ... , k_(n-1))
よって
A_1. . . A_n = (a, b)/(c, d) である。
ここで
a = P(k_1, ... , k_n)
b = P(k_1, ... , k_(n-1))
c = P(k_2, ... , k_n)
d = P(k_2, ... , k_(n-1))
一方、
A_0A_1. . . A_n = (k_0, 1)/(1, 0) (a, b)/(c, d)
= (k_0 a + c, k_0 b + d)/(a, b)
よって
P(k_0, ... , k_n) = k_0 P(k_1, ... , k_n) + P(k_2, ... , k_n)
60 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 01:27:36
命題
P(k_0, k_1, ... , k_n) = P(k_n, k_(n-1), ... , k_0) である。
証明
n に関する帰納法による。
>>58 より
P(k_0, ... , k_n) = P(k_0, ... ,k_(n-1)) k_n + P(k_0, ... ,k_(n-2))
k_0, ... , k_n を逆に並びかえて
P(k_n, ... , k_0) = P(k_n, ... ,k_1) k_0 + P(k_n, ... ,k_2)
>>59 より
P(k_0, ... , k_n) = k_0 P(k_1, ... , k_n) + P(k_2, ... , k_n)
帰納法の仮定により
P(k_0, ... , k_n) = k_0 P(k_n, ... , k_1) + P(k_n, ... , k_2)
よって
P(k_0, ... , k_n) = P(k_n, ... , k_0)
証明終
61 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 01:53:45
命題
[k_0, k_1, ... , k_n] = P(k_0, k_1, ... , k_n)/P(k_1, , ... , k_n)
証明
>>43 より
[k_0, k_1, ... , k_n] = A_0A_1. . . A_(n-1)(k_n)
>>57 より
A_0A_1. . . A_n = (p_n, p_(n-1))/(q_n, q_(n-1))
よって
[k_0, k_1, ... , k_n] =
= (p_(n-1) k_n + p_(n-2))/(q_(n-1) k_n + q_(n-2))
>>44 より、この右辺は p_n/q_n 等しい。
証明終
62 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 09:06:50
>>43 より
θ = A_0A_1. . . A_n(θ_(n+1))
よって
θ_(n+1) = (B_n)^(-1)(θ) である。
ここで B_n = A_0A_1. . . A_n である。
>>44 より
B_n = (p_n, p_(n-1))/(q_n, q_(n-1))
>>57 より
det(B_n) = p_nq_(n-1) - q_np_(n-1) = (-1)^(n+1)
よって
(B_n)^(-1) = (-1)^(n+1)(q_(n-1), -p_(n-1))/(-q_n, p_n)
よって
θ_(n+1) = (-1)^(n+1) (q_(n-1)θ - p_(n-1))/(-q_nθ + p_n)
なお、
(B_n)^(-1) = (A_n)^(-1) . . . (A_0)^(-1)
= (0, 1)/(1, -k_n) . . . (0, 1)/(1, -k_0)
よって
(0, 1)/(1, -k_n) . . . (0, 1)/(1, -k_0)
= (-1)^(n+1)(q_(n-1), -p_(n-1))/(-q_n, p_n)
63 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 09:55:20
Euclid の互除法は連分数と密接に関係する。
これを以下に説明する。
a と b を有理整数で a > b > 0 とする。
d = gcd(a, b) を Euclid の互除法によって求める場合を検討する。
x_0 = a
x_1 = b とおく。
k_0 = [a/b] とする。
[a/b] は a/b以下の最大の有理整数を表す(
>>41 )。
x_0 = k_0(x_1) + x_2 となる x_2 がある。
ここで 0 ≦ x_2 < x_1
0 < x_2 なら
k_1 = [x_1/x_2]
x_1 = k_1(x_2) + x_3 0 ≦ x_3 < x_2
これを続けて
x_(n-1) = k_(n-1)x_n + x_(n+1)
x_n = k_n(x_(n+1)) で x_(n+2) = 0 とする。
d = x_(n+1) である。
64 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 10:11:29
>>63 の x_0 = k_0(x_1) + x_2 を行列の記法で表すと、
(x_0, x_1)' = A_0(x_1, x_2)' となる。
ここで (x_0, x_1)' は 行ベクトル (x_0, x_1) を転置した列ベクトル
を表す。
同様に
(x_(n-1), x_n)' = A_(n-1)(x_n, x_(n+1))'
(x_n, x_(n+1))' = A_n(x_(n+1), 0)'
となる。
x_0 = a
x_1 = b だったから
(a, b)' = A_0A_1. . . A_n (d, 0)' となる。
B_n = A_0A_1. . . A_n とおけば、
(d, 0)' = (B_n)^(-1)(a, b)'
>>62 より
(B_n)^(-1) = (-1)^(n+1)(q_(n-1), -p_(n-1))/(-q_n, p_n)
よって
(-1)^(n+1)d = q_(n-1)a - p_(n-1)b
これによって一次不定方程式 d = ax + by が解けたことになる。
65 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 10:20:48
書き忘れたが
>>64 の A_0 は 行列 (k_0, 1)/(1, 0) を表す。
同様に A_n = (k_n, 1)/(1, 0)
66 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 10:40:32
>>63 より
a/b = [k_0, ... , k_n] である。
一次不定方程式 d = ax + by を解くには、
まず a/b を連分数 [k_0, ... , k_n] に展開する。
次に
>>59 の公式
P(k_0, ... , k_n) = k_0 P(k_1, ... , k_n) + P(k_2, ... , k_n)
を使って
p_(n-1) = P(k_0, k_1, ... , k_(n-1)) と
q_(n-1) = P(k_1, , ... , k_(n-1)) を求める。
>>64 より (-1)^(n+1)d = q_(n-1)a - p_(n-1)b
だから
x = (-1)^(n+1)q_(n-1)
y = (-1)^(n+2)p_(n-1)
である。
67 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 14:02:41
>>66 の方法を使って、
a = 44497
b = 9689
として d = ax + by を解いてみる。
44497 = 9689・4 + 5741
9689 = 5741・1 + 3948
5741 = 3948・1 + 1793
3948 = 1793・2 + 362
1793 = 362・4 + 345
362 = 345・1 + 17
345 = 17・20 + 5
17 = 5・3 + 2
5 = 2・2 + 1
1 = 1・1
よって a/b = [4, 1, 1, 2, 4, 1, 20, 3, 2, 1]
d = 1
n = 9 である。
P(2) = 2
P(3, 2) = 3・2 + 1 = 7
P(20, 3, 2) = 20・7 + 2 = 142
P(1, 20, 3, 2) = 1・142 + 7 = 149
P(4, 1, 20, 3, 2) = 4・149 + 142 = 738
P(2, 4, 1, 20, 3, 2) = 2・738 + 149 = 1625
P(1, 2, 4, 1, 20, 3, 2) = 1・1625 + 738 = 2363
P(1, 1, 2, 4, 1, 20, 3, 2) = 1・2363 + 1625 = 3988
P(4, 1, 1, 2, 4, 1, 20, 3, 2) = 4・3988 + 2363 = 18315
68 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 14:05:29
n = 9 だから x = (-1)^(n+1)q_(n-1) = q_8 y = (-1)^(n+2)p_(n-1) = -p_8 q_8 = P(1, 1, 2, 4, 1, 20, 3, 2) = 3988 p_8 = P(4, 1, 1, 2, 4, 1, 20, 3, 2) = 18315 よって x = 3988 y = -18315 a = 44497 b = 9689 だから ax = 44497・3988 = 177454036 by = -9689・18315 = -177454035 よって 1 = ax + by
69 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 20:19:41
今まで扱ってきた連分数 [k_0, k_1, . . . , k_n] は
各 k_i が有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 であった。
このような連分数を単純連分数と呼ぶ。
数列 {k_n}, n = 0, 1, . . . が与えられ、
各 k_i が有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 とする。
この数列から、任意の n ≧ 0 に対して
単純連分数 [k_0, k_1, . . . , k_n] が得られる。
>>61 より
[k_0, k_1, . . . , k_n] = p_n/q_n である。
ここで
p_n = P(k_0, k_1, ... , k_n)
q_n = P(k_1, ... , k_n)
とおいた。
0 < q_1 < q_2 < . . . である。
便宜上 q_0 = 1 とする。
コレって誰か読んでるの?
71 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 20:31:50
補題
>>69 と同じ前提において、
p_n/q_n - p_(n-1)/q_(n-1) = (-1)^(n+1)/q_nq_(n-1)
証明
p_n/q_n - p_(n-1)/q_(n-1) = (p_nq_(n-1) - q_np_(n-1))/q_nq_(n-1)
>>57 より p_nq_(n-1) - q_np_(n-1) = (-1)^(n+1)
よって本補題の等式が得られる。
証明終
72 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 20:40:35
補題
>>69 と同じ前提において、
p_nq_(n-2) - p_(n-2)q_n = (-1)^n k_n
証明
p_nq_(n-2) - p_(n-2)q_n
= (p_(n-1)k_n + p_(n-2))q_(n-2) - p_(n-2)(q_(n-1)k_n + q_(n-2)))
= (p_(n-1)q_(n-2) - p_(n-2)q_(n-1))k_n
= (-1)^n k_n
証明終
73 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 20:43:41
補題
>>69 と同じ前提において、
p_n/q_n - p_(n-2)/q_(n-2) = (-1)^n k_n/q_nq_(n-2)
証明
p_n/q_n - p_(n-2)/q_(n-2) = (p_nq_(n-2) - q_np_(n-2))/q_nq_(n-2)
これと
>>72 より本補題の等式が得られる。
証明終
74 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 21:17:17
>>73 より
p_2n/q_2n - p_(2n-2)/q_(2n-2) = k_2n/q_2nq_(2n-2) > 0
よって
p_(2n-2)/q_(2n-2) < p_2n/q_2n
よって数列 {p_2n/q_2n} は単調増加である。
同様にして数列 {p_(2n+1)/q_(2n+1)} は単調減少である。
>>71 より
p_2n/q_2n - p_(2n-1)/q_(2n-1) = -1/q_2nq_(2n-1) < 0
よって
p_2n/q_2n < p_(2n-1)/q_(2n-1)
以上から
p_0/q_0 ≦ p_2/q_2 ≦ . . . ≦ p_3/q_3 ≦ p_1/q_1
75 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/03/31(土) 22:31:28
>>74 より {p_2n/q_2n} は有界な単調増加数列だから収束する。
同様に、 {p_(2n+1)/q_(2n+1)} は有界な単調減少数列だから収束する。
p_2n/q_2n - p_(2n-1)/q_(2n-1) = -1/q_2nq_(2n-1) で、
lim q_n = +∞ だから、両者の極限は一致する。
よって 数列 {p_n/q_n} もこの極限に収束する。
この極限を [k_0, k_1, . . .] と書く。
[k_0, k_1, . . .] を無限連分数と呼ぶ。
76 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/01(日) 17:02:50
命題 [a_0, . . . , a_(n-1), α_n] = [b_0, . . . , b_(n-1), β_n] とする。 ここで各 a_i と b_i は有理整数で i ≧ 1 のとき a_i ≧ 1, b_i ≧ 1 α_n > 1 β_n > 1 とする。 このとき、各 i ≧ 0 で a_i = b_i α_n = β_n である。 証明 α = [a_0, . . . , a_(n-1), α_n] とおく。 α = a_0 + 1/[a_1, . . . , a_(n-1), α_n] で [a_1, . . . , a_(n-1), α_n] > 1 である。 よって a_0 < α < a_0 + 1 同様に b_0 < α < b_0 + 1 よって a= 0 = b_0 である。 よって [a_1, . . . , a_(n-1), α_n] = [b_1, . . . , b_(n-1), β_n] これを続けて(正確には帰納法を使って)、 各 i ≧ 0 で a_i = b_i となる。 よって α_n = β_n となる。 証明終
77 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/01(日) 17:06:52
命題
数列 {k_n}, n = 0, 1, . . . が与えられ、
各 k_i が有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 とする。
無限連分数(
>>75 ) [k_0, k_1, . . .] を α とおく。
任意の n ≧ 1 に対して
α_n = [k_n, k_(n+), . . . ] とおく。
このとき
α = [k_0, . . . , k_(n-1), α_n] である。
証明
α = lim(m → ∞) [k_0, . . . , k_(n+m)] である。
β_(n, m) = [k_n, . . . , k_(n+m)] とおくと、
[k_0, . . . , k_(n+m)] = [k_0, . . . , k_(n-1), β_(n, m)]
よって
α = [k_0, . . . , k_(n+m), lim(m → ∞) β_(n, m)] である。
lim(m → ∞) β_(n, m) = α_n だから
α = [k_0, . . . , k_(n-1), α_n] である。
証明終
78 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/01(日) 17:23:44
命題
数列 {k_n}, n = 0, 1, . . . が与えられ、
各 k_i が有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 とする。
α = [k_0, k_1, . . .] とおく。
任意の n ≧ 1 に対して
α = [b_0, . . . , b_(n-1), β] を α の部分連分数展開とする。
つまり、各 b_i が有理整数で i ≧ 1 のとき b_i ≧ 1 で
β > 1 である。
このとき、0 ≦ i < n のとき k_i = b_i であり、
β = [k_n, k_(n+1), . . . ] である。
証明
α_n = [k_n, k_(n+1), . . . ] とおく。
>>77 より
α = [k_0, . . . , k_(n-1), α_n] である。
α_n > k_n だから α_n > 1 である。
よって
>>76 から 0 ≦ i < n のとき k_i = b_i であり、
α_n = β である。
証明終
79 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/01(日) 18:35:13
命題
α を実無理数として、
α = [a_0, . . . , a_n, β] とする。
各 a_i は有理整数で i ≧ 1 のとき a_i ≧ 1 で
β > 1 である。
p_n = P(a_0, a_1, ... , a_n)
q_n = P(a_1, ... , a_n)
とおく。
ここで、P(a_0, a_1, ... , a_n) は
>>44 で定義された多項式である。
このとき
α - p_n/q_n = (-1)^n/q_n(q_nβ + q_(n-1))
である。
証明
>>43 より
α = (p_nβ + p_(n-1))/(q_nβ + q_(n-1))
p_n/q_n - α = p_n/q_n - (p_nβ + p_(n-1))/(q_nβ + q_(n-1))
= (p_nq_(n-1) - p(n-1)q_n)/q_n(q_nβ + q_(n-1))
= (-1)^(n+1)/q_n(q_nβ + q_(n-1))
よって
α - p_n/q_n = (-1)^n/q_n(q_nβ + q_(n-1))
証明終
80 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/01(日) 18:50:16
命題
α を実無理数として、任意の n ≧ 1 に対して
α = [a_0, . . . , a_n, α_(n+1)] とする。
各 a_i は有理整数で i ≧ 1 のとき a_i ≧ 1 で
α_(n+1) > 1 である。
p_n = P(a_0, a_1, ... , a_n)
q_n = P(a_1, ... , a_n)
とおく。
ここで、P(a_0, a_1, ... , a_n) は
>>44 で定義された多項式である。
このとき
|α - p_n/q_n| < 1/q_n/q_(n+1)
である。
証明
>>79 より
|α - p_n/q_n | = 1/q_n(q_nα_(n+1) + q_(n-1))
である。
α_(n+1) > a_(n+1) だから
|α - p_n/q_n | < 1/q_n(q_na_(n+1) + q_(n-1))
>>44 より
q_(n+1) = q_na_(n+1) + q_(n-1)
よって
|α - p_n/q_n | < 1/q_nq_(n+1)
証明終
81 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/01(日) 19:02:00
>>80 より
lim p_n/q_n = α となる。
>>61 より
p_n/q_n = [a_0, . . . , a_n] だから
α = [a_0, a_1, . . . ] である。
つまり、任意の実無理数は無限連分数に展開される。
>>77 ,
>>78 よりこの展開は一意である。
3
2
1
0
-1
-2
88 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/02(月) 21:43:43
√2 の連分数展開を求めてみる(展開の方法は
>>41 参照)。
√2 = 1 + (√2 - 1)
1/(√2 - 1) = √2 + 1 = 2 + (√2 - 1)
よって
√2 = [1, 2, 2, . . . ]
同様に
√3 = 1 + (√3 - 1)
1/(√3 - 1) = (√3 + 1)/2 = 1 + (√3 - 1)/2
2/(√3 - 1) = √3 + 1 = 2 + (√3 - 1)
よって
√3 = [1, 1, 2, 1, 2, . . . ]
√5 = 2 + (√5 - 2)
1/(√5 - 2) = √5 + 2 = 4 + (√5 - 2)
√5 = [2, 4, 4, 4. . . ]
√7 = 2 + (√7 - 2)
1/(√7 - 2) = (√7 + 2)/3 = 1 + (√7 - 1)/3
3/(√7 - 1) = (√7 + 1)/2 = 1 + (√7 - 1)/2
2/(√7 - 1) = (√7 + 1)/3 = 1 + (√7 - 2)/3
3/(√7 - 2) = √7 + 2 = 4 + (√7 - 2)
√7 = [2, 1, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 4, . . . ]
89 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/02(月) 22:37:17
命題 k ≧ 1 と c ≧ 1 を有理整数で c は 2k の約数とする。 このとき、 √(k^2 + c) = [k, 2k/c, 2k, 2k/c, 2k, . . ,] 証明 0 < c < 2k + 1 だから k < √(k^2 + c) < k + 1 よって √(k^2 + c) = k + (√(k^2 + c) - k) k < √(k^2 + c) < k + 1 より 2k < √(k^2 + c) + k < 2k + 1 よって 1/(√(k^2 + c) - k) = (√(k^2 + c) + k)/c = 2k/c + (√(k^2 + c) - k)/c c/(√(k^2 + c) - k) = √(k^2 + c) + k = 2k + (√(k^2 + c) - k) 以上から √(k^2 + c) = [k, 2k/c, 2k, 2k/c, 2k, . . ,] 証明終
90 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/02(月) 22:47:44
>>89 の簡単な応用例を挙げる。
k = 1, c = 1
√2 = [1, 2, 2, . . .]
k = 2, c = 1
√5 = [2, 4, 4, , . . .]
k = 2, c = 2
√6 = [2, 2, 4, 2, 4, . . .]
k = 3, c = 2
√11 = [3, 3, 6, 3, 6, . . .]
91 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/03(火) 20:46:13
>>88 の例はすべて循環連分数である。
√3 = [1, 1, 2, 1, 2, . . . ]
は 1, 2 が繰り替えされている。
1, 2 を循環節といい、その長さは2である。
√7 = [2, 1, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 4, . . . ]
の循環節は 1, 1, 1, 4 であり、その長さは4である。
以上から循環連分数の定義は明らかだろうが正式には次のように定義する。
無限単純連分数 [k_0, k_1, . . . ] において n ≧ 0 と r ≧ 1
があり、i ≧ n のとき常に k_(i + r) = k_i となるとき
これを循環連分数と呼ぶ。
k_n, . . . , k_(n + r -1) を循環節といい、r をその長さという。
n = 0 のとき純循環であるという。
92 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/03(火) 21:06:34
α = [k_0, k_1, . . . ] が循環連分数で k_n, . . . , k_(n + r -1) を
循環節に持つとする。
ここで、n ≧ 1 とし、
[k_0, k_1, . . . ] = [k_0, . . . , k_(n-1), β]
とする。
ここで β = [k_n, k_(n+1), . . . ] である(
>>77 )。
このとき α = (p_(n-1)β + p_(n-2))/(q_(n-1)β + q_(n-2))
である(
>>43 ,
>>56 )。
さらに β は純循環である。
よって循環連分数を調べるには純循環の場合が基本的である。
93 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/03(火) 22:20:25
α = [k_0, k_0, . . . ] が長さ1の純循環とする。 k_0 ≧ 1 に注意する。 α = [k_0, α] である。 つまり、α = k_0 + 1/α である。 よって α^2 - k_0α - 1 = 0 よって α は2次の無理数である。 さらに α > k_0 ≧ 1 である。 f(x) = x^2 - k_0x - 1 とおくと、 f(0) = -1 f(-1) = 1 + k_0 - 1 = k_0 ≧ 1 よって f(x) の α 意外の根 β は -1 < β < 0 となる。
94 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 17:29:03
r ≧ 2 とし、
α = [k_0, . . . , k_(r-1), . . . ] が長さ r の純循環(
>>92 )とする。
したがって, k_0 ≧ 1 である。
>>93 より α = (p_(r-1)α + p_(r-2))/(q_(r-1)α + q_(r-2))
ここで、q_0 = 1 とする。
α(q_(r-1)α + q_(r-2) = p_(r-1)α + p_(r-2)
q_(r-1)α^2 + (q_(r-2) - p_(r-1))α - p_(r-2) = 0
よって α は2次の無理数である。
f(x) = q_(r-1)x^2 + (q_(r-2) - p_(r-1))x - p_(r-2) とおく。
f(0) = -p_(r-2) < 0
f(-1) = q_(r-1) - q_(r-2) + p_(r-1) - p_(r-2)
>>44 より
r ≧ 3 のとき
q_(r-1) = q_(r-2)k_(r-1) + q_(r-3)
q_(r-1) - q_(r-2) = (k_(r-1) - 1)q_(r-2) + q_(r-3) ≧ q_(r-3) > 0
r = 2 なら
q_(r-1) - q_(r-2) = q_1 - q_0 = k_1 - 1 ≧ 0
r ≧ 3 のとき
p_(r-1) = p_(r-2)k_(r-1) + p_(r-3)
p_(r-1) - p_(r-2) = (k_(r-1) - 1)p_(r-2) + p_(r-3) ≧ p_(r-3) > 0
r = 2 なら
p_(r-1) - p_(r-2) = p_1 - p_0
= k_0k_1 + 1 - k_0 ≧ (k_1 - 1)k_0 + 1 > 0
以上から f(-1) = q_(r-1) - q_(r-2) + p_(r-1) - p_(r-2) > 0
よって α の共役 β は -1 < β < 0 である。
95 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 17:48:29
2次の実無理数 α とその共役 β に対して α > 1, -1 < β < 0 となるとき α を簡約された2次無理数という。
96 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 18:02:19
>>93 と
>>94 より次の命題が得られる。
命題
純循環連分数は簡約された2次無理数である。
97 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 22:33:04
補題 α を簡約された2次無理数とし、k = [α] で k ≧ 1 とする。 ω = 1/(α - k) とおく。 つまり α = k + 1/ω である。 このとき ω も簡約された2次無理数である。 証明 過去スレ4の286より ω も2次無理数である。 よって α' を α の共役とすると ω' = 1/(α' - k) は ω の共役である。 0 < α - k < 1 だから ω > 1 である。 -1 < α' < 0 だから -1 - k < α' - k k - α' > 1 + k よって 1/(k - α') < 1/(1 + k) < 1 よって -1 < 1/(α' - k) < 0 ω' = 1/(α' - k) だから ω は簡約された2次無理数である。 証明終
98 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 22:47:36
>>97 >α を簡約された2次無理数とし、k = [α] で k ≧ 1 とする。
α > 1 だから k ≧ 1 は自動的に満たされるので、この条件は不要であった。
99 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 13:40:14
α を簡約された2次無理数とする。
α を連分数に展開して、
α = [k_0, k_1, . . . ] とする。
n ≧ 0 に対して α_n = [k_n, k_(n+1), . . . ] とおく。
>>77 より
α = [k_0, . . . , k_(n-1), α_n] である。
同じく
>>77 より
α_n = [k_n, k_(n+1), . . . ] = [k_n, α_(n+1)] だから
α_n = k_n + 1/α_(n+1) である。
よって
>>97 と n に関する帰納法により各 α_n は
簡約された2次無理数である。
α = (p_(n-1)α_n + p_(n-2))/(q_(n-1)α_n + q_(n-2)) で
p_(n-1)q_(n-2) - q_(n-1)p_(n-2) = (-1)^n
である(
>>43 ,
>>44 ,
>>57 )。
過去スレ4の286 より α と α_n は同じ判別式(過去スレ4の276)
をもつ。
これに関連して次の命題が成り立つ。
100 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 14:37:53
命題
同じ判別式 D を持つ簡略された2次無理数の個数は有限である。
証明
α を判別式 D の簡約された2次無理数とする。
α は ax^2 + bx + c の根とする。
ここで a, b, c は有理整数で a > 0, gcd(a, b, c) = 1
D = b^2 - 4ac である。
β を α の共役とする。
α は簡約された2次無理数だから
>>95 より
α > 1, -1 < β < 0 である。
よって α + β > 0
αβ < 0 である。
ax^2 + bx + c = a(x - α)(x - β) だから
b = -a(α + β)
c = aαβ
である。
よって b < 0, c < 0 となる。
よって D = b^2 + 4|ac|
よって b^2 < D だから b の取りうる値は有限個である。
4|ac| = D - b^2 だから a, c の取りうる値も有限個である。
証明終
101 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 15:05:11
命題
簡略された2次無理数は純循環連分数に展開される。
証明
α を判別式 D の簡約された2次無理数とする。
α を連分数に展開して、
α = [k_0, k_1, . . . ] とする。
n ≧ 0 に対して α_n = [k_n, k_(n+1), . . . ] とおく。
>>99 より各 α_n は判別式 D の簡約された2次無理数である。
>>100 より相異なる α_n の個数は有限である。
よって α_n = α_m となる n < m がある。
n > 0 なら α_(n-1) = k_(n-1) + 1/α_n
α_(m-1) = k_(m-1) + 1/α_m
よって α_(n-1) - α_(m-1) = k_(n-1) - k_(m-1)
よって α'_(n-1) - α'_(m-1) = k_(n-1) - k_(m-1)
ここで α'_(n-1), α'_(m-1) はそれぞれ α_(n-1) と α_(m-1) の
共役である。
各 α_n は簡約された2次無理数だから
-1 < α'_(n-1) < 0
-1 < α'_(m-1) < 0
よって |α'_(n-1) - α'_(m-1)| = |k_(n-1) - k_(m-1)| < 1
k_(n-1) - k_(m-1) は有理整数だから 0 である。
よって α'_(n-1) = α'_(m-1) となる。
よって α_(n-1) = α_(m-1) である。
以上を繰り返せば α_0 = α_(m-n) となる。
よって α は純循環連分数に展開される。
証明終
102 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 17:52:04
補題 α を2次無理数とする。 p, q, r, s を有理数で、ps - qr ≠ 0 とする。 α = (pβ + r)/(qβ + s) とする。 つまり、β = (sα - r)/(-qα + p) とおく。 このとき β も2次無理数であり、 α' = (pβ' + r)/(qβ' + s) である。 ここで α' と β' はそれぞれ α と β の共役である。 証明 Q(α) は2次体である。σ ≠ 1 を Q(α) の自己同型とする。 σ(α) = α' である。 β ∈ Q(α) で β は有理数でないから β は2次無理数である。 α = (pβ + r)/(qβ + s) より σ(α) = (pσ(β) + r)/(qσ(β) + s) σ(β) = β' だから α' = (pβ' + r)/(qβ' + s) である。 証明終
103 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 18:05:37
命題
α を2次の実無理数とする。
α を連分数に展開して、
α = [k_0, k_1, . . . ] とする。
n ≧ 0 に対して α_n = [k_n, k_(n+1), . . . ] とおく。
このとき、ある n_0 ≧ 0 があり n ≧ n_0 なら常に α_n は簡約された
2次無理数である。
証明
>>99 と同様にして、
α = (p_(n-1)α_n + p_(n-2))/(q_(n-1)α_n + q_(n-2))
である。
よって
>>102 より
β = (p_(n-1)β_n + p_(n-2))/(q_(n-1)β_n + q_(n-2))
となる。
ここで、β と β_n は α と α_n のそれぞれ共役である。
β_n = (q_(n-2)β - p_(n-2))/(-q_(n-1)β + p_(n-1))
右辺の分子と分母をそれぞれ変形すると
q_(n-2)β - p_(n-2) = q_(n-2)(β - p_(n-2)/q_(n-2))
-q_(n-1)β + p_(n-1) = -q_(n-1)(β - p_(n-1)/q_(n-1))
となる。
よって
β_n =
-(q_(n-2)/q_(n-1))(β - p_(n-2)/q_(n-2))/(β - p_(n-1)/q_(n-1))
(続く)
104 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 18:21:43
>>103 の続き。
>>80 より n → ∞ のとき
p_(n-2)/q_(n-2) → α
p_(n-1)/q_(n-1) → α
よって
(β - p_(n-2)/q_(n-2))/(β - p_(n-1)/q_(n-1))
→ (β - α)/(β - α) = 1
(q_(n-2)/q_(n-1)) > 0 だから 十分大きい n に対して β_n < 0
α_n = k_n + 1/α_(n+1)
よって
>>102 より
β_n = k_n + 1/β_(n+1)
よって
β_(n+1) = 1/(β_n - k_n)
|β_n - k_n| > 1 だから -1 < β_(n+1) < 0
α_(n+1) > 1 だから α_(n+1) は簡約された2次無理数である。
>>97 より m ≧ n + 1 なら α_m も簡約された2次無理数である。
証明終
105 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 18:26:27
定理(Lagrange)
2次の実無理数は循環連分数に展開される。
証明
>>101 と
>>103 より明らかである。
106 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 19:16:18
107 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 01:21:03
補題
t ≠ 0 を有理数とする。
t を有限単純連分数(
>>69 )に展開して
t = [k_0, . . . , k_(n-1)] とするとき、項数 n を偶数または奇数の
どちらにも出来る。
証明
t = [k_0, . . . , k_(n-1)] において n = 1 のとき
即ち t = [k_0] のときは t = [k_0 - 1, 1] でもある。
よって n ≧ 2 と仮定してよい。
k_(n-1) = 1 なら
[k_0, . . . , k_(n-1)] = [k_0, . . . , k_(n-2) + 1]
k_(n-1) > 1 なら
[k_0, . . . , k_(n-1)] = [k_0, . . . , k_(n-1) - 1, 1]
いずれの場合も、項数を偶数または奇数のどちらにも出来る。
証明終
虚二次体と類数について教えて下さい
109 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 02:14:37
>>108 過去スレ4 に書いてあります。
過去スレ4は
>>54 のリンク先で見れます。
そこはいつまで見れるかわからないのでパソコンに保存しておいたほうがよいです。
虚二次体とその類数についてさらに詳しいことはこの後にやる予定。
110 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 10:33:01
補題
β > 1 を実無理数とする。
α = (aβ + b)/(cβ + d) とする。
ここで a, b, c, d は有理整数で ad - bc = ±1 であり、
c > d > 0 である。
このときある n ≧ 1 があり、
α = [k_0, . . . , k_(n-1), β] となる。
ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 である。
証明
a/c を単純連分数(
>>69 )に展開して
a/c = [k_0, . . . , k_(n-1)] とする。
>>107 より ad - bc = (-)^n と仮定してよい。
>>61 より
[k_0, k_1, . . . , k_(n-1)] = p_(n-1)/q_(n-1) である。
ここで
p_(n-1) = P(k_0, k_1, ... , k_(n-1))
q_(n-1) = P(k_1, ... , k_(n-1))
とおいた。
(続く)
111 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 10:36:21
>>110 の続き。
ad - bc = (-)^n だから gcd(a, c) = 1
>>57 より p_(n-1)q_(n-2) - q_(n-1)p_(n-2) = (-1)^n
よって gcd(p_(n-1), q_(n-1)) = 1
a/c = p_(n-1)/q_(n-1) で c > 0, q_(n-1) > 0 だから
a = p_(n-1)
c = q_(n-1)
よって
aq_(n-2) - cp_(n-2) = ad - bc
a(d - q_(n-2)) = c(b - p_(n-2))
gcd(a, c) = 1 だから
d ≡ q_(n-2) (mod c)
c > d > 0
c = q_(n-1) ≧ q_(n-2) > 0
よって |d - q_(n-2)| < c
d ≡ q_(n-2) (mod c) より
d = q_(n-2)
よって b = p_(n-2)
α = (aβ + b)/(cβ + d)
= (p_(n-1)β + p_(n-2))/(q_(n-1)β + q_(n-2))
= [k_0, . . . ,k_(n-1), β]
証明終
112 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 16:33:36
命題
β を実無理数とする。
α = (aβ + b)/(cβ + d) とする。
ここで a, b, c, d は有理整数で ad - bc = ±1 である。
このとき、ある実無理数 ω と n ≧ 1, m ≧ 1 があり、
α = [k_0, . . . , k_(n-1), ω]
β = [h_0, . . . , h_(m-1), ω]
となる。
ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 であり、
各 h_i も有理整数で i ≧ 1 のとき h_i ≧ 1 である。
即ち、α と β を無限連分数に展開したとき、それぞれのある項から
先の展開は一致する。
証明
cβ + d < 0 なら -cβ - d > 0 で
α = (-aβ - b)/(-cβ - d) だから
cβ + d > 0 と仮定してよい。
β を 無限連分数に展開して
β = [h_0, h_1, . . . ] とする。
m ≧ 1 に対して
ω_m = [h_m, h_(m+1), . . . ] とおく。
>>77 より
β = [h_0, . . . , h_(m-1), ω_m] である。
>>99 と同様にして、
β = (p_(m-1)ω_m + p_(m-2))/(q_(m-1)ω_m + q_(m-2))
(続く)
113 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 16:36:26
>>112 の続き。
α = (aβ + b)/(cβ + d) より、
α = (Aω_m + B)/(Cω_m + d)
ここで
A = ap_(m-1) + bq_(m-1)
B = ap_(m-2) + bq_(m-2)
C = cp_(m-1) + dq_(m-1)
D = cp_(m-2) + dq_(m-2)
である。
C = cp_(m-1) + dq_(m-1) = q_(m-1)(cp_(m-1)/q_(m-1) + d)
m → ∞ のとき p_(m-1)/q_(m-1) → β だから
cβ + d > 0 より十分大きい m に対して C > 0 である。
C = cp_(m-1) + dq_(m-1)
= h_(m-1)(cp_(m-2) + dq_(m-2)) + cp_(m-3) + dq_(m-3)
上で述べたことより十分大きい m に対して
cp_(m-3) + dq_(m-3) > 0 である。
このとき
C = cp_(m-1) + dq_(m-1) > D = cp_(m-2) + dq_(m-2)
よって
>>110 より
このときある n ≧ 1 があり、
α = [k_0, . . . , k_(n-1), ω_m] となる。
証明終
114 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 16:38:59
115 :
132人目の素数さん :2007/04/08(日) 17:05:50
名無しで自分の隔離病棟スレを立てているんだねw
116 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 17:37:25
>>112 の逆が成り立つことは明らかだろうが、一応証明する。
命題
α と β を実無理数とする。
ある実無理数 ω と n ≧ 1, m ≧ 1 があり、
α = [k_0, . . . , k_(n-1), ω]
β = [h_0, . . . , h_(m-1), ω]
となるとする。
ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 であり、
各 h_i も有理整数で i ≧ 1 のとき h_i ≧ 1 である。
このとき、α = (aβ + b)/(cβ + d) となる。
ここで a, b, c, d は有理整数で ad - bc = ±1 である。
証明
α = [k_0, . . . , k_(n-1), ω] より
α = (pω + r)/(qω + s) となる。
ここで p, r, q, s は有理整数で ps - qr = ±1 である。
よって A = (p, r)/(q, s) とおけば、A ∈ GL_2(Z) であり、
α = Aω となる。
同様に
β = [h_0, . . . , h_(m-1), ω] より
β = (p'ω + r')/(q'ω + s') となる。
ここで p', r', q', s' は有理整数で p's' - q'r' = ±1 である。
B = (p', r')/(q', s') とおけば、B ∈ GL_2(Z) であり、
β = Bω となる。
従って、α = Aω = AB^(-1)ω となり
AB^(-1) ∈ GL_2(Z) である。
証明終
117 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 17:59:59
>>116 >従って、α = Aω = AB^(-1)ω となり
従って、α = Aω = AB^(-1)β となり
118 :
β ◆aelgVCJ1hU :2007/04/08(日) 18:09:04
呼んだか・・?
119 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 19:46:47
>>112 >このとき、ある実無理数 ω と n ≧ 1, m ≧ 1 があり、
このとき、ある実無理数 ω > 1 と n ≧ 1, m ≧ 1 があり、
120 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/09(月) 22:34:11
補題 θ を簡約された2次無理数とし、 θ = (pθ + q)/(rθ + s) とする。 ここで p, q, r, s は有理整数で ps - qr = ±1 である。 このとき (rθ + s)(rθ' + s) = ε である。 ここで θ' は θ の共役で ε = ps - qr = ±1 である。 証明 θ = (pθ + q)/(rθ + s) より、 θ(rθ + s) = pθ + q rθ^2 + (s - p)θ - q = 0 よって θ は rx^2 + (s - p)x - q の根である。 よって rx^2 + (s - p)x - q = r(x - θ)(x - θ') 従って r(θ + θ') = p - s rθθ' = -q (rθ + s)(rθ' + s) = r^2θθ' + rs(θ + θ') + s^2 = -qr + s(p - s) + s^2 = ps - qr = ε 証明終
121 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/11(水) 12:51:05
>>120 証明からわかるように、θ は単に2次無理数であればよく、
簡約された2次無理数である必用はなかった。
122 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/11(水) 15:16:24
命題(高木の初等整数論講義)
θ を簡約された2次無理数とし、
θ = (pθ + q)/(rθ + s) とする。
ここで p, q, r, s は有理整数で ps - qr = ±1 である。
さらに、rθ + s > 1 とする。
このときある n ≧ 1 があり、
θ = [k_0, . . . , k_(n-1), θ] となる。
ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 である。
証明
E = rθ + s, E' = rθ' + s とおく。
>>120 より EE' = ps - qr = ±1 である。
|EE'| = 1 で E > 1 だから |E'| < 1
したがって、E - E' > 0
即ち r(θ - θ') > 0
θ は簡約された2次無理数だから、θ > 1, -1 < θ' < 0
である(
>>95 )。
よって、θ - θ' > 0 だから r > 0 である。
よって、rθ' + s > -r + s
EE' = 1 のとき E > 1 より 1 > E' > 0
よって r + 1 > r + E'
一方、上より E' > -r + s だから r + E' > s
よって r + 1 > s
よって r ≧ s
EE' = -1 のときは E > 1 より 0 > E' > -1
よって r > r + E'
一方 r + E' > s だから r > s
(続く)
123 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/11(水) 16:26:18
>>122 の続き。
EE' = 1 のとき E' > 0 すなわち rθ' + s > 0 だから
s > -rθ' > 0
この場合 r ≧ s だったから r > s なら
>>110 より本命題は従う。
EE' = -1 のとき 0 > E' > -1
一方 r > 0 で θ' < 0 だから s > rθ' + s
よって s > - 1 即ち s ≧ 0 である。
r > s だったから s > 0 ならやはり
>>110 より本命題は従う。
残るのは EE' = 1 で r = s > 0 の場合と
EE' = -1 で r > s = 0 の場合である。
EE' = 1 で r = s > 0 なら、
pr - qr = 1
(p - q)r = 1
r > 0 だから r = 1
よって q = p - 1
θ = (pθ + p - 1)/(θ + 1) = (p(θ + 1) - 1)/(θ + 1)
= p - 1/(θ + 1) = p - 1 + 1 - 1/(θ + 1)
= p - 1 + θ/(θ + 1) = p - 1 + 1/(1 + 1/θ)
よって θ = [p - 1, 1, θ] となり、この場合も本命題は従う。
EE' = -1 で r > s = 0 なら、
ps - qr = -qr = -1 よって qr = 1
r > 0 だから r = q = 1
θ = (pθ + 1)/θ = p + 1/θ = [p, θ]
よって、この場合も本命題は従う。
証明終
124 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/11(水) 20:28:21
>>123 >よって q = p - 1
>
>θ = (pθ + p - 1)/(θ + 1) = (p(θ + 1) - 1)/(θ + 1)
>= p - 1/(θ + 1) = p - 1 + 1 - 1/(θ + 1)
>= p - 1 +
>
>よって θ = [p - 1, 1, θ] となり、この場合も本命題は従う。
ここは高木のように以下のようにしたほうが良かった。
よって p = q + 1
θ = ((q + 1)θ + q)/(θ + 1) = q + θ/(θ + 1) = q + 1/(1 + 1/θ)
よって θ = [q, 1, θ] となり、この場合も本命題は従う。
125 :
132人目の素数さん :2007/04/12(木) 06:33:11
Thomas Pietraho.
