1 :
132人目の素数さん :
2006/02/27(月) 14:44:48
2 :
9208 ◆lJJjsLsZzw :2006/02/27(月) 15:42:27
9208 #ore とりあえず、新スレ作成のお礼を言っておく。 有難う。 代数的整数論というより可換環論みたいになってきているが、 まだ準備段階だし、いずれ本格的に代数体の整数論をやるので 心配なく。
3 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/02/27(月) 15:45:20
ありゃ、IDのパスワードを書いちゃったw 今度からこれにするのでよろしく。
4 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/02/27(月) 18:23:21
命題 A をネーター局所環とし、M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 x_1, ... x_r を M-切断列(前スレ2の967)とすると r ≦ dim(M) である。 証明 定義より、dim(M/x_1M + ... + x_rM) = dim(M) - r である。 M/(x_1M + ... + x_rM) = 0 とすると 中山の補題(前スレ1の242)より M = 0 となり仮定に反する。 よって、M/(x_1M + ... + x_rM) ≠ 0 だから、 dim(M/x_1M + ... + x_rM) ≧ 0 である(零加群の次元は -∞と定める)。 よって、r ≦ dim(M) である。 証明終
5 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/02/28(火) 19:51:44
命題 A をネーター環とし、M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 dim(M) = 0 と M の長さが有限なことは同値である。 証明 dim(M) の定義(前スレ2の943)より、dim(M) = dim(A/Ann(M)) である。 一方、前スレ1の161より、Supp(M) = V(Ann(M)) である。 よって、dim(M) = 0 は Supp(M) の元がすべて極大イデアルである ことと同値である。 前スレ1の99より Ass(M) ⊂ Supp(M) となる。 よって、Supp(M) の元がすべて極大イデアルであるなら、 Ass(M) の元もすべて極大である。 よって、 前スレ1の345より M は長さ有限である。 逆に M が長さ有限とすると、前スレ1の344より Supp(M) の元はすべて極大イデアルである。 証明終
6 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/02(木) 10:44:46
命題
A をネーター環とし、M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
x_1, ... x_r を rad(A) の元の列とする。
leng(M/(x_1M + ... + x_rM)) が有限なら dim(M) ≧ r となる。
証明
前スレ2の973より
dim(M/(x_1M + ... + x_rM)) ≧ dim(M) - r となる。
一方、
>>5 より、dim(M/(x_1M + ... + x_rM)) = 0 である。
よって、dim(M) ≧ r である。
証明終
7 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/02(木) 10:48:21
>>6 の訂正
>leng(M/(x_1M + ... + x_rM)) が有限なら dim(M) ≧ r となる。
leng(M/(x_1M + ... + x_rM)) が有限なら dim(M) ≦ r となる。
>よって、dim(M) ≧ r である。
よって、dim(M) ≦ r である。
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
S = {x_1, ..., x_r} を M-切断列(前スレ2の974)とする。
このとき S を含む M-切断列 で包含関係で極大なものが存在する。
証明
>>4 より、r ≦ dim(M) である。
これより明らか。
証明終
前スレ2の967の補足 A をネーター局所環とし、M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 dim(M) = 0 のとき、空集合を M-切断列 と考える。
>>9 の訂正
>A をネーター局所環とし、M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
>dim(M) = 0 のとき、空集合を M-切断列 と考える。
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
m の部分集合 S が空集合のとき、SM = 0 と定義する。
よって、空集合も M-切断列 と考える。
補題 A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、 M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 B = A/Ann(M) とおく。 S を m の有限部分集合とする。 S が M-切断列(前スレ2の974)であることと、 S が B-切断列であることとは同値である。 証明 S で生成される A のイデアルを I とする。 前スレ2の966より dim(M/SM) = dim(A/(Ann(M) + I)) である。 一方、A/(Ann(M) + I) = B/SB である。 これより、本補題の主張は明らか。 証明終
補題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
dim(M) ≧ 1 なら 1個の元からなる M-切断列が存在する。
証明
I = Ann(M)、B = A/I とおく。
dim(M) = dim(B) である。
前スレ2の971より
x ∈ m で dim(B/xB) = dim(B) - 1 となるものが存在する。
よって、x は B-切断列である。
よって、
>>11 より、x は M-切断列でもある。
証明終
廃墟
14 :
なんだって〜〜〜 :2006/03/02(木) 17:52:41
>>2-3 2 :9208 ◆lJJjsLsZzw :2006/02/27(月) 15:42:27
9208 #ore
3 :9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/02/27(月) 15:45:20
ありゃ、IDのパスワードを書いちゃったw
今度からこれにするのでよろしく。
15 :
132人目の素数さん :2006/03/02(木) 18:25:48
ななななな
16 :
132人目の素数さん :2006/03/02(木) 19:17:20
前スレ1000に感動
命題 A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、 M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 Supp(M) の元 p で dim(M) = dim(A/p) となるものは、 Supp(M) の極小元であるから有限個である。 これ等を p_1, ..., p_r とする。 m の元 x が M-切断列となるためには x がどの p_i にも含まれないことが必要十分である。 証明 I = Ann(M) とおく。 m の元 x がどの p_i にも含まれないとする。 仮定より、dim(A/(I + xA)) < dim(A/I) となる。 前スレ2の966より dim(M/xM) = dim(A/(I + xA)) である。 よって、dim(M/xM) < dim(M) となる。 一方、前スレ2の973 より dim(M/xM) ≧ dim(M) - 1 である。 よって、dim(M/xM) = dim(M) - 1 となる。 よって、x はM-切断列である。 逆に、m の元 x が dim(M/xM) = dim(M) - 1 を満たすとする。 dim(A/(I + xA)) < dim(A/I) となる。 これは、x がどの p_i にも含まれないことを意味する。 証明終
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
m の元 x が M-正則(前スレ1の179)ならM-切断列である。
証明
前スレ1の180より、x は Ass(M) のどの元にも含まれない。
前スレ1の166より、Ass(M) と Supp(M) のそれぞれの極小元の集合は
一致する。よって、x は Supp(M) のどの極小元にも含まれない。
よって、
>>17 より x はM-切断列である。
証明終
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
M-切断列 S で |S| = dim(M) となるものが存在する。
証明
dim(M) に関する帰納法を使う。
dim(M) = 0 のときは、
>>10 より空集合がM-切断列である。
dim(M) ≧ 1 とする。
>>12 より m の元 x でM-切断列となるものが
存在する。dim(M/xM) = dim(M) - 1 だから、帰納法の仮定より、
(M/xM)-切断列 T があり、|T| = dim(M) - 1 である。
前スレ2の976より、S = {x} ∪ T は M-切断列 であり、
|S| = dim(M) である。
証明終
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
S を m の有限部分集合とすると以下の条件は同値である。
1) S は極大なM-切断列である。
2) S はM-切断列で、|S| = dim(M) である。
3) leng(M/SM) < ∞ で |S| = dim(M) である。
4) S はM-切断列で、leng(M/SM) < ∞ である。
証明
1) ⇒ 2)
dim(M/SM) > 0 とすると、
>>12 より x ∈ m で (M/SM)-切断列と
なるものが存在する。
前スレ2の976より、T = {x} ∪ S は M-切断列 であり、S の極大性に反する。
よって、dim(M/SM) = 0 である。S は M-切断列 だから、
dim(M/SM) = dim(M) - |S| である。よって |S| = dim(M) である。
2) ⇒ 3)
S が M-切断列 なら dim(M/SM) = dim(M) - |S| である
よって |S| = dim(M) なら、dim(M/SM) = 0 である。
>>5 より leng(M/SM) < ∞ である。
3) ⇒ 4)
leng(M/SM) < ∞ なら
>>5 より dim(M/SM) = 0 である。
よって |S| = dim(M) なら、dim(M/SM) = dim(M) - |S| となり、
S はM-切断列である。
4) ⇒ 1)
S が極大でないとする。S を含む M-切断列 T で S ≠ T となるものが
ある。前スレ2の976より T - S は (M/SM)-切断列である。
>>4 より、
dim(M/SM) ≧ |T - S| ≧ 1 となり、leng(M/SM) < ∞ に矛盾する。
証明終
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
m の元の列 x_1, ..., x_r が M-正則列(前スレ2の941)なら
M-切断列である。
証明
r に関する帰納法を使う。
r = 1 のときは、
>>18 で証明されている。
r > 1 とし、x_1, ..., x_(r-1) は M-切断列 とする。
M-正則列の定義(前スレ2の941)より、
x_r は M/(x_1M + ... x_(i-1)M) に関して正則である。
よって、
>>18 より、x_r は M/(x_1M + ... x_(i-1)M) の切断列である。
よって、前スレ2の976より、x_1, ..., x_r はM-切断列である。
証明終
定義 A をネーター局所環とし、M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 極大な M-切断列を M のパラメータ系(system of parameters)と言う。
23 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/07(火) 16:05:52
局所環の深さ(depth)は、Auslander-Buchsbaum により可換代数への ホモロジー代数の応用という立場から、1956年の論文で定義された。 意外なことに最初彼等は、深さの定義に使われる 極大正則列の長さが一定であるという基本的事実の証明に完備局所環の 構造定理を使用するというやや強引な方法を使った。 理由は、当時彼等がその証明しか知らなかったため。 ただし、翌年の論文ではKoszul複体を使ったより簡単な証明を 紹介している。 ここでは、Ext関手を使った証明をする。 ホモロジー代数の基礎については既知と仮定する。 ホモロジー代数の入門書については Cartan-Eilenberg が今でもベスト だろうが、ここで使う程度なら河田でも間に合うし、松村の可換環論の 付録でもいい。 ただし、ホモロジー代数は類体論でも使われるので、 後でその基礎を述べるかも知れない。
24 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/08(水) 16:33:46
補題 A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、 M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 m ∈ Ass(M) であるためには m のすべての元が M に関して非正則 (前スレ1の179)であることが必要十分である。 証明 m ∈ Ass(M) なら、 前スレ1の89より m のすべての元が M に関して非正則である。 逆に、m のすべての元が M に関して非正則とする。 Ass(M) = {p_1, ..., p_r} とする。 前スレ1の180より m ⊂ p_1∪...∪p_r となる。 前スレ1の579より m ⊂ p_i となる i がある。 m は極大だから m = p_i である。よって、m ∈ Ass(M) である。 証明
25 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/09(木) 10:06:51
補題 A をネーター環とし、m をその極大イデアル、 M を有限生成 A-加群とする。 m ∈ Ass(M) であるためには、Hom(A/m,M) ≠ 0 であることが 必要十分である。 証明 前スレ1の93より、m ∈ Ass(M) であるためには A-加群としての単射 A/m → M が存在することが必要十分である。 m は極大イデアルだから、これは Hom(A/m,M) ≠ 0 と同値である。 証明終
26 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/09(木) 11:25:03
補題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
m のすべての元が M に関して非正則(前スレ1の179)であるためには
Hom(A/m,M) ≠ 0 であることが必要十分である。
証明
>>24 と
>>25 より。
証明終
27 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/09(木) 11:49:21
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、 M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 特に断らない限り、M-正則列(前スレ2の941)は m の元から なるものとする。
28 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/09(木) 11:51:40
定義 Aを環とし、MをA-加群とする。 A の元の列 x_1, ..., x_r が M-正則列 であるとき、 r をこの M-正則列 の長さと呼ぶ。
29 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/09(木) 12:34:04
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
k = A/m とおく。
n > 0 を整数とし、0 ≦ i ≦ n - 1 のとき Ext^i(k, M) = 0
であれば、長さ(
>>28 ) n の M-正則列が存在する。
証明
n に関する帰納法を使う。
Ext^0(k, M) = Hom(k, M) だから、n = 1 のときは、
>>26 で証明されている。
よって n ≧ 2 と仮定する。
Hom(k, M) = 0 だから、
>>26 より x ∈ m で M-正則なものがある。
x による乗法で定義される射: M → M を考える。
x は M-正則だから次の完全列が得られる。
0 → M → M → M/xM → 0
これから次の完全列が得られる。
Ext^i(k, M) → Ext^i(k, M/xM) → Ext^(i+1)(k, M)
ここで、i は任意の整数 i ≧ 0 である。
仮定より、0 ≦ i ≦ n - 1 のとき Ext^i(k, M) = 0 だから、
0 ≦ i ≦ n - 2 のとき Ext^i(k, M/xM) = 0 である。
帰納法の仮定を M/xM に適用すれば、長さ n - 1 の (M/xM)-正則列
x_2, ..., x_n が存在する。
よって、x, x_2, ..., x_n は M-正則列となり、長さは n である。
証明終
30 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/09(木) 16:10:57
補題 A を環とし、N, M を A-加群とする。 x を A の元とし xN = 0 とする。 i ≧ 0 を任意の整数とすると、x(Ext^i(N, M)) = 0 となる。 証明 I を任意の A-加群とし、f: N → I を A-加群の射とする。 t を I の任意の元とすると、仮定より xt = 0 だから、 xf(t) = f(xt) = 0 である。 よって、x(Hom(N, I)) = 0 である。 M の任意の単射的分解(injective resolution) を 0 → M → I^0 → I^1 → ... とすれば、Ext^i(N, M) = H^i(Hom(N, I^*)) である。 ここで、I^* は複体 (I^n), n = 0, 1, ... を表す。 上で述べたことより、x(Hom(N, I^i)) = 0 だから、 x(Ext^i(N, M)) = 0 となる。 証明終
このスレ 〜〜〜終了〜〜〜
32 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/14(火) 16:58:13
補題 A を環とし、N, M を A-加群とする。 x を A の元とし x による乗法で定義される射 M → M を x_M と書く。 p ≧ 0 を任意の整数とする。 x_M により誘導される射 Ext^p(N, M) → Ext^p(N, M) は x による乗法で定義される射 Ext^p(N, M) → Ext^(N, M) と一致する。 証明 N の射影的分解(projective resolution) による Ext^p(N, M) の 定義を考えれば明らか。 証明終
33 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/14(火) 17:11:33
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
k = A/m とおく。
長さ(
>>28 ) n の M-正則列が存在するとするなら、
p ≦ n - 1 のとき Ext^p(k, M) = 0 となる。
証明
x_1, ..., x_n を M-正則列とする。
x_1 による乗法で定義される射: M → M を考える。
x_1 は M-正則だから次の完全列が得られる。
0 → M → M → M/(x_1)M → 0
これから次の完全列が得られる。
Ext^(p-1)(k, M/(x_1)M) → Ext^p(k, M) → Ext^p(k, M)
M/(x_1)M は長さ n - 1 の正則列をもつから、
帰納法の仮定より、p ≦ n - 1 のとき Ext^(p-1)(k, M/(x_1)M) = 0 である。
即ち、p ≦ n - 1 のとき次の完全列が得られる。
0 → Ext^p(k, M) → Ext^p(k, M)
>>32 より、Ext^p(k, M) → Ext^p(k, M) は x_1 による乗法である。
一方、k は A-加群として、m の元で零化される。特に (x_1)k= 0 である。
よって、
>>30 より (x_1)(Ext^p(k, M)) = 0 である。
よって、Ext^p(k, M) = 0 である。
証明終
34 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/14(火) 17:23:25
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
任意の M-正則列の長さは dim(M) 以下である。
証明
>>21 より、M-正則列は M-切断列である。
>>4 より この長さは dim(M) 以下である。
証明終
35 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/14(火) 18:29:46
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
k = A/m とおく。
極大な M-正則列の長さは正則列の取り方によらず一定である。
この長さは inf{p; Ext^p(k, M) ≠ 0} に等しい。
証明
>>34 から M-正則列の長さは dim(M) 以下である。
よって、
>>29 より Ext^p(k, M) ≠ 0 となる 整数 p ≧ 0 が
存在する。よって、n = inf{p; Ext^(k, M) ≠ 0} とおけば、
n は有限である。
>>29 と
>>33 より極大な M-正則列の長さは
n である。
証明終
( ^ω^)「ネーター」なのか「ネター」なのか?両方見かけるお
( ^ω^)ごめんだお
>>39 レスアンカーのつけ方を会得したほうがよいだろう?
逝って良し
【積年の】旦那にしてる密かな仕返し【恨みじゃー】
http://human5.2ch.net/test/read.cgi/ms/1141694640/ 8 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2006/03/07(火) 11:05:23 ID:8dtluKkp
夫の歯ブラシで洗面所の排水溝掃除。
洗面所をビショビショに汚した罰だ。
20 名前:可愛い奥様[age] 投稿日:2006/03/08(水) 00:40:17 ID:pRrk6A21
前に頭きた時あって
1度だけ歯ブラシで肛門カキカキしちゃった
22 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2006/03/08(水) 01:27:12 ID:gU5mHc7J
よかった。どこのお宅も同じようなことしてて。
24 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2006/03/08(水) 01:36:35 ID:SSSFsTqE
そうそう、ヘンなモノはダンナのお皿へ直行だよね。
41 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2006/03/08(水) 11:55:18 ID:sjj+/60Q
見てるだけで気が晴れるな!
皆さん、頑張ってね!
42 名前:可愛い奥様[sage] 投稿日:2006/03/08(水) 20:33:51 ID:Ju2N1s7+
年金分割が楽しみじゃのう
63 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2006/03/10(金) 08:55:20 ID:qLfJYpJR
家族で密かにはぶっている。
男性は肉体が汚く、精神が美しい傾向がある。(気に入らない相手に肉体的攻撃を加える⇒精神的攻撃も加える男は猛者)
女は肉体が美しく、精神が汚い傾向がある。(気に入らない相手に精神的攻撃を加える⇒肉体的攻撃も加える女は猛者)
女は隠れて悪事をする。気に入らない女子を便所でボコったり、便器舐めさせたり、男の友人を使ってレイプ、仲間外れにしたり。陰口、嫉妬。
女は対人関係において、この汚い性格を隠そうとするため、外面が非常によくなる。(猫かぶり)
男性諸君は外面に騙されないように気を付けて下さい。
46 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/15(水) 11:01:35
>>35 を参考にして以下の定義をする。
定義
A を環、M を A-加群、I を A のイデアルとする。
inf {p; Ext^p(A/I, M) ≠ 0} を M の I に関する深さ(depth) と呼び
depth(I, M) と書く。
任意の整数 p ≧ 0 に対して Ext^p(A/I, M) = 0 のときは
depth(I, M) = ∞ とする。
A が局所環で m がその極大イデアルのとき、depth(m, M) を
単に depth(M) と書く。
47 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/15(水) 16:16:56
命題
A を環、M を A-加群、I を A のイデアルとする。
x を I の元で M-正則とする。
depth(I, M) が有限なら、depth(I, M/xM) = depth(I, M) - 1 となる。
証明
depth(I, M) = n とおく。
x による乗法により次の完全列が得られる。
0 → M → M → M/xM → 0
これから次の完全列が得られる。
Ext^(p-1)(A/I, M) → Ext^(p-1)(A/I, M/xM) → Ext^p(A/I, M)
depth(I, M) の定義(
>>46 )より
p ≦ n - 1 のとき Ext^(p-1)(A/I, M) = 0 だから
0 → Ext^(p-1)(A/I, M/xM) → 0
が完全となり、Ext^(p-1)(A/I, M/xM) = 0 となる。
p = n のときは、Ext^(n-1)(A/I, M) = 0 だから次の完全列が得られる。
0 → Ext^(n-1)(A/I, M/xM) → Ext^n(A/I, M) → Ext^n(A/I, M)
>>32 より Ext^n(A/I, M) → Ext^n(A/I, M) は x による乗法で
引き起こされ、
>>30 より xExt^n(A/I, M) = 0 だから、
Ext^(n-1)(A/I, M/xM) → Ext^n(A/I, M) は同型である。
よって Ext^n(A/I, M) ≠ 0 だから Ext^(n-1)(A/I, M/xM) ≠ 0 である。
よって、depth(I, M/xM) = n - 1 である。
証明終
48 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/15(水) 17:55:58
命題
A を環、M を A-加群、I を A のイデアルとする。
I の元の列 x_1, ..., x_r が M-正則列(前スレ2の941)で
depth(I, M) が有限なら
depth(I, M) = depth(I, M/(x_1M + ... + x_rM)) + r となる。
証明
r に関する帰納法を使う。
r = 1 のときは
>>47 で証明されている。
r > 1 とする。
N = M/x_1M とおく。
>>47 より depth(I, N) = depth(I, M) - 1 だから、
depth(I, N) は有限である。
x_2, ..., x_r は N-正則列だから、帰納法の仮定より、
depth(I, N) = depth(I, N/(x_2N + ... + x_rN)) + r - 1 となる。
depth(I, N) = depth(I, M) - 1 であり、
N/(x_2N + ... + x_rN) = M/(x_1M + ... + x_rM) であるから、
depth(I, M) - 1 = depth(I, M/(x_1M + ... + x_rM)) + r - 1 となる。
よって、depth(I, M) = depth(I, M/(x_1M + ... + x_rM)) + r となる。
証明終
49 :
中川秀泰 :2006/03/15(水) 18:03:40
呼んでねーよターーコ
50 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/15(水) 18:12:11
命題
A を環、M を A-加群、I を A のイデアルとする。
I の元の列 x_1, ..., x_r が M-正則列(前スレ2の941)なら、
r ≦ depth(I, M) である。
証明
depth(I, M) = ∞ なら明らか。
depth(I, M) < ∞ なら
>>48 より
depth(I, M) = depth(I, M/(x_1M + ... + x_rM)) + r となる。
depth(I, M/(x_1M + ... + x_rM)) ≧ 0 だから
depth(I, M) ≧ r である。
証明終
51 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/16(木) 16:41:19
補題 A をネーター環とし、I をそのイデアル、 M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 Hom(A/I,M) = 0 なら I は M-正則な元を含む。 証明 I の元がすべて M-非正則であると仮定する。 M ≠ 0 だから Ass(M) は空でない。 Ass(M) = {p_1, ..., p_r} とすると、 前スレ1の180より I ⊂ p_1∪...∪p_r となる。 よって、前スレ1の579より I ⊂ p_i となる i がある。 p_i ∈ Ass(M) だから M の元 x ≠ 0 で (p_i)x = 0 となるものがある。 よって Ix = 0 だから、Hom(A/I, M) ≠ 0 である。 これは仮定に反する。 証明終
52 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/16(木) 16:44:25
命題
A を環とし、I をその極大イデアル、
M を有限生成 A-加群とする。
M ≠ IM とする。
n > 0 を整数とし、0 ≦ i ≦ n - 1 のとき Ext^i(A/I, M) = 0
であれば、I の元からなる長さ(
>>28 ) n の M-正則列が存在する。
証明
n に関する帰納法を使う。 M ≠ IM だから M ≠ 0 であり、
Ext^0(A/I, M) = Hom(A/I, M) だから、n = 1 のときは、
>>51 で証明されている。
よって n ≧ 2 と仮定する。
Hom(A/I, M) = 0 だから、
>>51 より x ∈ I で M-正則なものがある。
x による乗法で定義される射: M → M を考える。
x は M-正則だから次の完全列が得られる。
0 → M → M → M/xM → 0
これから次の完全列が得られる。
Ext^i(A/I, M) → Ext^i(A/I, M/xM) → Ext^(i+1)(A/I, M)
ここで、i は任意の整数 i ≧ 0 である。
仮定より、0 ≦ i ≦ n - 1 のとき Ext^i(A/I, M) = 0 だから、
0 ≦ i ≦ n - 2 のとき Ext^i(A/I, M/xM) = 0 である。
N = M/xM とおけば IN = (IM + xM)/xM = IM/xM である。
よって N ≠ IN である。
帰納法の仮定を M/xM に適用すれば、I の元からなる長さ n - 1 の
(M/xM)-正則列 x_2, ..., x_n が存在する。
よって、x, x_2, ..., x_n は I の元からなる M-正則列であり、
長さは n である。
証明終
53 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/16(木) 18:54:01
命題
A を環、M を A-加群とする。
B を平坦な A-代数(前スレ2の
>>221 )とする。
φ: A → B を A-代数 B の構造射とする。
A の元の列 x_1, ..., x_r が M-正則列 であるとき、
B の元の列 φ(x_1), ..., φ(x_r) は B-加群 M(x)B に関して
の正則列である。
証明
M(x)B = M_B とおき、
各 i = 1, ..., r に対して M_i = M/(x_1M + ... x_iM) とおく。
さらに M_0 = M とする。
x_i は M_(i-1) に関して正則だから、
0 → M_(i-1) → M_(i-1) → M_(i-1)/x_iM_(i-1) → 0
は完全列である。ここで、M_(i-1) → M_(i-1) は x_i による乗法
で定義される射である。M_(i-1)/x_iM_(i-1) = M_i に注意する。
B は平坦だから
0 → M_(i-1)(x)B → M_(i-1)(x)B → M_i(x)B → 0
も完全列である。
B は平坦だから M_(i-1)(x)B = M_B/(x_1M_B + ... x_(i-1)M_B)
であり、M_(i-1)(x)B → M_(i-1)(x)B は φ(x_i) による乗法
で定義される射である。
よって、φ(x_i)はM(x)B に関して正則である。
よってφ(x_1), ..., φ(x_r)は B-加群 M(x)B に関して
の正則列である。
証明終
54 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/17(金) 17:47:47
訂正
>>52 >命題
>A を環とし、I をその極大イデアル、
命題
A を環とし、I をそのイデアル、
55 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/17(金) 18:10:48
訂正の訂正(^^;
>>52 >命題
>A を環とし、I をその極大イデアル、
>命題
>A をネーター環とし、I をそのイデアル、
56 :
中川秀泰 :2006/03/18(土) 17:59:14
削除依頼ヨロ
57 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/21(火) 21:15:20
命題
A をネーター環とし、I をそのイデアル、
M を有限生成 A-加群で、M ≠ IM とする。
このとき depth(I, M) は有限である。
さらに depth(I, M) ≦ inf {dim(M_p); p ∈ Supp(M/IM)} である。
証明
M ≠ IM だから Supp(M/IM) は空でない。
p を Supp(M/IM) に属する任意の素イデアルとする。
前スレ2の
>>953 より Supp(M/IM) = V(I) ∩ Supp(M) である。
φ: A → A_p を標準射とする。
x_1, ..., x_r を I に含まれる M-正則列 とする。
I ⊂ p だから φ(x_1), ..., φ(x_r) は pA_p に含まれる。
さらに p ∈ Supp(M) だから M_p ≠ 0 である。
>>53 より、φ(x_1), ..., φ(x_r) は M_p に関しての
正則列である。よって、
>>34 より r ≦ dim(M_p) である。
よって、I に含まれ x_1, ..., x_r を含む M-正則列で極大
なものが存在する。その長さを s とする。
depth(I, M) > s とすると
>>52 より I に含まれる M-正則列で
長さ s + 1 のものが存在する。これは s の取り方に反する。
よって、depth(I, M) ≦ s である。
さらに s ≦ dim(M_p) だから depth(I, M) ≦ dim(M_p) である。
証明終
58 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/21(火) 21:34:42
訂正。
>>57 >よって、I に含まれ x_1, ..., x_r を含む M-正則列で極大
>なものが存在する。その長さを s とする。
I に含まれる M-正則列の長さの最大を s とする。
59 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 11:04:55
>>35 の証明は不十分だったので、以下、この証明を補足する。
そのために補題を述べる。
60 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 11:23:10
補題
A を環とし、I をそのイデアル、
M を A-加群とする。
x を I の元で M-正則とする。
p ≧ 1 を整数とする。
Ext^(p-1)(A/I, M) と Ext^p(A/I, M/xM) は同型である。
証明
x による乗法で定義される射: M → M を考える。
x は M-正則だから次の完全列が得られる。
0 → M → M → M/xM → 0
これから次の完全列が得られる。
Ext^(p-1)(A/I, M) → Ext^(p-1)(A/I, M) → Ext^p(A/I, M/xM)
→ Ext^p(A/I, M) → Ext^p(A/I, M)
>>32 より、Ext^(p-1)(A/I, M) → Ext^(p-1)(A/I, M) は x による
乗法である。
一方、A/I は A-加群として、I の元で零化される。
よって、
>>30 より x(Ext^(p-1)(A/I, M)) = 0 である。
同様に x(Ext^p(A/I, M)) = 0 である。
よって、次の完全列が得られる。
0 → Ext^(p-1)(A/I, M) → Ext^p(A/I, M/xM) → 0
証明終
61 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 11:47:14
補題
A を環とし、I をそのイデアル、
M を A-加群とする。
x_1, ..., x_r を I に含まれる M-正則列とする。
Hom(A/I, M/(x_1M + ... + x_rM)) = Ext^r(A/I, M) (同型)である。
証明
M_0 = M とおき、
1 ≦ i ≦ r のとき、M_i = M/(x_1M + ... + x_iM) とおく。
1 ≦ i ≦ r のとき、M_i = M_(i-1)/x_iM_(i-1) である。
>>60 より
Ext^r(A/I, M) = Ext^(r-1)(A/I, M_1) (同型)となる。
同様にして
Ext^(r-1)(A/I, M_1) = Ext^(r-2)(A/I, M_2)
= ... = Ext^1(A/I, M_(r-1)) = Hom(A/I, M_r)(同型)である。
よって Ext^r(A/I, M) = Hom(A/I, M_r) (同型)である。
証明終
62 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 11:53:39
>>60 は次のように修正する。
補題
A を環とし、I をそのイデアル、
M を A-加群とする。
x を I の元で M-正則とする。
p ≧ 1 を整数とする。
Ext^p(A/I, M) と Ext^(p-1)(A/I, M/xM) は同型である。
証明
x による乗法で定義される射: M → M を考える。
x は M-正則だから次の完全列が得られる。
0 → M → M → M/xM → 0
これから次の完全列が得られる。
Ext^(p-1)(A/I, M) → Ext^(p-1)(A/I, M) → Ext^(p-1)(A/I, M/xM)
→ Ext^p(A/I, M) → Ext^p(A/I, M)
>>32 より、Ext^(p-1)(A/I, M) → Ext^(p-1)(A/I, M) は x による
乗法である。
一方、A/I は A-加群として、I の元で零化される。
よって、
>>30 より x(Ext^(p-1)(A/I, M)) = 0 である。
同様に x(Ext^p(A/I, M)) = 0 である。
よって、次の完全列が得られる。
0 → Ext^(p-1)(A/I, M/xM) → Ext^p(A/I, M) → 0
証明終
63 :
隅広秀康 :2006/03/22(水) 13:57:55
君、いい加減に止め給え
64 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 15:46:34
命題
A をネーター環とし、I をそのイデアル、
M を有限生成 A-加群で、M ≠ IM とする。
I に含まれる M-正則列で極大なものの長さは depth(I, M) に等しい。
証明
>>57 から depth(I, M) は有限である。
x_1, ..., x_r を I に含まれる M-正則列 で極大なものとする。
>>50 より r ≦ depth(I, M) である。
r < depth(I, M) と仮定する。
depth(I, M) の定義から Ext^r(A/I, M) = 0 である。
>>61 より Hom(A/I, M/(x_1M + ... + x_rM)) = 0 である。
M ≠ IM だから M/(x_1M + ... + x_rM) ≠ 0 である。
よって
>>51 より I は M/(x_1M + ... + x_rM) に関して
正則な元 y を含む。
x_1, ..., x_r, y は I に含まれる M-正則列 だから
x_1, ..., x_r の極大性に反する。
よって r = depth(I, M) である。
証明終
65 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 15:51:44
>>64 から
>>34 が出るのは、中山の補題より M ≠ mM だから
明らかだろう。
66 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 15:53:40
67 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 16:01:39
可換代数の最初の難関が正則列とか深さの概念じゃないのかな。 深さは幾何的に捕らえ難いというのがある。
68 :
132人目の素数さん :2006/03/22(水) 16:27:49
馬鹿は幾ら起っても馬鹿だな
69 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 17:45:43
補題 A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、 M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。 a を m の元で M-正則とする。 p ∈ Ass(M) とすると、p + aA ⊂ q となる q ∈ Ass(M/aM) が存在する。 証明 a による乗法により次の完全列が得られる。 0 → M → M → M/aM → 0 これから次の完全列が得られる。 0 → Hom(A/p, M) → Hom(A/p, M) → Hom(A/p, M/aM) この完全列より、Hom(A/p, M) → Hom(A/p, M/aM) の核は a(Hom(A/p, M)) だから Hom(A/p, M) → Hom(A/p, M/aM) の像は Hom(A/p, M)/a(Hom(A/p, M)) と同型である。 一方、p ∈ Ass(M) だから Hom(A/p, M) ≠ 0 である(前スレ1の93)。 よって中山の補題(前スレ1の242)より a(Hom(A/p, M)) ≠ Hom(A/p, M) である。よって Hom(A/p, M/aM) ≠ 0 である。 よって、px ∈ aM となる x ∈ M で aM に含まれないものがある。 よって前スレ1の90より p を含む q ∈ Ass(M/aM) がある。 前スレ1の99より Ass(M/aM) ⊂ Supp(M/aM) であるから、 q ∈ Supp(M/aM) である。 一方、前スレ2の953より Supp(M/aM) = V(Ann(M) + aA) である。 よって aA ⊂ q である。よって p + aA ⊂ q である。 証明終
70 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/22(水) 17:47:43
>>69 の証明は Serre の Local Algebra から借りた。
king たーん TamaKing たーん 蟹たーん
72 :
GiantLeaves ◆6fN.Sojv5w :2006/03/22(水) 18:49:51
74 :
GiantLeaves ◆6fN.Sojv5w :2006/03/22(水) 19:14:54
talk:>73 お前に何が分かるというのか?
76 :
BWofTamaKing一ヶ月禁おなO−生活[1日目] ◆gqRrL0OhYE :2006/03/22(水) 20:00:09
>>71 私を呼びまくっても駆けつけられないことが多いぞ。
77 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/23(木) 12:22:44
ホモロジー代数というのは不思議だね。 EisenbudもHomological algebra is uncannily effectiveと書いている。 uncannilyというのがいいね。薄気味悪いほど効果的とでも訳せばいいのか。 何故なのかよく分からないが非常に強力な道具なんだよね。 ホモロジー代数のこの強力さを良く知らない人は、ホモロジー代数を 過小評価するというか関心をあまり持たない。なんであんな形式ばった 面白くないものをやるんだろう、とかね。
78 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/24(金) 11:41:11
命題
A をネーター局所環とし、m をその極大イデアル、
M ≠ 0 を有限生成 A-加群とする。
p ∈ Ass(M) なら depth(M) ≦ dim(A/p) である。
証明
depth(M) に関する帰納法を使う。
depth(M) = 0 なら明らか。
depth(M) ≧ 1 とする。
よって m の元 a で M-正則なものがある。
>>69 より p + aA ⊂ q となる q ∈ Ass(M/aM) が存在する。
>>47 より depth(M/aM) = depth(M) - 1 だから帰納法の仮定より
depth(M/aM) ≦ dim(A/q) である。
a は M-正則 だから a は p に含まれない。
よって p ≠ q である。よって dim(A/q) ≦ dim(A/p) - 1 である。
よって、depth(M) - 1 = depth(M/aM) ≦ dim(A/p) - 1 となる。
よって depth(M) ≦ dim(A/p) である。
証明終
80 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/28(火) 10:02:08
A をネーター環とし、I をそのイデアルで I ⊂ rad(A) とする。 M を有限生成 A-加群で、M ≠ 0 とする。 中山の補題(前スレ1の242)より M ≠ IM である。 x_1, ..., x_r を I に含まれる M-正則列とする。 このとき、x_1, ..., x_r を任意の順に並び替えたものも M-正則列となることを証明しよう。 そのため、いくつかの準備をする。
81 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/28(火) 10:03:57
まずKrullの共通イデアル定理(前スレ1の252)を加群の場合に拡張する。 定理 A をネーター環、M を有限生成 A-加群とし、 I を rad(A) に含まれるイデアルとする。 ∩(I^n)M = 0 となる。ここで n はすべての正の整数 n > 0 を動く。 証明 N = ∩(I^n)M とおく。 IN = N を示せば、中山の補題より N = 0 となる。 IN ⊂ N は明らかだから N ⊂ IN を示す。 IN の準素部分加群分解(前スレ1の182)を IN = N_1 ∩ ... ∩ N_r とする。各 i に対して Ass(M/N_i) = {p_i} とする。 S = {1, ..., r} とおく。S を以下の2個の部分集合に分割する。 S_1 = {i ∈ S; I ⊂ p_i} S_2 = S - S_1 とおく。 定義から i ∈ S_1 のとき、I ⊂ p_i である。 Ass(M/N_i) = {p_i} だから (p_i)^nM ⊂ N_i となる n > 0 がある。 I ⊂ p_i だから (I^n)M ⊂ (p_i)^nM ⊂ N_i である。 一方 N ⊂ (I^n)M だから結局 N ⊂ N_i となる。 今度は j ∈ S_2 とする。 I は p_j に含まれないから、I の元 a で p_j に含まれないもの がある。このとき N が N_j に含まれないと仮定する。 IN ⊂ N_j だから aN ⊂ N_j である。よって a は M/N_j に関して 非正則である。N_j は準素だから a ∈ p_j である。 これは仮定に反する。よって N ⊂ N_j でなければならない。 以上から、 任意の i ∈ S に対して N ⊂ N_i となる。 よって、N ⊂ IN となる。 証明終
82 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/28(火) 11:01:43
次の命題は周知だが復習もかねて証明する。 命題 n > 0 を整数とし、集合 {1, ..., n} の置換全体のなす 対称群を S_n とする。 S_n の任意の元 σ はいくつかの互換の積として表すことが出来る。 証明 n に関する帰納法を使う。 n = 1 なら明らか(零個の互換の積は恒等置換とみなす)。 n ≧ 2 とする。 σ(n) = n なら σ は S_(n-1) の元とみなせる。 よって帰納法の仮定より、σ は互換の積となる。 よって σ(n) ≠ n とする。σ(n) = j とおく。 τ = (j, n)σ とおく。 τ(n) = (j, n)(σ(n)) = n である。 よって τは S_(n-1) の元とみなせる。 よって帰納法の仮定より、τ は互換の積となる。 よってσ = (j, n)τも互換の積となる。 証明終
83 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/28(火) 11:36:25
命題
n > 0 を整数とし、集合 {1, ..., n} の置換全体のなす
対称群を S_n とする。
S_n の任意の元 σ は (i, i+1), 1 ≦ i ≦ n-1 の形の互換の積として
表すことが出来る。
証明
>>82 より任意の互換 (j, k), j < k が(i, i+1) の形の互換の積と
となることを示せばよい。互換(j, k)の長さを k - j で定義する。
互換の長さの帰納法で証明する。
互換の長さが1のときは明らか。
よって互換(j, k)の長さは2以上とする。
(j, k) = (j, k-1)(k-1, k)(j, k-1) となることが簡単に確かめられる。
帰納法の仮定より(j, k-1)は(i, i+1) の形の互換の積となる。
よって(j, k)も同様である。
証明終
84 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/28(火) 12:23:44
補題
A をネーター環とし、I をそのイデアルで I ⊂ rad(A) とする。
M を有限生成 A-加群で、M ≠ 0 とする。
a, b を I に含まれる M-正則列とすると、
並びを入れ替えた b, a もM-正則列である。
証明
まず、b が M-正則であることを証明する。
x を M の元として、bx = 0 とする。
x = 0 を示せばよい。
b は M/aM に関して正則だから、x ∈ aM となる。
よって x = ay となる y ∈ M がある。
bx = aby = 0 であり、a は M-正則だから by = 0 である。
よって上と同様に y ∈ aM となる。つまり、x ∈ (a^2)M となる。
以上を繰り返して x ∈ ∩(a^n)M となる。
ここで n はすべての正の整数 n > 0 を動く。
>>81 より ∩(a^n)M = 0 だから x = 0 である。
次に、a が M/bM に関して正則なことを示す。
x を M の元として、ax ∈ bM とする。
ax = by となる y ∈ M がある。
b は M/aM に関して正則だから y ∈ aM となる。
よって y = az となる z ∈ M がある。
よって ax = abz である。a は M-正則だから x = bz である。
よって x ∈ bM となって a は M/bM に関して正則である。
証明終
85 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/28(火) 14:17:16
命題
A をネーター環とし、I をそのイデアルで I ⊂ rad(A) とする。
M を有限生成 A-加群で、M ≠ 0 とする。
x_1, ..., x_n を I に含まれる M-正則列 とする。
このとき x_1, ..., x_n を任意に並び替えた列も M-正則列である。
証明
n に関する帰納法を使う。
n = 1 なら明らか。
n ≧ 2 とする。
>>83 より 1 ≦ i ≦ n - 1 となる任意の整数 i に対して、
x_1,..., x_(i+1), x_i,..., x_n が M-正則列であることを示せばよい。
i + 1 ≦ n - 1 のときは、帰納法の仮定により、
x_1,..., x_(i+1), x_i,..., x_(n-1) は M-正則列である。
よって、この列に x_n を追加した
x_1,..., x_(i+1), x_i,..., x_(n-1), x_n も M-正則列である。
よって残るのは i + 1 = n の場合だけである。
つまり、x_1,..., x_(n-2), x_n, x_(n-1) が M-正則列であることを
示せばよい。
これは、N = M/(x_1M + ... + x_(n-2)M) とおいたとき、
x_n, x_(n-1) が N-正則列であることと同値である。
しかし、これは
>>84 で証明されている。
証明終
86 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/29(水) 09:23:04
>>85 はKoszul複体を使って証明するのが普通。
というかそれ以外の証明を他で見たことがない。
まあ、わりと自然で簡単な証明だから他の誰かがきっとやってるとは思うが。
87 :
132人目の素数さん :2006/03/29(水) 10:33:47
命題
A をネーター環とし、I をそのイデアルで I ⊂ rad(A) とする。
M を有限生成 A-加群で、M ≠ 0 とする。
x_1, ..., x_r を I に含まれる M-正則列 とする。
n_1, ..., n_r を整数の列で各 n_i > 0 とする。
このとき、(x_1)^(n_1), ..., (x_r)^(n_r) も M-正則列である。
証明
各 i に対して i ≠ j なら n_j = 1 のときの場合、つまり
x_1, ..., (x_i)^(n_i), ..., x_n
がM-正則列であることを示せば、一般の場合はこれから直ぐでる。
よって、この場合を証明する。
>>85 より、x_i を最後に移動した列
x_1, ..., x_r, x_i
も M-正則列である。
一般にM-正則な元の任意のベキ乗もM-正則だから、
x_1, ..., x_r, (x_i)^(n_i)
も M-正則列である。
よって、再び
>>85 より (x_i)^(n_i) をもとの位置に戻した列
x_1, ..., (x_i)^(n_i), ..., x_n
も M-正則列である。
証明終
88 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/29(水) 10:37:45
>>87 に私のIDを付けるのを忘れた。
後の検索のために注意しておく。
89 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/29(水) 10:45:36
訂正
>>87 >x_1, ..., (x_i)^(n_i), ..., x_n
x_1, ..., (x_i)^(n_i), ..., x_r
90 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/30(木) 10:45:13
>>86 Zariski-Samuelの本の付録にKoszul複体を使わない証明が載っていた。
しかし、その証明は
>>85 とは異なる。
91 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/30(木) 18:17:26
正則列を弱めた概念である準正則列(quasi-regular sequence)に ついて述べる準備として、フィルター付環とフィルター付加群について 述べる。フィルター付環は、局所環の完備化や重複度とも関係するので 可換代数において重要である。 定義 A を環とし、A の加法群の部分群からなる A_p, p ∈ Z の降列 ... A_p ⊃ A_(p+1) ... で以下の 条件 (1), (2) を満たすとする。 (1) (A_p)(A_q) ⊂ A_(p+q) が任意の p, q ∈ Z に対してなりたつ。 (2) 1 ∈ A_0 ここで、Z は有理整数全体の集合であり、 (A_p)(A_q) は 集合 {xy; x ∈ A_p, y ∈ A_q} で生成される A の部分群 を表す。 このとき、A をフィルター付環という。 列 (A_p) を A のフィルターと呼ぶ。
92 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 10:42:53
>>91 の前に次の定義をすべきだった。
定義
M をアーベル群とする。
M の部分群からなる降列
... M_p ⊃ M_(p+1) ...
