〔トレミーの不等式(2D)〕
AB・CD + AD・BC ≧ AC・BD.
(略証1)
ABCDは凸4角形とする(*)。
まず点Eを ∠BAE=∠CAD, ∠ABE=∠ACD となるようにとれば
△ABE ∝ △ACD となるから, AB/BE = AC/CD, すなわち
AB・CD = AC・BE. …… (3)
また、AD/AE = AC/AB, ∠DAE = ∠CAB であるから, △ADE ∝ △ACB, よって
AD/ED = AC/BC, すなわち
AD・BC = AC・ED. …… (4)
こうして得られた (3) と (4) を辺々加えれば
AB・CD + AD・BC = AC・(BE+ED) ≧ AC・BD.
ここで等号が成り立つのは, 点Eが対角線BD上にある場合である。
ところがその場合には ∠ABD = ∠ACD となるから4角形ABCDは円に内接することがわかる。
(*) 点Dが△ABCの内部にあるとき: 点Dを直線ACのまわりの180゚回転により、(ACに関してBと反対側の)点D'に移す。
ABCD'は凸4角形で、AD'=AD, BD'>BD, CD'=CD.
矢野健太郎: 「幾何のおもしろい定理」 数学ワンポイント双書36, 共立出版 (1981) p.47-48
〔トレミーの不等式(2D)〕
AB・CD + AD・BC ≧ AC・BD.
(略証2)
複素数平面を考え、頂点 A,B,C,D に対応する複素数を a,b,c,d とする。
(b-a)(d-c) + (d-a)(c-b) = (c-a)(d-b).
という恒等式が成り立つので、各項の絶対値をとる.(終)
「数学100の定理」 数セミ増刊 (1983.10) p.16
栗田 稔: 「トレミーの定理」