126 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/12(木) 12:41:15
θ を実2次無理数とする。 θ は2次多項式 ax^2 + bx + c の根である。 ここで a, b, c は有理整数で a > 0, gcd(a, b, c) = 1 である。 a, b, c は θ により一意に決まる。 2次方程式の根の公式よりθ = (-b ± √D)/2a である。 話を固定するため θ = (-b + √D)/2a と仮定する。 ここで D = b^2 - 4ac である。 D は θ の判別式である(過去スレ4の276)。 θ は実数と仮定したから D > 0 である。 D = b^2 - 4ac だから D ≡ b^2 (mod 4) である。 0^2 ≡ 0 (mod 4) 1^2 ≡ 1 (mod 4) 2^2 ≡ 0 (mod 4) 3^2 ≡ 1 (mod 4) よって D ≡ 0 (mod 4) または D ≡ 1 (mod 4) である。 θ は無理数だから D は平方数でない。 従って、過去スレ4の586より D はある2次体 Q(√m) の整環 R = [1, fω] の判別式になる。 D = (f^2)d である。 ここで f は有理整数 f > 0 であり d は Q(√m) の判別式である。 過去スレ4の587より I = [a, (-b + √D)/2] = [a, aθ] は R のイデアルである。 過去スレ4の592より I は可逆イデアルである。
127 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/12(木) 20:56:36
θ を実2次無理数とする。 θ は2次多項式 ax^2 + bx + c の根である。 ここで a, b, c は有理整数で a > 0, gcd(a, b, c) = 1 である。 a, b, c は θ により一意に決まる。 2次方程式の根の公式よりθ = (-b ± √D)/2a である。 話を固定するため θ = (-b + √D)/2a と仮定する。 ここで D = b^2 - 4ac である。 D は θ の判別式である(過去スレ4の276)。 θ は実数と仮定したから D > 0 である。 D = b^2 - 4ac だから D ≡ b^2 (mod 4) である。 0^2 ≡ 0 (mod 4) 1^2 ≡ 1 (mod 4) 2^2 ≡ 0 (mod 4) 3^2 ≡ 1 (mod 4) よって D ≡ 0 (mod 4) または D ≡ 1 (mod 4) である。 θ は無理数だから D は平方数でない。 従って、過去スレ4の586より D はある2次体 Q(√m) の整環 R = [1, fω] の判別式になる。 D = (f^2)d である。 ここで f は有理整数 f > 0 であり d は Q(√m) の判別式である。 過去スレ4の587より I = [a, (-b + √D)/2] = [a, aθ] は R のイデアルである。 過去スレ4の592より I は可逆イデアルである。
Googleがking仕様になったぞ 早く見てみろ
129 :
132人目の素数さん :2007/04/12(木) 21:07:46
ax^2 + bx + c=0 の解はa,b,cの関数で、逆函数がある。 2つの2次曲線の交点が解だと、逆函数は存在しない。 でも2次曲線のx切片が2個決まれば、その2点を通る2次曲線は 無限にある。
130 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 12:06:28
>>127 の続き。
(1) m ≡ 1 (mod 4) のとき
ω = (1 + √m)/2 であり、d = m である(過去スレ3の768)。
D = (f^2)m より
(-b + √D)/2 = (-b + f√m)/2 = (-b - f + f(1 + √m))/2
= -(b + f)/2 + fω
D ≡ f^2 (mod 4) だから b^2 ≡ f^2 (mod 4)
よって b^2 ≡ f^2 (mod 2)
よって b ≡ f (mod 2)
よって b + f ≡ 0 (mod 2)
即ち -(b + f)/2 は有理整数である。
(2) m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき
ω = √m であり、d = 4m である(過去スレ3の768)。
D = 4(f^2)m より
(-b + √D)/2 = (-b + 2f√m)/2 = -b/2 + fω
D ≡ 0 (mod 4) だから b^2 ≡ 0 (mod 4)
よって b ≡ 0 (mod 2)
即ち -b/2 は有理整数である。
131 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 16:58:24
>>130 の続き。
I = [a, (-b + √D)/2] = [a, aθ] = [a, c + fω] である。
ここで、
m ≡ 1 (mod 4) のとき c = -(b + f)/2
m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき c = -b/2
I = αI となる α ∈ Q(√m) があるとする。
過去スレ4の593より
θ = (pθ + q)/(rθ + s) となる。
ここで p, q, r, s は有理整数で ps - qr = ±1 である。
逆に、ps - qr = ±1 となる有理整数 p, q, r, s があり、
θ = (pθ + q)/(rθ + s) とすると、過去スレ4の593より
I = αI となる。
ここで、α = rθ' + s である。
I は可逆イデアルだから I = αI なら II^(-1) = αII^(-1)
II^(-1) = R だから R = αR である。ここで R = [1, fω]。
よって αβ = 1 となる β ∈ R がある。
即ち α は R の単数である。
逆に α が R の単数なら αR = R だから I = RI = αRI = αI
132 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 17:02:38
過去スレ4の590より R = {(x + y√D)/2 ; x ∈ Z, y ∈ Z, x ≡ yD (mod 2) } である。 従って、 D ≡ 0 (mod 4) のとき R = {(u + v√D)/2 ; u ∈ Z, v ∈ Z, u ≡ 0 (mod 2) } である。 D ≡ 1 (mod 4) のとき R = {(u + v√D)/2 ; u ∈ Z, v ∈ Z, u ≡ v (mod 2) } である。 α = (u + v√D)/2 が R の単数なら、 αα' = (u + v√D)/2 (u - v√D)/2 = (u^2 - Dv^2)/4 = ±1 逆に (u, v) が u^2 - Dv^2 = ±4 の有理整数解なら u^2 ≡ Dv^2 (mod 4) D ≡ 0 (mod 4) のとき u^2 ≡ 0 (mod 4) u ≡ 0 (mod 2) D ≡ 1 (mod 4) のとき u^2 ≡ v^2 (mod 4) u ≡ v (mod 2) よって、いずれの場合にも α = (u + v√D)/2 は R の元であり 従って R の単数である。
133 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 17:06:01
(u, v) が u^2 - Dv^2 = ±4 の有理整数解なら (u, -v), (-u, v), (-u, -v) も同様である。 これ等には、それぞれ α', -α', -α が対応する。 u > 0, v > 0 なら D ≧ 2 だから α = (u + v√D)/2 ≧ (1 + √2)/2 > 1 以上から、次のことが分かった。 α を R の単数とすると、α, α', -α', -α のどれか一つは 1 より大きい。
134 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 17:27:10
>>133 を以下のように訂正する。
(u, v) が u^2 - Dv^2 = ±4 の有理整数解なら
(u, -v), (-u, v), (-u, -v) も同様である。
これ等には、それぞれ α', -α', -α が対応する。
u = 0 なら -Dv^2 = ±4 より v^2 = 1 または v^2 = 4 となり
D = 4 または D = 1 となって矛盾。
v = 0 なら u^2 = 4 より u = ±2 となり α = ±1 である。
u > 0, v > 0 なら
D ≧ 2 だから α = (u + v√D)/2 ≧ (1 + √2)/2 > 1
以上から、次のことが分かった。
α ≠ ±1 を R の単数とすると、α, α', -α', -α のどれか一つは
1 より大きい。
135 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 21:52:44
>>131 より
θ = (pθ + q)/(rθ + s) なら rθ + s は R の単数である。
よって
>>132 より rθ + s = (u + v√D)/2 となる。
ここで (u, v) は u^2 - Dv^2 = ±4 の有理整数解である。
p, q, r, s を u, v で表してみよう。
(u + v√D)/2 = rθ + s = r(-b + √D)/2a + s
よって v = r/a
よって r = av
u/2 = -rb/2a + s だから
u/2 = -vb/2 + s
s = (u + vb)/2
θ = (pθ + q)/(rθ + s)
だから
θ(rθ + s) = pθ + q
これに θ = (-b + √D)/2a を代入して
(u + v√D)/2 (-b + √D)/2a = p(-b + √D)/2a + q
(-ub + (u - vb)√D + vD)/4a = 2p(-b + √D)/4a + q
よって
(-ub + vD)/4a = (4aq - 2pb)/4a
-ub + vD = 4aq - 2pb
(u - vb)/4a = 2p/4a
p = (u - bv)/2
-ub + vD = 4aq - 2pb = 4aq - (u - bv)b
-b^2v + vD = 4aq
q = v(-b^2 + D)/4a = -4acv/4a = -cv
以上から (p, q/(r, s) = ((u - bv)/2, -cv)/(av, (u + bv)/2)
136 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 22:08:52
>>122 >このときある n ≧ 1 があり、
>θ = [k_0, . . . , k_(n-1), θ] となる。
>ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 である。
θ > 1 だから k_0 ≧ 1 でもある。
137 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 22:44:28
命題
θ, R は
>>126 同じとする。
A = (p_0, q_0)/(r_0, s_0) ∈ GL_2(Z)
B = (p_1, q_1)/(r_1, s_1) ∈ GL_2(Z) で
θ = Aθ
θ = Bθ とする。
E_0 = r_0θ + s_0
E_1 = r_1θ + s_1
とおけば、
>>131 より E_0, E_1 は R の単数である。
AB = C とすれば
θ = Cθ である。
C = (p_2, q_2)/(r_2, s_2) ∈ GL_2(Z)
E_2 = r_2θ + s_2 とおく。
このとき、E_0E_1 = E_2 である。
証明
E_0E_1 = (r_0θ + s_0)(r_1θ + s_1)
= r_0θ(r_1θ + s_1) + s_0(r_1θ + s_1)
= r_0(p_1θ + q_1) + s_0(r_1θ + s_1)
= (r_0p_1 + s_0r_1)θ + (r_0q_1 + s_0s_1)
= r_2θ + s_2
証明終
138 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/14(土) 00:52:14
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
θ を判別式 D の簡約された2次無理数とする。
>>127 において θ が簡約された2次無理数の場合を考える。
>>101 より θ は純循環連分数に展開される。
θ = [k_0, . . . , k_(n-1), θ] で、k_0, . . . , k_(n-1) が
最短の純循節とする。
θ = (p_(n-1)θ + p_(n-2))/(q_(n-1)θ + q_(n-2)) で
p_(n-1)q_(n-2) - q_(n-1)p_(n-2) = (-1)^n
である(
>>43 ,
>>44 ,
>>57 )。
θ > 1 で q_(n-1) > 0, q_(n-2) ≧ 0 だから
E = q_(n-1)θ + q_(n-2) > 1 である。
>>131 より E は R の単数である。
α を R の単数で α > 1 とする。
α' も R の単数であるから
>>131 より I = α'I である。
よって θ = (pθ + q)/(rθ + s) となる
有理整数 p, q, r, s で ps - qr = ±1 となるものがあり、
α' = rθ' + s である。
よって α = rθ + s である。
α > 1 だから
>>122 より rθ + s はθの連分数展開から得られる。
よって
>>137 より α = E^m となる m ≧ 1 がある。
139 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/14(土) 01:07:04
α を R の単数で α > 1 とする。
α' も R の単数であるから
>>131 より I = α'I である。
よって θ = (pθ + q)/(rθ + s) となる
有理整数 p, q, r, s で ps - qr = ±1 となるものがあり、
α' = rθ' + s である。
よって α = rθ + s である。
α > 1 だから
>>122 より rθ + s はθの連分数展開から得られる。
よって
>>137 より α = E^m となる m ≧ 1 がある。
α を R の単数で 0 < α < 1 とすると、1/α > 1 だから
>>138 より 1/α = E^m となる m ≧ 1 がある。
よって α = E^(-m) である。
α < 0 なら -α > 0 だから α ≠ -1 なら上でのべたことから
-α = E^m となる m ≠ 0 がある。
以上から R の任意の単数は ±E^m, m ∈ Z と書ける。
E を R の基本単数と呼ぶ。
140 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/14(土) 01:12:10
>>138 >R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
>θ を判別式 D の簡約された2次無理数とする。
この部分は不要なので削除する。
16
17
16
15
14
13
147 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 10:13:27
連分数の理論を(2元)2次形式論と実2次体に応用するためには、 2次の無理数と2次形式と2次体のイデアルの3者の関係をはっきり させておいたほうが良い。 この関係は過去スレ4でもある程度扱ったが、ここではより詳しく 述べる。 ここで述べる定式化は Henri Cohen の A course in computational algebraic number thery から拝借した。
148 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 10:43:56
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 過去スレ4の586より D はある2次体 Q(√m) の整環 R の 判別式である。 I を R の分数イデアル(過去スレ2の677)とする。 即ち、Q(√m) の R-部分加群 I が次の条件を満たすとき I を R の 分数イデアルと呼ぶ。 1) I ≠ 0 2) Q(√m) の元 x ≠ 0 で xI ⊂ R となるものがある。 定義より、I = (1/α)J と書ける。 ここで J は R のイデアルで α は R の元である。 I のノルム N(I) を N(I) = N(J)/|N(α)| で定義する。 これが J と α の取り方によらないことは証明を要する。
糞
150 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:17:07
補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、 I ≠ 0 を R のイデアルとする。 R = [μ, ν] を R のある基底による表示とする。 I = [α, β] を I のある基底による表示とする。 I ⊂ R だから α = pμ + qν β = rμ + sν と書ける。ここで p, q, r, s は有理整数である。 このとき N(I) = |ps - qr| である。 証明 I = [a, b + cfω] を I の標準基底 (過去スレ4の429) による 表示とする。 N(I) = ac である(過去スレ4の438)。 [μ, ν] の [1, fω] による変換行列を A とする。 つまり、(μ, ν)' = A(1, fω)' である。 ここで、(μ, ν)', (1, fω)' はそれぞれ列ベクトルを表す。 同様に [a, b + cfω] の [1, fω] による変換行列を B とする。 つまり、(a, b + cfω)' = B(1, fω)' である。 ここで、B = (a, 0)/(b, c) である。 同様に [α, β] の [a, b + cfω] による変換行列を C とする。 (α, β)' = C(a, b + cfω)' = CB(1, fω)' = CBA^(-1) (μ, ν)' 従って、P = (p, q)/(r, s) とおけば P = CBA^(-1) である。 det(A) = ±1, det(C) = ±1 だから |det(P)| = |det(B)| = ac = N(I) det(P) = ps - qr だから N(I) = |ps - qr| である。 証明終
151 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:30:20
補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、 I ≠ 0 を R のイデアルとする。 R = [μ, ν] を R のある基底による表示とする。 I = [α, β] を I のある基底による表示とする。 I ⊂ R だから α = pμ + qν β = rμ + sν と書ける。ここで p, q, r, s は有理整数である。 このとき αβ' - α'β = (ps - qr)(μν' - μ'ν) 証明 (α, α')/(β, β') = (p, q)/(r, s) (μ, μ')/(ν, ν') である。 両辺の行列式をとればよい。 証明終
152 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:47:49
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R のイデアルとする。
I = [α, β] を I のある基底による表示とする。
(αβ' - α'β)^2 は有理整数 > 0 であり、基底 α, β の
取り方によらない。
証明
I = [γ, δ] を I の別の基底による表示とする。
[α, β] の [γ, δ] による変換行列を P とすれば
>>151 と同様にして
αβ' - α'β = (ps - qr)(γδ' - γ'δ)
両辺を2乗して
(αβ' - α'β)^2 = (ps - qr)^2 (γδ' - γ'δ)^2
det(P) = ±1 だから
(αβ' - α'β)^2 = (γδ' - γ'δ)^2
証明終
153 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:54:18
定義
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R のイデアルとする。
I = [α, β] を I のある基底による表示とする。
d(I) = (αβ' - α'β)^2 と書き、これを I の判別式という。
>>152 より、これは基底 α, β の取り方によらない。
d(I) を d(α, β) とも書く。
容易にわかるように d(R) は R の判別式に一致する。
さらに d(1, ω) は2次体 Q(√m) の判別式である。
154 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:59:03
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R のイデアルとする。
d(I) = (N(I)^2)d(R)である。
証明
定義(
>>152 ) と
>>150 ,
>>151 より明らかである。
155 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 12:05:04
定義 α, β を2次体 Q(√m) の元とする。 Δ(α, β) = αβ' - α'β と書く。
156 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 12:19:47
補題 α, β, γ を2次体 Q(√m) の元とする。 Δ(γα, γβ) = N(γ)Δ(α, β) である。 証明 Δ(γα, γβ) = γαγ'β' - γ'α'γβ = γγ'(αβ' - α'β) = N(γ)Δ(α, β) 証明終
12
11
10
9
8
7
163 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/22(日) 13:48:32
訂正
>>152 >(αβ' - α'β)^2 は有理整数 > 0 であり、基底 α, β の
>取り方によらない。
(αβ' - α'β)^2 は基底 α, β の取り方によらない。
164 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/22(日) 16:08:13
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R のイデアルとする。
γ ≠ 0を2次体 Q(√m) の元とする。
N(γI) = |N(γ)|N(I) である。
証明
>>154 より
d(γI) = (N(γI)^2)d(R)
I = [α, β] を I のある基底による表示とする。
γI = [γα, γβ] である。
>>156 より
d(γI) = (N(γ)^2)d(I)
>>154 より
(N(γ)^2)d(I) = (N(γ)^2)(N(I)^2)d(R)
従って、
(N(γI)^2)d(R) = (N(γ)^2)(N(I)^2)d(R)
d(R) ≠ 0 であるから
N(γI)^2 = (N(γ)^2)(N(I)^2)
よって
N(γI) = |N(γ)|N(I)
証明終
165 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/22(日) 16:16:24
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0, J ≠ 0 を R のイデアルとする。
α ≠ 0, β ≠ 0 を2次体 Q(√m) の元とする。
(1/α)I = (1/β)J なら
N(I)/|N(α)| = N(J)/|N(β)| である。
証明
(1/α)I = (1/β)J だから βI = αJ
>>164 より N(β)N(I) = |N(α)|N(J)
よって
N(I)/|N(α)| = N(J)/|N(β)| である。
証明終
166 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/22(日) 16:20:31
定義
I を R の分数イデアルとする(
>>148 )。
定義より、I = (1/α)J と書ける。
ここで J は R のイデアルで α ≠ 0 は R の元である。
I のノルム N(I) を N(I) = N(J)/|N(α)| で定義する。
>>165 よりこれは J と α の取り方によらない。
167 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/22(日) 20:48:52
補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、 I ≠ 0 を R の分数イデアルとする。 I は基底をもつ、即ち I = [θ_1, θ_2] と表示される。 ここで θ_1, θ_2 は Q(√m) の非零元である。 証明 I = (1/γ)J と書ける。 ここで J ≠ 0 は R のイデアルで γ ≠ 0 は R の元である。 J = [α, β] を J のある基底による表示とする。 I = [α/γ, β/γ] である。 証明終
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
民主党は“全て中国の言う通り”がモットー。
公明党は創価学会とともに日本を朝鮮のものにしようとしてる。
創価学会は日本の大手メディアを間接支配していて、 社民党は朝鮮総連とともに拉致の存在を否定し、被害者の活動を妨害した。
共産党は北朝鮮に関して社民党と同じ。それに加えて反自衛隊・反米である。
朝鮮総連と民潭は日本を解体して朝鮮にしようと参政権を狙っているし、
統一教会は売国政党の社民党を支援している。
☆朝日新聞などは中国と朝鮮の代弁者、つまり日本最大手の売国新聞だし、
日教組は基本理念のレベルから反資本主義・反体制であり、残る自民党にも中国の顔色ばかり窺っている者が潜んでいるのである。
今後は『人権擁護法案』成立を契機に公明党は民主党に鞍替えして連立し、 実質外国人与党が誕生して第二期工作の完結となるのが彼らの筋書きである。 (今、実際にそのように動きつつある)
そうすればあっという間に外国人参政権を成立させて日本の国政は全て
朝鮮人が牛耳り、朝鮮に歯向かう日本人の政治介入する隙間を残さない
新たな制度が完成することだろう。
そしてこれらの売国組織に必ず関与し、彼らの侵略行為の結果において
最も利益を享受する立場にあるのが『在日朝鮮人』である。
http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/14540.wmv 在日特権の真相にせまる21.68MiB
171 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/22(日) 21:24:20
>>164 を以下のように訂正する。
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R のイデアルとする。
γ ≠ 0 を R の元とする。
このとき
N(γI) = |N(γ)|N(I) である。
証明
>>154 より
d(γI) = (N(γI)^2)d(R)
I = [α, β] を I のある基底による表示とする。
γI = [γα, γβ] である。
>>156 より
d(γI) = (N(γ)^2)d(I)
>>154 より
(N(γ)^2)d(I) = (N(γ)^2)(N(I)^2)d(R)
従って、
(N(γI)^2)d(R) = (N(γ)^2)(N(I)^2)d(R)
d(R) ≠ 0 であるから
N(γI)^2 = (N(γ)^2)(N(I)^2)
よって
N(γI) = |N(γ)|N(I)
証明終
172 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/22(日) 21:36:15
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R の分数イデアルとする。
γ ≠ 0 を2次体 Q(√m) の元とする。
このとき
N(γI) = |N(γ)|N(I) である。
証明
γ = α/β と書ける。ここで α, β は R の元である。
γI = (α/β)I = (1/β)αI
αI ⊂ R であるから
>>166 より
N(γI) = N(αI)/|N(β)|
>>171 より
N(γI) = |N(α)|N(I)/|N(β)| = |N(γ)|N(I)
証明終
173 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/22(日) 22:00:37
命題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R の分数イデアルとする。
I = [θ, τ] を I のある基底による表示とする(
>>167 )。
R = [μ, ν] を R のある基底による表示とする。
I ⊂ Q(√m) だから
θ = pμ + qν
τ = rμ + sν
と書ける。ここで p, q, r, s は有理数である。
このとき N(I) = |ps - qr| である。
証明
R の元 γ ≠ 0 があり、γI ⊂ R となる。
r = N(γ) = γγ' とおけば、rI ⊂ R となる。
rI = [α, β] とする。
α = aμ + bν
β = cμ + dν
と書ける。ここで a, b, c, d は有理整数である。
I = [α/r, β/r] である。
α/r = (a/r)μ + (b/r)ν
β/r = (c/r)μ + (d/r)ν
I = [θ, τ] でもあるから
|(a/r)(d/r) - (b/r)(c/r)| = |ps - qr|
よって |ad - bc|/r^2 = |ps - qr|
一方、
>>150 より
N(rI) = |ad - bc|
>>172 より N(rI) = |N(r)|N(I) = (r^2)N(I)
よって N(I) = |ad - bc|/r^2
よって N(I) = |ps - qr| である。
証明終
174 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/23(月) 12:46:13
命題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R の分数イデアルとする。
I = [α, β] を I のある基底による表示とする(
>>167 )。
Δ(α, β) = αβ' - α'β と書いた(
>>155 )。
Δ(α, β)^2 = (N(I)^2)d(R) である。
証明
R = [μ, ν] を R のある基底による表示とする。
I ⊂ Q(√m) だから
α = pμ + qν
β = rμ + sν
と書ける。ここで p, q, r, s は有理数である。
>>151 と同様にして
Δ(α, β) = (ps - qr)Δ(μ, ν)
>>173 より N(I) = |ps - qr| である。
よって
Δ(α, β)^2 = (N(I)^2)Δ(μ, ν)^2 である。
一方、
>>153 より Δ(μ, ν)^2 = d(R) である。
証明終
175 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/23(月) 12:52:29
命題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R の分数イデアルとする。
I = [α, β] を I のある基底による表示とする(
>>167 )。
d(I) = Δ(α, β)^2 と書き、これを I の判別式という。
>>174 より、d(I) = (N(I)^2)d(R) だからこれは基底 α, β の
取り方によらない。
d(I) は0でない有理数である。
176 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/23(月) 20:52:43
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R の分数イデアルとする。
I = [α, β] を I のある基底による表示とする。
>>174 より Δ(α, β)^2 = (N(I)^2)D である。
ここで D は R の判別式である。
従って、(Δ(α, β)/√D)^2 = N(I)^2 である。
よって Δ(α, β)/√D は0でない実数である。
ここで √D = (√|D|)i とする(過去レス4の273参照)。
Δ(α, β)/√D > 0 のとき、基底 α, β は正に向き付けられている
という。
Δ(α, β)/√D < 0 のとき、基底 α, β は負に向き付けられている
という。
Δ(-α, β) = -αβ' + α'β = -Δ(α, β) だから
Δ(-α, β)/√D = -Δ(α, β)/√D
よって基底 α, β が正に向き付けられているとき
基底 -α, β は負に向き付けられている。
177 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/23(月) 21:09:14
命題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R の分数イデアルとする。
I = [α, β] = [γ, δ] とし、
α, β と γ, δ は共に正に向き付けられているとする。
α, β の γ, δ による変換行列を P = (p, q)/(r, s) とする。
即ち、
α = pγ + qδ
β = rγ + sδ
とする。
このとき P ∈ SL_2(Z) である。
証明
P ∈ GL_2(Z) であるから det(P) > 0 を示せばよい。
>>151 と同様にして
Δ(α, β) = det(P)Δ(γ, δ) である。
よって
Δ(α, β)/√D = det(P)Δ(γ, δ)/√D である。
ここで D は R の判別式である。
α, β と γ, δ は共に正に向き付けられているから、
Δ(α, β)/√D > 0
Δ(γ, δ)/√D > 0
従って det(P) > 0 である。
証明終
15
14
13
12
11
10
184 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/25(水) 20:15:48
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 過去スレ4の586より D はある2次体 Q(√m) の整環 R の 判別式である。 判別式 D の2次形式の集合を F(D) と書く。 2次形式 ax^2 + bxy + cy^2 を (a, b, c) と略記した (過去スレ4の328)。 σ = (p, q)/(r, s) を SL_2(Z) の元とする。 (a, b, c) ∈ F(D) のとき (a, b, c) に σ = (p, q)/(r, s) を 作用させると、 過去スレ4の401より (a, b, c)σ = (k, l, m) ここで k = ap^2 + bpr + cr^2 l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs m = aq^2 + bqs + cs^2 過去スレ4の281より (k, l, m) の判別式は D である。 よって過去スレ4の403より F(D) は右 SL_2(Z)-集合となる。
185 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 08:32:40
SL_2(Z) の元 (1, 1)/(0, 1) を S と書いた(過去スレ4の237)。 任意の n ∈ Z に対して S^n = (1, n)/(0, 1) である。 よって過去スレ4の401より (a, b, c) ∈ F(D) のとき (a, b, c)S^n = (a, 2an + b, an^2 + bn + c) である。 過去スレ4の587より I = [a, (-b + √D)/2] は R のイデアルである。 (k, l, m) ∈ F(D) があり、[a, (-b + √D)/2] = [k, (-l + √D)/2] とする。 I ∩ Z = aZ = kZ だから a = ±k である。 簡単のために a = k と仮定する。 (-b + √D)/2 = na + t(-l + √D)/2 となる n, t ∈ Z がある。 よって t = 1 -b = 2na - l よって l = b + 2an D = l^2 - 4km = b^2 - 4ac だから (b + 2an)^2 - 4am = b^2 - 4ac よって 4am = (b + 2an)^2 - b^2 + 4ac = 4abn + 4a^2n^2 + 4ac m = bn + an^2 + c 以上から (k, l, m) = (a, 2an + b, an^2 + bn + c) である。 即ち (a, b, c)S^n = (k, l, m) である。
186 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 08:36:29
逆に (a, b, c)S^n = (k, l, m) なら k = a l = 2an + b だから [k, (-l + √D)/2] = [a, -an + (-b + √D)/2] = [a, (-b + √D)/2] である。
187 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 09:03:27
SL_2(Z) を Γ と書き、S で生成される Γ の部分群を Γ_∞ と書く。
即ち Γ_∞ = {S^n = (1, n)/(0, 1), n ∈ Z} である。
Γ は C ∪ {∞} に一次分数変換として作用する
(過去スレ4の196)。ここで、C は複素数体である。
このとき、Γ_∞ は Γ の ∞ における安定化部分群
(過去スレ4の392)である。
Γ_∞ は F(D) に右から作用する。
F(D) の Γ_∞ の作用による商集合を F(D)/Γ_∞ と書いた
(過去スレ4の390)。
R の分数イデアル全体を id(R) と書こう。
(a, b, c) ∈ F(D) に R のイデアル [a, (-b + √D)/2] を対応させる
ことにより F(D) から id(R) への写像が得られる。
この写像を φ_FI と書こう。F は form、I は ideal の頭文字である。
>>186 より φ_FI は F(D)/Γ_∞ から id(R) への写像を引き起こす。
188 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 10:35:47
>>176 を以下のように訂正する。
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R の分数イデアルとする。
I = [α, β] を I のある基底による表示とする。
>>174 より Δ(α, β)^2 = (N(I)^2)D である。
ここで D は R の判別式である。
従って、(Δ(α, β)/√D)^2 = N(I)^2 である。
よって Δ(α, β)/√D は0でない実数である。
ここで √D = (√|D|)i とする(過去レス4の273参照)。
Δ(-α, β)/√D > 0 のとき、基底 α, β は正に向き付けられている
という。
Δ(-α, β)/√D < 0 のとき、基底 α, β は負に向き付けられている
という。
Δ(-α, β) = -αβ' + α'β = -Δ(α, β) だから
Δ(-α, β)/√D = -Δ(α, β)/√D
よって基底 α, β が正に向き付けられているとき
基底 -α, β は負に向き付けられている。
189 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 10:38:51
>>177 を以下のように訂正する。
命題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I ≠ 0 を R の分数イデアルとする。
I = [α, β] = [γ, δ] とし、
α, β と γ, δ は共に正に向き付けられているとする。
α, β の γ, δ による変換行列を P = (p, q)/(r, s) とする。
即ち、
α = pγ + qδ
β = rγ + sδ
とする。
このとき P ∈ SL_2(Z) である。
証明
P ∈ GL_2(Z) であるから det(P) > 0 を示せばよい。
>>151 と同様にして
Δ(α, β) = det(P)Δ(γ, δ) である。
よって
Δ(α, β)/√D = det(P)Δ(γ, δ)/√D である。
ここで D は R の判別式である。
α, β と γ, δ は共に正に向き付けられているから、
Δ(α, β)/√D < 0
Δ(γ, δ)/√D < 0
従って det(P) > 0 である。
証明終
190 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 10:58:09
(a, b, c) ∈ F(D) のとき I = [a, (-b + √D)/2] の
基底 a, (-b + √D)/2 の向き(
>>188 )を調べる。
Δ(-a, (-b + √D)/2) = a((-b + √D)/2 - (-b - √D)/2)
= a√D
従って a > 0 のとき a, (-b + √D)/2 は正の向き、
a < 0 のとき a, (-b + √D)/2 は負の向きである。
まず a > 0 の場合を考える。
α = a
β = (-b + √D)/2 とおき、
f(x, y) = N(xα - yβ)/N(I) とおく。
x と y は有理整数である。
過去スレ4の392より、
k = (αα')/N(I)
l = -(αβ' + βα')/N(I)
m = (ββ')/N(I)
とおけば、f(x, y) = kx^2 + lxy + my^2 である。
今の場合、N(I) = a だから
k = a
l = b
m = c
である。
即ち N(xα - yβ)/N(I) = ax^2 + bxy + cy^2 である。
191 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 11:39:35
今度は a < 0 の場合を考える。 I = [a, (-b + √D)/2] = [-a, (-b + √D)/2] であり、 Δ(a, (-b + √D)/2)) = -a√D だから -a, (-b + √D)/2 は正の向きである。 α = -a β = (-b + √D)/2 とおき、 f(x, y) = N(xα + yβ)/N(I) とおく。 x と y は有理整数である。 過去スレ4の584より、 k = (αα')/N(I) l = (αβ' + βα')/N(I) m = (ββ')/N(I) とおけば、f(x, y) = kx^2 + lxy + my^2 である。 今の場合、N(I) = -a だから k = -a l = -b m = -c である。 即ち N(xα + yβ)/N(I) = -ax^2 - bxy - cy^2 である。
192 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 12:24:17
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、I と J を R の
分数イデアルとする。
J ⊂ I なら N(J)/N(I) は有理整数である。
証明
I = [α, β]
J = [δ, γ]
とする。
J ⊂ I だから
δ = pα + qβ
γ = rα + sβ
と書ける。
ここで p, q, r, s は有理整数である。
>>151 と同様にして
Δ(δ, γ) = (ps - qr)Δ(α, β)
だから
>>175 より
d(J) = (ps - qr)^2 d(I)
>>174 より
d(I) = (N(I)^2)d(R)
だから
d(J) = (ps - qr)^2(N(I)^2)d(R)
d(J) = (N(J)^2)d(R)
だから
(ps - qr)^2(N(I)^2)d(R) = (N(J)^2)d(R)
よって
N(I)|ps - qr| = N(J)
証明終
193 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 12:33:43
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
γ ≠ 0 を2次体 Q(√m) の元とする。
N(γR) = |N(γ)| である。
証明
>>172 において I = R とすればよい。
194 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 12:36:11
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、I と J を R の
分数イデアルとする。
γ ∈ I なら N(γ)/N(I) は有理整数である。
証明
>>192 と
>>193 より明らかである。
195 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 12:37:18
>>194 を以下のように訂正する。
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、I を R の
分数イデアルとする。
γ ∈ I なら N(γ)/N(I) は有理整数である。
証明
>>192 と
>>193 より明らかである。
196 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 12:59:00
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I を R の分数イデアルとする。
α, β ∈ I なら (αβ' + βα')/N(I) は有理整数である。
証明
N(α + β) = (α + β)(α' + β')
= αα' + (αβ' + βα') + ββ'
よって
(αβ' + βα')/N(I) = N(α + β)/N(I) - αα'/N(I) - ββ'/N(I)
>>195 よりこの右辺は有理整数である。
証明終
197 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 13:23:43
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I = [α, β] を R の分数イデアルとする。
α, β は正に向き付けられているとする(
>>188 )。
s = ±1 として f(x, y) = sN(xα - syβ)/N(I) とおく。
x と y は有理整数である。
>>195 より f(x, y) は有理整数である。
f(x, y) は α, β, s に依存するから f(α, β, s; x, y) とも書く。
N(xα - syβ) = (xα - syβ)(xα' - syβ')
= (αα')x^2 - s(αβ' + βα')xy + (ββ')y^2
a = s(αα')/N(I)
b = -(αβ' + βα')/N(I)
c = s(ββ')/N(I)
とおけば、f(x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 である。
>>195 と
>>196 より a, b, c は有理整数である。
よって f(x, y) は有理整数係数の2次形式と見なせる。
r ≠ 0 を有理数とする。
rI = [rα, rβ] であり、
Δ(rα, rβ) = (r^2)Δ(α, β) だから rα, rβ の向きも正である。
f(rα, rβ, s; x, y) = sN(xrα - syrβ)/N(rI)
= sN(r)N(xα - syβ)/|N(r)|N(I)
= s(r^2)N(xα - syβ)/(r^2)N(I)
= f(α, β, s; x, y)
がんがれ、くまごろん
199 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 14:21:58
>>197 の続き。
n を有理整数とする。
I = [α, β] = [α, β + nα] である。
Δ(α, β + nα) = α(β' + nα') - α'(β + nα)
= Δ(α, β)
従って、α, β + nα も正の向きである。
f(α, β + nα, s; x, y) = kx^2 + lxy + m^2 を計算しよう。
a = s(αα')/N(I)
b = -(αβ' + βα')/N(I)
c = s(ββ')/N(I)
だから
k = s(αα')/N(I) = a
l = -(α(β + nα)' + (β + nα)α')/N(I)
= b - 2na/s
m = s(β + nα)(β' + nα')/N(I)
= s(ββ' + n(βα' + αβ') + n^2αα')/N(I)
= c - snb + an^2
即ち
f(α, β + nα, s; x, y) = (a, b - 2na/s, an^2 - sbn + c)
200 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 14:24:18
>>185 より
s = 1 のとき
f(α, β + nα, s; x, y) = f(α, β, s; x, y)S^(-n)
s = -1 のとき
f(α, β + nα, s; x, y) = f(α, β, s; x, y)S^n
201 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 15:36:32
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、
I を R の分数イデアルとする。
分数イデアルの定義(
>>148 )より、
γI ⊂ R となる R の元 γ ≠ 0 がある。
γ' ∈ R だから
γ'γI ⊂ γ'R ⊂R
r = γγ' とおけば、r は有理整数で rI ⊂ R である。
rI は R のイデアルだから過去レス4の427より
rI = [a, b + cfω] と書ける。
ここで a > 0, 0 ≦ b < a, c > 0 で a と b は c で割れる。
I = [a/r, (b + cfω)/r] である。
Δ(a, b + cfω) = a(b + cfω') - a(b + cfω) = acf(ω' - ω)
= -ac√D
ac > 0 だから a, b + cfω の向きは正である。
Δ(a/r, (b + cfω)/r) = (1/r^2)Δ(a, b + cfω) だから
a/r, b + cfω/r の向きも正である。
即ち、
α = a/r
β = (b + cfω)/r とおけば
I = [α, β] で α, β の向きは正である。
202 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 16:13:16
>>197 の補足。
(αβ' + βα')^2 - 4αα'ββ' = (αβ' - βα')^2
だから f(x, y) の判別式は (αβ' - βα')^2/N(I)^2 である。
>>174 よりこれは R の判別式に等しい(過去スレ4の584も参照)。
203 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 16:34:46
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
R の分数イデアル全体を id(R) と書いた(
>>187 )。
I を R の分数イデアルとし、r ≠ 0 を有理数とすると、
rI は R の分数イデアルである。
従って id(R) は Q^* の元の作用により (Q^*)-集合(
>>388 )となる。
ここで Q は有理数体であり、Q^* はその乗法群である。
id(R)/(Q^*) × {±1} から F(D)/Γ_∞ への写像 φ_IF を以下のように
定義する。ここで {±1} は 有理整数環 Z の単元群 Z^* である。
id(R)/(Q^*) の任意の類 {I} をとる。ここで I は R の分数イデアル
である。
>>201 より I の基底 α, β で α は有理数で α, β の向きは正と
なるものがある。
s = ±1 のとき f(x, y) = sN(xα - syβ)/N(I) とおく。
>>197 より f(x, y) は有理整数係数の2次形式と見なせる。
>>202 より f(x, y) の判別式は D である。
f(x, y) の属す F(D)/Γ_∞ の類 {f(x, y)} は id(R)/(Q^*) の類 {I}
のみで決まり、I および α, β のとり方によらないことを示そう。
204 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 18:21:51
補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし I をその原始イデアル(過去スレ4の430)とする。 I = [α, β] で α ∈ Z なら β = s ± fω と書ける。 ここで s ∈ Z である。 証明 I = [a, b + fω] を I の標準基底(過去スレ4の430)とする。 N(I) = a である。 I ∩ Z = αZ = aZ だから α = ±a である。 β = s + tfω とする。 N(I) = |αt| = a|t| である。 従って |t| = 1 である。 証明終
205 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 18:28:19
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし
I をその原始イデアル(過去スレ4の430)とする。
I = [α, β] = [α, γ] で α ∈ Z なら
β - γ ∈ αZ である。
証明
>>204 より β - γ ∈ I ∩ Z = αZ である。
証明終
206 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/28(土) 19:03:39
>>205 を以下のように訂正する。
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし
I をその原始イデアル(過去スレ4の430)とする。
I = [α, β] = [α, γ] で α ∈ Z かつ
α, β と α, γ の向きはともに正とする。
このとき
β - γ ∈ αZ である。
証明
>>204 より β = s ± fω と書ける。
β = s + fω のとき
Δ(α, β) = -α√D
β = s - fω のとき
Δ(α, β) = α√D
同様に
γ = t ± fω と書ける。
γ = t + fω のとき
Δ(α, γ) = -α√D
γ = t - fω のとき
Δ(α, γ) = α√D
α, β と α, γ の向きはともに正だから
β = s + fω のとき γ = t + fω であり、
β = s - fω のとき γ = t - fω である。
よって β - γ ∈ I ∩ Z = αZ である。
証明終
207 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 01:50:43
>>203 の続き。
id(R)/(Q^*) の任意の類 {I} をとる。ここで I は R の分数イデアル
である。
>>201 より I の基底 α, β で α は有理数で α, β の向きは正と
なるものがある。
>>201 より rI ⊂ R となる有理整数 r ≠ 0 がある。
rI はある有理整数と原始イデアルの積となるから、
結局、 qI が原始イデアルとなるような有理数 q ≠ 0 がある。
qI = [qα, qβ] であるが、
>>197 より
f(α, β, s; x, y) = f(qα, qβ, s; x, y)
従って、I は原始イデアルと仮定してよい。
I = [γ, δ] で γ は有理整数で γ, δ の向きは正とする。
α = ±γ である。
α = -γ なら I = [-γ, -δ] で -γ, -δ の向きは正であるから
α = γ と仮定してよい。
このとき
>>206 より β - δ ∈ αZ である。
>>200 より
f(α, β, s; x, y) と f(γ, δ, s; x, y) は F(D)/Γ_∞ の同じ類
に属す。
これで
>>203 の最後の主張は証明された。
208 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 02:22:14
>>187 で (a, b, c) ∈ F(D) に R のイデアル [a, (-b + √D)/2] を
対応させる F(D) から id(R) への写像を φ_FI と書いたが、
(a, b, c) ∈ F(D) に ([a, (-b + √D)/2], sign(a)) を対応させる
F(D) から id(R) × {±} への写像を φ_FI と書くことに訂正する。
ここで sign(a) は a の符号を表す。
即ち a > 0 のとき sign(a) = 1, a < 0 のとき sign(a) = -1 である。
>>187 より φ_FI は F(D)/Γ_∞ から id(R) × {±} への写像を
引き起こす。
従って F(D)/Γ_∞ から (id(R)/Q^*) × {±} への写像を引き起こす。
この写像を記号の濫用だが同じ φ_FI で表す。
他方、
>>203 と
>>207 より
id(R)/(Q^*) × {±1} から F(D)/Γ_∞ への写像 φ_IF が定義された。
φ_FI と φ_IF は互いに逆写像であることをこれから示す。
209 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 04:43:31
補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 R の任意のイデアル I ≠ 0 は I = [a, b + c(D + √D)/2] と一意に書ける。 ここで a > 0, 0 ≦ b < a, c > 0 で a と b は c で割れる。 証明 θ = (D + √D)/2 とおく。 過去スレ4の585より R = [1, θ] だから I = [a, b + cθ], a > 0, 0 ≦ b < a, c > 0 と一意に書ける ことは過去スレ4の14の証明と同様である。 θ + θ' = D θθ' = (D^2 - D)/4 より θ は X^2 - DX + (D^2 - D)/4 の根である。 従って θ^2 = Dθ - (D^2 - D)/4 aθ ∈ I だから a は c で割れる。 (b + cθ)θ = bθ + cθ^2 = (b + cD)θ - c(D^2 - D)/4 ∈ I D ≡ 0, 1 (mod 4) だから D^2 ≡ 0, 1 (mod 4) よって D^2 ≡ D (mod 4) よって c(D^2 - D)/4 ∈ Z である。 よって b + cD ≡ 0 (mod c) となる。 よって b ≡ 0 (mod c) となる。 証明終
210 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 04:45:50
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
R の原始イデアル I は
I = [a, b + (D + √D)/2] と一意に書ける。
ここで a > 0, 0 ≦ b < a
証明
>>209 より明らかである。
211 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 05:08:37
>>208 の続き。
>>190 と
>>191 より
(φ_IF)(φ_FI) = 1 である。
I を R = [1, ω] の原始イデアルとする。
>>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。
ここで a, b は有理整数で a > 0 である。
θ = (D + √D)/2 とおく。
α = a
β = b + θ
とおいて
>>197 の f(α, β, s; x, y) を計算する。
N(I) = a だから
s(αα')/N(I) = sa
-(αβ' + βα')/N(I) = -(β + β') = -(2b + D)
従って
>>197 より f(α, β, s; x, y) = (sa, -(2b + D), *) である。
ここで * はある有理整数だがその正確な値はここでは必要ない。
この2次形式の φ_FI による像は
([sa, b + (D + √D)/2], s) = (I, s) である。
これは (φ_FI)(φ_IF) = 1 を意味する。
以上から φ_FI と φ_IF は互いに逆写像である。
212 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 05:18:05
>>211 より F(D)/Γ_∞ と (id(R)/Q^*) × {±1} は集合として同型
である。
この事実を述べた文献は非常に少ないと思う。
213 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 05:21:02
>>208 {±} と書いたのは {±1} の間違いである。
214 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 12:11:15
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
Qd = { (-b + √D)/2a ; a > 0, D ≡ b^2 (mod 4a) }
とおく。
Qd は quadratic numbers の略である。
Qd の元 θ と有理整数 n に対して θ + n も Qd の元である。
従って Qd には有理整数環の加法群 Z が作用する。
Qd/Z をその商集合とする。
写像 φ_IQ : id(R)/(Q^*) → Qd/Z を以下のように定義する。
id(R)/(Q^*) の任意の類 { I } をとる。ここで I は R の分数イデアル
である。
>>201 より I の基底 α, β で α は有理数で α, β の向きは正と
なるものがある。
β/α ∈ Qd である。
φ_IQ({ I }) = {β/α} とおく。
これが I の取りかたおよび 基底 α, β の取り方によらないことを
以下に示す。
215 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 12:24:32
>>207 より qI が原始イデアルとなるような有理数 q ≠ 0 がある。
qI = [qα, qβ] であるが
>>197 より qα, qβ の向きも正である。
qβ/qα = β/α であるから I は原始イデアルと仮定してよい。
I = [γ, δ] で γ は有理整数で γ, δ の向きは正とする。
α = ±γ である。
α = -γ なら I = [-γ, -δ] で -γ, -δ の向きは正であるから
α = γ と仮定してよい。
このとき
>>206 より β - δ ∈ αZ である。
よって δ/γ = (β + nα)/α = β/α + n となる n ∈ Z がある。
よって φ_IQ({ I }) は I およびその基底 α, β の取り方によらない。
216 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 12:47:22
今度は、写像 φ_QI : Qd/Z → id(R)/(Q^*) を以下のように定義する。 θ = (-b + √D)/2a が Qd の元のとき、過去スレ4の587より I = [a, (-b + √D)/2] は R のイデアルである。 φ_QI({θ}} = { I } と定義する。 まず θ = (-b + √D)/2a = (-l + √D)/2k とする。 ここで a > 0, D ≡ b^2 (mod 4a) k > 0, D ≡ l^2 (mod 4k) である。 k(-b + √D) = a(-l + √D) よって a = k b = l 従って I = [a, (-b + √D)/2] は θ ∈ Qd により一意に決まる。 n ∈ Z のとき θ + n = (-b + √D)/2a + n = (-b + 2an + √D)/2a これに対応するイデアルは [a, (-b + 2an + √D)/2] = [a, (-b + √D)/2 + an] = [a, (-b + √D)/2] 従って I は {θ} のみで決まる。 以上から写像 φ_QI : Qd/Z → id(R)/(Q^*) は矛盾なく定義された。
217 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 13:05:05
>>214 で定義した φ_IQ : id(R)/Q^* → Qd/Z と
>>216 で定義した φ_QI : Qd/Z → id(R)/Q^* が互いに逆写像で
あることは簡単にわかるが一応証明する。
I を R の原始イデアルとする。
>>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。
ここで a, b は有理整数で a > 0 である。
この基底 a, b + (D + √D)/2 の向きは正である。
φ_IQ({ I }) = { (2b + D + √D)/2a }
φ_QI({ (2b + D + √D)/2a }) = { [a, b + (D + √D)/2] }
よって (φ_QI)(φ_IQ) = 1 である。
今度は θ = (-b + √D)/2a が Qd の元とする。
φ_QI({θ}) = { [a, (-b + √D)/2] }
φ_IQ({ [a, (-b + √D)/2] }) = { (-b + √D)/2a }
よって (φ_IQ)(φ_QI) = 1 である。
以上で φ_IQ と φ_QI は互いに逆写像であることがわかった。
従って、id(R)/Q^* と Qd/Z は集合として同型である。
218 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 13:59:35
>>211 より
φ_FI : F(D)/Γ_∞ → id(R)/Q^* × {±1}
と
φ_IF : id(R)/Q^* × {±1} → F(D)/Γ_∞
は集合としての同型(即ち全単射)である。
>>211 より
φ_IQ : id(R)/Q^* → Qd/Z
と
φ_QI : Qd/Z → id(R)/Q^*
は集合としての同型である。
φ_FI: F(D)/Γ_∞ → id(R)/Q^* × {±1}
と
φ_IQ × 1 : id(R)/Q^* × {±1} → Qd/Z × {±1}
を合成して
同型 φ_FQ : F(D)/Γ_∞ → Qd/Z × {±1}
が得られる。
即ち
(a, b, c) ∈ F(D) のとき
(a, b, c) → ([a, (-b + √D)/2], sign(a))
→ ((-b + √D)/2|a|, sign(a))
と対応させる。
つまり
φ_FQ({ (a, b, c) }) = ({ (-b + √D)/2|a| }, sign(a))
219 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/29(日) 14:09:02
φ_FQ の逆写像 φ_QF : Qd/Z × {±1} → F(D)/Γ_∞ は φ_QI × 1 : Qd/Z × {±1} → id(R)/Q^* × {±1} と φ_IF : id(R)/Q^* × {±1} → F(D)/Γ_∞ の合成である。 即ち (-b + √D)/2a ∈ Qd のとき ((-b + √D)/2a, s) → ([a, (-b + √D)/2], s) → f(a, (-b + √D)/2, s: x, y) と対応させる。 つまり φ_QF({ (-b + √D)/2a }, s) = { f(a, (-b + √D)/2, s: x, y) }
220 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 09:04:31
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 判別式 D の原始的(過去スレ4の279)な2次形式の集合を F_0(D) と書く。 即ち F_0(D) = {(a, b, c) ; D = b^2 - 4ac, gcd(a, b, c) = 1} 過去スレ4の282 より Γ = SL_2(Z) は F_0(D) に右から作用する。 従って商集合 F_0(D)/Γ と F_0(D)/Γ_∞ が得られる。 R の可逆分数イデアル全体を I(R) と書いた(過去スレ2の521)。 I が R の可逆分数イデアルで r ≠ 0 を有理数とすると rI も可逆分数イデアルである。 従って、id(R)/Q^* と同様に I(R)/Q^* が得られる。 過去スレ4の592より判別式 D の2次形式 (a, b, c) が原始的で あるためには R のイデアル [a, (-b + √D)/2] が可逆である ことが必要十分である。 従って同型 φ_FI: F(D)/Γ_∞ → id(R)/Q^* × {±1} は同型 F_0(D)/Γ_∞ → I(R)/Q^* × {±1} を引き起こす。 この同型を(記法の濫用で)同じ φ_FI で表す。
221 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 09:22:08
定義 有理整数係数の原始的な2次多項式 ax^2 + bx + c, a ≠ 0 の根を原始的な2次無理数という。 ここで ax^2 + bx + c が原始的とは gcd(a, b, c) = 1 を意味する。
222 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 09:34:14
>>221 を以下のように訂正する。
定義
ax^2 + bx + c を有理整数係数の原始的な2次多項式とし、
その判別式を D とする。
この多項式の根を判別式 D の原始的な2次無理数という。
ここで ax^2 + bx + c が原始的とは gcd(a, b, c) = 1 を意味する。
223 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 09:58:10
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
Qd = { (-b + √D)/2a ; a > 0, D ≡ b^2 (mod 4a) } とおいた(
>>214 )。
Qd の元で原始的(
>>221 )なもの全体を Qd_0 と書く。
即ち
Qd_0 = { (-b + √D)/2a ∈ Qd ; gcd(a, b, (b^2 - D)/4a) = 1 }
>>218 より
φ_FQ({ (a, b, c) }) = ({ (-b + √D)/2|a| }, sign(a))
により同型
φ_FQ : F(D)/Γ_∞ → Qd/Z × {±1} が得られる。
この同型は同型
F_0(D)/Γ_∞ → Qd_0/Z × {±1} を引き起こす。
この同型を(記法の濫用で)同じ φ_FQ で表す。
224 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 10:03:26
>>220 ,
>>223 から
同型
φ_IQ : id(R)/Q^* → Qd/Z
は同型
I(R)/Q^* → Qd_0/Z を引き起こすことが分かる。
この同型を(記法の濫用で)同じ φ_IQ で表す。
225 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 10:27:18
定義 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 R の Picard 群 Pic(R) = I(R)/P(R) (過去スレ4の473) を Cl(D) と書く。
226とは何か.ここでは"226"に五つの意味を与えよう. 226は自然数である."226"の一つ目の意味だ. 自然数からいくつでも次の自然数を作ることができる.数学では自然数全体の集合は存在するという前提がある. 自然数の空間には加法を入れることができる.乗法も入れられるが,ここでは関係ない.自然数の加法があると,加法の逆演算を考えたくなる.それを減法と呼ぶが,減法のできない自然数の組が存在する. そこで,自然数の組を利用して整数の空間を作る.整数の組ならどのようなものでも減法ができる.整数の空間に全ての自然数を埋め込むことができる.整数の226もできる."226"の二つ目の意味だ. ところで,整数の空間では加法減法乗法は自由にできるが,乗法の逆演算である除法はできないことがあるから,除法もできる空間を考えよう. 整数の空間は乗法について交換法則が成り立ち,しかも0でない整数m,nの積mnは0でないという性質があるから,整数空間の構造を部分的に含み,しかも0で割る以外の加減乗除が自由に出来,二整数の除法だけで作った空間が一意に存在する. そのような空間の要素を有理数と呼ぶ.有理数の226もできる."226"の三つ目の意味だ. 有理数の空間の基本列として,1,3/2,7/5,17/12,41/29,…のようなものがあるが,これは有理数の極限を持たない. そこで,有理数の基本列の極限を全て入れた空間を考える.その空間の要素を実数という.実数空間には有理数空間を埋め込むことができ,実数の226もできる."226"の四つ目の意味だ. 実数係数整式では,例えばx^2+1にはxにどのような実数を代入しても0にならない.つまり,実数の範囲で解けない代数方程式があるのだ. そこで,i^2+1=0を満たすiを加えてさらに加減乗除ができるよう拡張した空間を考える.その空間の元を複素数という.ちなみに複素数係数の代数方程式は1次以上なら必ず複素数の範囲で解が存在する. 複素数空間に実数空間を埋め込むことができ,複素数の226もできる."226"の五つ目の意味だ.
227 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 10:32:36
定義 R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 Q(√m) は実2次体だから D > 0 である。 P+(R) = {αR ; α ∈ Q(√m), N(α) > 0 } とおく。 I(R)/P+(R) を Cl+(D) と書き、R の狭義のイデアル類群と呼ぶ。
228 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 13:05:17
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
I = [α, β] を R の分数イデアルとし、
α, β の向き(
>>188 )は正とする。
f(α, β; x, y) = N(xα - yβ)/N(I) とおく。
これは
>>197 の f(α, β, s; x, y) = sN(xα - syβ)/N(I) で
s = 1 の場合である。
>>197 と
>>202 より f(α, β; x, y) は判別式 D の2次形式である。
I = [γ, δ] で、γ, δ の向きも正とする。
>>189 より
α = pγ + qδ
β = rγ + sδ
となる有理整数 p, q, r, s で ps - qr = 1 となるものがある。
>>197 より
a = (αα')/N(I)
b = -(αβ' + βα')/N(I)
c = (ββ')/N(I)
とおけば、f(α, β; x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 である。
同様に
k = (γγ')/N(I)
l = -(γδ' + δγ')/N(I)
m = (δδ')/N(I)
とおけば、f(γ, δ; x, y) = kx^2 + lxy + my^2 である。
229 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2007/04/30(月) 13:08:49
231 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 13:17:22
αα' = (pγ + qδ)(pγ' + qδ')
= γγ'p^2 + (γδ' + δγ')pq + δδ'q^2
αβ' + βα'
= (pγ + qδ)(rγ' + sδ') + (rγ + sδ)(pγ' + qδ')
= γγ' pr + γδ'ps + δγ'qr + δδ'qs
+ γγ' rp + γδ' rq + δγ'sp + δδ'qs
= 2γγ' pr + (γδ'+ δγ')(sp + qr) + 2γγ' qs
ββ' = (rγ + sδ)(rγ' + sδ')
= γγ'r^2 + (γδ' + δγ')rs + δδ's^2
従って
a = kp^2 - lpq + mq^2
b = 2kpr - l(sp + qr) + 2mqs
c = kr^2 - lrs + ms^2
従って
>>184 より σ = (-p, r)/(q, -s) おくと σ ∈ SL_2(Z) で
(k, l, m)σ = (a, b ,c)
232 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 13:30:57
>>231 を以下のように訂正する。
αα' = (pγ + qδ)(pγ' + qδ')
= γγ'p^2 + (γδ' + δγ')pq + δδ'q^2
αβ' + βα'
= (pγ + qδ)(rγ' + sδ') + (rγ + sδ)(pγ' + qδ')
= γγ' pr + γδ'ps + δγ'qr + δδ'qs
+ γγ' rp + γδ' rq + δγ'sp + δδ'qs
= 2γγ' pr + (γδ'+ δγ')(sp + qr) + 2γγ' qs
ββ' = (rγ + sδ)(rγ' + sδ')
= γγ'r^2 + (γδ' + δγ')rs + δδ's^2
従って
a = kp^2 - lpq + mq^2
b = -2kpr + l(sp + qr) - 2mqs
c = kr^2 - lrs + ms^2
従って
>>184 より σ = (-p, r)/(q, -s) おくと σ ∈ SL_2(Z) で
(k, l, m)σ = (a, b ,c)
233 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 14:06:35
定義 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 判別式 D の正定値(過去スレ4の293)原始2次形式の集合を (F_0)+(D) と書く。 これは過去スレ4の405と異なることに注意しておく。
234 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 14:13:02
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
判別式 D の2次形式の集合を F(D) と書いた(
>>184 )。
I = [α, β] を R の分数イデアルとし、
α, β の向き(
>>188 )は正とする。
>>228 ,
>>232 より f(α, β; x, y) が属す F(D)/Γ の類は α, β の
取り方によらない。
>>220 より I が可逆分数イデアルのときは f(α, β; x, y) は
原始的である。
D < 0 のときは (αα')/N(I) > 0 だから f(α, β; x, y) は
正定値である。
235 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 14:21:39
δ ≠ 0 を Q(√m) の元とする。
δI = [δα, δβ] も R の可逆分数イデアルである。
f(δα, δβ; x, y) = N(xδα - yδβ)/N(δI)
= (N(δ)/|N(δ)|)f(α, β; x, y)
従って、N(δ) > 0 なら f(δα, δβ; x, y) = f(α, β; x, y)
である。
Q(√m) が虚2次体のときは常に N(δ) > 0 である。
よって、I に f(α, β; x, y) が属す (F_0)+(D)/Γ の類を対応させる
ことにより
写像 ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ
が得られる。
Q(√m) が実2次体のときは N(δ) > 0 なる δ で生成される
単項イデアル δR 全体のなす群 P+(R) で I(R) を類別した
狭義のイデアル類群 Cl+(D) を考える(
>>227 )。
このとき、I に f(α, β; x, y) が属す F_0(D)/Γ の類を対応させる
ことにより
写像 ψ_IF : Cl+(D) → F_0(D)/Γ
が得られる。
236 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2007/04/30(月) 15:23:18
talk:
>>230 私がやってみよう。1次元〜226次元線形空間の226倍写像。
237 :
132人目の素数さん :2007/04/30(月) 17:44:47
それよりkingとくんまーの白熱した議論が見たい
238 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2007/04/30(月) 18:06:42
talk:
>>237 だが、何の議論をすればいいのだ?