を M のフィルターと呼ぶ。
ここで、p は有理整数全体を動く。
M をフィルター付アーベル群と呼ぶ。
93 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 11:01:36
因みに
>>92 のフィルターの名前の由来を(私の想像だが)説明してみよう。
フィルターとは濾過器のこと。
>>92 の記号を使う。
M の元 x をとる。
x ∈ M_p となる p が存在しないとする。
このとき、x は、フィルターではじかれたと考える。
次に、x ∈ M_p となる p があるとする。
このとき x は M_p による関門を通ったと考える。
しかし x は M_(p+1) には含まれないとする。
このときも、x はフィルターではじかれたと考える。
こうやって、M の元を篩い落としていき、
最後に残ったもの、即ち ∩M_p の元がフィルターで漉されたものと
考える。
94 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 15:26:54
定義
M をフィルター付アーベル群(
>>92 )とし、(M_p)をそのフィルターとする。
M = ∪M_p のとき、このフィルターは上に収束するという。
0 = ∩M_p のとき、このフィルターは下に収束するという。
下に収束するフィルターを分離的なフィルターとも言う。
M_p = 0 となる p があるとき、このフィルターは下に有界または
離散的という。
M_p = M となる p があるとき、このフィルターは上に有界という。
上に有界かつ下に有界なフィルターは有界または有限なフィルターという。
95 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 16:25:18
定義
A をフィルター付環(
>>91 )とし、(A_p)をそのフィルターとする。
M を A-加群とする。
M をアーベル群とみて、その部分アーベル群からなるフィルター(M_p)が
以下の条件を満たすとする。
(A_p)(M_q) ⊂ M_(p+q) が任意の p, q ∈ Z に対してなりたつ。
このとき、フィルター(M_p)は、フィルター付環 A と両立するといい、
M をフィルター付 A-加群と呼ぶ。
96 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 16:50:55
A をフィルター付環(
>>91 )とし、(A_p)をそのフィルターとする。
M をフィルター付 A-加群(
>>95 )とし、(M_p)をそのフィルターとする。
フィルター付環の応用上では、A = A_0 となる場合が圧倒的に多い。
この場合、各 A_p は A のイデアルであり、
各 M_p は A-部分加群である。
97 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 16:55:57
フィルター付環および加群の例(その1) A を環、I を そのイデアルとする。 M をA-加群とする。 p ≧ 0 のとき A_p = I^p とし、 p < 0 のとき A_p = A とおけば、 A は (A_p) によりフィルター付環になる。 フィルター(A_p)を A の I-進フィルターと呼ぶ。 p ≧ 0 のとき M_p = (I^p)M とし、 p < 0 のとき M_p = M とおけば、 M は (M_p) によりフィルター付 A-加群になる。 フィルター(M_p)を M の I-進フィルターと呼ぶ。
98 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 17:08:49
フィルター付環および加群の例(その2) A をZ-型の(可換な)次数環(前スレ1の720)とし、 その n-次部分を A_(n) とする。 A_p = Σ(n≧p) A_(n) とおく。 A は (A_p) によりフィルター付環になる。 M をZ型の A-次数加群(前スレ1の722)とし、 その n-次部分を M_(n) とする。 M_p = Σ(n≧p) M_(n) とおく。 M は (M_p) によりフィルター付 A-加群になる。
99 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 17:24:35
フィルター付環および加群の例(その3) A を環とする。 p ≦ 0 のとき A_p = A とおき、 p > 0 のとき A_p = 0 とおく。 A は (A_p) によりフィルター付環になる。 A を自明なフィルター付環と呼ぶ。 M をA-加群とする。 p ≦ 0 のとき M_p = M とおき、 p > 0 のとき M_p = 0 とおく。 M は (M_p) によりフィルター付 A-加群になる。 M を自明なフィルター付 A-加群と呼ぶ。
100 :
132人目の素数さん :2006/03/31(金) 17:27:21
帰納法使う奴は人間のくず
101 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 17:56:35
フィルター付環および加群の例(その4)
A をフィルター付環(
>>91 )とし、(A_p)をそのフィルターとする。
M をA-加群とする。
M_p = (A_p)M とおけば、
M は (M_p) によりフィルター付 A-加群になる。
(M_p) を (A_p)から誘導されたフィルターという。
102 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/03/31(金) 18:19:34
定義
A をフィルター付環(
>>91 )とし、(A_p)をそのフィルターとする。
M をフィルター付 A-加群(
>>95 )とし、(M_p)をそのフィルターとする。
N を M の A-部分加群とする。
N_p = N ∩ M_p とおく。
(A_p)(N ∩ M_q) ⊂ N ∩ (A_p)(M_q) ⊂ N ∩ M_(p+q) となる。
よって N はフィルター(N_p) によりフィルター付 A-加群となる。
(N_p) を (M_p) により N へ誘導されたフィルターという。
103 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/04(火) 09:57:44
前スレ2の968 >話は変わるけど、代数多様体の正規点における局所環の完備化は >正規であるというZariskiの定理の証明ってあまり本に書いてないね。 >この定理は代数幾何では重要なんだけど。 > >Zariski-Samuelには当然書いてある。 EGAには優秀環の理論として拡張されて述べられている。 松村にも優秀環の理論は紹介されている。
104 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/04(火) 10:13:28
M-正則列(前スレ2の941)の概念はSerreが1955年の東京・日光における 国際会議で発表した論文で最初に導入したとEGAには書いてあるけど、 どうなんだろう。その論文を見るとAuslander-Buchsbaumの論文を 引用してるんだけど。この頃の彼等の論文というのは互いに 引用しあっている。
105 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/04(火) 14:27:21
定義
A をフィルター付環(
>>91 )とし、(A_p)をそのフィルターとする。
M をフィルター付 A-加群(
>>95 )とし、(M_p)をそのフィルターとする。
N を M の A-部分加群とする。
L = M/N おき、L_p = (M_p + N)/N とおく。
(A_p)(L_q) ⊂ ((A_p)(M_q + N) + N)/N ⊂ (M_(p+q) + N)/N = L_(p+q)
となる。
よって L はフィルター(L_p) によりフィルター付 A-加群となる。
(L_p) を (M_p) により M/N へ誘導されたフィルターという。
106 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/04(火) 17:04:06
定義
A をフィルター付環(
>>91 )とし、(A_p)をそのフィルターとする。
M, N をフィルター付 A-加群(
>>95 )とし、それぞれ (M_p), (N_p)
をそのフィルターとする。
A-加群としての射 f: M → N が 各 p に対して
f(M_p) ⊂ N_p を満たすとき、f をフィルター付 A-加群
としての射という。
107 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/04(火) 17:43:18
A をフィルター付環とする。
容易にわかるようにフィルター付 A-加群とその射は圏 F(A)をなす。
M, N をフィルター付 A-加群とすると、M から N への
フィルター付 A-加群としての射の集合 Hom(M, N) は
自明な演算でアーベル群となる。
f: M → N をフィルター付 A-加群の射とする。
f の A-加群 としての核 K は M の部分加群だから
M のフィルターから誘導されたフィルター(
>>102 )が入る。
このフィルターにより K をフィルター付 A-加群と考えたものを
射 f の核と呼び、Ker(f) と書く。
同様に A-加群としての余核 Q に、N のフィルターから誘導された
フィルター(
>>105 )を入れて、フィルター付 A-加群と考えたものを
f の余核と呼び、Coker(f) と書く。
108 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/04(火) 18:05:00
A をフィルター付環とする。 f: M → N をフィルター付 A-加群の射とする。 A-加群の射としての f の像 I に N のフィルターから誘導された フィルターを入れたものを f の像と呼び Im(f) と書く。
109 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/04(火) 18:09:06
A をフィルター付環とする。 f: M → N, g: N → L をそれぞれフィルター付 A-加群の射とする。 Im(f) と Ker(g) がフィルター付 A-加群として一致するとき、 列 M → N → L は完全であるという。
110 :
132人目の素数さん :2006/04/04(火) 18:21:42
、,.、,、,.、___,.、,、,.、,、, 人ハ人ハ人 ♪ ,ゝ:::::::::::::::::::::::::::<、 ノ ヾ、 ∠:::::::::::::::::::::::::::::::::::::< ) マ ウ ( /:::;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::〈. ) ン リ ( /::「// ̄∨ヾ/\!'ヾ:::| ) セ ナ ( ,、|::/ ヽ 〃 ヾ::|,、 ) ) ラ ( ( .|/ \ / ヽ! ) .) ( ( `//// .. /// \´ ヽ ! / \ ヽー--‐‐/ / Y⌒Y⌒Y ヽ ヽ / / . ヽ ヽ / / . \ ∨ / `j'''''''''''i"
111 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/05(水) 09:43:42
>>105 >(L_p) を (M_p) により M/N へ誘導されたフィルターという。
(L_p) を N による (M_p) の商フィルターと呼ぶほうが一般的らしい。
よって今後、そう呼ぶ。
112 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/05(水) 10:18:09
定義
A をフィルター付環とする。
f: M → N をフィルター付 A-加群の射とする。
A-加群の射としての f の核を K とする。
M/K に M のフィルターの商フィルター(
>>111 )を入れて
フィルター付 A-加群としたものを f の余像と呼び
Coim(f) と書く。
113 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/05(水) 11:13:23
A をフィルター付環とする。 f: M → N をフィルター付 A-加群の射とする。 λ: Ker(f) → M を標準射とする。 このとき明らかに fλ= 0 である。 この Ker(f) とλは次の命題により特徴付けられる。 命題 A をフィルター付環とする。 g: L → M, f: M → N をそれぞれフィルター付 A-加群の射として、 fg = 0 とする。 このとき、射 u: L → Ker(f) で g = λu となるものが一意に存在する。 ここで λ: Ker(f) → M は標準射である。 証明 g(L) ⊂ Ker(f) だから、A-加群の射としては u として g の値域を Ker(f) に制限したものをとる。 u が フィルター付 A-加群の射となることは 各 p にたいして g(L_p) ⊂ M_p ∩ Ker(f) よりわかる。 u の一意性は λが単射であることから明らか。 証明終
114 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/05(水) 12:37:41
>>113 と双対的に次の命題が成立つ。
命題
A をフィルター付環とする。
f: M → N, g: N → L をそれぞれフィルター付 A-加群の射として、
gf = 0 とする。
このとき、射 u: Coker(f) → L で g = uμ となるものが一意に存在する。
ここで μ: N → Coker(f) は標準射である。
証明
g(f(M)) = 0 だから
g は A-加群の射として u: N/f(M) → L を誘導する。
各 p にたいして g(N_p) ⊂ L_p だから
u は フィルター付 A-加群の射である。
g = uμは u の定義から明らか。
u の一意性は μが全射であることから明らか。
証明終
115 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/06(木) 12:49:21
命題 A をフィルター付環とし、 f: M → N をフィルター付 A-加群の射とする。 フィルター付 A-加群の射 u: Coim(f) → Im(f) が一意に存在し、 f は M → Coim(f) → Im(f) → N と分解する。 ここで、M → Coim(f) と Im(f) → N はともに標準射である。 証明 A-加群の射としては u: Coim(f) → Im(f) を u([x]) = f(x) で定義する。ここで、x は M の元であり、[x] は x の属す Coim(f) = M/Ker(f) の剰余類である。 この定義は剰余類の代表元 x の取り方によらない。 M、N のフィルターをそれぞれ (M_p), (N_p) とする。 f(M_p) ⊂ Im(f) ∩ N_p であるから u がフィルター付 A-加群の射であることは明らか。 次に u の一意性を示す。 α: M → Coim(f) β: Im(f) → N を標準射とする。 f = βvα となるフィルター付 A-加群の射 v: Coim(f) → Im(f) が 存在するとする。 f = βuα = βvα であり、βは単射だから、 uα = vα となる。 αは全射だから、 u = v である。 証明終
116 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/06(木) 16:59:38
定義
A をフィルター付環とし、
f: M → N をフィルター付 A-加群の射とする。
>>115 の射 u: Coim(f) → Im(f) は写像としては全単射だが
フィルター付 A-加群の射としては同型とは限らない。
これが同型になるとき、 f を強射と呼ぶ。
117 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/06(木) 18:20:47
命題
A をフィルター付環とし、
f: M → N をフィルター付 A-加群の射とする。
M、N のフィルターをそれぞれ (M_p), (N_p) とする。
f が強射(
>>116 )になるためには、
各整数 p に対して f(M_p) = f(M) ∩ N_p となることが
必要十分である。
証明
K = Ker(f) とおく。
u: Coim(f) → Im(f) を、
>>115 の射とする。
u は写像としては全単射であることと、
u((M_p + K)/K) = f(M_p) に注意すれば明らかだろう。
証明終
118 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/07(金) 10:37:51
フィルター付 A-加群の射で強射(
>>116 )でない例はいくらでもある。
例えば、k を体として M を k 上の3次元のベクトル空間とする。
e_1, e_2, e_3 をその基底とする。
N を e_1 を基底に持つ M の部分ベクトル空間とする。
L を e_1, e_2 を基底に持つ M の部分ベクトル空間とする。
M に以下の2つのフィルターを入れる。
(1) M ⊃ N ⊃ 0 をフィルターと見なす。
つまり、フィルター (M_p) を次のように定義する。
p ≦ 0 のとき M_p = M
p = 1 のとき M_p = N
p ≧ 2 のとき M_p = 0。
(2) M ⊃ L ⊃ 0 を同様にフィルターと見なす。
つまり、フィルター (M'_p) を次のように定義する。
p ≦ 0 のとき M'_p = M
p = 1 のとき M'_p = L
p ≧ 2 のとき M'_p = 0。
k に自明なフィルター(
>>99 )を入れると。
上の各フィルターにより M はそれぞれフィルター付 k-加群となる。
(1) のフィルターを入れた M を M(1) と書き、
(2) のフィルターを入れた M を M(2) と書く。
恒等射 1: M(1) → M(2) を考える。
N ⊂ L だから、この射はフィルター付 k-加群の射である。
しかし、 N ≠ L だから強射ではない。
119 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/07(金) 11:09:12
定義
G をフィルター付アーベル群(
>>92 )とする。
(G_p) をそのフィルターとする。
各整数 p に対して gr_p(G) = G_p/G_(p+1) とおき、
gr(G) = Σgr_p(G) (直和)とおく。
gr(G) を G の次数化アーベル群と呼ぶ。
120 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/07(金) 11:34:27
定義
A をフィルター付環(
>>91 )とする。
gr(A) を A の加法群の次数化アーベル群とする。
α ∈ gr_p(A)、β ∈ gr_q(A) のとき、
αとβの積 αβ ∈ gr_(p+q)(A) を以下のように定義する。
x ∈ A_p, y ∈ A_q をそれぞれ αとβ の代表元とする。
xy ∈ A_(p+q) の mod A_(p+q+1) の剰余類をαβとする。
この定義が 代表元 x, y の取り方によらないことは明らかである。
この積により、gr(A) は Z 型の次数環(前スレ1の720)となる。
gr(A) を A の次数化環と呼ぶ。
121 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/07(金) 11:55:57
定義
A をフィルター付環とし、(A_p)をそのフィルターとする。
M をフィルター付 A-加群とし、(M_p)をそのフィルターとする。
gr(A) を A のA の次数化環(
>>120 )ととし、
gr(M) を M の次数化アーベル群(
>>119 ) とする。
α ∈ gr_p(A)、γ ∈ gr_q(M) のとき、
αとγの積 αγ ∈ gr_(p+q)(M) を以下のように定義する。
a ∈ A_p, z ∈ M_q をそれぞれ αとγの代表元とする。
az ∈ M_(p+q) の mod M_(p+q+1) の剰余類をαγとする。
この定義が 代表元 a, z の取り方によらないことは明らかである。
この積により、gr(M) は gr(A)-次数加群(前スレ1の722)となる。
gr(M) を M の次数化加群と呼ぶ。
122 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/07(金) 13:18:42
局所環のm-進フィルターによる次数化環の幾何的意味を考える。
代数多様体 X の閉点 p における局所環 O_p にその極大イデアル m
による m-進フィルター(
>>97 )をいれてフィルター付環と考える。
この次数化環 gr(O_p) の Spec(gr(O_p))というのは、
X の p における接錐(tangent cone)と考えることが出来る。
接錐というのは、大雑把に言うとその点における接線の集まりのなす
代数スキームのことで、その点が非特異なら接空間と一致する。
このことをアフィン平面代数曲線の場合に説明しよう。
k を代数的閉体とし、f(X, Y) を2変数多項式環 k[X, Y] の元で
既約とする。さらに f(0, 0) = 0 とする。
f(X, Y) = 0 が定義する代数曲線を X とする。
f(0, 0) = 0 だから X は原点 p = (0, 0) を通る。
X の p における局所環を O_p とする。
このとき、次数化環 gr(O_p) は k[X, Y]/(f_m) と同型になる。
ここで f_m は f の初形式である。
つまり、f をその同次成分に分解して f = f_m + f_(m+1) + ..
と書いたときの最低次の同次成分が f_m である。
f_m は2変数の同次式だから1次式の積に分解する。
この各1次式が原点 p における 曲線 f(X, Y) = 0 の接線である。
123 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/11(火) 18:38:38
定義
M, N をフィルター付アーベル群(
>>92 )とする。
(M_p), (N_p) をそれぞれ M, N のフィルターとする。
f: M → N をフィルター付アーベル群としての射とする。
各 p に対して f(M_p) ⊂ N_p だから、
f はアーベル群の射 M_p/M_(p+1) → N_p/N_(p+1) を誘導する。
よって、次数アーベル群の射 gr(M) → gr(N) が得られる。
ここで、gr(M)、gr(N) はそれぞれ M, N の次数化アーベル群(
>>119 )
である。
この射を gr(f) と書く。この p次の同次成分 を gr_p(f) と書く。
つまり、gr_p(f): gr_p(M) → gr_p(N) である。
124 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/11(火) 19:08:14
話はそれるが、最近 amazon.com で Edwards の Fermat's Last Theorem を買った。 今読んでいるところだけど、これは凄い本だ。 この本で初めてKummerの理想数がわかった、というか、 わかりかけてきた(まだ読了してないので)。 この本を参考にして、Kummerの理想数とは何かを後で述べよう。 Kummerの理想数については、前スレ1の281あたりでも書いてあるので、 そちらも参照されたい。
素因数分解の一意性の回復をx^n+y^nにおいて目指して作られた。 n=23でたしか不成立なんだが、イデアルを考えて言ってみればクウォークの様に 新しく素を考えてみようって話だったようなそうでないような。 しかし、俺にもこれが理解不能だ。だから早く書け。
126 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 10:47:37
定義
A, B をそれぞれフィルター付環(
>>91 )とする。
f: A → B をフィルター付環としての射とする。
>>123 と同様にして f は次数環の射 gr(A) → gr(B) を誘導する。
この射を gr(f) と書く。
127 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 10:53:29
定義
A をフィルター付環(
>>91 )とし、
M, N をフィルター付 A-加群(
>>95 )とする。
>>121 より、gr(M)、gr(N) は それぞれ gr(A)-次数加群となる。
f: M → N をフィルター付 A-加群としての射とする。
>>123 と同様にして f は gr(A)-次数加群の射 gr(M) → gr(N) を誘導する。
この射を gr(f) と書く。
128 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 11:03:15
A をフィルター付環(
>>91 )とし、
M, N, L をフィルター付 A-加群(
>>95 )とする。
1: M → M を M の単位射とすると gr(1) は gr(M) の単位射である。
f: M → N と g: N → L をフィルター付 A-加群としての射とする。
このとき、gr(gf) = gr(g)gr(f) となる。
以上から 対応 gr: M → gr(M) は フィルター付 A-加群の圏から
gr(A)-次数加群の圏への関手である。
129 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 12:10:51
補題
A をフィルター付環(
>>91 )とし、
M をフィルター付 A-加群(
>>95 )とする。
M のフィルター (M_p) は上下に収束(
>>94 )するとする。
gr_p(M) ≠ 0 となる p が有限ならフィルター (M_p) は有限(
>>94 )である。
証明
十分大きな整数 n があり p ≧ n なら gr_p(M) = 0 である。
よって M_n = M_(n+1) = ... となる。
(M_p) は下に収束するから、0 = ∩M_p である。
よって M_n = 0 である。
同様に、十分小さな整数 m があり p ≦ m なら gr_p(M) = 0 である。
よって M_m = M_(m-1) = ... となる。
(M_p) は上に収束するから、M = ∪M_p である。
よって M_m = M である。
証明終
130 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 13:56:41
次の命題とその証明は 私が過去スレ「大好き★代数幾何 Part 2」 の 819 に書いたものと同じである。
131 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 13:57:39
命題
A をフィルター付環(
>>91 )とし、
M, L をフィルター付 A-加群(
>>95 )とする。
(M_p), (L_p) をそれぞれ M, L のフィルターとする。
(L_p) は上下に収束(
>>94 )するとする。
f: M → L をフィルター付 A-加群としての射とする。
gr(A)-次数加群の射 gr(f)(
>>127 ) : gr(M) → gr(L) は同型であるとする。
このとき、フィルター(M_p) が有限(
>>94 )なら、
f は同型となる。
証明
gr(M) と gr(L) は同型だから、
>>129 より フィルター(L_p) も
有限である。
フィルター (M_p) は有限だから 整数 k と n ≧ 0 があり、
M = M_k ⊃ M_(k+1) ⊃ ... M_(k+n) = 0 となる。
gr(M) と gr(L) は同型だから
L = L_k ⊃ L_(k+1) ⊃ ... L_(k+n) = 0 となる。
M_0 = M, M_2 = 0 の場合を証明すれば、n に関する帰納法を使って、
一般の場合も証明できる。よって、この場合のみ証明する。
完全列:
0 → M_1 → M → M/M_1 → 0
と
0 → L_1 → L → L/L_1 → 0
を考える。
仮定により、f: M → L は、同型 M_1 → L_1 と
同型 M/M_1 → L/L_1 を誘導する。
snake lemmaを使って(使わなくても簡単にわかるが)
f も同型になる。
証明終
132 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 14:33:37
命題(
>>131 )の系1
上の命題はフィルター(M_p) が有限でなくても上に収束(
>>94 )し、
離散的(
>>94 )なら成り立つ。
証明
命題(
>>131 )より、各pに対して f は同型 M_p → L_p
を誘導することがわかる。
フィルター(M_p)と(L_p) は上に収束するから、
f は同型となる。
証明終
133 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 14:44:14
命題
M をフィルター付アーベル群(
>>92 )とし、(M_p)をそのフィルターとする。
アーベル群の族 (M/M_p) は射影系である。
よって射影極限 proj.lim M/M_p が定義出来る。
標準射 M → M/M_p は、標準射φ: M → proj.lim M/M_p を定める。
φが単射であるためにはフィルター (M_p) が分離的(
>>94 )であることが
必要十分である。
証明
射影極限 proj.lim M/M_p の定義とφの定義から明らか。
134 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 14:50:32
定義
M をフィルター付アーベル群(
>>92 )とし、(M_p)をそのフィルターとする。
>>133 の標準射φ: M → proj.lim M/M_pが同型のとき、
フィルター (M_p) は完備であるという。
135 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 15:19:17
命題(
>>131 )の系2
命題(
>>131 )はフィルター (M_p) が完備(
>>134 )なら成り立つ。
証明
>>132 より、各 p に対して f は同型
M/M_p → L/L_p を誘導することがわかる。
よって f は同型 proj.lim M/M_p → proj.lim L/L_p を誘導する。
次の可換図式を考える。
M → L
↓ ↓
proj.lim M/M_p → proj.lim L/L_p を誘導する。
フィルター (M_p) は完備だから標準射 M → proj.lim M/M_p は
同型である。
一方、フィルター (L_p) は仮定より分離的だから
>>133 より L → proj.lim L/L_p は単射である。
よって、上の可換図式より f: M → L が同型となることが分かる。
証明終
136 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/13(木) 15:23:02
>>135 はフィルター付加群の基本定理というべきものである。
137 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/14(金) 09:54:26
Bourbakiの用語では完備性に必ずしも分離性を要求しない。
我々もBourbakiに従うことにする。
よって、
>>134 の定義を以下のように修正する。
定義
M をフィルター付アーベル群(
>>92 )とし、(M_p)をそのフィルターとする。
>>133 の標準射φ: M → proj.lim M/M_pが全射のとき、
フィルター (M_p) は完備であるという。
(注意)この場合 M/∩M_p が proj.lim M/M_p に同型になる。
138 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/14(金) 10:14:05
>>131 の条件と主張を弱めた次の命題を証明する。
証明も
>>131 と同様である。
命題
A をフィルター付環(
>>91 )とし、
M, L をフィルター付 A-加群(
>>95 )とする。
(M_p), (L_p) をそれぞれ M, L のフィルターとする。
f: M → L をフィルター付 A-加群としての射とする。
gr(A)-次数加群の射 gr(f)(
>>127 ) : gr(M) → gr(L) は単射であるとする。
このとき、フィルター(M_p) が有限(
>>94 )なら、
f も単射となる。
証明
フィルター (M_p) は有限だから 整数 k と n ≧ 0 があり、
M = M_k ⊃ M_(k+1) ⊃ ... M_(k+n) = 0 となる。
n = 2 の場合を証明すれば、n に関する帰納法を使って、
一般の場合も証明できる。よって、この場合のみ証明する。
完全列:
0 → M_(k+1) → M_k → M_k/M_(k+1) → 0
と
0 → L_(k+1) → L_k → L_k/M_(k+1) → 0
を考える。
仮定により、f: M_k → L_k は、単射 M_(k+1) → L_(k+1) と
同型 M_k/M_(k+1) → L_k/M_(k+1) を誘導する。
snake lemmaを使って(使わなくても簡単にわかるが)
f も単射になる。
証明終
139 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/14(金) 10:21:52
>>132 と同様に次の命題が得られる。
証明も
>>132 と同様である。
命題
A をフィルター付環(
>>91 )とし、
M, L をフィルター付 A-加群(
>>95 )とする。
(M_p), (L_p) をそれぞれ M, L のフィルターとする。
f: M → L をフィルター付 A-加群としての射とする。
gr(A)-次数加群の射 gr(f)(
>>127 ) : gr(M) → gr(L) は単射であるとする。
このとき、フィルター(M_p) が上に収束(
>>94 )し、離散的(
>>94 )なら
f も単射となる。
証明
>>138 より、各pに対して f は単射 M_p → L_p
を誘導することがわかる。
フィルター(M_p) は上に収束するから、
f は単射となる。
証明終
140 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/14(金) 10:27:13
>>135 と同様に次の命題が得られる。
証明も
>>135 と同様である。
命題
A をフィルター付環(
>>91 )とし、
M, L をフィルター付 A-加群(
>>95 )とする。
(M_p), (L_p) をそれぞれ M, L のフィルターとする。
f: M → L をフィルター付 A-加群としての射とする。
gr(A)-次数加群の射 gr(f)(
>>127 ) : gr(M) → gr(L) は単射であるとする。
このとき、フィルター(M_p) が上に収束(
>>94 )し、分離的(
>>94 )なら
f も単射となる。
証明
>>139 より、各 p に対して f は単射
M/M_p → L/L_p を誘導することがわかる。
よって f は単射 proj.lim M/M_p → proj.lim L/L_p を誘導する。
次の可換図式を考える。
M → L
↓ ↓
proj.lim M/M_p → proj.lim L/L_p を誘導する。
フィルター (M_p) は分離的だから標準射 M → proj.lim M/M_p は
単射である。
よって、上の可換図式より f: M → L が単射となることが分かる。
証明終
141 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/14(金) 10:46:18
142 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/14(金) 17:15:05
ここで、ちょっと寄り道になるが話の都合上、対称代数について述べる。
143 :
9208 ◆X2Eb5pqWTw :2006/04/14(金) 17:25:03
定義 A を可換環、 M を A-加群とする。 T(M) を A 上の M から生成されるテンソル代数(前スレ1の718)とする。 T(M) は明らかに次数 A-代数(前スレ1の720)である。 T(M)の部分集合 {xy - yx; x, y ∈ M} から生成される両側イデアルを I とする。 T(M)/I を A 上の M から生成される対称代数と呼び、 S(M) と書く。 I は同次元で生成されるから同次イデアルである(前スレ1の726)。 よって、S^p(M) = T^p(M)/(I ∩ T^p(M)) とおけば、 S(M) = ΣS^p(M) (直和) となる。よって S(M) も次数 A-代数である。 S^0(M) = A であり、S^1(M) = M となる。 S(M) の2元 x, y の積を xy と書く。 明らかに、xy = yx であるから S(M) は可換である。
587
145 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/18(火) 12:10:01
>>124 で予告したように、Kummerの理想数について述べる。
今までの代数的整数論の準備としての可換代数の話も平行して進めるので
混乱しないように名前をKummerとしてIDも別にする。
まず Kummer の出発点は、λを奇素数としてζを X^λ = 1 の
1以外の根の1つとしたとき、円分整数環 Z[ζ] において素元分解の
一意性が成立つかどうかという問題にあった。
これは、周知のように Fermat の最終定理と関係がある。
しかし、Kummer の目的は別にあった。
それは Gauss に始まる 高次冪剰余の相互法則の探求である。
これが、解析方面を専門にしていた彼を Z[ζ] の整数論に向かわせ、
以後20年の間、彼を捉えて離さなかった。
広く流布されている話とは違って、Fermat の最終定理に関する彼の寄与は
その研究の過程の副産物であり彼の最終目的ではなかった。
ここでは、このことを立証するのが目的ではないので、これについて
詳しくは Edwards の Fermat's Last Theorem という本を参照してもらいたい。
ここで king 登場
147 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/18(火) 13:52:40
λを奇素数としてζを X^λ = 1 の1以外の根の1つとする。 ここで、方程式 X^λ = 1 は複素数体で考える。 よって ζ は複素数である。 ζを X^λ = 1 の原始根と呼ぶ。 有理整数環 Z と ζ により生成される複素数体の部分環を 円分整数環と呼び Z[ζ] と書く。 Z[ζ] の元を円分整数と言う。 X^λ = 1 の相異なるλ個の根は ζ^i, i = 0, 1, ..., λ-1 と書ける。 1 ≦ i ≦ λ-1 のとき i はλと素だから ij ≡ 1 (mod λ) となる整数 j が存在する。よって、ζ^(ij) = ζ となる。 つまり、ζ = (ζ^i)^j である。 よって Z[ζ] ⊂ Z[ζ^i] となる。 逆の包含関係は明らかだから、Z[ζ] = Z[ζ^i] となる。 よって、環 Z[ζ] は原始根ζの取り方によらない。 これから Kummer に習って円分整数環 Z[ζ] において素元分解の一意性が 成立つかどうかという問題を調べることにする。 その前に Z[ζ] の基本的な性質を調べておく。
148 :
GiantLeaves ◆6fN.Sojv5w :2006/04/18(火) 15:16:17
talk:
>>146 私を呼んだか?
talk:
>>147 λが奇素数でない正整数でも原始λ乗根は定義できる。それについても述べるのか?
149 :
132人目の素数さん :2006/04/18(火) 15:38:21
>>148 基本的には奇素数の場合のみ述べる予定.
150 :
132人目の素数さん :2006/04/18(火) 16:23:47
習って
>>148 死ね
152 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/18(火) 16:44:25
λを奇素数としてζを X^λ = 1 の原始根の1つとする。 X^λ - 1 = (X - 1)(1 + X + ... X^(λ-1)) だから 1 + ζ + ... + ζ^(λ-1) = 0 となる。 これがζに関する自明だが最も基本的な関係式である。
153 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/18(火) 16:51:50
λを奇素数としたとき、有理数体上の多項式 1 + X + ... X^(λ-1) の 既約性をそれよりやや一般的な命題の特殊な場合として証明するため、 整数 n > 0 に対して方程式 X^n = 1 を複素数体で考える。 X^n = 1 の根全体は乗法に関して位数 n の巡回群 G となる。 G の位数 n の元を X^n = 1 の原始根と呼ぶ。 原始根は φ(n) 個ある。ここでφ(n)はEulerの関数である。 つまり、集合 {1, 2, ..., n-1} に属す元のなかで n と素な元の個数である。 ζ_1, ..., ζ_r を原始根の全体とする。ここで r = φ(n) である。 Φ_n(X) = (X - ζ_1)...(X - ζ_r) とおく。 Φ_n(X) を指数 n の円分多項式と呼ぶ。
154 :
GiantLeaves ◆6fN.Sojv5w :2006/04/18(火) 17:45:55
155 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 10:05:56
整数 n > 0 に対して円分多項式(
>>153 )の定義から
X^n - 1 = ΠΦ_r(X) となる。
ここで Φ_r(X) は r の円分多項式で r は n の正の約数全体を動く。
よって、Φ_n(X) = (X^n - 1)/ΠΦ_r(X) となる。
ここで、r は n の正の約数で n 以外のもの全体を動く。
よって、Φ_1(X) = X - 1 から初めて Φ_n(X) は帰納的に求まる。
これから Φ_n(X) の係数は有理整数であることが分かる。
156 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 14:04:16
定義 有理数体 Q 上代数的な複素数を代数的数と呼ぶ。
157 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 14:05:11
定義 有理整数環 Z 上整(前スレ1の506)な複素数を代数的整数と呼ぶ。
158 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 14:23:22
命題 一意分解整域は整閉整域(前スレ1の578)である。 証明 A を一意分解整域とし、K をその商体とする。 x = a/b を K の元で A 上整なものとする。 ここで a, b は A の元で互いに素とする。 (a/b)^n + c_1(a/b)^(n-1) + ... + c_n = 0 とする。 ここで、各 c_i は A の元である。 この等式の両辺に b^n を掛けて次式を得る。 a^n + c_1a^(n-1)b + ... c_nb^n = 0 b が A の可逆元でないとすると、b を割る A の素元 p がある。 上の等式から p は a^n したがって a を割ることになる。 これは a と b が互いに素とした仮定に反する。 よって b は可逆元であり、x は A の元である。 よって、A は K において整閉である。 証明終
159 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 14:38:59
命題
代数的整数(
>>157 )全体は複素数体の部分環となる。
つまり、代数的整数の和と積は代数的整数である。
証明
前スレ1の510 より明らか。
160 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 14:39:59
命題
αを代数的整数(
>>157 )とし、αの有理数体上のモニックな
最小多項式を f(X) とする。
このとき f(X) の係数は有理整数である。
証明
f(X) の複素数体におけるすべての根は代数的整数である。
よって、f(X) の係数も代数的整数である(
>>159 )。
>>158 より有理整数環は整閉だから、これらの係数は有理整数である。
証明終
161 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 14:46:36
補題
n > 0 を整数、ζを X^n = 1 の根(原始根とは限らない)の1つとする。
ζの有理数体上のモニックな最小多項式を f(X) とする。
p を n を割らない素数とする。
このとき f(ζ^p) = 0 となる。
証明
ζは X^n - 1 = 0 の根だから、
X^n - 1 = f(X)g(X) となる有理数係数のモニックな多項式 g(X)がある。
>>160 より f(X) の係数は有理整数である。
よって、g(X) の係数も有理整数である。
f(ζ^p) ≠ 0 として矛盾を導こう。
ζ^p も X^n - 1 = 0 の根だから、f(ζ^p)g(ζ^p) = 0 である。
f(ζ^p) ≠ 0 と仮定したから g(ζ^p) = 0 となる。
よって、ζは g(X^p) の根であるから g(X^p) は f(X) で割り切れる。
よって g(X^p) = f(X)h(X) となるモニックな多項式 h(X) がある。
h(X) の係数も有理整数である。
ここで、等式 g(X^p) = f(X)h(X) を mod p で考える。
g(X)^p ≡ g(X^p) (mod p) だから、
g(X)^p ≡ f(X)h(X) (mod p) となる。
f(X) の mod p でのの既約因子の1つをω(X) とする。
g(X)^p は mod p でω(X) で割り切れるから、
g(X) は mod p でω(X) で割り切れる。
一方、X^n - 1 = f(X)g(X) だから、
X^n - 1 は mod p で ω(X)^2 で割り切れる。
ところが、これは有り得ない。
何故なら、n は p と素で X^n - 1 は mod p で
分離的な多項式である。つまり、有限体 Z/pZ の代数的閉包において
重根をもたない。
以上から、f(ζ^p) = 0 でなければならない。
証明終
162 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 15:27:04
命題
任意の整数 n > 0 に対して、円分多項式Φ_n(X) は有理数体上既約である。
証明
ζを X^n = 1 の原始根(
>>153 )の1つとする。
ζの有理数体上のモニックな最小多項式を f(X) とする。
m > 1 を n と素な整数とする。
m = (p_1)...(p_r) を m の素因数分解とする。
ここで、p_1, ..., p_r は素数で重複も許している。
>>161 より、ζ^(p_1) も f(X) の根である。
よって再び、
>>161 より (ζ^(p_1))^(p_2) もf(X) の根である。
これを繰り返して、ζ^m も f(X) の根である。
よって、f(X) は X^n = 1 の原始根のすべてを根に持つ。
f(X) は Φ_n(X) を割るから Φ_n(X) = f(X) である。
証明終
163 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 15:38:13
命題
λを奇素数としたとき、多項式 1 + X + ... X^(λ-1) は
有理数体上既約である。
証明
上記の多項式は指数 λ の円分多項式 Φ_λ(X) に等しい。
よって
>>162 より有理数体上既約である。
証明終
164 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 15:48:41
>>162 の証明は Dedekind によるもの。
>>163 が Kummerが扱った円分整数環 Z[ζ] における最も基礎となる定理である。
165 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 16:02:41
>1 >シロート厳禁、質問歓迎! このシロート厳禁っていうの誤解を与えないか? 俺が言ったのは高校生などの、ほらよくいるだろ数論オタみたいなの、 つまり、初等数論って自然数を扱い誰でも入りやすいから、すぐFermatとか Goldbachとか、そういうのをさしてシロ−トと言ったわけ。 前にいた割り算オタみたいのが来るとやだから、そう言ったわけ。
166 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 16:41:25
次の命題は周知だが、証明しておく。 補題 p を素数とすると 1 ≦ k ≦ p - 1 のとき [p,k] ≡ 0 (mod p) である。 ここで [p,k] は p個のものから順序を無視して k 個取り出す組み合わせの数である。 つまり、[p,k] = p(p - 1)...(p - k + 1)/k! である。 証明 [p,k]k! = p(p - 1)...(p - k + 1) だから [p,k]k! ≡ 0 (mod p) である。 1 ≦ k ≦ p - 1 のとき k! は p で割れない。 [p,k] ≡ 0 (mod p) である。 証明終
167 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 13:01:58
>>163 の別証として Eisenstein の既約性定理を使用した証明を行う。
命題(Eisenstein の既約性定理)
A を一意分解整域とし、K をその商体とする。
p を A の素元とする。
f(X) = a_0X^n + a_1X^(n-1) + ... + a_n を A 係数の多項式とする。
ここで、a_0 は p で割れない。
1 ≦ i ≦ n のとき a_i ≡ 0 (mod p) とし、
a_n は p^2 で割れないとする。
このとき f(X) は K で既約である。
証明
周知なので省略。
168 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 13:08:05
>>163 の別証
命題(
>>163 と同じ)
λを奇素数としたとき、有理数体上の多項式 1 + X + ... X^(λ-1) は
既約である。
証明
h(X) = 1 + X + ... X^(λ-1) とおく。
h(X + 1) が既約であることを示せばよい。
h(X) = (X^λ - 1)/(X - 1) だから
h(X + 1) = ((X + 1)^λ - 1)/X
= X^(λ-1) + ... + [λ,k]X^(λ- k -1) + ... + [λ,λ-1]
である。
ここで [p,k] は p個のものから順序を無視して
k 個取り出す組み合わせの数である。
>>155 より [λ,k] はλ で割れる。
[λ,λ-1] = λ である。
よって、Eisenstein の既約性定理(
>>167 )より h(X + 1) は既約である。
証明終
169 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 13:10:35
170 :
132人目の素数さん :2006/04/20(木) 14:56:28
ばか
9208さんて、改名、トリ変えしたの?
172 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 15:26:06
円分整数環 Z[ζ] (
>>147 )の元は
>>163 により
(形式1) a_0 + a_1ζ + ... + a_(λ-2)ζ^(λ-2)
の形に一意に表される。
ここで、各a_i は有理整数である。
関係式 1 + ζ + ... + ζ^(λ-1) = 0 より、
ζ^(λ-1) = -1 -ζ- ... -ζ^(λ-2) となることを使って、
Z[ζ] の2元の積は、(形式1)の形に求まる。
しかし、この計算はやや面倒なので、
Z[ζ] の元を
(形式2) a0 + a_1ζ + ... + a_(λ-1)ζ^(λ-1)
の形に表すほうが便利である。
この形の2元の積は、関係式 ζ^λ = 1 を使って
(形式2)の形に求める。
Z[ζ] の元を (形式2) に表示するのは一意ではないが、
a0 + a_1ζ + ... + a_(λ-1)ζ^(λ-1) =
b0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1)
なら、a_0 - b_0 = a_1 - b_1 = ... = a_(λ-1) - b_(λ-1)
という関係が成立ち、逆も言える。
(形式2)の元を f(ζ), g(ζ) ... などと書く。
173 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 16:01:43
λ= 5 として Z[ζ] における2元の積の計算の例を挙げる。 f(ζ) = 1 + 2ζ + 3ζ^2 + 4ζ^3 + 5ζ^4 と g(ζ) = 1 + 3ζ + 2ζ^2 + ζ^3 の積は下図のように通常の10進数の計算と同様にする。 ただし、ζ^5 = 1 だから、ζ^6 = ζ、ζ^7 = ζ^2 などを考慮して 左に伸びず循環的になっている。 5 4 3 2 1 0 1 2 3 1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 5 4 3 2 1 12 9 6 3 15 6 4 2 10 8 2 1 5 4 3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 25 18 16 19 27 よって f(ζ)g(ζ) = 27 + 19ζ + 16ζ^2 + 18ζ^3 + 25ζ^4 である。 各項の係数から 16 を引いて f(ζ)g(ζ) = 11 + 3ζ + 2ζ^3 + 9ζ^4 ともなる。
174 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 17:33:16
1 ≦ i ≦ λ-1 のとき、Z[ζ] (
>>147 )の元 f(ζ) に対して、
f(ζ^i) は 一意に決まる。
つまり、f(ζ) = g(ζ) なら f(ζ^i) = g(ζ^i) である(確かめよ)。
f(ζ) のノルム Nf(ζ) を
Nf(ζ) = f(ζ)f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1))
で定義する。
175 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 17:52:22
Nf(ζ) が有理整数であることは体論で周知だが、次のように
してもわかる。
Nf(ζ) = b0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1) とする。
右辺を g(ζ) とおく。
1 ≦ i ≦ λ-1 のとき、
g(ζ^i) = f(ζ^i)f(ζ^2i)...f(ζ^(λ-1)i) = g(ζ) である(確かめよ)。
よって、
b0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1) =
b0 + b_1ζ^i + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1)i
である。
ij ≡ 1 (mod λ) となる整数 j をとれば、
ζ = (ζ^i)^j だから
b_0 - b_0 = b_1 - b_j である(
>>172 )。
よって b_1 = b_j となる。
i を変化させて、
b_1 = b_2 = ... = b_(λ-1)
となる。
よって、
Nf(ζ) = b0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1) =
b_0 + b_1(ζ+ ζ^2 + ... + ζ^(λ-1))
であるが、ζ+ ζ^2 + ... + ζ^(λ-1) = -1 だから、
Nf(ζ) = b_0 - b_1 ∈ Z である。
176 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 18:25:10
いつものように、λを奇素数としてζを X^λ = 1 の原始根の1つとする。 複素数 z の共役を z~ と書く。 ζ(ζ~) = |ζ|^2 = 1 だから ζ~ = ζ^(-1) = ζ^(λ-1) である。 1 ≦ i ≦ λ-1 のとき、 (ζ^i)~ = ζ^(-i) である。 よって、f(ζ^i)~ = f((ζ^i)~) = f(ζ^(-i)) である。 よって、f(ζ), f(ζ^2), ... f(ζ^(λ-1)) は互いに共役な (λ-1)/2 個のペアから構成される。 互いに共役な複素数の積は正だから、 Nf(ζ) = f(ζ)f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1)) ≧ 0 となる。 明らかに、Nf(ζ) = 0 が 0 となるのは f(ζ) = 0 のときに限る。
178 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/21(金) 11:11:23
円分整数のノルムが常に正である(
>>176 )というのは
複素数の性質(具体的には複素変数の指数関数の性質)、
遡れば実数の連続性から出たわけで、簡単に見えるが
わりと深い結果である。
円分整数環 Z[ζ] は Z[X]/(1 + X + ... + X^(λ-1)) として
代数的にも定義出来る。
しかし、上記の結果を実数の連続性を使わずに代数的に証明するのは
不可能だろう(たぶん)。
179 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:02:11
Eisenstein の既約性定理(
>>167 )の証明をしよう。
これは次の自明な原理に基づいている。
補題
A を整域とする。
f(X), g(X) を A[X] の 0 でない元として、
f(X) の最低次の項を a_rX^r
g(X) の最低次の項を b_sX^s とすると
h(X) = f(X)g(X) の最低次の項は a_rb_sX^(r+s) である。
180 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:04:17
>>179 から次の補題が直ちに得られる。
補題
A を整域とする。
f(X), g(X) を A[X] の元として、
cX^n = f(X)g(X) とする。ここで、c ≠ 0、n > 0 であり、
f(X), g(X) の次数はそれぞれ1以上とする。
このとき、適当な A の元 a, b があって
f(X) = aX^r、g(X) = bX^s となる。
181 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:09:43
>>180 から次の補題が直ちに得られる。
補題
A を環とし、P をその素イデアルとする。
h(X) = a_0X^n + a_1X^(n-1) + ... + a_n を A 係数の多項式とする。
ここで、a_0 は P に含まれず、
1 ≦ i ≦ n のとき a_i ≡ 0 (mod P) とする。
f(X), g(X) を A[X] の元として、h(X) = f(X)g(X) とする。
ここで、f(X), g(X) の次数はそれぞれ1以上とする。
このとき、a_n ≡ 0 (mod P^2) となる。
証明
仮定より、h(X) ≡ a_0X^n (mod P) となる。
よって、a_0X^n ≡ f(X)g(X) (mod P) である。
f(X)、g(X) のそれぞれの定数項を b, c とする。
>>180 より、b ≡ 0 (mod P), c ≡ 0 (mod P) となる。
よって a_n = bc は P^2 に含まれる。
証明終
182 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:21:54
>>181 より、Eisenstein の既約性定理(
>>167 )におけるf(X)は
f(X) = g(x)h(x) と分解されない。
ここで、g(X), h(X) は A[X] の元でともに次数が1以上である。
これから原始多項式の積が原始多項式になるというGaussの補題を使う
よく知られた論法で f(X) が K で既約であることが出る。
183 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:34:51
ついでだから、
>>182 で言及したGaussの補題の証明をしよう。
これもEisenstein の既約性定理の証明(
>>181 )と同様の論法、
つまり mod p での還元(reduction)を使う。
Gaussの補題は次の自明な原理に基づいている。
補題
A を整域とすると A[X] も整域である。
184 :
132人目の素数さん :2006/04/22(土) 12:42:39
┌-―ー-'; | (・∀・) ノ ____ 上―-―' ____ | (・∀・) | / \ | (・∀・) | | ̄ ̄ ̄ ̄ ( ̄ ̄ ̄) | ̄ ̄ ̄ ∧ ([[[[[[|]]]]]) ,∧ <⌒> [=|=|=|=|=|=] <⌒> /⌒\ _|iロi|iロiiロi|iロ|_∧ /⌒\_ ]皿皿[-∧-∧|ll||llll||llll||llll|lll| ̄|]皿皿[_| |_/\_|,,|「|,,,|「|ミ^!、|]|[|]|[|][]|_.田 | ∧_ ] | . ∩ |'|「|'''|「|||:ll;|||}{|||}{|||}{|||}{|,田田.|__| | ̄ ̄ ̄ ̄|「| ̄ ̄||[[|門門門|]]|[_[_[_[_[_[ /i~~i' l ∩∩l .l ∩ ∩ l |__| .| .∩| .| l-, ,,,,,='~| | |' |,,=i~~i==========|~~|^^|~ ~'i----i==i,, | 'i | l ,==,-'''^^ l |. ∩. ∩. ∩. | |∩| |∩∩| |~~^i~'i、 ,=i^~~.| |.∩.∩ |,...,|__|,,|__|,,|__|,,|__|,....,||,,|.|,.....,||,|_|,|.|,....,| | |~i l~| .| | ,,,---== ヽノ i ヽノ~~~ ヽノ ~ ソ^=-.i,,,,|,,,| .|..l i,-=''~~--,,, \ \ l / / / __,-=^~ |,-''~ -,,,_ ~-,,. \ .\ | ./ / _,,,-~ / ~^''=、_ _ ^'- i=''''''^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^''''''''=i -'^~ ~^^''ヽ ヽ i ジエンキャッスル / / ノ ヽ 、 l | l l / ./ / \_ 、i ヽ i / ,,==' ''==,,,,___,,,=='~
185 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:46:44
>>183 を mod P で言い換えると次の補題となる。
補題
A を環とし、P をその素イデアルとする。
f(X), g(X) を A[X] の元として、f(X) ≡ 0 (mod P) でも
g(X) ≡ 0 (mod P) でもないとする。
このとき、f(X)g(X) ≡ 0 (mod P) とならない。
186 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:54:48
定義 A を一意分解整域とし、 f(X) = a_0X^n + a_1X^(n-1) + ... + a_n を A 係数の 0 でない 多項式とする。ここで、n > 0 とする。 a_0, a_1, ..., a_n の公約元が A の可逆元以外ないとき、 f(X) を原始多項式という。
187 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 13:03:30
補題
A を一意分解整域とし、
f(X) を A 係数の次数が1以上の多項式とする。
f(X) が原始多項式(
>>186 )でないなら、A の素元 p で f(X) の各係数を
割るものがある。
証明は明らかだろう。
188 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 13:13:13
補題(Gauss)
A を一意分解整域とし、f(X), g(X) を A 係数の原始多項式とする。
このとき、f(X) と g(X) の積 h(X) も原始多項式である。
証明
p を A の任意の素元とする。
f(X) は原始多項式だから f(X) ≡ 0 (mod p) でない。
同様に、g(X) ≡ 0 (mod p) でない。
よって、
>>185 より h(X) ≡ 0 (mod p) とならない。
よって
>>187 より h(X) は原始多項式である。
証明終
189 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 15:04:21
ここで本題に戻って、円分整数環 Z[ζ] (
>>147 )における
整除の判定方法について述べる。
Z[ζ] の 非零元 f(ζ) と g(ζ) が与えられたとき、
g(ζ) = f(ζ)h(ζ) となる h(ζ) が存在するとき、
g(ζ) は f(ζ) で割れるといい、この事実を記号 f(ζ)|g(ζ) で表す。
f(ζ) が 有理整数 a のときは、この判定は簡単である。
g(ζ) = b_0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1) とし、
h(ζ) = c_0 + c_1ζ + ... + c_(λ-1)ζ^(λ-1) とする。
g(ζ) = ah(ζ) より、
b_0 - ac_0 = b_1 - ac_1 = ... = b_(λ-1) - ac_(λ-1)
となる。
よって、この等式の等しい値を k とおけば、
b_0 = ac_0 + k
b_1 = ac_1 + k
.
.