>>238 人の脳を読む能力を悪用する奴を潰す必要性について
241 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/02(水) 20:32:42
再び
>>232 (即ち
>>228 の続き)を以下のように訂正する。
f(α, β; x, y) = N(xα - yβ)/N(I)
に
α = pγ + qδ
β = rγ + sδ
を代入すると
f(α, β; x, y) = N(x(pγ + qδ) - y(rγ + sδ))/N(I)
= ((xp - yr)γ - (-xq + ys)δ)/N(I)
= f(γ, δ; xp - yr, -xq + ys)
従って (a, b, c) = (k, l, m)σ
ここで σ = (p, -r)/(-q, s) ∈ SL_2(Z)
242 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 11:07:24
>>235 の続き。
D < 0 のとき
ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ
D > 0 のとき
ψ_IF : Cl+(D) → F_0(D)/Γ
が定義された。
それぞれの逆写像 ψ_FI を定義しよう。
D < 0 の場合。
(a, b, c) ∈ F_0+(D) のとき
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2] } と定義する。
D > 0 の場合。
(a, b, c) ∈ F_0(D) のとき
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2]α } と定義する。
ここで α は sign(N(α)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の
元である。
例えば
a > 0 のときは α = 1
a < 0 のときは α = √m とすればよい。
以上の定義が2次形式類の代表 (a, b, c) の取り方によらないことを
証明しよう。
243 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 11:32:01
D < 0 の場合。 ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) の定義が (a, b, c) ∈ F_0+(D) の取り方によらないことは、 過去スレ4の598で証明されている。 D > 0 の場合を考える。 f = (a, b, c) ∈ F_0(D) のとき Ψ(f) = { [a, (-b + √D)/2]α } ∈ Cl+(D) と定義する。 ここで α は sign(N(α)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の 元である。 ψ_FI : F_0(D)/Γ → Cl+(D) の定義が (a, b, c) ∈ F_0(D) の取り方によらないことを証明するには、 任意の σ ∈ SL_2(Z) に対して Ψ(fσ) = Ψ(fσ) を証明すればよい。 過去スレ4の269より SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。 従って Ψ(fS) = Ψ(f) と Ψ(fT) = Ψ(f) を証明すればよい。
244 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 11:51:16
>>185 より
(a, b, c)S = (a, 2a + b, a + b + c)
よって
Ψ(fS) = { [a, -a + (-b + √D)/2]α }
= { [a, (-b + √D)/2]α }
= Ψ(f)
>>184 より (a, b, c)T = (c, -b, a) だから
Ψ(fT) = { [c, (b + √D)/2]β }
ここで sign(N(β)) = sign(c)
I = [a, (-b + √D)/2]
J = [c, (b + √D)/2]
θ = (-b + √D)/2
とおく。
θ'I = [a(-b - √D)/2, ac]
= a[(-b - √D)/2, c]
= a[c, (b + √D)/2]
= aJ
よって
I = (a/θ')J
Iα = (a/θ')Jα = (aα/θ'β)Jβ
N(θ') = ac だから
N(aα/θ'β) = (a^2)N(α)/acN(β) = aN(α)/cN(β) > 0
よって
Ψ(fT) = { Jβ } = { Iα } = Ψ(f)
証明終
245 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 12:03:49
D < 0 の場合。
ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D)
の定義が
(a, b, c) ∈ F_0+(D) の取り方によらないことは、
過去スレ4の598で証明されているが、
>>244 と同様にも証明される。
つまり、
>>244 の I = (a/θ')J は D < 0 の場合もそのまま成り立つ。
246 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 12:10:38
>>243 の証明の基本アイデアつまり、
SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される
事実を利用する方法は Buell の Binary quadratic forms から借りた。
このアイデアを知るまでは証明がどうしてもうまくいかなかった。
247 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 17:55:36
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
>>235 で 写像 ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ が
>242 で 写像 ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) が定義された。
(ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明
(a, b, c) ∈ F_0+(D) とする。
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2] } である。
I = [a, (-b + √D)/2]
α = a
β = (-b + √D)/2 とおく。
-Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(
>>188 )は正である。
>>228 において
(αα')/N(I) = a^2/a = a
-(αβ' + βα')/N(I) = (ab)/a = b
(ββ')/N(I) = ac/a = a
だから N(xα - yβ)/N(I) = a^x^2 + bxy + cy^2 である。
従って (ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明終
248 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:02:25
>>247 を以下のように訂正する。
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
>>235 で 写像 ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ が
>242 で 写像 ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) が定義された。
(ψ_IF)(ψ_FI) = 1 である。
証明
(a, b, c) ∈ F_0+(D) とする。
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2] } である。
I = [a, (-b + √D)/2]
α = a
β = (-b + √D)/2 とおく。
-Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(
>>188 )は正である。
>>228 において
(αα')/N(I) = a^2/a = a
-(αβ' + βα')/N(I) = (ab)/a = b
(ββ')/N(I) = ac/a = a
だから N(xα - yβ)/N(I) = a^x^2 + bxy + cy^2 である。
従って (ψ_IF)(ψ_FI) = 1 である。
証明終
249 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:16:34
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
>>235 で 写像 ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ が
>242 で 写像 ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) が定義された。
(ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明
>>207 より Cl(D) の代表として原始イデアル I が取れる。
>>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。
ここで a > 0, 0 ≦ b < a
α = a
β = b + (D + √D)/2 とおく。
-Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(
>>188 )は正である。
>>228 において
(αα')/N(I) = a^2/a = a
-(αβ' + βα')/N(I) = -a(2b + D)/a = -2b - D
(ββ')/N(I) = (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a
よって
ψ_IF({ I }) = { (a, -2b - D, (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a) }
ψ_FI({ (a, -2b - D, (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a) })
= { [a, b + (D + √D)/2] }
よって
(ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明終
250 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:21:25
>>248 と
>>249 より D < 0 のとき
(F_0)+(D)/Γ と Cl(D) は集合として同型である。
このことは過去スレ601と602でも証明されている。
251 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:40:54
命題
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
>>235 で 写像 ψ_IF : Cl+(D) → F_0(D)/Γ が
>242 で 写像 ψ_FI : F_0(D)/Γ → Cl+(D) が定義された。
(ψ_IF)(ψ_FI) = 1 である。
証明
(a, b, c) ∈ F_0(D) とする。
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2]δ } である。
ここで δ は sign(N(δ)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の
元である。
I = [a, (-b + √D)/2]δ
α = aδ
β = (-b + √D)δ/2 とおく。
-Δ(α, β) = aδ'(-b + √D)δ/2 - aδ(-b - √D)δ'/2
= N(δ)a√D だから I の基底 α, β の向き(
>>188 )は正である。
>>228 において
(αα')/N(I) = N(δ)a^2/|N(δ)||a| = sign(N(δ))sign(a)a = a
-(αβ' + βα')/N(I) = N(δ)(ab)/|N(δ)||a|
= sign(N(δ))sign(a)b = b
(ββ')/N(I) = N(δ)ac/|N(δ)||a| = sign(N(δ))sign(a)c = c
よって
(ψ_IF)(ψ_FI) = 1 である。
証明終
252 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:47:26
命題
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
>>235 で 写像 ψ_IF : Cl+(D) → F_0(D)/Γ が
>242 で 写像 ψ_FI : F_0(D)/Γ → Cl+(D) が定義された。
(ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明
>>207 より Cl+(D) の代表として原始イデアル I が取れる。
>>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。
ここで a > 0, 0 ≦ b < a
α = a
β = b + (D + √D)/2 とおく。
-Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(
>>188 )は正である。
>>228 において
(αα')/N(I) = a^2/a = a
-(αβ' + βα')/N(I) = -a(2b + D)/a = -2b - D
(ββ')/N(I) = (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a
よって
ψ_IF({ I }) = { (a, -2b - D, (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a) }
ψ_FI({ (a, -2b - D, (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a) })
= { [a, b + (D + √D)/2]δ }
ここで δ は sign(N(δ)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の
元である。
a > 0 だから δ = 1 とできる。
よって
(ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明終
253 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:49:23
>>251 と
>>252 より D > 0 のとき
F_0(D)/Γ と Cl+(D) は集合として同型である。
254 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 23:15:20
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
Qd = { (-b + √D)/2a ; a > 0, D ≡ b^2 (mod 4a) } とおいた(
>>214 )。
Qd の元で原始的(
>>221 )なもの全体を Qd_0 と書いた(
>>223 )。
即ち
Qd_0 = { (-b + √D)/2a ∈ Qd ; gcd(a, b, (b^2 - D)/4a) = 1 }
θ = (-b + √D)/2a ∈ Qd_0 のとき
過去スレ4の592より [a, (-b + √D)/2] は R の可逆イデアルである。
g(θ) を [a, (-b + √D)/2] の属す Cl+(D) (
>>227 ) の類とする。
ただし、D < 0 のときは Cl+(D) は Cl(D) を意味するとする。
σ ∈ SL_2(Z) のとき g(σθ) = g(θ) を示そう。
過去スレ4の269より
SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。
従って
g(Sθ) = g(θ) と g(Tθ) = g(θ) を証明すればよい。
255 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 13:36:04
>>254 は没とする。
理由は Qd は SL_2(Z) の作用で閉じていないため。
256 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 15:54:10
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D > 0 を
その判別式とする。
Q(D) = { (-b + √D)/2a ; D ≡ b^2 (mod 4a) } とおく。
即ち Q(D) は判別式 D に属す2次無理数(過去スレ596) の集合である。
Q_0(D) = { (-b + √D)/2a ∈ Q(D) ; gcd(a, b, (b^2 - D)/4a) = 1 }
とおく。
即ち Q_0(D) は判別式 D に属す原始的な2次無理数(過去スレ596) の
集合である。
Q_0(D) は左 SL_2(Z)-集合である。
g(θ) を [a, (-b + √D)/2]δ の属す Cl+(D) (
>>227 ) の類とする。
ここで δ は sign(N(δ)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の
元である。
σ ∈ SL_2(Z) のとき g(σθ) = g(θ) を示そう。
過去スレ4の269より
SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。
従って
g(Sθ) = g(θ) と g(Tθ) = g(θ) を証明すればよい。
257 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 16:08:05
Sθ = θ + 1 = (2a - b + √D)/2a
[a, (2a - b + √D)/2] = [a, a + (-b + √D)/2] = [a, (-b + √D)/2]
よって g(Sθ) = g(θ) である。
Tθ = -1/θ = -2a/(-b + √D) = -2a(-b - √D)/4ac = (b + √D)/2c
よって
g(Tθ) = { [c, (b + √D)/2]γ } である。
ここで γ は sign(N(γ)) = sign(c) となる Q(√m) の任意の
元である。
((-b - √D)/2)[a, (-b + √D)/2] = [a(-b - √D)/2, ac]
= a[(b + √D)/2, c]
よって
I = [a, (-b + √D)/2]
J = [c, (b + √D)/2]
とおくと
θ' I = aJ
I = (a/θ')J
Iδ = (a/θ')Jδ = (aδ/θ'γ)Jγ
N(θ') = ac だから
N(aδ/θ'γ) = a^2N(δ)/acN(γ) = aN(δ)/cN(γ) > 0
よって I と J は Cl+(D) の同じ類に属す。
即ち
g(Tθ) = g(θ) である。
よって
>>256 の最後の主張が証明された。
258 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 16:14:59
>>256 より g(θ) は θ の属す Q_0(D)/Γ の類できまり、
その代表元 θ の取り方によらない。
よって写像
ψ_QI: Q_0(D)/Γ → CL+(D) が定義される。
259 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 16:37:16
CL+(D) の任意の類 { I } をとる。ここで I は R の可逆分数イデアル
である。
I = [α, β] で α, β の向きは正とする。
このような基底 α, β が存在することは
>>201 からわかる。
>>228 と同様に
f(α, β; x, y) = N(xα - yβ)/N(I) とおく。
>>197 より
a = (αα')/N(I)
b = -(αβ' + βα')/N(I)
c = (ββ')/N(I)
とおけば、f(α, β; x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 である。
h(x) = ax^2 + bx + c とおく。
N(I)αh(β/α) = α'β^2 - αββ' - α'β^2 + αββ' = 0
よって h(β/α) = 0 である。
よって β/α は D に属す2次無理数である。
260 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 17:21:36
I = [γ, δ] で、γ, δ の向きも正とする。
>>189 より
α = pγ + qδ
β = rγ + sδ
となる有理整数 p, q, r, s で ps - qr = 1 となるものがある。
θ = β/α
μ = δ/δ
とおく。
θ = β/α = (rγ + sδ)/(pγ + qδ) = (r + sμ)/(p + qμ)
よって
μ = (pθ - r)/(-qθ + s)
よって μ と θ は Q_0(D)/Γ の同じ類に属す。
τ ∈ Q(√m) で N(τ) > 0 とする。
τI = τ[α, β] = [τα, τβ] で
Δ(τα, τβ) = τατ'β' - τβτ'α' = N(τ)Δ(α, β)
だから τα, τβ の向きは正である。
さらに τβ/τα = β/α である。
以上から写像
ψ_IQ: CL+(D) → Q_0(D)/Γ が
ψ_IQ({ I }) = {β/α} で矛盾なく定義されることがわかった。
261 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 17:49:14
命題
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D > 0 をその判別式
とする。
>>258 で 写像 ψ_QI: Q_0(D)/Γ → CL+(D) が定義された。
>260 で 写像 ψ_IQ: CL+(D) → Q_0(D)/Γ が が定義された。
(ψ_IQ)(ψ_QI) = 1 である。
証明
θ = (-b + √D)/2a ∈ Q_0(D) とする。
I = [a, (-b + √D)/2]δ とおく。
ここで δ は sign(N(δ)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の
元である。
ψ_QI({ θ }) = { I } である。
α = a
β = (-b + √D)/2
とおく。
I = [δα, δβ] である。
Δ(δα, δβ) = δαδ'β' - δβδ'α' = N(δ)Δ(α, β)
= -N(δ)a√D < 0
よって δα, δβ の向きは正である。
δβ/δα = β/α である。
従って、ψ_IQ({ I }) = { θ } である。
よって (ψ_IQ)(ψ_QI) = 1 である。
証明終
262 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:07:36
命題
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D > 0 をその判別式
とする。
>>258 で 写像 ψ_QI: Q_0(D)/Γ → CL+(D) が定義された。
>260 で 写像 ψ_IQ: CL+(D) → Q_0(D)/Γ が が定義された。
(ψ_QI)(ψ_IQ) = 1 である。
証明
>>207 より Cl+(D) の代表として原始イデアル I が取れる。
>>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。
ここで a > 0, 0 ≦ b < a
α = a
β = b + (D + √D)/2 とおく。
-Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(
>>188 )は正である。
β/α = (2b + D + √D)/2a
よって
ψ_IQ({ I }) = { (2b + D + √D)/2a })
a > 0 だから
ψ_QI({ (2b + D + √D)/2a })) = { [a, b + (D + √D)/2] }
よって
(ψ_QI)(ψ_IQ) = 1 である。
証明終
263 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:09:30
>>261 と
>>262 より D > 0 のとき
Q_0(D)/Γ と Cl+(D) は集合として同型である。
264 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:25:21
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D < 0 を
その判別式とする。
Q+(D) = { a > 0, (-b + √D)/2a ; D ≡ b^2 (mod 4a) } とおく。
これは
>>214 の Qd と同じものである。
即ち Q+(D) は判別式 D に属す2次無理数(過去スレ596) で
複素上半平面にあるものの集合である。
(Q_0)+(D) = { (-b + √D)/2a ∈ Q+(D) ; gcd(a, b, (b^2 - D)/4a) = 1 }
とおく。
即ち (Q_0)+(D) は Q+(D) に属す原始的な2次無理数(過去スレ596) の
集合である。
これは
>>223 の Qd_0 と同じものである。
(Q_0)+(D) は左 SL_2(Z)-集合である。
θ = (-b + √D)/2a ∈ (Q_0)+(D) のとき
g(θ) を [a, (-b + √D)/2] の属す Cl(D) の類とする。
σ ∈ SL_2(Z) のとき g(σθ) = g(θ) を示そう。
過去スレ4の269より
SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。
従って
g(Sθ) = g(θ) と g(Tθ) = g(θ) を証明すればよい。
265 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:26:44
Sθ = θ + 1 = (2a - b + √D)/2a [a, (2a - b + √D)/2] = [a, a + (-b + √D)/2] = [a, (-b + √D)/2] よって g(Sθ) = g(θ) である。 Tθ = -1/θ = -2a/(-b + √D) = -2a(-b - √D)/4ac = (b + √D)/2c b^2 - 4ac < 0 b^2 < 4ac a > 0 だから c > 0 である。 よって g(Tθ) = { [c, (b + √D)/2] } ((-b - √D)/2)[a, (-b + √D)/2] = [a(-b - √D)/2, ac] = a[(b + √D)/2, c] よって I = [a, (-b + √D)/2] J = [c, (b + √D)/2] とおくと θ' I = aJ I = (a/θ')J よって I と J は Cl(D) の同じ類に属す。
266 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:29:09
>>265 より g(θ) は θ の属す (Q_0)+(D)/Γ の類できまり、
その代表元 θ の取り方によらない。
よって写像
ψ_QI: (Q_0)+(D)/Γ → CL(D) が定義される。
267 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:49:01
CL(D) の任意の類 { I } をとる。ここで I は R の可逆分数イデアル
である。
I = [α, β] で α, β の向きは正とする。
このような基底 α, β が存在することは
>>201 からわかる。
>>228 と同様に
f(α, β; x, y) = N(xα - yβ)/N(I) とおく。
>>197 より
a = (αα')/N(I)
b = -(αβ' + βα')/N(I)
c = (ββ')/N(I)
とおけば、f(α, β; x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 である。
h(x) = ax^2 + bx + c とおく。
N(I)αh(β/α) = α'β^2 - αββ' - α'β^2 + αββ' = 0
よって h(β/α) = 0 である。
よって β/α は D に属す2次無理数である。
Im(β/α) = (β/α - β'/α')/2 = (βα' - αβ')/2αα'
= (βα' - αβ')/2N(α)
α, β の向きは正だから
(βα' - αβ')/√D > 0
α は虚2次体 Q(√m) の元だから αα' = N(α) > 0 である。
よって
Im(β/α)/√D = (βα' - αβ')/2N(α)√D > 0
よって β/α は複素上半平面にある。
268 :
クマーさんを応援する人 :2007/05/04(金) 20:56:58
こんにちは。
269 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 00:54:53
>>267 の続き。
>>250 より
(F_0)+(D)/Γ と Cl(D) は集合として同型である。
この同型で { (a, b, c) } は { I } と対応するから
(a, b, c) は原始的である。
>>267 より β/α は ax^2 + bx + c の根だから β/α は
原始的である。
よって β/α は (Q_0)+(D) の元である。
270 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 00:55:57
I = [γ, δ] で、γ, δ の向きも正とする。
>>189 より
α = pγ + qδ
β = rγ + sδ
となる有理整数 p, q, r, s で ps - qr = 1 となるものがある。
θ = β/α
μ = δ/δ
とおく。
θ = β/α = (rγ + sδ)/(pγ + qδ) = (r + sμ)/(p + qμ)
よって
μ = (pθ - r)/(-qθ + s)
よって μ と θ は (Q_0)+(D) の同じ類に属す。
τ ≠ 0 を Q(√m) の元とする。
τI = τ[α, β] = [τα, τβ] で
Δ(τα, τβ) = τατ'β' - τβτ'α' = N(τ)Δ(α, β)
N(τ) > 0 だから τα, τβ の向きは正である。
さらに τβ/τα = β/α である。
以上から写像
ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が
ψ_IQ({ I }) = {β/α} で矛盾なく定義されることがわかった。
271 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 01:04:00
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D < 0 をその判別式
とする。
>>266 で 写像 ψ_QI: (Q_0)+(D)/Γ → CL(D) が定義された。
>260 で 写像 ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が定義された。
(ψ_IQ)(ψ_QI) = 1 である。
証明
θ = (-b + √D)/2a ∈ (Q_0)+(D) とする。
I = [a, (-b + √D)/2] とおく。
ψ_QI({ θ }) = { I } である。
α = a
β = (-b + √D)/2
とおく。
Δ(α, β) = αβ' - βα' = -a√D < 0
よって α, β の向きは正である。
β/α = (-b + √D)/2a = θ
従って、ψ_IQ({ I }) = { θ } である。
よって (ψ_IQ)(ψ_QI) = 1 である。
証明終
272 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 01:06:55
>>271 >>260 で 写像 ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が定義された。
>>270 で 写像 ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が定義された。
273 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 01:10:04
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D < 0 をその判別式
とする。
>>266 で 写像 ψ_QI: (Q_0)+(D)/Γ → CL(D) が定義された。
>>270 で 写像 ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が定義された。
(ψ_QI)(ψ_IQ) = 1 である。
証明
>>207 より Cl(D) の代表として原始イデアル I が取れる。
>>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。
ここで a > 0, 0 ≦ b < a
α = a
β = b + (D + √D)/2 とおく。
Δ(α, β) = -a√D だから I の基底 α, β の向き(
>>188 )は正である。
β/α = (2b + D + √D)/2a
よって
ψ_IQ({ I }) = { (2b + D + √D)/2a })
a > 0 だから
ψ_QI({ (2b + D + √D)/2a })) = { [a, b + (D + √D)/2] }
よって
(ψ_QI)(ψ_IQ) = 1 である。
証明終
274 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 01:12:24
>>271 と
>>273 より D < 0 のとき
(Q_0)+(D)/Γ と Cl(D) は集合として同型である。
275 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 10:01:18
D < 0 のとき
>>248 と
>>249 より
ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) は同型である。
>>271 と
>>273 より
ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ は同型である。
よって
ψ_FQ = IQ(ψ_IQ)(ψ_FI) : (F_0)+(D)/Γ → (Q_0)+(D)/Γ は
同型である。
このとき
(a, b, c) ∈ (F_0)+(D) の類には (-b + √D)/2a の類が
対応する。
276 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 10:07:44
>>275 >よって
>ψ_FQ = IQ(ψ_IQ)(ψ_FI) : (F_0)+(D)/Γ → (Q_0)+(D)/Γ は
同型である。
277 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 10:08:27
>>275 >よって
>ψ_FQ = IQ(ψ_IQ)(ψ_FI) : (F_0)+(D)/Γ → (Q_0)+(D)/Γ は
>同型である。
よって
ψ_FQ = (ψ_IQ)(ψ_FI) : (F_0)+(D)/Γ → (Q_0)+(D)/Γ は
同型である。
278 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 10:10:42
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
D > 0 のとき
>>251 と
>>252 より
ψ_FI : F_0(D)/Γ → Cl+(D) は同型である。
>>261 と
>>262 より
ψ_IQ : CL+(D) → Q_0(D)/Γ は同型である。
よって
ψ_FQ = (ψ_IQ)(ψ_FI) : F_0(D)/Γ → Q_0(D)/Γ は
同型である。
このとき
(a, b, c) ∈ F_0(D) の類には (-b + √D)/2a の類が
対応する。
279 :
132人目の素数さん :2007/05/05(土) 13:30:17
挨拶にシカトするなんて糞 はじめから見てるが、この書き込んでるやつ馬鹿もいいところだろ。 うんこ以下
280 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 19:50:46
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D < 0 をその判別式
とする。
>>220 より同型
φ_FI : F_0(D)/Γ_∞ → I(R)/Q^* × {±1}
が存在する。
φ_FI は
>>243 の同型 ψ_FI を引き起こす。
ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D)
281 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 20:07:26
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D > 0 をその判別式
とする。
P+ = {αR ; α ∈ Q(√m), N(α) > 0 } とおく。
完全列
1 → P+ → K^*/(R^*)+ → {±1} → 1
が存在する。
ここで K = Q(√m) であり、
(R^*)+ = { α ∈ R^* ; N(α) > 0 } である。
K^*/(R^*)+ → {±1} は α ∈ K^* に sign(N(α)) を対応させる
ことにより引き起こされる。
P~ = K^*/(R^*)+ とおく。
(I, s) ∈ I(R) × {±1} と、[β] ∈ P~ に対して
[β](I, s) = (βI, s(sign(N(β)))) と定義する。
ε ∈ (R^*)+ のとき (εI, s(sign(N(ε)))) = (I, s) だから
[β](I, s) は [β] ∈ P~ のみで決まる。
よって商集合 (I(R) × {±1})/P~ が定義される。
>>220 の同型
φ_FI : F_0(D)/Γ_∞ → I(R)/Q^* × {±1}
は同型
F_0(D)/Γ → (I(R) × {±1})/P~ を引き起こすことを示そう。
282 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 20:22:44
[ (a, b, c) ] ∈ F_0(D)/Γ のとき
[([a, (-b + √D)/2], sign(a))] ∈ (I(R) × {±1})/P~
が代表 (a, b, c) の取り方によらないことを示す。
ここで、[ (a, b, c) ] は (a, b, c) が属す F_0(D)/Γ の類を表す。
同様に、[([a, (-b + √D)/2], sign(a))] は (I(R) × {±1})/P~ の
類を表す。
f = (a, b, c) ∈ F_0(D) のとき
Ψ(f) = [([a, (-b + √D)/2], sign(a))] ∈ (I(R) × {±1})/P~
とおく。
過去スレ4の269より
SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。
従って、いつものように
Ψ(fS) = Ψ(f) と Ψ(fT) = Ψ(f) を証明すればよい。
>>185 より
(a, b, c)S = (a, 2a + b, a + b + c)
よって
Ψ(fS) = [([a, -a + (-b + √D)/2], sign(a))]
= Ψ(f)
283 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 20:29:31
>>184 より (a, b, c)T = (c, -b, a) だから
Ψ(fT) = [([c, (b + √D)/2], sign(c))]
I = [a, (-b + √D)/2]
J = [c, (b + √D)/2]
θ = (-b + √D)/2
とおく。
θ'I = [a(-b - √D)/2, ac]
= a[(-b - √D)/2, c]
= a[c, (b + √D)/2]
= aJ
よって
I = (a/θ')J
N(θ') = ac だから
N(a/θ') = a/c
Ψ(fT) = [((a/θ')[c, (b + √D)/2], sign(c)sign(N(a/θ')))]
= [([a, (-b + √D)/2], sign(c)sign(a/c))]
= [([a, (-b + √D)/2], sign(a))]
= Ψ(f)
284 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 07:16:12
(I, s) ∈ I(R) × {±1} とする。
即ち、I は R の可逆分数イデアルであり、s = ±1 である。
I = [α, β] で、α, β は正に向き付けられているとする(
>>188 )。
>>197 で f(α, β, s; x, y) = sN(xα - syβ)/N(I) とおいた。
f(α, β, s; x, y) ∈ F_0(D) である。
I = [γ, δ] で、γ, δ の向きも正とする。
>>189 より
α = pγ + qδ
β = rγ + tδ
となる有理整数 p, q, r, t で pt - qr = 1 となるものがある。
f(α, β, s; x, y) = sN(xα - syβ)/N(I)
に
α = pγ + qδ
β = rγ + tδ
を代入すると
f(α, β, s; x, y) = sN(x(pγ + qδ) - sy(rγ + tδ))/N(I)
= s((xp - ysr)γ - s(-xsq + yt)δ)/N(I)
= f(γ, δ; xp - ysr, -xq + yst)
従って (a, b, c) = (k, l, m)σ
ここで σ = (p, -sr)/(-sq, t) ∈ SL_2(Z)
285 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 07:43:24
δ ∈ K^* として
[δ](I, s) = (δI, s(sign(N(δ))) を考える(
>>281 )。
δI = [δα, δβ] であり、
Δ(δα, δβ) = δαδ'β' - δβδ'α' = N(δ)Δ(α, β)
まず N(δ) > 0 の場合を考える。
Δ(δα, δβ) = Δ(α, β)
だから δα, δβ の向きは正である。
f(δα, δβ, s(sign(N(δ)); x, y) = sN(xδα - syδβ)/N(δI)
= (N(δ)/N(δ))sN(xα - syβ)/N(I)
= sN(xα - syβ)/N(I)
= f(α, β, s; x, y)
N(δ) < 0 とする。
Δ(δα, δβ) = -Δ(α, β)
だから δα, -δβ の向きは正である。
f(δα, -δβ, s(sign(N(δ)); x, y) = -sN(xδα - syδβ)/N(δI)
= -(N(δ)/|N(δ)|)sN(xα - syβ)/N(I)
= sN(xα - syβ)/N(I)
= f(α, β, s; x, y)
286 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 08:07:13
>>282 ,
>>283 より
写像 Ψ_0 : F_0(D)/Γ → (I(R) × {±1})/P~
が
Ψ_0( [ (a, b, c) ] ) = [ ([a, (-b + √D)/2], sign(a)) ]
により定義される。
>>284 より
写像 Ψ_1 : (I(R) × {±1})/P~ → F_0(D)/Γ
が
Ψ_1( [ (I, s) ] ) = [ f(α, β, s; x, y) ]
により定義される。
287 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 08:16:09
(a, b, c) ∈ F_0(D) のとき Ψ_0( [ (a, b, c) ] ) = [ ([a, (-b + √D)/2], sign(a)) ] a > 0 のとき α = a β = (-b + √D)/2 s = sign(a) = 1 とおく。 Δ(α, β) = -a√D だから α, β の向きは正である。 s(αα')/N(I) = a -(αβ' + βα')/N(I) = b s(ββ')/N(I) = c よって f(α, β, s; x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 a < 0 のとき α = -a β = (-b + √D)/2 s = sign(a) = -1 とおく。 Δ(α, β) = a√D だから α, β の向きは正である。 s(αα')/N(I) = a -(αβ' + βα')/N(I) = b s(ββ')/N(I) = c よって f(-α, β, s; x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 以上から Ψ_1Ψ_0 = 1 である。
288 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 08:48:13
[ (I, s) ] ∈ (I(R) × {±1})/P~ とする。
即ち、I は R の可逆分数イデアルであり、s = ±1 である。
>>207 より qI が原始イデアルとなるような有理数 q ≠ 0 がある。
よって I は原始イデアルと仮定してよい。
>>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。
ここで a, b は有理整数で a > 0 である。
α = a
β = b+ (-b + √D)/2
とおく。
Δ(α, β) = -a√D だから α, β の向きは正である。
s(αα')/N(I) = sa
-(αβ' + βα')/N(I) = b
s(ββ')/N(I) = sc
となる。
ただし、 c = (ββ')/N(I) とおいた。
よって
f(α, β, s; x, y) = sax^2 + bxy + scy^2
Ψ_1( [ (I, s) ] ) = [ (sa, b, sc) ]
Ψ_0( (sa, b, sc) ] = [ ([sa, (-b + √D)/2], sign(sa)) ]
= [ (I, s) ]
よって Ψ_0Ψ_1 = 1 である。
289 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 08:51:59
>>287 ,
>>288 より
Ψ_0 と Ψ_1 は互いに逆写像であり、
Ψ_0 : F_0(D)/Γ → (I(R) × {±1})/P~
は集合としての同型である。
290 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 09:14:03
写像 Φ_0 : (I(R) × {±1})/P~ → Cl+(D) を Φ_0( [ (I, s) ] ) = [ δI ] で定義する。 ここで δ ∈ K^* は s = sign(N(δ)) となる任意の元である。 写像 Φ_1 : Cl+(D) → (I(R) × {±1})/P~ を Φ_1( [ I ] ) = [ (I, 1) ] で定義する。 Φ_1Φ_0( [ (I, s) ] ) = Φ_1( [ δI ] ) = [ (δI, 1) ] = [ (I, sign(N(δ))) ] = [ (I, s) ] よって Φ_1Φ_0 = 1 他方、 Φ_0Φ_1( [ I ] ) = Φ_0( [ (I, 1) ] ) = [ I ] よって Φ_0Φ_1 = 1 以上から Φ_0 : (I(R) × {±1})/P~ → Cl+(D) は集合としての同型である。
291 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 09:16:15
>>289 と
>>290 より
Ψ_0 : F_0(D)/Γ → (I(R) × {±1})/P~
と
Φ_0 : (I(R) × {±1})/P~ → Cl+(D)
の合成写像
Φ_0Ψ_0 : F_0(D)/Γ → Cl+(D)
は同型である。
292 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 09:41:43
>>288 を以下のように修正する。
[ (I, s) ] ∈ (I(R) × {±1})/P~ とする。
即ち、I は R の可逆分数イデアルであり、s = ±1 である。
>>207 より qI が原始イデアルとなるような有理数 q ≠ 0 がある。
よって I は原始イデアルと仮定してよい。
>>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。
ここで a, b は有理整数で a > 0 である。
α = a
β = b+ (D + √D)/2
とおく。
Δ(α, β) = -a√D だから α, β の向きは正である。
s(αα')/N(I) = sa
-(αβ' + βα')/N(I) = -2b - D
s(ββ')/N(I) = sc
となる。
ただし、 c = (ββ')/N(I) とおいた。
よって
f(α, β, s; x, y) = sax^2 - (2b + D)xy + scy^2
よって
Ψ_1( [ (I, s) ] ) = [ (sa, -(2b + D), sc) ]
Ψ_0( (sa, b, sc) ] = [ ([sa, b + (D + √D)/2], sign(sa)) ]
= [ (I, s) ]
よって Ψ_0Ψ_1 = 1 である。
293 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 06:46:05
>>286 より
Ψ_0( [ (a, b, c) ] ) = [ ([a, (-b + √D)/2], sign(a)) ]
である。
よって
Φ_0Ψ_0( [ (a, b, c) ] ) = [a, (-b + √D)/2]δ
ここで δ ∈ K^* は sign(a) = sign(N(δ)) となる任意の元である。
従って、
>>242 より Φ_0Ψ_0 = ψ_FI である。
294 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 20:38:51
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D > 0 をその判別式
とする。
>>253 より F_0(D)/Γ と Cl+(D) は集合として同型である。
では広義のイデアル類群 Cl(D) は F_0(D) とどのような関係に
あるのだろうか?
この問題について考えてみる。
295 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 20:40:28
(a, b, c) ∈ F_0(D) のとき I = [a, (-b + √D)/2] は R の可逆イデアル である。 a > 0 なら、 α = a β = (-b + √D)/2 とおく。 Δ(α, β) = -a√D < 0 だから I の基底 α, β は正の向きである。 (αα')/N(I) = a^2/(-a) = a -(αβ' + βα')/N(I) = (ab)/a = b (ββ')/N(I) = ac/a = c だから N(xα - yβ)/N(I) = a^x^2 + bxy + cy^2 である。 a < 0 なら、 α = -a β = (-b + √D)/2 とおく。 Δ(α, β) = a√D < 0 だから I の基底 α, β は正の向きである。 (αα')/N(I) = a^2/(-a) = -a -(αβ' + βα')/N(I) = (-ab)/(-a) = b (ββ')/N(I) = ac/(-a) = -c だから N(xα - yβ)/N(I) = -a^x^2 + bxy - cy^2 である。 従って F_0(D)/Γ において [ (a, b. c) ] と [ (-a, b, -c) ] が同一視出来ればそれによる商集合が Cl(D) と同型になるのでは ないかと見当がつく。
296 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 20:51:58
τ = (1, 0)/(0, -1) とおく。 det(τ) = -1 である。 (a, b. c) ∈ F_0(D) のとき (a, b. c)τ = (a, -b, c) である。 σ ∈ SL_2(Z) とし、(a, b, c)σ = (k, l, m) とする。 (-a, -b, -c) と (-k, -l, -m) も F_0(D) の元であることに注意する。 過去スレ4の401より k = ap^2 + bpr + cr^2 l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs m = aq^2 + bqs + cs^2 よって (-a, -b, -c)σ = (-k, -l, -m) 一方、(-a, b, -c)τ = (-a, -b, -c) だから (-a, b, -c)τσ = (-k, -l, -m) = (-k, l, -m)τ τを両辺に掛けて τ^2 = 1 より (-a, b, -c)τστ = (-k, l, -m) det(τστ) = det(τ)^2 det(σ) = 1 以上から (a, b, c) と (k, l, m) が F_0(D)/Γ の同じ類にあるなら (-a, b, -c) と (-k, l, -m) も同じ類にある。
297 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 21:15:53
>>296 より
F_0(D)/Γ の元 [ (a, b, c) ] に [ (-a, b, -c) ] を対応させるのは
代表 (a, b, c) の取り方によらない。
有理整数環 Z の単数群 Z^* = {±1} の元 -1 の F_0(D)/Γ への
作用を [ (a, b, c) ](-1) = [ (-a, b, -c) ] で定義すれば、
[ (a, b, c) ](-1)^2 = [ (a, b, c) ] である。
よって F_0(D)/Γ は (Z^*)-集合(過去スレ4の388)となる。
よって商集合(過去スレ4の390)が (F_0(D)/Γ)/Z^* が定義される。
298 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 21:43:25
(a, b, c) ∈ F_0(D) に Cl(D) の元 [[a, (-b + √D)/2]] を
対応させる写像をχ_0とかく
χ_0((a, b, c)) = [[a, (-b + √D)/2]]
>>185 より
(a, b, c)S = (a, 2a + b, a + b + c)
χ_0((a, b, c)S) = [[a, -a + (-b + √D)/2]] = [[a, (-b + √D)/2]]
よって χ_0((a, b, c)S) = χ_0((a, b, c))
>>184 より (a, b, c)T = (c, -b, a) だから
χ_0((a, b, c)T) = [[c, (b + √D)/2]]
I = [a, (-b + √D)/2]
J = [c, (b + √D)/2]
θ = (-b + √D)/2
とおく。
θ'I = [a(-b - √D)/2, ac]
= a[(-b - √D)/2, c]
= a[c, (b + √D)/2]
= aJ
よって
I と J は Cl(D) の同じ類に属す。
よって
χ_0((a, b, c)T) = [[c, (b + √D)/2]] = χ_0((a, b, c))
以上から χ_0 は F_0(D)/Γ から Cl(D) への写像を誘導する。
この写像を同じ記号 χ_0 で表す。
即ち χ_0([ (a, b, c) ]) = [[a, (-b + √D)/2]] である。
299 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 21:48:55
χ_0([ (-a, b, -c) ]) = [[-a, (-b + √D)/2]]
= [[a, (-b + √D)/2]]
= χ_0([ (a, b, c) ])
だから
χ_0 は (F_0(D)/Γ)/Z^* (
>>297 )から Cl(D) への写像を誘導する。
この写像を同じ記号 χ_0 で表す。
即ち χ_0([[ (a, b, c) ]]) = [[a, (-b + √D)/2]] である。
300 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 21:59:14
I を R の可逆分数イデアルとする。
I = [α, β] で、α, β は正に向き付けられているとする(
>>188 )。
N(xα - yβ)/N(I) は F(D) の元である。
I = [γ, δ] で、γ, δ の向きも正とする。
>>189 より
α = pγ + qδ
β = rγ + sδ
となる有理整数 p, q, r, t で ps - qr = 1 となるものがある。
N(xα - yβ)/N(I) の α, β に
α = pγ + qδ
β = rγ + sδ
をそれぞれ代入すると
N(xα - yβ)/N(I) = N(x(pγ + qδ) - y(rγ + sδ))/N(I)
= ((xp - yr)γ - (-xq + ys)δ)/N(I)
よって、N(xα - yβ)/N(I) と N(xγ - yδ)/N(I) は
F(D)/Γ の同じ類に属す。
301 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 22:20:34
δ ∈ K^* として δI を考える。
δI = [δα, δβ] であり、
Δ(δα, δβ) = δαδ'β' - δβδ'α' = N(δ)Δ(α, β)
よって N(δ) > 0 なら
Δ(δα, δβ) < 0 だから δα, δβ の向きは正である。
このとき
N(xδα - yδβ)/N(δI) = (N(δ)/|N(δ)|) N(xα - yβ)/N(I)
= N(xα - yβ)/N(I)
よって N(xδα - yδβ)/N(δI) と N(xα - yβ)/N(I) は
(F(D)/Γ)/Z^* の同じ類に属す。
N(δ) < 0 なら δα, -δβ の向きは正である。
N(xδα + yδβ)/N(δI) = (N(δ)/|N(δ)|) N(xα + yβ)/N(I)
= -N(xα + yβ)/N(I)
>>197 より
a = (αα')/N(I)
b = -(αβ' + βα')/N(I)
c = (ββ')/N(I)
とおけば、N(xα - yβ)/N(I) = ax^2 + bxy + cy^2 である。
よって
-N(xα + yβ)/N(I) = -ax^2 + bxy - cy^2 である。
よって N(xδα + yδβ)/N(δI) と N(xα - yβ)/N(I) は
(F(D)/Γ)/Z^* の同じ類に属す。
302 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 22:32:34
>>300 と
>>301 より Cl(D) から (F(D)/Γ)/Z^* への写像が
χ_1([I]) = [[N(xα - yβ)/N(I)]] で定義される。
ここで I = [α, β] は R の可逆分数イデアルであり、
α, β は正に向き付けられているとする。
303 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 22:40:04
304 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 22:41:44
I を R の原始イデアルとする。
>>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。
ここで a, b は有理整数で a > 0 である。
α = a
β = b + (D + √D)/2 とおく。
Δ(α, β) = -a√D だから I の基底 α, β の向き(
>>188 )は正である。
>>228 において
(αα')/N(I) = a^2/a = a
-(αβ' + βα')/N(I) = -a(2b + D)/a = -2b - D
(ββ')/N(I) = (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a
よって
χ_1([I]) = [[ (a, -2b - D, (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a) ]]
χ_0χ_1([I]) = [[a, b + (D + √D)/2]]
よって χ_0χ_1 = 1 である。
305 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 22:43:54
306 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 22:49:01
訂正
>>285 >Δ(δα, δβ) = Δ(α, β)
>だから δα, δβ の向きは正である。
sign(Δ(δα, δβ)) = sign(Δ(α, β)) = -1
だから δα, δβ の向きは正である。
307 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/07(月) 22:52:16
訂正
>>285 >Δ(δα, δβ) = -Δ(α, β)
>だから δα, -δβ の向きは正である。
sign(Δ(δα, δβ)) = -sign(Δ(α, β)) = 1
だから δα, -δβ の向きは正である。
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326 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/10(木) 12:43:06
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
Q+(D) = { (-b + √D)/2a ; a > 0, D ≡ b^2 (mod 4a) } とおく。
これは
>>218 で Qd と書いたものである。
>>218 より
φ_FQ([ (a, b, c) ]) = ([ (-b + √D)/2|a| ], sign(a))
により同型 φ_FQ : F(D)/Γ_∞ → Q+(D)/Z × {±1}
が得られる。
(a, b, c) ∈ F(D) に ((-b + √D)/2|a|, sign(a)) を対応させる
ことにより
写像 F(D) → Q+(D) × {±1} が得られる。
この写像を記号の濫用でやはり φ_FQ と書くことにする。
これは明らかに集合としての同型である。
327 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/10(木) 16:58:20
判別式が正の2次形式を不定符号2次形式と呼ぶ。
328 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/10(木) 17:01:14
過去スレ4の293で判別式が負の2次形式 (a, b, c) で a > 0 のとき (a, b, c) は正定値というと書いたが、 これは Zagier の数論入門の日本語訳(岩波) から借りたものである。 しかし、この訳語はあまり良くない。 判別式が負の2次形式を定符号2次形式と呼び、 正定値の代わりに正の定符号と呼んだほうが意味がはっきりする。 しかし、今さら変えるのも混乱するのでこのままにしておく。
329 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/10(木) 20:38:01
(a, b, c) を判別式 D > 0 の2次形式とする。
即ち、不定符号2次形式(
>>327 )とする。
>>326 より (a, b, c) には ((-b + √D)/2|a|, sign(a)) が対応する。
(-b + √D)/2|a| は2次無理数だから
>>41 以降で展開した連分数の
理論が適用できる。
この理論を上記の対応により2次形式の言葉に翻訳しよう。
330 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/10(木) 20:44:53
定義 (a, b, c) を判別式 D > 0 の2次形式とする。 θ = (-b + √D)/2|a| とおく。 1/θ が簡約された2次無理数のとき (a, b, c) を簡約された2次形式、 または単に簡約2次形式という。
331 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/10(木) 20:47:39
>>330 において、θ ではなく 1/θ としたのは後で述べる
2次形式の簡約過程の計算をより単純にするためである。
332 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/10(木) 21:11:44
補題
(a, b, c) を判別式 D > 0 の2次形式とする。
θ = (-b + √D)/2|a| とおく。
(a, b, c) が簡約2次形式であるためには
0 < θ < 1
1 < -θ'
が必要十分である。
ここで、θ' はいつものように θ の共役を表す。
証明
1/θ が簡約ということは
>>95 より
1/θ > 1
-1 < 1/θ' < 0
ということである。
1/θ > 1 は 0 < θ < 1 と同値である。
-1 < 1/θ' < 0 は -θ' > 1 と同値である。
証明終
333 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/10(木) 22:54:24
命題
(a, b, c) を判別式 D > 0 の2次形式とする。
(a, b, c) が簡約2次形式であるためには
|√D - 2|a|| < b < √D
が必要十分である。
証明
θ = (-b + √D)/2|a| とおく。
>>332 より (a, b, c) が簡約2次形式であるためには
0 < θ < 1
1 < -θ'
が必要十分である。
0 < θ < 1 より 0 < (-b + √D)/2|a| < 1
だから
0 < -b + √D < 2|a|
よって
√D - 2|a| < b < √D
他方
1 < (b + √D)/2|a| より
2|a| < b + √D
よって
2|a| - √D < b
よって |√D - 2|a|| < b < √D
この逆も明らかである。
証明終
334 :
132人目の素数さん :2007/05/11(金) 07:57:24
oniku!!
335 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/11(金) 09:42:22
命題
(a, b, c) を判別式 D > 0 の簡約2次形式(
>>330 )とする。
このとき ac < 0 である。
即ち a と c は符号が反対である。
つまり sign(c) = -sign(a)
証明
>>333 より 0 < b < √D
よって
b^2 < D
D - b^2 = -4ac だから
0 < -4ac
よって
ac < 0
証明終
336 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/11(金) 09:43:42
命題
(a, b, c) を判別式 D > 0 の簡約2次形式(
>>330 )とする。
このとき |a| + |c| < √D である。
証明
>>333 より
|√D - 2|a|| < b
両辺を2乗して
(√D - 2|a|)^2 < b^2
よって
(√D - 2|a|)^2 - b^2
= D - 4|a|√D + 4a^2 - b^2
= -4ac - 4|a|√D + 4a^2 < 0
よって
((√D - 2|a|)^2 - b^2)/4|a|
= -ac/|a| - √D + |a|
= -sign(a)c - √D + |a|
= sign(c)c - √D + |a|
= |c| - √D + |a| < 0
証明終
337 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/11(金) 09:44:42
命題
(a, b, c) を判別式 D > 0 の2次形式とする。
(a, b, c) が簡約2次形式(
>>330 )であるためには
|√D - 2|c|| < b < √D
が必要十分である。
証明
>>333 より |√D - 2|a|| < b
よって -b < √D - 2|a| < b
即ち 0 < √D - b < 2|a| < √D + b
√D - b < 2|a| の両辺に √D + b を掛けて
-4ac < 2|a|(√D + b)
-2sign(a)c < √D + b
2sign(c)c < √D + b
よって
2|c| - √D < b
他方 2|a| < √D + b の両辺に √D - b を掛けて
2|a|(√D - b) < -4ac
√D - b < -2sign(a)c = 2sign(c)c = 2|c|
√D - b < 2|c|
よって
-b < 2|c| - √D
以上から
|√D - 2|c|| < b < √D
同様にして、この式から逆に |√D - 2|a|| < b < √D がでる。
証明終
338 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/11(金) 09:50:01
(a, b, c) を判別式 D > 0 の簡約2次形式(
>>330 )とする。
>>333 より 0 < b < √D
>>336 より |a| + |c| < √D
従って、判別式 D > 0 の簡約2次形式 (a, b, c) の個数は
有限である。
339 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/11(金) 15:15:39
(a, b, c) を判別式 D > 0 の簡約2次形式(
>>330 )とする。
θ = (-b + √D)/2|a| とおく。
α = 1/θ - [1/θ] とおくと
1/θ = [1/θ] + 1/(1/α)
である。
>>41 の連分数の記号で書くと
1/θ = [[1/θ], 1/α]
α = 1/θ - [1/θ] を計算しよう。
>>335 より sign(a) = -sign(c) であることに注意する。
1/θ = 2|a|/(-b + √D) = 2|a|(-b - √D)/4ac
= sign(a)(-b - √D)/2c = -sign(c)(-b - √D)/2c
= (b + √D)/2|c|
よって
1/θ - [1/θ] = (b + √D)/2|c| - [(b + √D)/2|c|]
= (b - 2|c|[(b + √D)/2|c|] + √D])/2|c| ∈ Q+(D)
よって
>>326 より
φ_FQ( (c, r, (r^2 - D)/4c) ) = (1/θ - [1/θ], -sign(a))
である。
ここで r = -b + 2|c|[(b + √D)/2|c|]
340 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/11(金) 15:36:10
>>339 の続き。
n = [(b + √D)/2|c|] とおく。
即ち
n < (b + √D)/2|c| < n + 1
よって
2|c|n < b + √D < 2|c|n + 2|c|
r = -b + 2|c|n
だから
√D - 2|c| < r < √D
40
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347 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/13(日) 13:05:45
(a, b, c) を判別式 D > 0 の2次形式とする。
D = b^2 - 4ac は平方数でないと仮定しているから c ≠ 0 である。
>>340 と同様に
n = [(b + √D)/2|c|]
r = -b + 2|c|n とおく。
>>340 と同様に
√D - 2|c| < r < √D
である。
>>339 を参考にして2次形式 (c, r, (r^2 - D)/4c) を考える。
r^2 - D = (-b + 2|c|n)^2 - D
= b^2 - 4b|c|n + 4c^2 n^2 - b^2 + 4ac
= - 4b|c|n + 4c^2 n^2 + 4ac
よって
(r^2 - D)/4c = a - sign(c)bn + cn^2
よって
(c, r, (r^2 - D)/4c) = (c, -b + 2|c|n, a - sign(c)bn + cn^2)
σ = (0, 1)/(-1, -sign(c)n) とおく。
det(σ) = 1 だから σ ∈ SL_2(Z) である。
過去スレ4の280より
(a, b, c)σ = (c, -b + 2|c|n, a - sign(c)bn + cn^2)
である。
348 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/13(日) 15:39:41
ρ(a, b, c) = (c, -b + 2|c|n, a - sign(c)bn + cn^2) とおく。 即ち ρ(a, b, c) = (a, b, c)σ である。 ρ(a, b, c) = (a_1, b_1, c_1) とおく。 |c_1| < |a_1| なら、即ち |a - sign(c)bn + cn^2| < |c| なら ρ(a_1, b_1, c_1) = (a_2, b_2, c_2) とおく。 以下同様にして |c_(n-1)| < |a_(n-1)| なら ρ(a_(n-1), b_(n-1), c_(n-1)) = (a_n, b_n, c_n) とおく。 |c| = |a_1| > |c_1| = |a_2| > . . . > |c_(n-1)| = |a_n| |c| は有限だからこの過程は有限回で終わる。 よって |a_n| ≦ |c_n| となる n がある。 このとき (ρ^n)(a, b, c) = (a_n, b_n, c_n) は簡約された2次形式 であることを証明しよう。
349 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/13(日) 16:29:19
記号を簡単にするため (a_n, b_n, c_n) = (A, B, C) とおく。
|A| ≦ |C| である。
>>347 より √D - 2|A| < B < √D
よって
0 < √D - B < 2|A|
よって
1/|√D - B| > 1/(2|A|)
一方、
|√D - B||√D + B| = |D - B^2| = 4|A||C|
よって
|√D + B| = 4|A||C|/|√D - B| > 2|C|
よって
|√D + B| > 2|C| ≧ 2|A| > √D - B > 0
B < 0 とすると
√D + B = √D - |B|
√D - B = √D + |B|
よって
|√D - |B|| > √D + |B| となって矛盾。
従って、B ≧ 0 である。
B = 0 なら |√D + B| > √D - B より √D > √D となって矛盾。
よって B > 0 である。
よって 0 < B < √D である。
上の |√D + B| > 2|C| ≧ 2|A| > √D - B > 0 より
√D - B < 2|A| < √D + B
即ち
|√D - 2|A|| < B < √D である。
よって (A, B, C) は簡約されている。
350 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/13(日) 18:17:50
命題
(a, b, c) を判別式 D > 0 の2次形式とする。
(a, b, c) が簡約されていれば
>>348 で定義した ρ(a, b, c) も
簡約されている。
証明
n = [(b + √D)/2|c|]
r = -b + 2|c|n とおく。
ρ(a, b, c) = (c, r, (r^2 - D)/4c) である。
>>347 より √D - 2|c| < r < √D
|c| < (√D)/2 なら 0 < √D - 2|c|
よって |√D - 2|c|| < r < √D
よって ρ(a, b, c) は簡約されている。
|c| > (√D)/2 なら 2|c| - √D > 0
(a, b, c) は簡約されているから
2|c| - √D = |√D - 2|c|| < b < √D
よって
2|c| < b + √D < 2√D < 4|c|
よって
1 < (b + √D)/2|c| < 2
よって
[(b + √D)/2|c|] = 1
r = -b + 2|c| > 2|c| - √D = |√D - 2|c||
一方 2|c| - √D < b だから r = -b + 2|c| < √D
よって ρ(a, b, c) は簡約されている。
証明終
351 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/18(金) 12:13:22
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
>>326 で
φ_FQ((a, b, c)) = ((-b + √D)/2|a|, sign(a)) により
写像 φ_FQ : F(D) → Q+(D) × {±1} を定義した。
任意の σ ∈ SL_2(Z) に対してある τ ∈ GL_2(Z) があり
φ_FQ((a, b, c)σ) = (τ(θ), det(τ)sign(a))
となることを証明しよう。
ここで (a, b, c) は F(D) の任意の元であり、
θ = (-b + √D)/2|a| である。
352 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/18(金) 14:39:08
353 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/18(金) 21:42:49
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 (a, b, c) を判別式 D の2次形式とする。 σ = (p, q)/(r, s) ∈ GL_2(Z) とし、 (a, b, c)σ = (k, l, m)とする。 θ = (-b + √D)/2a とおき、τ = (-sθ + q)/(rθ - p) とする。 即ち θ = (pτ + q)/(rτ + s) である。 このとき τ = (-l + (ps - qr)√D)/2k 証明 過去スレ4の401より k = ap^2 + bpr + cr^2 l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs m = aq^2 + bqs + cs^2 τ = (-sθ + q)/(rθ - p) に θ = (-b + √D)/2a を代入すると、 τ = (-s(-b + √D) + 2aq)/(r(-b + √D) - 2ap) この分子と分母にそれぞれ (r(-b - √D) - 2ap) を掛けると 分子 = (-s(-b + √D) + 2aq)(r(-b - √D) - 2ap) = -4acrs - 2apsb - 2aqrb + (2aps - 2aqr)√D = -2a(2crs + psb + qrb + 2apq) + 2a(ps - qr)√D = -2al + 2a(ps - qr)√D 分母 = (r(-b + √D) - 2ap)(r(-b - √D) - 2ap) = 4acr^2 + 4abpr + 4a^2p^2 = 4a(cr^2 + bpr + ap^2) = 4ak よって τ= (-l + (ps - qr)√D)/2k 証明終
354 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/18(金) 22:25:29
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
判別式 D の簡約2次形式(
>>330 )の集合を RF(D) と書く。
355 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/18(金) 22:32:47
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
σ = (p, q)/(r, s) ∈ GL_2(Z) とし、
(a, b, c) を判別式 D の2次形式とする。
過去スレ4の401より
k = ap^2 + bpr + cr^2
l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs
m = aq^2 + bqs + cs^2
とおけば
(a, b, c)σ = (k, l, m)
とくに
U = (0, 1)/(1, 0) ∈ GL_2(Z) のとき
(a, b, c)U = (c, b, a)
明らかに (a, b, c) が簡約(
>>330 )されていれば
(a, b, c)U = (c, b, a) も簡約されている。
μ(a, b, c) = (c, b, a) と書く。
μ は RF(D) (
>>354 ) から RF(D) への写像を定める。
この写像をやはり μ と書く。
μ^2 = 1 だから μ は RF(D) の集合としての自己同型である。
356 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/18(金) 23:34:23
>>348 の ρ(a, b, c) は RF(D) (
>>354 ) から RF(D) への写像を
定める。この写像をやはり ρ と書く。
(ρμ)(ρμ) = (μρ)(μρ) = 1 となることを示そう。
>>347 より n = [(b + √D)/2|c|] として、
σ = (0, 1)/(-1, -sign(c)n) とおくと、
σ ∈ SL_2(Z) で、ρ(a, b, c) = (a, b, c)σである。
>>355 より U = (0, 1)/(1, 0) とおくと、
μ(a, b, c) = (a, b, c)U
σU = (1, 0)/(-sign(c)n, -1)
よって
(σU)(σU) = 1
よって
(ρμ)(ρμ) = 1
同様に、
Uσ = (-1, -sign(c)n)/(0, 1)
よって
(Uσ)(Uσ) = 1
よって
(μρ)(μρ) = 1
357 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/18(金) 23:39:39
>>356 より ρ^(-1) = μρμ である。
よって (a, b, c) ∈ RF(D) のとき ρ^(-1)(a, b, c) ∈ RF(D) である。
よって ρ は RF(D) の集合としての自己同型である。
358 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/19(土) 02:05:20
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
(a, b, c) ∈ RF(D) (
>>354 ) とする。
i > 0 を任意の正の有理整数とすると、
>>350 より (ρ^i)(a, b, c) ∈ RF(D) である。
>>338 より RF(D) は有限集合である。
従って、(ρ^n)(a, b, c) = (ρ^(n+m))(a, b, c)
となる n > 0 と m > 0 がある。
>>357 より RF(D) の集合としての自己同型 ρ^(-n) が存在するから
ρ^(-n)(ρ^n)(a, b, c) = ρ^(-n)(ρ^(n+m))(a, b, c)
より、
(a, b, c) = (ρ^m)(a, b, c) となる。
さて、(a, b, c) は簡約されているので、
>>335 より
(a, b, c) の先頭項、即ち a と ρ(a, b, c) の先頭項 c は
符号が反対である。
同様に i > 0 を任意の正の有理整数とすると、
(ρ^i)(a, b, c) の先頭項と (ρ^(i+1))(a, b, c) の先頭項は
符号が反対である。
従って、(a, b, c) = (ρ^m)(a, b, c) となる m は偶数である。
359 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/19(土) 02:27:23
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
>>357 より ρ は RF(D) の自己同型である。
G を ρ で生成される巡回群とする。
RF(D) は G-集合(過去スレ4の388)となる。
よって軌道空間(過去スレ4の390) RF(D)/G が考えられる。
f ∈ RF(D) のとき f の軌道(過去スレ4の390) は
>>358 より { f, ρf, . . . , ρ^(m-1)f } の形である。
ここで (ρ^m)f = f であり、 0 ≦ i < j < m のとき
(ρ^i)f ≠ (ρ^j)f である。
さらに m は偶数である。
f の軌道のことを f のサイクルと呼ぶ。
360 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/19(土) 03:20:43
>>359 において f のサイクル { f, ρf, . . . , ρ^(m-1)f } の
元の個数 m を fのサイクルの長さという。
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367 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/20(日) 10:13:37
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
f = (a, b, c) を判別式 D の簡約2次形式とする。
f のサイクル(
>>359 ) を { f, ρf, . . . , ρ^(m-1)f } とする。
n ≧ 0 のとき (ρ^n)f = f_n
f_n = (a_n, b_n, c_n) とおく。
f のサイクルは { f_0, f_1, . . . , f_(m-1) } である。
>>326 で
φ_FQ((a, b, c)) = ((-b + √D)/2|a|, sign(a)) により
写像 φ_FQ : F(D) → Q+(D) × {±1} を定義した。
θ_n = (-b_n + √D)/2|a_n| とおくと、
φ_FQ(f_n) = (θ_n, sign(a_n)) である。
368 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/20(日) 10:24:42
>>339 より
φ_FQ( ρ(a, b, c) ) = (1/θ - [1/θ], -sign(a))
よって
φ_FQ( ρ(f_n) ) = (1/θ_n - [1/θ_n], -sign(a_n))
よって
(θ_(n+1), sign(a_(n+1)) = (1/θ_n - [1/θ_n], -sign(a_n))
即ち
θ_(n+1) = 1/θ_n - [1/θ_n]
sign(a_(n+1) = -sign(a_n)
よって
sign(a_n) = (-1)^n sign(a_0)
369 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/20(日) 10:35:53
>>368 より
f = (a, b, c) のサイクルは 1/θ の連分数展開
と対応していることがわかる。
(a, b, c) は簡約されているから
>>335 より sign(c) = -sign(a)
よって
1/θ = 2|a|/(-b + √D)
= 2|a|(-b - √D)/4ac
= -sign(a)(b + √D)/2c
= sign(c)(b + √D)/2c
= (b + √D)/2|c|
370 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/20(日) 10:49:57
ここで、簡約2次形式のサイクルの計算例を述べる。
D = 52 = 4×13 として2次形式 f = (3, 2, -4) を考える。
[√D] = 7 である。
|√D - 6| < 2 < √D だから (3, 2, -4) は簡約されている。
(a, b, c) = (3, 2, -4) とおく。
>>348 より
ρ(a, b, c) = (c, -b + 2|c|n, a - sign(c)bn + cn^2)
n = [(b + √D)/2|c|] = [(2 + √D)/8] = 1
だから
ρ(3, 2, -4) = (-4, 6, 1)
同様に
[(6 + √D)/2] = 6
だから
ρ(-4, 6, 1) = (1, 6, -4)
以下同様にして長さ10のサイクル
(3, 2, -4) → (-4, 6, 1) → (1, 6, -4) → (-4, 2, 3)
→ (3, 4, -3) → (-3, 2, 4) → (4, 6, -1)→(-1, 6, 4)
→ (4, 2, -3) → (-3, 4, 3) →(3, 2, -4)
が得られる。
371 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/20(日) 11:16:11
>>367 より
θ_n = (-b_n + √D)/2|a_n| とおくと、
φ_FQ(f_n) = (θ_n, sign(a_n)) = (1/(1/θ_n), sign(a_n))
よって
φ_FQ( (3, 2, -4) ) = ( (-2 + √D)/6, 1 ) = (1/((2 + √D)/8), 1)
φ_FQ( (-4, 6, 1) ) = ( (-6 + √D)/8, 1 ) = (1/((6 + √D)/2), -1)
φ_FQ( (1, 6, -4) ) = ( (-6 + √D)/2, 1 ) = (1/((6 + √D)/8), 1)
φ_FQ( (-4, 2, 3) ) = ( (-2 + √D)/8, 1 ) = (1/((2 + √D)/6), -1)
φ_FQ( (3, 4, -3) ) = ( (-4 + √D)/6, 1 ) = (1/((4 + √D)/6), 1)
φ_FQ( (-3, 2, 4) ) = ( (-2 + √D)/6, 1 ) = (1/((2 + √D)/8), -1)
φ_FQ( (4, 6, -1) ) = ( (-6 + √D)/8, 1 ) = (1/((6 + √D)/2), 1)
φ_FQ( (-1, 6, 4) ) = ( (-6 + √D)/2, 1 ) = (1/((6 + √D)/8), -1)
φ_FQ( (4, 2, -3) ) = ( (-2 + √D)/8, 1 ) = (1/((2 + √D)/6), 1)
φ_FQ( (-3, 4, 3) ) = ( (-4 + √D)/6, 1 ) = (1/((4 + √D)/6), -1)
φ_FQ( (3, 2, -4) ) = ( (-2 + √D)/6, 1 ) = (1/((2 + √D)/6), 1)
372 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/20(日) 11:28:39
>>371 から次の巡回系列が得られる。
(1/((2 + √D)/8), 1) → (1/((6 + √D)/2), -1)
→ (1/((6 + √D)/8), 1) → (1/((2 + √D)/6), -1)
→ (1/((4 + √D)/6), 1) → (1/((2 + √D)/8), -1)
→ (1/((6 + √D)/2), 1) → (1/((6 + √D)/8), -1)
→ (1/((2 + √D)/6), 1) → (1/((4 + √D)/6), -1)
→ (1/((2 + √D)/6), 1)
これから、符号を無視すると以下の簡約2次無理数の長さ5の巡回系列が
2つ繰り替えされていることが分かる。
(2 + √D)/8 → (6 + √D)/2 → (6 + √D)/8 → (2 + √D)/6
→ (4 + √D)/6 → (2 + √D)/8
373 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/20(日) 11:33:29
>>372 >→ (1/((6 + √D)/2), 1) → (1/((6 + √D)/8), -1)
>→ (1/((2 + √D)/6), 1) → (1/((4 + √D)/6), -1)
>→ (1/((2 + √D)/6), 1)
→ (1/((6 + √D)/2), 1) → (1/((6 + √D)/8), -1)
→ (1/((2 + √D)/6), 1) → (1/((4 + √D)/6), -1)
→ (1/((2 + √D)/8), -1)
374 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/20(日) 15:31:31
(2 + √D)/8 を連分数に展開してみよう。
(2 + √D)/8 = 1 + (-6 + √D)/8 = 1 + 1/(6 + √D)/2
(6 + √D)/2 = 6 + (-6 + √D)/2 = 6 + 1/(6 + √D)/8
(6 + √D)/8 = 1 + (-2 + √D)/8 = 1 + 1/(2 + √D)/6
(2 + √D)/6 = 1 + (-4 + √D)/6 = 1 + 1/(4 + √D)/6
(4 + √D)/6 = 1 + (-2 + √D)/6 = 1 + 1/(2 + √D)/8
よって
(2 + √D)/8 = [1, 6, 1, 1, 1, ...]
ここに現れた、簡約2次無理数の巡回列は
>>372 と同じものである。
375 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/20(日) 16:16:57
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
f = (a, b, c) と g = (k, l, m) を判別式 D の簡約2次形式とする。
f と g が F(D)/Γ の同じ類に属すとする。
ここで F(D) は判別式 D の2次形式の集合であり、Γ = SL_2(Z)
である(
>>234 )。
このとき f のサイクルと g のサイクルは一致することを証明しよう。
ρ(f) の先頭項は a の符号と反対であり、f と ρ(f) は F(D)/Γ の
同じ類に属すから a > 0 と仮定してよい。
同様に k > 0 と仮定してよい。
σ = (p, q)/(r, s) ∈ SL_2(Z) とし、
(a, b, c)σ = (k, l, m)とする。
θ = (-b + √D)/2a とおき、τ = (-sθ + q)/(rθ - p) とする。
即ち θ = (pτ + q)/(rτ + s) である。
このとき
>>353 より τ = (-l + √D)/2k
θ = (pτ + q)/(rτ + s) より
1/θ = (r + s(1/τ)/(p + q(1/τ))
>>112 より、ある実無理数 ω と n ≧ 1, m ≧ 1 があり、
1/θ = [k_0, . . . , k_(n-1), ω]
1/τ = [h_0, . . . , h_(m-1), ω]
となる。
ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 であり、
各 h_i も有理整数で i ≧ 1 のとき h_i ≧ 1 である。
_., .,、._,r hh.、 y...u,_ 、 、.,., .yl!).彳}゙.^゙冖^^^゙゙'⌒゙゙「{ .〕:!|ァ_ l.r. .rl!.「.゙.′ .゙.^゙「.|^|'!.,.ri,、 _,.u:l 「″ _,..vv-─--v、、.,__゙ ´「 リ゙ .r .-i(┴^ ,.v‐ ′ i!、 厂^'ー、_ .'゙/ .,l| .,.‐'゙r '=, .|ト! .. /_ ┘ _, .[.′ .,r(,,vv!冖h厂 _,、、、,_ ¨゙() .゙゙il|リ冖ミ(ミ,.l|/レ' .|| _,yr!^″ [.zli》ニ《)ミ|l;, |ノ冖ーu「.,zzzzy,{丁′ .!ミ .yr(l「′ 〔″ `.,i^ .〔.!!干「「)v)《フ i| __,/′.} . \,,,,,_,,,,,,vr″ .゙)z ,メ゙'ly |゙/|レr》! } .}.. /,v--r ,、u_:rフ'¬ー^″ ゙ミ 》゙|′ .ミ .| .∨ ,、 {lzトrr┘ \从,,) }:! .《 }}.,rー ミ,,ェ , .'|フ .,,zu厶  ̄ ゙'^ l! ゙|从 》″ | r -:(工ェ」zミv_ n. 〔 <人の脳を読む能力を悪用する奴を潰すのが先だ。 .》ト .′ ∨ 7vv=(干=─干ミl||l,_,z ″ 》 .《l,_ .'|! .__ , . ゙̄.. 〕 《^¨′ .゙冖'^^'''冖 v\ } [ 、 . 〕 〔 .′ .」_ .ll′ .| | 」 ._} .hノ .:| ,.. .,.トト 〕 .} .^′ ゙《,_ .、,ノ ...厂、 .il } _ .、 .゙゙'〜 .y,_ _,r;|¨ <、、‐ . ノ .{, 〔 」 ´ ‐ 「ilリiアアァァァ;lllllli(リ゙} ┌ 冫.. .ア \ ∨゙ . _ .- . ' .`゙厂¨厂゙厂'. .゙ 、' .゙. ヽ‐,r| .ノy .´ 、 .: ' ..: .、 ' ` ' _ . .冫 -.',y;|
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395 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/25(金) 17:17:23
補題
β > 1 を実無理数とする。
α = (aβ + b)/(cβ + d) とする。
ここで a, b, c, d は有理整数で ad - bc = 1 であり、
c > d > 0 である。
このときある偶数 n ≧ 1 があり、
α = [k_0, . . . , k_(n-1), β] となる。
ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 である。
証明
a/c を単純連分数(
>>69 )に展開して
a/c = [k_0, . . . , k_(n-1)] とする。
>>107 より ad - bc = (-)^n = 1 と仮定してよい。
即ち n は偶数と仮定してよい。
あとは
>>110 の証明と同じである。
証明終
396 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/25(金) 17:21:06
補題
β を簡約2次無理数とする。
α = (aβ + b)/(cβ + d) とする。
ここで a, b, c, d は有理整数で ad - bc = 1 である。
このとき、ある偶数 n ≧ 1 があり、
α = [k_0, . . . , k_(n-1), β]
となる。
ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 である。
証明
cβ + d < 0 なら -cβ - d > 0 で
α = (-aβ - b)/(-cβ - d) だから
cβ + d > 0 と仮定してよい。
β を 無限連分数に展開して
β = [h_0, h_1, . . . ] とする。
m ≧ 1 に対して
ω_m = [h_m, h_(m+1), . . . ] とおく。
>>77 より
β = [h_0, . . . , h_(m-1), ω_m] である。
β は簡約2次無理数だから
>>101 より純循環連分数に展開される。
よって ω_m = β、即ち β = [h_0, . . . , h_(m-1), β]
となる m ≧ 1 がある。
しかも、このような m としていくらでも大きい値が取れる。
従って
>>395 より
>>113 と同様にして
ある偶数 n ≧ 1 があり
α = [k_0, . . . , k_(n-1), β] となる。
証明終
397 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/25(金) 21:09:12
>>375 の続き。
1/θ = (r + s(1/τ)/(p + q(1/τ)) であり、1/τ は簡約2次無理数
だから
>>396 より、ある偶数 n ≧ 1 があり、
1/θ = [k_0, . . . , k_(n-1), 1/τ] となる。
ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 である。
1/θ も簡約2次無理数だから 1/θ > 1 であり、k_0 ≧ 1 である。
>>368 と、n は偶数に注意して、
φ_FQ( ρ^n(f) ) = (τ, (-1)^n) = (τ, 1)
である。
一方 φ_FQ(g) = (τ, 1) だから ρ^n(f) = g である。
よって f と g は同じサイクルに属す。
即ち簡約2次形式 f と g が F(D)/Γ(
>>375 ) の同じ類に属すことと、
f と g が RF(D)/G (
>>359 ) の同じ類に属すことは同値である。
一方、
>>348 より F(D)/Γの任意の類は簡約2次形式を含む。
よって |F(D)/Γ| = |RF(D)/G| である。
398 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/25(金) 21:14:07
>>397 の結果は恐らく(不定符号)2次形式の初等的な理論の中で最初の
難関だろう。
399 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/30(水) 09:46:33
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
判別式 D の原始的(過去スレ4の279)な簡約2次形式(
>>330 )の集合を
RF_0(D) と書く。
>>397 の |F(D)/Γ| = |RF(D)/G| より
|F_0(D)/Γ| = |RF_0(D)/G| となる。
一方、
>>253 より F_0(D)/Γ と Cl+(D) (
>>227 )は集合として同型である。
よって |Cl+(D)| = |RF_0(D)/G|
|Cl+(D)| を h+(D) と書き R の狭義の類数と呼ぶ。
ここで R は判別式 D の整環である。
|Cl(D)| を h(D) と書き R の広義の類数と呼ぶ。
400 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/30(水) 10:05:56
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
>>399 より R の狭義の類数 h+(D) は |RF_0(D)/G| と一致する。
RF_0(D) の元、つまり判別式 D の原始的な簡約2次形式を数え上げる
アルゴリズムは簡単である。
(a, b, c) ∈ RF_0(D) となる条件を求めよう。
まず
>>333 より 0 < b < √D である。
即ち 1 ≦ b ≦ [√D]
>>335 より a と c の符号は反対だから
D = b^2 - 4ac = b^2 + 4|ac|
これから b が決まると |ac| が決まる。
>>333 より
|√D - 2|a|| < b
よって
√D - b < 2|a| < √D + b
よって
[√D] + 1 - b ≦ 2|a| ≦ [√D] + b
これから a が決まり D = b^2 + 4|ac| より c が決まる。
あとは gcd(a, b, c) = 1 に注意すればよい。
401 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/30(水) 10:54:46
D = 328 として h+(D) を求めてみよう。 これは高木の「初等整数論講義」の例と同じである。 328 = 4・82 = 8・41 で 82 ≡ 2 (mod 4) だから 判別式 D の整環 R は Q(√82) の主整環である。 従って 判別式 D の2次形式はすべて原始的である(過去スレ4の289)。 [√D] = 18 である。 b^2 + 4|ac| = 328 [√D] + 1 - b ≦ 2|a| ≦ [√D] + b より以下の20個が判別式 328 の原始的な簡約2次形式の全部である。 (9, 2, -9) (-9, 2, 9) (6, 8, -11) (-11, 8, 6) (11, 8, -6) (-11, 8, 6) (3, 14, -11) (-3, 14, 11) (11, 14, -3) (-11, 14, 3) (2, 16, -9) (-2, 16, 9) (9, 16, -2) (-9, 16, 2) (3, 16, -6) (-3, 16, 6) (6, 16, -3) (-6, 16, 3) (1, 18, -1) (-1, 18, 1)
402 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/30(水) 11:10:03
>>401 で求めた RF_0(328) をサイクルに分類するのは
>>370 と
同様にすればよい。
(9, 2, -9) → (-9, 16, 2) → (2, 16, -9) → (-9, 2, 9)
→ (9, 16, -2) → (-2, 16, 9) → (9, 2, -9)
(11, 8, -6) → (-6, 16, 3) → (3, 14, -11) → (-11, 8, 6)
→ (6, 16, -3) → (-3, 14, 11) → (11, 8, -6)
(3, 16, -6) → (-6, 8, 11) → (11, 14, -3) → (-3, 16, 6)
→ (6, 8, -11) → (-11, 14, 3) → (3, 16, -6)
(1, 18, -1) → (-1, 18, 1) → (1, 18, -1)
以上から RF_0(328) は4個のサイクルからなっている。
よって h+(328) = 4 である。
即ち Q(√82) の狭義の類数は4である。
403 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/30(水) 11:37:28
>>402 において、
(9, 2, -9) と (-9, 2, 9)
(11, 8, -6) と (-11, 8, 6)
(3, 16, -6) と (-3, 16, 6)
(1, 18, -1) と (-1, 18, 1)
はそれぞれ同じサイクルに属す。
従って
>>305 より Q(√82) の広義の類数も4である。
404 :
132人目の素数さん :2007/05/30(水) 18:09:12
すみません、教えてください。
お願いします。
http://web2.incl.ne.jp/yaoki/wari7.htm の問題
「2n−1個の任意の自然数がある。(nは自然数)
(2n−1個の内に、同じ自然数があってもかまわない)
その中のあるn個の自然数の和で、nで割り切れるものが必ず存在する。
そうであるなら証明を、そうとも限らないなら反例を示してください。」
の解答
http://web2.incl.ne.jp/yaoki/awari7.htmで 以下の所の意味がよく解りませんので、よろしくお願いいたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・
Rk と Sk-1 は要素数が同じであるが、それぞれの要素数の和は法 p の下で剰余が等しくないことになる。
これは、Rk には Sk-1 にない要素が少なくとも1つはあることを意味する。
Sk = Sk-1 ∪ Rk であるから、Sk の要素数は Sk-1 よりも多くなる。
もし t = p ならば、Sk-1 には p 個の要素があり、法 p の下の剰余をすべて尽くしている。
・・・・・・・・・・・・・・・・
ここまではわかるのですが、次からがよくわかりません。
・・・・・・・・・・・・・・・・
こうなると Sk, Sk+1, ... は、要素数が p 個である状態が続いていく。
よって、Sk の要素は k+1 個以上あるが、p 個が上限である。
特に、Sp-1 は要素数が p 個で、法 p の下の剰余がすべて含まれる。
・・・・・・・・・・・・・・・・
t = p でないときは?
405 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 10:57:21
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式とし、
m ≠ 0 を有理整数とする。
m = ax^2 + bxy + cy^2 の固有な解(過去スレ4の701)の全てを求めるには
過去スレ4の738 より以下の問題に帰着する。
(1) 判別式 D の2次形式 (a, b, c) と (m, l, k) が与えられたとき
それらが同値か否かを判定せよ。
(2) 同値なら (a, b, c)σ = (m, l, k) となる
σ ∈ SL_2(Z) を全て求めよ。
(1) は既に解けている。
即ち以下のようにする。
f と g を判別式 D の2次形式とする。
f と g が同値かどうかを判定するには、
>>348 の方法により f と g をそれぞれ簡約2次形式に変形して
それらが同じサイクルに含まれるかどうかを見ればよい。
同じサイクルに含まれれば、fσ = g となる σ ∈ SL_2(Z) は
少なくとも1個求まる。
よって (2) は (a, b, c)σ = (a, b, c) となる σ ∈ SL_2(Z) を
全て求めれば解ける(過去スレ4の739)。
406 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 11:37:07
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と する。 f = (a, b, c) を判別式 D の原始的な2次形式とする。 U(f) = {σ ∈ SL_2(Z) ; (a, b, c)σ = (a, b, c) } とおく。 U(f) は SL_2(Z) の部分群である。 U(f) の構造を決定しよう。 σ = (p, q)/(r, s) ∈ SL_2(Z) とし、 (a, b, c)σ = (a, b, c とする。 過去スレ4の401より a = ap^2 + bpr + cr^2 b = 2apq + b(ps + qr) + 2crs c = aq^2 + bqs + cs^2 ps - qr = 1 だから ps = qr + 1 これと b = 2apq + b(ps + qr) + 2crs より b = 2apq + b(2qr + 1) + 2crs よって 2apq + 2bqr + 2crs = 0 よって apq + bqr + crs = 0
407 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 11:46:11
>>406 の続き。
apq + bqr + crs = 0 より、
aq = q(ap^2 + bpr + cr^2)
= apqp + bpqr + cr^2q
= (-bqr - crs)p + bpqr + cr^2q
= -crsp + cr^2q
= -cr(ps - qr)
= -cr
よって
r/a = -q/c
他方
c(p - s) = (aq^2 + bqs + cs^2)(p - s)
= apq^2 + bpqs + cs^2p - cs
= apq^2 + bpqs + cs(sp - 1)
= apq^2 + bpqs + csqr
= q(apq + bps + crs)
= q(bps - bqr)
= qb(ps - qr)
= qb
ここで再び apq + bqr + crs = 0 を使った。
よって
(s - p)/b = -q/c
以上から
r/a = (s - p)/b = -q/c
408 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 11:55:14
>>407 の続き。
r/a = (s - p)/b = -q/c を u とおく。
r = au
s - p = bu
q = -cu
となる。
u = v/w とする。
ここで v, w は有理整数で gcd(v, w) = 1 である。
wr = av
w(s - p) = bv
wq = -cv
よって w は a, b, c の共約数である。
2次形式 f = (a, b, c) は原始的だから w = ±1 である。
よって u は有理整数である。
t = p + s とおく。
t + bu = 2s
t - bu = 2p
よって
p = (t - bu)/2
s = (t + bu)/2
q = -cu
r = au
409 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 14:36:11
>>408 の続き。
p = (t - bu)/2
s = (t + bu)/2
q = -cu
r = au
と
ps - qr = 1 より
(t^2 - b^2u^2)/4 + acu^2 = (t^2 - b^2u^2 + 4acu^2)/4 = 1
よって
t^2 - Du^2 = 4
410 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 14:37:35
>>409 の続き。
逆に (t, u) が t^2 - Du^2 = 4 の解なら
p = (t - bu)/2
s = (t + bu)/2
q = -cu
r = au
とおくと
ps - qr = 1 となって、σ = (p, q)/(r, s) は SL_2(Z) の元である。
(a, b, c)σ = (k, l, m)
とする。
過去スレ4の401より
k = ap^2 + bpr + cr^2
l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs
m = aq^2 + bqs + cs^2
411 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 14:39:21
>>410 の続き。
一方、
ap^2 + bpr + cr^2
= (t - bu)^2/4 + ab(t - bu)u/2 + ca^2u^2
= (a(t - bu)^2 + 2ab(t - bu)u + 4ca^2u^2)/4
= (at^2 - 2abtu + ab^2u^2 + 2abtu - 2ab^2u^2 + 4ca^2u^2)/4
= (at^2 - ab^2u^2 + 4ca^2u^2)/4
= a(t^2 - Du^2)/4
= a
よって k = a
2apq + b(ps + qr) + 2crs
= -2acu(t - bu)/2 + b(t^2 - b^2u^2)/4 - abcu^2 + 2acu(t + bu)/2
= 2abcu^2 + b(t^2 - b^2u^2)/4 - abcu^2
= b(t^2 - b^2u^2)/4 + abcu^2
= b(t^2 - Du^2)/4
= b
よって l = b
D = b^2 - 4ac = l^2 - 4km
だから
b^2 - 4am = D
よって
m = c
以上から
(a, b, c)σ = (a, b, c)
412 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 15:29:04
>>411 の続き。
t^2 - Du^2 = 4 の有理整数解 (t, u) の集合を Pell+(D) と書こう。
(t, u) ∈ Pell+(D) のとき
φ(t, u) = (p, q)/(r, s) ∈ SL_2(Z) と書く。
ここで
p = (t - bu)/2
s = (t + bu)/2
q = -cu
r = au
>>411 より φ は Pell+(D) から U(f) への写像である。
>>409 より φ は全射である。
φ が単射であることを示そう。
(t, u) と (t', u') を Pell+(D) の元で、
φ(t, u) = φ(t', u') とする。
a ≠ 0 だから(a = 0 なら D = b^2 となって D は平方数となって
仮定に反する)、
au = au' より u = u' である。
よって
(t - bu)/2 = (t' - bu')/2 より t = t' である
よって
(t, u) = (t', u')
よって φ は単射である。
413 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 15:45:36
>>412 の続き。
R を判別式 D の整環とする。
過去スレ4の590より
R = {(x + y√D)/2 ; x ∈ Z, y ∈ Z, x ≡ yD (mod 2) } である。
R の単数でノルムが1となるもの全体を (R^*)+ と書く
即ち (R^*)+ = { α ∈ R^* ; N(α) > 0 } である(
>>281 )。
α = (t + u√D)/2 が R の単数なら、
N(α) = αα' = (t + u√D)/2 (t - u√D)/2 = (t^2 - Du^2)/4 = ±1
特に N(α) = 1 なら t^2 - Du^2 = 4 である。
よって (t, u) ∈ Pell+(D) である。
逆に (t, u) ∈ Pell+(D) なら、
>>132 より α = (t + u√D)/2 は R の単数である。
明らかに、N(α) = 1 である。
以上から Pell+(D) と (R^*)+ は集合として同型である。
>>412 より Pell+(D) と U(f) は集合として同型であるから
U(f) と (R^*)+ は集合として同型である。
414 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 15:59:34
>>413 の続き。
>>139 より R の任意の単数は ±E^m, m ∈ Z と書ける。
ここで E は R の基本単数である。
よって R^* は群として Z × {±1} と同型である。
ここで Z は有理整数環の加法群である。
N(E) = 1 なら R^* = (R^*)+ である。
N(E) = -1 なら (R^*)+ の任意の元は ±(E^2)^m, m ∈ Z と書ける。
この場合も (R^*)+ は群として Z × {±1} と同型である。
415 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 16:10:27
>>408 >よって w は a, b, c の共約数である。
よって w は a, b, c の公約数である。
416 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 17:25:26
>>414 の続き。
R の基本単数は
>>138 と
>>139 の方法で求まる。
例として
>>401 で取り上げた D = 328 のときに基本単数を
求めてみよう。
>>401 より (-1, 18, 1) は簡約2次形式だから
θ = 2|a|/(-b + √D) = (b + √D)/2|c| = (18 + √D)/2 は
簡約された2次無理数である(
>>330 ,
>>339 )。
[θ] = 18
θ - 18 = (-18 + √D)/2
1/(θ - 18) = 2(-18 - √D)/(18^2 - 328)
= 2(18 + √D)/4 = (18 + √D)/2 = θ
よって
θ = [18, 0, θ]
よって
θ = 18 + 1/θ = (18θ + 1)/θ
>>138 より θ = (18 + √D)/2 は R の、従って Q(√82) の
基本単数である。
N(θ) = (18 + √D)/2 (18 - √D)/2 = (18^2 - 328)/4 = -4/4 = -1
よって
(R^*)+ = { ±θ^(2n) ; n ∈ Z }
= { ±((326 + 18√D)/2)^n) ; n ∈ Z }
417 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/31(木) 21:00:24
>>416 の補足。
θ = (18 + √D)/2 = 9 + √82
θ^2 = (9 + √82)^2 = 81 + 18√82 + 82 = 163 + 18√82
よって
(R^*)+ = { ±θ^(2n) ; n ∈ Z } = { ±(163 + 18√82)^n) ; n ∈ Z }
418 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/01(金) 06:41:05
訂正
>>416 >よって
>θ = [18, 0, θ]
よって
θ = [18, θ]
419 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/01(金) 10:59:10
>>401 の (3, 14, -11) も簡約2次形式である。
これからも R の基本単数を計算して見よう。
θ = 2|a|/(-b + √D) = (b + √D)/2|c| = (14 + √D)/22
= (7 + √82)/11
これは簡約された2次無理数である(
>>330 ,
>>339 )。
θ を連分数に展開する。
[(7 + √82)/11] = 1
(7 + √82)/11 - 1 = (-4 + √82)/11
11/(-4 + √82) = 11(4 + √82)/66 = (4 + √82)/6
[(4 + √82)/6] = 2
(4 + √82)/6 - 2 = (-8 + √82)/6
6/(-8 + √82) = 6(8 + √82)/18 = (8 + √82)/3
[(8 + √82)/3] = 5
(8 + √82)/3 - 5 = (-7 + √82)/3
3/(-7 + √82) = 3(7 + √82)/33 = (7 + √82)/11 = θ
よって
θ = [1, 2, 5, θ]
よって
θ = (16θ + 3)/(11θ + 2)
よって
11θ + 2 = 9 + √82 が基本単数である。
これは勿論
>>416 の結果と一致している。
43
42
41
40
39
38
37
36
35
34
33
34
荒らすな (゚Д゚)≡゚д゚)、カァー ペッ!!