.
b_(λ-1) = ac_(λ-1) + k
となる。
つまり、b_0 ≡ b_1 ≡ ... ≡ b_(λ-1) (mod a) となる。
逆に、この関係が成立すれば、g(ζ) = ah(ζ) となる h(ζ) が求まる。
190 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 15:13:02
f(ζ) が一般のときは、f(ζ) のノルム Nf(ζ) を使うことにより、
>>189 に帰着出来る。
g(ζ) = f(ζ)h(ζ) なら、
この等式の両辺に f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1)) を掛けて
f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1))g(ζ) = (Nf(ζ))h(ζ) となる。
よって、f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1))g(ζ) は (Nf(ζ)) で割れる。
逆も成立つことは明らかだろう。
Kummer ◆g2BU0D6YN2しね
192 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 18:45:57
初等整数論においては素数が重要な役割をもつ。 よって Z[ζ] において素数にあたるものが何かを考えよう。 まず考えられるのは既約元、つまり可逆元でない元の積に分解されない 元である。しかし、一意分解整域、例えば有理整数環では既約元は 素元でもある。一般に整域 A の元 p ≠ 0 に対して pA が素イデアルと なるとき p を A の素元という。つまり可逆元でない元 p ≠ 0 が 次の性質(*)を満たすとき p を素元という。 (*) p|ab なら p|a または p|b である。 整域において素元は既約元である(確かめられたい)。 既約元が素元になるとは限らないが、一意分解整域ではそれが成立つ。 つまり、次の命題が成立つ。 命題 整域 A において、可逆元でない任意の非零元が既約元の積に 分解されるとする。 このとき、A の既約元が常に素元なら、A は一意分解整域である。 証明 a ≠ 0 を A の可逆元でない元とし、 a = (p_1)...(p_r) = (q_1)...(q_s) となるとする。 ここで、各p_i, q_j は既約元である。 仮定より p_1 は素元だから p_1|q_j となる j がある。 必要なら q_1, ..., q_s の順序を入れ替えて j = 1 と仮定してよい。 q_j は既約だから p_1 と q_1 は可逆元の積による違いを除いて一致する。 よって、可逆元の積による違いを除いて (p_2)...(p_r) = (q_2)...(q_s) となる。以上を繰り返して(正確には数学的帰納法を使って) 本命題の主張が得られる。 証明終
193 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 09:42:12
円分整数 f(ζ) が可逆元のとき、つまり f(ζ)g(ζ) = 1 となる
g(ζ) があるとき、f(ζ) を円分単数、略して単数と呼ぶ。
Nf(ζ)Ng(ζ) = 1 だから Nf(ζ) > 0 (
>>176 )に注意して
Nf(ζ) = 1 である。
逆に Nf(ζ) = 1 なら f(ζ)f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1)) = 1 だから
f(ζ) は単数である。
194 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 09:45:57
円分整数環 Z[ζ] (
>>147 )における素元(
>>192 )を円分素数と呼ぶ。
f(ζ) を円分素数とする。定義より f(ζ) は単数でないから
Nf(ζ) ≠ 1 である。
f(ζ) で割れる有理整数全体は有理整数環のイデアル I となるが、
Nf(ζ) はf(ζ) で割れるから、Nf(ζ) ∈ I である。
Nf(ζ) ≠ 0 だから I ≠ 0 である。
I は単項だから I = (m), m ≧1 となる有理整数 m がある。
m が合成数、つまり m = ab, a ≧ 1, b ≧ 1 と仮定する。
m は f(ζ) で割れるから、f(ζ)は a または b を割る。
よって、a または b が I に含まれることになり矛盾する。
よって m は素数 p である。
p は f(ζ) で割れるから p = f(ζ)g(ζ) となる円分整数 g(ζ) がある。
この両辺のノルムをとると、p^(λ-1) = Nf(ζ)Ng(ζ) となる。
よって Nf(ζ) は素数べき p^k, k ≧1 である
(円分整数のノルムが常に正である(
>>176 )ことに注意)。
195 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 10:46:53
>>194 訂正:
>I は単項だから I = (m), m ≧2 となる有理整数 m がある。
>m が合成数、つまり m = ab, a ≧ 1, b ≧ 1 と仮定する。
I は単項で I ≠ (1) だから I = (m), m ≧ 2 となる有理整数 m がある。
m が合成数、つまり m = ab, a ≧ 2, b ≧ 2 と仮定する。
196 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 11:24:02
奇素数λが具体的に与えられたとき、円分整数環 Z[ζ] (
>>147 )における
円分素数(
>>194 )を具体的に見つけるにはどうするか?
>>194 より、円分素数のノルムは素数べきだから、まずノルムが素数の
円分整数を見つけようと考えるのは自然だろう。
ここでまず問題になるのはノルムが素数の円分整数は円分素数かどうか
ということである。これは可換代数を知っていれば簡単な問題だが、
ここでは、Kummerの方法に近いやり方で、この問題を解いてみよう。
197 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 11:56:28
まずノルムが素数の円分整数を具体的にみつけよう。 最も簡単でしかも有理整数でない円分整数は ζ の一次式 a + bζ だから、 このノルムを計算する。 N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2)...(a + bζ^(λ-1)) である。 b = -1 の場合を考えれば、次の恒等式を思い出すだろう。 X^λ - 1 = (X - 1)(X - ζ)(X - ζ^2)...(X - ζ^(λ-1)) ここで、X を X/Y で置き換える。 (X/Y)^λ - 1 = (X/Y - 1)(X/Y - ζ)(X/Y - ζ^2)...(X/Y - ζ^(λ-1)) この両辺に Y^λ を掛けると、 X^λ - Y^λ = (X - Y)(X - Yζ)(X - Yζ^2)...(X - Yζ^(λ-1)) Y を -Y で置き換えると、λは奇数だから、 X^λ + Y^λ = (X + Y)(X + Yζ)(X + Yζ^2)...(X + Yζ^(λ-1)) これから、a ≠ -b のとき、 N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2)...(a + bζ^(λ-1)) = (a^λ + b^λ)/(a + b) となる。
198 :
132人目の素数さん :2006/04/24(月) 12:47:10
ニートヒッキー役たたず、脳内のみの数学者 そのままパソコン前で氏ね。
199 :
GiantLeaves ◆6fN.Sojv5w :2006/04/24(月) 12:55:44
人の脳を読む能力を悪用する奴を潰せ。
200 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 13:18:46
>>197 で除外した a = -b の場合を考える。
この場合、a + bζ = a - aζ = a(1 - ζ) である。
よって、N(1 - ζ) が求まればよい。
1 + X + ... + X^(λ - 1) = (X - ζ)(X - ζ^2)...(X - ζ^(λ-1))
において、 X = 1 と置けば、
λ = N(1 - ζ) となる。
1 < k ≦ λ - 1 のとき、
(ζ^k - 1)/(ζ - 1) = 1 + ζ + ... + ζ^(k-1)
だから、ζ^k - 1 は ζ - 1 で割れる。
kj ≡ 1 (mod λ) となる j をとる。
(ζ^j - 1)/(ζ - 1) = 1 + ζ + ... + ζ^(j-1)
この式のζをζ^k で置き換えて
(ζ^(kj) - 1)/(ζ^k - 1) = (ζ - 1)/(ζ^k - 1) =
1 + ζ^k + ... + ζ^k(j-1)
だから、ζ - 1 は ζ^k - 1 で割れる。
よって、(ζ^k - 1)/(ζ - 1) は単数(
>>193 )である。
つまり、ζ - 1 と ζ^k - 1 は、Z[ζ] における整除関係を考えるとき、
同じものと考えてよい。
λ = N(1 - ζ) = (1 - ζ)(1 - ζ^2)...(1 - ζ^(λ-1))
より、λ = ε(1 - ζ)^(λ-1) となる。
ここでεは単数である。
201 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 13:58:00
円分整数 f(ζ) が 1 - ζ または同じことだが ζ - 1 で割れるか どうかを判定するのは簡単である。 ζ ≡ 1 mod (ζ - 1) だから f(ζ) ≡ f(1) mod (ζ - 1) となる。 よって、f(ζ) が ζ - 1 で割れるなら、 f(1) ≡ 0 mod (ζ - 1) である。 よって f(1) = (ζ - 1)g(ζ) となる円分整数 g(ζ) がある。 両辺のノルムをとって、 f(1)^(λ-1) = λNg(ζ) よって、f(1) ≡ 0 mod λ となる。 逆に、f(1) ≡ 0 mod λ なら、 f(1) ≡ 0 mod (ζ - 1) である。 よって、f(ζ) ≡ 0 mod (ζ - 1) となる。
202 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 14:07:33
>>201 から ζ - 1 が円分素数であることはすぐ出る。
つまり、
f(ζ)g(ζ) ≡ 0 mod (ζ - 1) なら
>>201 より、f(1)g(1) ≡ 0 mod λ となる。
よって、f(1) ≡ 0 mod λ または g(1) ≡ 0 mod λとなる。
再び、
>>201 より f(ζ) ≡ 0 mod (ζ - 1) または
g(ζ) ≡ 0 mod (ζ - 1) となる。
203 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 15:00:01
>>201 と同様の論法で円分整数 f(ζ) のノルムの重要な性質が得られる。
ζ ≡ 1 mod (ζ - 1) だから
Nf(ζ) = f(ζ)f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1)) ≡ f(1)^(λ-1) mod (ζ - 1)
よって Nf(ζ) ≡ f(1)^(λ-1) mod λ となる。
Fermatの定理から f(1)^(λ-1) ≡ 0 または ≡ 1 mod λ となる。
よって、Nf(ζ) ≡ 0 または ≡ 1 mod λ となる。
204 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 15:19:54
>>197 の場合を考えよう。
この場合、N(a + bζ) = (a^λ + b^λ)/(a + b) は素数とは限らない。
例えば、λ = 5 のとき、N(4 + ζ) = (4^5 + 1)/5 = 1025/5 = 205
= 5・41 は素数ではない。
N(a + bζ) が素数 p になる場合を考える。
このとき b は p で割れない。
なぜなら、b ≡ 0 mod p とすると、
p ≡ 0 mod (a + bζ) だから bζ ≡ 0 mod (a + bζ) となる。
一方 a + bζ ≡ 0 mod (a + bζ) だから
a ≡ 0 mod (a + bζ) となる。
よって、a^(λ-1) ≡ 0 mod p となる(a と a + bζのノルムを考える)。
よって、a ≡ 0 mod p となる。
よって、a + bζ = p(c + dζ) となる。ここで c, d は整数。
この両辺のノルムをとると、
p = p^(λ-1)N(c + dζ) となる。
よって、p が p^(λ-1) で割れることになって矛盾。
205 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 15:41:06
>>204 の続き:
b は p で割れないから bc ≡ 1 mod p となる有理整数 c がある。
p ≡ 0 mod (a + bζ) だから bc ≡ 1 mod (a + bζ) でもある。
a + bζ ≡ 0 mod (a + bζ) の両辺に c を掛けて
ac + ζ ≡ 0 mod (a + bζ) となる。
よって ζ ≡ -ac mod (a + bζ) となる。
k = -ac とおく。
>>201 と同様にして円分整数 f(ζ) が a + bζ で割れるかどうかを
判定するのは簡単である。
ζ ≡ k mod (a + bζ) だから f(ζ) ≡ f(k) mod (a + bζ) となる。
よって、f(k) ≡ 0 mod p となるかどうかを判定すればよい。
これから
>>202 と同様にして a + bζ が円分素数であることが分かる。
読みたい奴は下がっていても読みにくるから、sageろ。 そして氏ね。
207 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 16:23:07
円分整数 f(ζ) が ζ の一次式とは限らない場合で、Nf(ζ) が
素数となる場合を考える。
まず Nf(ζ) = λの場合。
>>200 より N(ζ - 1) = λ だから
Nf(ζ) は ζ - 1 で割れる。
>>202 より ζ - 1 は円分素数だから、ある f(ζ^i) が ζ - 1 で割れる。
ここで 1 ≦ i ≦ λ- 1 である。
ij ≡ 1 mod λ とし、ζ → ζ^j による同型を
整除関係 (ζ - 1)|f(ζ^i) に作用させれば、
f(ζ) は ζ^j - 1 で割れることがわかる。
f(ζ) と ζ^j - 1 のノルムは λ だから
両者は単数の違いを除いて一致する。
208 :
132人目の素数さん :2006/04/24(月) 17:03:20
>>206 どうでもいいけど、ageるとなぜ駄目なんだ?
┌-―ー-'; | (・∀・) ノ ____ 上―-―' ____ | (・∀・) | / \ | (・∀・) | | ̄ ̄ ̄ ̄ ( ̄ ̄ ̄) | ̄ ̄ ̄ ∧ ([[[[[[|]]]]]) ,∧ <⌒> [=|=|=|=|=|=] <⌒> /⌒\ _|iロi|iロiiロi|iロ|_∧ /⌒\_ ]皿皿[-∧-∧|ll||llll||llll||llll|lll| ̄|]皿皿[_| |_/\_|,,|「|,,,|「|ミ^!、|]|[|]|[|][]|_.田 | ∧_ ] | . ∩ |'|「|'''|「|||:ll;|||}{|||}{|||}{|||}{|,田田.|__| | ̄ ̄ ̄ ̄|「| ̄ ̄||[[|門門門|]]|[_[_[_[_[_[ /i~~i' l ∩∩l .l ∩ ∩ l |__| .| .∩| .| l-, ,,,,,='~| | |' |,,=i~~i==========|~~|^^|~ ~'i----i==i,, | 'i | l ,==,-'''^^ l |. ∩. ∩. ∩. | |∩| |∩∩| |~~^i~'i、 ,=i^~~.| |.∩.∩ |,...,|__|,,|__|,,|__|,,|__|,....,||,,|.|,.....,||,|_|,|.|,....,| | |~i l~| .| | ,,,---== ヽノ i ヽノ~~~ ヽノ ~ ソ^=-.i,,,,|,,,| .|..l i,-=''~~--,,, \ \ l / / / __,-=^~ |,-''~ -,,,_ ~-,,. \ .\ | ./ / _,,,-~ / ~^''=、_ _ ^'- i=''''''^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^''''''''=i -'^~ ~^^''ヽ ヽ i ジエンキャッスル / / ノ ヽ 、 l | l l / ./ / \_ 、i ヽ i / ,,==' ''==,,,,___,,,=='~
211 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/25(火) 15:48:04
今度は、円分整数 f(ζ) のノルムがλと異なる素数 p の場合を考える。
>>203 より p ≡ 1 mod λ である。
>>205 のように ζ ≡ k mod f(ζ) となる有理数 k があれば都合がいい。
実際、そのような k があることを示そう。
まず、このような k があったと仮定して、k が満たす条件を求めよう。
ζ ≡ k mod f(ζ) より f(ζ) ≡ f(k) mod f(ζ) となる。
勿論、f(ζ) ≡ 0 mod f(ζ) だから
f(k) ≡ 0 mod f(ζ) となる。
よって、f(k) ≡ 0 mod p となる。
また ζ ≡ k mod f(ζ) より、ζ^λ ≡ k^λ mod f(ζ) となる。
ζ^λ = 1 だから k^λ ≡ 1 mod f(ζ)
よって k^λ ≡ 1 mod p である。
等式 k^λ - 1 = (k - 1)(1 + k + ... + k^(λ-1))
より、(k - 1)(1 + k + ... + k^(λ-1)) ≡ 0 mod p である。
ここで、k ≡ 1 mod p とはならない。
何故なら、もしそうなら ζ ≡ 1 mod f(ζ) となり、
ζ - 1 が f(ζ) で割れるから
N(ζ- 1) = λ が Nf(ζ) = p で割れることになり、
λ ≠ p という仮定に反する。
よって、(1 + k + ... + k^(λ-1)) ≡ 0 mod p である。
(続く)
212 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/25(火) 17:39:07
>>211 の続き
逆に、次の条件(@), (A) を満たす有理数があったとする。
(@) (1 + k + ... + k^(λ-1)) ≡ 0 mod p
(A) f(k) ≡ 0 mod p
このとき、ζ - k が f(ζ) で割れることを示そう。
>>190 より、(ζ - k)f(ζ^2)...f(ζ^(λ - 1)) が N(f(ζ)) = p で
割れることを示せばよい。
条件(A) の f(k) ≡ 0 mod p より f(X) ≡ (X - k)Q(X) mod p
となる Q(X) ∈ Z[X] がある。
よって、2 ≦ i ≦ λ - 1 となる i に対して、
f(ζ^i) ≡ (ζ^i - k)Q(ζ^i) mod p である。
よって、
(ζ - k)f(ζ^2)...f(ζ^(λ - 1)) ≡ N(ζ - k)R(ζ) mod p
となる。ここで R(ζ) はある円分整数。
ここで、N(ζ - k) ≡ 0 mod p を示せばよい。
>>197 の公式 N(a + bζ) = (a^λ + b^λ)/(a + b) より、
N(ζ - k) = (k^λ - 1)/(k - 1) = 1 + k + ... k^(λ - 1)
である。
よって 条件(@) より N(ζ - k) ≡ 0 mod p となる。
(続く)
213 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/25(火) 18:03:11
>>212 >逆に、次の条件(@), (A) を満たす有理数があったとする。
次のように訂正する:
逆に、次の条件(@), (A) を満たす有理整数があったとする。
214 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/25(火) 18:13:45
>>212 の条件(@), (A) を満たす有理整数 k が存在することを
示そう。
p ≡ 1 mod λ だから λ|(p - 1) である。
有限体 Z/pZ の乗法群は、位数 p - 1 の巡回群だから、
その約数 λ を位数とする部分群が一個だけある。
よって、Z 上の 合同方程式 X^λ ≡ 1 mod p の 根となる剰余類の数は
λ個である。
さらに、X^λ ≡ 1 mod p の根 a で a ≡ 1 mod p とはならないものを
任意にとれば、a, a^2, ..., a^(λ - 1) が
X^λ ≡ 1 mod p の 根となる剰余類すべての代表となる。
ここで、g(X) = f(X)f(X^2)...f(X^(λ - 1)) とおく。
g(ζ) = Nf(ζ) である。
よって g(ζ) - p = 0 となる。
よって g(X) - p = h(X)q(X) となる q(X) ∈ Z[X] がある。
ここで、h(X) = 1 + X + ... + X^(λ - 1) である。
g(X) ≡ h(X)q(X) mod p だから
g(a) ≡ h(a)q(a) mod p となる。
h(a) ≡ 0 mod p だから
g(a) ≡ 0 mod p となる。
つまり、f(a)f(a^2)...f(a^(λ - 1)) ≡ 0 mod p
よって f(a^i)) ≡ 0 mod p となる i がある。
k = a^i とおけばこれが求めるものである。
215 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/26(水) 08:26:47
以上をまとめる。
円分整数 f(ζ) のノルムがλと異なる素数 p とする。
>>203 より p ≡ 1 mod λ である。
>>214 より
>>212 の条件(@), (A) を満たす有理整数 k が存在する。
>>212 より ζ ≡ k mod f(ζ) となる。
>>201 と同様にして円分整数 g(ζ) が で割れるかどうかを
判定するのは簡単である。
ζ ≡ k mod f(ζ) だから、任意の円分整数 g(ζ) にたいして、
g(ζ) ≡ g(k) mod f(ζ) となる。
よって、g(k) ≡ 0 mod p となるかどうかを判定すればよい。
これから
>>202 と同様にして f(ζ) が円分素数であることが分かる。
216 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/26(水) 08:31:15
>>215 訂正
>
>>201 と同様にして円分整数 g(ζ) が で割れるかどうかを
>判定するのは簡単である。
>>201 と同様にして円分整数 g(ζ) が f(ζ) で割れるかどうかを
判定するのは簡単である。
217 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/26(水) 08:38:04
1つの素数 p が二つの円分整数 f(ζ) と g(ζ) のノルムとなるとき、 すなわち Nf(ζ) = Ng(ζ) = p となるとき、f(ζ) と g(ζ) は 単数の違いしかない。これは f(ζ) と g(ζ) が円分素数であることから 簡単にでる。
218 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/27(木) 15:11:12
今度は、今までと逆に次の問題を考える。 p ≡ 1 mod λ となる素数 p をとる。 円分素数 f(ζ) が p を割るとき Nf(ζ) = p となるか? この答えはYESである。 これは、代数的整数論の初歩を知っていれば簡単にわかるが、 今までの方法で証明しよう。
219 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/27(木) 15:16:03
p ≡ 1 mod λ だから ζ^(p-1) = 1 となる。 ここで、恒等式 X^(p-1) - 1 ≡ (X - 1)(X -2)...(X - (p-1)) mod p を利用する。 X に ζ を代入して、 ζ^(p-1) - 1 ≡ (ζ - 1)(ζ -2)...(ζ - (p-1)) mod p となる。 左辺は0だから (ζ - 1)(ζ -2)...(ζ - (p-1)) ≡ 0 mod p となる。 f(ζ) は p を割るから (ζ - 1)(ζ - 2)...(ζ - (p-1)) ≡ 0 mod f(ζ) となる。 f(ζ) は円分素数だから、 ζ - k ≡ 0 mod f(ζ) となる、k がある。ここで、1 ≦ k ≦ p - 1 である。
220 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/27(木) 15:27:53
1 ≦ i < j ≦ p - 1 のとき
f(ζ^i) と f(ζ^j) が同伴つまり f(ζ^i) = εf(ζ^j) となるとする。
ここで ε は単数である。
ζ - k ≡ 0 mod f(ζ) だから
ζ^i - k ≡ 0 mod f(ζ^i)
ζ^j ≡ k mod f(ζ^j)
である。
f(ζ^j) は f(ζ^i) で割れるから、
ζ^j ≡ k mod f(ζ^i) である。
よって、
ζ^j - ζ^i ≡ 0 mod f(ζ^i) となる。
よって、
ζ^i(ζ^(j-i) - 1) ≡ 0 mod f(ζ^i) となる。
ζ^i は単数だから、
ζ^(j-i) - 1 ≡ 0 mod f(ζ^i)
よって、
N(ζ^(j-i) - 1) は N(f(ζ^i)) で割れる。
ところが N(ζ^(j-i) - 1) = λ であり(
>>200 )、
N(f(ζ^i)) は p の冪だからこれは有り得ない。
よって、f(ζ^i) と f(ζ^j) は同伴でない。
p は f(ζ), f(ζ^2), ..., f(ζ^(λ-1))でそれぞれ割れ、
これらは互いに同伴ではない円分素数だから、
p はこれ等の積つまり、Nf(ζ) で割れる。
つまり、p = (Nf(ζ))g(ζ) となる円分整数 g(ζ) がある。
g(ζ) は有理整数でなければならない。
よって、Nf(ζ) = p となる。
221 :
tama :2006/04/28(金) 00:53:03
Kummmerさん、教えて以下。マジです・・ ある有限群Gの自己同型は、Sn(n次の対称群)の中で Φー1・G・Φ=G となるようなΦによって引き起こされる。 そのような置換の全体がGの自己同型群A(G)である。 Φー1・G・Φ=GとなるΦの全体をBとする。Bの中でGの各々の要素 を動かさないものをCとする。任意のg∈Gに対し Φー1・g・Φ=g、g・Φ=Φ・g であるから、Bの中でgの各々の要素と 交換可能な要素となる。つまり C⊆B このときBの任意の要素をbとすれば (b−1・c・b)−1・g・(b−1・c・b) =b−1・c−1・b・g・b−1・c・b =b−1・c−1・(b・g・b−1)・c・b となり、b・g・b−1はGの要素であるから、cとは交換可能。 よって =b−1・(b・g・b−1)・b=g の、cとは交換可能の理由および最後の一行の変形良く解りません。 数学が好きで群論の自己同型独習してます。お願いします・・ <記号の−1は、逆写像 or 逆元の意です>
222 :
tama :2006/04/28(金) 00:59:48
mmm・m−1 ごめんなさい
223 :
132人目の素数さん :2006/04/28(金) 11:44:32
>>221 >cとは交換可能の理由および最後の一行の変形良く解りません。
Cの定義がわかる?
つまり、Bの中でGの各々の要素を動かさないものをCとする。
このことの意味がわかる?
224 :
tama :2006/04/29(土) 00:06:41
すいません素数さん(and Kummerさん)/ GΦ=ΦGを成り立たせるΦは、Φ∈B⊆Snで、そのようなBの中には (群)演算によりGの各々の要素を動かさないようなCがあるのだ、と自分なりに 解釈しました。でも「Gの各々の要素を動かさない」というのは具体的にはどんな 意味なんでしょう・・ 読んでいる本の前の章に、正規部分群Hのことが書かれてあり ある有限群の剰余類(いずれは剰余群)を作る素となる正規部分群は、準同型写像により その写像先の群の単位元に写されるとありました。 そのことが気持ちの中にあったので まてよ・・動かさないというのは単位元的なことだから H → e(単位元) : 準同型写像による C → 動かさない : 自己同型での写像による などと、漠然と考え無理矢理に暗記しようとしてました。が、どうもしっくりいかず このサイトを偶然見つけ、質問した次第です ただ、正規部分群は写像前の始域の群の中で Hx=xHを満たす部分群だしなぁ・・ このCがGの各々の要素を動かさないというのもGの中での話で、写像後の行った先で 要素を動かしてないとか、そういう話でもないだろう・・ などとetc わかんないです。 もっとも代数自体言ってることが抽象的すぎますが、でも好きなんですよね そこがまた よろしくお願いします。
225 :
132人目の素数さん :2006/04/30(日) 23:52:24
? !(゚Д゚≡゚Д゚)? !
226 :
tama :2006/05/01(月) 00:20:10
>>223 感謝します
例題に 有限群G={e,g,g^2},g^3=e のときGの自己同型群を求めよ
というのがあり模範解答を221の証明に照らして考えてたとき、ふいに
∀g∈G、cg=gc なんだ・・って理解できました
227 :
132人目の素数さん :2006/05/01(月) 00:39:36
225の絵文字の配置、深いですね・・ 群論の「奥義」みたいな
228 :
132人目の素数さん :2006/05/01(月) 00:41:38
悟ったな
229 :
132人目の素数さん :2006/05/01(月) 08:14:15
>>224 >そこがまた よろしくお願いします。
>>223 は例外的サービスのつもり。
基本的には、このスレに関係ない質問はそれに関係した別スレに
お願いします。
230 :
132人目の素数さん :2006/05/01(月) 08:57:19
λ = 3 として Z[ζ] における素元分解を調べよう。 ζ は X^2 + X + 1 = 0 の根だから ζ は (-1 ±√(-3))/2 のどちらか である。ζ = (-1 + √(-3))/2 としよう。 Z[ζ] の元は a + bζ, a ∈ Z, b ∈ Z と一意に書ける。 N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2) = a^2 + abζ^2 + abζ + b^2 = a^2 - ab + b^2 となる。
231 :
Emperor:RootOfAnarchyConversion ◆2i2T.RCSQo :2006/05/01(月) 09:00:19
revelation:
>>230 何を言っているのですか?
232 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/01(月) 09:09:05
>>230 に名前とID(Kummer g2BU0D6YN2)を入れるの忘れていた。
a, b が有理数のときにも、N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2)
によって、a + bζのノルムを定義する。
>>230 の式
N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2) = a^2 + abζ^2 + abζ + b^2
= a^2 - ab + b^2
は明らかに a, b が有理数でも成立つ。
233 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/01(月) 09:15:28
λ = 3 のとき、Z[ζ] は、Euclid環であることを証明する。 f(ζ) ≠ 0 と g(ζ) を円分整数とする。 g(ζ)/f(ζ) = r + sζ とする。 r と s は有理数である。 |r - m| ≦ 1/2, |s - n| ≦ 1/2 となる整数 m, n がある。 円分整数 q(ζ) = m + nζ に対して N(r + sζ - (m + nζ)) = N(r - m + (s - n)ζ) = (r - m)^2 - (r - m)(s - n) + (s - n)^2 ≦ 1/4 + 1/4 + 1/4 = 3/4 つまり、N(g(ζ)/f(ζ) - q(ζ)) < 1 である。 ρ = g(ζ)/f(ζ) - q(ζ) とおく。 f(ζ)ρ = g(ζ) - f(ζ)q(ζ) ∈ Z[ζ] よって、f(ζ)ρ = r(ζ) は円分整数である。 g(ζ) = f(ζ)q(ζ) + r(ζ) N(r(ζ)) < N(f(ζ)) である。 よって、Z[ζ] は、Euclid環である。
234 :
132人目の素数さん :2006/05/01(月) 11:41:20
235 :
Emperor:RootOfAnarchyConversion ◆2i2T.RCSQo :2006/05/01(月) 12:02:31
revelation:
>>234 それはあなたの事ではないのですか?
236 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/01(月) 12:38:49
λ = 3 のとき、Z[ζ] は、Euclid環である(
>>233 )から、
一意分解整域である。
円分整数 f(ζ) と g(ζ) の最大公約数は Euclid の互除法により
求まる。
f(ζ) と g(ζ) の最大公約数を (f(ζ), g(ζ)) と書く。
これは、単数の違いを除いて一意に決まる。
237 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/01(月) 13:14:44
ここで、Z[ζ] の単数を求めよう。
>>230 の式
N(a + bζ) = a^2 - ab + b^2
より、
a^2 - ab + b^2 = 1 となる有理整数 a, b を求めればよい(
>>193 )。
この式の両辺を4倍して、
(2a - b)^2 + 3b^2 = 4
となる。
これから |b| ≦ 1 である。
つまり b = 0, 1, -1
簡単な計算で
b = 0 なら a = ±1
b = 1 ならa = 0, 1
b = -1 ならa = 0, -1
となる。
よって単数は以下の6個のみである。
1, -1, ζ, 1 + ζ, -ζ, -1 -ζ
238 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/01(月) 14:22:38
λ = 3 のとき、Z[ζ] の円分素数 f(ζ) を具体的に求める方法を考えよう。
>>194 より Nf(ζ) は、ある有理素数 p に対して p^2 の約数だから、
p または p^2 である。
まず、Nf(ζ) = p^2 の場合を考える。
p は f(ζ) で割れるから p = f(ζ)g(ζ) となる 円分整数 g(ζ)
がある。両辺のノルムをると、p^2 = p^2Ng(ζ) である。
よって Ng(ζ) = 1 である。よって、g(ζ) は単数である(
>>193 )。
これは p と f(ζ) が同伴つまり、p 自体が円分素数であることを
意味する。
次に p = λの場合を考える。
N(1 - ζ) = 3 であり(
>>200 )、
>>202 より 1 - ζ は円分素数である。
1 - ζ の共役数は 1 - ζ^2 で
1 - ζ^2 = であり、1 + ζ は、単数である(
>>237 )。
よって、3 は (1 - ζ)^2 と同伴である。
最後に Nf(ζ) = p で p ≠ λの場合を考える。
>>203 より p ≡ 1 mod λ である。
逆に p ≡ 1 mod λ なら p を割る円分素数 f(ζ) を取れば
Nf(ζ) = p となる(
>>218 )。
p を割る円分素数 f(ζ) が存在することは、Z[ζ] が一意分解整域で
ある(
>>236 )ことから明らかである。
239 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/01(月) 15:16:36
>>238 をまとめると以下のようになる。
p ≡ 0 mod 3 のとき、つまり、p = 3 のときは、1 - ζ は円分素数で
3 は (1 - ζ)^2 と同伴である。
p ≡ 1 mod 3 のときは 円分素数 f(ζ) で Nf(ζ) = p となるもの
がある。f(ζ) の共役数 f(ζ^2) も円分素数だが、
f(ζ) と f(ζ^2) は同伴でない(
>>220 )。
つまり p = f(ζ)f(ζ^2) は2個の同伴でない円分素数の積である。
p ≡ 2 mod 3 のときは、p は円分素数である。
何故なら、p を割る円分素数 f(ζ) のノルムは p または p^2 だが
これが p とすると
>>203 より p ≡ 1 mod 3 となって仮定に反するから。
よって、Nf(ζ) = p^2 となる。よって、
>>238 より p は円分素数である。
以上から有理素数 p の円分素数への分解は p が mod 3 のどの剰余類
に入るかによって3パターンに分かれることになる。
240 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/02(火) 10:32:34
λ = 3 とし、円分素数 f(ζ) のノルムが 3 と異なる有理素数 p とする。
>>215 より、
k^2 + k + 1 ≡ 0 mod p となる有理整数 k が存在し、
f(k) ≡ 0 mod p
ζ ≡ k mod f(ζ) となる。
これから f(ζ) は p と ζ- k を割ることになる。
よって、(p, ζ- k) を割る。ここで、(p, ζ- k) は p と ζ- k の
最大公約数(
>>236 )である。
(p, ζ- k) = g(ζ) とする。g(ζ) は p を割るから Ng(ζ) = p または
p^2 である。Ng(ζ) = p^2 とすると、g(ζ) は p と同伴になり、
ζ- k が p で割れることになるが、k は p で割れないから、これは
有り得ない。よって、Ng(ζ) = p である。よって g(ζ) は円分素数
であり、f(ζ) と同伴である。
241 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/02(火) 12:35:59
逆に p ≡ 1 mod 3 となる素数 p が与えられたとする。
有限体 Z/pZ の乗法群は、位数 p - 1 の巡回群だから、
>>214 と同様にして X^3 ≡ 1 mod p は、丁度3個の剰余類解をもつ。
この解の 1 と合同でないものを k とすれば、
k^2 + k + 1 ≡ 0 mod p である。
ここで、(p, ζ- k) を f(ζ) とする。
f(ζ) は単数では有り得ない。
何故なら、(p, ζ- k) = 1 と仮定すると、ζ- k の共役数 ζ^2 - k
と p の最大公約数 (p, ζ^2 - k) も 1 となり、
(p, (ζ- k)(ζ^2 - k)) = (p, N(ζ- k)) も 1 である。
ところが、N(ζ- k) = (k^3 - 1)/(k - 1) = 1 + k + k^2 である(
>>197 )
から、これは p で割れ、矛盾となる。
他方、ζ- k は p で割れないから (p, ζ- k) = p ともならない。
よって f(ζ) は 1 とも p とも同伴ではない。
よって Nf(ζ) = p となり、f(ζ) は円分素数である。
242 :
132人目の素数さん :2006/05/02(火) 12:42:23
(;´Д`)'`ァ'`ァ
243 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/02(火) 13:26:16
>>241 を使えば円分素数 f(ζ) を具体的に求めることが出来る。
p ≡ 1 mod 3 となる素数 p で最小のものは 7 である。
7 を割る円分素数を求めてみよう。
k^2 + k + 1 ≡ 0 mod 7 の解は 4 である。
よって、(7, ζ- 4) を Euclid の互除法で求めればよい。
除算には、
>>233 の方法を使用する。
N(ζ- 4) = 21 だから、7/(ζ- 4) = (ζ^2 - 4)/3 = (-5 - ζ)/3
-5/3 に最も近い有理整数は -1 である。
よって、7/(ζ- 4) - (-1) = (-2 - ζ)/3
(ζ- 4)(-2 - ζ)/3 = (-2ζ - ζ^2 + 8 + 4ζ)/3
= (9 + 3ζ)/3 = 3 + ζ
よって、7 = (ζ- 4)(-1) + 3 + ζ が 7 を ζ- 4 で割った
Euclid の除算である。
(ζ- 4)/(ζ + 3) = ζ - 1 だから (7, ζ- 4) = 3 + ζ である。
244 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/02(火) 14:00:41
>>243 の方法で原理的にはいくらでも円分素数を見つけることが出来る。
よって、任意の円分整数 f(ζ) が与えられたとき、これを円分素数の積に
分解することができる。
これは、以下のようにする
Nf(ζ) の素因数の1つを p とする。
p = 3 なら f(ζ) は ζ - 1 で割れる。
p ≡ 2 mod 3 なら p は円分素数であり、f(ζ) は p で割れる。
p ≡ 1 mod 3 なら p を割る円分素数 g(ζ) を
>>243 の方法で求める。
f(ζ) は g(ζ) または g(ζ^2) で割れる。
上記いずれの場合も f(ζ) を割る円分素数 h(ζ) が求まり、
N(f(ζ)/h(ζ)) < Nf(ζ) だから、円分整数 f(ζ)/h(ζ) に
同様の操作を行えばよい。
245 :
132人目の素数さん :2006/05/03(水) 09:03:09
2006/04/24(月) 19:41:29 ┌-―ー-'; | (・∀・) ノ ____ 上―-―' ____ | (・∀・) | / \ | (・∀・) | | ̄ ̄ ̄ ̄ ( ̄ ̄ ̄) | ̄ ̄ ̄ ∧ ([[[[[[|]]]]]) ,∧ <⌒> [=|=|=|=|=|=] <⌒> /⌒\ _|iロi|iロiiロi|iロ|_∧ /⌒\_ ]皿皿[-∧-∧|ll||llll||llll||llll|lll| ̄|]皿皿[_| |_/\_|,,|「|,,,|「|ミ^!、|]|[|]|[|][]|_.田 | ∧_ ] | . ∩ |'|「|'''|「|||:ll;|||}{|||}{|||}{|||}{|,田田.|__| | ̄ ̄ ̄ ̄|「| ̄ ̄||[[|門門門|]]|[_[_[_[_[_[ /i~~i' l ∩∩l .l ∩ ∩ l |__| .| .∩| .| l-, ,,,,,='~| | |' |,,=i~~i==========|~~|^^|~ ~'i----i==i,, | 'i | l ,==,-'''^^ l |. ∩. ∩. ∩. | |∩| |∩∩| |~~^i~'i、 ,=i^~~.| |.∩.∩ |,...,|__|,,|__|,,|__|,,|__|,....,||,,|.|,.....,||,|_|,|.|,....,| | |~i l~| .| | ,,,---== ヽノ i ヽノ~~~ ヽノ ~ ソ^=-.i,,,,|,,,| .|..l i,-=''~~--,,, \ \ l / / / __,-=^~ |,-''~ -,,,_ ~-,,. \ .\ | ./ / _,,,-~ / ~^''=、_ _ ^'- i=''''''^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^''''''''=i -'^~ ~^^''ヽ ヽ i ジエンキャッスル / / ノ ヽ 、 l | l l / ./ / \_ 、i ヽ i / ,,==' ''==,,,,___,,,
246 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/09(火) 08:38:44
Kummer は、5 ≦ λ ≦ 19 となる奇素数 λ と、
p ≡ 1 (mod λ), p < 1000 となるすべての素数 p について
N(f(ζ)) = p となる円分素数 f(ζ) を求めている。
この計算方法を以下に述べる。
この計算は実際にやってみると面白いし、Kummerの理論を
知る上でも役立つ。
まず λ = 5 として Z[ζ] における円分素数を調べよう。
まずζの一次式 a + bζ のノルムをいくつか具体的に求めてみる。
>>197 より、a ≠ -b のとき、
N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2)...(a + bζ^(λ-1))
= (a^λ + b^λ)/(a + b) となる。
これから、
N(ζ+ 2) = 11
N(ζ- 2) = 31
N(ζ+ 3) = 61
N(ζ+ 4) = 5・41
N(ζ- 3) = 11^2
N(ζ- 4) = 11・31
N(ζ+ 7) = 11・91
などとなる。
>>215 より、ζ+ 2, ζ- 2, ζ+ 3 は円分素数である。
247 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/09(火) 11:57:40
>>246 の N(ζ+ 4) = 5・41 より N(f(ζ)) = 41 となる円分素数 f(ζ)
を求めることが出来る。
>>200 より N(ζ - 1) = 5 となる。
よって、ζ - 1 は 5 を割る円分素数である。
ζ+ 4 が ζ - 1 で割れるかどうかは、
>>201 の方法を使えば簡単にわかる。
つまり、g(ζ) = ζ+ 4 としたとき、g(1) ≡ 0 mod 5 となるかを
見ればよい。g(1) = 1 + 4 ≡ 0 mod 5 で確かに成立っている。
よって、ζ+ 4 = (ζ - 1)f(ζ) となる円分整数 f(ζ) がある。
両辺のノルムを取れば、5・41 = 5N(f(ζ)) だから N(f(ζ)) = 41 である。
f(ζ) を求めるには
>>190 の方法を使う。
5f(ζ) = (ζ+ 4)(ζ^2 - 1)(ζ^3 - 1)(ζ^4 - 1)
= (ζ+ 4)(1 - ζ^2 - ζ^3 + 1)(ζ^4 - 1)
= (ζ+ 4)(2 - ζ^2 - ζ^3)(ζ^4 - 1)
= (ζ+ 4)(2ζ^4 - ζ - ζ^2 - 2 + ζ^2 + ζ^3)
= (ζ+ 4)(-2 - ζ + ζ^3 + 2ζ^4)
= -2ζ - ζ^2 + ζ^4 + 2 -8 - 4ζ + 4ζ^3 + 8ζ^4
= -6 - 6ζ - ζ^2 + 4ζ^3 + 9ζ^4
この右辺に 0 = 6 + 6ζ + 6ζ^2 + 6ζ^3 + 6ζ^4 を足して
= 5ζ^2 + 10ζ^3 + 15ζ^4
= 5ζ^2(1 + 2ζ + 3ζ^2)
よって、f(ζ) = ζ^2(1 + 2ζ + 3ζ^2) である。
ζ^2 は単数だから、N(1 + 2ζ + 3ζ^2) = 41 である。
248 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/09(火) 12:09:21
ここで、ちょっと脱線するが、Kummer は 1 の原始λ乗根の1つを 表すのに ζ ではなく α を使っている。 Kummer の計算をまねているうちに分かったことだが、α の方が 書くのに楽である。少量の計算なら大した違いはないが、 大量の計算になると別である。 我々が ζ を使ったのは現在の慣用に従ったものである。 因みに Edwards の本では α を使っている。
かなりどうでもいいような
250 :
132人目の素数さん :2006/05/09(火) 12:31:21
>>249 >大量の計算になると別である。
この意味が全然分かってないな。
どうでもよくないんだよ。
251 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/09(火) 12:39:42
Kummer は Gauss と同様に計算魔であった。 あまり知られていないが Riemann もゼータ関数に関して大量の計算を していた。 計算を軽視する人がいるが、それは思慮が足りない。 具体例を計算していくうちにある発見をするというのはよくある。
252 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/09(火) 13:07:12
>>246 にも書いたが円分整数の計算は面白い。これは実際にやってみないと
わからないだろうが。Kummerは、この面白さにはまったんだろう。
あの大量の計算をみて人は Kummer を努力の人と思うんだろうが、
実は本人は楽しみながらやっていたんだろう。
253 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/09(火) 17:24:42
訂正
>>246 の N(ζ+ 7) = 11・91 は N(ζ+ 7) = 11・191 の間違い。
254 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/10(水) 08:31:36
>>247 の N(1 + 2ζ + 3ζ^2) = 41 を確かめてみよう。
f(ζ) = 1 + 2ζ + 3ζ^2 とおく。
Nf(ζ) = f(ζ)f(ζ^2)f(ζ^3)f(ζ^4) である。
g(ζ) = f(ζ)f(ζ^4) とおけば、
g(ζ^2) = f(ζ^2)f(ζ^3) で、
Nf(ζ) = g(ζ)g(ζ^2) となる。
g(ζ) を
>>173 の方式で計算すると、
g(ζ) = (1 + 2ζ + 3ζ^2)(1 + 2ζ^4 + 3ζ^3)
= 14 + 8ζ + 3ζ^2 + 3ζ^3 + 8ζ^4
= 14 + 8(ζ + ζ^4) + 3(ζ^2 + ζ^3)
= 14 + 8θ + 3θ'
ここで、θ = ζ + ζ^4, θ' = ζ^2 + ζ^3 とおいた。
g(ζ^2) は g(ζ) からすぐ求まる。
g(ζ^2) = 14 + 8(ζ~2 + ζ^3) + 3(ζ^4 + ζ)
= 14 + 8'θ + 3θ
一方、θ + θ' = ζ + ζ^2 + ζ^3 + ζ^4 = -1
θθ' = ζ^3 + ζ^4 + ζ + ζ^2 = -1 であるから、
g(ζ) = 14 + 8θ + 3(-1 - θ) = 11 + 5θ
g(ζ^2) = 14 + 8(-1 - θ) + 3θ = 6 - 5θ
よって、
Nf(ζ) = g(ζ)g(ζ^2) = (11 + 5θ)(6 - 5θ)
= 66 - 55θ + 30θ - 25θ^2
= 66 - 25θ - 25θ^2 = 66 - 25θ(1 + θ) = 66 + 25θθ'
= 66 - 25 = 41
255 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/10(水) 16:21:36
今度は、
>>246 (及び
>>253 の訂正) の N(ζ+ 7) = 11・191 より
N(f(ζ)) = 191 となる円分素数 f(ζ) を求めよう。
N(ζ+ 2) = 11 だから、ζ+ 7 の共役のどれかが ζ+ 2 で割れる。
ζ ≡ -2 mod (ζ+ 2) であり、(-2)^2 + 7 ≡ 0 mod 11 だから
ζ^2 + 7 が ζ+ 2 で割れる(
>>215 )。
よって、ζ^2 + 7 = (ζ+ 2)f(ζ) となる円分整数 f(ζ) がある。
両辺のノルムを取れば、11・191 = 11N(f(ζ)) だから
N(f(ζ)) = 191 である。
>>247 と同様にして f(ζ) を求めるには
>>190 の方法を使う。
11f(ζ) = (ζ^2 + 7)(ζ^2 + 2)(ζ^3 + 2)(ζ^4 + 2)
= (ζ^2 + 7)(10 + 2ζ + 6ζ^2 + 4ζ^3 + 5ζ^4)
= 74 + 19ζ + 52ζ^2 + 30ζ^3 + 41ζ^4
この右辺の ζ^4 の項を消すため
0 = 41 + 41ζ + 41ζ^2 + 41ζ^3 + 41ζ^4 を引くと
= 33 - 22ζ + 11ζ^2 - 11ζ^3
= 11(3 - 2ζ + ζ^2 - ζ^3)
よって、f(ζ) = 3 - 2ζ + ζ^2 - ζ^3
256 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/10(水) 16:47:52
>>255 の N(3 - 2ζ + ζ^2 - ζ^3) = 191 を確かめてみよう。
計算の方法は
>>254 と同じである。
f(ζ) = 3 - 2ζ + ζ^2 - ζ^3 とおく。
Nf(ζ) = f(ζ)f(ζ^2)f(ζ^3)f(ζ^4) である。
g(ζ) = f(ζ)f(ζ^4) とおけば、
g(ζ^2) = f(ζ^2)f(ζ^3) で、
Nf(ζ) = g(ζ)g(ζ^2) となる。
g(ζ) を
>>173 の方式で計算すると、
g(ζ) = (3 - 2ζ + ζ^2 - ζ^3)(3 - 2ζ^4 + ζ^3 - ζ^2)
= 15 - 9ζ + 2ζ^2 + 2ζ^3 - 9ζ^4
= 15 - 9(ζ + ζ^4) + 2(ζ^2 + ζ^3)
= 15 - 9θ + 2θ'
ここで、θ = ζ + ζ^4, θ' = ζ^2 + ζ^3 とおいた。
一方、θ + θ' = ζ + ζ^2 + ζ^3 + ζ^4 = -1
θθ' = ζ^3 + ζ^4 + ζ + ζ^2 = -1 であるから、
g(ζ) = 15 - 9θ + 2(-1 - θ) = 13 - 11θ
g(ζ^2) = 13 - 11θ'
よって、
Nf(ζ) = g(ζ)g(ζ^2) = (13 - 11θ)(13 - 11θ')
= 13^2 + 13・11 - 11^2 = 169 + (13 - 11)11 = 169 + 22 = 191
257 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/10(水) 17:01:11
ノルムを計算してその値が最後にピタッと素数に一致するのが なんともいえず気持ちいい。その計算が長くて苦労するほど その気持ち良さが増加する。 やり方は、この後もっと詳しく説明するから諸君も試してみたら?
>>257 あのぐらいの計算は長いうちの入らんよ。
ここにもブルバキの被害者が・・・
あげあしとりにもならないツッコミをいれるのはやめようよ。
260 :
132人目の素数さん :2006/05/11(木) 08:10:39
>>258 >あのぐらいの計算は長いうちの入らんよ。
あれが長いなんて言ってないだろ。
あんなのは序の口なんだよ。準備運動みたいなもん。
いきなり λ = 19 の場合をやったらついてこれるか?
なんで突然名無しなんだよ?
262 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/11(木) 08:34:44
ノルムの計算には、奇素数λの円分体が有理数体上のλ-1次の 巡回拡大であるという事実を利用している。 別の言い方をすると、Gaussが発見した円分体の周期を利用している。 円分体の周期は Kummer の円分論で重要な役割をしている。 よって、彼の理論を理解するには、この扱いに十分慣れておく必要がある。
263 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/11(木) 13:07:49
例によってλをある奇素数とし、ζを1の原始λ乗根の1つとする。 r を mod λ の原始根とする。つまり r が属す mod λ の剰余類が 有限体 Z/λZ の乗法群の生成元となるようなものとする。 ζ を ζ^r に対応させることにより Z[ζ] の自己同型が得られるが、 これを σ で表す。つまり、円分整数 f(ζ) に対して σ(f(ζ)) = f(ζ^r) である。 f を λ - 1 の正の約数とする。e = (λ - 1)/f とおく。 σ^(ef) = σ^(λ - 1) = 1 に注意する。 η_0 = ζ + σ^e(ζ) + σ^(2e)(ζ) + ... + σ^((f-1)e)(ζ) η_1 = σ(ζ) + σ^(e+1)(ζ) + ... + σ^((f-1)e + 1)(ζ) . . . η_(e-1) = σ^(e-1)(ζ) + σ^(2e-1)(ζ) + ... + σ^(fe - 1)(ζ) とおく。 σ により、η_0 は η_1 に移る。 以下同様に σ を次々に作用させて η_0 → η_1 → ... → η_(e-1) → η_0 となる。 よって、各 i に対して σ^e(η_i) = η_i である。
264 :
132人目の素数さん :2006/05/11(木) 13:34:01
糞と菅とあほのキングとGolden Ammo様を召還!
コニチワー
266 :
GiantLeaves ◆6fN.Sojv5w :2006/05/11(木) 16:57:03
talk:
>>264 お前に何が分かるというのか?
おはよう
268 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/12(金) 12:44:02
>>263 の η_0, η_1, ..., η_(e-1) の各々を f 項周期または単に
周期と呼ぶ。
η_e = η_0, η_(e+1) = η_1 と定義し、
一般に、k を任意の整数として、
k ≡ i (mod e) 、0 ≦ i ≦ e-1のとき、η_k = η_i と定義する。
このとき、σ(η_k) = η_(k+1) が任意の整数 k で成立つ。
269 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/12(金) 12:48:12
円分整数 f(ζ) が σ^e で不変、つまり σ^e(f(ζ) ) = f(ζ) とする。 f(ζ) = a0 + a_1ζ + ... + a_(λ-1)ζ^(λ-1) とおく。 f(σ^e(ζ)) = a0 + a_1σ^e(ζ) + ... + a_(λ-1)σ^(e(λ-1))(ζ) であり、両者の定数項は a_0 で同じだから、 f(ζ) における ζ の係数と σ^e(ζ) の係数は同じである。 同様に、ζ^i の係数と σ^(ei)(ζ) の係数は同じである。 よって、a, b, c, ..., d を適当な有理整数として、 f(ζ) = a + bη_0 + cη_1 + ... + dη_(e-1) となる。 逆に、このような形の円分整数は σ^e で不変である。 よって、σ^e で不変な円分整数 を f 項周期から構成される円分整数と呼ぶ。
270 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/13(土) 18:14:57
f 項周期から構成される円分整数(
>>269 )は、
f(ζ) = a + bη_0 + cη_1 + ... + dη_(e-1) の形であるが、
1 + η_0 + η_1 + ... + η_(e-1) = 0 だから、
f(ζ) = (b-a)η_0 + (c-a)η_1 + ... + (d-a)η_(e-1) となる。
一方、1, ζ, ..., ζ^(λ-2) は Z 上、一次独立だから、
ζ, ζ^2, ..., ζ^(λ-1) も Z 上、一次独立である。
よって、η_0, η_1, ..., η_(e-1) も Z 上、一次独立である。
よって、η_0, η_1, ..., η_(e-1) は、
f 項周期から構成される円分整数全体のなす環
Z[η_0, η_1, ..., η_(e-1)] の Z-加群としての基底である。
271 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/13(土) 18:47:58
f 項周期から構成される円分整数全体のなす環 Z[η_0, η_1, ..., η_(e-1)] の構造は、 各 i, j に対して (η_i)(η_j) を η_0, η_1, ..., η_(e-1) の一次結合として表せば完全に決まる。 (η_i)(η_j) をη_0, η_1, ..., η_(e-1) の一次結合として 表す公式は Gauss により与えられている (van der Waerden の代数学の教科書に載っている)。 しかし、λが具体的に与えられたときは、この公式を使わなくても (η_i)(η_j) は簡単に計算出来る。
272 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/13(土) 19:15:17
f 項周期については、ひとまずこれくらいにして、
ここで、再び λ = 5 として
p ≡ 1 (mod λ) となる素数 p について
N(f(ζ)) = p となる円分素数 f(ζ) を求める問題に戻る。
今までの結果から、
N(ζ+ 2) = 11 (
>>246 )
N(ζ- 2) = 31 (
>>246 )
N(1 + 2ζ + 3ζ^2) = 41 (
>>247 )
N(ζ+ 3) = 61 (
>>246 )
N(3 - 2ζ + ζ^2 - ζ^3) = 191 (
>>255 )
となる。
p = 71 が抜けている。
よって、N(f(ζ)) = 71 となる円分素数 f(ζ) を求めよう。
公式 N(a + bζ) = (a^λ + b^λ)/(a + b) を使う今までの方法
ではうまくいきそうもない。
そこで、Kummerが見つけた方法を使う。
273 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/13(土) 19:52:07
p を素数として N(f(ζ)) = p となる円分素数 f(ζ) があれば、
>>211 ,
>>212 ,
>>214 より
次の条件(@), (A) を満たす有理整数 k がある。
(@) (1 + k + ... + k^(λ-1)) ≡ 0 mod p
(A) f(k) ≡ 0 mod p
条件(@) は 等式 k^λ - 1 = (k - 1)(1 + k + ... + k^(λ-1))
より、k ≡ 1 mod p でないという条件のもとに
k^λ ≡ 1 mod p と同値である。
Kummer のアイデアは 始めに条件(@) を満たす有理整数 k を求め
(これは簡単)、条件 (A) を満たす円分整数 f(ζ) を見つけようと
いうもの。そのような円分整数は N(f(ζ)) = p をみたすとは
限らないが、運が良ければそうなる。運といっても、実際にやると
わかるが確率的にわるくない。
274 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/17(水) 17:57:47
p を p ≡ 1 mod λ となる有理素数とし、
f(ζ) を Nf(ζ) = p となる円分素数とする。
>>215 より
(@) (1 + k + ... + k^(λ-1)) ≡ 0 mod p
(A) f(k) ≡ 0 mod p
となる有理整数 k が存在する。
さらに ζ ≡ k mod f(ζ) となる。
円分整数 g(ζ) が f(ζ) で割れるには g(k) ≡ 0 mod p が
必要十分である。
ζ ≡ k mod f(ζ) だから ζ - k = f(ζ)Q(ζ) となる
円分整数 Q(ζ) がある。
i を λ で割れない有理整数とする。ζ を ζ^i に対応させて
Z[ζ] の自己同型が得られるから ζ^i - k = f(ζ^i)Q(ζ^i) となる。
つまり、ζ^i ≡ k mod f(ζ^i) である。
ij ≡ 1 (mod λ) となる有理整数 j をとれば、
ζ = ζ^ij ≡ k^j mod f(ζ^i) である。
つまり、f(ζ) の共役 f(ζ^i) には 有理整数 k^j が対応する。
よって、円分整数 g(ζ) が f(ζ^i) で割れるには g(k^j) ≡ 0 mod p が
必要十分である。
275 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/17(水) 18:31:36
>>273 に戻る。
p を p ≡ 1 mod λ となる有理素数とし、
有理整数 k と 円分整数 g(ζ) が
(@) (1 + k + ... + k^(λ-1)) ≡ 0 mod p
(A) g(k) ≡ 0 mod p
を満たすとする。ここで、g(ζ) は円分素数とは限らないことに
注意する。
f(ζ) を Nf(ζ) = p となる円分素数とする。
>>215 より
(1) (1 + a + ... + a^(λ-1)) ≡ 0 mod p
(2) f(a) ≡ 0 mod p
となる有理整数 a が存在する。
さらに ζ ≡ a mod f(ζ) となる。
a は 合同方程式 X^λ ≡ 1 mod p の自明でない、つまり a ≡ 1 mod p
ではない解の1つである。
k もそのような解の1つだから、k ≡ a^i mod p となる
有理整数 i がある。
ij ≡ 1 (mod λ) となる有理整数 j をとれば、
>>274 より、ζ ≡ a^i mod f(ζ^j) である。
よって ζ ≡ k mod f(ζ^j) である。
g(k) ≡ 0 mod p だから g(ζ) は f(ζ^j) で割れる。
276 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/17(水) 18:45:16
>>275 の g(ζ) は円分素数ではないかもしれないが
Nf(ζ) = p となる円分素数 f(ζ) の共役の1つで割れる。
うまくいけば、g(ζ) 自体が円分素数になるかもしれない。
これが Kummer が使用した Nf(ζ) = p となる円分素数 f(ζ)
を見つける原理である。
277 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/18(木) 18:29:37
>>272 で予告していた λ = 5, p = 71 の場合に
N(f(ζ)) = p となる円分素数 f(ζ) を求めよう。
まず k^5 ≡ 1 (mod p) で k ≡ 1 (mod p) とはならない有理整数 k
を求める。
p - 1 = 70 = 5・14 である。
a を p で割れない有理整数で、a^14 ≡ 1 (mod p) とならないものとする。
k ≡ a^14 (mod p) となる有理整数 k をとれば、k^5 ≡ 1 (mod p) となる。
a = 2 とすると、2^14 ≡ 54 ≡ -17 (mod p) である。
よって、k = -17 とする。
k^2 ≡ 5 (mod p)
k^3 ≡ -14 (mod p)
k^4 ≡ 25 (mod p)
k^5 ≡ 1 (mod p)
よって、3 + k - k^3 ≡ 3 - 17 + 14 ≡ 0 (mod p) となる。
(k^3)^2 ≡ k^6 ≡ k (mod p) だから、
f(ζ) = 3 - ζ + ζ^2 とおけば、
f(k^3) ≡ 3 - k^3 + (k^3)^2 ≡ 3 - k^3 + k ≡ 0 (mod p)
278 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/19(金) 18:09:21
>>277 で求めた f(ζ) = 3 - ζ + ζ^2 のノルムを計算しよう。
計算の方法は
>>254 や
>>256 と同じである。
この方法は λ = 5 の 2項周期(
>>268 )を利用しているわけである。
Nf(ζ) = f(ζ)f(ζ^2)f(ζ^3)f(ζ^4) である。
g(ζ) = f(ζ)f(ζ^4) とおけば、
g(ζ^2) = f(ζ^2)f(ζ^3) で、
Nf(ζ) = g(ζ)g(ζ^2) となる。
g(ζ) を
>>173 の方式で計算すると、
g(ζ) = (3 - ζ + ζ^2)(3 - ζ^4 + ζ^3)
= 15 + 7ζ^2 + 7ζ^3 = 15 + 7(ζ^2 + ζ^3)
よって、
g(ζ^2) = 15 + 7(ζ + ζ^4)
θ = ζ + ζ^4, θ' = ζ^2 + ζ^3 とおけば、
g(ζ) = 15 + 7θ'
g(ζ^2) = 15 + 7θ
Nf(ζ) = (15 + 7θ')(15 + 7θ)
= 15^2 + 15・7(θ + θ') + 7^2θθ'
= 15^2 - 15・7 - 7^2
= 15・8 - 49 = 120 - 49 = 71
よって、f(ζ) は 有理素数 71 をノルムとする円分素数である。
279 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/20(土) 19:04:24
λ = 5, 7, 11, 13, 17, 19 の場合、円分整数環 Z[ζ] は
一意分解整域である。すぐ後で証明するが λ = 23 の場合は
一意分解整域ではない。
ここでは、λ = 19 の場合に p = 191 として N(f(ζ)) = p となる
円分素数 f(ζ) を求めよう。
p = 191 は λ = 19 の場合、p ≡ 1 (mod λ) となる最小の素数である。
p - 1 = 190 = 19・10 だから
>>277 と同様にして、
まず k^19 ≡ 1 (mod p) で k ≡ 1 (mod p) とはならない有理整数 k
を求める。
k ≡ 2^10 ≡ 69 (mod p) とおく。
k^2 ≡ -14 (mod p)
k^3 ≡ -11 (mod p)
k^4 ≡ 51 (mod p)
k^5 ≡ -37 (mod p)
k^6 ≡ -70 (mod p)
k^7 ≡ -55 (mod p)
k^8 ≡ 25 (mod p)
k^9 ≡ 6 (mod p)
k^10 ≡ 32 (mod p)
k^11 ≡ -74 (mod p)
k^12 ≡ -66 (mod p)
k^13 ≡ 30 (mod p)
k^14 ≡ -31 (mod p)
k^15 ≡ -38 (mod p)
k^16 ≡ 52 (mod p)
k^17 ≡ -41 (mod p)
k^18 ≡ 36 (mod p)
k^19 ≡ 1 (mod p)
よって
1 + k + k^6 = 1 + 69 -70 = 0 だから f(ζ) = 1 + ζ + ζ^6 が
求める円分素数の候補である。
280 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/20(土) 19:22:29
f(ζ) = 1 + ζ + ζ^6 のノルムを求めるために、
λ = 19 の場合の f 項周期(
>>268 ) を求める。
そのため、λ = 19 の原始根を求める必要がある。
幸いなことに 2 が原始根である。
何故なら 2^9 ≡ -1 (mod λ) で 2^18 ≡ 1 (mod λ) だから。
よって、Z[ζ] の自己同型σを σ(ζ) = ζ^2 で定義する(
>>263 )。
λ - 1 = 18 = 3・6 だから f = 3, e = 6 とする。
2^6 ≡ 7 (mod λ) だから σ^6(ζ) = ζ^7 である。
ζ, σ(ζ), σ^2(ζ), ..., σ^17(ζ) を順々に求めると
ζ, ζ^2, ζ^4, ζ^8, ζ^(-3), ζ^(-6), ζ^7, ζ^(-5), ζ^9,
ζ^(-1), ζ^(-2), ζ^(-4), ζ^(-8), ζ^3, ζ^6, ζ^(-7), ζ^5, ζ^(-9)
となる。
よって 六個づつ飛び飛びに取って、
η_0 = ζ + ζ^7 + ζ^(-8)
η_1 = ζ^2 + ζ^(-5) + ζ^3
η_2 = ζ^4 + ζ^9 + ζ^6
η_3 = ζ^8 + ζ^(-1) + ζ^(-7)
η_4 = ζ^(-3) + ζ^(-2) + ζ^5
η_5 = ζ^(-6) + ζ^(-4) + ζ^(-9)
となる。
281 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/22(月) 13:01:04
>>280 の f 項周期 η_0, η_1, ..., η_5 の間の乗法
(η_i)(η_j) をη_0, η_1, ..., η_5 の一次結合として表そう。
これは比較的楽である。
(η_0)^2 = (ζ + ζ^7 + ζ^(-8))^2
= ζ^2 + ζ^(-5) + ζ^3 + 2ζ^8 + 2ζ^(-7) + + 2ζ^(-1)
= η_1 + 2η_3
(η_0)(η_1) = (ζ + ζ^7 + ζ^(-8))(ζ^2 + ζ^(-5) + ζ^3)
= ζ^3 + ζ^(-4) + ζ^4
+ ζ^9 + ζ^2 + ζ^(-9)
+ ζ^(-6) + ζ^6 + ζ^(-5)
= η_1 + η_2 + η_5
同様にして
(η_0)(η_2) = η_0 + η_4 + η_5
(η_0)(η_3) = 3 + η_2 + η_5
(η_0)(η_4) = η_2 + η_3 + η_4
(η_0)(η_5) = η_0 + η_1 + η_4
となる。
他の組み合わせは、上からすぐ求まる。
例えば
(η_1)(η_2) = σ((η_0)(η_1)) = σ(η_1 + η_2 + η_5)
= η_2 + η_3 + η_0
これが、f 項周期の便利で面白いところ。
282 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/22(月) 19:07:06
いよいよ、f(ζ) = 1 + ζ + ζ^6 のノルムを求める計算に取り掛かる。
η_0 = ζ + ζ^7 + ζ^(-8)
η_1 = ζ^2 + ζ^(-5) + ζ^3
η_2 = ζ^4 + ζ^9 + ζ^6
η_3 = ζ^8 + ζ^(-1) + ζ^(-7)
η_4 = ζ^(-3) + ζ^(-2) + ζ^5
η_5 = ζ^(-6) + ζ^(-4) + ζ^(-9) に因んで、
g_0(ζ) = f(ζ)f(ζ^7)f(ζ^(-8))
g_1(ζ) = f(ζ^2)f(ζ^(-5))f(ζ^3 )
g_2(ζ) = f(ζ^4)f(ζ^9)f(ζ^6)
g_3(ζ) = f(ζ^8)f(ζ^(-1))f(ζ^(-7))
g_4(ζ) = f(ζ^(-3))f(ζ^(-2))f(ζ^5)
g_5(ζ) = f(ζ^(-6))f(ζ^(-4))f(ζ^(-9))
とおく。
N(f(ζ)) = g_0(ζ)g_1(ζ)g_2(ζ)g_3(ζ)g_4(ζ)g_5(ζ) である。
σ(g_0(ζ)) = g_1(ζ)
σ(g_1(ζ)) = g_2(ζ)
... などとなる。ここで σ は
>>280 で定義した Z[ζ] の自己同型である。
h_0(ζ) = g_0(ζ)g_2(ζ)g_4(ζ)
h_1(ζ) = g_1(ζ)g_3(ζ)g_5(ζ) とおく。
σ(h_0(ζ)) = h_1(ζ), σ(h_1(ζ)) = h_0(ζ) だから、
σ^2(h_0(ζ)) = h_0(ζ), σ^2(h_1(ζ)) = h_1(ζ) である。
よって、h_0(ζ) と h_1(ζ) は9項周期から構成される円分整数
である(
>>269 )。
283 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/22(月) 19:35:34
σ^6(g_0(ζ)) = g_0(ζ) だから g_0(ζ) は3項周期、
つまり、η_0, η_1, ..., η_5 から構成される。
他の g_i(ζ) も同様である。
まず、g_0(ζ) を具体的に η_0, η_1, ..., η_5 で表してみる。
g_0(ζ) = f(ζ)f(ζ^7)f(ζ^(-8))
= (1 + ζ + ζ^6)(1 + ζ^7 + ζ^4)(1 + ζ^(-8) + ζ^9)
= (1 + ζ^7 + ζ^4 + ζ + ζ^8 + ζ^5 + ζ^6 + ζ^13 + ζ^10)
* (1 + ζ^(-8) + ζ^9)
= 3 + ζ + ζ^2 + ζ^3 + ζ^4 + 2ζ^5 + ζ^6 + ζ^7 + ζ^8
+ ζ^9 + 2ζ^10 + ζ^11 + ζ^12 + 2ζ^13 + ζ^14 + 2ζ^15
+ 2ζ^16 + 2ζ^17 + ζ^18
= 3 + η_0 + η_1 + η_2 + η_3 + 2(η_4 + η_5)
= 2 + η_4 + η_5
ここで、自明な等式(
>>152 )
η_0 + η_1 + η_2 + η_3 + η_4 + η_5 = -1 を使った。
284 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/23(火) 12:49:23
>>283 で求めた g_0(ζ) = 2 + η_4 + η_5 から、
g_1(ζ) = σ(g_0(ζ)) = 2 + η_5 + η_0
g_2(ζ) = σ(g_1(ζ)) = 2 + η_0 + η_1
g_3(ζ) = σ(g_2(ζ)) = 2 + η_1 + η_2
g_4(ζ) = σ(g_3(ζ)) = 2 + η_2 + η_3
g_5(ζ) = σ(g_4(ζ)) = 2 + η_3 + η_4
となる。
よって、
h_0(ζ) = g_0(ζ)g_2(ζ)g_4(ζ)
= (2 + η_4 + η_5)(2 + η_0 + η_1)(2 + η_2 + η_3)
これを計算するため、まず g_0(ζ)g_2(ζ) を計算する。
g_0(ζ)g_2(ζ) = (2 + η_4 + η_5)(2 + η_0 + η_1)
= 4 + 2η_0 + 2η_1 + 2η_4 + η_0η_4 + η_1η_4
+ 2η_5 + η_0η_5 + η_1η_5
= 4 + 2η_0 + 2η_1 + 2η_4 + 2η_5 + (η_2 + η_3 + η_4)
+ (3 + η_0 + η_3) + (η_0 + η_1 + η_4) + (η_3 + η_4 + η_5)
= 7 + 4η_0 + 3η_1 + η_2 + 3η_3 + 5η_4 + 3η_5
ここで、η_0η_4, η_1η_4 などの計算は
>>281 を使った。
285 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/23(火) 13:08:29
h_0(ζ) = g_0(ζ)g_2(ζ)g_4(ζ)
= (7 + 4η_0 + 3η_1 + η_2 + 3η_3 + 5η_4 + 3η_5)
×(2 + η_2 + η_3)
= 14 + 8η_0 + 6η_1 + 2η_2 + 6η_3 + 10η_4 + 6η_5
+ 7η_2 + 4η_0η_2 + 3η_1η_2 + (η_2)^2 + 3η_2η_3
+ 5η_2η_4 + 3η_2η_5 + 7η_3 + 4η_0η_3 + 3η_1η_3
+ η_2η_3 + 3(η_3)^2 + 5η_3η_4 + 3η_3η_5
= 14 + 8η_0 + 6η_1 + 2η_2 + 6η_3 + 10η_4 + 6η_5
+ 7η_2 + 4(η_0 + η_4 + η_5) + 3(η_0 + η_2 + η_3)
+ (η_3 + 2η_5) + 3(η_1 + η_3 + η_4) + 5(η_0 + η_1 + η_2)
+ 3(3 + η_1 + η_4) + 7η_3 + 4(3 + η_2 + η_5)
+ 3(η_0 + η_1 + η_5) + (η_1 + η_3 + η_4)
+ 3(2η_0 + η_4) + 5(η_2 + η_4 + η_5) + 3(η_1 + η_2 + η_3)
= 35 + 29η_0 + 24η_1 + 29η_2 + 24η_3 + 29η_4 + 24η_5
= 35 + 29θ_0 + 24θ_1
= 35 + 5θ_0 + 24(θ_0 + θ_1)
= 11 + 5θ_0
ここで、θ_0 = η_0 + η_2 + η_4
θ_1 = η_1 + η_3 + η_5 とおいた。
θ_0 + θ_1 = -1 である(
>>152 )。
286 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/23(火) 15:37:08
h_0(ζ) = 11 + 5θ_0
だから、σ(θ_0) = θ_1 に注意して、
h_1(ζ) = σ(h_0(ζ)) = 11 + 5θ_1
となる。
よって、
N(f(ζ)) = h_0(ζ)h_1(ζ) = (11 + 5θ_0)(11 + 5θ_1)
= 11^2 + 11・5(θ_0 + θ_1) + 25θ_0θ_1
ここで、θ_0θ_1 を計算する必要がある。
θ_0θ_1 = (η_0 + η_2 + η_4)(η_1 + η_3 + η_5)
= η_0η_1 + η_0η_3 + η_0η_5
+ η_2η_1 + η_2η_3 + η_2η_5
+ η_4η_1 + η_4η_3 + η_4η_5
>>281 よりこの各項は、η_0η_1 と η_0η_3 と η_0η_5 が分かれば、
その他の項は添え字の付け替えで済む。
よって、
θ_0θ_1
= (η_1 + η_2 + η_5) + (η_3 + η_4 + η_1) + (η_5 + η_0 + η_3)
+ (3 + η_2 + η_5) + (3 + η_4 + η_1) + (3 + η_0 + η_3)
+ (η_0 + η_1 + η_4 ) + (η_2 + η_3 + η_0) + (η_4 + η_5 + η_2)
= 9 + 4η_0 + 4η_1 + 4η_2 + 4η_3 + 4η_4 + 4η_5
= 9 - 4 = 5
よって、
N(f(ζ)) = 11^2 + 11・5(θ_0 + θ_1) + 25θ_0θ_1
= 11^2 - 11・5 + 125 = 11(11 - 5) + 125 = 66 + 125 = 191
よって、f(ζ) = 1 + ζ + ζ^6 が求める円分素数である。
287 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/23(火) 16:04:27
f(ζ) = 1 + ζ + ζ^6 を見つけるのとそのノルムの計算には、
A4のコピー用紙6枚使って、半日以上かかった。
>>286 に書いたように N(f(ζ)) = 191 となったときは、
思わず「やった」と内心叫んだよw
ただし、Kummer とは違ってこれ以上同じような計算はしたくない
というのが本音。
288 :
132人目の素数さん :2006/05/24(水) 12:26:28
遠い南の島に、日本の歌を歌う老人がいた。 「あそこでみんな死んでいったんだ……」 沖に浮かぶ島を指差しながら、老人はつぶやいた。 太平洋戦争のとき、その島には日本軍が進駐し陣地が作られた。 老人は村の若者達と共にその作業に参加した。 日本兵とは仲良くなって、日本の歌を一緒に歌ったりしたという。 やがて戦況は日本に不利となり、 いつ米軍が上陸してもおかしくない 状況になった。 仲間達と話し合った彼は代表数人と共に日本の守備隊長の もとを訪れた。自分達も一緒に戦わせて欲しい、と。 それを聞くなり隊長 は激高し叫んだという 「帝国軍人が、貴様ら土人と一緒に戦えるか!」 日本人は仲間だと思っていたのに……みせかけだったのか。 裏切られた想 いで、みな悔し涙を流した。船に乗って島を去る日 日本兵は誰一人見送り に来ない。村の若者達は、悄然と船に乗り込んだ。しかし船が島を離れた 瞬間、日本兵全員が浜に走り出てきた。 そして一緒に歌った日本の歌を 歌いながら、手を振って彼らを見送った。先頭には笑顔で手を振るあの 隊長が。 その瞬間、彼は悟ったという。 あの言葉は、自分達を救うための ものだったのだと……。
1,2,3,4,,,,,,,n の調和平均が素数の数と漸近的にn/logn オーダーになっていくのは単なる偶然?
290 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/29(月) 16:27:44
λ = 23 の場合、p = 47 として N(f(ζ)) = p となる円分素数 f(ζ) を見つけようとしても無駄である。何故ならこのような円分素数 は存在しないから。このことを証明しよう。 λ - 1 = 22 = 2・11 だから f = 11, e = 2 として f 項周期を 求めよう。そのため mod 23 の原始根を求める。 2^2 ≡ 4 (mod 23) 2^3 ≡ 8 (mod 23) 2^4 ≡ 16 (mod 23) 2^5 ≡ 9 (mod 23) 2^6 ≡ 18 (mod 23) 2^7 ≡ 13 (mod 23) 2^8 ≡ 3 (mod 23) 2^9 ≡ 6 (mod 23) 2^10 ≡ 12 (mod 23) 2^11 ≡ 1 (mod 23) よって 2 (mod 23) の位数は 11 である。 -1 (mod 23) の位数は 2 だから -2 が原始根である。
291 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/29(月) 17:03:42
ζ を1の原始λ乗根とし、Z[ζ] の自己同型σを
σ(ζ) = ζ^(-2) で定義する(
>>263 )。
f = 11, e = 2 として、f 項周期 θ_0、θ_1 を求める。
σ^e(ζ) = ζ^4 であるから、
θ_0 = ζ + ζ^4 + ζ^(-7) + ζ^(-5) + ζ^3
+ ζ^(-11) + ζ^2 + ζ^8 + ζ^9 + ζ^(-10) + ζ^6
θ_1 = ζ(-2) + ζ^(-8) + ζ^(-9) + ζ^10 + ζ^(-6)
+ ζ^(-1) + ζ^(-4) + ζ^7 + ζ^5 + ζ^(-3) + ζ^11
(θ_0)(θ_1) を
>>173 の方法で計算すると、
(θ_0)(θ_1) = 11 + 5(θ_0 + θ_1) = 11 - 5 = 6 となる。
292 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/29(月) 17:30:14
f(ζ) を任意の円分整数として N(f(ζ)) を f 項周期を使って計算する。
>>291 を考慮して
g_0(ζ) = f(ζ)f(ζ^4)f(ζ^(-7))f(ζ^(-5))f(ζ^3)
f(ζ^(-11))f(ζ^2)f(ζ^8)f(ζ^9)f(ζ^(-10))f(ζ^6)
g_1(ζ) = f(ζ(-2))f(ζ^(-8)f(ζ^(-9))f(ζ^10)f(ζ^(-6))
f(ζ^(-1))f(ζ^(-4))f(ζ^7)f(ζ^5)f(ζ^(-3))f(ζ^11)
とおく。
N(f(ζ)) = g_0(ζ)g_1(ζ) である。
σ(g_0(ζ)) = g_1(ζ)
σ(g_1(ζ)) = g_0(ζ)
だから
σ^2(g_0(ζ)) = g_0(ζ)
σ^2(g_1(ζ)) = g_1(ζ)
よって g_0(ζ)、g_1(ζ) は f 項周期から構成される円分整数である
(
>>269 )。
よって θ_0 + θ_1 = -1 に注意して
g_0(ζ) = a + bθ_0 と表される(
>>269 )。
σ(g_0(ζ)) = g_1(ζ) で σ(θ_0 ) = θ_1 だから
g_1(ζ) = a + bθ_1 と表される。
よって (θ_0)(θ_1) = 6 (
>>291 ) より
N(f(ζ)) = (a + bθ_0)(a + bθ_1)
= a^2 + ab(θ_0 + θ_1) + b^2(θ_0)(θ_1)
= a^2 -ab + 6b^2
である。
293 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/29(月) 17:50:29
p = 47 として N(f(ζ)) = p となる円分整数があるとする。
>>292 より 47 = a^2 -ab + 6b^2 となる有理整数 a, b がある。
この等式の両辺を 4 倍して
4・47 = 4a^2 - 4ab + 24b^2
188 = (2a - b)^2 + 23b^2
b^2 ≦ 4 である。
188 は平方数ではないから b = 0 では有り得ない。
b^2 = 1 とすると、188 - 23 = 165 = 5・33 が平方数となって
これも有り得ない。
b^2 = 4 とすると、188 - 92 = 96 = 3・2^5 が平方数となって
これも有り得ない。
よって、N(f(ζ)) = p となる円分整数は存在しない。
294 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/29(月) 18:18:18
>>218 より p = 47 を割る円分素数 f(ζ) があれば
Nf(ζ) = 47 と なるが、
>>293 よりこれは有り得ない。
よって、p = 47 を割る円分素数は存在しない。
これは λ = 23 のとき円分整数環 Z[ζ] が一意分解整域でないことを
意味する。
Kummer はこれを発見して、相当なショックを受けたらしい。
何故なら、円分素数による一意分解が成立たないと有理整数環における
整数論を円分整数環に拡張するのが殆ど不可能に見えるから。
しかも、彼はこのときまでに、円分整数環における一意分解を証明
しようとして相当の時間と努力を費やしてきた。
ζ^
297 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/02(金) 17:18:24
今度は、p ≡ 0, 1 (mod λ) 以外の有理素数 p を割る円分素数に
ついて調べる。
f(ζ) をそのような円分素数とする。
円分整数 g(ζ) が mod f(ζ) で有理整数と合同、
つまり g(ζ) ≡ k (mod f(ζ)) となる有理整数 k があるとする。
このとき、g(ζ) が f(ζ) で割れるかどうかを判定するのは簡単である。
即ち、k ≡ 0 (mod p) となるかどうかを見ればいい。
よって、このような円分整数 g(ζ) の満たす性質を調べることにする。
Fermatの小定理より、k^p ≡ k (mod p) だから k^p ≡ k (mod f(ζ))
であり g(ζ)^p ≡ k^p ≡ k ≡ g(ζ) (mod f(ζ)) となる。
一方、すぐ後で示すように g(ζ)^p ≡ g(ζ^p) (mod p) が成立つ。
よって、g(ζ^p) ≡ g(ζ) (mod f(ζ))
特に、g(ζ^p) = g(ζ) であれば、当然この合同式を満たす。
p の mod λ の指数を f とする。つまり f は p^f ≡ 1 (mod λ)
となる最小の有理整数である。
Z[ζ] の自己同型τを τ(ζ) = ζ^p で定義すれば、
τの位数は f であり、τ(g(ζ)) = g(ζ^p) = g(ζ) である。
r を mod λ の原始根とし、Z[ζ] の自己同型σを σ(ζ) = ζ^r で
定義すれば、Z[ζ] の自己同型群は σ で生成される位数λ-1 の
巡回群 G である。よってその位数 f の部分群はただ1つで σ^e で
生成される。ここに、e = (λ-1)/f である。
τの位数は f だから σ^e は τ のベキであり、
(σ^e) (g(ζ)) = g(ζ) である。
つまり、、g(ζ^p) = g(ζ) となる g(ζ) は f 項周期から構成される
円分整数(
>>269 )である。
半日以上かかる計算とかやってみてー・・
Kummerさん3×7がいくらだったか忘れたらここで聞いてくださいね
300 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/07(水) 14:11:37
p を有理素数で p ≡ 0 または 1 (mod λ) とはならないとし、
f を mod λでの p の指数とする。f(ζ) を p を割る円分素数とする。
>>297 で円分整数 g(ζ) が mod f(ζ) で有理整数と合同、
つまり g(ζ) ≡ k (mod f(ζ)) となる有理整数 k があるなら、
g(ζ^p) ≡ g(ζ) (mod f(ζ)) となり、
この条件は g(ζ) が f 項周期から構成される円分整数(
>>269 )なら
満たされることを見た。
逆に f 項周期から構成される円分整数は mod f(ζ) で有理整数と合同
となることを示そう。
η を f 項周期 η_0, η_1, ... , η_(e-1) の任意の1つとして、
η ≡ k (mod f(ζ)) となる有理整数 k があることを示せばよい。
標数 p の素体 Z/pZ 上の多項式環 (Z/pZ)[X] において
等式 X^p - X = (X - 1)(X - 2)...(X - p) が成立つ
(これはFermatの小定理からただちに出る)。
(Z/pZ)[X] は標準的に Z[X]/pZ[X] と同型だから、
X^p - X ≡ (X - 1)(X - 2)...(X - p) (mod pZ[X])
となる。よって、
X^p - X = (X - 1)(X - 2)...(X - p) + pG(X) となる G(X) ∈ Z[X]
がある。よって、
η^p - η ≡ (η - 1)(η - 2)...(η - p) (mod pZ[ζ])
η を η = g(ζ) と ζ の多項式で表せば、
>>297 で述べたように
g(ζ)^p ≡ g(ζ^p) (mod pZ[ζ]) となる。
一方
>>297 より g(ζ^p) = g(ζ) である。
よって、η^p - η ≡ 0 (mod pZ[ζ]) となる。
よって、(η - 1)(η - 2)...(η - p) ≡ 0 (mod pZ[ζ]) となる。
仮定より f(ζ) は p を割るから、。
(η - 1)(η - 2)...(η - p) ≡ 0 (mod f(ζ)) となる。
f(ζ) は円分素数だから η - 1, ..., η - p のどれかを割る。
η - k を割るとすれば、η ≡ k (mod f(ζ)) である。
1 名前:ひろゆき@どうやら管理人[] 投稿日:2006/06/08(木) 10:05:39 数学に素養のある住人の数学板離れの防止、 そして数学好きの新参者が寄りつきやすい環境を整備するために 数学板の諸悪の根源を排除しましょう。 最近大量に発生している数学と関係のない雑談を繰り返すコテハン、 これを減らしていかなければ今後数学板の存亡に影響が出てくることは間違いないでしょう。 そしてこれらのコテハンを発生・定着させている根源がスレタイにあるコテハンの人物であることがはっきりと分かりました。 数学とは無縁のこのコテハンを数学板から排除することが数学板の正しい活性化のための早道です。 数学好きの真面目な住人の皆様、どんどん訴えて参りましょう。
1 名前:ひろゆき@どうやら管理人[] 投稿日:2006/06/08(木) 10:05:39 数学に素養のある住人の数学板離れの防止、 そして数学好きの新参者が寄りつきやすい環境を整備するために 数学板の諸悪の根源を排除しましょう。 最近大量に発生している数学と関係のない雑談を繰り返すコテハン、 これを減らしていかなければ今後数学板の存亡に影響が出てくることは間違いないでしょう。 そしてこれらのコテハンを発生・定着させている根源がスレタイにあるコテハンの人物であることがはっきりと分かりました。 数学とは無縁のこのコテハンを数学板から排除することが数学板の正しい活性化のための早道です。 数学好きの真面目な住人の皆様、どんどん訴えて参りましょう。
303 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/08(木) 12:37:13
>>297 で証明なしに使った次の命題を証明する。
命題
λを奇素数とし、ζを1の原始λ乗根の1つとする。
g(X) を有理整数係数の多項式とする。
このとき、任意の有理素数 p に対して、
g(ζ)^p ≡ g(ζ^p) (mod pZ[ζ]) となる。
この証明のため補題を用意する。
304 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/08(木) 12:58:24
補題
A を環とし、a, b をその2元とする。
p を有理素数とする。
このとき、
(a + b)^p ≡ a^p + b^p (mod pA)
となる。
証明
2項定理より、(a + b)^p = Σ[p,k] a^k b(p-k) である。
ここで [p,k] は p個のものから順序を無視して
k 個取り出す組み合わせの数である。
>>166 より 1 ≦ k ≦ p - 1 のとき [p,k] ≡ 0 (mod p) である。
よって本補題の主張が成立つ。
証明終
305 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/08(木) 13:06:46
a を有理整数とすると、Fermatの小定理から a^p ≡ a (mod pZ) である。
これと
>>304 から
>>303 が出る。
306 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/08(木) 13:14:07
>>300 において p ≡ 1 (mod λ) ではないと仮定したが、
この仮定がなくても、つまり f = 1 でも
>>300 の主張および
その証明はそのまま成立つ。
308 :
132人目の素数さん :2006/06/08(木) 17:59:03
書き込みを募っています。
諸悪の根源を絶やしましょう。
ゆんゆん氏ね集合
http://science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1149728739/ 1:ひろゆき@どうやら管 理人 :2006/06/08(木) 10:05:39
数学に素養のある住人の数学板離れの防止、
そして数学好きの新参者が寄りつきやすい環境を整備するために
数学板の諸悪の根源を排除しましょう。
最近大量に発生している数学と関係のない雑談を繰り返すコテハン、
これを減らしていかなければ今後数学板の存亡に影響が出てくることは間違いないでしょう。
そしてこれらのコテハンを発生・定着させている根源がスレタイにあるコテハンの人物であることがはっきりと分かりました。
数学とは無縁のこのコテハンを数学板から排除することが数学板の正しい活性化のための早道です。
数学好きの真面目な住人の皆様、どんどん訴えて参りましょう。
309 :
132人目の素数さん :2006/06/08(木) 19:15:45
書き込みを募っています。
諸悪の根源を絶やしましょう。
ゆんゆん氏ね集合
http://science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1149728739/ 1:ひろゆき@どうやら管 理人 :2006/06/08(木) 10:05:39
数学に素養のある住人の数学板離れの防止、
そして数学好きの新参者が寄りつきやすい環境を整備するために
数学板の諸悪の根源を排除しましょう。
最近大量に発生している数学と関係のない雑談を繰り返すコテハン、
これを減らしていかなければ今後数学板の存亡に影響が出てくることは間違いないでしょう。
そしてこれらのコテハンを発生・定着させている根源がスレタイにあるコテハンの人物であることがはっきりと分かりました。
数学とは無縁のこのコテハンを数学板から排除することが数学板の正しい活性化のための早道です。
数学好きの真面目な住人の皆様、どんどん訴えて参りましょう。
441
>>1 「無意味なスレ立て厳禁」
って読めませんか?
そういうくだらない話は質問スレでやってください
終 了
そして
>>1 はすぐ死ね
312 :
132人目の素数さん :2006/06/17(土) 19:36:45
age
314 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/20(火) 14:56:43
p を有理素数で p ≡ 0 または 1 (mod λ) とはならないとし、 f を mod λでの p の指数とする。 f(ζ) を p を割る円分素数とする。 Nf(ζ) = p^f となることを証明しよう。 そのためまず任意の円分整数 g(ζ) ≠ 0 のノルム Ng(ζ) が mod g(ζ) の剰余類の個数と一致することを証明する。 Z[ζ] は自由アーベル群で、その基底は 1, ζ, ..., ζ^(n-1) である。ここで、n = λ-1 とおいた。 g(ζ) で割れる円分整数の全体 g(ζ)Z[ζ] はアーベル群をなす。 その基底は g(ζ), g(ζ)ζ, ..., g(ζ)ζ^(n-1) である。 g(ζ)ζ^i = Σ a_(i,j) ζ^j とする。ここで、 0 ≦ i ≦ n - 1 、0 ≦ j ≦ n - 1 各 a_(i,j) は有理整数である。 アーベル群の良く知られた定理により、 Z[ζ]/(g(ζ)Z[ζ]) は位数 |det(A)| の有限アーベル群である。 ここで A = (a_(i,j)) である。
315 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/20(火) 15:21:19
>>314 の続き
Ng(ζ) = det(A) を証明する。
k を 1 ≦ k ≦ n である有理整数とする。
g(ζ)ζ^i = Σ a_(i,j) ζ^j より
g(ζ^k)(ζ^k)^i = Σ a_(i,j) (ζ^k)^j となる。
(i+1, k) 成分が g(ζ^k)(ζ^k)^i である行列を U とする。
(j+1, k) 成分が (ζ^k)^j である行列を V とする。
U = AV である。
よって det(U) = det(A)det(V) となる。
一方 det(U) = g(ζ)g(ζ^2)...g(ζ^n)det(V) = Ng(ζ)det(V) である。
よって、Ng(ζ)det(V) = det(A)det(V) となる。
ここで、det(V) ≠ 0 がいえれば Ng(ζ) = det(A) となる。
det(V) は ζ, ζ^2, ..., ζ^n に関する Vandermondeの行列式であり
よく知られた公式により
det(V) = Π(ζ^j - ζ^i) となる。ここで積は n ≧ j > i ≧ 1
となる (j, i) の組全体を渡る。
よって、det(V) ≠ 0 である。
証明終
316 :
132人目の素数さん :2006/06/20(火) 15:27:39
ゆんゆん氏ね
317 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/20(火) 15:28:08
>>314 >アーベル群の良く知られた定理により、
>Z[ζ]/(g(ζ)Z[ζ]) は位数 |det(A)| の有限アーベル群である。
>ここで A = (a_(i,j)) である。
0でない円分整数のノルムは常に正である(
>>176 )から、
|det(A)| = det(A) = Ng(ζ) である。
318 :
132人目の素数さん :2006/06/20(火) 15:29:08
ゆんゆん氏ね
319 :
132人目の素数さん :2006/06/20(火) 15:30:42
320 :
132人目の素数さん :2006/06/20(火) 15:31:48
ゆんゆん氏ね
321 :
132人目の素数さん :2006/06/20(火) 15:32:43
322 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/20(火) 17:53:30
後で引用するため補題を用意する。
補題
p を有理素数ととし、n ≧ 1 を有理整数とする。
K を 有限素体 F = Z/pZ の n 次の拡大体とする。
K の元 x に対して u(x) = x^p とおくと、u は K/F の
自己同型写像である。
証明
x, y を K の2元とする。
>>304 より u(x + y) ≡ u(x) + u(y) (mod pK)
であるが、pK = 0 だから
u(x + y) = u(x) + u(y) である。
u(1) = 1, u(xy) = u(x)u(y) は明らかである。
よって u は K の自己順同型写像である。
K は体だから x ≠ 0 なら u(x) ≠ 0 である。
よって u は単射である。K は有限集合だから u は全射である。
よって u は K の自己同型写像である。
Fermat の小定理より x ∈ F のとき x^p = x だから u は K/F の
自己同型写像である。
証明終
Kummerさんすげぇ。 どうせならTeXでノート作ったら、、
324 :
132人目の素数さん :2006/06/21(水) 06:54:24
ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク
325 :
132人目の素数さん :2006/06/21(水) 08:03:59
ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク ジークジークジークジークジーク
326 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/21(水) 08:43:49
補題
p を有理素数とし、n ≧ 1 を有理整数、 m ≧ 1 をその約数とする。
K を 有限素体 F = Z/pZ の n 次の拡大体とする。
このとき F の m 次の拡大体 L で K の部分体となるものがただ1つ
存在する。
証明
n = mr とする。
公式
X^r - 1 = (X - 1)(1 + X + ... + X^(r-1))
において X = p^m とおくと、
p^n - 1 = (p^m - 1)(1 + p^m + ... + (p^m)^(r-1))
となる。
よって p^m - 1 は p^n - 1 の約数である。
K の乗法群は位数 p^n - 1 の巡回群である
(この証明は mod p の原始根の存在の証明と同様)。
よって、位数 p^m - 1 の部分群 H が存在する。
H の元は X^(p^m - 1) - 1 の根全体である。
よって L = H ∪ {0} とおくと L の元は X^(p^m) - X の根全体である。
>>322 を使って K の自己同型 u を u(x) = x^p で定義する。
L = {x; u^m(x) = x} である。これから容易にわかるように
L は体である。L の元の個数は p^m だから F の m 次の拡大体である。
逆に F の m 次の拡大体 L で K の部分体となるものがあれば
L の元の個数は p^m であり L の元は X^(p^m) - X の根全体である。
よって L は一意に決まる。
証明終
327 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/21(水) 08:55:06
>>314 >p を有理素数で p ≡ 0 または 1 (mod λ) とはならないとし、
>f を mod λでの p の指数とする。
>f(ζ) を p を割る円分素数とする。
>Nf(ζ) = p^f となることを証明しよう。
K = Z[ζ]/(f(ζ)Z[ζ]) は有限整域だから有限体である。
>>314 より その元の個数は Nf(ζ) である。
Z[ζ]/(f(ζ)Z[ζ]) は 有限素体 F = Z/pZ の有限次拡大体だから、
その拡大次数を r とすれば、Nf(ζ) = p^r である。
ζ の mod f(ζ) の剰余類を ωとする。
K は体として F 上 ω で生成される。つまり K = F(ω) である。
F 上の多項式 X^λ - 1 を考える。
λ ≠ p だからこの多項式は重根をもたない。
ω^λ = 1 だから、この多項式は K において λ個の根を持つ。
これ等の根は L の乗法群の部分群であるから
p^r - 1 は λで割れる。つまり p^r ≡ 1 (mod λ) である。
このことは
>>203 からも分かる。
よって、r は f で割れる。
>>326 より p^f 個の元からなる K の部分体 L がある。
p^f ≡ 1 (mod λ) だから L において X^λ - 1 はλ個の根を持つ。
よって ω ∈ L である。よって K = L だから r = f である。
証明終
328 :
132人目の素数さん :2006/06/21(水) 08:57:43
きめぇんだよ、このハゲ
329 :
132人目の素数さん :2006/06/23(金) 09:05:16
p を有理素数で p ≠ λとし、 f を mod λでの p の指数とする。
f(ζ) を p を割る円分素数とする。
mod f(ζ) の剰余類の個数は
>>314 ,
>>327 より p^f である。
このことは次のようにしても分かる。
r を mod λ の原始根とする。つまり r が属す mod λ の剰余類が
有限体 Z/λZ の乗法群の生成元となるようなものとする。
ζ を ζ^r に対応させることにより Z[ζ] の自己同型が得られるが、
これを σ で表す。つまり、円分整数 f(ζ) に対して
σ(f(ζ)) = f(ζ^r) である。
不定元 X の多項式
P(X) = (X - ζ)(X - σ^e(ζ))...(X - σ^((f-1)e)(ζ))
を考える。
P(X) の係数は σ^e で不変である。よって f 項周期から構成される
円分整数である(
>>269 )。
f 項周期から構成される円分整数の全体を A とおく。
A は Z[ζ] の部分環である。
P(X) は次数 f の A 係数のモニックな多項式で P(ζ) = 0 であるから
Z[ζ] は A-加群として 1, ζ, ..., ζ^(f-1) で生成される。
つまり、Z[ζ] = A + Aζ + ... + Aζ^(f-1) である。
1, ζ, ..., ζ^(f-1) は A 上の自由基底であるがこの証明は
後で述べる。
330 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/23(金) 09:12:18
331 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/23(金) 11:56:00
>>329 より任意の円分整数 g(ζ) は
g(ζ) = h_0(ζ) + h_1(ζ)ζ + ... + h_(f-1)(ζ)ζ^(f-1)
と書ける。ここで各 h_i(ζ) はf 項周期から構成される円分整数
である。
>>300 から f 項周期から構成される円分整数 h(ζ) は
mod f(ζ) で有理整数と合同である。
つまり h(ζ) ≡ k (mod f(ζ)) となる有理整数 k がある。
この k は mod p で一意に定まる。
よって、
g(ζ) ≡ k_0 + k_1ζ + ... + k_(f-1)ζ^(f-1) (mod f(ζ))
となる。ここで、各 k_i は有理整数である。
よって、mod f(ζ) の剰余類の個数は p^f 以下である。
一方、mod f(ζ) の剰余環は有限体であり、
ζ の mod f(ζ) の剰余類を ωとすると、
ω^λ = 1 だから、剰余類の個数は p^f で割れる(
>>327 )。
よって、剰余類の個数は p^f である。
このことから、上の k_0, ..., k_(f-1) は mod p で一意に決まる
ことが分かる。
332 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/23(金) 12:52:48
>>331 の
任意の円分整数 g(ζ) は
g(ζ) ≡ k_0 + k_1ζ + ... + k_(f-1)ζ^(f-1) (mod f(ζ))
と表され、k_0, ..., k_(f-1) は mod p で一意に決まるということは、
f 項周期から構成される円分整数が mod f(ζ) で有理整数と合同である
という事実を使わなくても、mod f(ζ) の剰余類の個数は p^f である
(
>>327 )ということから以下のようにすぐ出る。
ζ の mod f(ζ) の剰余類を ωとする。
>>327 で示したように Z[ζ]/(f(ζ)Z[ζ]) は体として Z/pZ 上 ω で
生成される。よってωの Z/pZ 上の次数は f である。
よって、剰余体 Z[ζ]/(f(ζ)Z[ζ]) の任意の元は
Z/pZ 上 1, ω, ..., ω^(f-1) の一次結合として一意に表される。
よって、上の主張が得られる。
333 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/23(金) 14:43:07
いつものように、p を有理素数で p ≠ λとし、 f を mod λでの
p の指数とする。 f(ζ) を p を割る円分素数とする。
η_0, η_1, ... , η_(e-1) を f 項周期とする。
>>300 より
η_0 ≡ u_0 (mod f(ζ))
η_1 ≡ u_1 (mod f(ζ))
.
.
.