433 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/05(火) 21:47:41
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と する。 (a, b, c) を判別式 D の2次形式とする。 n を有理整数としたとき σ(n) = (0, 1)/(-1, n) とおく。 σ(n) ∈ SL_2(Z) である。 (a, b, c)σ(n) = (c, -b - 2cn, a + bn + cn^2) となる。 2次形式 (c, -b - 2cn, a + bn + cn^2) を (c, b', a') と書くと、 b + b' ≡ 0 (mod 2c) である。 一般に、(a, b, c) と (c, b', a') を判別式 D の2次形式としたとき、 b + b' ≡ 0 (mod 2c) となるとき、 (c, b', a') は (a, b, c) の右に隣接しているといい、 (a, b, c) は (c, b', a') の左に隣接しているという。 この関係を (a, b, c) → (c, b', a') と表す。 b + b' = -2cn とすると (a, b, c)σ(n) = (c, b', a') である。
434 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/05(火) 22:38:13
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
>>348 の ρ(a, b, c) は (a, b, c) の右に隣接している。
逆に、(a, b, c) と (c, b', a') を判別式 D > 0 の簡約2次形式
(
>>330 )とし、(c, b', a') が (a, b, c) の右に隣接しているとする。
b + b' ≡ 0 (mod 2c) だから b' = -b + 2|c|n と書ける。
(c, b', a') は簡約されているから
√D - 2|c| < -b + 2|c|n < √D
よって
2|c|n < b + √D < 2|c|n + 2|c|
即ち
n < (b + √D)/2|c| < n + 1
よって
n = [(b + √D)/2|c|]
>>348 より ρ(a, b, c) = (c, b', a') である。
以上をまとめると、簡約2次形式 (a, b, c) の右に隣接している
簡約2次形式はただ一つ存在し、それは ρ(a, b, c) である。
435 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/05(火) 22:56:44
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
(a, b, c) を判別式 D > 0 の簡約2次形式(
>>330 )とする。
μ(a, b, c) = (c, b, a) と書いた(
>>355 )。
>>356 より (μρ)(μρ) = 1 だから
μρμρ(a, b, c) = (a, b, c)
である。
両辺に μ を掛けて
ρμρ(a, b, c) = μ(a, b, c)
一方、(a, b, c) と (c, b', a') を判別式 D > 0 の簡約2次形式
とし、(c, b', a') が (a, b, c) の右に隣接しているとする。
即ち、(a, b, c) → (c, b', a') とする。
このとき、明らかに (a', b', c) → (c, b, a) である。
即ち、μ(c, b', a') → μ(a, b, c)
436 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/05(火) 23:04:30
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
(a, b, c) と (c, b', a') を判別式 D > 0 の簡約2次形式
とし、(c, b', a') が (a, b, c) の右に隣接しているとする。
即ち、(a, b, c) → (c, b', a') とする。
>>434 より ρ(a, b, c) = (c, b', a') である。
ρ^(-1) を両辺に掛けて
(a, b, c) = ρ^(-1)(c, b', a') となる。
即ち、簡約2次形式 (c, b', a') の左に隣接している
簡約2次形式はただ一つ存在し、それは ρ^(-1)(c, b', a') である。
437 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/06(水) 20:38:53
D > 0 を平方数でない正の有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と
する。
f と g を判別式 D > 0 の簡約2次形式
とし、g が f の右に隣接しているとする(
>>433 )。
即ち、f → g とする。
>>435 より μ(g) → μ(f) である。
さらに h を判別式 D > 0 の簡約2次形式で g → h とすれば、
μ(h) → μ(g) → μ(f) となる。
>>434 より f → g なら f と g は同じサイクル(
>>359 )に属す。
上から、一般に f と g が同じサイクルに属せば μ(f) と μ(g) も
同じサイクルに属すことが分かる。
よって μ: RF(D) → RF(D) は RF(D)/G (
>>359 ) の集合としての
自己同型を引き起こす。この自己同型を同じくμで表そう。
μ: RF(D)/G → RF(D)/G
438 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/06(水) 20:42:57
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) と する。 (a, b, c) を判別式 D の2次形式とする。 (c, b, a) → (a, b, c) となるとき、 即ち b ≡ 0 (mod a) のとき (a, b, c) を両面形式(ambiguous form) と呼ぶ(Gauss D.A. art. 163)。
439 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/06(水) 20:49:45
>>437 の続き。
RF(D)/G の元、即ちサイクル C で μ(C) = C となるものを考える。
C の元の一つを f とする。
C の元の個数を n とすると (ρ^n)(f) = f だから
>>358 より n は
偶数である。n = 2d とする。
i を任意の有理整数としたとき f_i = (ρ^i)(f) と書く。
C = { f_0, f_1, . . . , f_(n-1) } である。
μ(C) = C だから μ(f) は C の元である。
μ(f) = f_r とする。ここで 0 ≦ r < n である。
f = (a, b, c) とすると μ(f) = (c, b, a) である。
>>335 より a と c の符号は反対だから r は奇数である。
r = 2m - 1 とする。ここで 1 ≦ m ≦ d である。
μ(f) = f_r の両辺に μ を作用させると、f_0 = μ(f_r)
f_(r-1) → f_r だから
>>435 より f_0 → μ(f_(r-1))
一方 f_0 → f_1 だから μ(f_(r-1)) = f_1
一般に h を任意の有理整数としたとき μ(f_(r-h)) = f_h
特に h = m とすると μ(f_(m-1)) = f_m
よって f_m は両面形式である(
>>438 )。
440 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/06(水) 20:54:15
f_(m-1) = f_(m - 1 + 2d) だから μ(f_(m - 1 + 2d)) = f_m よって左辺の添字から d を引き、右辺の添字に d を加えれば、 μ(f_(m + d - 1)) = f_(m + d) よって f_(m + d) は両面形式である。 m ≡ m + d (mod 2d) ではないから f_m ≠ f_(m + d) である。 f_s が両面形式だとする。 μ(f_(s - 1)) = f_s よって μ(f_s) = f_(s - 1) 左辺の添字から s を引き、右辺の添字に s を加えれば、 μ(f_0) = f_(2s - 1) μ(f_0) = f_(2m - 1) だったから f_(2s - 1) = f_(2m - 1) よって 2s ≡ 2m (mod 2d) s ≡ m (mod d) s = m + dk とする。 k が偶数なら s ≡ m (mod 2d) k が奇数なら s ≡ m + d (mod 2d) 以上から C には相異なる両面形式 f_m と f_(m + d) の2個があり、 C に含まれる両面形式はこれ以外にない。
クンメル氏乙
442 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/06(水) 21:24:45
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
(a, b, c) を判別式 D の両面形式(
>>438 )とする。
b ≡ 0 (mod a) だから b = an となる有理整数 n がある。
σ = (1, n)/(0 -1) は GL_2(Z) の元で det(σ) = -1 である。
(a, b, c)σ = (k, l, m) とする。
σ = (1, n)/(0 -1) = (p, q)/(r, s) とおく。
p = 1
q = n
r = 0
s = -1
である。
過去スレ4の280より
k = ap^2 + bpr + cr^2 = a
l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs = 2an - b = b
m = aq^2 + bqs + cs^2 = an^2 - bn + c = c
即ち (a, b, c)σ = (a, b, c) である。
443 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/06(水) 21:44:36
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 (a, b, c) を判別式 D の2次形式とする。 σ = (p, q)/(r, s) ∈ GL_2(Z) で det(σ) = ps - qr = -1 とし、 (a, b, c)σ = (a, b, c) とする。 このとき p + s = 0 となることを証明しよう。 過去スレ4の280より a = ap^2 + bpr + cr^2 b = 2apq + b(ps + qr) + 2crs c = aq^2 + bqs + cs^2 qr = ps + 1 を b = 2apq + b(ps + qr) + 2crs に代入すると b = 2apq + b(2ps + 1) + 2crs よって 2apq + 2bps + 2crs = 0 apq + bps + crs = 0 apq + (bp + cr)s = 0 両辺に r を掛けて apqr + (bp + cr)rs = 0 一方 a = ap^2 + bpr + cr^2 より a = ap^2 + (bp + cr)r 両辺に s を掛けて as = asp^2 + (bp + cr)rs これに、上の 0 = apqr + (bp + cr)rs を辺々引いて as = asp^2 - apqr 両辺を a で割って s = sp^2 - pqr s = p(sp - qr) s = -p 証明終
444 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/06(水) 21:53:40
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
(a, b, c) を判別式 D の2次形式とする。
ここで σ = (p, q)/(r, s) ∈ GL_2(Z) で det(σ) = ps - qr = -1
とし、(a, b, c)σ = (a, b, c) とする。
>>443 より s = -p である。
よって p^2 + qr = 1 である。
r = 0 の場合を考える。
p^2 = 1 である。
過去スレ4の280より
b = 2apq + b(ps + qr) + 2crs = 2apq - bp^2 = 2apq - b
よって
2b = 2apq
よって
b = apq
よって (a, b, c) は両面形式(
>>438 )である。
445 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/06(水) 22:28:02
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
(a, b, c) を判別式 D の2次形式とする。
ここで σ = (p, q)/(r, s) ∈ GL_2(Z) で det(σ) = ps - qr = -1
とし、(a, b, c)σ = (a, b, c) とする。
>>443 より s = -p である。
よって p^2 + qr = 1 である。
今度は r ≠ 0 の場合を考える。
τ = (u, v)/(w, z) ∈ SL_2(Z) を適当にとると
(a, b, c)τρ = (a, b, c)τ
τρτ^(-1) = σ
となる ρ ∈ GL_2(Z) で
det(ρ) = -1 で ρ = (α、β)/(0, -α) の形となることを
証明しよう。
τρτ^(-1) = σ より ρ = τ^(-1)στ
τ^(-1) = (z, -v)/(-w, u)
σ = (p, q)/(r, -p)
だから
τ^(-1)σ = (zp - vr, zq + vp)/(-wp + ur, -wq - up)
これと
ρ = τ^(-1)στ の (2, 1)-成分が 0 より
-uwp + u^2 r - w^2q - uwp = u^2 r - 2uwp - w^2q = 0
446 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/07(木) 09:04:21
>>445 の u^2 r - 2uwp - w^2q = 0 の両辺に r を掛けて
u^2 r^2 - 2uwpr - w^2qr = 0
p^2 + qr = 1 だから
u^2 r^2 - 2uwpr - w^2(1 - p^2) = 0
よって
u^2 r^2 - 2uwpr + w^2p^2 - w^2 = 0
よって
(ur - wp)^2 - w^2 = 0
両辺を w^2 で割って
((u/w)r - p)^2 - 1 = 0
よって
(u/w)r - p = ±1
よって
u/w = (p ± 1)/r
u/w = (p ± 1)/r を満たす u, w で gcd(u, w) = 1 となるものをとる。
gcd(u, w) = 1 だから uz - vw = 1 となる z, v が存在する。
τ = (u, v)/(w, z) が求めるものである。
447 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/07(木) 10:33:44
>>445 により、
(a, b, c)σ = (a, b, c) となる σ ∈ GL_2(Z) で det(σ) = -1
となるものがあれば、(a, b, c) は両面形式と同値になる。
448 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/07(木) 11:11:28
>>447 を補足する。
(a, b, c)σ = (a, b, c) となる σ ∈ GL_2(Z) で det(σ) = -1
となるものがあれば、
>>445 により、τ = (u, v)/(w, z) ∈ SL_2(Z) を適当にとると
(a, b, c)τρ = (a, b, c)τ となる。
ここで ρ = (α、β)/(0, δ) ∈ GL_2(Z) で det(ρ) = -1 である。
>>444 より (a, b, c)τ は両面形式である。
449 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/07(木) 22:17:39
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4)
とする。
判別式 D の2次形式の集合を F(D) と書いた(
>>184 )。
F(D) を Γ = SL_2(Z) の作用(
>>184 )で類別した集合を F(D)/Γ と書く。
f = (a, b, c) ∈ F(D) として f の属す F(D)/Γ の類を C とする。
τ = (1, 0)/(0, -1) とおく。
det(τ) = -1 である。
(a, b. c)τ = (a, -b, c) である(
>>296 )。
τ^2 = 1 だから τ^(-1) = τ である。
(a, -b, c) が C に属すとする。
これは fσ = fτ となる σ ∈ SL_2(Z) が存在することを意味する。
よって fστ = f である。
det(στ) = -1 だから
>>447 ,
>>448 より f は両面形式 g と
同値になる。即ち C は両面形式 g を含む。
逆に F(D)/Γ の類 E がある両面形式 (k, l, m) を含むとする。
l ≡ 0 (mod k) だから l = kn となる有理整数 n がある。
S = (1, 1)/(0, 1) とおけば、S^n = (1, n)/(0, 1)
τS^n = (1, n)/(0, -1)
従って、
>>442 より (k, l, m)τS^n = (k, l, m) である。
よって (k, l, m)τ = (k, l, m)S^(-n) となる。
det(S^(-n)) = 1 だから (k, l, m)S^(-n) 従って (k, l, m)τ は
E に含まれる。
450 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/07(木) 22:19:49
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 F(D)/Γ の類 C が両面形式を含むとき C を両面類という。
451 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/07(木) 22:55:14
命題
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4)
とする。
F(D)/Γ の類 C が両面類であるためには、C の任意の元 (a, b, c) に
対して (a, -b, c) が C に含まれることが必要十分である。
証明
C の任意の元 (a, b, c) に対して (a, -b, c) が C に含まれれば、
>>449 より C は両面類である。
逆に C が両面類であるとする。
τ = (1, 0)/(0, -1) とおく。
C はある両面形式 f を含むから、
>>449 より fτ ∈ C である。
g を C の任意の元とする。
このとき gτ が C に含まれることを示せばよい。
f と g は C の元だから fσ = g となる σ ∈ SL_2(Z) がある。
同様に fτ と g は C の元だから fτρ= g となる ρ ∈ SL_2(Z)
がある。
fσ = g より f = gσ^(-1) だから
fτρ= g より gσ^(-1)τρ = g である。
よって
gσ^(-1)τρτ = gτ
ここで κ = σ^(-1)τρτ とおくと
gκ = gτ
det(κ) = 1 だから gκ 従って gτ は C に含まれる。
証明終
452 :
132人目の素数さん :2007/06/08(金) 05:32:04 BE:810288948-2BP(1000)
このすれはノートか
453 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/08(金) 09:02:21
このスレの内容についてコメントなり質問をしてください。 わからないところがあったら説明します。 内容に関係ないレスは原則として返事をしないのであしからず。
スレの目標と言うか今後のロードマップみたいなものは どこかに書き込まれてまつか。 それと使用予定の参考文献とか。
455 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/08(金) 22:07:34
>>454 基本的な方針は代数的整数論を出来る限り歴史的順序に従って述べようと
いうことです。
ただし、実際の歴史と同じように述べてもあまり意味はないし、
不可能です。
そこで、適宜現代的視点を取り入れていこうと思います。
大げさに言うと、古典と現代の融合を狙っています。
この方針と関係しますが、構成的方法の重視というのもあります。
つまり計算アルゴリズムを常に意識していこうと思っています。
今後の予定としては、2元2次形式論の初等的な部分を終ったら2次体の
類数公式をやる予定です。
次に、Hilbert の Bericht の内容を現代的な方法で扱いたい。
ここで種々の相互法則が出てくるでしょう。
類体論の成立過程を高次べき剰余の相互法則とからめてやりたいというのが
基本にあります。
それから類体論の成立過程で重要な役割をしているのが虚数乗法論です。
従って、これもやりたいと思ってます。
456 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/08(金) 22:09:05
>>454 過去スレ3より
以下、今までに参考にした、またはこれから参考にする予定の本や論文を挙げる(全部ではない)。
Bourbakiの位相、代数、位相ベクトル空間、積分、可換代数
Weilの位相群上の積分とその応用
Hewitt-Rossの位相群上の調和解析
van der Weardenの代数学
秋月・鈴木の高等代数学 II
Artin, et al の Rings with minimum conditon
Cartan-EilenbergのHomological Algebra
Zariski-Samuelの可換代数
Serre の Local Algebra
Edwards の Fermat's Last Theorem
Gaussの数論考究(英訳)
Dirichletの整数論講義(和訳)
Hilbertの Bericht(英訳)
Heckeの代数的整数論講義(英訳)
高木の代数学、初等整数論、代数的整数論
高木の類体論の論文(1920)その他
Artinの一般相互法則に関する論文(1926)その他
Hasseの Bericht
Hasseの類体論に関するいくつかの論文
Herbrandの代数的整数論に関する2,3の論文
Chevalleyの類体論に関する2,3の論文。
Deuringの Algebren
Artinの Algebraic Numbers and Algebraic Functions
Artin-Tateの Class Field Theory
Serreの Local Fields
岩沢の 局所類体論
Cassels & Frohlich
Weilの Basic Number Theory
Langの Algebraic Number Theory
Neukirchの代数的整数論
457 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/08(金) 22:13:35
>>454 参考ないし参考予定の文献は過去スレ3の673に書いてあります。
しかし、あれから半年以上たっているので新たに参考にしたものも
あります。
Zagier の数論入門(岩波)
Buell の Binary quadratic forms
Cohen の A course in computational algebraic number theory
Cox の Primes of the Form x2 + ny2: Fermat, Class Field Theory,
and Complex Multiplication
などです。
これ等は、過去スレ4とこのスレで参考とした箇所に書いてあります。
基本的に、参考にした文献は随時書いていきます。
458 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/08(金) 22:33:46
命題
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4)
とする。
F(D)/Γ の類 C が両面類(
>>450 (なら、C の任意の2元
(同じであってもよい) f, g に対して fρ = g となる ρ ∈ GL_2(Z) で
det(ρ) = -1 となるものが存在する。
証明
τ = (1, 0)/(0, -1) とおく。
>>449 と
>>451 より gτ は C に含まれる。
よって fσ = gτ となる σ ∈ SL_2(Z) がある。
τ^2 = 1 だから fστ = g である。
ρ = στ が求めるものである。
証明終
459 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/09(土) 00:31:11
参考文献を追加します。 Serre の A course in arithmetic Ireland-Rosen の A classical introduction to modern number theory Lemmermeyer の Reciprocity laws Samuel 数の代数的理論 Marcus Number fields Frohlich-Taylor の Algebraic number theory Cassels の Local fields Hasse の Number theory Gras の Class field theory Koch の Algebraic number theory Cohen の Advanced topics in computational number theory Sliverman の The arithmetic of elliptic curves Lang の Elliptic functions Lang の Complex multiplication Weber の Algebra III Shimura の Introduction to arithmetic theory of automorphic functions
460 :
454 :2007/06/09(土) 11:01:32
ご丁寧にありがとうございます。 自分にはまだまだ敷居が高いのですが、 提示していただいた参考文献に何とか挑戦してみようかと思います。 横から失礼致しました。
461 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/13(水) 13:11:54
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4)
とする。
判別式 D の2次形式の集合を F(D) と書いた(
>>184 )。
判別式 D の原始的2次形式の集合を F_0(D) と書いた(
>>220 )。
D < 0 のときは、判別式 D の正定値(過去スレ293)な2次形式の集合を
F+(D) と書く。
さらに、判別式 D の正定値かつ原始的な2次形式の集合を (F_0)+(D) と
書く。
F(D) を Γ = SL_2(Z) の作用(
>>184 )で類別した集合を F(D)/Γ と書く。
F_0(D)/Γ, F+(D)/Γ, (F_0)+(D)/Γ も同様に定義する。
462 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/13(水) 21:47:21
D < 0 のとき F(D)/Γの構造を調べる。 f = (a, b, c) と g = (k, l, m) が F(D)/Γ の同じ類に属すとする。 fσ = g となる σ = (p, q)/(r, s) ∈ SL_2(Z) がある。 過去スレ4の280より k = ap^2 + bpr + cr^2 l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs m = aq^2 + bqs + cs^2 ak = a(ap^2 + bpr + cr^2) = (ap + (b/2)r)^2 + acr^2 - (b^2)(r^2)/4 = (ap + (b/2)r)^2 + r^2(4ac - b^2)/4 = (ap + (b/2)r)^2 + r^2|D|/4 > 0 よって a と k は同符号である。 よって F(D)/Γ の各類の元はすべて正定値またはすべて負定値 (過去スレ293)である。
463 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/13(水) 21:52:34
f = (a, b, c) が判別式 D の正定値な2次形式であれば、 -f = (-a, -b, -c) は判別式 D の負定値(過去スレの293)な 2次形式である。 g = (k, l, m) が判別式 D の次形式で f と同値なら、 即ち fσ = g となる σ ∈ SL_2(Z) があれば、 過去スレ4の280より k = ap^2 + bpr + cr^2 l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs m = aq^2 + bqs + cs^2 よって -k = -ap^2 - bpr - cr^2 -l = -2apq - b(ps + qr) - 2crs -m = -aq^2 - bqs - cs^2 よって (-a, -b, -c)σ = (-k, -l, -m) である。 逆に (-a, -b, -c) と (-k, -l, -m) が同値なら、 (a, b, c) と (k, l, m) も同値になる。 以上から、判別式 D の負定値な2次形式の集合を F-(D) と書けば、 F(D) = F+(D) ∪ F-(D) F(D)/Γ = (F+(D)/Γ) ∪ (F-(D)/Γ) であり F+(D)/Γ と F-(D)/Γ は集合として同型である。 よって |F(D)/Γ| = 2|F+(D)/Γ|
464 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/13(水) 21:57:25
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 f = (a, b, c) を判別式 D の2次形式とする。 gcd(a, b, c) を記号の濫用だが gcd(f) とも書くことにする。 g = (k, l, m) が判別式 D の2次形式で f と同値なら、 過去スレの282より gcd(f) = gcd(g) である。 よって C が F(D)/Γ の類のとき C の各元の gcd は同じである。 これを gcd(C) と書くことにする。 よって F(D)/Γ の各類は同じ gcd を持つものをひとつのグループと することにより、いくつかのにグループに分類出来る。 各グループを判別式 D のオーダー(order)と呼ぶ(Gauss D.A. art. 226)。 定義から各オーダーに属す類の gcd は同じである。 これをそのオーダーの gcd と呼ぶ。 定義から gcd が1のオーダーは F_0(D)/Γである。 因みにオーダーという用語は生物分類学における「目(もく)」(order)から 来たものと思われる。 F(D)/Γ の各類は英語で class というが、これは生物分類学における 「網(こう)」にあたる。
465 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/13(水) 22:05:27
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 判別式 D の整環(過去スレ4の418,421,424)を O(D) と書く。 O(D) の導手(過去スレ4の423)を f(D) と書く。 2次体 Q(√D) の判別式を d とする。O(d) は Q(√D) の主整環である。 1, ω を O(d) の標準基とすると、O(D) = [1, f(D)ω] である。 D = (f(D))^2 d である(過去スレ4の425)。 (a, b, c) を判別式 D の2次形式とする。 g = gcd(a, b, c) とする。 a = ga' b = gb' c = gc' とすれば (a', b', c') は原始的(過去スレ4の279)な2次形式である。 その判別式を D' とすれば D = (g^2)((b')^2 - 4a'c') = (g^2)D' D' = (f(D'))^2 d だから (f(D))^2 d = (g^2)(f(D'))^2 d よって (f(D))^2 = (g^2)(f(D'))^2 よって f(D) = gf(D') よって O(D) = [1, f(D)ω] ⊂ O(D') = [1, f(D')ω] ⊂ O(d) = [1, ω] よって [O(D') : O(D)] = g である。 ここで [O(D') : O(D)] はアーベル群 O(D')/O(D) の位数を表す。
466 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/13(水) 22:19:16
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 f = (a, b, c) と g = (k, l, m) を判別式 D の2次形式とする。 e = gcd(a, b, c) = gcd(k, l, m) とする。 a = ea' b = eb' c = ec' k = ek' l = el' m = em' とすれば (a', b', c') と (k', l', m') は原始的な2次形式である。 f = (a, b, c) と g = (k, l, m) が F(D)/Γ の同じ類に属すとする。 fσ = g となる σ = (p, q)/(r, s) ∈ SL_2(Z) がある。 過去スレ4の280より k = ap^2 + bpr + cr^2 l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs m = aq^2 + bqs + cs^2 これから (a', b', c')σ = (k', l', m') となる。
467 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/13(水) 22:32:12
逆に2次形式 (a', b', c') と (k', l', m') が同値なら、
任意の有理整数 e ≠ 0 に対して
a = ea'
b = eb'
c = ec'
k = ek'
l = el'
m = em'
とおくと、(a, b, c) と (k, l, m) は同値である。
よって
>>465 と
>>466 より gcd が e の F(D)/Γ の類と
F_0(D')/Γ の類は1対1に対応する。
ここで D' = D/e^2 である。
すなわち判別式 D の gcd が e のオーダー(
>>464 )と F_0(D')/Γ は
集合として同型である。
468 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/13(水) 22:57:24
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4)
とする。
判別式 D の整環を O(D) と書き、O(D) の導手を f(D) と書いた(
>>465 )。
2次体 Q(√D) の判別式を d とすると D = (f(D))^2 d である。
f(D) の任意の約数 e > 0 に対して D' = (f(D)/e)^2 d とおくと、
D' は導手 f(D)/e の整環 O(D') の判別式である。
従って、
>>465 と
>>467 より
|F(D)/Γ| = Σ |F_0(D')/Γ|
ここで D' = (f(D)/e)^2 d であり、e は f(D) の約数 e > 0 全体を
動く。
469 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/13(水) 23:12:18
>>468 より D のオーダー(
>>464 )と O(D) ⊂ O(D') となる
2次体 Q(√D) の整環 O(D') とは1対1に対応する。
これが整環を英語で order (ドイツ語で ordnung)と呼ぶ理由である。
Grauert によると Cartan が解析的連接層を O と書いたのは
これに遠因があるらしい。
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500 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/24(日) 15:52:55
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式とする。 m を ax^2 + bxy + cy^2 で表現される有理整数とする (過去スレ4の701)。 即ち不定方程 m = ax^2 + bxy + cy^2 に有理整数解 (u, v) があるとする。 α= au + (b + √D)v/2 とおく。 N(α) = (au + (b + √D)v/2)(au + (b - √D)v/2) = a^2u^2 + au(b - √D)v/2 + au(b + √D)v/2) + (4acv^2)/4 = a^2u^2 + aub + acv^2 = am 一方 α = au + (b + √D)v/2 = au + (b - D + D + √D)v/2 = au + (b - D)/2 + (D + √D)v/2 判別式 D の整環を R とすると、 R = [1, (D + √D)/2] である(過去スレ4の585)。 一方 D = b^2 -4ac だから b^2 ≡ D (mod 4) よって b が偶数のときは 0 ≡ D (mod 4) となって D も偶数であり、 b が奇数のときは 1 ≡ D (mod 4) となって D も奇数である。 よって (b - D)/2 は有理整数である。 よって α = au + (b - D)/2 + (D + √D)v/2 は R の元である。
501 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/24(日) 16:36:35
>>500 はこれから説明しようとすることと直接関係がなかった。
従って、ひとまず忘れてください。
ただし、後で参照するかもしれない。
502 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/24(日) 16:49:36
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式とする。 k を ax^2 + bxy + cy^2 で表現される有理整数とする (過去スレ4の701)。 即ち不定方程 m = ax^2 + bxy + cy^2 に有理整数解 (p, r) があるとする。 m' を ax^2 + bxy + cy^2 で表現される有理整数とする 即ち不定方程 m' = ax^2 + bxy + cy^2 に有理整数解 (q, s) があるとする。 ax^2 + bxy + cy^2 に 一次変換 x = pu + qv y = ru + sv を施すと 過去スレ4の280より k = ap^2 + bpr + cr^2 l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs m = aq^2 + bqs + cs^2 となる。 ただし、過去スレ4の280では ps - qr = ±1 と仮定したが この仮定がなくてもこの関係式が成り立つことは明らかである。 過去スレ4の281より l^2 - 4km = D(ps- qr)^2 よって 4km = l^2 - D(ps- qr)^2
503 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/24(日) 16:51:36
504 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/24(日) 16:52:34
D を平方数でない(正または負の)有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式とする。 k を ax^2 + bxy + cy^2 で表現される有理整数とする (過去スレ4の701)。 即ち不定方程 k = ax^2 + bxy + cy^2 に有理整数解 (p, r) があるとする。 m を ax^2 + bxy + cy^2 で表現される有理整数とする 即ち不定方程 m = ax^2 + bxy + cy^2 に有理整数解 (q, s) があるとする。 ax^2 + bxy + cy^2 に 一次変換 x = pu + qv y = ru + sv を施すと 過去スレ4の280より k = ap^2 + bpr + cr^2 l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs m = aq^2 + bqs + cs^2 となる。 ただし、過去スレ4の280では ps - qr = ±1 と仮定したが この仮定がなくてもこの関係式が成り立つことは明らかである。 過去スレ4の281より l^2 - 4km = D(ps- qr)^2 よって 4km = l^2 - D(ps- qr)^2
505 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/25(月) 21:30:56
命題(Gauss D.A. art. 229)
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
p を D を割る奇素数とし、
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式とする。
m を f で表現される有理整数で p と素となるものとすると、
(m/p) は f と p だけで定まり, m の取り方によらない。
ここで (m/p) は Legendre の記号(過去スレ3の746)である。
証明
k と m を f で表現される有理整数で p と素とする。
>>504 より 4km = s^2 - Dt^2 となる有理整数 s, t がある。
よって 4km ≡ s^2 (mod p) となる。
よって (4km/p) = (km/p) = 1 である。
よって (k/p) = (m/p) である。
証明終
506 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/26(火) 20:49:41
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。
D' = D/4 とおく。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式とする。
k と m を f で表現される有理整数でともに奇数とする。
>>504 より 4km = s^2 - Dt^2 となる有理整数 s, t がある。
s^2 ≡ 4km + Dt^2 ≡ 0 (mod 4) だから、
s^2 = 4u^2 となる有理整数 u がある。
よって
4km =s^2 - Dt^2 = 4u^2 - 4D't^2 より
km = u^2 - D't^2
となる。
507 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/26(火) 20:58:34
>>506 の続き。
----------------------------------------------
D' ≡ 0 (mod 8) のとき
km = u^2 - D't^2 より
km ≡ u^2 (mod 8) となる。
u^2 ≡ 0, 1, 4, 1, 0, 1, 4, 1 (mod 8) だから
km が奇数に注意して
km ≡ 1 (mod 8) となる。
----------------------------------------------
D' ≡ 1 (mod 8) のとき
km = u^2 - D't^2 より
km ≡ u^2 - t^2 (mod 8) となる。
u^2 ≡ 0, 1, 4, 1, 0, 1, 4, 1 (mod 8)
t^2 ≡ 0, 1, 4, 1, 0, 1, 4, 1 (mod 8) だから
km ≡ 1, 3, 5, 7 (mod 8) となる。
---------------------
D' ≡ 2 (mod 8) のとき
km ≡ u^2 - 2t^2 (mod 8)
u^2 = 0, 1, 4, 1, 0, 1, 4, 1
2t^2 ≡ 0. 2, 0, 2, 0, 2, 0, 2 だから
km ≡ 1, 7 (mod 8) となる。
508 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/26(火) 21:01:29
>>507 の続き。
----------------------------------------------
D' ≡ 3 (mod 8) のとき
km ≡ u^2 - 3t^2 (mod 8)
u^2 = 0, 1, 4, 1, 0, 1, 4, 1
3t^2 ≡ 0. 3, 4, 3, 0, 3, 4, 3 だから
km ≡ 1, 5 (mod 8) となる。
----------------------------------------------
D' ≡ 4 (mod 8) のとき
km ≡ u^2 - 4t^2 (mod 8)
u^2 = 0, 1, 4, 1, 0, 1, 4, 1
4t^2 ≡ 0. 4, 0, 4, 0, 4, 0, 4 だから
km ≡ 1, 5 (mod 8) となる。
----------------------------------------------
D' ≡ 5 (mod 8) のとき
km ≡ u^2 - 5t^2 (mod 8)
u^2 = 0, 1, 4, 1, 0, 1, 4, 1
5t^2 ≡ 0. 5, 4, 5, 0, 5, 4, 5 だから
km ≡ 1, 3, 5, 7 (mod 8) となる。
509 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/26(火) 21:04:02
>>508 の続き。
----------------------------------------------
D' ≡ 6 (mod 8) のとき
km ≡ u^2 - 6t^2 (mod 8)
u^2 = 0, 1, 4, 1, 0, 1, 4, 1
6t^2 ≡ 0. 6, 0, 6, 0, 6, 0, 6 だから
km ≡ 1, 3 (mod 8) となる。
----------------------------------------------
D' ≡ 7 (mod 8) のとき
km ≡ u^2 - 7t^2 (mod 8)
u^2 = 0, 1, 4, 1, 0, 1, 4, 1
7t^2 ≡ 0. 7, 4, 7, 0, 7, 4, 7 だから
km ≡ 1, 5 (mod 8) となる。
510 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/26(火) 21:24:49
>>507 と
>>508 より
D' ≡ 1 (mod 8) と D' ≡ 5 (mod 8) のときは
km ≡ 1, 3, 5, 7 (mod 8) だから、これは km が奇数であるという
事実の他に何の情報も与えない。
よって、この場合は除外して考えてよい。
よって以下の4パターンに分けられる。
1) D' ≡ 0 (mod 8) のとき km ≡ 1 (mod 8)
2) D' ≡ 2 (mod 8) のとき km ≡ 1, 7 (mod 8)
3) D' ≡ 3, 4, 7 (mod 8) のとき km ≡ 1, 5 (mod 8)
4) D' ≡ 6 (mod 8) のとき km ≡ 1, 3 (mod 8)
511 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 06:38:25
有理整数の集合 Z から {±1} への写像ψ_1, ψ_2 を r が偶数のとき ψ_1(r) = 0, ψ_2(r) = 0 r が奇数のとき ψ_1(r) = (-1)^(r-1)/2 ψ_2(r) = (-1)^(r^2 - 1)/8 で定義する。 r ≡ s (mod 4) なら ψ_1(r) ≡ ψ_1(s) (mod 4) r ≡ s (mod 8) なら ψ_2(r) ≡ ψ_2(s) (mod 8) である。 過去スレ4の893より a, b を奇数とすれば (ab - 1)/2 ≡ (a - 1)/2 + (b - 1)/2 (mod 2) よって ψ_1(ab) = ψ_1(a)ψ_1(b) 過去スレ4の894より a, b を奇数とすれば (a^2b^2 - 1)/8 ≡ (a^2 - 1)/8 + (b^2 - 1)/8 (mod 2) よって ψ_2(ab) = ψ_2(a)ψ_2(b)
512 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 06:41:32
>>510 の続き。
>>511 より
ψ_1(1) = 1
ψ_1(3) = -1
ψ_1(5) = 1
ψ_1(7) = -1
ψ_2(1) = 1
ψ_2(3) = -1
ψ_2(5) = -1
ψ_2(7) = 1
よって
1) km ≡ 1 (mod 8) ⇔ ψ_1(km) = ψ_2(km)
2) km ≡ 1, 7 (mod 8) ⇔ ψ_2(km) = 1
3) km ≡ 1, 5 (mod 8) ⇔ ψ_1(km) = 1
4) km ≡ 1, 3 (mod 8) ⇔ ψ_1(km)ψ_2(km) = 1
513 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 20:59:48
>>512 を以下のように訂正する。
>>510 の続き。
>>511 より
ψ_1(1) = 1
ψ_1(3) = -1
ψ_1(5) = 1
ψ_1(7) = -1
ψ_2(1) = 1
ψ_2(3) = -1
ψ_2(5) = -1
ψ_2(7) = 1
よって
1) km ≡ 1 (mod 8) ⇔ ψ_1(km) = ψ_2(km) = 1
2) km ≡ 1, 7 (mod 8) ⇔ ψ_2(km) = 1
3) km ≡ 1, 5 (mod 8) ⇔ ψ_1(km) = 1
4) km ≡ 1, 3 (mod 8) ⇔ ψ_1(km)ψ_2(km) = 1
514 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 21:01:21
>>513 の続き。
有理整数の集合 Z から {±1} への写像 χ_2 を
1) D' ≡ 0 (mod 8) のとき χ_2 = ψ_1
2) D' ≡ 2 (mod 8) のとき χ_2 = ψ_2
3) D' ≡ 3, 4, 7 (mod 8) のとき χ_2 = ψ_1
4) D' ≡ 6 (mod 8) のとき χ_2 = ψ_1ψ_2
で定義する。
χ_2 は D により一意に決まる。
515 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 21:10:28
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式とする。
m を f で表現される奇数とすると、χ_2(m) は f だけで定まり、
m の取り方によらない。
ここで χ_2 は
>>514 で定義した写像である。
証明
>>513 と
>>514 より明らかである。
516 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 21:11:27
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式とする。 任意の素数 p に対して f により固有(過去スレ4の701)に表現される数 で p と素であるものが存在する。 証明 a が p で割れないとする。 x として p で割れず、y として p で割れ gcd(x, y) = 1 となるものをとれば、 ax^2 + bxy + cy^2 ≡ ax^2 (mod p) だから ax^2 + bxy + cy^2 は p で割れない。 c が p で割れないとする。 x として p で割れ、y として p で割れず、 gcd(x, y) = 1 となるものをとれば、 ax^2 + bxy + cy^2 ≡ cy^2 (mod p) だから ax^2 + bxy + cy^2 は p で割れない。 a と c が p で割れれば、f は原始的だから b は p で割れない。 x として p で割れず、y として p で割れず、 gcd(x, y) = 1 となるものをとれば、 ax^2 + bxy + cy^2 ≡ bxy (mod p) だから ax^2 + bxy + cy^2 は p で割れない。 証明終
517 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 22:36:38
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
p が D を割る奇素数のとき、有理整数の集合 Z から {±1} への
写像χ_p を χ_p(m) = (m/p) により定義する。
ここで (m/p) は Legendre の記号(過去スレ3の746)である。
D ≡ 0 (mod 4) で p = 2 のときは χ_p は
>>514 で定義されたもの
とする。
518 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 22:39:41
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
p を D の素因数の一つとする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的2次形式とする。
>>516 より、f で表現される有理整数 m で p と素となるものが
存在する。
>>505 と
>>515 より χ_p(m) は f と p だけで定まり, m の取り方に
よらない。
この値を χ_p(f) と書く。
f の属す F(D)/Γ (
>>461 ) の類を [f] と書く。
g ∈ [f] なら g で表現される有理整数の集合は f で表現される
有理整数の集合と一致する。
よって χ_p(f) = χ_p(g) である。
よって χ_p(f) は f の属す類 [f] のみで定まる。
よってこの値を χ_p([f]) と書く。
519 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 22:43:42
>>518 を以下のように訂正する。
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
p が D を割る奇素数のとき、有理整数の集合 Z から {±1} への
写像χ_p を χ_p(m) = (m/p) により定義する。
ここで (m/p) は Legendre の記号(過去スレ3の746)である。
D ≡ 0 (mod 4) で p = 2 のときは χ_p は
>>514 で定義されたもの
とする。
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
p を D の素因数の一つとする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的2次形式とする。
>>516 より、f で表現される有理整数 m で p と素となるものが
存在する。
>>505 と
>>515 より χ_p(m) は f と p だけで定まり, m の取り方に
よらない。
この値を χ_p(f) と書く。
f の属す F_0(D)/Γ (
>>461 ) の類を [f] と書く。
g ∈ [f] なら g で表現される有理整数の集合は f で表現される
有理整数の集合と一致する。
よって χ_p(f) = χ_p(g) である。
よって χ_p(f) は f の属す類 [f] のみで定まる。
よってこの値を χ_p([f]) と書く。
520 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/27(水) 22:51:00
>>519 において D < 0 のときは F_0(D)/Γ の代わりに
(F_0)+(D)/Γ (
>>461 ) を考えることにする。
f が判別式 D の正定値かつ原始的な2次形式のとき
χ_p([f]) が
>>519 と同様に定義される。
521 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/28(木) 04:25:40
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
p_1, p_2, . . . , p_r を D の素因子のすべてとする。
D > 0 のときは F_0(D)/Γ(
>>461 )、D < 0 のときは
(F_0)+(D)/Γ (
>>461 )の類 C に対して、
列 χ_(p_1)(C), . . . , χ_(p_r)(C) が定まる(
>>519 )。
二つの類はこの列が一致するとき同じ種(genus)に属すという。
これは同値関係であり、この同値類を判別式 D の種と呼ぶ。
いつになったらhypertex化するの?? 非常に見づらいのだが。
523 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/28(木) 04:56:01
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
D ≡ 0 (mod 4) のとき (1, 0 -D/4) は判別式 D の原始的2次形式
である。
D ≡ 1 (mod 4) のとき (1, 1, (1 - D)/4) は判別式 D の
原始的2次形式である。
(1, 0 -D/4) または (1, 1, (1 - D)/4) を判別式 D の主形式と呼ぶ。
主形式の属す類を主類と呼ぶ。
>>242 より主類には Cl(D) または Cl+(D) の単位類が対応する。
524 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/28(木) 05:14:13
主類の属す種を主種と呼ぶ。
判別式 D の主形式(
>>523 ) は (x, y) = (1, 0) とおけば
1 を表現する。
p が D の素因子のとき χ_p(1) = 1 である。
よって類 C が主種に属すためには
χ_(p_1)(C) = χ_(p_2)(C) = . . . = χ_(p_r)(C) = 1
が必要十分である。
525 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/28(木) 05:38:55
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 p を D の素因子の一つとする。 判別式 D の原始的2次形式 f = ax^2 + bxy + cy^2 が与えられたとき、 χ_p(f) は以下のようにして求まる(Gauss D.A. art. 230)。 (x, y) = (1, 0) のとき f は a を表現し、 (x, y) = (0, 1) のとき f は c を表現することに注意する。 a と c がともに p で割れれば、D = b^2 - 4ac より b^2 も p で割れ、したがって b が p で割れる。 これは f が原始的という仮定に反する。 よって a または c のどちらか一方は p で割れない。 a が p で割れないときは、χ_p(f) = χ_p(a) であり、 c が p で割れないときは、χ_p(f) = χ_p(c) である。
526 :
132人目の素数さん :2007/06/30(土) 01:48:47
Takayama Yoshihiro.
30
29
28
27
26
25
533 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 15:31:36
534 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 15:32:25
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式とする。 m ≠ 0 を任意の有理整数とする。 f により固有(過去スレ4の701)に表現される数で m と素であるもの が存在する。 証明(Buell の Binary quadratic forms より) P = a と c と m を割る素数の積。 Q = a と m を割るが c を割らない素数の積。 R = c と m を割るが a を割らない素数の積。 S = m を割るが a も c も割らない素数の積。 とおく。 n = aQ^2 + bQRS + c(RS)^2 とおく。 gcd(Q, RS) = 1 だから n は f により固有に表現される。 p を m の任意の素因子とする。 p が Q を割れば n ≡ c(RS)^2 (mod p) だから n は p で割れない。 p が R を割れば n ≡ aQ^2 (mod p) だから n は p で割れない。 p が S を割れば n ≡ aQ^2 (mod p) だから n は p で割れない。 p が P を割れば n ≡ bQRS (mod p) であるが b は p で割れない(割れるなら f は原始的でい)から n は p で割れない。 以上から n は m と素である。 証明終
535 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 16:48:21
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的2次形式とする。
平方剰余の相互法則を使うと Πχ_p(f) = 1 となることがわかる。
ここで p は D を割る素数全体を動く。
χ_p(f) は
>>519 で定義したものである。
このことを証明しよう。
536 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 17:31:49
537 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 17:40:57
ある2次体の判別式となるような有理整数を基本判別式という。 即ち次のどちらかを満たす有理整数 D を基本判別式という。 1) D ≡ 1 (mod 4) で D は平方因子を持たない。 2) D = 4m と書ける。 ここで m は平方因子を持たず m ≡ 2, 3 (mod 4) である。
538 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 19:38:27
D を基本判別式(
>>537 )とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的2次形式とする。
ただし、D < 0 のときは f は正定値(過去スレの293)とする。
Πχ_p(f) = 1 を示そう。ここで p は D を割る素数全体を動く。
χ_p(f) は
>>519 で定義したものである。
>>534 より f により固有に表現される数 n で D と素であるもの
が存在する。
D < 0 のときは f は正定値だから n > 0 である。
539 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 19:53:34
まず D ≡ 1 (mod 4) の場合を考える。 D > 0 の場合。 n > 0 で n は奇数のとき。 Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(n) = (n/D) である。 過去スレの895より (n/D) = (-1)^((D-1)/2)((n-1)/2)(D/n) D ≡ 1 (mod 4) だから (n/D) = (D/n) 過去スレの717より D ≡ r^2 (mod 4n) となる有理整数 r が存在する。 よって n を割る素数 p に対して (D/p) = 1 である。 従って (D/n) = 1 である。 以上をまとめると Πχ_p(n) = (n/D) = (D/n) = 1 n = 2のとき。 Jacobi の記号の定義より Πχ_p(2) = (2/D) である。 過去スレの897より (2/D) = (-1)^((D^2 - 1)/8) 過去スレの717より D ≡ r^2 (mod 8) となる有理整数 r が存在するから。 D ≡ 1 (mod 8) である よって (-1)^((D^2 - 1)/8) = 1 以上をまとめると Πχ_p(2) = (2/D) = (-1)^((D^2 - 1)/8) = 1
540 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 20:16:39
n > 0 で n が偶数のとき。
n = (2^s)k の形に書ける。ここで s ≧ 0 で k は奇数である。
Πχ_p(n) = Πχ_p(2)^s Πχ_p(k) である。
過去スレの717より
D ≡ r^2 (mod 4n) となる有理整数 r が存在する。
従って、
>>539 と同じ論法で
Πχ_p(k) = 1
Πχ_p(2) = 1 となる。
従って、Πχ_p(n) = 1 である。
541 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 20:21:17
n < 0 のとき。
Πχ_p(n) = Πχ_p(-1)Πχ_p(-n)
>>539 ,
>>540 と同様の論法より Πχ_p(-n) = 1 である。
Jacobi の記号の定義より
Πχ_p(-1) = (-1/D) である。
過去スレの896より
(-1/D) = (-1)^((D-1)/2)
D ≡ 1 (mod 4) だから (-1)^((D-1)/2) = 1 である。
よって Πχ_p(-1) = 1 である。
よって Πχ_p(n) = 1 である。
542 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 20:35:50
D < 0 の場合。
n > 0 で n は奇数のとき。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(n) = (n/-D) である。
過去スレの895より
(n/-D) = (-1)^((-D-1)/2)((n-1)/2)(-D/n)
-D ≡ 3 (mod 4) だから
(n/-D) = (-1)^((n-1)/2)(-D/n)
(-D/n) = (-1/n)(D/n)
過去スレの896より
(-1/n) = (-1)^((n-1)/2)
>>539 と同じ論法で (D/n) = 1 である。
以上をまとめると、
Πχ_p(n) = (n/-D) = (-1)^((n-1)/2)(-D/n) = (D/n) = 1
543 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 20:45:35
D < 0 で n = 2のとき。
Πχ_p(2) = (2/-D) である。
過去スレの895より
(2/-D) = (-1)^((D^2 - 1)/8)
>>539 と同じ論法で (-1)^((D^2 - 1)/8) = 1 である。
よって Πχ_p(2) = 1 である。
D < 0 で n が偶数のとき。
>>540 と同じ論法で Πχ_p(n) = 1 である。
D < 0 だから f は正定値だから n は常に正である。
よって
>>542 と上記で n のすべての場合を尽くしている。
544 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 21:06:54
次に D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 3 (mod 4) の場合を考える。
m = D/4 とおく。
D > 0 の場合。
n > 0 で n は奇数のとき。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/m) である。
>>514 より χ_2(n) = (-1)^(n-1)/2
過去スレの895より
(n/m) = (-1)^((m-1)/2)((n-1)/2)(D/n)
m ≡ 3 (mod 4) だから
(n/m) = (-1)^((n-1)/2)(m/n)
よって Πχ_p(n) = (m/n)
過去スレの717より
D ≡ r^2 (mod 4n) となる有理整数 r が存在する。
よって
m ≡ s^2 (mod n) となる有理整数 s が存在する。
よって (m/n) = 1 である。
以上から Πχ_p(n) = 1 である。
545 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 21:20:08
D > 0 で n = -1 のとき。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(-1) = χ_2(-1) (-1/m) である。
>>514 より χ_2(-1) = -1
過去スレの896より
(-1/m) = (-1)^((m-1)/2)
m ≡ 3 (mod 4) だから
(-1/m) = -1
よって Πχ_p(-1) = 1 である。
546 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 21:41:23
D < 0 の場合。
n > 0 で n は奇数のとき。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/-m) である。
>>514 より χ_2(n) = (-1)^(n-1)/2
過去スレの895より
(n/-m) = (-1)^((-m-1)/2)((n-1)/2)(-m/n)
-m ≡ 1 (mod 4) だから
(n/-m) = (-m/n)
一方
(-m/n) = (-1/n)(m/n)
過去スレの896より
(-1/n) = (-1)^((n-1)/2)
よって
Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/-m) = (m/n) = 1
547 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 22:19:50
次に D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 2 (mod 8) の場合を考える。
m = D/4
m' = D/8 とおく。
D > 0 の場合。
n > 0 のとき。
このとき n は奇数である。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/m') である。
>>514 より
χ_2(n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
m ≡ 2 (mod 8) だから m' ≡ 1 (mod 4) である。
よって過去スレの895より (n/m') = (m'/n) である。
よって
Πχ_p(n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n) である。
過去スレの895より897
(m/n) = (2/n)(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
一方 (m/n) = 1 だから
(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
よって
Πχ_p(n) = 1 である。
548 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 22:27:55
D > 0 で n = -1 のとき。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(-1) = χ_2(-1) (-1/m') である。
>>514 より
χ_2(-1) = (-1)^((-1)^2 - 1)/8 = 1
過去スレの896より
(-1/m') = (-1)^((m'-1)/2)
m ≡ 2 (mod 8) だから m' ≡ 1 (mod 4) である。
よって
(-1/m') = 1
以上から
Πχ_p(-1) = 1 である。
549 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 23:02:54
次に D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 6 (mod 8) の場合を考える。
m = D/4
m' = D/8 とおく。
D > 0 の場合。
n > 0 のとき。
このとき n は奇数である。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/m') である。
>>514 より
χ_2(n) = (-1)^((n - 1)/2 + (n^2 - 1)/8)
m ≡ 6 (mod 8) だから m' ≡ 3 (mod 4) である。
よって過去スレの895より (n/m') = (-1)^((n - 1)/2) (m'/n) である。
よって
Πχ_p(n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n) である。
過去スレの897より
(m/n) = (2/n)(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
一方 (m/n) = 1 だから
(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
よって
Πχ_p(n) = 1 である。
550 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 23:08:06
D > 0 で n = -1 のとき。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(-1) = χ_2(-1) (-1/m') である。
>>514 より χ_2(-1) = (-1)^((n - 1)/2 + (n^2 - 1)/8) = -1
過去スレの896より
(-1/m') = (-1)^((m'-1)/2)
m ≡ 6 (mod 8) だから
m' ≡ 3 (mod 4)
よって
(-1/m') = -1
以上から
Πχ_p(-1) = 1 である。
551 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 23:25:26
D < 0 のとき。
f は正定値だから n > 0 である。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/-m') である。
>>514 より
χ_2(n) = (-1)^((n - 1)/2 + (n^2 - 1)/8)
過去スレの895より
(n/-m') = (-1)^((-m'-1)/2)((n-1)/2)(-m'/n)
-m' ≡ 1 (mod 4) だから
(n/-m') = (-m'/n)
一方
(-m'/n) = (-1/n)(m'/n)
過去スレの896より
(-1/n) = (-1)^((n-1)/2)
よって
Πχ_p(n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
過去スレの897より
(m/n) = (2/n)(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
一方 (m/n) = 1 だから
(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
よって
Πχ_p(n) = 1 である。
552 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 23:35:24
D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 2 (mod 8) の場合で
D < 0 のときを述べていなかった。
f は正定値だから n > 0 である。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より
Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/-m') である。
>>514 より χ_2(n) = (-1)^((n^2 - 1)/8)
過去スレの895より
(n/-m') = (-1)^((-m'-1)/2)((n-1)/2)(-m'/n)
-m' ≡ 3 (mod 4) だから