η_(e-1) ≡ u_(e-1) (mod f(ζ))
となる有理整数 u_0, u_1, ..., u_(e-1) が存在する。
f 項周期から構成される円分整数は Φ(η_0, η_1, ... , η_(e-1))
と η_0, η_1, ... , η_(e-1) の多項式(1次式)で表される(
>>269 )。
Φ(η_0, η_1, ... , η_(e-1)) を Φ(η) と略記する場合もある。
Φ(η_0, η_1, ... , η_(e-1)) に
Φ(u_0, u_1, ... , u_(e-1)) (mod p) を対応させることにより、
A から Z/pZ への写像が定まる。ここで A は
f 項周期から構成される円分整数全体のなす Z[ζ] の部分環である。
Φ(u_0, u_1, ... , u_(e-1)) (mod p) が
円分整数 Φ(η_0, η_1, ... , η_(e-1)) のみで定まり多項式
Φ(X_0, ..., X_(e-1)) の選び方によらないことは、
Φ(η_0, η_1, ... , η_(e-1)) ≡
Φ(u_0, u_1, ... , u_(e-1)) (mod f(ζ))
となることから明らかだろう。
334 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/23(金) 15:08:06
>>329 より任意の円分整数 g(ζ) は
g(ζ) = Φ_0(η) + Φ_1(η)ζ + ... + Φ_(f-1)(η)ζ^(f-1)
と書ける。ここで各 Φ_i(η) はf 項周期から構成される円分整数
である。
g(ζ) ≡ Φ_0(u) + ... + Φ_(f-1)(u)ζ^(f-1) (mod f(ζ))
である。ここで、Φ_i(u) は Φ_i(u_0, u_1, ... , u_(e-1)) の
略記である。
>>331 から有理整数の列 Φ_0(u), ..., Φ_(f-1)(u) は mod p で
一意に決まる。
よって、g(ζ) が f(ζ) で割れるかどうかを判定するには、
Φ_0(u) ≡ 0, ..., Φ_(f-1)(u) ≡ 0 (mod p) となるかどうかを
判定すればよい。
335 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/23(金) 15:31:24
後に付値論をやるときに詳しく説明するが
環からある体の中への準同型写像のことをその環の特殊化という。
>>333 では f 項周期から構成される円分整数全体のなす環の
(Z/pZ への)特殊化を定義していることになる。
特殊化の理論は van der Waerden が代数幾何において初めて導入し、
Zariski, Weil などが発展させた。
336 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/23(金) 15:50:46
>>334 より、f(ζ) の値を知らなくても有理整数の列
u_0, u_1, ..., u_(e-1) さえ知っていれば、
任意の円分整数の f(ζ) による整除の判定は出来る。
よって、p を割る円分素数が存在しない場合でも
有理整数の列 u_0, u_1, ..., u_(e-1) をうまく選べば
f(ζ) によるのと同様な整除関係が定義できてその剰余類を
考えることが出来るのではないかというのが、Kummer の理想数の
アイデアの出発点であった。
337 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/23(金) 16:46:45
ここで、少し先回りして Kummer の理想数の説明をする。
Kummer の理想数とは可換環論における因子(前スレ2の826)
と本質的に同じものである。
まず、f 項周期から構成される円分整数のなす環の特殊化(
>>335 )の
同値類として素因子を定義する。1 - ζ が定める Z[ζ] の
特殊化(
>>201 )の同値類も素因子の特別なものとする。
次に素因子の形式的な積として
因子を定義する。これが Kummer の理想数と言っていい。
次に P を素因子として n ≧ 1 を有理整数として、
g(ζ) が P^n で割れることを定義する(後述)。
P_1, ..., P_r を素因子として n_1 ≧ 1, ..., n_r ≧ 1 を
有理整数とする。
円分整数 g(ζ) が因子 D = (P_1)^(n_1)...(P_r)^(n_r)で割れることは
g(ζ) が各 (P_i)^(n_i) で割れることと定義する。
338 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/23(金) 17:40:09
素因子(
>>337 )を定義する前に、そのモデルである円分素数を
もっと詳しく調べることにする。
p を有理素数で p ≠ λとし、 f を mod λでの p の指数とする。
f(ζ) を p を割る円分素数とする。
r を mod λ の原始根とする。
σ(ζ) = ζ^r で Z[ζ] の自己同型σを定義する。
>>331 より
(X - ζ)(X - σ^e(ζ))...(X - σ^((f-1)e)(ζ))
≡ G_0(X) (mod f(ζ))
となる有理整数係数のモニックな多項式 G_0(X) がある。
同様に
(X - σ(ζ))(X - σ^(e+1)(ζ))...(X - σ^((f-1)e + 1)(ζ) )
≡ G_1(X) (mod f(ζ))
.
.
(X - σ^(e-1)(ζ))(X - σ^(2e-1)(ζ))...(X - σ^(fe - 1)(ζ) )
≡ G_(e-1) (mod f(ζ))
となる有理整数係数のモニックな多項式 G_1(X), ..., G_(e-1) がある。
1 + X + ... + X^(λ-1) ≡ G_0(X)G_1(X)...G_(e-1)(X) (mod f(ζ))
である。
この式の両辺とも有理整数係数の多項式だから、
1 + X + ... + X^(λ-1) ≡ G_0(X)G_1(X)...G_(e-1)(X) (mod p)
である。
339 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/27(火) 13:59:38
>>338 の続き。
(X - ζ)(X - σ^e(ζ))...(X - σ^((f-1)e)(ζ))
≡ G_0(X) (mod f(ζ))
だから 両辺の X に ζ を代入して
G_0(ζ) ≡ 0 (mod f(ζ))
となる。
よって ζ が代表する mod f(ζ) の剰余類を ω とすれば
ω は Z/pZ 上 f 次の多項式 G_0(X) (mod p) の根となる。
一方、mod f(ζ) の剰余類の個数は
>>314 ,
>>327 より p^f である。
よって、ω の Z/pZ 上 の次数は f である。
よって G_0(X) は mod p で既約である。
同様に、ω^r は G_1(X) (mod p) の根となる。
r は λと素だから、ω = (ω^r)^i となる有理整数 i がある。
よって (Z/pZ)(ω) = (Z/pZ)(ω^r) である。
よって、ω^r の Z/pZ 上 の次数は f である。
よって G_1(X) は mod p で既約である。
以下同様に、G_2(X), ..., G_(e-1)(X) も mod p で既約である。
従って
>>338 で得た合同式
1 + X + ... + X^(λ-1) ≡ G_0(X)G_1(X)...G_(e-1)(X) (mod p)
は 1 + X + ... + X^(λ-1) の mod p での既約多項式への分解を
与えている。
G_0(X), G_1(X), ..., G_(e-1) が mod p で互いに異なることは、
1 + X + ... + X^(λ-1) が mod p で重根を持たないことから明らか
である。
340 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/27(火) 14:58:46
>>339 の続き。
F = Z/pZ とおく。
Z[ζ] の元 g(ζ) に g(ζ) が代表する mod f(ζ) による剰余類
g(ω) を対応させることにより、Z[ζ] から 有限体 F(ω) への
準同型写像 Φが得られる。つまり Φ(g(ζ)) = g(ω) である。
Φ は明らかに全射である。
G_0(X) は mod p で既約で G_0(ω) = 0 だから
Φ(g(ζ)) = g(ω) = 0 なら、g(X) は mod p で G_0(X) で割れる。
つまり、 g(X) = G_0(X)Q(X) + pH(X) となる Q(X), H(X) ∈ Z[X]
がある。このことを g(X) ≡ 0 mod (p, G_0(X)) と書く。
逆に、g(X) ≡ 0 mod (p, G_0(X)) なら g(ω) = 0 である。
一方、定義からΦ(g(ζ)) = 0 と g(ζ) が f(ζ) で割れることは
同値である。よって、g(ζ) が f(ζ) で割れるためには
g(X) ≡ 0 mod (p, G_0(X)) となることが必要十分である。
341 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/27(火) 15:37:15
>>340 の続き。
1 ≦ i ≦ e - 1 のとき Z[ζ] の元 g(ζ) に対して
g(X) ≡ 0 mod (p, G_i(X)) はどういう意味があるのだろうか?
始めに i = 1 の場合を考える。
>>338 において σ(ζ) = ζ^r で Z[ζ] の自己同型σを定義した。
σ とΦの合成写像 Φσ: Z[ζ] → Z[ζ] → F(ω) を考える。
これは Z[ζ] から F(ω) への準同型写像である。
Φσ(g(ζ)) = Φ(g(ζ^r)) = g(ω^r) である。
G_1(X) は mod p で既約で G_1(ω^r) = 0 だから
g(ω^r) = 0 であるためには g(X) ≡ 0 mod (p, G_1(X)) となることが
必要十分である。 一方 Φ(g(ζ^r)) = 0 であるためには
g(ζ^r) が f(ζ) で割れることが必要十分である。
これは g(ζ) が f(σ^(-1)(ζ)) で割れることと同値である。
つまり、g(X) ≡ 0 mod (p, G_1(X)) と g(ζ) が f(σ^(-1)(ζ)) で
割れることは同値である。
同様にして、g(X) ≡ 0 mod (p, G_i(X)) と g(ζ) が
f(σ^(-i)(ζ)) で割れることは同値である。
誰も相手にしてくれないのに
343 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/27(火) 17:02:42
>>341 の続き。
>>300 より
η_0 ≡ u_0 (mod f(ζ))
η_1 ≡ u_1 (mod f(ζ))
.
.
η_(e-1) ≡ u_(e-1) (mod f(ζ))
となる有理整数 u_0, u_1, ..., u_(e-1) が存在する。
Z/pZ における u_0 の mod p の剰余類を v_0 と書く。
同様に v_1, ..., v_(e-1) を定義する。
すると、
Φ(η_0) = v_0
Φ(η_1) = v_1
.
.
Φ(η_(e-1)) = v_(e-1)
である。
よって、
Φσ(η_0) = Φ(η_1) = v_1
Φσ(η_1) = Φ(η_2) = v_2
.
.
Φσ(η_(e-1)) = Φ(η_0) = v_0
である。
以下同様。
344 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/27(火) 17:41:54
>>341 から次のことが分かる。
f(ζ), f(σ^(-1)(ζ)), f(σ^(-2)(ζ)), ..., f(σ^(-(e-1))(ζ))
は互いに同伴(
>>220 )でない円分素数である。
何故なら、0 ≦ i < j ≦ e - 1 のとき f(σ^(-i)(ζ)) と
f(σ^(-j)(ζ)) が同伴なら任意の g(X) ∈ Z[X] に対して
g(X) ≡ 0 mod (p, G_i(X)) と g(X) ≡ 0 mod (p, G_j(X)) が
同値になるが、G_i(X) と G_j(X) は mod p で異なるから、
これは有り得ないからである。
345 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/27(火) 17:56:19
>>341 からさらに次のことが分かる。
円分整数 g(ζ) が f(ζ), f(σ^(-1)(ζ)), ..., f(σ^(-(e-1))(ζ))
の全てで割れれば g(ζ) は p で割れる。
証明
0 ≦ i ≦ e - 1 のとき
g(X) ≡ 0 mod (p, G_i(X)) となる。
>>339 より
1 + X + ... + X^(λ-1) ≡ G_0(X)G_1(X)...G_(e-1)(X) (mod p)
であり、各 G_i(X) は互いに異なるから
g(X) ≡ 0 mod (p, 1 + X + ... + X^(λ-1)) となる。
よって g(ζ) は p で割れる。
証明終
346 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/06/27(火) 18:05:01
347 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/28(水) 09:48:52
p を有理素数で p ≠ λとし、 f を mod λでの p の指数とする。
r を mod λ の原始根とする。
σ(ζ) = ζ^r で Z[ζ] の自己同型σを定義する。
p を割る円分素数が必ずしも存在しない場合を考える。
F = Z/pZ とおく。
F の代数的閉包を Ω とする。以後 F の代数拡大体と、
F 係数の多項式の根は Ω の中で考える。
1 + X + ... + X^(λ-1) を mod p で既約多項式に分解する。
つまり、
1 + X + ... + X^(λ-1) ≡ G_0(X)G_1(X)...G_(e-1)(X) (mod p)
とし、各 G_i(X) は mod p で既約でモニックな多項式とする。
多項式 X^λ- 1 の微分は λX^(λ-1) であり、p ≠ λ だから
これは mod p で 0 ではない。よって X^λ- 1 は mod p で重根を
持たない。よって、1 + X + ... + X^(λ-1) も mod p で重根を
持たない。よって、各 G_i(X) は互いに異なる。
G_i(X) の各係数を mod p で還元して得られる F 係数の多項式
を g_i(X) と書く。g_0(X) の根の1つをωとする。
F(ω) は有限体である。g_0(X) の次数を k とすると F(ω) の元の
個数は p^k である。
ω は 1 + X + ... + X^(λ-1) の根でもあるから ω^λ = 1 である。
よって、F(ω) において X^λ- 1 は λ個の相異なる根を持つ。
よって
>>327 と同じ論法で k = f である。
同様に 他の g_i(X) の次数も f である。
348 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/28(水) 14:30:41
>>322 より F(ω) の元 x に対して u(x) = x^p とおくと、u は
F(ω)/F の自己同型写像である。
よって ω^p, ω^p^2, ..., ω^p^(f-1) は g_0(X) の根である。
j を 1 ≦ j < f となる有理整数で、ω^p^j = ω とすると、
F(ω) の任意の元 x に対して、x^p^j = x となる。
よって F(ω) の任意の元が X^p^j - X の根となる。
よって F(ω) の元の個数は p^j 以下である。
ところが、F(ω) の元の個数は p^f だからこれは矛盾である。
よって、0 ≦ i < j ≦ f - 1 のとき ω^p^i ≠ ω^p^j である。
よって、ω, ω^p, ..., ω^p^(f-1) は相異なる g_0(X) の根である。
x ∈ Z に対して x の属す mod λ の剰余類、つまり Z/λZ の元
を対応させる写像を ρ とする。
f は p の mod λ での指数だから ρ(p) を Z/λZ の乗法群の元
とみたときの位数は f である。
よって、集合 {ρ(1), ρ(p), ρ(p^2), ..., ρ(p^(f-1))} は
Z/λZ の乗法群の位数 f の部分群をなす。
いつものように r を mod λ の原始根とし、e = (λ- 1)/f とおく。
ρ(r^e) の位数も f である。
よって、集合 {ρ(1), ρ(r^e), ρ(r^e^2), ..., ρ(r^e^(f-1))} も
Z/λZ の乗法群の位数 f の部分群をなす。
Z/λZ の乗法群は巡回群だから位数 f の部分群はただ1つである。
よって、{ρ(1), ρ(p), ρ(p^2), ..., ρ(p^(f-1))} と
{ρ(1), ρ(r^e), ρ(r^e^2), ..., ρ(r^e^(f-1))} は集合として
同じである。
349 :
こんな感じはどうですか? :2006/06/28(水) 18:03:26
2n枚のカードを上からn枚の上の山とn枚の下の山に分ける。 上の山の1番下のカードを1番下に置く。その上に,下の山の1番下のカードを置く。 次に,その上に,残った上の山の1番下のカードを置く。次に,その上に,残った下の山の1番下のカードを置く。 以下同様に続けて,最後は,下の山の1番上にあったカードを1番上に置いて,このシャッフル1回を終える。 (1)2n枚の上からx枚目にあったカードが,このシャッフル1回で,上からy枚目に移ったとする。 このとき,nとxとyとの間の関係を求めよ。 (2)2n枚のカードに,このシャッフルを何回か行うと,カードの並び順が最初とまったく同じとなります。 このシャッフルk回で最初の並び順と同じになったとする。この事実に対して,どのようなことが成り立つか。 あなたが気付いた結論とその理由を述べよ。
350 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/30(金) 10:44:18
>>348 の最後より
{ω, ω^p, ω^(p^2), ..., ω^(p^(f-1))} と
{ω, ω^(r^e), ω^(r^e^2), ..., ω^(r^e^(f-1))} は集合として
同じである。
351 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/30(金) 11:12:01
>>347 の仮定と記号をそのまま使う。
H(X) ∈ Z[X] で H(ζ) = 0 とする。
H(X) = (1 + X + ... + X^(λ-1))Q(X) となる Q(X) ∈ Z[X] がる。
ω は 1 + X + ... + X^(λ-1) の根だから H(ω) = 0 である。
よって、Z[ζ] から F(ω) への環としての準同型写像 Φ で
Φ(ζ) = ω となるものが(ただ1つ)ある。
η_0, ..., η_(e-1) を f 項周期(
>>268 ) とする。
>>350 より
Φ(η_0) = ω + ω^r^e + ω^(r^e^2) + ... + ω^(r^e^(f-1))
= ω + ω^p + ω^(p^2) + ... + ω^(p^(f-1))
である。
>>348 より ω^p, ω^p^2, ..., ω^p^(f-1) は g_0(X) の根である。
よって ω + ω^p + ω^(p^2) + ... + ω^(p^(f-1)) は g_0(X)
の X^(f-1) の係数と符号を除いて一致する。
よって、Φ(η_0) ∈ F である。
同様に 1 ≦ i ≦ e - 1 のとき
Φ(η_i) は g_i(X) の X^(f-1) の係数と符号を除いて一致する。
よって、Φ(η_i) ∈ F である。
352 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/30(金) 13:14:08
>>351 の主張、つまり f 項周期 η_i、0 ≦ i ≦ e - 1
に対して Φ(η_i) ∈ F であるというのは、以下のように
しても分かる。
G = Aut(Z[ζ]) を Z[ζ] の自己同型群とする。
r を mod λ の原始根とし、e = (λ- 1)/f とおく。
σ(ζ) = ζ^r により Z[ζ] の自己同型 σ を定義する。
G は σ で生成される巡回群であり、その位数は λ- 1 である。
σ^e の位数は f である。
一方、τ(ζ) = ζ^p により の自己同型 τ を定義する。
τ の位数も f である。
よって、σ^e とは G の同じ部分群を生成する。
よって、τ = (σ^e)^k となる有理整数 k がある。
g(ζ) を f 項周期から構成される円分整数(
>>269 )とする。
定義から σ^e(g(ζ)) = g(ζ) である。
よって、τ(g(ζ)) = g(ζ) である。
つまり、g(ζ^p) = g(ζ) である。
よって、Φ(g(ζ)) = Φ(g(ζ^p)) = g(ω^p) = g(ω)^p
である。
Φ(g(ζ)) = g(ω) だから g(ω) = g(ω)^p である。
よって、g(ω) は F の元である。
つまり、Φ(g(ζ)) ∈ F である。特に、Φ(η_i) ∈ F である。
353 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/30(金) 14:52:03
>>347 の仮定と記号をそのまま使う。
1 + X + ... + X^(λ-1) の Ω における根の全体を S とおく。
S = {ω, ω^2, ..., ω^(λ-1)} である。
F(ω)/F の自己同型群を G' とする。
>>322 より F(ω) の元 x に対して u(x) = x^p とおくと、u は
G' の元であり、G' は u で生成される巡回群である。
u(ω) ∈ S だから G' は S に作用する。
v ∈ G' で v(ω) = ω なら v = 1 である。
よって、S を G' の作用で類別し、その類を C_0, C_1, ..., C_k と
すれば、各 C_i の元の個数は G' の位数と一致、すなわち f である。
よって k = e - 1 である。
>>347 の g_i(X) ∈ F[X] は既約であり、その根全体は上記の類の
1つと一致する。g_0(X) の根の1つは ω だから g_0(X) の根全体は
C_0 である。 i > 0 のとき、g_i(X) の根全体は C_i と仮定する。
ω, ω^r, ..., ω^r^(e-1) は互いに異なる類に属す。
よって、0 ≦ i ≦ e - 1 のとき、ω^r^i は g_i(X) の根と仮定する
(もし、そうなってなければ g_i(X) の番号を付け替えればよい)。
354 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/06/30(金) 17:04:38
>>351 の Φ を Φ_0 と書くことにする。
>>351 より 0 ≦ i ≦ e - 1 のとき Φ_0(η_i) ∈ F である。
Φ_0(η_i) = v_i とおく。
>>353 より 1 ≦ i ≦ e - 1 のとき、ω^r^i は g_i(X) の根だから
>>351 と同様に Z[ζ] から F(ω) への環としての準同型写像 Φ_i
で Φ_i(ζ) = ω^r^i となるものが(ただ1つ)ある。
Φ_1(η_0) = Φ_1(ζ + ζ^r^e + ... + ζ^r^((f-1)e))
= ω^r + ω^r^(e+1) + ... + ω^r^((f-1)e + 1)
= v_1
Φ_1(η_1) = v_2
.
.
Φ_1(η_(e-1)) = v_0
となる。
つまり Φ_1 は 列 (η_0, η_1, ..., η_(e-1)) を
列 (v_1, v_2, ..., v_0) に写す。
同様にして、
Φ_2 は 列 (η_0, η_1, ..., η_(e-1)) を
列 (v_2, v_3, ..., v_1) に写す。
以下同様にして、
Φ_(e-1) は 列 (η_0, η_1, ..., η_(e-1)) を
列 (v_(e-1), v_0, ..., v_(e-2)) に写す。
∩∩ 俺 ら が 数 学 板 を 面 白 く す る ん だ !V∩ (7ヌ) (/ / / / ∧_∧ || / / ∧_∧ ∧_∧ _(´∀` ) ∧_∧ ||∧_∧ \ \( ´∀`)―--( ´∀` ) ̄ ⌒ヽ(´∀` ) // ( ´∀`)∩ \ /⌒ ⌒ ̄ヽ、ゆんゆん/~⌒ ⌒ / / ( ) | Geek |ー、キング / ̄| //`i / / \\∧_ノ | | | / (ミ ミ) | 菅 | / \\ | | | | / \ | |/ king氏ね |(_) | | ) / /\ \| ヽ /\ \ / ノ | / ヽ ヽ、_/) (\ ) ゝ | / \ | | | | / /| / レ \`ー ' | | /
356 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/07/01(土) 18:25:50
talk:
>>355 お前に何が分かるというのか?
357 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/05(水) 14:46:56
Z[ζ] から Ω への環としての準同型写像の全体を
Hom(Z[ζ], Ω) と書く。
Hom(Z[ζ], Ω) の元は多項式 1 + X + ... + X^(λ-1)
の Ω における任意の根で定まる。よって、Hom(Z[ζ], Ω)の
元の個数は λ-1 個である。
φとψを Hom(Z[ζ], Ω)の元とする。
1 + X + ... + X^(λ-1) の Ω における根の1つを ω とすれば
他の根は ω のベキとなる。
よって、φ(ζ) は ω のベキとなり、逆も言える。
よって、φ(Z[ζ]) = F(ω) である。
同様に、ψ(Z[ζ]) = F(ω) である。
>>347 から F(ω) は p^f 個の元からなる有限体である。
F(ω) の自己同型は u で生成される位数 f の巡回群
G = {1, u, u^2, ..., u^(f-1)} である。
ここで u は F(ω) の元 x に対して u(x) = x^p とで定義されるもの。
G の元 u^i, 0 ≦ i ≦ f - 1 に対して (u^i)φ は Hom(Z[ζ], Ω) の
元である。(u^i)φ(ζ) = φ(ζ)^(p^i) だから
0 ≦ i, j ≦ f - 1 で i ≠ j なら (u^i)φ ≠ (u^j)φ である。
0 ≦ i ≦ f - 1 なら φ と (u^i)φ の核は一致することは
明らかだろう。この逆が成立つことを示そう。
ψを Hom(Z[ζ], Ω)の元として、Ker(φ) = Ker(ψ) とする。
x, y ∈ Z[ζ] で φ(x) = φ(y) なら x - y ∈ Ker(φ) = Ker(ψ)
だから ψ(x) = ψ(y) である。よって φ(x) に対して ψ(x) は
一意に決まる。φ(x) に ψ(x) を対応させる写像を v とすれば、
v が F(ω) の自己同型であることは明らかだろう。
よって、0 ≦ i ≦ f - 1 となる i があって v = u^i となる。
vφ = ψ だから ψ = (u^i)φ である。
358 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/05(水) 15:01:23
>>357 の続き。
φとψを Hom(Z[ζ], Ω)の元とする。
Ker(φ) = Ker(ψ) のとき φ と ψ は同値といい、φ〜ψ と書く。
これが同値関係であることは明らかだろう。
集合 Hom(Z[ζ], Ω) をこの同値関係で分類したときの各同値類の
元の個数は
>>357 より f である。よって同値類の個数は
e = (λ-1)/f である。
Ker(φ)を決定しよう。
φ(ζ) を根とする F 係数のモニックな多項式を g(X) とする。
φ(ζ) は 1 + X + ... + X^(λ-1) の根でもあるから、
g(X) は 1 + X + ... + X^(λ-1) を割る。
G(X) を Z 係数のモニックな多項式で、それを mod p で還元して
得られる多項式が g(X) とする。
f(X) ∈ Z[X] で φ(f(ζ)) = 0 とする。
>>340 と同様にして f(X) は mod p で G(X) で割れることが分かる。
つまり、f(X) ≡ 0 mod (p, G(X)) である。
逆に、f(X) ≡ 0 mod (p, G(X)) なら φ(f(ζ)) = 0 である。
よって、Ker(φ) は g(X) で決まることが分かる。
つまり、Hom(Z[ζ], Ω) の同値類は 1 + X + ... + X^(λ-1) の
F[X] での既約因子と1対1に対応する。
359 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/05(水) 16:52:48
>>358 の続き。
f 項周期から構成される円分整数のなす環を A とおく。
>>329 より Z[ζ] の元は 1, ζ, ..., ζ^(f-1) の A 係数の一次結合
として表される。
有理数体 Q 上 ζ で生成される体 Q(ζ)は Z[ζ] の商体である。
A の商体を L とする。L は Q(ζ) の部分体とみなす。
>>329 で定義したσを使う。
τ = σ^e とおけば、1, τ, τ^2, ..., τ^(f-1) は
拡大 Q(ζ)/L の自己同型である。
よって、Q(ζ) の L 上の拡大次数は f 以上である。
一方、
>>329 の P(X) は次数 f の A 係数のモニックな多項式で
P(ζ) = 0 であるから Q(ζ) の L 上の拡大次数は f 以下、
従って f である。
よって
>>329 の P(X) は A の商体 L 上 の多項式として既約である。
よって、1, ζ, ..., ζ^(f-1) は L 上、従って A 上一次独立である。
360 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/05(水) 17:01:06
>>359 の続き。
αを A から F への環としての準同型とする。
P(X) の係数に αを作用させて得られる F 係数の多項式を g(X) とおく。
A[X] において P(X) は 1 + X + ... + X^(λ-1) を割る。
このことは、
>>338 のように、
P_0(X) = P(X)
P_1 (X) =
(X - σ(ζ))(X - σ^(e+1)(ζ))...(X - σ^((f-1)e + 1)(ζ))
...
P_(e-1)(X) =
(X - σ^(e-1)(ζ))(X - σ^(2e-1)(ζ))...(X - σ^(fe - 1)(ζ) )
とおけば、各 P_i(X) ∈ A[X] であり、
1 + X + ... + X^(λ-1) = P_0(X)P_1(X)...P_(e-1)(X)
となることから分かる。
よって、F[X] において g(X) は 1 + X + ... + X^(λ-1) を割る。
>>347 より 1 + X + ... + X^(λ-1) の既約因子の次数 は f であり、
g(X) の次数は f だから g(X) は F[X] で既約である。
361 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/05(水) 17:09:27
>>360 の続き。
g(X) の Ω における根の1つをωとする。
H(X) ∈ A[X] に対して その係数に αを作用させて得られる
F 係数の多項式を h(X) とおく。
>>359 より P(X) は L[X] において既約だから、H(ζ) = 0 なら
L[X] において H(X) は P(X) で割れる。P(X) はモニックだから
H(X) は A[X] においても P(X) で割れる。
よって、h(X) は g(X) で割れる。よって、h(ω) = 0 である。
よって、H(ζ) に対して h(ω) を対応させる写像が定まる。
これを ψとかく。つまり、ψ(H(ζ)) = h(ω) である。
このψが A[ζ] = Z[ζ] から F への準同型であることは明らかだろう。
ψを A に制限したものは α である。
∩∩ 俺 ら が 数 学 板 を 面 白 く す る ん だ !V∩ (7ヌ) (/ / / / ∧_∧ || / / ∧_∧ ∧_∧ _(´∀` ) ∧_∧ ||∧_∧ \ \( ´∀`)―--( ´∀` ) ̄ ⌒ヽ(´∀` ) // ( ´∀`)∩ \ /⌒ ⌒ ̄ヽ、ゆんゆん/~⌒ ⌒ / / ( ) | Geek |ー、キング / ̄| //`i / / \\∧_ノ | | | / (ミ ミ) | 菅 | / \\ | | | | / \ | |/ king氏ね |(_) | | ) / /\ \| ヽ /\ \ / ノ | / ヽ ヽ、_/) (\ ) ゝ | / \ | | | | / /| / レ \`ー ' | | /
363 :
132人目の素数さん :2006/07/05(水) 17:27:20
23 名前:132人目の素数さん[sage] 投稿日:2006/07/05(水) 15:58:21
>>18 数学者以外の職に就くに決まってんだろカス
364 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/05(水) 17:30:23
>>361 の続き。
φを Hom(Z[ζ], Ω)の元で、φを A に制限したものは α で
あるとする。P(ζ) = 0 だから φ(P(ζ)) = g(φ(ζ)) = 0 である。
よって φ(ζ) は g(X) の Ω における根である。
よって、
>>358 より φ と ψ は同値である。つまり
Ker(φ) = Ker(ψ) である。
>>351 より Φ を Hom(Z[ζ], Ω) の任意の元とすると、
Φ(A) = F である。
Hom(Z[ζ], Ω) を
>>358 の同値関係 〜 で類別した商集合を
Hom(Z[ζ], Ω)/〜 と書く。
以上から Hom(A, Ω) の元と Hom(Z[ζ], Ω)/〜 の元は一対一に
対応する。
365 :
132人目の素数さん :2006/07/05(水) 17:34:29
452:132人目の素数さん :2006/07/05(水) 17:28:39
23 名前:132人目の素数さん[sage] 投稿日:2006/07/05(水) 15:58:21
>>18 数学者以外の職に就くに決まってんだろカス
23 名前:132人目の素数さん[sage] 投稿日:2006/07/05(水) 15:58:21
>>18 数学者以外の職に就くに決まってんだろカス
23 名前:132人目の素数さん[sage] 投稿日:2006/07/05(水) 15:58:21
>>18 数学者以外の職に就くに決まってんだろカス
23 名前:132人目の素数さん[sage] 投稿日:2006/07/05(水) 15:58:21
>>18 数学者以外の職に就くに決まってんだろカス
23 名前:132人目の素数さん[sage] 投稿日:2006/07/05(水) 15:58:21
>>18 数学者以外の職に就くに決まってんだろカス
366 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/05(水) 17:47:51
>>364 の続き。
Hom(A, Ω) の任意の元を α とし、
α(η_0) = v_0
α(η_1) = v_1
.
.
α(η_(e-1)) = v_(e-1)
とする。
>>357 以降述べたことと、
>>354 より Hom(A, Ω) のすべての元 は
(v_0, v_1, ..., v_(e-1)) の順列から得られる。
367 :
132人目の素数さん :2006/07/05(水) 22:08:47
この「整数論」、随分頑張ってる事は分かるが記法の所為で読み難い。 TEXで書いてPDFにしてWebで公開した方が良いのでは?
368 :
132人目の素数さん :2006/07/06(木) 08:33:41
>>367 前にも理由を書いたけど、面倒なのが最大の理由。
つまり、TEX を知らない(分かってるって、あんたらが言いそうなことは)
んでそれを覚えるのが面倒だし、書くのも面倒だと想像してる。
それから、ここだとレスポンスが早いんじゃないかと思ったんだが、
全然レスポンスがないんでそれに関しては外れた。
それから、ノート代わりに書いてるってのもあるw
それが目的の全てでは勿論ないが。
細かいことに拘らずに、ただ数式を文書にするだけなら、 意外と簡単ですよ これは美しくない、とかこういうフォントにしたい、とか言い出すと大変ですけど
>>368 レスポンスしたら怒られそうなんですけど・・
371 :
132人目の素数さん :2006/07/06(木) 08:44:48
>>369 WebにPDFでアップロ−ドするってのはある程度完成して、校正も
すましてからっていう場合がほとんどでしょう。
私の場合は現在進行形なんですよ。
ここは気楽に書けるってことが気に言ってるんです。
372 :
132人目の素数さん :2006/07/06(木) 08:48:08
>>370 そんなことはない。本題に関係することなら歓迎。
374 :
132人目の素数さん :2006/07/06(木) 14:05:36
>368 :132人目の素数さん :2006/07/06(木) 08:33:41 367だが。 > 前にも理由を書いたけど、面倒なのが最大の理由。 分かるけどさ。(小生もTEXのソースを持っているが学習しようという気にはならないから・・・) でも、折角書くんだったら読みやすいほうが良いと思うよ。 > それから、ここだとレスポンスが早いんじゃないかと思ったんだが、全然レスポンスがないんでそれに関しては外れた。 レスポンスがないのは、多分 1.真面目に(代数的)整数論に関心を持つ奴が2チャンネルには殆どいない、 2.内容が面白そうなので読もうと思うが、表記法の所為で読む気を失くす。 のどちらかだと思う。(因みに、。小生は2.) 「表記法なんて本質的じゃない」と若い貴兄は思うかも知れんが、そうでもないよ。 (分野は異なるが、Milnorの Exotic Sphereの論文(1956、Ann. of Math.)を「解説」する試みをアメリカのマスターの学生が2-3人やっているけど、あれだって読む奴は読んでる。) 結論から言うと、内容は悪くないのだから是非体裁にも気を配って欲しい。 もし、貴兄の仕事が「整数論の代表的な教科書」になるとしたら悪くないだろ。 (小生の言う事に頷けないなら、AshやMilneがオンラインで公開している代数的整数論のテキストを見て欲しい。)
375 :
132人目の素数さん :2006/07/06(木) 14:28:48
>>374 完成したらPDFにすることを考えます。
376 :
132人目の素数さん :2006/07/06(木) 16:45:41
>1.真面目に(代数的)整数論に関心を持つ奴が2チャンネルには殆どいない、 >2.内容が面白そうなので読もうと思うが、表記法の所為で読む気を失くす。 これ以外の人はいないの? 例えば、読んではいるがよく理解出来ないとか、 読んで大体理解出来るがレスする気はないとか。 部分的に読んでるだけとか。
377 :
132人目の素数さん :2006/07/06(木) 17:21:56
>376 >これ以外の人はいないの? 居るかも知れない。が(何れにせよ2.を含め)少数のような気が・・・ ま、何れにせよ此れが発展して好いテキストになる事を希望する。
>>376 幾何学分野であれば、イメージの解説、定理の有用性を論じ易い。
整数論なら他分野への応用、枠組みの復習、角度を変えた理解の仕方など、
多少の重複を絡めて追随し易くする工夫もあろう。
この講義を役立てたいレベルの者には、整理された一本道のばく進だけでは、つらかろう。
クダラナイ煽りが入らないのは、他分野の者には部分的理解も出来ない所為かも知れん。
レスしようにもやりにくいんだよねー 代数的整数論と銘打ってる割には、最初にカナーリ一般的に 可換環論を扱っていたけど、あとでちゃんと関係するの?
380 :
132人目の素数さん :2006/07/07(金) 09:05:32
>>379 ほとんど関係するが、直接関係ないとこもあるかもしれない。
それは後でわかる。あれは準備段階だから後から必要になったら
参照すればいい。ただし、代数的整数論を本格的にやろうと
思ったらあの程度の可換代数の知識は必要だと思う。
今やってるとこ(Kummerの理論)は全部、代数的整数論に関係ある
というかそのもの。
試行錯誤しながらだから、煩雑になるのはやむを得ないとは思うけど、 最初に抽象論をやっておきながら、急に具体的な計算をシコシコ始めたりするので 統一性が取れてないように感じるし、なんか方向性がよくみえないんだよねー いまやってるような計算を後で抽象論から練り直すとかならおもしろそうだけど。 代数的整数論って、類体論的な方向と、岩澤理論的な方向とがあると思うけど どういう方向性でやるんですか〜?
382 :
132人目の素数さん :2006/07/07(金) 10:04:56
>378 名前:132人目の素数さん :2006/07/06(木) 17:23:20 > この講義を役立てたいレベルの者には、整理された一本道のばく進だけでは、つらかろう。 だからそれは皆で、「此処はこう書いたらどうか?」とか「こういう例を入れたらどうか?」といった提言をすれば良いんだよ。
383 :
132人目の素数さん :2006/07/07(金) 10:17:55
>>381 >最初に抽象論をやっておきながら、急に具体的な計算をシコシコ始めたりするので
これは、平行してやってると考えてほしい。両者は一応別物。
だからIDも変えた。前のIDでいずれ戻る。
Kummer 理論は先にやったほうが良かったかもしれない。
これは代数的整数論がどのようにして生まれたものかを示している。
これによって動機付けを行ったところで現代的なやり方で展開するわけ。
>代数的整数論って、類体論的な方向と、岩澤理論的な方向とがあると思うけど
>どういう方向性でやるんですか〜?
岩澤理論はよく知らないもんで(苦笑)。
類体論はやる予定。
384 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/07/07(金) 13:02:03
talk:
>>362 お前に何が分かるというのか?
人の脳を読む能力を悪用する奴を潰せ。
385 :
132人目の素数さん :2006/07/07(金) 15:55:17
わらわせるね
読んでますよ ヒマを見つけてレスもしたいと思います がんばってください
IDってのはトリップのことかね
388 :
132人目の素数さん :2006/07/08(土) 15:42:22
岩澤理論ってクンマーの理想数の概念を厳密化したやつとか見た気がする
389 :
132人目の素数さん :2006/07/08(土) 15:48:38
>379 名前:132人目の素数さん :2006/07/06(木) 23:20:06 > 最初にカナーリ一般的に可換環論を扱っていたけど、あとでちゃんと関係するの? 主催者ではないが、横合いからごめん・・・ 整数論や代数幾何をやらなくても(Atiyah-McDonald程度の)可換代数を知っとくのは悪くないと思うが?
>>388 岩澤主予想?ならクンマーが見つけた円分体の類数とゼータ値との関係の精密化。
>>389 スレタイが代数的整数論になってたから聞いただけだよ。
391 :
132人目の素数さん :2006/07/08(土) 21:57:43
>390 :132人目の素数さん :2006/07/08(土) 18:06:55
>
>>389 > スレタイが代数的整数論になってたから聞いただけだよ。
そうか。
ま、その辺りは主催者が後で整理する事を期待しようよ。
観客はゼロでなかった様だ、クンマーゆっくり頑張れ。
393 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/10(月) 08:51:56
次の本は薄いが面白い。 ガウスの遺産と継承者たち 高瀬 正仁 著 海鳴社 それによるとガウスの整数論考究の主題は平方剰余の相互律と その高次冪への拡張を目指したものという。 2次形式の理論もそれとの関連が動機であるという。 そして、最後の円分体の理論も勿論そう。 そこにガウスはレムニスケートの等分においても似たような理論が 得られると書いてある。これは虚数乗法と相互律の関連を示唆 していると思われる。そして歴史は、ガウスの予想した 通りになった。つまり、現代の代数的整数論の淵源はすべて ガウスから出ていると言っていいだろう。 ガウスが平方剰余の相互法則に7個もの証明をつけたのは それによって高次冪剰余の相互法則に関してヒントが得られるの ではないかと思ったためである。そして事実、それは成功して 四次剰余の相互法則の証明を得た。 ガウスは、高次冪剰余の相互法則が生息する自然な舞台は 有理数体ではなく1の冪根を含む数体であると書いてある。 Kummer は、この言葉に忠実に従い、円分体の整数論を 研究しλが正則な素数のときに Kummer 体におけるλ冪剰余の 相互法則を得た。これは Kummer の最大の業績であると Hilbert と Weil は言っている。 現代の代数的整数論の教科書を見ると高次相互律に関しては あまり書かれていない。高木の本でさえも。
394 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/10(月) 11:10:39
>>358 ,
>>364 より以下の3個の集合には1対1の標準的な
対応が存在することがわかった。
1) 1 + X + ... + X^(λ-1) の F[X] でのモニックな既約因子の集合
2) Hom(A, Ω)
3) Hom(Z[ζ], Ω)/〜
これらのどの要素も、p を割る素因子を定めるが、我々はまだ
素因子を定義していない。素因子というからには円分整数がそれで
割れるときに、それの何乗で割れるか、つまり重複度が定義される
べきだろう。
次に Kummer による素因子の重複度の定義を述べよう。
> 現代の代数的整数論の教科書を見ると高次相互律に関しては > あまり書かれていない。高木の本でさえも。 類体論が完成して以来、相互法則はその系であるという捉え方が主流ですからねー。 これに不満を抱いていた久保田富雄は、類体論に依らない高次の相互法則の 幾何学的証明を得ている。 逆にこのようにして得た相互法則から類体論を証明することも考えているようだけど、 こちらはまだうまくいっていないみたいだね。 参考:久保田富雄「数論論説」牧野書店
396 :
132人目の素数さん :2006/07/11(火) 08:47:24
>類体論が完成して以来、相互法則はその系であるという捉え方が主流ですからねー。 類体論が相互律を吸収したというようなイメージを持ってるんでしょうね。 だけど、教科書で相互律を取り上げないのは初学者には不親切だと思う。 Gauss にしろ Kummer にしろ相互律の究明が最大の関心事であって、 2次形式論とか円分体の因子論などはそれを究明する手段に過ぎない。 Hilbertの報文でさえも、主題は相互律であることは目次からもわかる。
397 :
KingOfUniverse ◆667et8HPK2 :2006/07/11(火) 08:58:01
人の脳を読む能力を悪用する奴を潰せ。
398 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/11(火) 15:37:43
訂正:
>>394 >2) Hom(A, Ω)
これは
2) Hom(A, F) の間違い。
>>351 より Φ を Hom(Z[ζ], Ω) の任意の元とすると、
Φ(A) = F であるから。
399 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/11(火) 15:59:44
訂正:
>>366 >(v_0, v_1, ..., v_(e-1)) の順列から得られる。
(v_0, v_1, ..., v_(e-1)) の巡回順列から得られる。
巡回順列の意味は明らかだろう。
例えば、(3, 1, 0, 3) を最初の順列とすると、
(1, 0, 3, 3)
(0, 3, 3, 1)
(3, 3, 1, 0)
が残りの巡回順列である。
良いスレはできれば、sage進行でお願いします。
401 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/11(火) 16:21:48
>>394 ,
>>398 ,
>>399 の続き。
Hom(Z[ζ], Ω)/〜 の各類から代表元 Φ_0, ..., Φ_(e-1) を
とる。
Φ_0(η_0) = v_0
Φ_0(η_1) = v_1
.
.
Φ_0(η_(e-1)) = v_(e-1)
とおく。
>>351 より各 v_i は F の元である。
>>366 ,
>>399 より他のΦ_i の A への制限は
(v_0, v_1, ..., v_(e-1)) の巡回順列から得られる。
円分整数 f(ζ) に対して Φ_i(f(ζ)) = 0 となるとき、
f(ζ) は Φ_i で定まる素因子で割れると言う。
未だ素因子の定義をしてないが、便宜上 Φ_i(f(ζ)) = 0
となることをこう言う。
1 + X + ... + X^(λ-1) を mod p で既約多項式に分解し、
1 + X + ... + X^(λ-1) ≡ G_0(X)G_1(X)...G_(e-1)(X) (mod p)
とする。各 G_i(X) は mod p で既約でモニックな多項式である。
>>394 より 各Φ_i に G_i(X) が対応すると仮定してよい。
Φ_i(f(ζ)) = 0 となるためには、
>>358 より f(X) ≡ 0 mod (p, G_i(X)) となることが必要十分である。
よって、各 i, 0 ≦ i ≦ e-1 で Φ_i(f(ζ)) = 0 となれば
>>345 と同様にして f(ζ) は p で割れることが分かる。
逆にf(ζ) が p で割れれば 各 i で Φ_i(f(ζ)) = 0 となることは
明らかである。
つまり、f(ζ) が p で割れるための必要十分条件は
各 i で f(ζ) がΦ_i で定まる素因子で割れることである。
402 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/11(火) 16:58:28
>>401 の続き。
A の元、つまり f 項周期から構成される円分整数 Ψ(η) で
以下の条件を満たすものを考える。
ここで、η は f 項周期の組 η_0, ..., η_(e-1) を略したもので、
Ψ(η) は η_0, ..., η_(e-1) の多項式表現である(
>>333 )。
このように書くのは Ψ(η) が f 項周期から構成される円分整数
であることを明示するためである。
1) Ψ(η) は Φ_0 で定まる素因子で割れない。
2) i ≠ 0 のとき、Ψ(η) は Φ_i で定まる素因子で割れる。
このような Ψ(η) が存在することは後で示す。
ここでは、Ψ(η) の存在を認めることにする。
円分整数 f(ζ) に対して
Ψ(η)f(ζ) ≡ 0 (mod p) とする。
Φ_0(p) = 0 だから p は Φ_0 で定まる素因子で割れる。
よって、Ψ(η)f(ζ) もΦ_0 で定まる素因子で割れる。
条件 1) より Ψ(η) は Φ_0 で定まる素因子で割れない。
よって f(ζ) はΦ_0 で定まる素因子で割れる。
このことは、Φ_0(Ψ(η)f(ζ)) = Φ_0(Ψ(η))Φ_0(f(ζ)) = 0 と、
Φ_0(Ψ(η)) ≠ 0 より分かる。
逆に、f(ζ) は Φ_0 で定まる素因子で割れると仮定する。
明らかに Ψ(η)f(ζ) もΦ_0 で定まる素因子で割れる
一方、条件 2) より i ≠ 0 のとき、Ψ(η)f(ζ) は Φ_i で定まる
素因子でも割れる。よって、
>>401 の最後より Ψ(η)f(ζ) は
p で割れる。
以上から Ψ(η)f(ζ) ≡ 0 (mod p) であるためには、
f(ζ) が Φ_0 で定まる素因子で割れることが必要十分である。
403 :
132人目の素数さん :2006/07/11(火) 17:47:40
>>402 の続き。
円分整数 f(ζ) に対して ある有理整数 k ≧ 1 があり
(Ψ(η)^k) f(ζ) ≡ 0 (mod p^k) とする。
このとき f(ζ) は Φ_0 で定まる素因子で k 回割れるという。
f(ζ) が Φ_0 で定まる素因子で k 回割れるが、k + 1 回では
割れないとき、f(ζ) は Φ_0 で定まる素因子できっかり
k 回割れるという。
この定義が
>>402 の条件 1), 2) を満たす Ψ(η) の取り方に
よらないことは後に示す。
f(ζ) が Φ_0 で定まる素因子できっかり k 回割れるとき、
この k を(一時的に) ord(f(ζ)) と書こう。
f(ζ) が Φ_0 で定まる素因子で割れないときは、ord(f(ζ)) = 0 と
する。
このとき以下の命題が成立つ。
1) 円分整数 f(ζ) が 0 でなければ ord(f(ζ)) は有限値として
必ず定まる。
2) f(ζ) ≠ 0, g(ζ) ≠ 0 なら
ord(f(ζ)g(ζ)) = ord(f(ζ)) + ord(g(ζ)) となる。
3) f(ζ) ≠ 0, g(ζ) ≠ 0 で、f(ζ) + g(ζ) ≠ 0 なら
ord(f(ζ) + g(ζ)) ≧ min(ord(f(ζ), ord(g(ζ)) である。
4) ord(p) = 1 である。
404 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 10:24:49
まず
>>403 の命題 4) を証明する。
4) ord(p) = 1 である。
証明
Ψ(η)p ≡ 0 (mod p) は明らかである。
(Ψ(η)^2) p ≡ 0 (mod p^2) とする。
Ψ(η)^2 ≡ 0 (mod p) となる。
p は Φ_0 で定まる素因子で割れるから、Ψ(η)^2 は Φ_0 で定まる
素因子で割れる。よって、Ψ(η) も Φ_0 で定まる素因子で割れる。
これは Ψ(η) の仮定である
>>402 の条件 1) に反する。
よって、ord(p) = 1 である。
証明終
405 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 11:13:57
>>403 の残りの命題を証明する前に補題を用意する。
補題
f(ζ) ≠ 0 を円分整数とし、f(ζ) が Φ_0 で定まる素因子で
k 回割れるとする。
(Ψ(η)^k) f(ζ) ≡ 0 (mod p^k) だから、
(Ψ(η)^k) f(ζ) / p^k は 円分整数である。
これを h(ζ) とする。
f(ζ) が Φ_0 で定まる素因子できっかり k 回割れるためには、
h(ζ) が Φ_0 で定まる素因子で割れないことが必要十分である。
証明
(Ψ(η)^k) f(ζ) = (p^k) h(ζ) である。
>>402 の最後より h(ζ) が Φ_0 で定まる素因子で割れるためには
Ψ(η)h(ζ) ≡ 0 (mod p) が必要十分である。
このことから命題の主張は明らかである。
証明終
406 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 11:36:43
補題
f(ζ) ≠ 0, g(ζ) ≠ 0 を円分整数とし、
f(ζ) が Φ_0 で定まる素因子できっかり k 回割れ
g(ζ) が Φ_0 で定まる素因子できっかり l 回割れるとする。
このとき、f(ζ)g(ζ) は Φ_0 で定まる素因子できっかり
k + l 回割れる。
証明
(Ψ(η)^k) f(ζ) ≡ 0 (mod p^k) だから、
(Ψ(η)^k) f(ζ) = (p^k) h(ζ) となる円分整数 h(ζ) がある。
同様に、
(Ψ(η)^l) g(ζ) = (p^l) r(ζ) となる円分整数 r(ζ) がる。
>>405 より h(ζ) と r(ζ) は Φ_0 で定まる素因子で割れない。
(Ψ(η)^(k+l)) f(ζ)g(ζ) = p^(k+l) h(ζ)r(ζ)
であるが、h(ζ)r(ζ) は Φ_0 で定まる素因子で割れない。
よって、
>>405 より f(ζ)g(ζ) はきっかり k + l 回割れる。
証明終
407 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 15:05:07
>>403 の命題 1) を証明する。
1) 円分整数 f(ζ) が 0 でなければ ord(f(ζ)) は有限値として
必ず定まる。
証明
f(ζ) のノルム Nf(ζ) = (p^s)m とする。ここで m は p と素な
有理整数である。s = 0 の場合は ord(f(ζ)) = 0 だから
s ≧ 1 と仮定する。
>>404 と
>>406 より、Nf(ζ) は Φ_0 で定まる素因子で
きっかり s 回割れる。
f(ζ) が Φ_0 で定まる素因子で k 回割れるとする。
(Ψ(η)^k) f(ζ) = (p^k) h(ζ) となる円分整数 h(ζ) がある。
Nf(ζ)/f(ζ) は円分整数だからこれを g(ζ) と書く。
つまり Nf(ζ) = f(ζ)g(ζ) である。
よって (Ψ(η)^k) Nf(ζ) = (p^k) h(ζ)g(ζ) となる。
よって、Nf(ζ) はΦ_0 で定まる素因子で k 回割れる。
よって、s ≧ k である。よってこのような k は上に有界である。
よって、ord(f(ζ)) はこのような k の最大値として定まる。
証明終
408 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 15:37:58
>>403 の命題 2) は 命題 1) と
>>406 の補題からただちに得られる。
>>403 の命題 3) は 定義(
>>403 ) から明らかである。
以上で
>>403 の命題はすべて証明された。
次に
>>403 で定義した ord(f(ζ)) が、
>>402 の条件 1), 2) を
満たす Ψ(η) の取り方によらないことを示す。
Φ(η) が
>>402 の条件 1), 2) を満たすとする。
Φ(η) で定義される ord(f(ζ)) に対応するものを ord_2(f(ζ))
と書こう。
ord(f(ζ)) = k とする。 k = 0 なら明らかだから k ≧ 1 とする。
>>405 より (Ψ(η)^k) f(ζ) = (p^k) h(ζ) となる円分整数 h(ζ)
で Φ_0 で定まる素因子で割れないものがある。
ord_2 に
>>403 の命題を適用すると、
ord_2((Ψ(η)^k) f(ζ)) = ord_2(f(ζ))
ord_2((p^k) h(ζ)) = k
となる。
よって、 ord_2(f(ζ)) = k である。
これが証明すべきことであった。
409 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 16:13:24
>>402 の条件 1), 2) を満たす Ψ(η) が存在することを示す。
>>401 で
Φ_0(η_0) = v_0
.