(n/-m') = (-1)^((n-1)/2)(-m'/n)
一方 (-m'/n) = (-1/n)(m'/n)
過去スレの896より (-1/n) = (-1)^((n-1)/2)
よって
Πχ_p(n) = (-1)^((n^2 - 1)/8) (n/-m')
= (-1)^((n^2 - 1)/8 + (n-1)/2) (-m'/n)
= (-1)^((n^2 - 1)/8) (m'/n)
過去スレの897より
(m/n) = (2/n)(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
一方 (m/n) = 1 だから
(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
よって
Πχ_p(n) = 1 である
553 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 06:57:17
554 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 07:35:40
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
p が D を割る奇素数のとき、有理整数の集合 Z から {±1} への
写像χ_p を χ_p(m) = (m/p) により定義する。
ここで (m/p) は Legendre の記号(過去スレ3の746)である。
D を割る奇素数の全体を p_1, p_2, . . . , p_r とする。
ψ_1, ψ_2 を
>>511 で定義したものとする。
D を以下のように場合別けして、χ_p, ψ_1, ψ_2 を要素とする列を
割り当てる。
1) D ≡ 1 (mod 4) のとき、χ_(p_1), . . . , χ_(p_r)
2) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 0 (mod 8) のとき
χ_(p_1), . . . , χ_(p_r), ψ_1, ψ_2
3) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 1, 5 (mod 8) のとき
χ_(p_1), . . . , χ_(p_r)
4) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 2 (mod 8) のとき
χ_(p_1), . . . , χ_(p_r), ψ_2
5) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 3, 4, 7 (mod 8) のとき
χ_(p_1), . . . , χ_(p_r), ψ_1
6) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 6 (mod 8) のとき
χ_(p_1), . . . , χ_(p_r), ψ_1ψ_2
これ等の列を判別式 D の種の指標系という。
555 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 10:14:50
判別式 D の種の指標系(
>>554 )を Φ_1, . . . , Φ_μ とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的2次形式とする。
ただし、D < 0 のときは f は正定値とする。
>>534 より f により固有に表現される数 m で D と素であるもの
が存在する。
>>505 と
>>513 より各 Φ_1(m), . . . , Φ_μ(m) は m の取り方に
よらず一定である。
よって、これ等を Φ_1(f), . . . , Φ_μ(f) と書く。
g を f と同値な2次形式とすると g により表現される数全体は
f のそれと一致する。
従って Φ_1(f), . . . , Φ_μ(f) は f の属す類 C のみで決まる。
よって、これ等を Φ_1(C), . . . , Φ_μ(C) とも書く。
二つの類はこの列が一致するとき同じ種(genus)に属すという。
これは同値関係であり、この同値類を判別式 D の種と呼ぶ
(Gauss D.A. art.. 231)。
主類(
>>523 )の属す種を主種と呼ぶ。
556 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 11:54:59
補題 D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。 証明 過去スレの895より (D/a) = (-1)^((D-1)/2)((a-1)/2)(a/D) (D/b) = (-1)^((D-1)/2)((b-1)/2)(a/D) D ≡ 1 (mod 4) だから (D-1)/2 ≡ 0 (mnod 2) よって (D/a) = (a/D) (D/b) = (b/D) a ≡ b (mod D) だから過去スレ4の891より (a/D) = (b/D) である。 証明終
557 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:05:26
補題 D < 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。 補題 過去スレ4の892より (D/a) = (-1/a)(-D/a) 過去スレ4の896より (-1/a) = (-1)^(a-1)/2 過去スレ4の895より (-D/a) = (-1)^((-D-1)/2)((a-1)/2)(a/D) -D ≡ 3 (mod 4) だから (-D/a) = (-1)^((a-1)/2)(a/D) よって (D/a) = (-1/a)(-D/a) = (a/D) 同様に (D/b) = (-1/b)(-D/b) = (b/D) a ≡ b (mod D) だから過去スレ4の891より (a/D) = (b/D) である。 よって (D/a) = (D/b) である。 証明終
558 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:07:48
>>557 を以下のように訂正する。
補題
D < 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。
a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。
このとき (D/a) = (D/b) である。
ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
証明
過去スレ4の892より (D/a) = (-1/a)(-D/a)
過去スレ4の896より (-1/a) = (-1)^(a-1)/2
過去スレ4の895より
(-D/a) = (-1)^((-D-1)/2)((a-1)/2)(a/D)
-D ≡ 3 (mod 4) だから
(-D/a) = (-1)^((a-1)/2)(a/D)
よって
(D/a) = (-1/a)(-D/a) = (a/D)
同様に
(D/b) = (-1/b)(-D/b) = (b/D)
a ≡ b (mod D) だから過去スレ4の891より
(a/D) = (b/D) である。
よって (D/a) = (D/b) である。
証明終
559 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:41:57
補題 D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。 D = (2^α)m と書ける。ここで α ≧ 2、m は正の奇数である。 α は偶数とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。 証明 α が偶数だから (D/a) = (m/a), (D/b) = (m/b) 過去スレ4の895より、 (m/a) = (-1)^((m-1)/2)((a-1)/2)(a/m) (m/b) = (-1)^((m-1)/2)((b-1)/2)(b/m) m ≡ 1 (mod 4) なら (m/a) = (a/m), (m/b) = (b/m) a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod m) よって (a/m) = (b/m) 即ち (m/a) = (m/b) m ≡ 3 (mod 4) なら (m/a) = (-1)^((a-1)/2)(a/m) (m/b) = (-1)^((b-1)/2)(b/m) D ≡ 0 (mod 4) で a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod 4) よって (-1)^((a-1)/2) = (-1)^((b-1)/2) a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod m) よって (a/m) = (b/m) 即ち (m/a) = (m/b) 証明終
560 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:48:51
補題 D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。 D = (2^α)m と書ける。ここで α ≧ 2、m は正の奇数である。 α は奇数とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。 証明 α は奇数だから (D/a) = (2/a)(m/a), (D/b) = (2/b)(m/b) 過去スレ4の895より、 (2/a) = (-1)^((a^2 - 1)/8) (2/b) = (-1)^((b^2 - 1)/8) a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod 8) よって (2/a) = (2/b)、よって (m/a) = (m/b) を示せばよい。 過去スレ4の895より、 (m/a) = (-1)^((m-1)/2)((a-1)/2)(a/m) (m/b) = (-1)^((m-1)/2)((b-1)/2)(b/m) m ≡ 1 (mod 4) なら (m/a) = (a/m), (m/b) = (b/m) a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod m) よって (a/m) = (b/m) 即ち (m/a) = (m/b) m ≡ 3 (mod 4) なら (m/a) = (-1)^((a-1)/2)(a/m) (m/b) = (-1)^((b-1)/2)(b/m) a ≡ b (mod 4) だから (-1)^((a-1)/2) = (-1)^((b-1)/2) a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod m) よって (a/m) = (b/m) 即ち (m/a) = (m/b) 証明終
561 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:54:52
補題
D < 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。
a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。
a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。
このとき (D/a) = (D/b) である。
ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
証明
D = -(2^α)m と書ける。ここで α ≧ 2、m は正の奇数である。
(D/a) = (-1/a)(-D/a)
(D/b) = (-1/b)(-D/b)
である。
-D ≡ 0 (mod 4) だから
>>559 と
>>560 より
(-D/a) = (-D/b) である。
よって
(-1/a) = (-1/b) を示せばよい。
過去スレ4の896より、
(-1/a) = (-1)^((a-1)/2)
(-1/b) = (-1)^((b-1)/2)
a ≡ b (mod 4) だから
(-1/a) = (-1/b) である。
証明終
562 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:57:55
>>556 ,
>>558 ,
>>559 ,
>>560 ,
>>561 をまとめると次の命題が得られる。
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。
このとき (D/a) = (D/b) である。
563 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 13:32:19
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 (Z/DZ)^* の任意の類 C に対して正の奇数 m を適当にとれば C = [m] と書ける。 証明 D ≡ 0 (mod 4) ならこれは明らかである。 よって D ≡ 1 (mod 4) とする。 (Z/DZ)^* の任意の類 C は [a] と書ける。 ここで a > 0 は D と素である。 a が奇数なら m = a とすればよい。 a が偶数なら m = a + nD とすればよい。 ここで n は奇数で a + nD > 0 となる任意の有理整数である。 証明終
564 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 13:39:26
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
(Z/DZ)^* から {±1} へのアーベル群としての準同型 χ を
以下のように定義する。
>>563 より (Z/DZ)^* の任意の類 C の代表として正の奇数 m が取れる。
χ(C) = (D/m) とする。
>>562 より χ(C) は m の取り方によらない。
これが アーベル群の準同型であることは Jacobi 記号の性質
(過去スレ4の892)から明らかである。
565 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 13:48:37
566 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 14:21:58
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
D > 0 のとき χ([-1]) = 1
D < 0 のとき χ([-1]) = -1
証明
1) D > 0 で D ≡ 0 (mod 4) とする。
χ([-1]) = χ([D-1]) = (D/D - 1) = (D - 1 + 1/D - 1)
= (1/D - 1) = 1
2) D > 0 で D ≡ 1 (mod 4) とする。
χ([-1]) = χ([2D-1]) = (D/2D - 1) = (2D - 1/D) = (-1/D) = 1
3) D < 0 で D ≡ 0 (mod 4) とする。
-D - 1 ≡ -1 (mod 4) だから
χ([-1]) = χ([-D-1]) = (D/-D - 1) = (-(-D - 1) - 1/-D - 1)
= (-1/-D - 1) = -1
4) D < 0 で D ≡ 1 (mod 4) とする。
-2D - 1 ≡ -1 (mod 4) だから
χ([-1]) = χ([-2D-1]) = (D/-2D - 1) = (-1/-2D - 1)(-D/-2D - 1)
= (-2D - 1/-D) = (-1/-D) =-1
証明終
567 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 14:33:39
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
D ≡ 1 (mod 8) のとき χ([2]) = 1
D ≡ 5 (mod 8) のとき χ([2]) = -1
証明
1) D > 0 のとき。
χ([2]) = χ([D + 2]) = (D/D + 2) = (D + 2/D)
= (2/D) = (-1)^(D^2 - 1)/8
よって
D ≡ 1 (mod 8) のとき χ([2]) = 1
D ≡ 5 (mod 8) のとき χ([2]) = -1
2) D < 0 のとき。
χ([2]) = χ([-D + 2]) = (D/-D + 2) = (-1/-D + 2)(-D/-D + 2)
= (-D/-D + 2) = (-D + 2/-D) = (2/-D) = (-1)^(D^2 - 1)/8
よって
D ≡ 1 (mod 8) のとき χ([2]) = 1
D ≡ 5 (mod 8) のとき χ([2]) = -1
証明終
568 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 15:24:14
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 m を D と素な奇数とする。 m が判別式 D のある原始的2次形式により固有に表現される (過去スレ4の701)ためには D が m を法として平方剰余になることが 必要十分である。 証明 m が判別式 D のある原始的2次形式により固有に表現されるなら 過去スレ4の717より D は m を法として平方剰余である。 逆に D ≡ b^2 (mod m) となる b があるとする。 m は奇数だから b が偶数なら b + m は奇数であり、 b が奇数なら b + m は偶数である。 よって D と b は偶奇が一致すると仮定してよい。 このとき D ≡ b^2 (mod 4m) となる。 b^2 - D = 4mc とする。 f(x, y) = mx^2 + bxy + cy^2 は判別式 D の2次形式で、 gcd(m, D) = 1 だから f は原始的である。 m = f(1, 0) だから m は f による固有に表現される。 証明終
569 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 15:45:43
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
D を割らない奇素数 p に対して χ([p]) = 1 となるためには
p が判別式 D のある原始的2次形式により固有に表現されることが
必要十分である。
証明
χ の定義から χ([p]) = (D/p) である。
よって
>>568 より明らかである。
証明終
570 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 21:08:35
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
m を D と素な有理整数で、判別式 D の原始的2次形式 f により
表現されるとする。ここで表現は必ずしも固有とは限らない。
さらに、D < 0 のときは f は正定値とする。
ことき χ([m]) = 1 である。
証明
f = ax^2 + bxy + cy^2 とする。
m は f で表現されるから m = as^2 + bst + ct^2 となる有理整数
s, t がある。d = gcd(s, t) とおくと、m = (d^2)n となる n があり
n は f により固有に表現される。
χ([m]) = χ([d])^2 χ([n]) = χ([n]) である。
よって m は初めから f により固有に表現されると仮定してよい。
よって過去スレ4の717より D ≡ b^2 (mod 4m) となる有理整数 b が
存在する。
1) D ≡ 0 (mod 4) で m > 0 のとき。
m は D と素だから m は奇数である。
D ≡ b^2 (mod 4m) となる b があるから
χ([m]) = (D/m) = (b^2/m) = (b/m)^2 = 1
(続く)
571 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 21:14:59
2) D ≡ 0 (mod 4) で m < 0 のとき。
D < 0 なら、仮定より f は正定値だから m < 0 とはならない。
よって D > 0 である。
m は D と素だから m は奇数である。
D ≡ b^2 (mod 4m) より
D ≡ b^2 (mod -m) でもある。
よって χ([-m]) = (D/-m) = (b^2/-m) = (b/-m)^2 = 1
D > 0 だから
>>566 より χ([-1]) = 1 である。
よって χ([m]) = χ([-1])χ([-m]) = χ([-1]) = 1
3) D ≡ 1 (mod 4) で m > 0 のとき。
m が奇数なら D ≡ b^2 (mod 4m) より
χ([m]) = (D/m) = (b^2/m) = (b/m)^2 = 1
m が偶数なら m = (2^α)n, α ≧ 1, n ≧ 1 は奇数と書ける。
D ≡ b^2 (mod 4m) より
D ≡ b^2 (mod n) である。
よって χ(n) = (D/n) = (b^2/n) = (b/n)^2 = 1
よって αが偶数なら
χ([m]) = χ(2^α) χ(n) = χ(n) = 1
αが奇数なら
χ([m]) = χ(2) χ(n) = χ(2)
D ≡ b^2 (mod 4(2^α)n) だから D ≡ b^2 (mod 8)
よって D ≡ 1 (mod 8) である。
>>567 より χ(2) = 1 である。
よって χ([m]) = 1 である。
(続く)
572 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 21:17:23
4) D ≡ 1 (mod 4) で m < 0 のとき。
D < 0 なら、仮定より f は正定値だから m < 0 とはならない。
よって D > 0 である。
m が奇数なら
D ≡ b^2 (mod 4m) より
χ([m]) = χ([-1])χ([-m]) = χ([-1]) = 1
m が偶数なら m = -(2^α)n, α ≧ 1, n ≧ 1 は奇数と書ける。
αが偶数なら
χ([m]) = χ([-1])χ(2^α)χ([n]) = χ([-1]) = 1
αが奇数なら
χ([m]) = χ([-1])χ(2)χ([n]) = χ(2)
D ≡ b^2 (mod 4(2^α)n) だから D ≡ b^2 (mod 8)
よって D ≡ 1 (mod 8) である。
>>567 より χ(2) = 1 である。
よって χ([m]) = 1 である。
証明終
573 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 00:09:23
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。
f = x^2 - (D/4)y^2 を判別式 D の主形式(
>>523 )とする。
m と n が f により表現されるなら mn もf により表現される。
証明
m = u^2 - (D/4)v^2 となる有理整数 u, v がある。
>>500 より
α= u + v(√D)/2 とおく
N(α) = (u + v(√D)/2)(u - v(√D)/2) = u^2 - (D/4)v^2 = m
同様に n = z^2 - (D/4)w^2 となる有理整数 z, w がある。
β= z + w(√D)/2 とおく
N(β) = (z + w(√D)/2)(z - w(√D)/2) = z^2 - (D/4)w^2 = n
nm = N(α)N(β) = N(αβ)
である。
αβ = (u + v(√D)/2)(z + w(√D)/2)
= uz + vwD/4 + (uw + vz)(√D)/2
よって
N(αβ) = (uz + vwD/4)^2 - (D/4)(uw + vz)^2
よって nm は f により表現される。
証明終
45
44
43
42
41
40
580 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 07:48:43
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
f を判別式 D の主形式(
>>523 )とする。
即ち
D ≡ 0 (mod 4) のとき f = x^2 - (D/4)y^2
D ≡ 1 (mod 4) のとき f = x^2 + xy + ((1 - D)/4)D
R を判別式 D 整環とする。
f で表現される有理整数の全体は { N(θ) ; θ ∈ R } と一致する。
証明
D ≡ 0 (mod 4) のとき b = 0
D ≡ 1 (mod 4) のとき b = 1
とおく。
>>242 より f には R = [1, (-b + √D)/2] が対応する。
α = 1
β = (-b + √D)/2 とおく。
>>248 より
f(x, y) = N(xα - yβ)
証明終
581 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 07:53:20
>>580 より
>>573 が直ちに得られる。
さらに D ≡ 1 (mod 4) の場合も証明される。
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
f を判別式 D の主形式(
>>523 )とする。
m と n が f により表現されるなら mn もf により表現される。
証明
>>580 より明らかである。
582 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 08:02:54
>>580 >>R を判別式 D 整環とする。
R を判別式 D の整環とする。
583 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 10:15:13
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
>>581 より H は (Z/DZ)^* の部分群である。
さらに
>>570 より H は Ker(χ) に含まれる。
584 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 10:21:10
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
集合 { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は Ker(χ)/H のある剰余類に含まれる。
証明
>>534 より f により固有に表現される数 n で D と素であるもの
が存在する。
過去スレ4の716より f と同値な形式 g = (n, l, k) がある。
f と g がそれぞれ表現する数の全体は一致するから、
f の代わりに g を使ってもよい。
よって初めから、a は D と素であると仮定してよい。
m を D と素な有理整数で、f により表現されるとする。
よって m = f(u, v) となる有理整数 u, v がある。
α = au + (b + √D)v/2 とおく。
N(α) = (au + (b + √D)v/2)(au + (b - √D)v/2)
= a^2u^2 + auv(b - √D)/2 + auv(b + √D)/2) + (4acv^2)/4
= a^2u^2 + abuv + acv^2
= am
α は判別式 D の整環の元である。
従って
>>580 より [a][m] ∈ H
a は D と素であると仮定したから
>>570 より [a] ∈ Ker(χ)
[m] ∈ [a]^(-1)H
証明終
585 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 10:39:27
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
集合 S = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は Ker(χ)/H のある剰余類に一致する。
証明
>>584 より S ⊂ [a]^(-1)H
よって逆の包含関係を証明すればよい。
>>584 の証明と同様の理由により a は D と素であると仮定してよい。
[m] ∈ [a]^(-1)H とする。
[a][m] ∈ H だから
am ≡ u^2 - (D/4)v^2 (mod D)
となる有理整数 u, v がある。
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2
D ≡ 0 (mod 4) だから D = b^2 - 4ac より b は偶数である。
よって af(x, y) = (ax + (b/2)y)^2 - (D/4)y^2
w = v
u ≡ az + (b/2)w (mod D)
を満たす有理整数 z, w を取る。
a は D と素だから、このような z, w は存在する。
af(z, w) ≡ u^2 - (D/4)v^2 (mod D)
am ≡ af(z, w) (mod D)
よって m ≡ f(z, w) (mod D)
よって [a]^(-1)H ⊂ S である。
証明終
586 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 10:51:59
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
集合 S = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は Ker(χ)/H のある剰余類に一致する。
証明
>>584 より S ⊂ [a]^(-1)H
よって逆の包含関係を証明すればよい。
>>584 の証明と同様の理由により a は D と素であると仮定してよい。
[m] ∈ [a]^(-1)H とする。
[a][m] ∈ H だから
am ≡ u^2 + uv + (1 - D)/4)v^2 (mod D)
となる有理整数 u, v がある。
4(u^2 + uv + (1 - D)/4)v^2) ≡ (2u + v)^2 (mod D)
よって
4am ≡ (2u + v)^2 (mod D)
一方
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2
2u + v ≡ 2az + bw (mod D)
を満たす z, w を取る(例えば w = 1 として z を求めればよい)。
4af(z, w) ≡ 4am (mod D)
f(z, w) ≡ m (mod D)
証明終
587 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 11:23:04
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。 H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される } とおく。 G = (Z/DZ)^* とおくと H = G^2 である。 証明 [m] ∈ H とする。 m = u^2 + uv + (1 - D)/4)v^2 となる有理整数 u, v がある。 4(u^2 + uv + (1 - D)/4)v^2) ≡ (2u + v)^2 (mod D) よって [4m] ∈ G^2 である。 4 は D と素だから [m] ∈ G^2 である。 よって H ⊂ G^2 である。 逆に z を D と素な有理整数とすると、 z^2 は主形式 x^2 + xy + (1 - D)/4)y^2 により表現される (x = z, y = 0 とおけばよい)。 よって G^2 ⊂ H である。 証明終
588 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 16:30:41
補題 D を平方数でない有理整数で、D = 2^(a + 2)m とする。 ここで a ≧ 4 で m は奇数である。 K = { [k] ∈ (Z/2^(a + 2)Z)^* ; k は D と素で判別式 D の主形式に より表現される } とおく。 G = (Z/2^(a + 2)Z)^* とおくと K = G^2 である。 証明 [k] ∈ K なら k = u^2 - (D/4)v^2 = u^2 - (2^a)mv^2 となる 有理整数 u, v がある。 k は奇数で、(2^a)mv^2 は偶数だから u は奇数である。 よって uz ≡ 1 (mod 2^(a + 2)) となる z がある。 (u - (2^(a-1))mvz)^2 = u^2 - (2^a)mvuz + (2^(2a - 2))(mvz)^2 a ≧ 4 だから 2a - 2 ≧ a + 2 よって (u - (2^(a-1))mvz)^2 ≡ u^2 - (2^a)mv (mod 2^(a + 2)) よって [k] ∈ G^2 である。 よって K ⊂ G^2 である。 逆の包含関係は明らかである。 証明終
589 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 09:05:10
補題 a ≧ 3 を有理整数とする。 G = (Z/(2^a)Z)^* から {±1} へのアーベル群としての準同型 δ、ε を以下のように定義する。 δ([n]) = (-1)^((n - 1)/2) ε([n]) = (-1)^((n^2 - 1)/8) このとき x ∈ G が x ∈ G^2 となるためには δ(x) = 1 かつ ε(x) = 1 が必要十分である。 証明 過去スレの834より (Z/(2^a)Z)^* の任意の元は [(-1)^s][5^t] と 一意に書ける。 ((-1)^s)5^t ≡ (-1)^s (mod 4) だから δ([(-1)^s][5^t]) = 1 は s が偶数であることと同値である。 ε([5]) = -1 だから δ([5^t]) = 1 は t が偶数であることと 同値である。 以上から本補題の主張は明らかである。 証明終
590 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 10:24:03
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
判別式 D の種の指標系(
>>554 )を Φ_1, . . . , Φ_μ とする。
(Z/DZ)^* の元 [n] に (Φ_1(n), . . . , Φ_μ(n)) を対応させる
ことにより、(Z/DZ)^* から {±1}^μ へのアーベル群としての準同型
が得られる。
これを Φ と書く。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ
591 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 10:46:51
補題
D を有理整数で、D ≡ 0 (mod 8) とする。
ψ_1, ψ_2 を
>>511 で定義したものとする。
つまり n が奇数のとき
ψ_1(n) = (-1)^((n-1)/2)
ψ_2(n) = (-1)^((n^2 - 1)/8)
(Z/DZ)^* の元 [n] に (ψ_1(n), ψ_2(n)) を対応させる写像
(Z/DZ)^* → {±1}^2 は全射である。
証明
mod 8 で奇数は 1, 3, 5, 7 のどれかと合同である。
ψ_1(1) = 1
ψ_1(3) = -1
ψ_1(5) = 1
ψ_1(7) = -1
ψ_2(1) = 1
ψ_2(3) = -1
ψ_2(5) = -1
ψ_2(7) = 1
これから補題の主張が得られる。
証明終
592 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 11:29:10
補題 p を奇素数とする。 n ≧ 1 を有理整数とする。 G = (Z/(p^n)Z)^* とおく。 [a] ∈ G に Legendre の記号 (a/p) を対応させることにより アーベル群としての準同型 χ_p : G → {±1} が得られる。 このとき χ_p は全射で Ker(χ_p) = G^2 である。 証明 mod p^n の原始根を r とする。 G の任意の元は [r] のベキとして書けるから (r/p) = 1 とすると G の任意の元 [a] に対して (a/p) = 1 となって 矛盾する。 よって (r/p) = -1 である。 よって G の元 [r]^e にたいして χ_p([r]^e) = (-1)^e となる。 これから補題の主張は直ちにでる。 証明終
593 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 11:57:59
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
>>590 で定義した
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ
は全射である。
証明
D = ±Π(p^a) を D の素因数分解とする。
中国式剰余定理(過去スレ1の341)から
Z/DZ = ΠZ/(p^a)Z
ここで等号は環としての同型を表す。
よって過去スレ4の612から
(Z/DZ)^* = Π(Z/(p^a)Z)^*
ここで等号は群としての同型を表す。
ψ_1, ψ_2 を
>>511 で定義したものとする。
a ≧ 2 のとき ψ_1 が誘導する準同型 Z/(2^a)Z → {±1} は
明らかに全射である。
a ≧ 3 のとき ψ_2 が誘導する準同型 Z/(2^a)Z → {±1} は
明らかに全射である。
以上の事実と
>>591 と
>>592 から Φ は全射である。
証明終
594 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 12:26:59
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で判別式 D の主形式により
表現される }
とおく。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
H = Ker(Φ) である。
証明
G = (Z/DZ)^* とおく。
>>587 より H = G^2 である。
D = ±Π(p^a) を D の素因数分解とする。
D ≡ 1 (mod 4) だから各 p は奇素数である。
>>593 の証明から
(Z/DZ)^* = Π(Z/(p^a)Z)^*
よって
>>592 より Ker(Φ) = G^2 である。
証明終
595 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 13:35:39
補題
D を平方数でない有理整数で、D = (2^(a + 2))m とする。
ここで a ≧ 4 で m は奇数である。
H = { [k] ∈ (Z/DZ)^* ; k は D と素で判別式 D の主形式により
表現される } とおく。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
このとき H = Ker(Φ) である。
証明
G = (Z/DZ)^* とおく。
[k] ∈ H とすると k = u^2 - (2^a)mv^2 となる有理整数 u, v がある。
m = Π(p_i)^(r_i) をm の素因数分解とする。
k ≡ u^2 (mod (p_i)^(r_i)) である。
>>588 より
k ≡ z^2 (mod 2^(a + 2)) となる有理整数 z がある。
中国式剰余定理から 各 i に対して
w ≡ u (mod (p_i)^(r_i)) かつ
w ≡ z (mod 2^(a + 2)) となる有理整数 w がある。
よって k ≡ w^2 (mod D) である。
よって H ⊂ G^2 である。
逆の包含関係は明らかだから H = G^2 である。
中国式剰余定理から G = K×ΠG_i
よって G^2 = K^2×Π(G_i)^2
ここで K = (Z/(2^(a + 2))Z)^*
G_i = (Z/((p_i)^(r_i))Z)^*
よって
>>592 と
>>589 より H = Ker(Φ) である。
証明終
596 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 15:23:03
補題
D を平方数でない有理整数で、D = 4m とする。
ここで m は奇数である。
H = { [k] ∈ (Z/DZ)^* ; k は D と素で判別式 D の主形式により
表現される } とおく。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
このとき H = Ker(Φ) である。
証明
G = (Z/DZ)^* とおく。
[k] ∈ H とすると k = u^2 - mv^2 となる有理整数 u, v がある。
m = Π(p_i)^(r_i) をm の素因数分解とする。
k ≡ u^2 (mod (p_i)^(r_i)) である。
1) m ≡ 1, 5 (mod 8) のとき
>>507 と
>>508 より
k ≡ 1, 3, 5, 7 (mod 8) となる。
よって
k ≡ 1, 3 (mod 4) となる。
よって、この場合 H = Ker(Φ) である。
2) m ≡ 3, 7 (mod 8) のとき
>>508 より
k ≡ 1, 5 (mod 8) である。
よって
k ≡ 1 (mod 4) となる。
よって、この場合も H = Ker(Φ) である。
証明終
597 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 16:08:58
補題
D を平方数でない有理整数で、D = 8m とする。
ここで m は奇数である。
H = { [k] ∈ (Z/DZ)^* ; k は D と素で判別式 D の主形式により
表現される } とおく。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
このとき H = Ker(Φ) である。
証明
[k] ∈ H とすると k = u^2 - 2mv^2 となる有理整数 u, v がある。
m = Π(p_i)^(r_i) をm の素因数分解とする。
k ≡ u^2 (mod (p_i)^(r_i)) である。
m ≡ 1, 3, 5, 7 (mod 8) だから
2m ≡ 2, 6 (mod 8) である。
2m ≡ 2 (mod 8) のとき
>>509 より
k ≡ 1, 7 (mod 8) である。
これは、
>>511 で定義した ψ_2 に関して ψ_2(k) = 1 と同値である。
2m ≡ 6 (mod 8) のとき
>>507 より
k ≡ 1, 3 (mod 8) である。
これは、
>>511 で定義した ψ_1、ψ_2 に関して ψ_1(k)ψ_2(k) = 1
と同値である。
以上から H = Ker(Φ) である。
証明終
598 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 16:57:37
補題
D を平方数でない有理整数で、D = 16m とする。
ここで m は奇数である。
H = { [k] ∈ (Z/DZ)^* ; k は D と素で判別式 D の主形式により
表現される } とおく。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
このとき H = Ker(Φ) である。
証明
[k] ∈ H とすると k = u^2 - 4mv^2 となる有理整数 u, v がある。
m = Π(p_i)^(r_i) をm の素因数分解とする。
k ≡ u^2 (mod (p_i)^(r_i)) である。
m ≡ 1, 3, 5, 7 (mod 8) だから
4m ≡ 4 (mod 8) である。
>>509 より
k ≡ 1, 5 (mod 8) である。
これは、
>>511 で定義した ψ_1 に関して ψ_1(k) = 1 と同値である。
以上から H = Ker(Φ) である。
証明終
599 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 17:30:36
補題
D を平方数でない有理整数で、D = 32m とする。
ここで m は奇数である。
H = { [k] ∈ (Z/DZ)^* ; k は D と素で判別式 D の主形式により
表現される } とおく。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
このとき H = Ker(Φ) である。
証明
[k] ∈ H とすると k = u^2 - 8mv^2 となる有理整数 u, v がある。
m = Π(p_i)^(r_i) をm の素因数分解とする。
k ≡ u^2 (mod (p_i)^(r_i)) である。
8m ≡ 0 (mod 8) である。
>>507 より
k ≡ 1 (mod 8) である。
これは、
>>511 で定義した ψ_1, ψ_2 に関して ψ_1(k) = ψ_2(k) = 1
と同値である。
以上から H = Ker(Φ) である。
証明終
600 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 17:39:24
>>593 ,
>>594 ,
>>595 ,
>>596 ,
>>597 ,
>>598 ,
>>599 をまとめると
次の命題が得られる。
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で判別式 D の主形式により
表現される }
とおく。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
このとき H = Ker(Φ) である。
よって G = (Z/DZ)^* とおくと G/H は {±1}^μ と同型である。
うわなんでこの人1人でこんなに楽しそうなのw
>>601 数学とは、こんな物だよ。楽しめる人も限られる。
しかし、ネラーの母数、範囲は広大だから、観客は結構居る。
まぁクンマーだからな
そうそう。204だっけ?
605 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 18:40:09
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
>>461 で2次形式の類集合 F_0(D)/Γ, (F_0)+(D)/Γ を定義した。
D > 0 のとき C(D) = F_0(D)/Γ
D < 0 のとき C(D) = (F_0)+(D)/Γ
と書く。
集合 S = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は、f の同値類 [f] で決まる。
さらに
>>585 より S は Ker(χ)/H のある剰余類に一致する。
よって [f] に S を対応させることにより C(D) から Ker(χ)/H への
写像 Ψ が得られる: Ψ : C(D) → Ker(χ)/H
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
判別式 D の種の指標系(
>>554 )を Φ_1, . . . , Φ_μ とする。
>>555 で Φ_1([f]), . . . , Φ_μ([f]) を定義した。
記号の濫用だが Φ([f]) = (Φ_1([f]), . . . , Φ_μ([f])) と書く。
種の定義(
>>555 )より、
[f], [g] ∈ C(D) のとき [f] と [g] が同じ種に属すためには、
Φ([f]) = Φ([g]) が必要十分である。
>>600 より H = Ker(Φ) だから、これは Ψ([f]) = Ψ([g]) と同値である。
606 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 19:12:42
後の引用のため次の有名な定理を述べておく。 証明は後で行う。 定理(Dirichletの算術級数定理) n > 1 を有理整数とする。 (Z/nZ)^* の各剰余類には素数が無限に存在する。
607 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 19:24:05
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
判別式 D の種の指標系(
>>554 )を Φ_1, . . . , Φ_μ とする。
|Ker(χ)/H| = 2^(μ-1) である。
証明
G = (Z/DZ)^* とおく。
χ は明らかに全射である。
よって |G/Ker(χ)| = 2
一方
>>600 より G/H は {±1}^μ と同型である。
よって |G/H| = 2^μ
よって |Ker(χ)/H| = 2^(μ-1) である。
証明終
608 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 19:46:05
定理
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
判別式 D の種の指標系(
>>554 )を Φ_1, . . . , Φ_μ とする。
判別式 D の種の個数は 2^(μ-1) である。
証明
>>605 より判別式 D の種には Ker(χ)/H のある剰余類が対応し、
異なる種には異なる剰余類が対応する。
よって種の個数は |Ker(χ)/H| 以下である。
>>607 より |Ker(χ)/H| = 2^(μ-1) だから Ker(χ)/H の
任意の剰余類 [n]H に種が対応することを示せばよい。
ここで n は D と素な有理整数で [n] は mod D の剰余類で
χ([n]) = 1 である。
Dirichletの算術級数定理(
>>606 )より [n] には 素数 p が含まれる。
即ち [n] = [p] である。
χ([p]) = 1 だから
>>569 より p は判別式 D のある原始的2次形式 f
により固有に表現される。
よって f の属す種が [n]H に対応する。
証明終
58
57
56
55
54
53
615 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/04(水) 12:03:13
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
D は2次体 Q(√D) のある整環 R の判別式である(
>>465 )。
>>225 で Cl(D) を定義した。
D < 0 のとき
>>250 より (F_0)+(D)/Γ と Cl(D) は集合として同型である。
D > 0 のとき
>>227 で R の狭義のイデアル類群 Cl+(D) を定義した。
>>253 より F_0(D)/Γ と Cl+(D) は集合として同型である。
D < 0 のときと D > 0 のときを同時に扱うため G(D) を
次のように定義する。
D > 0 のとき G(D) = Cl+(D)
D < 0 のとき G(D) = Cl(D)
>>605 で C(D) を定義した。
上記から C(D) と G(D) は集合として同型である。
616 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/04(水) 14:58:30
>>605 で 写像 Ψ : C(D) → Ker(χ)/H を定義した。
>>615 より C(D) と G(D) は集合として同型である。
この同型により C(D) と G(D) を同一視すると
写像 G(D) → Ker(χ)/H が得られる。
記号の濫用だが、この写像を同じ記号 Ψ で書くことにする。
Ψ : G(D) → Ker(χ)/H を具体的に決定しよう。
617 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/04(水) 15:03:56
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
D は2次体 Q(√D) のある整環 R の判別式である(
>>465 )。
>>615 で定義した G(D) の元 C を任意にとる。
C の代表 I を任意にとる。即ち C = [I] である。
I は R の可逆分数イデアルである。
I = [α, β] とし、α, β の向き(
>>188 )は正とする。
f(x, y) = N(xα - yβ)/N(I) とおく。
>>197 と
>>202 より f(x, y) は判別式 D の2次形式である。
>>220 より f(x, y) は原始的である。
C に f = f(x, y) の C(G) における類 [f] を対応させることにより、
G(D) と C(G) の同型が得られる。
このことは D < 0 のときは
>>250 により、
D > 0 のときは
>>253 により証明されている。
>>534 より f により固有に表現される数 m で D と素であるもの
が存在する。
>>605 より Ψ([f]) = [m]H である。
よって Ψ([I]) = mH である。
618 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/04(水) 15:39:35
後の引用のため次の命題を述べておく。 証明は後で行う。 命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 R を判別式 D の整環とする。 I と J を可逆な分数イデアルとする。 N(IJ) = N(I)N(J) である。
619 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/04(水) 15:47:13
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
Ψ : G(D) → Ker(χ)/H を
>>616 で定義した写像とする。
Ψ はアーベル群の準同型である。
証明
I, J を R の可逆分数イデアルとする。
I = [α, β] とし、α, β の向き(
>>188 )は正とする。
f(x, y) = N(xα - yβ)/N(I) とおく。
>>617 より f(x, y) は判別式 D の原始的2次形式である。
>>534 より f(x, y) により固有に表現される数 m で D と素であるもの
が存在する。
>>617 より Ψ([I]) = mH である。
同様に J = [γ, δ] とし、γ, δ の向きは正とする。
g(x, y) = N(xγ - yδ)/N(J) とおく。
g(x, y) により固有に表現される数 n で D と素であるもの
が存在する。
Ψ([J]) = nH である。
m は f(x, y) により表現されるから μ ∈ I で m = N(μ)/N(I)
となるものがある。
同様に ν ∈ J で n = N(ν)/N(J) となるものがある。
mn = N(μν)/N(I)N(J) である。
>>618 より N(IJ) = N(I)N(J) である。
よって mn = N(μν)/N(IJ)
よって Ψ([IJ]) = mnH である。
よって Ψ([IJ]) = Ψ([I])Ψ([J]) である。
証明終
620 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/04(水) 16:25:55
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 R を判別式 D の整環とする。 J ⊂ H を R のイデアルとして J ≠ H で J ⊂ I ⊂ H となる イデアル I が存在しないとする。 このとき R の極大イデアル M が存在して H/J は R/M と同型となる。 しかも M は MH ⊂ J となるように選べる。 証明 x ∈ H - I をとる。 R から H/J への写像 φ を a ∈ R のとき φ(a) = ax (mod J) により定義する。 φ は R-加群としての準同型である。 xR + J = H だから φ(R) = H/J である。 よって R/Ker(φ) は H/J と同型である。 H/J は単純 R-加群だから R/Ker(φ) も単純 R-加群である。 よって M = Ker(φ) は R の極大イデアルである。 Mx ⊂ J だから xR + J = H より MH ⊂ J である。 証明終
621 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/04(水) 16:34:20
>>620 >J ⊂ H を R のイデアルとして J ≠ H で J ⊂ I ⊂ H となる
>イデアル I が存在しないとする。
I は勿論 J とも H とも異なるものとする。
622 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/04(水) 16:41:18
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
J ⊂ H を R のイデアルとして J ≠ H で J ⊂ L ⊂ H となる
イデアル L で L ≠ J, L ≠ H となるものが存在しないとする。
I を R の可逆イデアルとする。
このとき [IH : IJ] = [H : J] である。
証明
>>620 より R の極大イデアル M が存在して H/J は R/M と同型と
なり、MH ⊂ J となる。
一方、IJ ⊂ L ⊂ IH となるイデアル L で L ≠ IJ, L ≠ IH と
なるものがあるとすると、J ⊂ I^(-1)L ⊂ H となって矛盾する。
よって
>>620 より R の極大イデアル N が存在して IH/IJ は R/N と
同型となる。
MH ⊂ J だから MIH ⊂ IJ となる。よって N の作りから M ⊂ N と
なる。M と N は極大イデアルだから M = N である。
よって [IH : IJ] = [R : N] = [R : M] = [H : J] である。
証明終
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629 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/05(木) 11:09:33
補題(Cohen の Advanced topics in computational number theory)
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
I を R の可逆イデアルとする。
J ⊂ H を R のイデアルととする。
このとき [IH : IJ] = [H : J] である。
証明
[H : J] に関する帰納法を使う。
J ⊂ L ⊂ H となる R のイデアル L で L ≠ J, L ≠ H となるものが
存在するとする。
帰納法の仮定より [IH : IL] = [H : L], [IL : IJ] = [L : J]
よって [IH : IJ] = [IH : IL][IL : IJ] = [H : L][L : J] = [H : J]
J ⊂ L ⊂ H となる R のイデアル L で L ≠ J, L ≠ H となるものが
存在しない場合も、
>>622 より [IH : IJ] = [H : J] である。
証明終
630 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/05(木) 11:21:04
命題(Cohen の Advanced topics in computational number theory)
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
I と J を R の分数イデアルとする。
さらに I は可逆とする。
このとき
N(IJ) = N(I)N(J) である。
証明
>>164 より I と J は R のイデアルと仮定してよい。
>>629 において H = R とすれば、[I : IJ] = [R : J] である。
よって
N(IJ) = [R : IJ] = [R : I][I : IJ] = [R : I][R : J] = N(I)N(J)
である。
証明終
631 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/05(木) 11:22:50
632 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/05(木) 12:10:47
>>616 において C(D) と G(D) を同一視した。
この同一視により C(D) にアーベル群の構造がはいる。
よって、以後 C(D) をアーベル群として考えることにする。
よって、
>>605 で定義した Ψ : C(D) → Ker(χ)/H は
>>619 よりアーベル群の準同型である。
>>605 より [f] と [g] が同じ種に属すためには
Ψ([f]) = Ψ([g]) が必要十分である。
よって [f] の属す種は [f]Ker(Ψ) である。
とくに、Ker(Ψ) は主種である。
これから種に含まれる類 [f] の個数は |Ker(Ψ)| となり、個々の種に
よらず一定である。
>>608 より Ψ は全射である。
よって |C(D)/Ker(Ψ)| = |Ker(χ)/H| であるが、
>>607 より |Ker(χ)/H| = 2^(μ-1) だから
|C(D)/Ker(Ψ)| = 2^(μ-1)
よって
|C(D)| = (2^(μ-1))|Ker(Ψ)|
よって
|Ker(Ψ)| = |C(D)|/(2^(μ-1))
|C(D)| は D > 0 のとき、
>>399 より狭義の類数 h+(D)
D < 0 のとき、h(D) である。
633 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/05(木) 23:42:39
>>555 の種の定義は Gauss による。
しかし、この種の定義はやや人工的に感じるかもしれない。
>>605 より [f] と [g] が同じ種に属すためには
Ψ([f]) = Ψ([g]) が必要十分である。
従って、これを種の定義とすることも出来る。
これは形式 f が表現する数全体を mod D で考えることにより
自然に得られるから、このほうが分かりやすいだろう。
この定義は、Cox の Primes of the Form x2 + ny2:
Fermat, Class Field Theory, and Complex Multiplication
による。
>>600 や
>>605 はこの本による。
しかし、この本では D < 0 の場合しか扱っていない。
しかも、この本は面倒な証明は演習にまわしたり、他のやや手に
入れにくい本を引用して済ますというやり方をしている。
>>619 の証明は私が考えた。
Cox の本では、Gauss による2次形式の合成により C(D) に直接に
アーベル群の構造を入れて、それにより
>>605 の
Ψ : C(D) → Ker(χ)/H がアーベル群の準同型であることを
証明している。
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640 :
132人目の素数さん :2007/07/07(土) 08:30:33
YOU ARE GENIUS!!!!!
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647 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 09:09:00
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
>>632 より C(D) はアーベル群である。
f = (a, b c) を [f] ∈ C(D) となる2次形式とする。
即ち f は原始的で D < 0 のとき a > 0 である。
g = (a, -b, c) とおく。
このとき [f][g] = 1 である。
証明
I = [a, (-b + √D)/2]
J = [a, (-b + √D)/2] とおく。
I と J は R の原始イデアルである(過去スレ4の592)。
IJ = [a, (-b + √D)/2][a, (b + √D)/2]
= <a^2, a(b + √D)/2, a(-b + √D)/2, (D - b^2)/4>
= <a^2, ab, a(b + √D)/2, a(-b + √D)/2, ac>
= a<a, b, (b + √D)/2, (-b + √D)/2, c>
= aR
ここで、<x, y, . . .> は x, y, . . . で生成される R の部分群を表す。
上記から IJ = aR だから D < 0 のとき G(D) (
>>615 ) において
[I][J] = 1 である。よって [f][g] = 1 である。
D > 0 のときは α を sign(N(α)) = sign(a) となる Q(√D) の
任意の元とする。
[f] ∈ C(D) には [Iα] ∈ G(D) が対応する。
[g] ∈ C(D) には [Jα] ∈ G(D) が対応する。
[Iα] [Jα] = [IJα^2] = [aα^2] = 1
よって [f][g] = 1 である。
証明終
648 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 09:25:59
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
>>632 より C(D) はアーベル群である。
C ∈ C(D) が両面類(
>>450 )であるためには C^2 = 1 が必要十分である。
証明
f = (a, b, c) として、C = [f] を C(D) の元とする。
g = (a, -b, c) とおく。
C が両面類であるとする。
>>451 より [f] = [g] である。
>>647 より [g] = [f]^(-1) である。
よって [f] = [f]^(-1) となり [f]^2 = 1 である。
逆に、[f]^2 = 1 なら [f] = [f]^(-1) = [g] となり、
[f] は両面類である。
証明終
649 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 10:04:22
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
>>605 で定義した Ψ : C(D) → Ker(χ)/H は
>>619 よりアーベル群の準同型である。
G = (Z/DZ)^* とおくと Ker(χ)/H は G/H の部分群である。
>>600 より G/H は {±1}^μ と同型である。
よって Ker(χ)/H の単位元以外の元の位数は 2 である。
よって Ψ(C(D)^2) = 1 である。
即ち C(D)^2 ⊂ Ker(Ψ) である。
実は C(D)^2 = Ker(Ψ) である。
即ち、平方類全体は主種と一致する。
これが Gauss の種の理論の主定理である。
これを証明しよう。
650 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 10:07:31
>>608 より Ψ : C(D) → Ker(χ)/H は全射である。
よって
[C(D) : Ker(Ψ)] = |Ker(χ)/H|
>>607 より
|Ker(χ)/H| = 2^(μ-1) である。
よって C(D)^2 = Ker(Ψ) を示すには、
[C(D) : C(D)^2] = 2^(μ-1) を証明すればよい。
>>648 より C(D) の両面類全体は C(D) の部分群である。
これを A(D) と書こう。
次の完全列が得られる。
1 → A(D) → C(D) → C(D)^2 → 1
よって
[C(D) : A(D)] = |C(D)^2|
よって
[C(D) : C(D)^2] = |A(D)|
よって
|[A(D)| = 2^(μ-1) を証明すればよい。
ふにゃ?
652 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 10:56:53
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
C(D) の両面類の個数を求めるため。
まず判別式 D の原始的な両面形式(
>>438 ) で同値でないものの個数を
求めよう。
(a, b, c) を原始的な両面形式とする。
b ≡ 0 (mod a) である。
SL_2(Z) の元 (1, 1)/(0, 1) を S と書いた(過去スレ4の237)。
任意の n ∈ Z に対して S^n = (1, n)/(0, 1) である。
よって過去スレ4の401より (a, b, c) ∈ F(D) のとき
(a, b, c)S^n = (a, 2an + b, an^2 + bn + c)
である。
一方、
b ≡ 0 (mod a) だから、
b ≡ 0, a (mod 2a) である。
よって
(a, b, c) は (a, 0, c) または (a, a, c) と同値である。
653 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 11:27:24
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。 判別式 D の原始的な2次形式 (a, 0, c) の個数 n を求めよう。 D = -4ac で gcd(a, c) = 1 である。 D/4 を割る素数の集合を S とする。 D/4 = Πp^(e_p) とする。ここで p は S の元を動く。 S の部分集合 E に対して Πp^(e_p) を n(E) と書く。 E が空集合のときは n(E) = 1 とする。 (D/4)/n(E) = n'(E) と書く。 gcd(n(E), n'(E)) = 1 である。 D = -4ac で gcd(a, c) = 1 となる a に対して S の部分集合 E が存在して a = ±n(E) である。 以上から n = 2^(|S| + 1) である。
654 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 11:30:53
>>653 >S の部分集合 E に対して Πp^(e_p) を n(E) と書く。
ここで p は E の元を動く。
655 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 12:40:40
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。
判別式 D の原始的な2次形式 (a, a, c) の個数 n を求めよう。
D = a^2 - 4ac で gcd(a, c) = 1 である。
D = a(a - 4c)
a' = 4c - a とおく。
a + a' = 4c
D = -aa'
D ≡ 1 (mod 4) だから a と a' は奇数である。
gcd(a, a') = gcd(a, 4c - a) = gcd(a, 4c)
a は奇数だから gcd(a, a') = gcd(a, 4c) = 1
よって
D を割る素数の集合を S(D) とすると、
>>653 と同様の理由から
n = 2^(|S(D)| + 1) である。
656 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 12:52:54
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。
判別式 D の原始的な2次形式 (b, b, c) の個数 n を求めよう。
D ≡ b^2 (mod 4) だから b は偶数である。
よって b = 2a としてよい。
D = 4(a^2) - 8ac で gcd(2a, c) = 1 である。
D/4 = a^2 - 2ac = a(a - 2c)
a' = 2c - a とおく。
a + a' = 2c
よって a + a' ≡ 2 (mod 4)
a が奇数なら a ≡ 1, 3 (mod 4) である。
a ≡ 1 (mod 4) なら、a' ≡ 1 (mod 4)
a ≡ 3 (mod 4) なら、a' ≡ 3 (mod 4)
よって a ≡ a' (mod 4)
よって D/4 ≡ -aa' ≡ -(a^2) ≡ -1 ≡ 3 (mod 4)
gcd(a, a') = gcd(a, 2c)
gcd(2a, c) = 1 で a が奇数だから gcd(a, 2c) = 1
よって gcd(a, a') = 1
逆に
D/4 ≡ 3 (mod 4) なら
D/4 = -aa' より a は奇数。
aa' ≡ 1 (mod 4) だから a ≡ a' (mod 4)
よって a + a' ≡ 2 (mod 4)
以上から D/4 ≡ 3 (mod 4) のとき、
D/4 を割る素数の集合を S(D/4) とすると、
>>653 と同様の理由から
n = 2^(|S(D/4)| + 1) である。
657 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 13:15:42
>>656 の続き。
a が偶数なら a ≡ 0, 2 (mod 4)
a + a' ≡ 2 (mod 4) だから
a ≡ 0 (mod 4) のとき
a' ≡ 2 (mod 4)
a ≡ 2 (mod 4) のとき
a' ≡ 0 (mod 4)
よって
D/4 ≡ -aa' ≡ 0 (mod 8)
a + a' ≡ 2 (mod 4) だから
a/2 + a'/2 ≡ 1 (mod 2)
よって a/2 と a'/2 は 2 を公約数にもたない。
gcd(a, a') = gcd(a, 2c) で gcd(2a, c) = 1 だから
gcd(a/2, a'/2) = 1 である。
D/4 = -aa' だから
D/16 = -(a/2)(a'/2)
よって D/4 ≡ 0 (mod 8) のとき
D/16 を割る素数の集合を S(D/16) とすると、
>>653 と同様の理由から
n = 2^(|S(D/16)| + 1) である。
658 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/08(日) 13:54:48
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
D を割る奇素数の個数を r とする。
判別式 D の原始的な2次形式 (a, 0, c) の個数を m とし
判別式 D の原始的な2次形式 (a, a, c) の個数を n とする。
>>653 ,
>>655 ,
>>656 ,
>>657 より
1) D ≡ 1 (mod 4) のとき、m = 0, n = 2^(r + 1)
よって m + n = 2^(r + 1)
2) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 0 (mod 8) のとき
m = 2^(r + 2), n = 2^(r + 2)
よって m + n = 2^(r + 3)
3) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 1, 5 (mod 8) のとき
m = 2^(r + 1), n = 0
よって m + n = 2^(r + 1)
4) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 2 (mod 8) のとき
m = 2^(r + 2), n = 0
よって m + n = 2^(r + 2)
5) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 3, 7 (mod 8) のとき
m = 2^(r + 1), n = 2^(r + 1)
よって m + n = 2^(r + 2)
6) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 4, 6 (mod 8) のとき
m = 2^(r + 2), n = 0
よって m + n = 2^(r + 2)
以上をまとめると、
>>554 より m + n = 2^(μ + 1) となる。
ここで μ は種の指標系(
>>554 ) Φ_1, . . . , Φ_μ の要素の
個数である。
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665 :
132人目の素数さん :2007/07/09(月) 11:23:03
1 必要十分条件 は同値関係であることを証明せよ 2 三角形a b が合同であることは同値関係であることをしめせ 3 相似関係は同値関係であることをしめせ。 学校の宿題ででたけど僕あほなんでわかりません。 だれか解答おしえてくだい。
あほには解答丸移しさえ難しいだろうから 無駄なことはしません
667 :
132人目の素数さん :2007/07/09(月) 15:55:37
668 :
132人目の素数さん :2007/07/10(火) 10:59:40
>>665 まずは、「阿呆にも解かる教え方」というものを
明示してくれ!でなければ、教えようが無い!
669 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 13:28:51
C(D) (
>>605 ) の両面類の個数を求めよう。
まず D ≡ 1 (mod 4) の場合を考える
>>655 より
判別式 D の原始的な2次形式は、(a, a, (a + a')/4) の形である。
ここで、D = -aa', gcd(a, a') = 1
gcd(a, a') = 1 より なら |a| = |a'| = 1 である。
よって |D| = |a||a'| = 1 となるが、D ≡ 1 (mod 4) だから
これはあり得ない。
よって |a| ≠ |a'| である。
SL_2(Z) の元 U = (-1, -1)/(2, 1) に対して
(a, a, c)U = (a', a', c)
となることは、
>>504 の公式
k = ap^2 + bpr + cr^2
l = 2apq + b(ps + qr) + 2crs
m = aq^2 + bqs + cs^2
から簡単な計算でわかる。
よって |a| < |a'| となる a に対して (a, a, (a + a')/4) のみを
考えればよい。
このような (a, a, (a + a')/4) の個数は
>>658 より
2^(μ + 1)/2 = 2^μ である。
670 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 14:05:17
>>669 の続き。
D ≡ 1 (mod 4) で D < 0 の場合を考える。
この場合、(a, a, (a + a')/4) が正定値、即ち a > 0 となる
もののみ考えればよい。
このような、(a, a, (a + a')/4) の個数は
>>669 より 2^(μ-1)
である。
過去スレ4の408より、
正定値かつ原始的な2次形式 (a, b, c) が簡約2次形式であるためには
|b| ≦ a ≦ c であり、
|b| = a または a = c のときは b ≧ 0 となることが必要十分である。
よって (a, a, (a + a')/4) が簡約2次形式であるためには、
a ≦ (a + a')/4
即ち 3a ≦ a' が必要十分である。
3a > a' のときは
(2a, 2a, (a + a')/2) の右に隣接してる(
>>433 )形式
((a + a')/2, a' - a, (a + a')/2) を考える。
即ち、
(2a, 2a, (a + a')/2) → ((a + a')/2, a' - a, (a + a')/2)
>>669 より |a| < |a'| だから、a' > a > 0 である。
3a > a' だから
a' - a < (a + a')/2
よって、((a + a')/2, a' - a, (a + a')/2) は簡約されている。
これらの簡約形式が相異なることはすぐわかる。
以上から C(D) (
>>605 ) の両面類の個数は 2^(μ-1) である。
671 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 15:44:13
>>670 の続き。
D ≡ 1 (mod 4) で D > 0 の場合を考える。
>>669 より
D = -aa', gcd(a, a') = 1
|a| < |a'| として、(a, a, (a + a')/4) を考える。
m = [(√D - a)/2|a|] とおく。ここで [*] は Gauss の記号である。
即ち、
m < (√D - a)/2|a| < m + 1
b = a + 2|a|m とおく。
a ≡ b (mod 2|a|)
で
0 < √D - b < 2|a|
である。
SL_2(Z) の元 (1, 1)/(0, 1) を S と書いた(過去スレ4の237)。
a > 0 のとき n = m
a < 0 のとき n = -m
とおく。
S^n = (1, n)/(0, 1) である。
過去スレ4の401より
(a, a, (a + a')/4)S^n = (a, 2an + a, an^2 + an + (a + a')/4)
である。
b = 2an + a だから
(a, a, (a + a')/4) は (a, b, c) と同値である。
ここで、c = an^2 + an + (a + a')/4 とおいた。
672 :
132人目の素数さん :2007/07/10(火) 17:22:00
665 はやくしろ
673 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 18:08:23
>>671 の続き。
(a, b, c) は簡約2次形式(
>>330 )であることを示そう。
>>333 より |√D - 2|a|| < b < √D を示せばよい。
0 < √D - b < 2|a| であるから
結局、2|a| < √D + b を示せばよい。
2|a| < √D の場合。
0 < √D - b < 2|a| より、√D - 2|a| < b
0 < √D - 2|a| だから 0 < b
よって 2|a| < √D + b
2|a| > √D の場合。
D = -aa', |a| < |a'|
だから √D > |a| である。
よって 0 < √D - |a| < 2|a|
これと
a ≡ |a| (mod 2|a|)
より
b = |a| である。
よって
2|a| < √D + b
674 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 18:59:27
>>673 の続き。
逆に (a, b, c) は原始的な両面形式で簡約されているとする。
即ち、gcd(a, b, c) = 1, b ≡ 0 (mod a) で
|√D - 2|a|| < b < √D とする。
b ≡ 0 (mod 2|a|) なら
(a, b, c) と同値な形式 (a, 0, a') がある。
すると D ≡ 0 (mod 4) となって D ≡ 1 (mod 4) という仮定に反する。
よって
b ≡ a (mod 2|a|) であり、
(a, b, c) と同値な形式 (a, a, c') がある。
2|a| - √D < b < √D より 2|a| < 2√D
よって
|a| < √D
0 < √D - b < 2|a| であるから
(a, b, c) は (a, a, c') から
>>671 の手続きで求めたものと
一致する。
以上から原始的な両面形式で簡約されているものの個数は 2^μ である。
>>439 ,
>>440 より C(D) (
>>605 ) の両面類には2個の
相異なる簡約両面形式が含まれている。
よって C(D) の両面類の個数は 2^(μ-1) である。
675 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 19:30:16
>>674 の続き。
今度は D ≡ 0 (mod 4) と仮定する。
まず D = -4 の場合を考える。
>>653 より判別式 D の原始的な2次形式 (a, 0, c) は
-4 = -4ac で gcd(a, c) = 1 となる a により決まる。
ac = 1 だから a = ±1 である。
よって正定値な (a, 0, c) は (1, 0, 1) のみである。
>>656 より判別式 -4 の原始的な2次形式 (2a, 2a, c) は
-1 = -aa' で gcd(a, a') = 1 となる a により決まる。
よって a = ±1 である。
よって正定値な (2a, 2a, c) は (2, 2, 1) のみである。
>>433 より (1, 0, 1) → (2, 2, 1) だから
(1, 0, 1) と (2, 2, 1) は同値である。
よって C(D) の両面類の個数は 1 = 2^(μ-1) である。
676 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 19:57:34
>>669 >gcd(a, a') = 1 より なら |a| = |a'| = 1 である。
gcd(a, a') = 1 より |a| = |a'| なら |a| = |a'| = 1 である。
677 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 20:19:22
>>675 の続き。
D ≡ 0 (mod 4) で D ≠ -4 とする。
>>653 より判別式 D の原始的な2次形式 (a, 0, c) は
D/4 = -ac で gcd(a, c) = 1 となる a により決まる。
gcd(a, c) = 1 だから |a| = |c| なら |a| = |c| = 1 である。
しかし、|D/4| = |ac| だから |D/4| = 1 となって D ≠ -4 という
仮定に反する。
よって、|a| ≠ |c| である。
T = (0, -1)/(1, 0) とすれば、
>>184 より (a, 0, c)T = (c, 0, a) である。
よって |a| < |c| となる (a, 0, c) のみを考えればよい。
>>656 ,
>>657 より判別式 D の原始的な2次形式 (2a, 2a, c) は
D/4 ≡ 3 (mod 4) のとき D/4 = -aa', gcd(a, a') = 1
D/4 ≡ 0 (mod 8) のとき D/16 = -(a/2)(a'/2), gcd(a/2, a'/2) = 1
となる a により一意に決まる。
D ≠ -4 だから |a| ≠ |a'| である。
>>669 と同様に U = (-1, -1)/(2, 1) に対して
(2a, 2a, c)U = (2a', 2a', c)
よって |a| < |a'| となる (2a, 2a, c) のみを考えればよい。
678 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 22:47:45
>>677 の続き。
D < 0 とする。
よって
>>677 の (a, 0, c) と (2a, 2a, c) は正定値、
即ち a > 0 の場合のみ考えればよい。
過去スレ4の408より、
正定値かつ原始的な2次形式 (a, b, c) が簡約2次形式であるためには
|b| ≦ a ≦ c であり、
|b| = a または a = c のときは b ≧ 0 となることが必要十分である。
よって
>>677 の (a, 0, c) は簡約2次形式である。
>>677 の (2a, 2a, c) において、
c = (a + a')/2
よって (2a, 2a, c) が簡約2次形式であるためには、
2a ≦ (a + a')/2
即ち 3a ≦ a' が必要十分である。
3a > a' のときは
(2a, 2a, (a + a')/2) の右に隣接してる(
>>433 )形式
((a + a')/2, a' - a, (a + a')/2) を考える。
即ち、
(2a, 2a, (a + a')/2) → ((a + a')/2, a' - a, (a + a')/2)
3a > a' だから
0 < a' - a < (a + a')/2
よって、((a + a')/2, a' - a, (a + a')/2) は簡約されている。
これらの簡約形式が相異なることはすぐわかる。
以上から C(D) (
>>605 ) の両面類の個数は 2^(μ-1) である。
679 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 23:17:59
>>678 の続き。
D > 0 とする。
よって
>>677 の (a, 0, c) または (2a, 2a, c) を (A, B, C) と書く。
>>671 と同様に B ≡ B' (mod 2|A|), 0 < √D - B' < 2|A|
となる、B' が一意に存在する。
よって (A, B, C) と同値な (A, B', C') が存在する。
(A, B', C') は簡約2次形式(
>>330 )であることを示そう。
>>333 より |√D - 2|A|| < B' < √D を示せばよい。
0 < √D - B' < 2|A| であるから
結局、2|A| < √D + B' を示せばよい。
2|A| < √D の場合。
0 < √D - B' < 2|A| より、√D - 2|A| < B'
0 < √D - 2|A| だから 0 < B'
よって 2|A| < √D + B'
2|A| > √D の場合。
B = 0 なら D = -4AC
よって D > 4|A|^2
よって 2|A| < √D
従って、2|A| > √D の場合 B ≠ 0 である。
D = -AA', |A| < |A'| だから √D > |A| である。
よって 0 < √D - |A| < 2|A|
これと
A ≡ |A| (mod 2|a|) より B' = |A| である。
よって
2|A| < √D + B'
680 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 23:40:31
>>679 の続き。
逆に (a, b, c) は原始的な両面形式で簡約されているとする。
即ち、gcd(a, b, c) = 1, b ≡ 0 (mod a) で
|√D - 2|a|| < b < √D とする。
b ≡ 0 (mod 2|a|) なら
(a, b, c) と同値な形式 (a, 0, a') がある。
0 < b < √D で 2|a| は b の約数だから
2|a| < √D である。よって |a| < √D である。
0 < √D - b < 2|a| だから (a, b, c) は (a, 0, a') = (A, B, C)
としたとき
>>679 の (A, B', C') である。
b ≡ a (mod 2|a|) なら、
(a, b, c) と同値な形式 (a, a, c') がある。
2|a| - √D < b < √D より 2|a| < 2√D
よって
|a| < √D
0 < √D - b < 2|a| であるから
(a, b, c) は (a, a, c') = (A, B, C) としたとき
>>679 の (A, B', C') である。
以上から原始的な両面形式で簡約されているものの個数は 2^μ である。
>>439 ,
>>440 より C(D) (
>>605 ) の両面類には2個の
相異なる簡約両面形式が含まれている。
よって C(D) の両面類の個数は 2^(μ-1) である。
681 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/10(火) 23:55:22
定理(Gauss の主種定理 : D.A. art. 286)
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
>>605 で定義した Ψ : C(D) → Ker(χ)/H は
>>619 よりアーベル群の準同型である。
このとき C(D)^2 = Ker(Ψ) である。
即ち、平方類全体は主種と一致する。
証明
>>670 ,
>>674 ,
>>675 ,
>>678 ,
>>680 より
>>650 の |[A(D)| = 2^(μ-1) である。
よって
>>650 より C(D)^2 = Ker(Ψ) である。
証明終
682 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 08:32:58
>>652 以降の C(D) の両面類の個数の計算は
【Dirichletの整数論講義】による。
683 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 10:31:06
Gauss の主種定理(
>>681 )の証明には,
>>564 で定義した χ : (Z/DZ)^* → {±1} が重要な役目をしている。
χ の定義には平方剰余の相互法則と補充法則が使われている。
しかし、平方剰余の相互法則を使わなくても、Gauss の主種定理の
主張を弱めた結果なら得られる。
そして、この結果から逆に平方剰余の相互法則と補充法則が得られる。
このことを示そう。
684 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 10:31:49
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
G = (Z/DZ)^* とおく。
集合 { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は G/H のある剰余類に含まれる。
証明
>>584 とほとんど同じなので省略する。
685 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 10:33:50
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
G = (Z/DZ)^* とおく。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
集合 S = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は G/H のある剰余類に一致する。
証明
>>585 ,
>>586 とほとんど同じなので省略する。
686 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 10:35:12
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
G = (Z/DZ)^* とおく。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で判別式 D の主形式により
表現される } とおく。
[f] ∈ C(D) とする。
集合 S = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は、f の同値類 [f] で決まる。
さらに
>>685 より S は G/H のある剰余類に一致する。
よって [f] に S を対応させることにより C(D) から G/H への
写像 Ψ_1 が得られる: Ψ_1 : C(D) → G/H
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ を
>>590 で定義した準同型とする。
判別式 D の種の指標系(
>>554 )を Φ_1, . . . , Φ_μ とする。
Φ([f]) = (Φ_1([f]), . . . , Φ_μ([f])) と書いた(
>>605 )。
種の定義(
>>555 )より、
[f], [g] ∈ C(D) のとき [f] と [g] が同じ種に属すためには、
Φ([f]) = Φ([g]) が必要十分である。
>>600 より H = Ker(Φ) だから、これは Ψ_1([f]) = Ψ_1([g]) と
同値である。
>>600 の命題の証明には平方剰余の相互法則は使っていないことに
注意する。
687 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 10:48:56
>>686 の続き。
>>616 と同様に Ψ_2 : G(D) → G/H が定義される。
>>619 と同様に Ψ_2 : G(D) → G/H はアーベル群の準同型である。
よって Ψ_1 : C(D) → G/H もアーベル群の準同型である。
>>600 より G/H は {±1}^μ と同型である。
よって G/H の単位元以外の元の位数は 2 である。
よって Ψ_1(C(D)^2) = 1 である。
即ち C(D)^2 ⊂ Ker(Ψ_1) である。
>>670 ,
>>674 ,
>>675 ,
>>678 ,
>>680 より
|[A(D)| = 2^(μ-1) である。
h = |C(D)|
g = [C(D) : Ker(Ψ_1)]
n = |Ker(Ψ_1)|
q = [C(D) : A(D)]
α = |A(D)|
とおく。
h は(D > 0 のとき狭義の)類数
g は種の個数
n は主種における類の個数
α は両面類の個数である。
h = ng = αq である。
>>650 より
q = [C(D) : A(D)] = |C(D)^2|
C(D)^2 ⊂ Ker(Ψ_1) だから
q ≦ n である。ng = αq だから n/q = α/g ≧ 1
よって α ≧ g
よって g ≦ 2^(μ-1)
688 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 10:55:02
>>687 をまとめると次の命題になる。
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
判別式 D の種の指標系(
>>554 )を Φ_1, . . . , Φ_μ とする。
このとき、判別式 D の種の個数は 2^(μ-1) 以下である。
689 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 11:40:48
命題(平方剰余の第一補充法則)
p を奇素数とする。
(-1/p) = (-1)^((p-1)/2)
である。
証明(Dirichletの整数論講義)
過去スレ3の747で証明されているが、
>>688 を使って証明する。
(-1)^((p-1)/2) = 1 とする。
p ≡ 1 (mod 4) である。
f = (-1, 0, p) の判別式は 4p である。
>>554 より 判別式 4p の種の指標系は (n/p) の一個からなる。
よって
>>688 より f は主種に属す。
-1 は f により表現されるから (-1/p) = 1 である。
逆に、(-1/p) = 1 とする。
-1 ≡ b^2 (mod p)
b^2 - pc = -1
-4 = (2b)^2 - 4pc
g = (p, 2b, c) は判別式 -4 の原始的な正定値2次形式である。
>>554 より 判別式 -4 の種の指標系は (-1)^((n-1)/2) の
一個からなる。
よって
>>688 より g は主種に属す。
p は g により表現されるから (-1)^((p-1)/2) = 1 である。
証明終
690 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 12:01:44
>>689 >-1 ≡ b^2 (mod p)
>b^2 - pc = -1
-1 ≡ b^2 (mod p) となる b がある。
よって
b^2 - pc = -1 となる c がある。
691 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 12:18:01
命題(平方剰余の第二補充法則)
p を奇素数とする。
(2/p) = (-1)^((p^2 - 1)/8)
である。
証明(Dirichletの整数論講義)
過去スレ4の53で証明されているが、
>>688 を使って証明する。
(-1)^((p^2 - 1)/8) = 1 とする。
p ≡ ±1 (mod 8) である。
p ≡ 1 (mod 8) のとき。
b = 3 として b^2 - p = 8c となる c がある。
f = (2, b, c) の判別式は p
>>554 より 判別式 p の種の指標系は (n/p) の一個からなる。
よって
>>688 より f は主種に属す。
2 は f により表現されるから (2/p) = 1 である。
p ≡ -1 (mod 8) なら
b = 1 として b^2 + p = 8c となる c がある。
(2, b, c) の判別式は -p
-p ≡ 1 (mod 8) だから上と同様に (2/p) = 1 である。
逆に、(2/p) = 1 とする。
b^2 ≡ 2 (mod p) となる b がある。
よって b^2 - 2 = pc となる c がある。
4b^2 - 4pc = 8 だから
g = (p, 2b, c) の判別式は 8 である。
>>554 より 判別式 8 の種の指標系は (-1)^((n^2 - 1)/8) の
一個からなる。
よって
>>688 より g は主種に属す。
p は f により表現されるから (-1)^((n^2 - 1)/8) = 1 である。
証明終
692 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 12:55:27
命題(平方剰余の相互法則の前半)
p と q を奇素数とする。
さらに p ≡ 1 (mod 4) または q ≡ 1 (mod 4) のどちらかが成り立つ
とする。
このとき (p/q) = (q/p) である。
証明(Dirichletの整数論講義)
p と q は対称的だから p ≡ 1 (mod 4) と仮定してよい。
(q/p) = 1 のとき。
>>689 より
(-q/p) = (-1/p)(q/p) = (-1)^((p-1)/2) (q/p) = (q/p) = 1
q ≡ 1 (mod 4) のとき
b^2 - pc = q となる b, c がある。
f = (p, 2b, c) の判別式は 4q
>>554 より 判別式 4q の種の指標系は (n/q) の一個からなる。
よって
>>688 より f は主種に属す。
p は f により表現されるから (p/q) = 1 である。
q ≡ -1 (mod 4) のとき
b^2 - pc = -q となる b, c がある。
g = (p, 2b, c) の判別式は -4q
上と同様に (p/q) = 1 である。
逆に (p/q) = 1 とする。
b^2 - qc = p となる b, c がある。
(q, 2b, c) の判別式は 4p
よって (q/p) = 1 である。
証明終
693 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/11(水) 13:22:07
命題(平方剰余の相互法則の後半)
p と q を奇素数とする。
さらに p ≡ 3 (mod 4) かつ q ≡ 3 (mod 4) とする。
このとき (p/q) = -(q/p) である。
証明(Dirichletの整数論講義)
pq ≡ 1 (mod 4) である。
従って、
>>554 より 判別式 4pq の種の指標系は
(n/p), (n/q) の2個からなる。
(1, 0, -pq) の判別式は 4pq である。
この形式において指標系の取る値は (1/p) = 1, (1/q) = 1
(-1, 0, pq) の判別式も 4pq である。
この形式において指標系の取る値は
>>689 より
(-1/p) = -1, (-1/q) = -1
よって
>>688 より判別式 4pq の種の個数は2である。
f = (p, 0, -q) の判別式は 4pq である。
n を f で表現される数で D と素とすると。
上で述べたことから 2通りのケースがある。
1) (n/p) = 1, (n/q) = 1
2) (n/p) = -1, (n/q) = -1
p も -q も f により表現されるから
(p/q) = 1 かつ (-q/p) = -(q/p) = 1
または
(p/q) = -1 かつ (-q/p) = -(q/p) = -1
いずれにせよ (p/q) = -(q/p) である。
証明終
a
b
c
d
e
f
g
h
i
j
k
l
m
n
o
p
q
r
s
t
u
v
w
x
y
z
α
723 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/12(木) 20:38:38
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 R を判別式 D の整環とする。 Dirichlet による R の類数公式を証明しよう。 まず有理素数 p の R における分解を調べる。
724 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/12(木) 20:42:46
次の補題は過去スレ4の19の命題の拡張である。 証明も同様である。 補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 R を判別式 D の整環とする。 θ = (D + √D)/2 とおく。 過去スレ4の585より R = [1, θ] である。 有理整数 a ≠ 0, b に対して、 N(b + θ) が a で割れれば [a, b + θ] は R のイデアルである。 証明 a と b + θ が Z 上一次独立なのは明らか。 よって [a, b + θ] がイデアルであることを示せばよい。 つまり、aθ ∈ [a, b + θ] と (b + θ)θ ∈ [a, b + θ] を示せばよい。 aθ = -ab + a(b + θ) ∈ [a, b + θ] である。 N(b + θ) = ak とする。 つまり (b + θ)(b + θ') = ak である。 θ + θ' = D である。 θ' = D - θ より (b + θ)(b + D - θ) = ak よって (b + θ)(b + D) - (b + θ)θ = ak よって (b + θ)θ = -ak + (b + θ)(b + D) ∈ [a, b + θ] 証明終
725 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/12(木) 20:43:53
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 R を判別式 D の整環とする。 θ = (D + √D)/2 とおく。 I= [a, b + θ] がイデアルなら、N(b + θ) は a で割れる。 ここで a ≠ 0, b は有理整数である。 証明 N(b + θ) = (b + θ)(b + θ') ∈ I であることから明らか。 証明終
726 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/12(木) 20:50:03
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
過去スレ4の585より R = [1, θ] である。
p を奇素数とする。
[p, b + θ] が R のイデアルとなるためには
(2b + D)^2 ≡ D (mod p)
となることが必要十分である。
証明
>>724 と
>>725 より [p, b + θ] が R のイデアルとなるためには
N(b + ω) ≡ 0 (mod p) が必要十分である。
N(b + θ) = (b + θ)(b + θ') = b^2 + bD + (D^2 - D)/4
= ((2b + D)^2 - D)/4
p は奇素数だから、これは
(2b + D)^2 ≡ D (mod p)
と同値である。
証明終
727 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/12(木) 21:28:18
>>726 >N(b + ω) ≡ 0 (mod p) が必要十分である。
N(b + θ) ≡ 0 (mod p) が必要十分である。
728 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/12(木) 21:37:14
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 R を判別式 D の整環とする。 θ = (D + √D)/2 とおく。 過去スレ4の585より R = [1, θ] である。 R の任意のイデアル I ≠ 0 は I = [a, b + cθ] と一意に書ける。 ここで a > 0, 0 ≦ b < a, c > 0 で a と b は c で割れる。 証明 I = [a, b + cθ], a > 0, 0 ≦ b < a, c > 0 と一意に書ける ことは過去スレ4の14 の証明と同様である。 aθ ∈ I だから a は c で割れる。 θ は (X - θ)(X - θ') = X^2 - DX + (D^2 - D)/4 の根だから θ^2 = Dθ + (D^2 - D)/4 よって (b + cθ)θ = bθ + cθ^2 = c(D^2 - D)/4 + (b + cD)θ ∈ I よって b + cD ≡ 0 (mod c) よって b ≡ 0 (mod c) 証明終
729 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/12(木) 21:43:01
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
過去スレ4の585より R = [1, θ] である。
R の非零素イデアル P は pR または
[p, b + θ] の形である。ここで p は有理素数、b は有理整数。
証明
>>728 より P = [p, b + cω] となる。
c は p の約数だから c = 1 または c = p である。
c = p なら b は p で割れるから(
>>728 )、P = [p, pω] となる。
よって P = pR である。
証明終
730 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/15(日) 03:27:28
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
[2, b + θ] が R のイデアルとなるための条件を述べる。
D ≡ 0 (mod 8) なら b が偶数であることが必要十分である。
D ≡ 1 (mod 8) なら b は任意であることが必要十分である。
D ≡ 4 (mod 8) なら b は奇数であることが必要十分である。
D ≡ 5 (mod 8) なら [2, b + θ] はどんな b に対しても
イデアルにならない。
証明
>>724 ,
>>725 より [2, b + θ] が R のイデアルとなるためには、
N(b + θ) が 2 で割れることが必要十分である。
この条件を書き換えよう。
N(b + θ) = (b + θ)(b + θ') = b^2 + bD + (D^2 - D)/4
= ((2b + D)^2 - D)/4
よって
((2b + D)^2 - D)/4 ≡ 0 (mod 2) が必要十分である。
よって
(2b + D)^2 - D ≡ 0 (mod 8) が必要十分である。
D ≡ 0 (mod 8) なら (2b)^2 ≡ 0 (mod 8)
よって
4b^2 ≡ 0 (mod 8)
b ≡ 0 (mod 2) なら 4b^2 ≡ 0 (mod 8)
b ≡ 1 (mod 2) なら 4b^2 ≡ 4 (mod 8)
よって b ≡ 0 (mod 2) が必要十分である。
(続く)
731 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/15(日) 03:37:32
>>730 の続き
D ≡ 1 (mod 8) なら (2b + 1)^2 ≡ 1 (mod 8)
よって
2b + 1 ≡ 1, 3, 5, 7 (mod 8)
2b ≡ 0, 2, 4, 6 (mod 8)
よって
b ≡ 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 (mod 8)
即ち b は任意の有理整数である。
D ≡ 4 (mod 8) なら (2b + 4)^2 - 4 ≡ 0 (mod 8) が必要十分である。
よって
2b + 4 ≡ 2, 6
2b ≡ 2, 6
よって
b ≡ 1, 3, 5, 7
即ち b は任意の奇数である。
D ≡ 5 (mod 8) なら (2b + 5)^2 - 5 ≡ 0 (mod 8) が必要十分である。
しかし平方数は mod 8 で 5 と合同にはならない。
証明終
732 :
132人目の素数さん :2007/07/15(日) 03:41:08
間違ってるよ Dの所
レスを伸ばして、スレ数を稼ごうとは、愚かな…
734 :
132人目の素数さん :2007/07/15(日) 04:00:32
>>732 もっと具体的に指摘してもらえませんか?
だが断るッ!
あらしでいいよ
738 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/15(日) 12:22:42
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 R を判別式 D の整環とする。 過去スレの418より、D = (f^2)d と書ける。 ここで f は有理整数 f > 0 であり d はある2次体 Q(√m) の 判別式である。 τ = (d + √d)/2 とおく。 R = [1, fτ] である。 証明 θ = (D + √D)/2 とおく。 過去スレ4の585より R = [1, θ] である。 θ = (D + √D)/2 = ((f^2)d + f√d)/2 θ - fτ = ((f^2)d - fd)/2 = (f(f - 1)/2)d よって θ = (f(f - 1)/2)d + fτ f(f - 1)/2 は有理整数である。 よって R = [1, θ] = [1, fτ] 証明終
739 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/15(日) 12:52:42
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 過去スレの418より、D = (f^2)d と書ける。 ここで f は有理整数 f > 0 であり d はある2次体 Q(√m) の 判別式である。 p を奇素数で D の約数であり f の約数でないとき gcd(p, k) = 1 である。 ここで、k = (D^2 - D)/4p 証明 (D^2 - D)/4 = D(D - 1)/4 = (f^2)d((f^2)d - 1)/4 D ≡ 0 (mod 4) のとき。 (f^2)d = 4pr と書ける。 よって k = r((f^2)d - 1) である。 p は奇素数だから d は p の2乗で割れない。 p は f を割らないから r を割らない。 (f^2)d ≡ 0 (mod p) だから (f^2)d - 1 は p で割れない。 よって gcd(p, k) = 1 である。 D ≡ 1 (mod 4) のとき。 (f^2)d - 1 = 4s と書ける。 よって k = s(f^2)d/p である。 (f^2)d ≡ 0 (mod p) だから 4s = (f^2)d - 1 は p で割れない。 よって gcd(p, s) = 1 である。 p は奇素数だから d は p の2乗で割れない。 よって gcd(p, d/p) = 1 である。 よって gcd(p, k) = 1 である。 証明終
740 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/15(日) 13:12:55
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
過去スレの418より、D = (f^2)d と書ける。
ここで f は有理整数 f > 0 であり d はある2次体 Q(√m) の
判別式である。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
p を奇素数とする。
p が D の約数で f の約数でないとき
pR = P^2 となる。
ここで、P = [p, θ] で P は素イデアルである。
証明
>>726 より [p, b + θ] が R のイデアルとなるためには
(2b + D)^2 ≡ D (mod p) が必要十分である。
D ≡ 0 (mod p) だから
(2b)^2 ≡ 0 (mod p)
p は奇素数だから b ≡ 0 (mod p)
よって P = [p, θ] はイデアルである。
k = (D^2 - D)/4p とおく。
>>739 より gcd(p, k) = 1 である。
よって
P^2 = <p^2, pθ, θ^2>
= <p^2, pθ, Dθ - (D^2 - D)/4>
= p<p, θ, (D/p)θ - k>
= p<p, θ, k>
= p[1, θ]
= pR
証明終
741 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/15(日) 13:36:34
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
過去スレの418より、D = (f^2)d と書ける。
ここで f は有理整数 f > 0 であり d はある2次体 Q(√m) の
判別式である。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
p を奇素数とする。
D が p と素で mod p の平方剰余のとき
pR = PP' となる。
ここで、P = [p, b + θ] で P は素イデアルである。
b は (2x + D)^2 ≡ D (mod p) の解である。
証明
>>726 より [p, b + θ] が R のイデアルとなるためには
(2b + D)^2 ≡ D (mod p) が必要十分である。
D が mod p の平方剰余なら、このような b は存在する。
このとき、P = [p, b + θ] の剰余環 R/P の位数は p だから
P は素イデアルである。
PP' = [p, b + θ][p, b + θ']
= <p^2, p(b + θ), p(b + θ'), N(b + θ)>
= p<p, b + θ, b + θ', N(b + θ)/p>
= p<p, 2b + θ + θ', b + θ, b + θ', N(b + θ)/p>
= p<p, 2b + D, b + θ, b + θ', N(b + θ)/p>
= p<1, b + θ, b + θ', N(b + θ)/p>
= pR
証明終
742 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/15(日) 13:55:40
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
過去スレの418より、D = (f^2)d と書ける。
ここで f は有理整数 f > 0 であり d はある2次体 Q(√m) の
判別式である。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
p を奇素数とする。
D が p と素で mod p の平方非剰余のとき
pR は素イデアルである。
証明
>>726 より [p, b + θ] が R のイデアルとなるためには
(2b + D)^2 ≡ D (mod p) が必要十分である。
D が mod p の平方非剰余なら、このような b は存在しない。
>>729 より pR は素イデアルである。
証明終
743 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 08:26:50
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 8) とする。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
P = [2, θ] は R の素イデアルであり、
P ≠ P' で PP' = 2R である。
さらに P' = [2, 1 + θ] である。
証明
>>730 より P = [2, θ] は R の素イデアルである。
P' = [2, θ'] も R の素イデアルである。
P = P' とする。
P = [2, θ] = [2, θ'] だから
P = <2, θ, θ'> = <2, θ + θ', θ, θ'>
= <2, D, θ, θ'> = R である(gcd(2, D) = 1 だから <2, D> = R)。
これは矛盾だから P ≠ P' である。
PP' = <4, 2θ, 2θ', D(D - 1)/4>
= 2<2, θ, θ', D(D - 1)/8>
= 2<2, θ + θ', θ, θ', D(D - 1)/8>
= 2<2, D, θ, θ', D(D - 1)/8>
= 2R である(gcd(2, D) = 1 だから <2, D> = R)。
最後に P' = [2, 1 + θ] 即ち [2, θ'] = [2, 1 + θ] を証明する。
1 + θ + θ' = 1 + D ≡ 2 (mod 8)
よって 1 + θ + θ' = n は偶数である。
1 + θ = n - θ' だから
[2, θ'] = [2, n - θ'] = [2, 1 + θ]
証明終
744 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 08:29:06
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 8) とする。
過去スレの418より、D = (f^2)d と書ける。
ここで f は有理整数 f > 0 であり d はある2次体 Q(√m) の
判別式である。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
P = [2, θ] は R の素イデアルであり、
P = P' である。
さらに f が奇数なら P^2 = 2R である。
証明
>>730 より P = [2, θ] は R の素イデアルである。
θ + θ' = D だから θ' = D - θ
D は偶数だから P = [2, θ] = [2, D - θ] = [2, θ']
よって P = P' である。
f が奇数とする。
D ≡ 0 (mod 8) かつ D = (f^2)d で f は奇数だから
d ≡ 0 (mod 8) である。
d は2次体 Q(√m) の判別式だから d/8 は奇数である。
よって D/8 も奇数である。
よって D(D - 1)/8 も奇数である。
P^2 = PP' = <4, 2θ, 2θ', D(D - 1)/4>
= 2<2, θ, θ', D(D - 1)/8>
= 2<2, θ, θ', D(D - 1)/8>
= 2R
証明終
745 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 08:39:39
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 4 (mod 8) とする。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
P = [2, 1 + θ] は R の素イデアルであり、P = P' である。
さらに D/4 ≡ 3 (mod 4) なら P^2 = 2R である。
証明
>>730 より P = [2, 1 + θ] は R の素イデアルである。
P' = [2, 1 + θ'] = [2, 1 + D - θ]
= [2, -1 - D + θ] = [2, -1 + θ] = [2, 1 + θ]
よって P = P' である。
D/4 ≡ 3 (mod 4) とする。
D/4 = m とおく。
m = 3 + 4n = 1 + 2(2n + 1) となる有理整数 n がある。
1 + D + D(D - 1)/4 = 1 + D + m(D - 1)
= 1 + D + mD - m
= 1 - m + (1 + m)D
= -2(2n + 1) + 2(2n + 2)D
= 2(-2n - 1 + (2n + 2)D)
k = -2n - 1 + (2n + 2)D とおく。
k は奇数である。
PP' = [2, 1 + θ][2, 1 + θ']
= <4, 2(1 + θ), 2(1 + θ'), 1 + D + D(D - 1)/4>
= 2<2, (1 + θ), (1 + θ'), k>
= 2R
証明終
746 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 08:43:52
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 5 (mod 8) とする。
R を判別式 D の整環とする。
2R は R の素イデアルである。
証明
>>729 と
>>730 より明らかである。
747 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 08:55:54
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
n を有理整数とする。
gcd(n, D) = 1 のとき、χ(n) = χ([n])
gcd(n, D) ≠ 1 のとき、χ(n) = 0
と定義することにより χ を写像
χ: Z → {±1} に拡張する。
748 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 09:22:03
補題(
>>741 の補足)
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
R を判別式 D の整環とする。
θ = (D + √D)/2 とおく。
p を奇素数とする。
>>741 より D が p と素で mod p の平方剰余のとき
pR = PP' となる。
ここで、P = [p, b + θ] で P は素イデアルである。
b は (2x + D)^2 ≡ D (mod p) の解である。
このとき P' = [p, -b - D + θ] であり、P ≠ P' である。
証明
P = P' と仮定する。
[p, b + θ] = [p, b + θ']
より、
P = <p, b + θ, b + θ'>
= <p, 2b + D, b + θ, b + θ'>
= R
となって矛盾である。
P' = [p, b + θ']
= [p, b + D - θ]
= [p, -b - D + θ]
証明終
749 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 09:51:30
補題(
>>744 の補足)
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 4 (mod 8) とする。
過去スレの418より、D = (f^2)d と書ける。
ここで f は有理整数 f > 0 であり d はある2次体 Q(√m) の
判別式である。
f が奇数なら D/4 ≡ 3 (mod 4) である。
証明
D ≡ 4 (mod 8) だから D = 4 + 8n となる有理整数 n がある。
D = 4(2n + 1)
f は奇数だから 2n + 1 = (f^2)k と書ける。
k は奇数である。
(f^2)d = 4(f^2)k
より
d = 4k である。
d は2次体 Q(√m) の判別式だから
k = m で m ≡ 2, 3 (mod 4) であるが m は奇数だから
m ≡ 3 (mod 4) である。
f は奇数だから f^2 ≡ 1 (mod 4)
よって D/4 = (f^2)m ≡ 3 (mod 4)
証明終
750 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 09:54:28
751 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 09:59:22
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: Z → {±1} を
>>747 の写像とする。
R を判別式 D の整環とする。
f を R の導手(過去スレ4の423)とする。
p を奇素数とする。
1) χ(p) = 1 のとき。
pR = PP' となる。ここで P は R の素イデアルで
P' は P の共役で P ≠ P' である。
2) χ(p) = -1 のとき。
pR は R の素イデアルである。
3) χ(p) = 0 で gcd(p, f) = 1 のとき。
pR = P^2。ここで P は R の素イデアルで P = P' である。
証明
χ(p) = 1 なら χ(p) = (D/p) = 1 である。
>>741 と
>>748 より 1) が成り立つ。
χ(p) = -1 なら χ(p) = (D/p) = -1 である。
>>742 より 2) が成り立つ。
χ(p) = 0 で gcd(p, f) = 1 のとき。
>>740 より 3) が成り立つ。
証明終
752 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 10:01:20
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: Z → {±1} を
>>747 の写像とする。
R を判別式 D の整環とする。
f を R の導手(過去スレ4の423)とする。
1) χ(2) = 1 のとき。
2R = PP' となる。ここで P は R の素イデアルで
P' は P の共役で P ≠ P' である。
2) χ(2) = -1 のとき。
2R は R の素イデアルである。
3) χ(2) = 0 で gcd(2, f) = 1 のとき。
2R = P^2。ここで P は R の素イデアルで P = P' である。
証明
χ(2) = 1 なら
>>567 より D ≡ 1 (mod 8) である。
>>743 より 1) が成り立つ。
χ(2) = -1 なら
>>567 より D ≡ 5 (mod 8) である。
>>746 より 2) が成り立つ。
χ(2) = 0 で gcd(2, f) = 1 のとき。
>>744 ,
>>745 ,
>>749 より 3) が成り立つ。
証明終
753 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 17:02:50
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 R を判別式 D の整環とする。 θ = (D + √D)/2 とおく。 過去スレ4の585より R = [1, θ] である。 本シリーズでは以前は R の基底表示として R = [1, fω] を使っていた。 ここで R は2次体 Q(√m) の整環とし、 m ≡ 1 (mod 4) なら ω = (1 + √m)/2 であり、 m ≡ 2, 3 (mod 4) なら、ω = √m である。 しかし、この表示は m ≡ 1 (mod 4) と m ≡ 2 , 3 (mod 4) の場合を 別々に扱う必要がある。 従って R = [1, θ] の方が理論的取り扱いには便利である。
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766 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 11:59:45
>>723 を書いた時点では類数公式を高木の初等整数論講義にある
ように Dedekind のζ関数を使って証明しようとしていた。
しかし、【Dirichletの整数論講義】に従って類数公式を
導いたほうがよいと考え直した。
この方法を学ぶことにより、解析数論の創始者であるDirichlet の発想を
直接知ることが出来る。
なぜ、最初からこの方法にしなかったかというと、私自身 Dirichlet
の方法がよく分からなかったから(苦笑
従って、
>>723 以降で調べた有理素数 p の整環 R における分解法則
は、当面必要ない。
しかし、後で必要になるだろう。
767 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 12:20:22
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
>>605 で判別式 D の2次形式の類集合 C(D) を定義した。
【Dirichletの整数論講義】に従って類数 |C(D)| を求める公式を
導くことが当面の目標である。
まず、与えられた判別式 D の2次形式 f が数 m を表現する
仕方を詳しく調べることにする。
768 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:18:41
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
有理整数 m は正の奇数で D と素とする。
過去スレ717より
m が (a, b, c) により固有に表現される(
>>701 )なら、
D ≡ n^2 (mod 4m) となる有理整数 n が存在する。
よって
D = n^2 - 4ml となる有理整数 l が存在する。
(m, n, l) は判別式 D の2次形式である。
m > 0 だから D < 0 のとき正定値である。
過去スレ4の702より
(a, b, c)σ = (m, l, k) となる
σ = (p, q)/(r, s) ∈ SL_2(Z) が存在する。
このとき (p, r) が m = ax^2 + bxy + cy^2 の固有な解である。
過去スレ4の732 より、このようなσで相異なるものは相異なる解を
与える。
769 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:22:34
>>768 の続き。
τ = (p, q)/(r, s) ∈ SL_2(Z) で
(a, b, c)τ = (m, l, k)
とする。
(a, b, c)τσ^(-1) = (m, l, k)σ^(-1) = (a, b, c)
即ち U = τσ^(-1) は (a, b, c) を固定する。
τ = Uσ
である。
逆に U ∈ SL_2(Z) で
(a, b, c)U = (a, b, c)
とすれば、τ = Uσ とおいたとき、
(a, b, c)τ = (m, l, k)
である。
>>406 で U(f) = {U ∈ SL_2(Z) ; fU = f } と書いた。
>>413 より U(f) と (R^*)+ は集合として同型である。
これが群としても同型であることは容易にわかる。
770 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:24:29
>>769 の続き。
U = (α, β)/(γ, δ) ∈ U(f)
とする。
τ = Uσ = (pα + rβ, qα + sβ)/(pγ + rδ, qγ + sδ)
となる。
このとき (pα + rβ, pγ + rδ) は f(x, y) = m の固有な解である。
U(p, r)' = (pα + rβ, pγ + rδ)'
である。
ここで (p, r)' , (pα + rβ, pγ + rδ)' はそれぞれ列ベクトルを
表す。
よって群 U(f) は S_0(m, f) に作用する。
ここで、S_0(m, f) は f(x, y) = m の固有な解の集合である。
即ち S_0(m, f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) = m, gcd(x, y) = 1 }
である。
771 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:27:00
訂正:
>>768 >(a, b, c)σ = (m, l, k) となる
(a, b, c)σ = (m, n, l) となる
772 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:39:44
訂正:
>>769 (m, l, k) は (m, n, l) の間違いである。
773 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 19:40:29
>>770 の続き。
S_0(m, f) はすぐ後でわかるように有限である。
R_0(m, f) = |S_0(m, f)| と書く。
2次形式 f と g が同値なら明らかに S_0(m, f) = S_0(m, g) である。
>>605 で定義した C(D) の代表系を f_1, . . . , f_h とする。
R_0(m) = R_0(m, f_1) + . . . + R_0(m, f_h) と書く。
R_0(m) を計算するため補題を用意する。
774 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 20:16:58
補題 G を群とし、X と Y を 左 G-集合(過去スレ4の388)とする。 g ∈ G, (x, y) ∈ X × Y のとき g(x, y) = (gx, gy) と 定義することにより X × Y は左 G-集合になる。 S を X × Y の G-不変(過去スレ4の391)な部分集合とする。 x ∈ X に対して G_x = { g ; gx = g } Y_x = { y ∈ Y ; (x, y) ∈ S } と書く。 S/G は有限集合とする。 このとき |S/G| = Σ|Y_x/G_x| である。ここで和の x は X/G の代表系全体を 動く。 対称的に |S/G| = Σ|X_y/G_y| である。ここで和の y は Y/G の代表系全体を 動く。 証明 写像 p: S/G → X/G を p([(x, y)]) = [x] により定義する。 [(a, b)] ∈ p^(-1)([x]) とする。 ga = x となる g ∈ G がある。 gb = y とおく。 [(a, b)] = [(x, y)] である。 写像 φ : p^(-1)([x]) → Y_x/G_x を φ([(a, b)]) = [y] で定義する。 φが全単射であることは容易にわかる。 よって |S/G| = Σ|Y_x/G_x| である。 証明終
775 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 22:01:48
命題(Zagier の数論入門)
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
m を正の奇数で D と素とする。
R_0(m) を
>>773 で定義したものとする。
R_0(m) は x^2 ≡ D (mod 4m) の解を mod 2m で類別した個数に等しい。
証明
G = SL_2(Z)
X = { 判別式 D の原始的2次形式で D < 0 のときは正定値 }
Y = { (x, y) ∈ Z^2 ; gcd(x, y) = 1}
S = { (f, z) ∈ X × Y ; f(z) = m }
とおく。
>>774 より |S/G| = Σ|Y_f/G_f| である。
ここで和の f は X/G = C(D) の代表系全体を動く。
Y_f = { (x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) = m, gcd(x, y) = 1}
G_f = U(f)
よって
Y_f/G_f = S_0(m, f)
R_0(m, f) = |Y_f/G_f| である。
よって R_0(m) = |S/G| である。
(続く)
776 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 22:08:25
>>775 の続き。
z = (1, 0) ∈ Y とおく。
(p, r) ∈ Y のとき gcd(p, r) = 1 だから ps - rq = 1 となる
有理整数 s, q がある。
g = (p, q)/(r, s) ∈ G で gz = (p, r) である。
よって Y/G は一点 [z] からなる。
>>774 より |S/G| = |X_z/G_z| である。
G_z = {(1, r)/(0, 1) ; r ∈ Z } である。
X_z は 第一係数が m となる f ∈ X の集合である。
(m, b, c) ∈ X とすると、
D = b^2 - 4mc, b^2 ≡ D (mod 4m) である。
逆にこの条件が満たされるとする。
b^2 ≡ D (mod m) で D と m は互いに素だから
b と m も互いに素である。
よって (m, b, c) は原始的である。
よって
X_z = { (m, b, c) ; D = b^2 - 4mc, b^2 ≡ D (mod 4m) }
g = (1, r)/(0, 1), r ∈ Z のとき
(m, b, c)g = (m, b + 2mr, mr^2 + br + c)
よって
|X_z/G_z| = |{ b mod 2m; b^2 ≡ D (mod 4m) }|
証明終
なにやってるんですか?
778 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 22:48:03
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
m を正の奇数で D と素とする。
R_0(m) を
>>773 で定義したものとする。
R_0(m) = 2^μ である。
ここで μ は m の相異なる素因数の個数である。
証明
>>775 より
R_0(m) は x^2 ≡ D (mod 4m) の解を mod 2m で類別した個数に等しい。
D ≡ 0 (mod 4) のとき。
b^2 ≡ D (mod 4m) とすると、
b は偶数だから b = 2n と書ける。
n^2 ≡ D/4 (mod m) となる。
逆に n^2 ≡ D/4 (mod m) なら
2n は x^2 ≡ D (mod 4m) の解である。
n ≡ n' (mod m) と 2n ≡ 2n' (mod 2m) は同値である。
以上から R_0(m) は x^2 ≡ D/4 (mod m) の解の
mod m での個数である。
過去スレ4の933 より x^2 ≡ D/4 (mod m) の解の個数は、
2^μ である。
よって R_0(m) = 2^μ である。
(続く)
779 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 22:51:06
>>778 の続き。
D ≡ 1 (mod 4) のとき。
過去スレ4の933 より x^2 ≡ D (mod 4m) の解の個数は、
2^(μ+1) である。
よって ^2 ≡ D (mod 4m) の解を mod 2m で類別した個数は
2^μ である。
よって R_0(m) = 2^μ である。
証明終
780 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 23:46:40
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
s > 1 を実数として級数 ΣR_0(m)/m^s を考える。
ここで R_0(m) は
>>773 で定義したものとする。
和は D と素な正の奇数 m で x^2 ≡ D (mod 4m) に解があるもの
全体を動く。
s > 1 のとき、この級数が収束することは後で示す。
>>778 より ΣR_0(m)/m^s = Σ(2^μ)/m^s である。
P(D) = { p は奇素数 ; gcd(D, p) = 1, (D/p) = 1 }
とおく。
収束の問題は別にして、形式的に
ΣR_0(m)/m^s = Π(1 + 2/p^s + 2/p^(2s) + 2/p^(3s) + . . .)
となることは見やすい。
ここで、p は P(D) の元全体を動く。
これは Euler の積公式(後で厳密に証明する)
Σ1/n^s = Π(1 + 1/p^s + 1/p^(2s) + . . .) = Π1/(1 - 1/p^s)
の類似である。
ここで、s > 1 であり、n は有理整数 n ≧ 1 全体を動き、
p は全ての素数を動く。
781 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 08:48:39
訂正
>>773 >S_0(m, f) はすぐ後でわかるように有限である。
>R_0(m, f) = |S_0(m, f)| と書く。
S_0(m, f)/U(f) はすぐ後でわかるように有限である。
R_0(m, f) = |S_0(m, f)/U(f)| と書く。
782 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 09:06:53
Dirichlet の類数公式の証明はやや長いので、その概要を説明して
おいたほうが良いだろう。
>>773 と
>>781 より
R_0(m) = R_0(m, f_1) + . . . + R_0(m, f_h)
ここで、R_0(m, f_i) = |S_0(m, f_i)/U(f_i)| である。
よって
ΣR_0(m)/m^s = ΣR_0(m, f_1)/m^s + . . . + ΣR_0(m, f_h)/m^s
>>770 より
S_0(m, f_i) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f_i(x, y) = m, gcd(x, y) = 1 }
よって
ΣR_0(m, f_i)/m^s = Σ1/f_i(x, y)^s
ここで、右辺の和の (x, y) は、S_0(m, f_i)/U(f_i) の代表系を
動き、m は D と素な正の奇数を動く。
このとき、D は mod 4m で平方剰余であるという条件は
自動的に満たされることに注意しておく。
>>778 より ΣR_0(m)/m^s = Σ(2^μ)/m^s だから、
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = Σ(2^μ)/m^s
783 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 09:21:58
>>782 の続き。
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = Σ(2^μ)/m^s
s → +1 のとき lim 1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で
f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
s → +1 のとき lim Σ(2^μ)/m^s
も同様である。これを臨時的に B と書こう。
よって hA = B となる。
これから h = B/A となって、類数 h が求まる。
かなり大雑把だが、これが Dirichlet の基本アイデアである。
784 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 09:26:53
>>783 全体を以下の様に訂正する。
>>782 の続き。
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = Σ(2^μ)/m^s
s → +1 のとき lim (s - 1) 1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で
f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
s → +1 のとき lim (s - 1)Σ(2^μ)/m^s
も同様である。これを臨時的に B と書こう。
よって hA = B となる。
これから h = B/A となって、類数 h が求まる。
かなり大雑把だが、これが Dirichlet の基本アイデアである。
785 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 10:11:41
>>780 の続きに戻る。
ΣR_0(m)/m^s = Π(1 + 2/p^s + 2/p^(2s) + 2/p^(3s) + . . .)
p は P(D) = { p は奇素数 ; gcd(D, p) = 1, (D/p) = 1 }
の元を動く。
この右辺の因子を変形する。
1 + 2/p^s + 2/p^(2s) + 2/p^(3s) + . . .