.
Φ_0(η_(e-1)) = v_(e-1) とおいた。
各 v_i は F つまり標数 p の素体 Z/pZ の元である。
各 i に対して v_i の Z における代表元 u_i で 0 ≦ u_i < p と
なるものを取る。
f 項周期から構成される円分整数 η_i - j の列を考える。
ここで i は 0 ≦ j < e を動き、
j は有理整数で 0 ≦ j < p 動く。
この列は ep 項からなる。
この列 から e 個の η_i - u_i を除いたものの積を Ψ(η)
とおく。Ψ(η) は ep - e 個の η_i - j の積である。
Φ_0(Ψ(η)) とすると、Φ_0(η_i - j) = 0 となる i がある。
つまり Φ_0(η_i) = j~ となる。ここで、j~ は j の mod p の
剰余類を表す。よって、j = u_i となるが、これは仮定に反する。
よって、Ψ(η) は
>>402 の条件 1) を満たす。
s ≠ 0 のとき Φ_s ≠ Φ_0 だから Φ_s(η_i) ≠ v_i となる
i がある。よって Φ_s(η_i) の代表元を j とすれば、
Φ_s(η_i - j) = 0 で j ≠ u_i である。
よって Ψ(η) は η_i - j を因子にもつから Φ_s(Ψ(η)) = 0
である。よって、Ψ(η) は
>>402 の条件 2) を満たす。
410 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 16:43:11
>>409 の証明からわかるように
s ≠ 0 のとき Φ_s(η_i) ≠ v_i となるような i
をとり、Φ_s(η_i) の代表元を j として、s を動かした
ときの η_i - j の積をΨ(η) としてもよい。
この場合 Ψ(η) は e - 1 個の η_i - j の積である。
むしろこの方が簡単だろう。
411 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 17:27:27
今度は λを割る円分素数 ζ - 1 について考える。
>>200 より
λ = N(1 - ζ) = (1 - ζ)(1 - ζ^2)...(1 - ζ^(λ-1))
であり、λ = ε(1 - ζ)^(λ-1) となる。
ここでεは単数である。
>>202 より ζ - 1 は円分素数である。
円分整数 f(ζ) ≠ 0 に対して ある有理整数 k ≧ 1 があり
f(ζ) が (ζ - 1)^k で割れるが (ζ - 1)^(k+1) で割れないとき
この k を(一時的に) ord(f(ζ)) と書こう。
このとき以下の命題が成立つ。
1) 円分整数 f(ζ) が 0 でなければ ord(f(ζ)) は有限値として
必ず定まる。
2) f(ζ) ≠ 0, g(ζ) ≠ 0 なら
ord(f(ζ)g(ζ)) = ord(f(ζ)) + ord(g(ζ)) となる。
3) f(ζ) ≠ 0, g(ζ) ≠ 0 で、f(ζ) + g(ζ) ≠ 0 なら
ord(f(ζ) + g(ζ)) ≧ min(ord(f(ζ), ord(g(ζ)) である。
4) ord(λ) = λ- 1 である。
証明
1) は f(ζ) のノルム Nf(ζ) を考えることにより
>>407 と同様にして証明される。詳細は読者にまかす。
2), 3), 4) は簡単である。これも詳細は読者にまかす。
412 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 17:50:04
いよいよ円分整数環 Z[ζ] における素因子の定義を述べる。 Z[ζ] から 0 を除いた集合 Z[ζ] - {0} を Z[ζ]^* と書く。 非負の有理整数全体を Z+ と書く。つまり Z+ = {n ∈ Z; n ≧ 0} Z[ζ] から Z ∪ {∞} への写像 ν で以下の条件を 満たすものをZ[ζ] における素因子という。 ただし、∞ は単なる記号で 任意の n ∈ Z に対して ∞ > n とする。 1) ν(Z[ζ]^*) = Z+ ν(0) = ∞ 2) f(ζ) ≠ 0, g(ζ) ≠ 0 なら ν(f(ζ)g(ζ)) = ν(f(ζ)) + ν(g(ζ)) となる。 3) ν(f(ζ) + g(ζ)) ≧ min(ν(f(ζ), ν(g(ζ)) である。
413 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/12(水) 18:07:52
訂正:
>>412 >Z[ζ] から Z ∪ {∞} への写像 ν で以下の条件を
Z[ζ] から Z+ ∪ {∞} への写像 ν で以下の条件を
414 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/13(木) 09:05:48
νを円分整数環 Z[ζ] の素因子とする。 ν(1) = ν(1) + ν(1) だから ν(1) = 0 である。 εを単数とすると、1/εも単数である。 よって ν(ε) + ν(1/ε) = ν(1) = 0 だから ν(ε) = 0 である。 円分整数 f(ζ) に対して ν(f(ζ)) >= k のとき f(ζ) は ν で k 回割れるという。 ν(f(ζ)) = k, k ≠ ∞ のとき、f(ζ) は ν できっかり k 回割れる という。 f(ζ) が ν で 1 回割れるとき、単に ν で割れるという。 円分整数 f(ζ), g(ζ) に対して f(ζ) - g(ζ) が ν で割れる とき f(ζ) と g(ζ) は ν を法として合同といい、 f(ζ) ≡ g(ζ) (mod ν) と書く。 これは同値関係であり、加法及び乗法と両立する。 即ち、Z[ζ] の同値類は環となる。 さらに、この同値関係は素である。 つまり f(ζ)g(ζ) ≡ 0 (mod ν) なら f(ζ) ≡ 0 (mod ν) または g(ζ) ≡ 0 (mod ν) となる。 これは ν(f(ζ)g(ζ)) = ν(f(ζ)) + ν(g(ζ)) から明らか。
415 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/13(木) 09:58:30
>>412 の 1) から ν(f(ζ)) = 1 となる f(ζ) がある。
Nf(ζ)/f(ζ) = g(ζ) は円分整数だから
ν(Nf(ζ)) = ν(f(ζ)) + ν(g(ζ)) ≧ 1 である。
Nf(ζ) ≠ 0 だから、ν で割れる有理整数で 0 でないものがある。
ν で割れる有理整数 n > 0 で最小のものを p とする。
ν(1) = 0 だから p > 1 である。p は素数である。
なぜなら p = ab, a > 1, b > 1 となる有理整数があるとすると、
ab ≡ 0 (mod ν) より a ≡ 0 (mod ν) または b ≡ 0 (mod ν)
となり、p の最小性に反するから。
これと
>>414 から Z[ζ] の mod ν の同値類は Z/pZ の拡大整域
となる。ζ を含む同値類を ξ とすれば、この環は Z/pZ 上 ξ
で生成される。つまりこの環は (Z/pZ)[ξ] と書ける。
ω^λ = 1 だから、この環は Z/pZ 上の加群として
1, ω, ..., ω^(λ-1) で生成される。よってこれは有限環である。
有限整域は体であるからこの環は有限体である。
Z/pZ の代数的閉包を Ω とすると、(Z/pZ)[ξ] から Ω へ
体としての埋め込み(単射準同型)が存在する。
Z[ζ] から (Z/pZ)[ξ] への標準的な準同型と
(Z/pZ)[ξ] から Ω への埋め込みの合成をΦとすれば
Φは Z[ζ] から Ω への準同型である。
Φ(f(ζ)) = 0 であるためには f(ζ) が ν で割れることが
必要十分である。
416 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/13(木) 10:34:33
>>415 において p ≠ λ とする。
すると
>>415 の Φ は
>>401 のΦ_0 と同じものと考えてよい。
よって
>>409 から
>>402 の条件 1), 2) を満たす Ψ(η) が
存在する。
f(ζ) ≠ 0 を円分整数とし、
>>403 の意味で f(ζ) が Φ_0 で定まる
素因子できっかり k 回割れるとする。
(Ψ(η)^k) f(ζ) ≡ 0 (mod p^k) だから、
(Ψ(η)^k) f(ζ) / p^k は 円分整数である。
これを h(ζ) とする。
よって (Ψ(η)^k) f(ζ) = (p^k)h(ζ) となる。
>>405 より h(ζ) は Φ_0 で定まる素因子で割れない。
つまり Φ_0(h(ζ)) ≠ 0 である。よって、ν(h(ζ)) = 0 である。
>>402 の条件 1) より Ψ(η) は Φ_0(Ψ(η)) ≠ 0 である。
よって、ν(Ψ(η)) = 0 である。
よって、
ν((Ψ(η)^k) f(ζ)) = ν(f(ζ))
ν((p^k)h(ζ)) = ν((p^k)) = kν(p)
よって ν(f(ζ)) = kν(p) である。
>>403 の 1) より 円分整数 f(ζ) が 0 でなければ、k は非負有理整数
として必ず定まる。 よって
>>412 の 条件1) ν(Z[ζ]^*) = Z+
より ν(p) = 1 でなければならない。
よって、ν(f(ζ)) = k である。
417 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/13(木) 16:13:13
>>416 から λと異なる有理素数 p を割る素因子の集合は
>>394 の 例えば 2) の集合 Hom(A, F) (
>>398 参照)の要素と1対1に
対応することがわかる。
418 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/13(木) 17:39:00
今度は、ν を λ を割る素因子とする。
>>411 より λ = ε(ζ - 1)^(λ-1) となる。
ここでεは単数である。
>>414 より ν(ε) = 0 だから ν(λ) = (λ-1)ν(ζ - 1) となる。
ν は λ を割るから (λ-1)ν(ζ - 1) > 0 である。
よって ζ - 1 は ν で割れる。
補題
ν を λ を割る素因子とする。
円分整数 g(ζ) が ν で割れるなら ζ - 1 でも割れる。
証明
g(ζ) ≠ 0 と仮定してよい。
g(ζ) が ν で割れるなら Ng(ζ) も ν で割れる。
よって Ng(ζ) は λ で割れる。
よって Ng(ζ) は ζ - 1 で割れる。
>>202 から ζ - 1 は円分素数だから、g(ζ) の共役 g(ζ^i) で
ζ - 1 で割れるものがある。つまり g(ζ^i) = (ζ - 1)h(ζ)
となる円分整数 h(ζ) がある。
ij ≡ 1 (mod λ) となる有理整数 j をとれば
g(ζ) = g(ζ^ji) = (ζ^j - 1)h(ζ^j) となる。
よって、g(ζ) は ζ^j - 1 で割れる。
>>200 より (ζ^j - 1)/(ζ - 1) は単数だから
g(ζ) は ζ - 1 で割れる。
証明終
419 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/13(木) 18:03:13
>>411 より 円分整数 f(ζ) ≠ 0 に対して ord(f(ζ)) が定まる。
ord(f(ζ)) = k なら f(ζ) = ((ζ - 1)^k) h(ζ) となる
円分整数 h(ζ) があり、h(ζ) は ζ - 1 で割れない。
>>418 の補題より h(ζ) は ν でも割れない。
よって
ν(f(ζ)) = ν((ζ - 1)^k) = kν(ζ - 1)
となる。
>>412 の 条件1) ν(Z[ζ]^*) = Z+ より ν(ζ - 1) = 1 で
なければならない。
よって、ν(f(ζ)) = k である。
420 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 10:51:28
円分整数環Z[ζ] の素因子は ν, μ などの代わりに P, Q など とも書く。 素因子の重複を許した形式的な積を因子と呼ぶ。 つまり、因子は (P_1)^(n_1)...(P_r)^(n_r) と書ける。 ここで、P_1, ..., P_r は相異なる素因子であり、 n_1, ..., n_r は有理整数 ≧ 0 である。 因子の積の定義は自明であろう。 素因子の空集合の積を単位因子と呼び (1) で表す。 因子の集合はこの積により可換モノイド(単位半群)となる。 これは、素因子の集合から生成される自由可換モノイドである。
421 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 11:59:13
因子 A, B に対して A = BC となる因子 C があるとき A は B で 割れるという。因子 A, B の最小公倍因子、最大公約因子の定義 は明らかだろう。さらに 因子の無限個の集合に対しても 最大公約因子は定義出来て常に一意に存在する(何故か?)。 円分整数 f(ζ) と 因子 A = (P_1)^(n_1)...(P_r)^(n_r) において 各 i で f(ζ) が P_i で n_i 回割れるとき、 f(ζ) は A で割れると言う。 f(ζ) ≠ 0 のとき f(ζ) を割る因子全体の最大公約因子を f(ζ) が 定める因子といい、(f(ζ)) と書く。f(ζ) が生成する単項イデアル も (f(ζ)) と書く場合があるが、この場合と紛らわしいときは div(f(ζ)) と書く。 f(ζ) が 各 i で P_i できっかり k_i 回割れるとすると、 (f(ζ)) = (P_1)^(k_1)...(P_r)^(k_r) である。
422 :
132人目の素数さん :2006/07/14(金) 13:46:11
命題
円分整数 f(ζ) ≠ 0, g(ζ) ≠ 0 に対して、
div(f(ζ)g(ζ)) = div(f(ζ)) div(g(ζ)) である。
証明
>>412 の 2) より明らか。
423 :
132人目の素数さん :2006/07/14(金) 14:18:37
次の定理およびそれから直に得られる系は Kummer の理想数の理論の 基本定理というべきものである。 定理 円分整数 f(ζ) ≠ 0, g(ζ) ≠ 0 に対して、 div(f(ζ)) が div(g(ζ)) で割れるなら f(ζ) は g(ζ) で割れる。 系 div(f(ζ)) = div(g(ζ)) なら f(ζ)/g(ζ) は円分単数である。 この系の証明は明らかだろう。 この定理の証明のためいくつかの補題を証明する。
ダイバージェンス
425 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 14:21:15
426 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 14:22:31
円分整数 g(ζ) ≠ 0 が次の条件を満たすとき g(ζ) は条件(*) を
満たすということにする。
(*) 任意の円分整数 f(ζ) ≠ 0 に対して、div(f(ζ)) が div(g(ζ))
で割れるなら f(ζ) は g(ζ) で割れる。
補題
円分整数 g(ζ) ≠ 0, h(ζ) ≠ 0 がそれぞれ上の条件(*) を満たすなら、
g(ζ)h(ζ) も条件(*) を満たす。
証明
div(f(ζ)) が div(g(ζ)h(ζ)) で割れるとする。
>>422 より div(g(ζ)h(ζ)) = div(g(ζ)) div(h(ζ)) だから
div(f(ζ)) は div(g(ζ)) で割れる。よって f(ζ) は g(ζ) で
割れる。よって f(ζ) = g(ζ)R(ζ) となる円分整数 R(ζ) がある。
div(f(ζ)) = div(g(ζ)) div(R(ζ)) だから
div(R(ζ)) は div(h(ζ)) で割れる。
よって R(ζ) は h(ζ) で割れる。
よって f(ζ) = g(ζ)h(ζ) で割れる。
証明終
427 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 14:50:47
補題
有理整数 n > 1 は
>>426 の条件(*) を満たす。
証明
>>426 より n が素数 のときに証明すればよい。
n が λ と異なる素数 p のときは div(p) = (P_0)...(P_(e-1))
である。ここで 各 P_i は p を割る素因子である。
これは >403 の命題 4) より 各 P_i は p をきっかり1回割ること
から分かる。
div(f(ζ)) が div(p) で割れれば、
>>401 の最後より f(ζ) は
p で割れる。よって p は
>>426 の条件(*) を満たす。
n = λ のときは div(λ) = L^(λ-1) である。
ここで、L は 円分素数 ζ - 1 で定まる素因子(
>>411 ,
>>419 )である。
div(f(ζ)) が L^(λ-1) で割れれば、f(ζ) は (ζ- 1)^(λ-1)
で割れる(
>>411 )。λ/(1 - ζ)^(λ-1) は単数だから(
>>200 )、
f(ζ) は λ で割れる。
よって λ も
>>426 の条件(*) を満たす。
証明終
428 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 15:23:29
ここで記号を導入する。
因子 A が B で割れるとき B | A と書く。
>423の定理
円分整数 f(ζ) ≠ 0, g(ζ) ≠ 0 に対して、
div(f(ζ)) が div(g(ζ)) で割れるなら f(ζ) は g(ζ) で割れる。
証明
g(ζ) が単数のときは明らかだから、g(ζ) は単数でないとする。
よって Ng(ζ) > 1 である(
>>176 )。
Ng(ζ)/g(ζ) は円分整数だから、これを R(ζ) と書く。
Ng(ζ) = g(ζ)R(ζ) である。
div(g(ζ)) | div(f(ζ)) だから
div(g(ζ))div(R(ζ)) | div(f(ζ))div(R(ζ)) である。
div(g(ζ))div(R(ζ)) = div(Ng(ζ)) だから
div(Ng(ζ)) | div(f(ζ)R(ζ)) である。
Ng(ζ) は有理整数で、Ng(ζ) > 1 だから
>>427 より
f(ζ)R(ζ) は Ng(ζ) = g(ζ)R(ζ) で割れる。
よって、f(ζ) は g(ζ) で割れる。
証明終
これってなんかの本を順番にやってるんですか?
430 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 15:39:23
>>429 >>124 に書いたが Edwards の Fermat's Last Theorem を参考に
している。それをこちらなりに解釈してあり、素因子の扱いは
違うところもある。こちらの方がその点に関してはより分かりやすいと
思っている。
しかし、Edwards の本も Kummwer の論文を元にしており、
基本的アイデアは Kummer のもの。
>>430 ということはそのうち全ての正則素数でFLT(n)が成り立つとかでてきたりするんですか
432 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 15:53:11
433 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 16:18:18
>>423 の定理は、円分整数 f(ζ) ≠ 0 にそれが定める因子 div(f(ζ))
を対応させる写像が整除関係を保ち、単数の違いを除いて単射である
ことを意味している。
つまり、円分整数を単数の違いを除いて因子の世界へ埋め込むことが
出来て、その世界で一意的に素因子に分解されるということである。
これによって、円分体において円分素数による一意分解が必ずしも
成立たないという事実(
>>294 )が、ある意味で救われることになる。
これが kummerの大発見であり、彼の理想数(つまり我々の因子)の理論の
骨子である。
434 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 16:45:29
Kummer の理想素数(つまり我々の素因子) というのは
>>403 ,
>>411 ,
>>416 ,
>>419 などから現代の正規離散付置
と呼ばれるもの(を整域 Z[ζ] に制限したもの)のことである。
これを素因子として、その形式的積を因子とするのは
現代の代数的整数論や1変数代数関数論でお馴染みのものである。
だから Kummer の理想数論 は Dedekind のイデアル論より
ある意味で現代的とも言える。
代数的整数論の歴史的流れは以下の2通りある。
Kummer の理想数論 ⇒ Dedekind のイデアル論
1変数代数関数論 --> Hensel の p-進数論 ⇒ 付置論
⇒ 因子論( ⊃ Kummer の理想数論)
こうして歴史はある意味で循環したことになる。
因みに Kummer も p-進数論的なことを考えていたということを何かで
読んだ覚えがある。それが Hensel の p-進数論に影響を与えたことも
考えられるが、はっきりしたことは知らない。
435 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 17:35:05
Kummer の理想数の理論が難解だと思われて来たのは確かだろう。
何故なら Kummer の理想数について満足に解説されたものが
殆どないから。我々が参考にしてる Edwards の本(1970年代)くらいか。
Kummer の理想数の理論が難解だと思われて来たのは
kummer が有限素体以外の有限体(いわゆるGaloisの虚数体)の理論を
使わなかったことも一因だと思われる。Bourbakiも可換代数の
歴史覚え書で書いてるが当時Galoisの虚数体の理論は知られていたので
Kummer が何故これを使わなかったのか不思議である。
我々はこの点で Kummer と異なり有限体は自由に使っている
(例えば
>>347 など)。因みにEdwards の本は Kummer に比較的忠実で
あり有限体はあまり表だって使ってない。
436 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/14(金) 17:58:27
Kummer理論の特徴の1つはそれが構成的であるということである。
計算的と言ってもいい。彼が計算の達人だったから当然といえるが。
このことは Dedekind のイデアル論の非構成的方法と対照的である。
>>347 で示したように 1 + X + ... + X^(λ-1) をmod p で既約多項式に
分解することが p を割る素因子の決定につながるが、これは有限回の
手続きで実行できるから構成的である。
Kummerは、この既約多項式への分解を間接的な方法で行っている。
これを後で説明する。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|
[email protected] \
 ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧ ( ´Д` ) <
[email protected] ( ´Д` ) /⌒ ⌒ヽ \_______
/, / /_/| へ \
(ぃ9 | (ぃ9 ./ / \ \.∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ /、 / ./ ヽ ( ´Д` )<
[email protected] / ∧_二つ ( / ∪ , / \_______
/ / \ .\\ (ぃ9 |
/ \ \ .\\ / / ,、 ((( ))) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ /〜\ \ > ) ) ./ ∧_二∃ ( ´Д` ) <
[email protected] / / > ) / // ./  ̄ ̄ ヽ (ぃ9 ) \_______
/ ノ / / / / / ._/ /〜 ̄ ̄/ / / ∧つ
/ / . / ./. / / / )⌒ _ ノ / ./ / \ (゚д゚)
[email protected] / ./ ( ヽ、 ( ヽ ヽ | / ( ヽ、 / /⌒> ) ゚( )−
[email protected] ( _) \__つ \__つ).し \__つ (_) \_つ / >
438 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/07/14(金) 18:32:41
439 :
132人目の素数さん :2006/07/14(金) 23:58:25
クムマーさんの仕事は労作と思うが、エドワードの本を 元にして祖述するのはあまりよくないのではあるまいか。 ここは断然、クムマーの論文を直接解読するべきだと思う。
440 :
132人目の素数さん :2006/07/15(土) 13:30:58
Washingtonの本は、Kummerの理論を解説しているのだろうか? (読めば分かるのだろうけど、整数論に深入りする余裕がないので)
>>440 正則な素数に対するフェルマーの定理の証明は載っていたと思うけど。
442 :
132人目の素数さん :2006/07/16(日) 21:53:05
>441 :132人目の素数さん :2006/07/16(日) 15:35:30
>
>>440 > 正則な素数に対するフェルマーの定理の証明は載っていたと思うけど。
つまらない質問にお答え戴き恐縮。
443 :
132人目の素数さん :2006/07/16(日) 22:02:33
>>439 >エドワードの本を元にして祖述するのはあまりよくないのではあるまいか。
一部ならいいだろうが本全体を参考にするのはまずいだろうね。
そこで、理想数の理論はもうすぐ終わるので、そしたら
話題を変えようと思う。
444 :
132人目の素数さん :2006/07/17(月) 01:22:14
>>理想数の理論 hokani reference nai??
445 :
132人目の素数さん :2006/07/17(月) 02:56:47
遠い南の島に、日本の歌を歌う老人がいた。 「あそこでみんな死んでいったんだ……」 沖に浮かぶ島を指差しながら、老人はつぶやいた。 太平洋戦争のとき、その島には日本軍が進駐し陣地が作られた。 老人は村の若者達と共にその作業に参加した。 日本兵とは仲良くなって、日本の歌を一緒に歌ったりしたという。 やがて戦況は日本に不利となり、 いつ米軍が上陸してもおかしくない 状況になった。 仲間達と話し合った彼は代表数人と共に日本の守備隊長の もとを訪れた。自分達も一緒に戦わせて欲しい、と。 それを聞くなり隊長 は激高し叫んだという 「帝国軍人が、貴様ら土人と一緒に戦えるか!」 日本人は仲間だと思っていたのに……みせかけだったのか。 裏切られた想 いで、みな悔し涙を流した。船に乗って島を去る日 日本兵は誰一人見送り に来ない。村の若者達は、悄然と船に乗り込んだ。しかし船が島を離れた 瞬間、日本兵全員が浜に走り出てきた。 そして一緒に歌った日本の歌を 歌いながら、手を振って彼らを見送った。先頭には笑顔で手を振るあの 隊長が。 その瞬間、彼は悟ったという。 あの言葉は、自分達を救うための ものだったのだと……。
>>442 答え方がまずかったかな?
このスレでやっているような理想数を扱ったりはしていない。
ゼータ値と円分体の類数に関するクンマー理論(および岩澤理論)が
ワシントン本のテーマ。
447 :
132人目の素数さん :2006/07/17(月) 15:46:22
>446 :132人目の素数さん :2006/07/17(月) 10:42:08
>
>>442 > 答え方がまずかったかな?
そんな事はない。本当に参考になったよ。
448 :
132人目の素数さん :2006/07/18(火) 09:06:19
このスレに関係あるレスは有りがたいけど、中身に関するレスがないと ちょっと不安になる。本当に理解してるのかなと。 今まで、かなり書いてきた(前スレ1,2を含めて)けど、中身に関する レスというのは殆どない。あるのは荒しを除くと、数学史的なこととか、 概念的なこととか、文献に関することとか。 それはそれで有りがたいんだけど、いや、何も非難してるわけでなく。 言ってる意味わかるよね?
449 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/18(火) 09:39:19
P を Z[ζ] の素因子(
>>412 )とする。n ≧ 1 を有理整数とする。
以下が成立つことは、素因子の定義から明らかだろう。
1) 円分整数 f(ζ) と g(ζ) が P^n で割れるなら f(ζ) - g(ζ) も
P^n で割れる。
2) 円分整数 f(ζ) が P^n で割れるなら、任意の円分整数 h(ζ)
に対して h(ζ)f(ζ) も P^n で割れる。
つまり、P^n で割れる円分整数の集合は Z[ζ] のイデアルとなる。
これから、因子 A で割れる円分整数の集合はZ[ζ] のイデアルとなる
ことが分かる。
因子 A に A で割れる円分整数の集合であるイデアルを対応させる
ことにより、因子の集合と0でないイデアルの集合の間に1対1の
対応があることを示そう。
450 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/18(火) 10:01:13
ここで記法を導入する。
因子 A と B の最大公約因子(
>>421 ) を (A, B) または GCD(A, B)
と書く。このとき A = B でも良いとする。当然 A = (A, A) である。
因子 A と B の最小公倍因子は LCM(A, B)と書く。
因子の数が3個以上の場合も同様である。
円分整数 f(ζ) と g(ζ) に対して (div(f(ζ)), div(g(ζ)))
は (f(ζ), g(ζ)) または GCD(f(ζ), g(ζ)) とも書く。
LCM(div(f(ζ)), div(g(ζ)) は LCM(f(ζ), g(ζ)) とも書く。
円分整数の数が3個以上の場合も同様である。
451 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/18(火) 10:21:55
補題
P を Z[ζ] の素因子で 有理素数 p ≠ λ を割るとする。
f を p の mod λ の指数とする。
p を割る P 以外の素因子を P_1, ..., P_(e-1) とする。
このとき f 項周期から構成される円分整数 Φ(η) で
P で割れるが P_i, i = 1, ..., e-1 では割れないものが存在する。
証明
P_0 = P とおく。
>>409 より各 i, i = 0, ..., e-1 に対して
以下の条件 1), 2) を満たす f 項周期から構成される
円分整数 Ψ_i(η) が存在する。
1) Ψ_i(η) は P_iで割れない。
2) j ≠ i のとき、Ψ_i(η) は P_j で割れる。
Φ(η) = Ψ_1(η) + ... + Ψ_(e-1)(η) とおく。
Φ(η) が求めるものであることは容易にわかる。
証明終
452 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/18(火) 10:33:20
補題
P を Z[ζ] の素因子で 有理素数 p ≠ λ を割るとする。
>>451 の Φ(η) に対して P = (p, Φ(η)) となる。
つまり P は p と Φ(η) の最大公約因子である。
証明
素因子 Q が p と Φ(η) を割るとする。
Φ(η) は P で割れるが p を割る他の素因子では割れない。
よって Q = P でなければならない。
逆に、P は p と Φ(η) を割る。
以上から P = (p, Φ(η)) である。
証明終。
453 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/18(火) 11:23:38
>>452 の補題の主張と証明は間違いだった。
これを訂正する前に補題を述べる。
補題
P を Z[ζ] の素因子で 有理素数 p ≠ λ を割るとする。
f を p の mod λ の指数とする。
p を割る P 以外の素因子を P_1, ..., P_(e-1) とする。
このとき f 項周期から構成される円分整数 ψ(η) で
P できっかり一回割れ、P_i, i = 1, ..., e-1 では割れないものが
存在する。
証明
>>451 の Φ(η) が P^2 で割れないときは ψ(η) = Φ(η) とする。
Φ(η) が P^2 で割れるときは、ψ(η) = p + Φ(η) とすればよい。
証明終
454 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/18(火) 11:29:08
>>452 の訂正
補題
P を Z[ζ] の素因子で 有理素数 p ≠ λ を割るとする。
>>453 の ψ(η) に対して P = (p, ψ(η) ) となる。
つまり P は p と ψ(η) の最大公約因子である。
証明
素因子の冪 Q^n, n ≧ 1 が p と ψ(η) を割るとする。
ψ(η) は P で割れるが p を割る他の素因子では割れない。
よって Q = P でなければならない。
さらにψ(η) は P できっかり一回割れから n = 1 でなければ
ならない。
逆に、P は p と ψ(η) を割る。
以上から P = (p, ψ(η)) である。
証明終。
455 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/18(火) 11:48:12
補題
P, Q を Z[ζ] の素因子で n, m ≧ 1 を有理整数とする。
P^n で割れる円分整数はかならず Q^m で割れるとする。
このとき P^n は Q^m で割れる。つまり P = Q で n ≧ m である。
証明
二つの場合に分ける。
1) P はλを割る。
P = (ζ - 1) である(
>>411 ,
>>419 )。
よって、円分整数 (ζ - 1)^n は P^n で割れる。
仮定より (ζ - 1)^n は Q^m でも割れる
Q^m は Q で割れるから (ζ - 1)^n は Q で割れる。
Q は素因子だから ζ - 1 は Q で割れる。
よって λ = N(ζ - 1) (
>>200 ) は Q で割れる。
λ を割る素因子は (ζ - 1) のみだから P = Q である。
(ζ - 1)^n は きっかり P^m で割れるから n ≧ m である。
2) P は 有理素数 p ≠ λを割る。
>>453 の ψ(η) を使う。p^n は P^n で割れるから Q^m でも割れる。
よって p は Q で割れる。ψ(η)^n は P^n で割れるから Q^m でも
割れる。よって ψ(η) は Q で割れる。よって P = Q である。
ψ(η)^n はきっかり P^n で割れるから n ≧ m である。
証明終
456 :
132人目の素数さん :2006/07/20(木) 05:43:48
1) 次の証明考えてくれ。 X:quasi compact scheme F:coherent sheaf このとき、 G:有限ランクの局所free scheafが存在して G−>>F(全射) とできる。 2) X:quasi compact scheme UはXのopen subscheme このとき、U上のfreesheafはX上のfreesheaf に拡張できますか?
457 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/20(木) 09:10:28
補題
p を有理素数とする。
A, B を Z[ζ] の因子で、それぞれ p を割る素因子のみで割れる
とする。
さらに A で割れる円分整数はかならず B で割れるとする。
このとき A は B で割れる。
証明
p = λ のときは明らかなので p ≠ λ とする。
p の mod λ の指数を f とする。
p を割る相異なる素因子を P_0, P_1, ..., P_(e-1) とする。
>>453 を各 P_i に適用すると、各 i, i = 0, 1, ..., e-1 に対して
f 項周期から構成される円分整数 ψ_i(η) で
以下の条件を満たすものが存在する。
1) ψ_i(η) は P_i できっかり一回割れる。
2) i ≠ j のとき ψ_i(η) は P_j で割れない。
A = (P_0)^(n_0)...(P_(e-1))^(n_(e-1)) とする。
ψ_i(η)^n_i, i = 0, 1, ..., e-1 の積を P(η) とおく。
P(η) は 各 i できっかり (P_i)^(n_i) で割れる。
P(η) は A で割れるから B でも割れる。
各 i に対して B がきっかり (P_i)^m で割れるとする。
P(η) は (P_i)^m で割れる。
よって n_i ≧ m である。
よって、 A は B で割れる。
証明終
>>176-178 f(X)=Σ(a(k)X^k)。
f(X)f(X^(−1))≡b+cΣ(X^k)(mod.X^n−1)。
b+c=Σ(a(k)^2)。
b+nc=(Σ(a(k)))^2。
(n−1)b=nΣ(a(k)^2)−(Σ(a(k)))^2≧0。
459 :
132人目の素数さん :2006/07/20(木) 12:59:34
>>458 正しいかどうか分からないものを解読するのは面倒だから
詳しく説明してくれ。
460 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/20(木) 13:33:26
補題
P を 円分整数環 Z[ζ] の素因子、π を円分整数で P できっかり1回
割れるものとする。n を有理整数 ≧ 1 とする。
円分整数 α が P^n で割れれば
α ≡ (π^n)β (mod P^(n+1)) となる円分整数βが存在する。
証明
P がλを割るときは、 P = (ζ- 1) である。
よって α = ((ζ- 1)^n)β となる円分整数βが存在する。
このとき、当然 α ≡ (π^n)β (mod P^(n+1)) である。
よって P を割る有理素数 p はλと異なるとする。
>>409 より f 項周期から構成される円分整数 Ψ(η) で次の
条件 1), 2) を満たすものが存在する。
1) Ψ(η) は P で割れない。
2) Ψ(η) は p を割る他の素因子で割れない。
α は P^n で割れるから (Ψ(η))^n α = (p^n)γ となる円分整数γが
存在する(
>>403 )。
同様に (Ψ(η))^n (π^n) = (p^n)δ となる円分整数δが存在する。
π^n はきっかり P^n で割れるから δ は P で割れない。
円分整数環 Z[ζ] の mod P の剰余類は体をなすから
δβ ≡ γ (mod P)
となる円分整数βが存在する。
(Ψ(η))^n (α - (π^n)β) = (p^n)(γ - δβ)
の右辺、よって左辺は P^(n+1) で割れる。
(Ψ(η))^n は P で割れないから α - (π^n)β は P^(n+1) で割れる。
証明終
461 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/20(木) 13:49:49
訂正
>>460 >2) Ψ(η) は p を割る他の素因子で割れない。
2) Ψ(η) は p を割る他の素因子で割れる。
462 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/20(木) 17:28:33
補題
P を 円分整数環 Z[ζ] の素因子とする。
円分整数 α が P で割れなければ、任意の有理整数 n ≧ 1 で
αβ ≡ 1 (mod P^n) となる円分整数βが存在する。
証明
n に関する帰納法を使う。
円分整数環 Z[ζ] の mod P の剰余類全体は体をなすから
n = 1 のときは明らか。
n ≧ 1 とし、αγ ≡ 1 (mod P^n) となる円分整数γが存在すると
仮定する。
π を円分整数で P できっかり1回割れるものとする。
このようなπとしては、P がλを割るときは、π = ζ- 1
とし、P がλと異なる有理素数 p を割るときは
>>404 から
π = p とすればよい。
>>460 より αγ - 1 ≡ (π^n)δ (mod P^(n+1)) となる円分整数δが
存在する。
α は P で割れないから、ακ ≡ δ (mod P) となるる円分整数κが
存在する。
α(γ - (π^n)κ) - 1 ≡ (π^n)(δ - ακ) ≡ 0 (mod P^(n+1))
よって β = γ - (π^n)κ とおけば
αβ ≡ 1 (mod P^(n+1)) となる。
証明終
463 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/20(木) 18:12:08
補題
P, Q を 円分整数環 Z[ζ] の異なる素因子とする。
有理整数 n, m ≧ 1 に対して
α ≡ 0 (mod P^n), α ≡ 1 (mod Q^m)
となる円分整数αとβが存在する。
証明
>>455 より P^n で割れる円分整数γで Q で割れないものがある。
>>462 よりγδ ≡ 1 (mod Q^m) となる円分整数δが存在する。
α = γδ とおけばよい。
証明終
464 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/20(木) 18:13:54
訂正
>>463 >となる円分整数αとβが存在する。
となる円分整数αが存在する。
465 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/21(金) 12:27:45
命題
A, B を Z[ζ] の因子とする。
A で割れる円分整数はかならず B で割れるとする。
このとき A は B で割れる。
証明
A を割る素因子で割れる有理素数の集合を {p_1, ..., p_r} とする。
各 i に対して p_i を割る A の素因子の重複度を考慮した積を A_i
とする。 A = (A_1)...(A_r) である。
p_i の十分高い冪は A_i で割れる。
よって (p_1)...(p_r) の十分高い冪は A で割れ、従って B でも
割れる。よって B の素因子は、ある p_i を割る。
各 i に対して p_i を割る B の素因子の重複度を考慮した積を B_i
とする。ただし、p_i を割る B の素因子が存在しないときは B_i は
単位因子とする。以上から B = (B_1)...(B_r) である。
円分整数 α が A_1 で割れるとする。(p_2)...(p_r) の十分高い冪は
(A_2)...(A_r) で割れるから、有理整数 n ≧ 1 を十分大きくとれば
α((p_2)...(p_r))^n は A で割れ、従って B でも割れる。
p_1 を割る B の素因子は ((p_2)...(p_r))^n を割らない。、
よって α は B_1 で割れる。
よって
>>457 から A_1 は B_1 で割れる。
同様にして他の A_i も B_i で割れる。
よって A は B で割れる。
証明終
466 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 09:17:36
補題 A, B, C を Z[ζ] の因子で、 B と C は互いに素とする。 以下の合同式を満たす Z[ζ] の元 x, y があるとする。 x ≡ 0 (mod A) x ≡ 1 (mod B) y ≡ 0 (mod A) y ≡ 1 (mod C) このとき、 z ≡ 0 (mod A) z ≡ 1 (mod BC) となる Z[ζ] の元 z がある。 証明 t = 1 - x s = 1 - y とおけば、 x + t = 1 y + s = 1 となる。 (x + t)(y + s) = 1 の左辺を展開して xy + xs + yt + ts = 1 z = xy + xs + yt とおけば z ≡ 0 (mod A) で z - 1 = -st となる。 -st は B と C で割れ、B と C は互いに素だから BC で割れる。よって z ≡ 1 (mod BC) 証明終
467 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 09:32:32
>>466 の変形として、
補題
A, B, C を Z[ζ] の因子で、 B と C は互いに素とする。
以下の合同式を満たす Z[ζ] の元 x, y があるとする。
x ≡ 1 (mod A)
x ≡ 0 (mod B)
y ≡ 1 (mod A)
y ≡ 0 (mod C)
このとき、
z ≡ 1 (mod A)
z ≡ 0 (mod BC)
となる Z[ζ] の元 z がある。
証明
1 - x ≡ 0 (mod A)
1 - x ≡ 1 (mod B)
1 - y ≡ 0 (mod A)
1 - y ≡ 1 (mod C)
だから
>>466 より
s ≡ 0 (mod A)
s ≡ 1 (mod BC)
となる s がある。
z = 1 - s とおけばよい。
証明終
468 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 09:38:54
補題
A, B を Z[ζ] の因子で互いに素とする。
このとき以下の合同式を満たす Z[ζ] の元 x, y がある。
x ≡ 1 (mod A)
x ≡ 0 (mod B)
証明
A, B を互いに異なる素因子の冪の積として表し、
>>463 ,
>>466 , >> 467 を繰り返して使えばよい。
証明終
469 :
132人目の素数さん :2006/07/24(月) 09:43:14
大好物メコスジ論 #003
470 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 09:56:51
補題
A_1, ..., A_r を Z[ζ] の因子で、どの二つも互いに素とする。
このとき以下の合同式を満たす Z[ζ] の元 x_1, ..., x_r がある。
x_i ≡ 1 (mod A_i), i = 1, ..., r
x_i ≡ 0 (mod A_j), j ≠ i のとき。
証明
各 i に対して
B_i = ΠA_j とする。ここで 積は j ≠ i となる j 全体を動く。
A_i と B_i は素だから
>>468 より
x_i ≡ 1 (mod A_i)
x_i ≡ 0 (mod B_i)
となる x_i がある。
x_i は j ≠ i のとき A_j で割れるからこれが求めるものである。
証明終
471 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 10:04:21
命題(中国式剰余定理)
A_1, ..., A_r を Z[ζ] の因子で、どの二つも互いに素とする。
y_1, ..., y_r を Z[ζ] の元の列とする
(y_1, ..., y_r には同じものがあってもよい)。
このとき
z ≡ y_i (mod A_i), i = 1, ..., r
となる Z[ζ] の元 z が存在する。
証明
>>470 より、以下の合同式を満たす Z[ζ] の元 x_1, ..., x_r
がある。
x_i ≡ 1 (mod A_i), i = 1, ..., r
x_i ≡ 0 (mod A_j), j ≠ i のとき。
z = (x_1)(y_1) + ... + (x_r)(y_r) とすればよい。
証明終
472 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 12:05:48
命題
A, B を Z[ζ] の因子とし、C を A と B の最大公約因子とする。
Z[ζ] の元 c が C で割れれば A で割れる元 a と B で割れる元 b
があり、c = a + b となる。
証明
A = CA'
B = CB'
となる因子 A', B' がある。
A' と B' は素である。
よって、
>>468 より
b' ≡ 1 (mod A')
b' ≡ 0 (mod B')
となる b' がある。
a' = 1 - b'
とおけば、
a' ≡ 0 (mod A')
で
a' + b' = 1
この両辺に c を掛けて
c = ca' + cb'
ca' は CA' = A で割れ、cb' は CB' = B で割れる。
よって a = ca', b = cb' が求めるものである。
証明終
473 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 13:01:38
補題 Z[ζ] のイデアルは有限生成である。 証明 Z[ζ] がネーター環であることは周知だし、有限生成アーベル群の 部分群は有限生成であることからも分かるが、ここでは別証明を述べる。 I を Z[ζ] のイデアルとする。I ≠ 0 と仮定してよい。 α ≠ 0 を I の元とする。Nα ∈ I である。 n = Nα とおく。 Z[ζ] の加法群は階数 λ-1 の自由アーベル群 だから Z[ζ]/nZ[ζ] は n^(λ-1) 個の剰余類からなる。 よって I/nZ[ζ] の剰余類の個数は有限である。 β_1, ..., β_r を I/nZ[ζ] の各剰余類の代表元とする。 γ ∈ I なら γ ≡ β_i (mod nZ[ζ]) となる β_i がある。 つまり γ は β_iZ[ζ] + nZ[ζ] に含まれる。 よって I は β_1, ..., β_r と n で生成される。 証明終
474 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 13:25:59
命題
Z[ζ] の因子 A に対して A で割れる円分整数全体は Z[ζ] の
イデアルとなる。このイデアルを I(A) と書く。
A に I(A) を対応させることにより Z[ζ] の因子と Z[ζ] の 0
でないイデアルの間に1対1の対応が得られる。
証明
I(A) がイデアルになることは明らか。I(A) ≠ 0 も明らかだろう。
I(A) = I(B) とすると、
>>465 より A は B で割れ、B は A で割れる。
よって A = B である。よって、写像 I は単射である。
J を Z[ζ] の0でないイデアルとする。
>>473 より J は有限生成である。α_1, ..., α_r を J の生成元で
0でないものとする。
A を div(α_1), ..., div(α_r) の最大公約因子とする。
>>472 より I(A) ⊂ J である。
J ⊂ I(A) は明らかだからJ = I(A) である。
よって、写像 I は全射である。
証明終
475 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 14:35:02
補題
Z[ζ] の素因子 P と有理整数 n ≧ 1 に対して P^n で割れる
円分整数全体 I(P^n) は I(P)^n に等しい。
証明
P = div(ζ - 1) のときは明らかだから、P ≠ div(ζ - 1) とする。
P を割る有理素数を p とする。
p を割る P 以外の素因子を P_1, ..., P_(e-1) とする。
>>453 より 円分整数 ψで P できっかり一回割れ、
P_i, i = 1, ..., e-1 では割れないものが存在する。
>>454 より P は p と ψ の最大公約因子である。
>>472 より I(P) は p と ψ で生成される。
よって I(P)^n は {p^iψ^j; i + j = n} で生成される。
素因子 Q が集合 {p^iψ^j; i + j = n} の任意の元を割るとする。
Q は p^n を割るから p を割る。よって Q は P または
P_1, ..., P_(e-1) のどれかである。
ψ^n は Q で割れるから ψ は Q で割れる。よって Q = P である。
P^k が集合 {p^iψ^j; i + j = n} の任意の元を割るとする。
ψ^n は P^k で割れるから n ≧ k である。
集合 {p^iψ^j; i + j = n} の各元が P^n で割れることは明らか。
よって {p^iψ^j; i + j = n} の最大公約因子は P^n である。
>>472 より I(P^n) = I(P)^n である。
証明終
476 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 15:04:35
補題 環 R のイデアル I, J に対して I + J = R とする。 このとき、I ∩ J = IJ である。 証明 I ∩ J = (I + J)(I ∩ J) ⊂ IJ + IJ ⊂ IJ である。 IJ ⊂ I ∩ J は明らか。 証明終
477 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 15:06:05
補題
A, B を Z[ζ] の因子で互いに素とする。
I(AB) = I(A)I(B) である。
証明
I(AB) = I(A) ∩ I(B) は明らか。
>>468 より
x ≡ 1 (mod A)
x ≡ 0 (mod B)
となる x がある。
1 = (1 - x) + x において、1 - x ∈ I(A), x ∈ I(B) だから、
I(A) + I(B) = Z[ζ] である。
よって、
>>476 より I(A) ∩ I(B) = I(A)I(B) である。
証明終
478 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 15:09:58
補題
A, B を Z[ζ] の因子とする。
I(AB) = I(A)I(B) である。
証明
>>475 と
>>477 より分かる。
証明終
479 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 15:13:55
定理
Z[ζ] の0でないイデアルは素イデアルの冪積として一意に分解される。
証明
素因子 P に対して I(P) が素イデアルであることは明らか。
よって、
>>478 と
>>474 より定理の主張が得られる。
証明終
480 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 15:16:21
481 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 15:18:47
482 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 15:27:07
>>479 より Kummer の因子論(理想数論)から円分体における Dedekind の
イデアル論が出ることが分かった。
逆に 円分体における Dedekind のイデアル論から Kummer の因子論が
出るが、これは後で一般の代数体の整数論をやるときに示そう。
483 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/24(月) 17:25:09
P を Z[ζ] の素因子とする。
>>394 により P から Hom(Z[ζ], Ω) の元 Φ が定まる。
I(P) = Ker(Φ) である。
σを Z[ζ] の自己同型で σ(ζ) = ζ^i とする。
1 ≦ i ≦ λ - 1 である。
Φσ^(-1) も Hom(Z[ζ], Ω) の元だから、
I(P') = Ker(Φσ^(-1)) となる素因子 P' が定まる。
P' を σ(P) と書く。
α ≡ 0 (mod σ(P)) は σ^(-1)(α) ≡ 0 (mod P) と同値である。
よって I(σ(P)) = σ(I(P)) である。
484 :
132人目の素数さん :2006/07/24(月) 21:29:16
485 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/25(火) 14:34:30
p を有理素数で p ≠ λとし、 f を mod λでの p の指数とする。
e = (λ- 1)/f とおく。
P を Z[ζ] の素因子で p を割るとする。
有限素体 Z/pZ の代数的閉包をΩとする。
Ωにおける X^λ - 1 の根で1以外の任意の1つをωとする。
X^λ - 1 の根の全体は 1, ω, ω^2, ..., ω^(λ-1) である。
Z/pZ とωで生成されるΩの部分体を K とおく。
K の Z/pZ 上の次数は f である。
このことは
>>347 で示したが、復習の意味でもう一度証明しよう。
K の Z/pZ 上の次数を n とする。K の元の個数は p^n である。
よって K の乗法群の位数は p^n - 1 である。
ωは K の乗法群の位数 λ の元だから、p^n - 1 は λ で割れる。
よって、n は f で割れる。
>>326 より p^f 個の元からなる K の部分体 L がある。
L の乗法群は位数 p^f - 1 の巡回群であり p^f ≡ 1 (mod λ) だから
L の乗法群には位数λの元が存在する。よって、ωは L に含まれる。
よって、K = L である。よって、n = f である。
486 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/25(火) 15:34:53
>>485 の続き
u を u(x) = x^p で定義される K のそれ自身への写像とする。
>>322 より u は K/F の自己同型写像である。
ここで、 F = Z/pZ である。
K の乗法群の位数は p^f - 1 だから、K の乗法群の任意の元 x
に対して x^(p^f - 1) = 1 となる。両辺に x を掛けると
x^(p^f) = x である。この等式は x = 0 のときも成立つ。
これは u^f(x) = x を意味する。つまり u^f = 1 である。
u^r = 1 となる整数 r で 1 ≦ r < f となるものがあったとする。
すると x^(p^r) = x が K の任意の元で成立つ。
つまり p^r 次の多項式 X^(p^r) - X が p^f 個の根を持つ。
p^r < p^f だから、これは有り得ない。
よって 1, u, u^2, ..., u^(f-1) は K/F の相異なる自己同型である。
K/F の次数は f だから K/F の自己同型はこれ等で尽くされる。
487 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/26(水) 11:18:28
>>486 の続き
ωの Z/pZ 上のモニックな最小多項式を g_0(X) とする。
1 + X + ... + X^(λ-1) は g_0(X) で割れる。
u(ω) = ω^p, u^2(ω) = ω^(p^2), ..., u^(f-1)(ω) = ω^(p^(f-1))
は g_0(X) の根である。K は Z/pZ 上ωで生成されるから u は
u(ω) で決まる。u の位数は f だから ω, ω^p, ..., ω^(p^(f-1))
は相異なる。よって、これ等は g_0(X) の根のすべてである。
ω, ω^p, ..., ω^(p^(f-1)) 以外の 1 + X + ... + X^(λ-1) の根の
任意の1つをω_1 とする。
ω_1 の Z/pZ 上のモニックな最小多項式を g_1(X) とする。
上と同様に ω_1, (ω_1)^p, ..., (ω_1)^(p^(f-1)) は g_1(X) の根の
すべてである。これ等の根は g_0(X) の根では有り得ない。
以上の処理を繰り返すと、1 + X + ... + X^(λ-1) は
e = (λ- 1)/f 個の既約多項式 g_0(X), g_1(X), ..., g_(e-1)(X)
の積に分解する。各 g_i(X) の次数は f である。
各 g_i(X) の任意の二つの根は Z/pZ 上共役である。
488 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/26(水) 14:01:37
>>487 の続き
r を mod λ の原始根とする。
σ を Z[ζ] の環としての自己同型で σ(ζ) = ζ^r となる
ものとする。
Z[ζ] の自己同型群は σ で生成される位数 λ- 1 の巡回群である。
p ≡ r^k (mod λ) となる有理整数 k で 1 ≦ k ≦ λ- 2 となるもの
がある。σ^k(ζ) = ζ^p である。σ^k の位数は f である。
Φを Z[ζ] から Ω への準同型で Φ(ζ) = ω となるものとする。
Φ は素因子 P を定める。
Φ(f(ζ)) = f'(ω) = 0 とする。つまり、f(ζ) ≡ 0 (mod P) とする。
ここで f(X) は Z 係数の多項式で
f'(X) は f(X) の係数を mod p で還元したもの。
f'(X) は g_0(X) で割れる。よって、f'(ω^p) = 0 である。
Φ(σ^k(ζ))) = Φ(f(ζ^p)) = f'(ω^p) = 0
つまり f(ζ) ≡ 0 (mod P) なら σ^k(f(ζ)) ≡ 0 (mod P)
逆に、Φ(σ^k(ζ))) = 0 なら、f'(ω^p) = 0 だから、
g_0(X) は、ω^p の最小多項式でもあるから、
f'(X) は g_0(X) で割れる。よって、Φ(f(ζ)) = f'(ω) = 0 である。
つまり σ^k(f(ζ)) ≡ 0 (mod P) と f(ζ) ≡ 0 (mod P) は
同値である。
よって σ^(-k)(P) = P である。
つまり、P = σ^k(P) である。
489 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/26(水) 17:18:17
>>488 の続き
Z[ζ] の自己同型τに対して τ(P) = P とする。
τ(ζ) = ζ^i とする。ここで i は有理整数で 1 ≦ i ≦ λ - 1
である。
G_0(X) を有理整数係数のモニックな多項式で、それを mod p で還元
したものが g_0(X) となるようなものとする。
Φ(G_0(ζ)) = g_0(ω) = 0 だから G_0(ζ) ≡ 0 (mod P) である。
よって、τ(G_0(ζ)) ≡ 0 (mod P) である。
よって Φ(τ(G_0(ζ))) = g_0(ω^i)) = 0 である。
ω^i = ω^(p^t) となる有理整数 t, 0 ≦ t ≦ f - 1 がある。
p^t ≡ i (mod λ) である。
p^(tf) ≡ i^f (mod λ) である。
p^f ≡ 1 (mod λ) だから p^(tf) ≡ 1 (mod λ) である。
よって i^f ≡ 1 (mod λ) である。
よって (τ^f)(ζ) = ζ^(i^f) = 1
よって τ^f = 1 である。
つまり P を不変にする Z[ζ] の自己同型の位数は f の約数である。
>>488 より P を不変にする Z[ζ] の自己同型で位数が f のものがある。
Z[ζ] の自己同型群を G とする。G は位数 λ - 1 の巡回群である。
以上から、P を不変にする Z[ζ] の自己同型のなす部分群は
(ただ1つの)位数 f の巡回部分群である。
490 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/27(木) 11:47:48
>>489 の続き
Φ_1 を Z[ζ] から Ω への準同型とする。
Φ_1(ζ) = ω^t となる有理整数 t, 1 ≦ t ≦ λ - 1 がある。
τを Z[ζ] の自己同型で τ(ζ) = ζ^t となるものとする。
Φ_1(f(ζ)) = f'(ω^t) = 0 とする。
ここで f(X) は Z 係数の多項式で、f'(X) は f(X) の係数を mod p で
還元したものである。
つまり Φ_1 が定める素因子を P_1 とすると、
f(ζ) ≡ 0 (mod P_1) である。
一方 Φ(τ(f(ζ))) = Φ(f(ζ^t)) = f'(ω^t) = 0 である。
つまり τ(f(ζ)) ≡ 0 (mod P) である。
よって P_1 = τ^(-1)(P) である。
491 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/27(木) 13:39:31
>>490 の続き
p を割る素因子の集合を S = {P_0, ..., P_(e-1)}
とする。P_0 = P とする。
Z[ζ] の自己同型群を G とする。
>>488 より G は位数 λ- 1 の巡回群である。
>>483 により G は S に作用する。
さらに
>>490 より G は S に推移的に作用する。
P の固定化部分群 H は
>>489 より G の位数 f の部分群である。
G/H の代表元を τ_0, ..., τ_(e-1) とし、τ_0 = 1 とする。
τ_i(P) = τ_j(P) とすると
(τ_i)(τ_j)^(-1) ∈ H だから τ_i = τ_j である。
よって、τ_0(P), τ_1(P), ..., τ_(e-1)(P) は互いに異なる。
よって、集合 {τ_0(P), τ_1(P), ..., τ_(e-1)(P)} は S と一致
する。このことからも、G は S に推移的に作用することが分かる。
A = Πτ(P) とおく。ここでτは Z[ζ] の自己同型のすべてを動く
ものとする。
A は τ_0(P)τ_1(P)...τ_(e-1)(P) を f 回掛けたものである。
一方、p が定める因子(
>>421 ) div(p) はτ_0(P)τ_1(P)...τ_(e-1)(P)
である。
よって A = div(p)^f = div(p^f) である。
492 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/27(木) 14:54:55
補題
Z[ζ] の因子 A に対して I(A) を A が定めるイデアル(
>>474 )
とする。剰余環 Z[ζ]/I(A) は有限環である。
証明
I(A) ≠ 0 である。
α ≠ 0 を I の元とする。Nα ∈ I である。
n = Nα とおく。 Z[ζ] の加法群は階数 λ-1 の自由アーベル群
だから Z[ζ]/nZ[ζ] は n^(λ-1) 個の剰余類からなる。
nZ[ζ] ⊂ I(A) だから Z[ζ]/I(A) の剰余類の個数は有限である。
証明終
493 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/27(木) 14:55:29
定義 Z[ζ] の因子 A に対して剰余環 Z[ζ]/I(A) の元の個数を A の ノルムといい、N(A) と書く。
494 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/27(木) 15:10:03
補題
P を 円分整数環 Z[ζ] の素因子、π を円分整数で P できっかり1回
割れるものとする。n を有理整数 ≧ 0 とする。
Z[ζ]/I(P) の各剰余類から代表元を取り出して1つの代表系Γを作る。
任意の円分整数 α に対して
α ≡ γ_0 + γ_1π + ... + γ_nπ^n (mod P^(n+1))
となる、Γの元の列γ_0, ..., γ_n が一意に存在する。
証明
n に関する帰納法を使う。
n = 0 のときは明らかである。
n ≧ 1 として n - 1 のときに補題は正しいと仮定する。
α - (γ_0 + γ_1π + ... + γ_(n-1)π^(n-1)) ≡ 0 (mod P^n)
となるγ_0, ..., γ_(n-1) が一意に存在する。
α - (γ_0 + γ_1π + ... + γ_(n-1)π^(n-1)) をδとおく。
>>460 より
δ ≡ (π^n)β (mod P^(n+1))
となる円分整数βが存在する
β ≡ γ_n (mod P) となる γ_n ∈ Γ が存在する。
(π^n)β ≡ (π^n)γ_n (mod P^(n+1)) である。
よって δ ≡ (π^n)γ_n (mod P^(n+1))
これで γ_n の存在がいえた。
γとγ'をΓの元で
(π^n)γ ≡ (π^n)γ' (mod P^(n+1)) とする。
(π^n)(γ - γ') ≡ 0 (mod P^(n+1))
π^n はきっかり P^n で割れるから γ ≡ γ' (mod P) である。
よって γ = γ' である。
これで γ_n の一意性がいえた。
証明終
495 :
132人目の素数さん :2006/07/27(木) 16:04:31
なにこの絵文字スレ (π^n)(γ - γ') (τ_i)(τ_j) ω^(p^t) とか全部、超カワイイんだけど。 0(ω^i)) ←ブタさん冷や汗 (f(ζ^t)) ←こいつ鼻高い {p^iψ^j; ←おじ様っぽい (π^n)κ ←おーい、みんな〜!
496 :
132人目の素数さん :2006/07/27(木) 16:17:13
>なにこの絵文字スレ そうだね
497 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/28(金) 10:06:53
補題
P を 円分整数環 Z[ζ] の素因子、n ≧ 1 を有理整数とする。
N(P^n) = N(P)^n である。
証明
>>494 より明らか。
498 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/28(金) 10:07:31
補題
A, B を円分整数環 Z[ζ] の因子で互いに素とする。
N(AB) = N(A)N(B) である。
証明
Z[ζ] の元 x にそれが属す Z[ζ]/I(A) の剰余類を対応させる
準同型写像を φ_1 とする。
同様に、[ζ] の元 x にそれが属す Z[ζ]/I(B) の剰余類を対応させる
準同型写像を φ_2 とする。
Z[ζ] から環の直積 Z[ζ]/I(A) × Z[ζ]/I(B) への写像 Φ を
Φ(x) = (φ_1(x), φ_2(x)) で定義する。
これは環準同型写像である。
>>471 (中国式剰余定理) よりΦは全射である。
Φの核は I(A) ∩ I(B) = I(AB) である。
よって、Z[ζ]/I(AB) は Z[ζ]/I(A) × Z[ζ]/I(B) と同型である。
よって、N(AB) = N(A)N(B) である。
証明終
499 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/28(金) 10:17:36
命題
A, B を円分整数環 Z[ζ] の(互いに素とは限らない)因子とする。
N(AB) = N(A)N(B) である。
証明
A = (P_1)^(n_1)...(P_r)^(n_r)
B = (P_1)^(m_1)...(P_r)^(m_r)
とする。ここで各 P_i は互いに異なる素因子であり、
n_i, m_i ≧ 0, である。
>>497 と
>>498 より N(A) = N(P_1)^(n_1)...N(P_r)^(n_r)
N(B) = N(P_1)^(m_1)...N(P_r)^(m_r) となる。
同様に N(AB) = N(P_1)^(n_1 + m_1)...N(P_r)^(n_r + m_r) となる。
従って N(AB) = N(A)N(B) である。
証明終
500x500/311=804.
501 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/28(金) 10:42:24
補題
P を 円分整数環 Z[ζ] の素因子とし、n ≧ 1 を有理整数とする。
N(P^n) が定める因子(
>>421 ) div(N(P^n)) は Πτ(P^n) に等しい。
ここでτは Z[ζ] の自己同型のすべてを動くものとする。
証明
>>497 より n = 1 の場合を証明すればよい。
P がλを割らないときは、
>>491 より div(N(P)) = Πτ(P) である。
P がλを割るときは、P = div(ζ - 1) であり、任意の自己同型τ
に対して τ(P) = P である。
一方、P^(λ-1) = div(λ) である。
N(P) = λ だから div(N(P)) = Πτ(P) である。
証明終
502 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/28(金) 10:45:40
命題
A を 円分整数環 Z[ζ] の因子とする。
N(A) が定める因子(
>>421 ) div(N(A)) は Πτ(A) に等しい。
ここでτは Z[ζ] の自己同型のすべてを動くものとする。
証明
>>501 と
>>499 より明らか。
503 :
132人目の素数さん :2006/07/31(月) 11:41:14
Kummer理論の特徴は構成的であること。因子(つまり理想数)が 具体的に計算できる。 例として λ = 5, p = 11 として p を割る素因子を求めてみよう。 11^2 ≡ 1 (mod 5) だから、まず 2 項周期を求める。 mod 5 の原始根は 2 だから θ_0 = ζ + ζ^4, θ_1 = ζ^2 + ζ^3 が 2 項周期である。 θ_0 + θ_1 = -1 (θ_0)(θ_1) = -1 である。 よって H(X) = (X - θ_0)(X - θ_1) = X^2 + X - 1 とおけば H(θ_0) = H(θ_1) = 0 である。 X^2 + X - 1 ≡ 0 (mod 11) を解く。 3 (mod 11) と -4 (mod 11) がこの根である。
504 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/31(月) 11:58:54
>>503 は没。以下のように訂正する。
Kummer理論の特徴は構成的であること。因子(つまり理想数)が
具体的に計算できる。
例として λ = 5, p = 19 として p を割る素因子を求めてみよう。
19^2 ≡ 1 (mod 5) だから、まず 2 項周期を求める。
mod 5 の原始根は 2 だから
θ_0 = ζ + ζ^4, θ_1 = ζ^2 + ζ^3 が 2 項周期である。
θ_0 + θ_1 = -1
(θ_0)(θ_1) = -1
である。
よって
H(X) = (X - θ_0)(X - θ_1) = X^2 + X - 1
とおけば
H(θ_0) = H(θ_1) = 0 である。
X^2 + X - 1 ≡ 0 (mod 19) を解く。
4 (mod 19) と -5 (mod 19) がこの根である。
505 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/31(月) 12:56:34
>>504 の続き
Φを Z[ζ] からΩへの環準同型とする。
ここでΩは Z/19Z の代数的閉包である。
Φ(H(θ_0)) = H'(Φ(θ_0)) = 0 である。
ここで H'(X) は H(X) を mod 19 で還元したものである。
Φ(θ_0) ∈ Z/19Z だから(
>>351 ,
>>352 )
Φ(θ_0) = 4 (mod 19) または -5 (mod 19) である。
Φ(θ_0) = 4 (mod 19)とすれば、
Φ(θ_1) = -5 (mod 19) である。
このΦにより Z[ζ] の1つの素因子が得られる(
>>394 )。
もう1つの素因子は
Φ_1(θ_0) = -5 (mod 19)
Φ_1(θ_1) = 4 (mod 19) である(
>>354 )。
(X - ζ)(X - ζ^4) = X^2 - (θ_0)X + 1
であるが、
この両辺の係数にΦを作用させると、
(X - ω)(X - ω^4) = X^2 - 4X + 1
ただし、Φ(ζ) = ω とおいた。
同様に
(X - ζ^2)(X - ζ^3) = X^2 - (θ_1)X + 1
より
(X - ω^2)(X - ω^3) = X^2 + 5X + 1
よって
X^4 + X^3 + X^2 + X + 1 ≡ (X^2 - 4X + 1)(X^2 + 5X + 1) (mod 19)
となる。
つまり、左辺の多項式の mod 19 での既約分解が得られる。
506 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/07/31(月) 13:19:05
一般に奇素数λと素数 p ≠ λが与えられたとき、
p を割る Z[ζ] の素因子は以下のような方針で求めることが出来る。
p の mod λの指数を f とする。
η_0, ..., η_(e-1) を f 項周期とする。
H(X) = (X - η_0)(X - η_1)...(X - η_(e-1))
とおけば H(X) は有理整数係数であり Q[X] で既約である
(演習問題とする)。
H(X) ≡ 0 (mod p) の根の1つを u_0 (mod p) とする。
一方
(η_0)^i = Σa_(i,j)η_j
0 ≦ i ≦ e-1
0 ≦ j ≦ e-1
a_(i,j) ∈ Z
とする。
これから mod p の連立一次合同方程式が得られる。
(u_0)^i ≡ Σa_(i,j)u_j (mod p)
0 ≦ i ≦ e-1
0 ≦ j ≦ e-1
det(a_(i,j)) が mod p で 0 でなければ、
u_1, ..., u_(e-1) が mod p で求まる。
Φ(η_i) = u_i (mod p) と定義することにより、
1つの素因子が得られる。
他の素因子はこれから自動的に定まる(
>>354 )。
507 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/01(火) 13:00:32
>>506 の続き
Z[ζ] からΩへの環準同型Φで Φ(η_0) = u_0 (mod p) となるもの
の存在を言わないと、
>>506 の方法は成立たない。
以下にその証明を行う。
H(X) は有理整数係数であり Q[X] で既約であるから
Z[η_0] から Z/pZ への環準同型φで φ(η_0) = u_0 (mod p) と
なるものがある。ζ は Z 上整だから Z[η_0] 上整でもある。
前スレ1の520の定理(Cohen-Seidenberg) より、Z[ζ] の素イデアル P
で Ker(φ) = Z[η_0] ∩ P となるものがある。
Z[ζ]/P は有限環だから P は極大イデアルである。
よって Z[ζ]/P は有限体である。よって上のようなΦが存在する。
Cohen-Seidenbergの定理を使わない以下のような証明もある。
Z[η_0]/Ker(φ) は Z/pZ と同型だから Ker(φ) は Z[η_0] の
極大イデアルである。
Z[ζ] = Z[η_0][ζ] は Z[η_0]-加群として有限生成である。
よって、中山の補題(前スレ1の242)より Ker(φ)Z[ζ] ≠ Z[ζ] である。
よって、Ker(φ)Z[ζ] を含む Z[ζ] の極大イデアル P がある。
Ker(φ) ⊂ P で Ker(φ) は Z[η_0] の極大イデアルだから、
Ker(φ) = Z[η_0] ∩ P である。
508 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/01(火) 13:38:52
>>506 への補足
(u_0)^i ≡ Σa_(i,j)u_j (mod p)
0 ≦ i ≦ e-1
0 ≦ j ≦ e-1
これの i = 1 のときの
u_0 ≡ u_0 (mod p) は当然省くことが出来る。
従って e-1 個の未知数 u_1, ..., u_(e-1) に関する e-1 個の
1次合同方程式が得られる。
det(a_(i,j)) が p で割れるときは、
>>506 の方法は使えない。
このときは 1 + X + ... + X^(λ-1) の mod λ での既約分解を
実行する(
>>347 )。
有限体上での既約多項式分解を行うアルゴリズムとしては
割と効率のいいものが知られている。
509 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/01(火) 14:33:59
>>505 の補足
Ψ(θ) = θ_0 + 5 = 5 + ζ + ζ^4
とおけば、Φ(Ψ(θ)) = 4 + 5 ≠ 0 (mod p)
Φ_1(Ψ(θ)) = 0 (mod p) である。
よって Ψ(θ) は
>>402 の条件 1), 2) を満たす。
このΨ(θ)を使って
>>403 のように 円分整数に対して
Φで定まる素因子で何回割れるかが判定できる。
510 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/01(火) 17:04:52
Kummerの理想数論は一般の代数体にもある程度適用出来る。 f(X)をモニックな有理整数係数の多項式で Q[X] したがって Z[X] で既約とする。 θを複素数で f(X) の根とする。 f(X) の判別式を d とする。p を d を割らない有理素数とする。 f(X) を mod p で既約多項式に分解して f(X) ≡ g_0(X)...g_(e-1)(X) (mod p) とする。f(X) は mod p で重根を持たないから、 各 g_i(X) はモニックで互いに異なるとしてよい。 Ωを Z/pZ の代数的閉包とする。 g_0(X) を mod p で考えて、そのΩにおける根の1つをω_0とする。 Φ_0(θ) = ω_0 により Z[θ] からΩへの環準同型が得られる。 同様に 1 ≦ i ≦ e - 1 のとき g_i(X) を mod p で考えて、そのΩにおける根の1つをω_iとする。 Φ_i(θ) = ω_i により Z[θ] からΩへの環準同型が得られる。 Φ_i の核を求める。 h(X) ∈ Z[X] で Φ_i(h(θ)) = 0 とする。 Φ_i(h(θ)) = h(ω_i) = 0 だから h(X) ≡ g_i(X)Q(X) (mod p) となる Q(X) ∈ Z[X] がある。 よって h(X) = g_i(X)Q(X) + pR(X) となる R(X) ∈ Z[X] がある。 よって、h(θ) = g_i(θ)Q(θ) + pR(θ) となる。 つまり、h(θ) は Z[θ] において p と g_i(θ) で生成されるイデアル (p, g_i(θ)) に含まれる。 つまり Ker(Φ_i) ⊂ (p, g_i(θ)) である。 逆の包含関係は明らかだから Ker(Φ_i) = (p, g_i(θ)) である。
511 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/01(火) 17:34:39
>>510 の続き
h(X) ∈ Z[X] とし、各 i = 0, ..., e-1 で Φ_i(h(θ)) = 0 とする。
h(X) は mod p で各 g_i(X) で割れる。よって mod p で f(X) で割れる。
従って、h(X) = f(X) H(X) + pR(X) となる H(X), R(X) ∈ Z[X]
がある。よって、h(θ) ∈ pZ[θ] である。
つまり h(θ) は p で割れる。
512 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/01(火) 17:44:35
>>511 の続き
h(X) ∈ Z[X] とし、Φ_i(h(θ)) = 0 のとき
h(θ) は Φ_i で定まる素因子 P_i で割れるという。
Ψ(θ) = g_1(θ)...g_(e-1)(θ) とおく。
Φ_0(Ψ(θ)) ≠ 0 である。
よって h(X) ∈ Z[X] で Ψ(θ)h(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ]) のとき
Φ_0(Ψ(θ))Φ_0(h(θ)) = 0 だから Φ_0(h(θ)) = 0 である。
逆に Φ_0(h(θ)) = 0 とする。
当然 Φ_0(Ψ(θ)h(θ)) = 0 である。
i ≠ 0 のとき Φ_i(Ψ(θ)) = 0 であるから
Φ_i(Ψ(θ)h(θ)) = 0 である。
したがってすべての i = 0, ..., e-1 で Φ_i(Ψ(θ)h(θ)) = 0
である。よって、
>>511 よりΨ(θ)h(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ]) となる。
つまり、h(θ) が Φ_0 で定まる素因子 P_0 で割れるためには
Ψ(θ)h(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ]) が必要十分である。
513 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/02(水) 09:47:02
>>512 の続き
n ≧ 1 を有理整数として、
h(X) ∈ Z[X] とし Ψ(θ)^n h(θ) ≡ 0 (mod p^n) のとき
h(θ) は Φ_0 で定まる素因子 P_0 で n 回割れるという。
h(θ) が P_0 で n 回割れるが n + 1 回では割れないとき
h(θ) は P_0 できっかり n 回割れるという。
このとき
>>403 の 1) , 2), 3), 4) と同様なことが成立つ。
証明も同様であるが一応証明する。
514 :
132人目の素数さん :2006/08/02(水) 09:48:17
クンマー大好き結婚して!
515 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/02(水) 09:53:29
>>513 の続き
補題
h(X) ∈ Z[X] とし、h(θ) が Φ_0 で定まる素因子で
k 回割れるとする。
(Ψ(θ)^k) h(θ) ≡ 0 (mod p^k) だから、
(Ψ(θ)^k) h(θ) / p^k ∈ Z[θ] である。
これを R(θ) とする。
h(θ) が Φ_0 で定まる素因子できっかり k 回割れるためには、
R(θ) が Φ_0 で定まる素因子で割れないことが必要十分である。
証明
(Ψ(θ)^k) h(θ) = (p^k) R(θ) である。
>>512 より R(θ) が Φ_0 で定まる素因子で割れるためには
Ψ(θ)R(θ) ≡ 0 (mod p) が必要十分である。
このことから命題の主張は明らかである。
証明終
516 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/02(水) 10:06:35
>>515 の続き
補題
g(θ) が Φ_0 で定まる素因子できっかり k 回割れ
h(θ) が Φ_0 で定まる素因子できっかり l 回割れるとする。
このとき、g(θ)h(θ) は Φ_0 で定まる素因子できっかり
k + l 回割れる。
証明
(Ψ(θ)^k) g(θ) ≡ 0 (mod p^k) だから、
(Ψ(θ)^k) g(θ) = (p^k) U(θ) となる U(θ) ∈ Z[θ] がある。
同様に、
(Ψ(θ)^l) h(θ) = (p^l) V(θ) となる V(θ) ∈ Z[θ] がある。
>>515 より U(ζ) と V(ζ) は Φ_0 で定まる素因子で割れない。
(Ψ(θ)^(k+l)) g(θ) h(θ) = p^(k+l) U(θ)V(θ)
であるが、U(θ)V(θ) は Φ_0 で定まる素因子で割れない。
よって、
>>515 より g(θ)h(θ) はきっかり k + l 回割れる。
証明終
517 :
132人目の素数さん :2006/08/02(水) 10:17:40
クンマー愛してる結婚して!
518 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/02(水) 10:36:41
>>516 の続き
>>510 のモニックな既約多項式 f(X) の根の全体を
θ = θ_0, θ_1, ..., θ_(n-1) とする。
h(θ) ∈ Z[θ] に対して h(θ_0)h(θ_1)...h(θ_(n-1)) を
h(θ) のノルムといい N(h(θ)) と書く。
N(h(θ)) は θ_0, θ_1, ..., θ_(n-1) の対称式であるから、
これらの基本対称式、よって f(X) の係数の多項式で表される。
よって、N(h(θ)) は有理整数である。
519 :
Kummer ◆O0M0z3OauI :2006/08/02(水) 10:37:45
520 :
132人目の素数さん :2006/08/02(水) 10:47:09
クンマー大大大大大好き結婚して!
521 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/02(水) 10:58:06
>>518 の続き
命題
p はΦ_0で定まる素因子できっかり1回割れる。
証明
Ψ(θ)p ≡ 0 (mod p) は明らかである。
(Ψ(θ)^2) p ≡ 0 (mod p^2) とする。
Ψ(θ)^2 ≡ 0 (mod p) となる。
p は Φ_0 で定まる素因子で割れるから、Ψ(θ)^2 は Φ_0 で定まる
素因子で割れる。よって、Ψ(θ) も Φ_0 で定まる素因子で割れる。
これは Ψ(θ) の定義 Ψ(θ) = g_1(θ)...g_(e-1)(θ) に反する。
よって、p はΦ_0で定まる素因子できっかり1回割れる。
証明終
522 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/03(木) 11:00:17
>>521 の続き
命題
h(θ) が 0 でなく、かつ Φ_0 で定まる素因子で割れれば
有理整数 k ≧ 1 があり h(θ) は Φ_0 で定まる素因子で
きっかり k 回割れる。
証明
h(θ) が任意の k ≧ 1 に対してΦ_0 で定まる素因子で
k 回割れるとして矛盾を導く。
(Ψ(θ)^k) h(θ) = (p^k) h_k(θ) となる h_k(θ) ∈ Z[θ] がある。
これと、
(Ψ(θ)^(k+1)) h(θ) = (p^(k+1)) h_(k+1)(θ) から
h_k(θ) = t h_(k+1)(θ) となる。ここで t = p/Ψ(θ) である。
P = Ker(Φ_0) とおく。P は Z[θ] の素イデアルである。
Z[θ] の P における局所化(前スレ1の65 と 88) Z[θ]_P を考える。
Z[θ]_P はネーター環である。
t = p/Ψ(θ) は Z[θ]_P の極大イデアル PZ[θ]_P の元である。
h_k(θ) = t h_(k+1)(θ) だから h_k(θ) で生成される Z[θ]_P の
イデアルを (h_k(θ)) とすれば、(h_k(θ)) ⊂ (h_(k+1)(θ))
である。Z[θ]_P はネーター環だから、ある有理整数 r があり、
(h_r(θ)) = (h_(r+1)(θ)) となる。
よって、h_(r+1)(θ) = u h_r(θ) となる u ∈ Z[θ]_P がある。
h_r(θ) = t h_(r+1)(θ) だから h_r(θ) = tu h_r(θ) となる。
よって (1 - tu) h_r(θ) = 0 である。1 - tu は PZ[θ]_P に
含まれないから Z[θ]_P の可逆元である。よって h_r(θ) = 0 である。
(Ψ(θ)^r) h(θ) = (p^r) h_r(θ) だから h(θ) = 0 となって矛盾。
証明終
523 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/03(木) 11:13:09
>>513 において
>このとき
>>403 の 1) , 2), 3), 4) と同様なことが成立つ。
>証明も同様であるが一応証明する。
と書いたが、
>>403 の 1) に対応する
>>522 の証明は大分違う。
>>403 の 1) は円分整数 f(ζ) のノルムを使ったが、今の場合、
その方法ではうまく行かなかった。何故なら Z[θ] は自己共役とは
限らないし、整閉とも限らないから。
出来れば
>>522 のような可換代数の知識を使った証明は
避けたいんだが、今のところ構成的な証明が思い浮かばないので
仕方ない。
524 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/03(木) 17:20:00
>>522 の続き
h(θ) が Φ_0 で定まる素因子できっかり k 回割れるとき、
この k を ord(h(θ)) と書く。
h(θ) が Φ_0 で定まる素因子で割れないときは、ord(f(ζ)) = 0 と
する。
このとき
>>403 と同様に以下の命題が成立つ。
1) 円分整数 h(θ) が 0 でなければ ord(f(ζ)) は有限値として
必ず定まる。
これは
>>522 の命題を言い換えただけである。
2) h(θ) ≠ 0, g(θ) ≠ 0 なら
ord(h(θ)g(θ)) = ord(h(θ)) + ord(g(θ)) となる。
これは
>>516 の補題を言い換えただけである。
3) h(θ) ≠ 0, g(θ) ≠ 0 で、h(θ) + g(θ) ≠ 0 なら
ord(h(θ) + g(θ)) ≧ min(ord(h(θ), ord(g(θ)) である。
これは定義(
>>513 )から明らか。
4) ord(p) = 1 である。
これは
>>521 の命題を言い換えただけである。
525 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/03(木) 18:06:35
>>524 により有理素数 p がθの最小多項式 f(X) の判別式 d を
割らない場合は、p を割る素因子つまり関数 ord が定義出来た
(
>>412 参照)。
しかし、p が f(X) の判別式 d を割る場合はどうだろうか?
Bourbaki の可換代数の歴史覚え書きによると、Z[θ] が整閉の場合は
それ程困難はないという。実際 Dedekind の同時代人の Zolotarev が
それに関する論文を書いているという。これは Dedekind の
イデアル論が出現する前の話である。
Zolotarev の方法がどんなものか興味があるが残念ながら今それを
見ることが出来ない。
Bourbakiが比較的簡単だというので、私もちょっと考えたが
可換代数でよく知られた命題(即ち1次元のネーター局所整閉整域
は離散付値環)を使うか高木の本の付録にあるDedekind の方法くらい
しか思い当らない。勿論、これ等はイデアル論なわけで
Zolotarevの方法とは違うと思われる。
526 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/03(木) 18:07:25
Dedekind の本
Sur la théorie des nombres entiers algébriques.
Paris, Gauthier-Villars 1877
によると、彼は Kummer の理論を一般の代数体に拡張しようとして
彼が言うところの「高次合同の理論」を使って
>>524 の結果は得た
らしい。「高次合同の理論」というのは、
>>510 で述べたように
f(X) を mod p で既約多項式に分解して素因子を求める方法のことを
さすと思われる。
しかし、それ以上進もうとすると越えることの出来ない困難に遭遇し
長い間停滞していたと書いている。
代数体の主整数環は Z[θ] の形になるとは限らないことがこの困難の
主な原因である。
この困難を Kummer 理論の延長として、つまり因子論の範囲で
越えようとすれば Hensel による p 進数の理論か、Krull に
よる一般付値論が必要になるだろう。
527 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 09:24:03
>>526 >しかし、それ以上進もうとすると越えることの出来ない困難に遭遇し
>長い間停滞していたと書いている。
昨日、その本(Sur la théorie des nombres...)の英訳を読み直して
みたら、長い間停滞していたとは書いてなかった。
Bourbakiによると別のところでそう書いている。
>この困難を Kummer 理論の延長として、つまり因子論の範囲で
>越えようとすれば Hensel による p 進数の理論か、Krull に
>よる一般付値論が必要になるだろう。
Bourbakiの歴史覚え書きによると この問題は
>>525 で言及した
Zorotarev(Zolotareff とも書く) が解決していたらしい。
Bourbaki は、この事実は重要視していない。
逸話としての興味以上のものはないと書いている。
昨日、Bourbakiの歴史覚え書きを読み直して、脚注にこのことが書いて
あるにに初めて気付いた。かなり驚いた。
528 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 10:11:27
Dedekind は
>>526 の困難を越えようと努力して長らく停滞して
いたが、問題を別の方向から捕らえることにより突破口を得た。
その鍵は
>>474 の命題が示す事実にある。
Kummer の理想数にそれが割る円分整数の集合を対応させれば
理想数とZ[ζ] の 0 でないイデアルの間に1対1の対応が得られる。
従って理想数の替わりにイデアルを考えてもよいわけである。
イデアルなら一般の代数体でも容易に定義できる。
こうやってイデアル論の開発に着手したわけだが、この道にも
大きい困難が待ち受けていた。それは、代数体における
イデアル論の基本定理の証明である。Dedekind はこれに対して数種類
の証明を得たがどれにも満足していない(高木)。
念のために言うとイデアルという概念は Dedekind により始めて
導入された。これが後に一般の環でも考えられるようになり、
抽象代数の勃興につながった。
その当時としてはイデアルはかなり受け入れ難い概念であった。
何故ならイデアルというのは構成的な概念ではないから。
イデアルの生成元 α_1, .., α_r を定めても、ある数が
そのイデアルに属すかどうかの判定が構成的に行えるかどうかは
自明ではない。これが Kronecker がイデアル論に反対した理由
の1つだと思われる。
Kroneckerは、無限集合というものに懐疑的であった。
529 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 10:23:00
訂正
>>524 >1) 円分整数 h(θ) が 0 でなければ ord(f(ζ)) は有限値として
>必ず定まる。
h(θ) は当然 円分整数じゃなく Z[θ] の元である。
以下のように訂正する。
1) h(θ) が 0 でなければ ord(f(ζ)) は有限値として
必ず定まる。
530 :
132人目の素数さん :2006/08/04(金) 11:33:52
531 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 11:34:09
ここで、今後の進め方について考えて見たい。 私としては、まず古典的なイデアル論で代数体の整数論を述べたい と思う。その後で、局所体とかイデール、ガロワコホモロジーなどを 導入する。つまり基本的に歴史的順序に従って展開する。 それから、これ等に高次冪剰余の相互法則という縦糸を通したい。 こう考えると、前にも述べたGaussの整数論の主題である2次形式論に ついても述べるべきだろう。そこから代数的整数論が発生したのだから。 この2次形式論を知らないで代数的整数論をやるというのは、例えると 何になるだろう。ちょっといい例えが思い浮かばないが。
532 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 11:39:17
>>530 有りがたいけど、それ見れない。権限が必要とある。
533 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 17:08:52
補題 体でない局所整域 A の極大イデアル m が単項イデアルで 0 = ∩m^n とする。ここで n は 1 以上の有理整数をすべて動く。 このとき A は離散付値環(前スレ1の645)である。 証明 t を m の生成元とする。A は体でないから t ≠ 0 である。 x を m に含まれる 0 でない元とする。 ∩m^n = 0 だから x ⊂ m^n となる最大の n ≧ 1 がある。 x = (t^n)u とすれば u は m に含まれないので A の可逆元である。 n = ord(x) と書く。 I を m に含まれる 0 でないイデアルとする。 {ord(x); x ∈ I - {0} } の最小元を n として y を n = ord(y) となる I の元とする。 x ∈ I - {0} なら ord(x) ≧ n だから x ∈ (t^n)A = yA である。 よって I = yA である。 m に含まれないイデアルは A のみだから、A は単項イデアル整域 である。よって A は離散付値環である。 証明終
534 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 17:10:52
命題
体でないネーター局所整域の極大イデアルが単項イデアル
であれば、それは離散付値環である。
証明
A を体でないネーター局所整域、 m をその極大イデアル、t をその
生成元とする。A は体でないから t ≠ 0 である。
I = ∩m^n とする。ここで n は 1 以上の有理整数をすべて動く。
>>533 より I = 0 を示せばよい。
x ∈ I なら 任意の n ≧ 1 にたいして x = (t^n)y_n となる
y_n ∈ A がある。
x = (t^n)y_n = (t^(n+1))y_(n+1) だから y_n = t(y_(n+1)) となる。
よって (y_n) ⊂ (y_(n+1)) である。
n は任意であり A はネーター環だから (y_k) = (y_(k+1)) となる
k がある。よって y_(k+1) = u(y_k) となる u ∈ A がある。
y_k = t(y_(k+1)) だから y_k = tu(y_k) となる。
(1 - tu)y_k = 0 である。1 - tu は m に含まれないから A の可逆元
である。よって y_k = 0、即ち x = 0 である。
結局 I = 0 である。
証明終
535 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 17:13:20
536 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 17:15:35
命題
>>510 の定義と記号を使う。
Φ_0 の核を P とする。
Z[θ] の P による局所化 Z[θ]_P は離散付値環である。
証明
Z[θ]_P は明らかにネーター局所整域である。
>>534 より P(Z[θ]_P) が単項イデアルであることを示せばよい。
>>510 より P = (p, g_0(θ)) である。
f(X) ≡ g_0(X)...g_(e-1)(X) (mod p) だから
g_0(θ)g_1(θ)...g_(e-1)(θ) = p h(θ) となる h(θ) ∈ Z[θ]
がある。
>>512 のように Ψ(θ) = g_1(θ)...g_(e-1)(θ) とおく。
Φ_0(Ψ(θ)) ≠ 0 である。
g_0(θ) = p h(θ)/Ψ(θ) ∈ p(Z[θ]_P) である。
よって P(Z[θ]_P) = p(Z[θ]_P) である。
証明終
537 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/04(金) 17:25:53
命題
A をネーター整域とする。
p を A の 0 でない元で pA が素イデアルとなるものとする。
このとき A の pA による局所化 A_pA は離散付値環である。
証明
>>534 から明らか。
538 :
132人目の素数さん :2006/08/04(金) 22:55:22
>523
>出来れば
>>522 のような可換代数の知識を使った証明は避けたい
唯、眺めているだけで何の貢献も出来ないが・・・
この程度の可換代数ならあまり抵抗はないのでは?