= 1 + (2/p^s)/(1 - 1/p^s)
= (1 - 1/p^s + 2/p^s)/(1 - 1/p^s)
= (1 + 1/p^s)/(1 - 1/p^s)
よって
ΣR_0(m)/m^s = Π(1 + 1/p^s)/(1 - 1/p^s)
この右辺は Π(1 + 1/q^s)/(1 - (D/q)/q^s) と書ける。
ここで q は D と素な奇素数を動く。
786 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 10:22:07
>>785 の続き。
(1 + 1/q^s)/(1 - (D/q)/q^s) の分母、分子に 1 - 1/q^s を掛ける。
(1 - 1/q^(2s))/(1 - 1/q^s)(1 - (D/q)/q^s)
= (1 - 1/q^s)^(-1)・(1 - (D/q)/q^s)^(-1)/(1 - 1/q^(2s))^(-1)
よって
P = Π1/(1 - 1/q^s)
Q = Π1/(1 - 1/q^(2s))
R = Π1/(1 - (D/q)/q^s)
とおくと、
ΣR_0(m)/m^s = PR/Q
となる。
Euler の積公式と同様に
P = Σ1/n^s
Q = Σ1/n^(2s)
R = Σ(D/n)/n^s
となる。
ここで n は D と素な正の奇数を動く。
(D/n) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
787 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 10:39:14
>>786 の続き。
ΣR_0(m)/m^s = PR/Q
であった。
>>782 より
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = Σ(2^μ)/m^s
よって
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = PR/Q
よって
ΣQ/f_1(x, y)^s + . . . + ΣQ/f_h(x, y)^s = PR
各 ΣQ/f_i(x, y)^s を変形する。
Q = Σ1/n^(2s) であった
よって
ΣQ/f_i(x, y)^s = Σ1/((n^2)f_i(x, y))^s = Σ1/(f_i(nx, ny))^s
ここで、両辺の和の (x, y) は、S_0(m, f_i)/U(f_i) の代表系を
動き、m は D と素な正の奇数を動く。
n は D と素な正の奇数を動く。
S_0(m, f_i) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f_i(x, y) = m, gcd(x, y) = 1 }
である。
788 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 10:55:30
>>787 の続き。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
m を D と素な正の奇数として、
S(m, f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) = m }
とおく。
即ち、S(m, f) は f(x, y) = m の固有とは限らない解の集合である。
この集合に
>>406 で定義した U(f) が作用することは明らかである。
(x, y) ∈ S(m, f) のとき n = gcd(x, y) として、
x = nx', y = ny' とする。
f(x, y) = (n^2)f(x', y') = m で m は D と素だから、
n も D と素である。
さらに m は奇数だから n も奇数である。
以上から
ΣQ/f_i(x, y)^s = Σ1/(f_i(x, y))^s
となる。
ここで右辺の (x, y) は S(m, f_i)/U(f_i) の代表系を動く。
789 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 11:14:50
>>788 の続き。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
S(f) = ∪ S(m, f) とおく。
ここで m は D と素な正の奇数全体を動く。
S(f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) > 0 は 2D と素 }
である。
明らかに S(f) には U(f) (
>>406 ) が作用する。
>>788 の等式
ΣQ/f_i(x, y)^s = Σ1/(f_i(x, y))^s
の右辺の (x, y) は S(f_i)/U(f_i) の代表系を動く。
>>787 より
ΣQ/f_1(x, y)^s + . . . + ΣQ/f_h(x, y)^s = PR
ここで
P = Σ1/n^s
R = Σ(D/n)/n^s
よって
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = (Σ1/n^s)(Σ(D/n)/n^s)
各和の (x, y) は S(f_i)/U(f_i) の代表系を動く。
右辺の各和の n は D と素な正の奇数全体を動く。
790 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 14:02:59
次の命題は
>>534 を少し拡張したものである。
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式とする。
r ≠ 0 を任意の有理整数とする。
f により表現される数で r と素であるものが無数に存在する。
証明
r を割る素数の集合を P と書く。
A = a を割らない p ∈ P の積。
C = a を割って c を割らない p ∈ P の積。
B = a と c を割る p ∈ P の積。
とおく。
a を割らない p ∈ P が存在しないときは A = 1 とおく。
C, B も同様である。
gcd(A, C) = gcd(A, B) = gcd(C, B) = 1 である。
任意の p ∈ P は A, C, B のどれかを割ることに注意しておく。
n と m を任意の有理整数として、
x = (ABn + 1)C
y = (BCm + 1)A
とおく。
(続く)
791 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 14:03:45
>>790 の続き。
p ∈ P で A ≡ 0 (mod p) のときは、
y ≡ 0 (mod p) だから
ax^2 + bxy + cy^2 ≡ ax^2 (mod p)
x ≡ C (mod p) だから
ax^2 は p で割れない。
よって ax^2 + bxy + cy^2 は p で割れない。
p ∈ P で C ≡ 0 (mod p) のときは、
x ≡ 0 (mod p) だから
ax^2 + bxy + cy^2 ≡ cy^2 (mod p)
y ≡ A (mod p) だから
cy^2 は p で割れない。
よって ax^2 + bxy + cy^2 は p で割れない。
p ∈ P で B ≡ 0 (mod p) のときは、
ax^2 + bxy + cy^2 ≡ bxy (mod p)
ax^2 + bxy + cy^2 は原始的だから b は p で割れない。
x ≡ C (mod p) だから x は p で割れない。
y ≡ A (mod p) だから y は p で割れない。
よって ax^2 + bxy + cy^2 は p で割れない。
以上から ax^2 + bxy + cy^2 は r と素である。
証明終
792 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 14:59:39
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式で
a > 0 とする。
r ≠ 0 を任意の有理整数とする。
f により固有に表現される数 m で r と素で m > 0 となるものが
存在する。
証明
f により表現される数 m で r と素で m > 0 となるものの存在を
示せばよい。
なぜなら f(x, y) = m のとき
gcd(x, y) = n として x = nx', y = ny' とすれば、
f(x, y) = (n^2)f(x', y') > 0
f(x', y') > 0 は r と素で gcd(x', y') = 1 だからである。
これは D < 0 のときは、f(x, y) は常に正だから
>>790 より明らかである。
よって D > 0 と仮定する。
>>790 の証明より
n と m を任意の有理整数として、
x = (ABn + 1)C
y = (BCm + 1)A
とすれば f(x, y) は r と素である。
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2
a > 0 だから |2ax + by| > (√D)|y|
即ち |2a(x/y) + b| > √D となれば f(x, y) > 0 となる。
A > 0, B > 0, C > 0 だから n → ∞ のとき x → ∞
となるから、これは明らかである。
証明終
793 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 17:15:55
訂正
>>783 >s → +1 のとき lim (s - 1) 1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で
>f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
s → +1 のとき lim (s - 1) Σ1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で
f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
794 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 17:18:16
訂正
>>784 >s → +1 のとき lim (s - 1) 1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で
>f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
s → +1 のとき lim (s - 1) Σ1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で
f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
795 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 17:54:20
定義 複素数の数列 a_1, a_2, . . . に対して Σa_n/n^s を数列 (a_n) に関する Dirichlet 級数と呼ぶ。 s は複素変数で n^s = exp(log(n)s) である。
796 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 18:09:23
次の命題の証明は後で行う。
命題
Σa_n/n^s を Dirichlet 級数(
>>795 )とする。
s は実変数とする。
m → ∞ のとき lim (a_1 + . . . + a_m)/m = c
とする。ここで c は有限値である。
このとき、任意の δ > 0 に対して Σa_n/n^s は
区間 [1 + δ, ∞) で一様収束し、区間 (1, ∞) で連続関数となる。
さらに、s → 1 + 0 のとき lim (s - 1)Σa_n/n^s = c である。
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
U
V
W
X
Y
Z
823 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/20(金) 10:33:08
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
C(D) (
>>605 ) の任意の類は第一係数が正の2次形式を含む。
証明
D < 0 のときは自明である。
よって、 D > 0 と仮定する。
>>348 より C(D) の任意の類は簡約2次形式 (a, b, c) を含む。
>>335 より ac < 0 である。
a > 0 なら証明は終わる。
a < 0 なら ac < 0 だから c > 0 である。
>>434 より (a, b, c) の右に隣接している簡約2次形式
(c, b', a') がただ一つ存在するから、それを取ればよい。
証明終
824 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/20(金) 10:37:49
>>789 の続き。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
>>823 より a > 0 と仮定してよい。
Σ1/f(x, y)^s を考える。
(x, y) は S(f)/U(f) の代表系を動く。
ここで
S(f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) > 0 は 2D と素 }
U(f) = {σ ∈ SL_2(Z) ; (a, b, c)σ = (a, b, c) }
>>792 より f により固有に表現される数 m で 2D と素で m > 0 と
なるものが存在する。
過去スレ4の716より、ある有理整数 l, k があり
(a, b, c) と (m, l, k) が同値になる。
よって初めから a > 0 で a は 2D と素と仮定する。
α
37
38
37
36
35
34
33
32
31
30
29
28
838 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 16:50:13
>>824 の続き。
>>784 (及び
>>794 ) に従って、
s → 1+0 のとき lim (s - 1) Σ1/f(x, y)^s を求めるのが当面の目標
である。
>>796 により t を正の実数として、
t → ∞ のときの lim T/t を求める必要がある。
ここで
T は集合 { (x, y) ; f(x, y) ≦ t で (x, y) ∈ R(S(f)/U(f)) }
の元の個数である。
R(S(f)/U(f)) は S(f)/U(f) の完全代表系である。
lim T/t を求める準備として、
D ≡ 0 (mod 4) のとき
集合 { (x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 ; f(x, y) は D と素}
D ≡ 1 (mod 4) のとき
集合 { (x, y) ∈ (Z/(2D)Z)^2 ; f(x, y) は 2D と素}
の元の個数を求める必要がある。
839 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 18:03:09
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式で a は D と素とする。 集合 { (x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 ; f(x, y) は D と素} の元の個数は (|D|/2)φ(|D|/2) である。 証明 D = b^2 - 4ac より D ≡ b^2 (mod 4) D ≡ 0 (mod 4) だから b^2 ≡ 0 (mod 4) よって b は偶数である。 b = 2b' とおく。 4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2 より af(x, y) = (ax + b'y)^2 - D'y^2 となる。ここで D' = D/4 とおいた。 y が偶数のとき。 af(x, y) ≡ (ax + b'y)^2 (mod 2D') f(x, y) が 2D' と素であるためには ax + b'y が 2D' と素であることが必要十分である。 a は 2D' と素だから x が mod 2D' の完全代表系を動くとき、 ax + b'y も mod 2D' の完全代表系を動く。 よって ax + b'y が 2D' と素になるような x mod 2D' は φ(2|D'|) 個ある。 よって (x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 で y が偶数の組は |D'|φ(2|D'|) 個である。 (続く)
840 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 18:09:02
>>839 の続き。
y が奇数のとき。
af(x, y) = (ax + b'y)^2 - D'y^2
よって
af(x, y) ≡ (ax + b'y)^2 (mod D')
D' が偶数なら
af(x, y) が D' と素であることと af(x, y) が 2D' と素であることは
同値である。
よって ax + b'y が 2D' と素であることと同値である。
よって (x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 で y が奇数の組は
|D'|φ(2|D'|) 個である。
D' が奇数なら
f(x, y) が 2D' と素であるためには
(ax + b'y)^2 - D'y^2 が奇数で D' と素であることが必要十分である。
D'y^2 は奇数だから、これは ax + b'y が偶数で D' と素であることと
同値である。
これは、ax + b'y ≡ m (mod 2D') のとき m が偶数で D' と素である
ことと同値である。
x が mod 2D' の完全代表系を動くとき、ax + b'y も同様である。
0, 1, . . . , 2|D'| - 1 の中で偶数は
0, 2, 4, . . . , 2(|D'| - 1) の |D'| 個である。
この中で奇数 |D'| と素なものは φ(|D'|) 個である。
φ(2|D'|) = φ(2)φ(|D'|) = φ(|D'|) であるから、
(x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 で y が奇数の組は |D'|φ(2|D'|) 個である。
以上から、(x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 の組は全体で
2|D'|φ(2|D'|) 個である。
証明終
841 :
841 :2007/07/22(日) 18:22:59
√(841) = 29
842 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 18:27:18
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式で a は奇数とする。 c が偶数のとき D ≡ 1 (mod 8) c が奇数のとき D ≡ 5 (mod 8) である。 証明 D = b^2 - 4ac より D ≡ b^2 (mod 4) D ≡ 1 (mod 4) だから b^2 ≡ 1 (mod 4) よって b は奇数である。 よって b ≡ 1, 3, 5, 7 (mod 8) よって b^2 ≡ 1 (mod 8) c が偶数なら D = b^2 - 4ac ≡ b^2 (mod 8) よって D ≡ 1 (mod 8) c が奇数なら a = 2n + 1 c = 2m + 1 として b^2 - 4ac = b^2 - 4(2n + 1)(2m + 1) = b^2 - 4(4nm + 2n + 2m + 1) = b^2 - 16nm - 8n - 8m - 4 ≡ b^2 - 4 ≡ 1 - 4 ≡ 5 (mod 8) 証明終
843 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 21:38:54
>>839 の命題は f = ax^2 + bxy + cy^2 が原始的でなくても成り立つ。
これは、その証明で f の原始性を使ってないことからわかる。
844 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 22:08:37
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 8) とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式で
a は 2D と素とする。
集合 { (x, y) ∈ (Z/(2D)Z)^2 ; f(x, y) は 2D と素 }
の元の個数は |D|φ(|D|) である。
証明
c が奇数なら
>>842 より D ≡ 5 (mod 8) となって仮定に反する。
よって c は偶数である。
よって ax^2 + bxy + cy^2 = ax(x + by) + cy^2 が奇数であるためには
ax(x + by) が奇数であることが必要十分である。
これは x と x + by が奇数と同値である。
これは x が奇数かつ y が偶数と同値である。
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2 が D と素であるためには
2ax + by が D と素であることが必要十分である。
y は偶数だから 0, 2, 4, . . . , 2|D| - 2 の |D| 個を取る。
D は奇数だから |D| 個の 1, 3, 5, . . . 2|D| - 1 は
mod |D| の完全代表系である。
2a は D と素だから x がこれ等を動くとき 2ax + by も mod |D| の
完全代表系である。
よって、これ等の中に D と素なものが φ(|D|) 個ある。
よって (x, y) の個数は |D|φ(|D|) である。
証明終
845 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 22:46:55
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 5 (mod 8) とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式で
a は 2D と素とする。
集合 { (x, y) ∈ (Z/(2D)Z)^2 ; f(x, y) は 2D と素 }
の元の個数は 3|D|φ(|D|) である。
証明
c が偶数なら
>>842 より D ≡ 1 (mod 8) となって仮定に反する。
よって c は奇数である。
x と y が偶数だと ax^2 + bxy + cy^2 も偶数となる。
よって ax^2 + bxy + cy^2 が奇数であるためには x と y の少なくとも
ひとつが奇数であることが必要である。
逆に
x ≡ 1 (mod 2) で y ≡ 0 (mod 2) なら
ax^2 + bxy + cy^2 ≡ a ≡ 1 (mod 2)
x ≡ 0 (mod 2) で y ≡ 1 (mod 2) なら
ax^2 + bxy + cy^2 ≡ c ≡ 1 (mod 2)
x ≡ 1 (mod 2) で y ≡ 1 (mod 2) なら
ax^2 + bxy + cy^2 ≡ a + b + c ≡ 1 (mod 2)
以上から ax^2 + bxy + cy^2 が奇数であるためには x と y の
少なくともひとつが奇数であることが必要十分である。
(続く)
846 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 22:48:33
>>845 の続き。
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2 が D と素であるためには
2ax + by が D と素であることが必要十分である。
y が偶数なら 0, 2, 4, . . . , 2|D| - 2 の |D| 個を取る。
D は奇数だから |D| 個の 1, 3, 5, . . . 2|D| - 1 は
mod |D| の完全代表系である。
2a は D と素だから x がこれ等を動くとき 2ax + by も mod |D| の
完全代表系である。
よって、これ等の中に D と素なものが φ(|D|) 個ある。
よって、この場合 (x, y) の個数は |D|φ(|D|) である。
y が奇数なら 1, 3, 5, . . . , 2|D| - 1 の |D| 個を取る。
x が 0, 1, 2, . . . , 2|D| - 1 をとるとき
2ax + by は mod |D| の完全代表系を2回とる。
よって x の許される値は 2φ(|D|) 個である。
よって、この場合 (x, y) の個数は 2|D|φ(|D|) である。
以上から (x, y) の総数は 3|D|φ(|D|) である。
証明終
847 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 01:13:47
f = (a, b, c) を判別式 D < 0 の正定値な原始的2次形式とする。
さらに、a は 2D と素とする。
s を実変数として Σ1/f(x, y)^s を考える。
ここで (x, y) は S(f)/U(f) の代表系を動く。
ここで
S(f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) > 0 は 2D と素 }
U(f) = {σ ∈ SL_2(Z) ; (a, b, c)σ = (a, b, c) }
>>412 より U(f) は集合として
Pell+(D) = { (t, u) ∈ Z^2 ; t^2 - Du^2 = 4 } と同型である。
>>412 では D > 0 と仮定していたが、これが D < 0 の場合も
成り立つことは証明をみれば明らかである。
|D| ≦ 4 となるのは D = -3, -4 の場合だけであり、このとき
類数 h(D) = 1 であるので、この場合は除くことにする。
|D| > 4 のときは Pell+(D) = { (±2, 0) } である。
よって
>>412 より U(f) = {±1} である。
848 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 01:30:00
>>847 の続き。
>>796 により s → 1+0 のとき lim (s - 1) Σ1/f(x, y)^s は
t → ∞ のときの lim T/t に等しい。
ここで
T は集合 { (x, y) ; f(x, y) ≦ t で (x, y) ∈ R(S(f)/U(f)) }
の元の個数である。
R(S(f)/U(f)) は S(f)/U(f) の完全代表系である。
(x, y) ∈ Z^2 と U(f) = {±1} の作用で同値なのは
(x, y) と (-x, -y) である。
f(x, y) = f(-x, -y) だから
T は集合 S(f, t) = { (x, y) ; f(x, y) ≦ t で (x, y) ∈ S(f) }
の元の個数の 1/2 である。
f は正定値だから
S(f, t) = { (x, y) ; f(x, y) ≦ t で f(x, y) は 2D と素 }
である。
849 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 01:59:11
>>848 の続き。
D ≡ 0 (mod 4) のとき Δ = |D|/2
D ≡ 1 (mod 4) のとき Δ = 2|D|
とおく。
(x, y) ∈ Z^2 で f(x, y) が 2D と素なら
即ち、(x, y) ∈ S(f) なら
x ≡ α (mod Δ)
y ≡ γ (mod Δ)
で (α, γ) ∈ { (x, y) ∈ (Z/ΔZ)^2 ; f(x, y) は Δ と素 }
となる (α, γ) が一意に決まる。
このとき
x = Δv + α
y = Δw + γ
となる有理整数 v, w が一意に決まる。
逆に、(v, w) ∈ Z^2 のとき x = Δv + α と y = Δw + γ
とおくと、(x, y) ∈ S(f) となる。
850 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 08:48:24
f = (a, b, c) を判別式 D < 0 の正定値な原始的2次形式とする。
さらに、a は 2D と素とする。
s を実変数として級数 G(s, f) = Σ1/f(x, y)^s を考える。
ここで
(x, y) は S(f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) は 2D と素 }
の元を動く。
D ≡ 0 (mod 4) のとき Δ = |D|/2
D ≡ 1 (mod 4) のとき Δ = 2|D|
とおく。
(α, γ) ∈ { (x, y) ∈ (Z/ΔZ)^2 ; f(x, y) は Δ と素 }
に対して、級数 G(s, f, α, γ) = Σ1/f(x, y)^s を考える。
ここで (x, y) = (Δv + α, Δw + γ) で (v, w) は Z^2 を動く。
>>849 より G(s, f) = ΣG(s, f, α, γ) である。
ここで右辺の和の (α, γ) は
集合 { (x, y) ∈ (Z/(2D)Z)^2 ; f(x, y) は 2D と素 } の元全体
を動く。
>>796 により s → 1+0 のときの lim (s - 1) G(s, f, α, γ) は
t → ∞ のときの lim T/t に等しい。
ここで
T は集合 { (v, w) ∈ Z^2 ; f(Δv + α, Δw + γ) ≦ t } の元の
個数である。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | | /  ̄ ̄ ̄ ̄ /_____ / /ヽ__// / やらないか / / / / / / / / ____ / / / / / / / / / / /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ / /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | | /  ̄ ̄ ̄ ̄ /_____ / /ヽ__// / 頼むよクンマー / / / / / / / / ____ / / / / / / / / / / /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ / /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
853 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 09:12:08
>>850 の続き。
ax^2 + bxy + cy^2 ≦ t は
a(x/√t)^2 + b(x/√t)(y/√t) + c(y/√t)^2 ≦ 1 と同値である。
ξ = x/√t
η = y/√t
とおくと
ξ = (Δ/√t)v + α
η = (Δ/√t)w + γ
(v, w) が Z^2 の元を動くと (ξ, η) は幅が h = Δ/√t の格子点
全体を動く。
よって T = |{ (v, w) ∈ Z^2 ; f(Δv + α, Δw + γ) ≦ t }|
は aξ^2 + bξη + cη^2 ≦ t となる格子点 (ξ, η) の個数である。
D < 0 だから方程式 aξ^2 + bξη + cη^2 = t で定義される図形は
楕円である(すぐ後で復習する)。
この楕円の面積 S は (h^2)T = ((Δ^2)/t)T で近似され、
h → 0 のとき lim (h^2)T = S である。
よって
t → ∞ のとき lim ((Δ^2)/t)T = S である。
よって lim T/t = S/Δ^2 となる。
854 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 09:17:30
訂正
>>853 >よって T = |{ (v, w) ∈ Z^2 ; f(Δv + α, Δw + γ) ≦ t }|
>は aξ^2 + bξη + cη^2 ≦ t となる格子点 (ξ, η) の個数である。
>
>D < 0 だから方程式 aξ^2 + bξη + cη^2 = t で定義される図形は
>楕円である(すぐ後で復習する)。
よって T = |{ (v, w) ∈ Z^2 ; f(Δv + α, Δw + γ) ≦ t }|
は aξ^2 + bξη + cη^2 ≦ 1 となる格子点 (ξ, η) の個数である。
D < 0 だから方程式 aξ^2 + bξη + cη^2 = 1 で定義される図形は
楕円である(すぐ後で復習する)。
855 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 10:09:31
ここで対称行列の直交行列による対角化について復習する。 n ≧ 1 を有理整数とする。 X と Y を複素数を成分とした n 次の列ベクトルとしたとき (X, Y) は (X^)Y~ を表すとする。ここで X^ は X の転置行列、 Y~ は Y の複素共役を表す。 例えば n = 2 のとき、 X = (x_1, x_2)^ Y = (y_1, y_2)^ とすると、 (X, Y) = x_1(y_1)~ + x_2(y_2)~ である。 T を n 次の実対称行列とする。 X を n 次の列ベクトルとしたとき (TX, X) = (TX)^X~ = X^T^X~ = X^TX~ = (X, TX) である。
856 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 10:15:06
命題
n ≧ 1 を有理整数とする。
T を n 次の実対称行列とする。
T のすべての固有値は実数である。
証明
λ を T の固有値とする。
TX = λX となる n 次の列ベクトル X ≠ 0 がある。
(TX, X) = (λX, X) = λ(X, X)
(X, TX) = (X, λX) = λ~(X, X)
>>855 より (TX, X) = (X, TX) だから λ(X, X) = λ~(X, X)
(X, X) ≠ 0 だから λ = λ~
よって λ は実数である。
証明終
857 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 11:14:24
V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
>>855 により V の元 x, y に対して内積 (x, y) が定義される。
(x, y) = 0 のとき x と y は直交するという。
W_1 と W_2 を V の部分ベクトル空間とする。
任意の x ∈ W_1 と 任意の y ∈ W_2 に対して (x, y) = 0 となるとき
W_1 と W_2 は直交するという。
V の元の列 e_1, . . . , e_r が各 i で (e_i, e_i) = 1 で
i ≠ j のとき (e_i, e_i) = 0 とるとき e_1, . . . , e_r を
正規直交系と呼ぶ。
W を V の部分ベクトル空間とする。
W の基底 e_1, . . . , e_r が正規直交系となるとき
e_1, . . . , e_r を W の正規直交基底という。
V の元の列 x_1, . . . , x_k があるとき、それらで生成される
V の部分ベクトル空間を <x_1, . . . , x_k> と書く。
以上の定義は V が n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間の
場合も同様に適用する。
858 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 11:27:42
補題
V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
V の元の列 e_1, . . . , e_r が正規直交系(
>>857 )であるとする。
x ∈ V - <e_1, . . . , e_r> とする。
このとき V の元 e_(r+1) があり、e_1, . . . , e_r, e_(r+1) が
正規直交系になり、
<e_1, . . . , e_r, x> = <e_1, . . . , e_r, e_(r+1)>
となる。
y = x - (x, e_1)e_1 - . . . - (x, e_r)e_r
とおく。
x ∈ V - <e_1, . . . , e_r> だから y ≠ 0 である。
1 ≦ i ≦ e_i のとき (y, e_i ) = 0 である。
よって
e_(r+ 1) = y/√(y, y) とおけばよい。
証明終
859 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 11:32:45
訂正
>>857 >V の元の列 e_1, . . . , e_r が各 i で (e_i, e_i) = 1 で
>i ≠ j のとき (e_i, e_i) = 0 とるとき e_1, . . . , e_r を
>正規直交系と呼ぶ。
V の元の列 e_1, . . . , e_r が各 i で (e_i, e_i) = 1 で
i ≠ j のとき (e_i, e_j) = 0 となるとき e_1, . . . , e_r を
正規直交系と呼ぶ。
860 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 11:56:06
命題(Gram-Schmidtの直交化法)
V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
V の元の列 x_1, . . . , x_r が一次独立とする。
このとき正規直交系 e_1, . . . , e_r が存在して
<x_1, . . . , x_r> = <e_1, . . . , e_r> となる。
証明
e_1 = x_1/√(x_1, x_1) とおく。
<e_1> = <x_1> で (e_1, e_1) = 1 である。
>>858 より <e_1, x_2> = <e_1, e_2> となる正規直交系 e_1, e_2 が
ある。
これを繰り返せばよい。
証明終
861 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 12:18:53
V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 W を V の部分ベクトル空間とする。 W⊥ = { x ∈ V ; 任意の y ∈ W に対して (x, y) = 0 } と書く。 明らかに W⊥ は V の部分ベクトル空間である。 W⊥ を W の直交補空間と呼ぶ。
862 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 12:28:10
命題
V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
W を V の部分ベクトル空間とする。
W⊥ を W の直交補空間とする(
>>861 )
V = W + W⊥ (直和) である。
証明
>>860 より W の正規直交基底 e_1, . . . , e_r が存在する。
x ∈ V のとき y = (x, e_1)e_1 + . . . + (x, e_r)e_r とおく。
各 i に対して (y, e_i) = (x, e_i) である。
よって (x - y, e_i) = 0 である。
よって x - y ∈ W⊥ である。
y ∈ W だから x = y + (x - y) ∈ W + W⊥ である。
z ∈ W ∩ W⊥ なら (z, z) = 0 となり z = 0
よって V = W + W⊥ (直和) である。
証明終
863 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:11:34
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 W を V の部分ベクトル空間とする。 f を W の一次変換で、任意の x, y ∈ W に対して (f(x), y) = (x, f(y)) となるとき f を W の対称変換と言う。
864 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:31:56
命題
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
W を V の部分ベクトル空間とする。
f を W の一次変換とする。
f が W の対称変換(
>>863 )なら、W の任意の正規直交基底に関する f の
行列は対称行列である。
逆に W のある正規直交基底に関する f の行列が対称行列なら
f は対称変換である。
証明
e_1, . . . , e_r を W の正規直交基底とする。
この基底に関する f の行列を T = (a_(i, j)) とする。
f(e_j) = a_(1, j)e_1 + . . . + a_(r, j)e_r
である。
よって
(f(e_j), e_i) = a_(i, j)
(e_j, f(e_i)) = a_(j, i)
よって a_(i, j) = a_(j, i) である。
即ち T は対称行列である。
逆に T が対称行列なら (f(e_j), e_i) = (e_j, f(e_i)) となって、
f は対称変換である。
証明終
865 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:36:45
命題
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
W を V の部分ベクトル空間とする。
f を W の対称変換とする。
f の固有値は全て実数である。
証明
>>860 より W は正規直交基底をもつ。
>>864 より、この基底に関する行列は対称行列である。
よって
>>856 より f の固有値は全て実数である。
証明終
866 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:44:23
補題
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
f を V の対称変換(
>>863 )とする。
W を V の部分ベクトル空間で f(W) ⊂ W とする。
このとき f(W⊥) ⊂ W⊥ である。
ここで W⊥ は W の直交補空間(
>>861 )である。
証明
x ∈ W⊥ とする。y ∈ W のとき f(y) ∈ W だから
(f(x), y) = (x, f(y)) = 0
よって f(x) ∈ W⊥ である。
証明終
867 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:50:31
命題
T を n 次の実対称行列とする。
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
T の相異なる固有値を λ_1, . . , λ_r とする。
各 i に対して W_i = { x ∈ V; Tx = (λ_i)x } とおく。
各 W_i は V の部分ベクトル空間で、W_i ≠ 0 で
i ≠ j なら W_i と W_j は直交する。
証明
>>856 より各 λ_i は実数だから W_i ≠ 0 である。
i ≠ j で x ∈ W_i, y ∈ W_j とする。
Tx = (λ_i)x
Ty = (λ_j)y
となる。
(Tx, y) = λ_i(x, y)
(x, Ty) = λ_j(x, y)
T は対象行列だから
>>855 より (Tx, y) = (x, Ty) である。
よって λ_i(x, y) = λ_j(x, y)
よって (λ_i - λ_j)(x, y) = 0
λ_i ≠ λ_j だから (x, y) = 0
よって W_i と W_j は直交する。
証明終
868 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 14:04:29
命題
T を n 次の実対称行列とする。
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
T の相異なる固有値を λ_1, . . , λ_r とする。
各 i に対して W_i = { x ∈ V; Tx = (λ_i)x } とおく。
各 W_i は V の部分ベクトル空間で、W_i ≠ 0 で
i ≠ j なら W_i と W_j は直交し、
V = W_1 + . . . + W_r (直和) である。
証明
>>867 より i ≠ j なら W_i と W_j は直交する。
よって W_1 + . . . + W_(i-1) と W_i は直交する。
よって W_1 + . . . + W_(i-1) ∩ W_i = 0 である。
よって W = W_1 + . . . + W_r (直和) である。
>>862 より V = W + W⊥ (直和) である。
T(W) ⊂ W だから
>>866 より T(W⊥) ⊂ W⊥ である。
よって T は W⊥ に対称変換 g を引き起こす。
W⊥ ≠ 0 なら
>>865 より g は実固有値 μ をもつ。
これは T の固有値でもあるから μ はある λ_i と一致する。
よって W⊥ の元 x ≠ 0 で T(x) = (λ_i)x となるものがある。
x ∈ W_i であるが、これは V = W + W⊥ (直和) に反する。
よって W⊥ = 0 である。
よって V = W である。
証明終
869 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 14:21:19
T を n 次の実正方行列で (T^)T = E のとき T を直交行列という。 ここで T^ は T の転置行列で E は単位行列である。
870 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 14:36:26
T を直交行列とする。 (T^)T = E より det(T^)det(T) = det(T)^2 = 1 よって det(T) = ±1 である。 特に T は正則行列である。 よって T の逆行列 T^(-1) が存在する。 よって T^ = T^(-1) となる。 よって TT^ = E となる。
871 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 15:09:29
補題 V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 x ∈ V として (x, y) = 0 が全ての y ∈ V で成り立てば x = 0 である。 証明 e_1, . . . , e_n を V の標準基底とする。 即ち e_i = (δ_(i, 1), , . . . , δ_(i, n))^ である。 ここで δ_(i, j) は Kronecker のデルタである。 x = (x_1, . . . , x_n)^ とする。 仮定より (x, e_i) = x_i = 0 である。 よって x = 0 である。 証明終
872 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 15:55:28
命題
T を n 次正方行列とする。
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
以下の条件は同値である。
1) T は直交行列である。
2) 任意の x ∈ V に対して (Tx, Tx) = (x, x)
3) 任意の x, y ∈ V に対して (Tx, Ty) = (x, y)
4) T の列ベクトルを x_1, . . . , x_n とすると、
これ等は正規直交系(
>>857 )である。
証明
1) ⇒ 2) :
(Tx, Tx) = (Tx)^Tx = x^T^Tx = x^x = (x, x)
2) ⇒ 3) :
(T(x + y), T(x + y)) = (Tx, Tx) + 2(Tx, Ty) + (Ty, Ty)
(x + y, x + y) = (x, x) + 2(x, y) + (y, y)
よって 2) から 2(Tx, Ty) = 2(x, y)
よって (Tx, Ty) = (x, y)
3) ⇒ 1) :
(Tx, Ty) = (Tx)^Ty = x^T^Ty = (x, T^Ty) = (x, y)
よって
(x, (T^T - E)y) = 0
x は任意だから
>>871 より (T^T - E)y = 0
y は任意だから T^T - E = 0
よって T^T = E
(続く)
873 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 15:56:55
>>872 の続き。
3) ⇒ 4) :
e_1, . . . , e_n を V の標準基底とする。
即ち e_i = (δ_(i, 1), , . . . , δ_(i, n))^ である。
ここで δ_(i, j) は Kronecker のデルタである。
Te_i = x_i である。
よって (x_i, x_j ) = (Te_i, Te_j) = (e_i, e_j) = δ_(i, j)
x_1, . . . , x_n は正規直交系である。
4) ⇒ 3) :
(x_i, x_j ) = (Te_i, Te_j) = δ_(i, j)
よって (Te_i, Te_j) = (e_i, e_j)
x = Σ(x_i)e_i
y = Σ(y_j)e_j
(Tx, Ty) = Σ(x_i)(y_j)(Te_i, Te_j) = Σ(x_i)(y_j)(e_i, e_j)
= Σ(x_i)(y_i) = (x, y)
証明終
874 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 19:31:00
命題
T を n 次の実対称行列とする。
直交行列 P が存在して P^(-1)TP が対角行列となる。
証明
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
e_1, . . . , e_n を V の標準基底とする。
T の相異なる固有値を λ_1, . . , λ_r とする。
各 i に対して W_i = { x ∈ V; Tx = (λ_i)x } とおく。
>>868 より V = W_1 + . . . + W_r (直和) である。
>>860 より各 W_i に正規直交基底 v_(i, 1), . . . , v_(i, n_i)
が存在する。
>>867 より i ≠ j なら W_i と W_j は直交するから
これ等の正規直交基底は、全体として V の正規直交基底となる。
これを v_1, . . . , v_n と書く。
各 v_i は T の固有ベクトルだから T(v_i) = (μ_i)v_i と書ける。
ここで μ_i は λ_1, . . , λ_r のどれかである。
(続く)
875 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 19:32:38
>>874 の続き。
S を μ_1, . . . , μ_n を対角要素のもつ対角行列とする。
(T(v_1), . . . , T(v_n)) = (v_1, . . . , v_n)S と書ける。
一方
(T(e_1), . . . , T(e_n)) = (e_1, . . . , e_n)T である。
v_1, . . . , v_n を列にもつ行列を P とする。
(v_1, . . . , v_n) = (e_1, . . . , e_n)P である。
>>872 より P は直交行列である。
(v_1, . . . , v_n) = (e_1, . . . , e_n)P の両辺に T を左から
作用させるて
(T(v_1), . . . , T(v_n)) = (T(e_1), . . . , T(e_n))P
= (e_1, . . . , e_n)TP
= (v_1, . . . , v_n)P^(-1)TP
一方
(T(v_1), . . . , T(v_n)) = (v_1, . . . , v_n)S
だから
P^(-1)TP = S である。
証明終
876 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 19:51:54
命題
T を n 次の実対称行列とする。
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
T の固有値がすべて正であるためには V の任意の 0 でない元 x に
対して (Tx, x) > 0 が必要十分である。
証明
>>874 の証明により T の固有ベクトルからなる V の正規直交基底
v_1, . . . , v_n が存在する。
λ_i を T の固有値として T(v_i) = (λ_i)v_i とする。
V の任意の 0 でない元 x をとり、
x = (x_1)v_1 + . . . + (x_n)v_n とする。
(Tx, x) = (λ_1)(x_1)^2 + . . . + (λ_n)(x_n)^2
よって、各λ_i が正なら (Tx, x) > 0 である。
逆に V の任意の 0 でない元 x に対して (Tx, x) > 0 とする。
λ を T の固有値で v をその固有ベクトルとする。
(Tv, v) = λ(v, v) > 0 である。
(v, v) > 0 だから λ > 0 である。
証明終
877 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 19:53:38
>>876 の条件を満たす実対称行列を正値対称行列という。
878 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 20:10:08
そろそろこのスレの容量が危険水域になってるみたいですね。 容量超えるとまずいらしいです。 このスレの残りは軽く埋めたほうがいいかもしれない。
879 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 21:02:35
命題
T を n 次の実対称行列とする。
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
x ∈ V のとき、
2次形式 (Tx, x) を T[x] と書いた(過去スレ4の277)。
T の固有ベクトルを重複度もこめて λ_1, . . . , λ_n とする。
このとき直交行列 P が存在して、変数変換 x = Py により
T[x] = (TPy, Py) = y^P^T^Py = (P^TPy, y) = (P^)TP[y]
= (λ_1)(y_1)^2 + . . . + (λ_n)(y_n)^2 となる。
ここで y = (y_1, . . . , y_n)^ である。
証明
>>874 より直交行列 P が存在して P^(-1)TP が対角行列となる。
P は直交行列だから
>>870 より P^ = P^(-1) である。
証明終
880 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 01:52:47
P = (p, q)/(r, s) を2次の直交行列とする。 P の列は正規直交系であるから p^2 + r^2 = 1 q^2 + s^2 = 1 pq + rs = 0 である。 z = p + ir とおく。i = √(-1) である。 p^2 + r^2 = 1 だから z = exp(iθ) = (cos(θ) + isin(θ)) と書ける。 w = q + is とおく。ベクトル (p, r) と (q, s) は直交しているから w = exp(iθ ± π/2) である。 よって w = exp(iθ)exp(±π/2) = (cos(θ) + isin(θ))(±i) よって w = -sin(θ) + i cos(θ) または w = sin(θ) - i cos(θ) よって P = (cos(θ), -sin(θ))/(sin(θ), cos(θ)) または P = (cos(θ), sin(θ))/(sin(θ), -cos(θ)) A = (cos(θ), -sin(θ))/(sin(θ), cos(θ)) B = (cos(θ), sin(θ))/(sin(θ), -cos(θ)) T = (1, 0)/(0, -1)とおく。 B = AT である。 A は角度 θ の回転であり、T は x 軸を中心とした鏡映変換である。
881 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 02:11:53
ax^2 + bxy + cy^2 を2次形式とする。
ここで a, b, c は実数で D = b^2 - 4ac < 0 とする。
さらに a > 0 とする。
4a(ax^2 + bxy + cy^2) = (2ax + by)^2 - Dy^2
よって (x, y) ≠ (0, 0) なら ax^2 + bxy + cy^2 > 0 である。
よって
>>876 より T = (a, b/2)/(b/2, c) の固有値 λ, μ は
正である。
>>879 より
ax^2 + bxy + cy^2 は変数変換 (x, y)^ = P(v, w)^ により、
λv^2 + μw^2 となる。
ここで P は直交行列である。もし必要があれば P の列を交換して
det(P) = 1 と出来る。このとき
>>880 より P は原点を中心とした
回転である。
よって
ax^2 + bxy + cy^2 = 1 で定義される図形は、楕円 λv^2 + μw^2 = 1
を回転させたものである。
a
b
c
d
e
f
g
h
i
j
k
l
m
n
o
p
q
r
s
t
u
v
w
x
y
z
25
24
23
22
21
20
914 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 10:19:52
a > 0, c > 0 として ax^2 + cy^2 = 1 で定義される曲線 C で 囲まれる領域の面積 S を求める。 C は楕円(a = c のときは円)である。 y = 0 のとき ax^2 = 1 だから x = ± 1/√a y^2 = (1/c)(1 - ax^2) = (a/c)(1/a - x^2) S = 4∫[0, 1/√a] √(a/c)√(1/a - x^2) dx = 4√(a/c)∫[0, 1/√a] √(1/a - x^2) dx ここで 4∫[0, 1/√a] √(1/a - x^2) dx は 円 x^2 + y^2 = 1/a の 面積であるから π/a^2 である。 よって S = √(a/c)(π/a^2) = π√(1/ac)
915 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 10:28:55
ax^2 + bxy + cy^2 を2次形式とする。
ここで a, b, c は実数で D = b^2 - 4ac < 0 とする。
さらに a > 0 とする。
ax^2 + bxy + cy^2 = 1 で定義される曲線 C で
囲まれる領域の面積 S を求める。
>>881 より S は λx^2 + μy^2 = 1 で定義される曲線 D で
囲まれる領域の面積と同じである。
ここで λ, μ は対称行列 T = (a, b/2)/(b/2, c) の固有値である。
>>914 より S = π/√(λμ)
λμ = det(T) = ac - b^2/4 = (4ac - b^2)/4 = -D/4 = |D|/4
よって S = 2π/√|D|
916 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 10:53:55
>>853 の続きに戻る。
lim T/t = S/Δ^2 であったが、
>>915 より S = 2π/√|D|
よって
lim T/t = 2π/(Δ^2)√|D| である。
>>850 より、これは
s → 1+0 のときの lim (s - 1) G(s, f, α, γ) に等しい。
これは、(α, γ) に無関係である。
G(s, f) = ΣG(s, f, α, γ) である。
よって 集合 { (x, y) ∈ (Z/ΔZ)^2 ; f(x, y) は Δ と素 } の元の
個数を N(Δ) とすれば、
s → 1+0 のときの lim (s - 1) G(s, f) = 2πN(Δ)/(Δ^2)√|D|
である。
N(Δ) の値は
>>839 ,
>>844 ,
>>845 で求めてある。
>>848 より
s → 1+0 のときの lim (s - 1) Σ1/f(x, y)^s = πN(Δ)/(Δ^2)√|D|
である。
ここで (x, y) は S(f)/U(f) の代表系を動く。
917 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 11:20:50
D < 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
さらに |D| > 4 とする。即ち D = -3, -4 を除外する。
C(D) (
>>605 ) の代表系を f_1, . . . , f_h とする。
ただし、各 f_i の第一係数は 2D と素とする。
このように取れることは、
>>824 で示してある。
>>789 より
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = (Σ1/n^s)(Σ(D/n)/n^s)
左辺の各和の (x, y) は S(f_i)/U(f_i) の代表系を動く。
右辺の各和の n は D と素な正の奇数全体を動く。
(D/n) は Jacobi の記号である。
この等式の両辺に (s - 1) を掛けて s → 1+0 のときの lim を取れば、
>>916 より
hπN(Δ)/(Δ^2)√|D| = lim (s - 1)(Σ1/n^s)(Σ(D/n)/n^s)
ここで h = |C(D)| である。
918 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 11:49:49
>>917 の続き
s → 1+0 のとき
lim (s - 1)(Σ1/n^s) = φ(Δ)/Δ
lim Σ(D/n)/n^s = Σ(D/n)/n
となることを後で示す。
ここで、
D ≡ 0 (mod 4) のとき Δ = |D|/2
D ≡ 1 (mod 4) のとき Δ = 2|D|
である(
>>849 )。
よって
>>917 より
hπN(Δ)/(Δ^2)√|D| = φ(Δ)/ΔΣ(D/n)/n
>>839 より D ≡ 0 (mod 4) のとき N(Δ) = Δφ(Δ)
よって hπ/√|D| = Σ(D/n)/n
>>844 より
D ≡ 1 (mod 8) のとき N(Δ) = (Δ/2)φ(Δ/2) = (Δ/2)φ(Δ)
よって hπ/2√|D| = Σ(D/n)/n
>>845 より D ≡ 5 (mod 8) のとき
N(Δ) = 3|D|φ(|D|) = (3/2)Δφ(Δ/2) = (3/2)Δφ(Δ)
よって h3π/2√|D| = Σ(D/n)/n
919 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 13:22:08
命題 a > 0, b > 0 を実数とする。 S = Σ1/(b + na)^s = 1/b^s + 1/(b + a)^s + 1/(b + 2a)^s + . . . は s > 1 のとき収束し、 s → 1+0 のとき lim (s-1)S = 1/a となる。 証明 ∫[b, ∞] (1/x^s) dx = 1/(s-1)b^(s-1) これは x 軸と直線 x = b および曲線 y = 1/x^s で囲まれる区域の 面積である。 b + na ≦ x ≦ b + (n+1)a のとき 1/(b + (n+1)a)^s ≦ 1/x^s ≦ 1/(b + na)^s a/(b+(n+1)a)^s ≦∫[b+na, b+(n+1)a] (1/x^s) dx ≦ a/(b+na)^s この各項を n を 0 から ∞ まで変化させて加えると Σa/(b + (n+1)a)^s ≦ ∫[b, ∞] (1/x^s) dx ≦ Σa/(b + na)^s よって Σa/(b + (n+1)a)^s ≦ 1/(s-1)b^(s-1) ≦ Σa/(b + na)^s Σa/(b + (n+1)a)^s ≦ 1/(s-1)b^(s-1) の両辺に a/b^s を加えると aS ≦ a/b^s + 1/(s-1)b^(s-1) よって S は s > 1 のとき収束する。 1/(s-1)b^(s-1) ≦ Σa/(b + na)^s より 1/(s-1)b^(s-1) ≦ aS 以上から 1/(s-1)b^(s-1) ≦ aS ≦ a/b^s + 1/(s-1)b^(s-1) この各項に (s-1)/a を掛けて 1/ab^(s-1) ≦ (s-1)S ≦ (s-1)/b^s + 1/ab^(s-1) よって s → 1+0 のとき 1/a ≦ lim (s-1)S ≦ 1/a 即ち lim (s-1)S = 1/a 証明終
920 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 14:23:12
命題
r > 0 を有理整数として級数 S = Σ1/n^s を考える。
ここで n は r と素な正の有理整数全体を動く。
これは s > 1 のとき収束し、
s → 1+0 のとき lim (s-1)S = φ(r)/r となる。
証明
b を有理整数で r と素で 1 ≦ b < r とする。
>>919 より
S(b) = 1/b^s + 1/(b + r)^s + 1/(b + 2r)^s + . . .
は s > 1 のとき収束し、
s → 1+0 のとき lim (s-1)S(b) = 1/r となる。
S = ΣS(b) である。
b の個数は φ(r) だから
s → 1+0 のとき lim (s-1)S = φ(r)/r となる。
証明終
921 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 14:32:34
>>920 より
>>918 の lim (s - 1)(Σ1/n^s) = φ(Δ)/Δ が証明された。
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
U
V
W
X
Y
Z
948 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 15:50:40
命題
Σa_n/n^s を Dirichlet 級数(
>>795 )とする。
s は実変数とする。
数列 (a_n) が有界なら Σa_n/n^s は s > 1 において絶対収束する。
さらに任意の δ > 0 に対して [1 + δ, ∞] において一様収束する。
証明
数列 (a_n) が有界だから C > 0 があり、
|a_n| ≦ C が任意の n で成り立つ。
よっって |a_n/n^s| ≦ C/n^s
Σ1/n^s は s > 1 のとき収束する。
これはよく知られているが Σ1/n^s は
>>919 において a = 1, b = 1 と
おいた級数だから
>>919 からも分かる。
よって Σa_n/n^s は s > 1 のとき絶対収束する。
任意の δ > 0 に対して s ≧ 1 + δ のとき
|a_n/n^s| ≦ C/n^s ≦ C/n^(1 + δ)
ΣC/n^(1 + δ) は収束するから、Σa_n/n^s は
[1 + δ, ∞] において一様収束する。
証明終
949 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 16:24:42
補題(Abel の補題) 数列 (a_n) と (b_n) があるとする。 s_n = a_1 + a_2 + . . . + a_n とおく。 n ≦ m のとき S(n, m) = a_nb_n + a_(n+1)b_(n+1) + . . . + a_mb_m とおく。 このとき S(n, m) = s_n(b_n - b_(n+1)) + . . . + s_(m-1)(b_(m-1) - b_m) - s_(n-1)b_n + s_mb_m となる。 証明 S(n, m) = (s_n - s_(n-1))b_n + (s_(n+1) - s_n)b_(n+1) + . . . + (s_m - s_(m-1))b_m これを変形すればよい。 証明終
950 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 16:51:45
命題
Σa_n/n^s を Dirichlet 級数(
>>795 )とする。
s は実変数とする。
s_n = a_1 + a_2 + . . . + a_n とおく。
数列 (s_n) が有界なら Σa_n/n^s は s > 0 において収束する。
さらに任意の δ > 0 に対して [δ, ∞] において一様収束する。
証明
数列 (s_n) が有界だから C > 0 があり、
|s_n| ≦ C が任意の n で成り立つ。
n ≦ m のとき
S(n, m) = a_n/n^s + a_(n+1)/(n+1)^s + . . . + a_m/m^s とおく。
>>948 より
S(n, m) = s_n(1/n^s - 1/(n+1)^s) + ... + s_(m-1)(1/(m-1)^s - 1/m^s)
- s_(n-1)/n^s + s_m/m^s
s ≧ δ のとき
|S(n, m)| ≦ C(1/n^s - 1/m^s) + C/n^s + C/m^s = 2C/n^s ≦ 2C/n^δ
2C/n^δ は n を十分大きくすればいくらでも小さくなる。
よって Σa_n/n^s は [δ, ∞] において一様収束する。
証明終
951 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 17:13:36
N > 0 を有理整数とする。 C を複素数体とする。 群 (Z/NZ)^* から C^* への準同型を mod N の Dirichlet 指標という。 χ を mod N の Dirichlet 指標としたとき次のように χ を Z から C^* への 関数とみなす。 n と N が素のとき χ(n) = χ([n]) n と N が素でないとき χ(n) = 0
952 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 17:18:30
N > 0 を有理整数とする。 χ を mod N の Dirichlet 指標とする。 Dirichlet 級数 L(s, χ) = Σχ(n)/n^s を χ の L 関数という。
953 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 17:51:09
G を有限アーベル群とする。 C を複素数体とする。 G から C^* への準同型を G の指標という。 G の指標全体 Hom(G, C^*) はアーベル群となる。
954 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 17:58:24
命題
G を有限アーベル群とする。
χ ≠ 1 を G の指標(
>>953 )とする。
Σχ(g) = 0 である。
ここで、g は G の元全体を動く。
証明
χ ≠ 1 だから χ(a) ≠ 1 となる a ∈ G がある。
g が G の元全体を動くとき ag も G の元全体を動く。
従って、Σχ(ag) = Σχ(g) である。
一方
Σχ(ag) = Σχ(a)χ(g) = χ(a)Σχ(g)
よって χ(a)Σχ(g) = Σχ(g)
(χ(a) - 1)Σχ(g) = 0
χ(a) - 1 ≠ 0 だから Σχ(g) = 0 である。
証明終
umeking
桃王
櫻姫
1
0
960 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 19:19:49
補題
m > 0 を有理整数とする。
χ ≠ 1 を mod m の Dirichlet 指標(>951)とする。
任意の有理整数 n > 0 に対して
|χ(1) + χ(2) + . . . + χ(n)| ≦ φ(m) である。
証明
>>954 より
χ(1) + χ(2) + . . . + χ(m) = 0
χ(m + 1) + χ(m + 2) + . . . + χ(2m) = 0
χ(2m + 1) + χ(2m + 2) + . . . + χ(3m) = 0
. . .
よって
任意の有理整数 n > 0 に対して
n = mq + r, 0 ≦ r < m とすれば
χ(1) + χ(2) + . . . + χ(n)
= χ(qm + 1) + χ(qm + 2) + . . . + χ(qm + r)
よって
|χ(1) + χ(2) + . . . + χ(n)|
= |χ(qm + 1) + χ(qm + 2) + . . . + χ(qm + r)| ≦ φ(m)
証明終
0
962 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 19:24:08
命題
m > 0 を有理整数とする。
χ ≠ 1 を mod m の Dirichlet 指標(>951)とする。
L(s, χ) = Σχ(n)/n^s は
任意の δ > 0 に対して [δ, ∞] において一様収束する。
証明
>>950 と
>>960 より明らかである。
0
-1
-2
-3
-4
-5
-6
-7
-8
972 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 21:55:32
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
>>564 より n が D と素な正の奇数のとき χ(n) = (D/n) である。
級数 Σ'(D/n)/n^s と L(s, χ) = Σχ(n)/n^s の関係を調べよう。
ここで Σ'(D/n)/n^s の n は D と素な正の奇数全体を動く。
D ≡ 0 (mod 4) のときは L(s, χ) = Σχ(n)/n^s において
n が偶数のときは χ(n) = 0 であるから
L(s, χ) = Σ'(D/n)/n^s である。
よって D ≡ 1 (mod 4) と仮定する。
>>948 より s > 1 のとき L(s, χ) は絶対収束する。
よって和の順序を変えてもよいから
L(s, χ) = Σ'χ(n)/n^s + Σχ(2n)/(2n)^s
ここで Σ'χ(n)/n^s の n は D と素な正の奇数全体を動き、
Σχ(2n)/(2n)^s の n は n ≧ 1 となる有理整数全体を動く。
n が D と素な正の奇数のとき χ(n) = (D/n) だから
Σ'χ(n)/n^s = Σ'(D/n)/n^s である。
Σχ(2n)/(2n)^s = Σχ(2)χ(n)/(2n)^s = (χ(2)/2^s)Σχ(n)/n^s
= (χ(2)/2^s)L(s, χ)
よって s > 1 のとき
L(s, χ) = Σ'(D/n)/n^s + (χ(2)/2^s)L(s, χ)
(続く)
973 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 21:56:21
>>962 より L(s, χ) は s > 0 のとき連続である。
同様に Σ'(D/n)/n^s も s > 0 のとき連続である。
よって s → 1 + 0 のとき lim L(s, χ) = L(1, χ) および
lim Σ'(D/n)/n^s = Σ'(D/n)/n
となる。
よって
L(1, χ) = Σ'(D/n)/n + (χ(2)/2)L(1, χ)
よって
Σ'(D/n)/n = (1 - χ(2)/2)L(1, χ)
>>567 より
D ≡ 1 (mod 8) のとき χ(2) = 1
D ≡ 5 (mod 8) のとき χ(2) = -1
よって
D ≡ 1 (mod 8) のとき Σ'(D/n)/n = (1/2)L(1, χ)
D ≡ 5 (mod 8) のとき Σ'(D/n)/n = (3/2)L(1, χ)
974 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 22:09:52
D < 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
さらに |D| > 4 とする。即ち D = -3, -4 を除外する。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を
>>564 の準同型とする。
>>918 と
>>973 より
D ≡ 0 (mod 4) のとき
hπ/√|D| = L(1, χ)
D ≡ 1 (mod 8) のとき
hπ/2√|D| = (1/2)L(1, χ)
よって
hπ/√|D| = L(1, χ)
D ≡ 5 (mod 8) のとき
h3π/2√|D| = (3/2)L(1, χ)
よって
hπ/√|D| = L(1, χ)
すなわち、上記の三つの場合共通に h = ((√|D|)/π)L(1, χ)
975 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 22:31:12
>>974 の公式は高木の初等整数論講義の結果(p.372, p.377)と
同じである。
しかし、これは自明ではない。
何故なら、高木の初等整数論講義では、判別式 D が2次体 Q(√D) の
判別式と一致する場合のみを扱っているが、我々の場合、判別式 D は
Q(√D) の判別式とは限らないからである。
一般の判別式を扱っているため、我々(即ち Dirichlet) の証明は
高木と較べてかなり長いものになっている。
-5
-6
-7
-8
-9
-10
なんでこんな2ちゃんのやり方わかってない奴が2ちゃんに拘ってんだろ 自分のサイトでやりゃいいのに
983 :
132人目の素数さん :2007/07/26(木) 00:35:22
>>982 >なんでこんな2ちゃんのやり方わかってない奴が
そうかそうか、あんたは2chに詳しいんだ。
偉いねw
>自分のサイトでやりゃいいのに
2chのほうが見る人間が多いからだろ。
詳しくなくても新スレ立てたら誘導ぐらいするだろ
985 :
132人目の素数さん :2007/07/26(木) 00:48:01
なんだ、そんなことで拗ねてんのかw
他にもあるのに言われずにきずくことの出来ないクメル
百三十二日。
何か築きたかったんじゃねーの?
まだきずかないクメル
百三十三日一時間。
992 :
132人目の素数さん :2007/07/27(金) 10:04:03
百三十四日。
百三十五日一時間四十四分。
百三十六日。
百三十七日二時間。
百三十八日。