(分野は違うけど、例えばGabriel-ZismanのSimplicial Setのテキストとか、Anderson-Fullerの非可換代数のテキストなんか、カテゴリ論バリバリでうんざりさせられるけど、それに比べたらずっと具体的な感じがする)
539 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 09:08:50
>>538 そうかもしれないが、今は代数的整数論の誕生の頃の話をしている
ので、なるべく初等的な知識だけで話を進めたい。
そうは言っても初等的な証明イコール簡単な証明というわけでは
ないので、場合によっては現代的な方法も使うだろう。
540 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 09:30:23
補題 A を整域とする。 A = ∩ A_P である。 ここで P は A の極大イデアル全体を動き、A_P は A の P による局所化である。ここで A_P は A の商体 K の部分環とみなす。 証明 x ∈ ∩ A_P とする。 I = {s; sx ∈ A} とすると I は A のイデアルである。 I ≠ A なら I ⊂ P となる A の極大イデアル P がある。 x ∈ A_P だから s ∈ A - P で sx ∈ A となるものがある。 これは I ⊂ P に矛盾する。 よって I = A である。 よって 1 ∈ I となり x ∈ A となる。 これは ∩ A_P ⊂ A を意味する。 逆の包含関係は明らかである。 証明終
541 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 10:00:08
補題 単項イデアル整域は整閉(前スレ1の578)である。 証明 A を単項イデアル整域とし a, b を A の0でない元で互いに素とする。 n ≧ 1 を有理整数とし、 (a/b)^n + c_1 (a/b)^(n-1) + ... + c_n = 0 とする。ここで各 c_i ∈ A である。 両辺に b^n を掛けると、 a^n + c_1 b a^(n-1) + ... + c_n b^n = 0 となる。 b を割る素元 p があるとする。 a^n は p で割れるから a も p で割れる。これは a と b が素である という仮定に反する。よって b は A の単元である。 よって a/b ∈ A である。 証明終
542 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 10:05:27
命題
λを奇素数、ζを複素数で 1の原始λ乗根の1つとする。
円分整数環 Z[ζ] は整閉(前スレ1の578)である。
証明
P を Z[ζ] の極大イデアルとする。P が割る有理素数 p がλと
異なる場合は
>>536 より Z[ζ]_P は離散付値環である。
今度は P がλを割る場合を考える。
>>200 より、λ = ε(1 - ζ)^(λ-1) となる。
ここでεは単数である。
よって (1 - ζ) ⊂ P である。
>>202 より 1 - ζ は円分素数である。
よって (1 - ζ) は極大イデアルだから P = (1 - ζ) である。
>>537 より Z[ζ]_P は離散付値環である。
以上から Z[ζ] の任意の極大イデアル P に対して Z[ζ]_P は
離散付値環である。離散付値環は単項イデアル整域だから
>>541 より整閉である。
>>540 より Z[ζ] = ∩Z[ζ]_P だから Z[ζ] も整閉である。
証明終
543 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 10:17:33
>>542 の命題は、通常 1 + X + + X^(λ-1) の判別式が符号を除いて
λ の冪になることを利用して証明する。
しかし、
>>542 の証明は一見面倒に見えるが
>>536 がキーになって
おり、これは原理的には簡単で理解しやすい。
544 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 10:32:03
構成的証明か非構成的証明か、というのは悩ましい問題である。 どちらも利点と短所がある。 私としてはどちらか選ばなければならないとすれば、構成的証明を 取りたい。 両方を知るのがいいのは当然だが。 代数的整数論においては構成的方法の代表が Gauss, Kummer であり 非構成的方法の代表がDedekind, Hilbert だろう。 Hensel, Hasse の付値論を使った方法となると Kummer の伝統を 受け継ぎながらも非構成的方法になるのではないか? これ等に比べると Dedekind のイデアル論の方がより構成的と 感じる。
545 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 11:09:58
λを奇素数、f を λ - 1 を割る有理整数で
1 < f < λ - 1 とする。
f 項周期から構成される円分整数(
>>269 )全体のなす環
Z[η_0, η_1, ..., η_(e-1)] を考える。ここで e = (λ - 1)/f
である。この環を Z[η] と書く。
Z[η] における素因子を調べよう。
Z[η] における素因子の定義としては、
>>412 の定義を Z[η] に適用すればよい。
つまり、Z+ = {n ∈ Z; n ≧ 0} とおき、
Z[η] から Z+ ∪ {∞} への写像 ν で以下の条件を
満たすものをZ[η] における素因子という。
ただし、∞ は単なる記号で 任意の n ∈ Z に対して ∞ > n とする。
1) ν(Z[η] - {0}) = Z+
ν(0) = ∞
2) f(η) ≠ 0, g(η) ≠ 0 なら
ν(f(η)g(η)) = ν(f(η)) + ν(g(η)) となる。
3) ν(f(η) + g(η)) ≧ min(ν(f(η), ν(g(η)) である。
ここで f(η), g(η) などは Z[η] の元を表す。
546 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 11:29:05
Z[η]の素因子は以下に見るように Z[η] の商体 Q[η] の離散付置を 定める。 まず任意の体における離散付置を定義する。 定義 体 K から Z ∪ {∞} への写像 ν で以下の条件を満たすものを K の離散付置という。 ただし、∞ は単なる記号で 任意の n ∈ Z に対して ∞ > n とする。 1) ν(x) = ∞ となるのは x = 0 のときだけである。 2) ν(x) ≠ 0 となる x ≠ 0 がある。 3) x ≠ 0, y ≠ 0 なら ν(xy) = ν(x) + ν(y) となる。 4) ν(x + y) ≧ min(ν(x), ν(y) である。
547 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 15:35:45
>>546 の続き
離散付置 ν は K の乗法群 K^* から加法群 Z への準同型である。
よって ν(K^*) は Z の部分群であるから、ある有理整数 m ≧ 0
があり ν(K^*) = mZ となる。
>>546 の 2) から m ≧ 1 である。
よって w(x) = ν(x)/m と定義すれば w も K の離散付置で
w(K^*) = Z である。
m = 1 のとき νを正規離散付置(
>>434 )という。
m = 1 とは限らないとき、w を νから得られる正規離散付置という。
K の二つの離散付置 νとν' においてそれぞれから得られる
正規離散付置が等しいとき、νとν'は同値であるという。
548 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 15:45:39
命題 νを体 K の離散付値とする。 K の部分集合 A = {x ∈ K; ν(x) ≧ 0} は K の部分環であり、 離散付値環である。その極大イデアル P は {x ∈ K; ν(x) > 0} である。t≠ 0 を K の元で ν(t) が ν(K^*) を生成するとする。 このとき P = tA である。 証明 簡単なので演習問題とする。
549 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 15:56:22
命題
νとν'を体 K の離散付値とする。
νとν'が同値(
>>547 )であるためには、それぞれから
>>548 で得られる
離散付値環が等しいことが必要十分である。
証明
簡単なので演習問題とする。
550 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 15:58:24
命題 体 K の離散付値の同値類と、K を商体とする離散付値環は1対1に 対応する。 証明 簡単なので演習問題とする。
551 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/07(月) 17:41:05
命題
体 K の(有限次とは限らない)代数拡大体を L とする。
L の正規離散付値を w とする。
w を K に制限した写像 ν: K → Z ∪ {∞} は K の離散付値である。
証明
唯一自明でないのは ν(K^*) ≠ 0 の証明である。
ν(K^*) = 0 として矛盾を導けばよい。
x ≠ 0 を L の任意の非零元とする。
x の K 上の最小多項式を X^n + a_1 X^(n-1) + ... + a_n とする。
仮定より、各 i で w(a_i) ≧ 0 である。
x^n + a_1 x^(n-1) + ... + a_n = 0
の両辺を x^n で割ると、
1 + a_1 (1/x) + ... + a_n (1/x^n) = 0
よって
1 = -(a_1 (1/x) + ... + a_n (1/x^n))
となる。
これから w(x) ≧ 0 がでる。
何故なら、w(x) < 0 とすると w(1/x) > 0 となる。
よって 上の式の右辺は w の離散付値環の極大イデアルに含まれる。
よって 1 がこの極大イデアルに含まれることになり矛盾となる。
x は L の任意の非零元だから -w(x) = w(1/x) ≧ 0 でもある。
よって w(x) = 0 である。これは
>>546 の 2) に反する。
証明終
552 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/08(火) 10:45:37
命題 A を整域とし、 K をその商体とする。 A から Z ∪ {∞} への写像 φ で以下の条件を満たすものがある とする。 ただし、∞ は単なる記号で 任意の n ∈ Z に対して ∞ > n とする。 1) φ(x) = ∞ となるのは x = 0 のときだけである。 2) φ(x) ≠ 0 となる x ≠ 0 がある。 3) x ≠ 0, y ≠ 0 なら φ(xy) = φ(x) + φ(y) となる。 4) φ(x + y) ≧ min(φ(x), φ(y) である。 このとき K の離散付値 ν で A においてφと一致するものが一意に存在 する。
553 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/08(火) 10:50:13
>>552 の証明
K の元 x = a/b に対して ν(x) = φ(a) - φ(b) と定義すれば
ν が K の離散付値になる。ここで a と b は A の非零元である。
c と d を A の非零元で a/b = c/d とすれば ad = bc だから
φ(a) + φ(d) = φ(b) + φ(c) となって
φ(a) - φ(b) = φ(c) - φ(d) となる。
したがって ν(x) は x = a/b となる a, b の取り方によらない。
νが離散付値になることは簡単に確かめられる。
ここでは
ν(x + y) ≧ min(ν(x), ν(y)) のみ示す。
x = a/b, y = c/d とする。ここで a,b,c,d は A の非零元である。
a/b + c/d = (ad + cb)/bd である。
ν(x) ≧ ν(y) と仮定する。つまり ν(a/b) ≧ ν(c/d)
よって φ(a) - φ(b) >= φ(c) - φ(d)
つまり φ(a) + φ(d) >= φ(c) + φ(b)
よって φ(ad + cb) >= φ(c) + φ(b)
両辺から φ(bd) を引いて
φ(ad + cb) - φ(bd) >= φ(c) + φ(b) - φ(bd) = φ(c) - φ(d)
よって ν((ad + cb)/bd) ≧ ν(c/d)
つまり ν(x + y) ≧ ν(y)
νの一意性は明らかである。
証明終
554 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/08(火) 11:09:01
離散付値というのは Krull が初めて定義した一般付値の特殊な場合 である。ここでは一般付値の定義を述べないが、離散付値が Z に 値をとるのに対して一般付値は全順序アーベル群に値をもつ。 どちらも定義は単純である。しかしこの単純な定義から驚くほど 豊富な結果が得られる。ちょうど、群の定義が単純なのに驚くほど 豊富な結果が得られるのと似ている。 付値論だけで分厚い本が一冊書けるほどである。 それにしては付値論だけの本は少ないが。 付値には乗法付値(英語ではabsolute value) という一般付値とは 別の種類もある。別の種類といってもオーバーラップはしている。 乗法付値のなかで非アルキメデス付値というのは階数1の一般付値 と実質同じものである。 乗法付値のほうが代数的整数論では重要である。 離散付値は一般付値とも非アルキメデス付値ともみなせる。
555 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/08(火) 11:35:59
定義 体 K の離散付値の同値類を K の素因子という。 K の離散付値νが属す素因子 P に対して、 νが定める離散付値環を P の離散付値環または略して P の付値環 と呼ぶ。P の付値環を A, その唯一の極大イデアルを m としたとき、 剰余体 A/m を P の剰余体と呼ぶ。
556 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/08(火) 12:09:47
命題
体 K の有限次拡大体を L とする。
L の離散付値 w が与えられているとする。
>>551 より w の K への制限は K の離散付値νである。
w の付値環を B、その極大イデアルを Q とし、
ν の付値環を A、その極大イデアルを P とする。
A ⊂ B で P = A ∩ Q だから A/P は B/Q の部分体とみなせる。
このとき体の拡大次数 [B/Q : A/P] ≦ [L : K] である。
証明
ω_1, ..., ω_r を B の元で、その mod Q の剰余類が A/P 上
一次独立とする。
ω_1, ..., ω_r が K 上一次独立でないとする。
ω_1, ..., ω_r の自明でない K 上の一次関係式
a_1 ω_1 + ... + a_r ω_r = 0 がある。
ここで a_1, ..., a_r は K の元で a_i ≠ 0 となる i がある。
K は A の商体だから、必要なら各 a_i の分母をはらって、
各 a_i は A の元としてよい。
w(a_1) ,,, w(a_r) の最小が w(a_1) と仮定して一般性を失わない。
a_1 ≠ 0 である。
上の等式の両辺を a_1 で割り
ω_1 + (a_2/a_1) ω_2 ... + (a_r/a_1) ω_r = 0
(a_i)/(a_1) ∈ A であるから ω_1, ..., ω_r は mod Q で
A/P 上一次独立の仮定に反する。
よってω_1, ..., ω_r は K 上一次独立である。
証明終
>>467 あ り え な い 。それは。
バストダンジョンでリリカのおっぱい値を800近くまで調教強化してやらないと、そのフラグは立たない。
仮にフィリオナをメンバーから外してリリカを集中調教しても、アナルバイブが使えないその段階では
スカリバーはまだ手に入れられないはず。 妄 想 で つ か ?
とりあえずアンダー草原で淫獣マリリスを大量に調教して淫度をどんどん稼いどけ。
展開が不安ならバックアップ取っておくのを忘れんなよ。説教くさくなってスマソ・・・。ついな・・・。
558 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/09(水) 12:41:36
体 K の有限次拡大体を L とする。
L の離散付値 w が与えられているとする。
w が定める素因子(
>>555 )を Q とする。
>>551 より w の K への制限は K の離散付値νである。
ν が定める素因子を P とする。
P は Q のみで定まり、Q の代表元 w の取り方によらない。
このとき P は Q の(K への)制限であるといい、
Q は P の(L への)拡大であるという。
ν の値群 ν(K - {0}) は w の値群 w(L - {0}) の部分群である。
指数 e = [w(L^*) : ν(K^*)] は Q のみで決まり、Q の代表元 w の
取り方によらない。
この値 e を Q の P に対する分岐指数と呼ぶ。
Q と P の剰余体をそれぞれ κ(Q), κ(P) とする。
>>556 より 拡大次数 [κ(Q) : κ(P)] は有限だが、それを Q の P に
対する相対次数と呼ぶ。
559 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/09(水) 14:36:21
命題
K ⊂ L ⊂ M を体の拡大とし、M/K は有限次とする。
R を M の素因子(
>>555 )とする。
P, Q を K, L のそれぞれ素因子で R の制限(
>>558 ) になっているもの
とする。
Q の P に対する分岐指数(
>>558 ) と相対次数(
>>558 ) をそれぞれ
e, f として R の Q に対する分岐指数と相対次数をそれぞれ e', f'
とする。
このとき R の P に対する分岐指数と相対次数はそれぞれ ee' と ff'
になる。
証明
R に属す正規離散付置をψとし、ψの L, K への制限をそれぞれ
w, v とする。ψの値群は有理整数全体のなす加法群 Z である。
w, v の値群をそれぞれ G, H とする。
H ⊂ G ⊂ Z である。[G : H] = e, [Z : G] = e' である。
よって R の P に対する分岐指数は [Z : H] = ee' である。
P, Q, R の剰余体をそれぞれ κ(P), κ(Q), κ(R) とする。
[κ(Q) : κ(P)] = f, [κ(R) : κ(Q)] = f' である。
よって R の P に対する相対次数は [κ(R) : κ(P)] = ff' である。
証明終
560 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/09(水) 15:54:26
補題 B を整域で、K をその商体とする。 B は次の性質 (*) を持つとする。 (*) x ∈ K - B なら 1/x ∈ B となる。 このとき B は局所環である。 つまり、ただ1つの極大イデアルをもつ。 証明 性質 (*) から B の 0 でない単項イデアル全体は包含関係で 全順序集合となる。 つまり、x と y を B の非零元とすれば xB ⊂ yB か yB ⊂ xB の どちらかに必ずなる。 このことは K の元 x/y に性質 (*) を適用すれば明らかである。 さて、P = {x ∈ B; xB ≠ B} とおく。 P がイデアルになることは、上で述べたこと、つまり B の 0 でない単項イデアル全体が包含関係で全順序集合になることを 使えばあきらかである。 P は B の非可逆元全体だから B のただ1つの極大イデアルである。 証明終
561 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/09(水) 16:15:58
命題
A を離散付置環、K をその商体とする。
A は K の部分環として極大である。
つまり K の部分環 B で A ⊂ B となれば B = K または
A = B である。
証明
>>550 より A は K のある離散付値 ν の付値環としてよい。
K の元 x が B に含まれないなら当然 A にも含まれない。
よって ν(x) < 0 だから ν(1/x) > 0 である。
よって 1/x ∈ A だから 1/x ∈ B でもある。
よって B は
>>560 の性質 (*) を持つ。
>>560 より B は局所環である。
B の極大イデアルを P とおく。
A ∩ P = 0 とすると、A の非零元は B の可逆元となり、
B = K となる。
A ∩ P ≠ 0 なら、A ∩ P は A の(ただ1つの)極大イデアル m で
ある。
x ∈ B - A とすると、ν(x) < 0 だから ν(1/x) > 0 である。
よって 1/x ∈ m である。よって 1/x ∈ P である。
しかし x ∈ B だから 1 ∈ P となって矛盾。
よって A = B である。
証明終
562 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/09(水) 16:38:55
λを奇素数、ζ を1の原始λ乗根となる複素数とする。
円分整数環 Z[ζ] の商体 Q(ζ) における素因子(
>>555 )を調べよう。
ν を Q(ζ) の離散付値とする。νの付値環を R とする。
つまり R = {x ∈ Q(ζ); ν(x) ≧ 0} である。
R の極大イデアルを m とする。
まず ν(1) = ν(1) + ν(1) より ν(1) = 0 である。
ζ^λ = 1 だから λν(ζ) = 0 である。
よって ν(ζ) = 0 である。
よって Z[ζ] ⊂ R である。
ここで Z[ζ] ∩ m = 0 では有り得ない。
何故なら Z[ζ] ∩ m = 0 とすると Z[ζ] の非零元 x に対して
常に ν(x) = 0 となる。そうすると Q(ζ) の非零元 y に対して
常に ν(y) = 0 となり、離散付値の定義(
>>546 の 2))に反する。
よって P = Z[ζ] ∩ m は Z[ζ] の 0 でない素イデアルである。
Z[ζ]_P ⊂ R である。
一方
>>542 の証明から Z[ζ]_P は離散付値環である。
よって
>>561 より Z[ζ]_P = R である。
563 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/10(木) 09:28:42
>>545 の続きに戻る。
Z[η] の商体 Q(η) の素因子を決定しよう。
Q(η) の離散付値を ν とする。
νの付値環を R とする。
R の極大イデアルを m とする。
Z[η] は Z 上整である。一方
>>541 より R は整閉で Z を含むから
Z[η] ⊂ R である。
ここで Z[η] ∩ m = 0 では有り得ない。
何故なら Z[η] ∩ m = 0 とすると Z[η] の非零元 x に対して
常に ν(x) = 0 となる。そうすると Q(η) の非零元 y に対して
常に ν(y) = 0 となり、離散付値の定義(
>>546 の 2))に反する。
よって P = Z[η] ∩ m は Z[η] の 0 でない素イデアルである。
Z[η]_P ⊂ R である。
>>551 より ν は有理数体 Q への制限 μ を持つ。
Z ∩ m = 0 とすると μ(x) = 0 が Q の非零元で成立つことになり、
離散付値の定義(
>>546 の 2))に反する。
よって Z ∩ m = pZ である。ここで p は有理素数である。
Z ∩ m = Z ∩ Z[η] ∩ m = Z ∩ P だから
Z ∩ P = pZ である。
Z[η]/P は Z/pZ 上の有限生成加群だから有限群である。
つまり、Z[η]/P は有限整域である。よって Z[η]/P は有限体である。
よって P は極大イデアルである。
564 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/10(木) 10:23:59
>>563 の続き。
Z[ζ] = Z[η][ζ] は Z[η]-加群として有限生成である。
よって、中山の補題(前スレ1の242)より PZ[ζ] ≠ Z[ζ] である。
よって、PZ[ζ] を含む Z[ζ] の極大イデアル Q がある。
P = Z[η] ∩ Q である。
Z ∩ P = pZ であるが、ここでまず p ≠ λ の場合を考える。
p の mod λ の指数を f' とする。e' = (λ - 1)/f' とおく。
p を含む Z[ζ] の極大イデアルは e' 個ある。
これ等を Q_0, .., Q_(e'-1) とおく。Q_0 = Q とする。
Z[η] ∩ Q_i は Z[η] の 0 でない素イデアルだから極大イデアル
である。これ等のなかで相異なるものを P_0, ..., P_(r-1) とする
P_0 = P とする。
Q_0 ∩...∩ Q_(e'-1) = pZ[ζ] である。
よって P_0 ∩...∩ P_(r-1) = Z[η] ∩ pZ[ζ] である。
ここで Z[η] ∩ pZ[ζ] = pZ[η] を証明しよう。
x ∈ Z[η] ∩ pZ[ζ] とする。
y ∈ Z[ζ] で x = py とする。
Z[ζ] の自己同型 τ で Z[η] の各元を固定するものをとる。
x = τ(x) = pτ(y) より τ(y) = y となる。
よって y ∈ Z[η] である。
これで Z[η] ∩ pZ[ζ] ⊂ pZ[η] が言えた。
逆の包含関係は明らかである。
以上から P_0 ∩...∩ P_(r-1) = pZ[η] である。
565 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/10(木) 10:41:27
>>564 の続き
P_0 ∩...∩ P_(r-1) = pZ[η] において r > 1 と仮定する。
P_1 ∩...∩ P_(r-1) ⊂ P_0 では有り得ない。
もしそうなら (P_1)...(P_(r-1)) ⊂ P_1 ∩...∩ P_(r-1) ⊂ P_0
であり、P_0 は素イデアルだからある i > 0 に対して
P_i ⊂ P_0 となり、P_i = P_0 となって 各 P_i が相異なるという
前提に反する。
P_1 ∩...∩ P_(r-1) の元 ξ で P = P_0 に含まれないものがある。
当然 ξ ≠ 0 である。
P の任意の元 x に対して ξx ∈ P_0 ∩...∩ P_(r-1) = pZ[η]
となる。よって ξx = py となる y ∈ Z[η] がある。
x = p(y/ξ) だから x ∈ p(Z[η]_P) である。
よって P(Z[η]_P) = p(Z[η]_P) である。
よって
>>534 より Z[η]_P は離散付値環である。
r = 1 のときは P = pZ[η] だから、このときも
P(Z[η]_P) = p(Z[η]_P) となり Z[η]_P は離散付値環である。
566 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/10(木) 15:09:48
>>564 >よって、中山の補題(前スレ1の242)より PZ[ζ] ≠ Z[ζ] である。
説明不足だったかもしれない。詳しくは以下のようになる。
Z[ζ]_P を Z[η]-加群 Z[ζ] の P による局所化(前スレ1の85と88)
とする。Z[ζ]_P は Z[η]_P 上の有限生成加群である。
よって中山の補題(前スレ1の242)より PZ[ζ]_P ≠ Z[ζ]_P である。
よって PZ[ζ] ≠ Z[ζ] である。
>>507 >よって、中山の補題(前スレ1の242)より Ker(φ)Z[ζ] ≠ Z[ζ] である。
も同様である。
567 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/10(木) 15:14:23
568 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/14(月) 13:49:58
>>567 の続き
今度は p = λ の場合を考える。
再度、前提条件を述べる。
λを奇素数、f を λ - 1 を割る有理整数で
1 < f < λ - 1 とする。
f 項周期から構成される円分整数(
>>269 )全体のなす環
Z[η_0, η_1, ..., η_(e-1)] を考える。ここで e = (λ - 1)/f
である。この環を Z[η] と書く。
Z[η] の商体 Q(η) の離散付値を ν とする。
νの付値環を R とする。
R の極大イデアルを m とする。
Z[η] ⊂ R である(
>>563 )。
P = Z[η] ∩ m は Z[η] の 0 でない素イデアルである(
>>563 )。
Z[η]_P ⊂ R である。
Z ∩ m = pZ である。ここで p は有理素数である(
>>563 )。
p = λ とする。
つまりZ ∩ P = λZ である。
>>564 より PZ[ζ] を含む Z[ζ] の極大イデアル Q がある。
Q はλを含むから Q = (1 - ζ) である。
569 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/14(月) 16:31:11
>>568 の続き
Z[η]_P = R を示そう。
Z[η] が 次元1のネーター整閉整域であることは簡単に示されるので、
前スレ2の585から Z[η]_P は離散付値環である。
これと Z[η]_P ⊂ R と
>>561 から Z[η]_P = R が言える。
しかし、ここでは P の上にある B = Z[ζ] の素イデアルが Q のみ
という特殊な状況を利用して Z[η]_P = R を示そう。
まず B_P = B_Q となることを示す。ここで B_P は B の積閉部分集合
S = Z[η] - P による局所化(前スレ1の65)である。
B_P の素イデアルは B の素イデアル Q' で S と交わらないもの
つまり Q' ∩ S = φ となるものと1対1に対応する。
これは Q' ∩ Z[η] ⊂ P と同値である。Q' ∩ Z[η] は Z[η] の
素イデアルで P に含まれるから 0 または P である。
これから B_P は局所環でその極大イデアルは Q(B_P) である。
S ⊂ B - Q だから B_P ⊂ B_Q である。
s ∈ B - Q とする。
s は Q(B_P) に含まれないから B_P の可逆元である。
よって 1/s ∈ B_P である。よって B_Q ⊂ B_P である。
これで B_P = B_Q が証明された。
570 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/14(月) 17:53:42
>>569 の続き
B は Z[η]-加群として有限生成だから B_P は Z[η]_P 上有限生成
である。よって B_P = B_Q は Z[η]_P 上整である。
B_Q ∩ Q(η) = T とおく。 B_Q は
>>537 より離散付値環だから
T も離散付値環である(
>>551 )。
Z[η]_P ⊂ B_Q だから Z[η]_P ⊂ T である。
よって T は Z[η]_P 上整である。一方 Z[η] = Q(η) ∩ Z[ζ]
であることは容易にわかるから Z[ζ] が整閉(
>>542 ) であることから
Z[η] も整閉である。よって 前スレ2の584 より Z[η]_P も
整閉である。よって Z[η]_P = T である。よって Z[η]_P は
離散付値環である。Z[η]_P ⊂ R だったから(
>>568 )、
>>561 より Z[η]_P = R である。
571 :
132人目の素数さん :2006/08/14(月) 21:58:23
分からない問題スレから誘導されて来ました。 質問歓迎とのことですので、質問させていただきます。 円分整数環Z[ζ_n](ζ_nは原始n乗根)がもしUFDであったとすると、 fermatの定理が成立するとのことですが、その理由がよく分かりません。 x^n+y^n=z^nを変形し、 x^n=Π_[k=0,n-1]{z-y*(ζ_n)^k} となりますが、ここからどのようにして 素元分解の一意性を適用したらよいのでしょうか?
573 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/21(月) 12:56:41
>>571 いずれその証明をこのスレか次スレでやる予定。
574 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/22(火) 09:01:58
>>571 >分からない問題スレから誘導されて来ました。
>質問歓迎とのことですので、質問させていただきます。
誤解してるかもしれないので念のために言うと、質問歓迎というのは
主にこのスレで私が書いたものに関する質問を歓迎するという意味です。
575 :
132人目の素数さん :2006/08/23(水) 10:07:09
しかしフェルマーの最終定理が好きなのが多いよな。 だけどあれは素人というか数学者だって数論専門でない限り歯が立つ しろものじゃないんだよ。見かけは簡単そうだけどな。 あれをやるくらいだったら2元2次の不定方程式たとえば n = x^2 + y^2 を解いてみなさいよ。こっちのほうがは君らに手ごろだし はるかに面白いだろう。
576 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/25(金) 12:35:45
>>570 の続き。
Z[η] の素イデアルで λ を含むものを P とする。
>>564 より PZ[ζ] を含む Z[ζ] の極大イデアル Q がある。
Q はλを含むから Q = (1 - ζ) である。
P ⊂ Z[η] ∩ Q であり P は極大イデアルだから P = Z[η] ∩ Q
である。これと
>>569 と
>>570 の証明から Z[η]_P は Q(η) の
離散付値環であることが分かる。
577 :
Kummer ◆xRj3HCjja. :2006/08/25(金) 13:37:57
私のアナ■に空気を吹き込んでくれ。
681
579 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/31(木) 13:03:15
>>576 の続き。
Z[η] の素イデアルで λ を含むものを P とする。
>>576 より Z[η]_P は Q(η) の離散付値環である。
Z[η] = A, Z[ζ] = B とおく。
>>359 より B は A-自由加群で 1, ζ, ..., ζ^(f-1) がその基底
である。前スレ1の85と145より B_P は B と A_P の A 上のテンソル積
とみなせるから A_P 上の自由加群で 1, ζ, ..., ζ^(f-1) がその
基底である。
よって B_P/PB_P は体 A_P/PA_P 上の f 次元のベクトル空間である。
>>576 のように Q = (1 - ζ) とおけば
>>537 より B_Q は Q(ζ) の
離散付値環である(注意:Q(ζ)の Q は有理数体を表す)。
>>569 より B_P = B_Q である。
よって PB_P = (Q^m)B_Q となる有理整数 m > 0 がある。
よって B_P/PB_P を B_P 上の加群とみたとき、その長さ(前スレ1の288)は
leng(B_P/PB_P) = leng(B_Q/(Q^m)B_Q) = m である。
B_Q/QB_Q は有限素体 Z/λZ に同型である。
>>576 より P = A ∩ Q であり A_P/PA_P は B_Q/QB_Q の部分体と
みなせるから、これも Z/λZ に同型である。
よって f = [B_P/PB_P : A_P/PA_P] = leng(B_Q/(Q^m)B_Q) = m
となる。ここで [V : K] は 体 K 上のベクトル空間 V の次元を表す。
580 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/08/31(木) 18:22:25
>>579 の続き。
Z[η]_P の定める Q(η) の素因子(
>>555 )を記号の濫用だが P で表す。
同様に Z[ζ]_Q の定める Q(ζ) の素因子を Q で表す。
>>579 より PB_Q = (Q^f)B_Q だから Q の P に対する分岐指数(
>>558 )
は f である。
>>579 から容易にわかるように Q の P に対する相対次数(
>>558 )は
1である。
>>537 より Z_λZ は有理数体の離散付値環である。
これが定める素因子を(記号の濫用で) λZ で表す。
P の λZ に対する分岐指数は
>>559 と
>>568 より e = (λ - 1)/f
である。
一方、明らかに P の λZ に対する相対次数は1である。
581 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/01(金) 17:20:27
>>580 の続き。
λ を割る Z[η] の素イデアルは P = Z[η] ∩ Q のみである。
よって、
>>479 より λZ[η] = P^s となる有理整数 s > 0 がある。
よって λZ[η]_P = (P^s)Z[η]_P となる。
これから P の λZ に対する分岐指数は s である。
一方、
>>580 より P の λZ に対する分岐指数は e だから
s = e である。つまり、λZ[η] = P^e である。
同様に、P を割る Z[ζ] の素イデアルは Q のみであるから、
PZ[ζ] = Q^t となる有理整数 t > 0 がある。
よって PZ[ζ]_Q = (Q^t)Z[ζ]_Q となる。
これから Q の P に対する分岐指数は t である。
一方、
>>580 より Q の P に対する分岐指数は f だから
t = f である。つまり、PZ[ζ] = Q^f である。
582 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/04(月) 12:19:54
訂正:
>>581 >λ を割る Z[η] の素イデアルは P = Z[η] ∩ Q のみである。
>よって、
>>479 より λZ[η] = P^s となる有理整数 s > 0 がある。
>>479 は Z[ζ] について述べたものであり、Z[η] については証明を
要する。これは Z[η] が整閉(
>>570 )であることを使えば、前スレ2の676
から分かる。しかし、ここでは今までの結果を使った証明をしよう。
そのため可換代数のいくつか簡単な補題を用意する。後の参照のために、
ここでは不要だが関連する補題も証明する。
583 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/04(月) 12:20:59
定義 A を環、 M を A-加群、N を M の A-部分加群、 T を M の部分集合とする。 N : T = {a ∈ A; aT ⊂ N} と書く。 これは A のイデアルである。
584 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/04(月) 12:23:00
補題 A を環、 S を A の積閉部分集合とする。 M を A-加群、N を M の A-部分加群とする。 x を M の元とする。 このとき (N : x)_S = N_S : x/1 となる。 ここで右辺の x/1 は x の標準射 M → M_S による像である。 証明 A の元 a に ax (mod N) を対応させることにより A-加群の射 A → M/N が得られる。 よって次の完全列が得られる。 0 → N : x → A → M/N これに _S を作用させて、完全列 0 → (N : x)_S → A_S → M_S/N_S が得られる。 これから (N : x)_S = N_S : x/1 となる。 証明終
585 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/04(月) 12:23:32
補題 A を環、 S を A の積閉部分集合とする。 さらに M を A-加群、N, L を M の部分加群とする。 このとき (N ∩ L)_S = N_S ∩ L_S である。 ここで、(N ∩ L)_S, N_S, L_S は M_S の部分加群と見なしている。 証明 完全列 0 → N ∩ L → M → M/N + M/L (直和) に _S を作用させて、完全列 0 → (N ∩ L)_S → M_S → M_S/N_S + M_S/L_S (直和) が得られる。 これから (N ∩ L)_S = N_S ∩ L_S となる。 証明終
586 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/04(月) 12:25:51
補題
A を環、 S を A の積閉部分集合とする。
M を A-加群、N, L を M の A-部分加群とする。
L が A-加群として有限生成なら (N : L)_S = N_S : L_S である。
証明
L が A-加群として x_1, ... x_r で生成されているとする。
N : L = (N : x_1) ∩...∩ (N : x_r) である。
よって
>>585 より
(N : L)_S = (N : x_1)_S ∩...∩ (N : x_r)_S である。
この右辺は
>>584 より (N_S : x_1/1) ∩...∩ (N_S : x_r/1) である。
これは N_S : L_S に等しい。
証明終
587 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/04(月) 12:29:24
補題
A を環、 I, J を A のイデアルとする。
JA_P ⊂ IA_P が A の全ての極大イデアルで成立つなら
J ⊂ I である。
証明
J の元 x で I に含まれないものがあるとする。
I : x は A のイデアルで A と異なる。
よって I : x ⊂ P となる A の極大イデアル P がある。
よって (I : x)_P ⊂ PA_P である。
>>584 より IA_P : xA_P ⊂ PA_P
である。
一方 x ∈ J だから仮定より xA_P ⊂ IA_P であり、IA_P : xA_P = A_P
となる。よって A_P ⊂ PA_P となる。これは矛盾である。
証明終
588 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/04(月) 12:36:14
補題
A をネーター環、 I, J を A のイデアルとする。
JA_P ⊂ IA_P がすべての P ∈ Ass(A/I)で成立つなら
J ⊂ I である。
証明
J の元 x で I に含まれないものがあるとする。
I : x は A のイデアルで A と異なる。
一方、I : x は Ann([x]) である。ここで [x] は x の A/I における
剰余類を表す。よって前スレ1の 90 より I : x を含む P ∈ Ass(A/I)
がある。 よって
>>587 の証明と同様にして A_P ⊂ PA_P となり
矛盾となる。
証明終
589 :
132人目の素数さん :2006/09/05(火) 01:43:11
質問: 「積閉部分集合」というのは mulitiplicatively closed subset のこと? だとすると584-586はLocalizationがFlatな事を言っているのかしらん?
590 :
132人目の素数さん :2006/09/07(木) 18:25:54
>>589 mulitiplicatively closed subsetを日本語で言うと?
591 :
132人目の素数さん :2006/09/07(木) 18:34:23
Kummer ◆g2BU0D6YN2 だけど(今、外からでパスワード忘れた)、 free blog のサイトでいいとこないかな。匿名で投稿出来るとこ。 何故かというと2chだとインターネットカフェから投稿出来ない 場合が多いんで不便。
592 :
132人目の素数さん :2006/09/07(木) 18:41:18
>>589 用語や記号で分からないのがあったら前スレを検索してよ。
私はよく知らないけど前スレを見る方法があるらしい。
→PHP Proxyをどこかに設置する
>>591 数式の使えるブログってはてなダイアリーぐらいじゃまいか?
595 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/08(金) 18:20:39
>>594 2chと同じレベルでいいんだけど。つまり、このスレで書いてる
数式モドキが書ければいい。たとえば、(N ∩ L)_S = N_S ∩ L_S とか 。
596 :
132人目の素数さん :2006/09/08(金) 18:22:26
どこでも池
597 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/08(金) 18:54:33
>>589 勿論、そうです。ちなみにオタクはいつもそういう話し方ですか?
たとえば、class numberが1のquadratic fieldが無限にあるという
Gaussのconjectureがどうとかこうとか?
>>597 http://nowsmartsoft.or.tv/bbs/test/read.cgi/FreeTalk/ を覗いてみることをお勧めする。形式は 2ch と一緒。2004年以来過疎って居るが、安定運用されている。
更に簡単な tex 表示の機能もある。記述と表示結果を対比確認してから送信出来る。
既にある書き込みの元になる記述は引用で確認出来て参考になる。
表示機能に興味を持ったら、多少遊んでみてから「SHIKIKEI の使い方」を見れば良い。
練習も新規スレ立ても自由。管理人に話し掛けてみれば返事もある。
書き込んでみたら、ここで報告してくれ。俺は単なる野次馬だが応援している。
ありがとう。
そこってJane Doeで見れるのかな?
601 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/13(水) 08:18:50
>>598 ありがとうございます。
残念ながら数式をテキストと保存することが出来ないと不便なのです。
というわけは、私はここで書いたものはテキストファイルとして管理
しているからです。テキストファイルだと秀丸エディターのgrepなどで
文字列検索が楽に出来るので。それにテキストエディターは軽いですし。
言い出しておいて何ですが、どうやら2chに代わる掲示板はほとんど
ないようですね。普通の掲示板だと投稿の削除が管理者の独断でかなり
頻繁に行われる。そのかわり、そこへの投稿はネットカフェからでも
比較的自由に出来ますが。
勿論、明らかな法律違反の投稿は削除すべきですが
これは2chでも当然やってます。
問題は、いわゆる荒しのような投稿です。
しかし、これを管理者の独断で削除するのは問題があると思う。
スレ違いなのでこれ以上この問題には触れません。
>スレ違いなのでこれ以上この問題には触れません。 レスは要らないけれど、念押しをする。 ここで使われている記述方式の他に,奇麗な表示できるだけで、制約が増える訳ではない。 管理についての不安はもっともな事で選択の問題。 俺は管理人ではなく,そこの板の使い勝手を試してみただけの野次馬だけど、面白い発表に 利用するものが現れる事を期待して,時々チェックしている。 そこの、貴方!奇麗な数式書き込みに試してみませんか?
603 :
132人目の素数さん :2006/09/13(水) 15:44:30
あした検尿します
604 :
132人目の素数さん :2006/09/16(土) 15:46:50
test
605 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/09/16(土) 16:03:22
命題
A を体でないネーター整域で、0でない任意の素イデアル P に対して
A_P は離散付値環であるとする。
このとき、A の0でないイデアルは素イデアルの冪積として一意に分解される。
証明
仮定より 0 でない任意の素イデアル P に対して P に含まれる素イデアルは
0 と P のみである。よって P は極大イデアルである。
I を 0 でないイデアルとする。I を含む極大イデアルは Supp(A/I) の極小元
だから有限個である(前スレ1の224)。
J = ΠP^n とおく。ここで P は I を含む極大イデアル全体を動き、
IA_P = (P^n)A_P とする。
IA_P = JA_P である。よって、
>>587 より I = J である。
一意性は明らかである。
証明終
159
158
608 :
132人目の素数さん :2006/09/26(火) 19:06:10
今、ちょっと他の用事で忙しい。しばらくしたら書く。 最近、勉強しなおしてるんだけど、類体論は難しいね。 だからこそ面白いともいえるが。 この類体論に円分体が重要な役目を果たしている。
609 :
132人目の素数さん :2006/09/27(水) 06:55:32
類体論 ii book nai??
610 :
132人目の素数さん :2006/09/27(水) 07:04:38
このスレってどこかの本を丸写ししてるとか? 著作権大丈夫か?
大丈夫っしょ。もしそうだとしても 写した人が逮捕されるだけで。
こんなところにも著作権厨が・・・
ああいうのはアップするのは自己責任でアップしてるわけで、 しかも親告罪なんだから、アップロードした人と著作権者 (と、利害関係のある出版社)以外は関係ないだろ。 それ以外は得すること以外あり得ないんだから、ぐだぐだ言わないで黙ってればいいんだよ。
153
152
616 :
132人目の素数さん :2006/09/27(水) 19:01:13
>>612 厨ってか、このスレはちょっとあんまりじゃないか?
議論もなく、定理・証明の羅列・・・
Wikipediaでさえ削除の対象になるぞ。
うぃき厨が
ここはwikiじゃないから定理・証明の羅列なのは問題ないかと。 それが問題だと思うなら見なきゃ良い。 著作権違反って何の本の?wikipediaでもそういう情報がないと削除されないよ。
Wikipigiaというとこで削除の対象になっても2chではならん
620 :
132人目の素数さん :2006/09/27(水) 20:53:03
>>618 見なきゃ(・∀・)イイ!というが、
本を丸写しするのは問題じゃね?
だからどの本だよ。こんな定理と証明の羅列しか書いてない本ねーよ。 (Kummerごめんw)
147
146
145
625 :
132人目の素数さん :2006/09/28(木) 15:34:57
写経のどこがいけないんだよ
143
142
628 :
132人目の素数さん :2006/09/29(金) 09:08:23
既に知られている事実を書いてるんだからオリジナルなわけないだろ。 そんなことは当たり前なんだよ。だいたい教科書はほとんどそうだよ。
140
141
140
スレッドを汚したくなかったから今まで黙っていたが。 Kummerさん、変なバカの言うことは無視してくれ。あんたの支持者はここにもいる。 とにかくその変態バカはあんたのことをねたんでいるだけだ。哀れな変態だ。
633 :
132人目の素数さん :2006/09/30(土) 13:19:13
>>632 だったら何かコメントしてやれよw これだけ長い間スレが
続いているのに、質問の類は全然ない。誰もみてない証拠
634 :
132人目の素数さん :2006/09/30(土) 13:32:38
少しくらい休ませてやれよ。 Kummer はタダ働きなんだから。
136
クンマーきもいよ
134
638 :
132人目の素数さん :2006/10/01(日) 03:16:25
134
132
>>640 新参?Kummer=おっさんは自己主張が強いので自演はしない。
130
129
127
126
648 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/06(金) 12:20:01
ここで前の問題(
>>582 )に戻る。
前提条件を改めて述べる。
λを奇素数、ζ を 1 の原始λ乗根の1つとする。
f を λ - 1 を割る有理整数で 1 < f < λ - 1 とする。
f 項周期から構成される円分整数(
>>269 )全体のなす環
Z[η_0, η_1, ..., η_(e-1)] を考える。ここで e = (λ - 1)/f
である。この環を Z[η] と書く。
P を Z[η] の 0 でない素イデアルとする。0 でない円分整数 f(ζ)
で P に属すものがある。τを Z[ζ] の自己同型とすると、
τ(f(ζ)) ∈ Z[η] だから f(ζ) のノルム(
>>174 ) Nf(ζ) は
Z ∩ P に含まれる。よって Z ∩ P ≠ 0 である。
よって Z ∩ P = pZ となる有理素数 p がある。
ここでまず p ≠ λ の場合を考える。
>>564 より P_0 ∩...∩ P_(r-1) = pZ[η] である。
pZ[η] ⊂ P だから、ある i に対して P_i ⊂ P となる。
P_i は Z[η] の極大イデアルだから P_i = P である。
よって
>>565 より Z[η]_P は離散付値環である。
今度は p = λ の場合を考える。
この場合も
>>576 より Z[η]_P は離散付値環である。
以上から
>>605 より Z[η] の0でないイデアルは素イデアルの冪積として
一意に分解される。
これが、
>>582 で証明したいことであった。
128
127
126
125
124
654 :
132人目の素数さん :2006/10/11(水) 01:44:56
>616 > このスレはちょっとあんまりじゃないか? > 議論もなく、定理・証明の羅列・・・ > Wikipediaでさえ削除の対象になるぞ。 暫く見なかったら、こんな下らない事を書込む奴がいるんだな。 「議論のない」のが問題だと思うなら自分で内容に関して問題提起ぐらいしろ。 英語版はともかく日本語版なぞゴミタメ同然のWikipediaなんか引合いに出すな。 Kummerさん、616みたいな寝言は無視して頑張って下され。
おれはもっともな意見だと思うが。 ところで、日本版wikiのどの辺りがゴミためなのか?
123
657 :
132人目の素数さん :2006/10/11(水) 16:08:24
議論不要
とりあえず、一応数学的な内容のあるスレはここには少ないんだよ。 不等式スレとか、他せいぜい10にはならない。 つぶしてどうすんだよ。それに皆見てるんだ、おかしな内容だったらとっくに つぶれてる。
120
662 :
132人目の素数さん :2006/10/12(木) 15:00:24
>それに皆見てるんだ、おかしな内容だったらとっくに >つぶれてる。 なんかアホっぽい発言 小学生みたい
118
117
116
666 :
132人目の素数さん :2006/10/16(月) 09:28:46
そこの数字だけ書いてるやつ。 どういうつもりか知らないが、迷惑だからやめろ。 落ちるのを防いでるつもりなら、そんなに頻繁にやる必要はないよ。 まあ月に一回くらいは書いたほうがいいが。
114
教科書と同じ羅列なら、誰も読んでないからさ、大丈夫だよ。
669 :
132人目の素数さん :2006/10/16(月) 10:22:29
きっと666にストレスを与えるのが目的なのだろう
数字魔気にし始めたらノイローゼになるよ。
112
673 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/18(水) 15:48:47
以下、今までに参考にした、またはこれから参考にする予定の本や論文 を挙げる(全部ではない)。 Bourbakiの位相、代数、位相ベクトル空間、積分、可換代数 Weilの位相群上の積分とその応用 Hewitt-Rossの位相群上の調和解析 van der Weardenの代数学 秋月・鈴木の高等代数学 II Artin, et al の Rings with minimum conditon Cartan-EilenbergのHomological Algebra Zariski-Samuelの可換代数 Serre の Local Algebra Edwards の Fermat's Last Theorem Gaussの数論考究(英訳) Dirichletの整数論講義(和訳) Hilbertの Bericht(英訳) Heckeの代数的整数論講義(英訳) 高木の代数学、初等整数論、代数的整数論 高木の類体論の論文(1920)その他 Artinの一般相互法則に関する論文(1926)その他 Hasseの Bericht Hasseの類体論に関するいくつかの論文 Herbrandの代数的整数論に関する2,3の論文 Chevalleyの類体論に関する2,3の論文。 Deuringの Algebren Artinの Algebraic Numbers and Algebraic Functions Artin-Tateの Class Field Theory Serreの Local Fields 岩沢の 局所類体論 Cassels & Frohlich Weilの Basic Number Theory Langの Algebraic Number Theory Neukirchの代数的整数論
111
112
676 :
132人目の素数さん :2006/10/18(水) 20:51:18
>Deuringの Algebren >Artin-Tateの Class Field Theory >Weilの Basic Number Theory 読み難さでは定評があるんだが、唯々脱帽!
677 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/19(木) 09:30:11
上で挙げた本なり論文の全てを全ページ読んだと言ってはいないし、 今のところその予定はない。 ただし、このスレを書く上で参考になるところは読んだし、読む予定。 Artin-TateなりWeilが特に難しいというより類体論自体が難しいと いうことだろう。
109
679 :
132人目の素数さん :2006/10/20(金) 20:58:16
>677 > ただし、このスレを書く上で参考になるところは読んだし、読む予定。 それだけでも大変。読むだけじゃなくてまとめる事を考えるとね。 >Artin-TateなりWeilが特に難しいというより類体論自体が難しいということだろう。 類体論が易しいとは思わないが・・・ Artin-Tate 1)群のコホモロジーに関し余り一般的でない事実まで既知として使用している 2)印刷がひどい(今の水準から考えて) Weil 1)Central Simple AlgebraとかHarr Measureとかあまり良いテキストがない(なかった)分野の話が延々と続く 2)動機付けとか、事例が殆ど書かれていない というのもあるのでは? ま、そんなことは本題ではないが。 何れにせよ、期待しているので宜しく!
>>679 何れにせよ、期待しているので宜しく!
期待しているなら、レスしてやれよw
108
682 :
132人目の素数さん :2006/10/22(日) 18:44:56
>Artin-Tate >1)群のコホモロジーに関し余り一般的でない事実まで既知として使用している >2)印刷がひどい(今の水準から考えて) 1)はLangの講義録で補るはず。2)type 原稿の複写だから仕方が無い。 >Weil >1)Central Simple AlgebraとかHarr Measureとかあまり良い >テキストがない(なかった)分野の話が延々と続く だからDeuring やHewitt-Rosse などの文献を挙げているのか!?
108
684 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/23(月) 12:30:56
Haar Measureに関しては確かによいテキストは少ない。 今迷っているのは Haar Measure について書こうかどうかということ。 これを既知と仮定すると、このスレのシリーズの敷居が高くなる。 だからと言って、Haar Measure を基礎からやるとなると かなりの大仕事になる。 今考えているのは折衷案。 というのは数論に出てくる局所コンパクト群は特殊かつ具体的なもの だから、これ等の群の Haar Measure は比較的簡単に構成できる。 局所コンパクト群の双対定理もこれ等の群に関しては比較的簡単に 証明できる。
685 :
132人目の素数さん :2006/10/24(火) 08:12:34
686 :
132人目の素数さん :2006/10/24(火) 08:16:24
687 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/24(火) 12:36:15
>1)群のコホモロジーに関し余り一般的でない事実まで既知として使用している >1)Central Simple AlgebraとかHarr Measureとかあまり良い >テキストがない(なかった)分野の話が延々と続く 数論というのは数学の基礎的分野、例えば、一般位相とか代数、解析 など、の上に位置している。というか数学の各分野の頂点に位置している と言ってもいいのかもしれない。だからというか、数学の各分野の知識が 数論に応用される。Bourbakiがもし数論の巻を出版するとしても (まず有り得ないが)一番最後になるだろう。 Gaussが数論を数学の女王と言ったとかいうが、この他分野の高度に 発展したおいしいところを貢がせるという点でうまい比喩なのかも しれない。
688 :
132人目の素数さん :2006/10/24(火) 13:41:22
ばかが何軽薄な感想書いてるんだ
ばかがばかをばかといい
105
691 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/25(水) 10:17:59
言わずもがなかもしれないが、
>>687 の趣旨の1つは、数論は
往々にして準備が大掛かりになるということ。
だから、延々と数論とは直接関係のない準備に時間を割く場合も
ある。それを勘違いして方向がずれていると思われると困るということ。
高木の本のように準備にそれほど手間をかけないで深い仕事も可能
だが、このスレでは高木より現代的な扱いもとり入れるつもり。
Langが書いてるように多様な視点をとり入れることにより理解が
深まると思うから。
数論は解析学の頂点に位置している、と。
>>692 違う。数論は数学の頂点に位置している。
103
695 :
132人目の素数さん :2006/10/25(水) 20:44:40
>691 > Langが書いてるように多様な視点をとり入れることにより 多様な視点を取り入れるのは大歓迎だが、Lang(特にAlgebraic Number Theory)風の書き方は勘弁して。
696 :
132人目の素数さん :2006/10/26(木) 06:40:05
んだんだ!!
697 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/26(木) 16:45:50
高木風ならいいのか? 高木だって難しいことには変わりないと思うが。 書き方のスタイルの問題じゃないんじゃないのか? 確かにLangは行間(比喩)がやや広いし、たまに間違いもあったりする。 しかし構成はいいと思う。 Serreも行間はやや広いが証明の基本アイデアが明解なので分かりやすい。 しかし、両者とも動機付けが弱い。 その反対に動機付けに力を入れている本、例えば岩波基礎数学 (だっけ?)の数論なんかは、証明が弱い。 個人的には、動機付けより証明が分かりやすい本が有りがたい。 順位的に言うと。 1) 構成(全体思想と言ってもいい) 2) 証明の明解さ(アイデアの良さを含む) 3) 例及び演習問題の質と量 4) 動機付け そういえばBourbakiはこの順位から見て悪くないなw。 講義風の語り口、例えば高木、が特にいいとも思わない。 どこからどこまで定義で、どこから証明かが良く分からなかったりする。 たまに証明の終わりも良く分からなかったりするw。
698 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/26(木) 17:07:43
因みにWeilの証明は力づくで分かり難い。 Chevalleyもクセがあって苦手。
100
700 :
695 :2006/10/26(木) 20:46:38
>697-698 > 高木風ならいいのか? いや、そうじゃなくて・・・高木風は論外だと思うし扱いが古すぎるので忘れて欲しい。 要するにLangの「どうだ、こんなに短く纏めたぞ」という書き方が面白くない。 Langの書き方は、知らない人間が読んで判るようにはならないし、知っている人間にとってはペダンティックなだけだし。 > Serreも行間はやや広いが証明の基本アイデアが明解なので分かりやすい。 Serreも50-70年代としてはわかりやすい方だとは思う。 でも、今はもっとLeisuryに書くのが普通なのでは? > 因みにWeilの証明は力づくで分かり難い。 同感。Heavy-goingという表現がぴったり。 (ところで、Weilは本当はトポロジーがやりたかったそうだ。) > Chevalleyもクセがあって苦手。 これも同感。特に彼の文献は、読むと時代の流れを感じさせる。 で、695で何を言いたかったかというと ShafarevichやMilneみたいな書き方がいいと思う。 「自分で書かないから勝手な事を言っている」のかもしれないが、検討お願いしたい。
100
702 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/27(金) 10:03:22
前にも書いたかもしれないが Atiyah-MacDonald のスタイルなんか いいと思うけどね。いくつかの比較的簡単な命題を積み重ねて、 non-trivialな結果を出すという。個々の命題は比較的簡単なんで、 それ程細かい証明をつける必要がない。 これは Grothendieck の rising sea approach と呼ばれる方法 とも似ている。 ただし、この方法は読者に忍耐力を要求する。 なぜなら、比較的簡単で退屈な議論が延々と続くことになりがちだから。 しかし、理解不能な証明よりはるかにましだろう。
703 :
132人目の素数さん :2006/10/27(金) 10:22:51
>702 > 前にも書いたかもしれないが Atiyah-MacDonald のスタイルなんかいいと思う そうかも知れないが、NullstellensatzとかLimits/colimitsといった 重要な概念がExerciseになっているのは入門書としてはどうも・・・ (それからこれは出版社の問題だろうが、入門書としては値段が高すぎる)。
704 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/27(金) 10:53:46
>重要な概念がExerciseになっているのは入門書としてはどうも・・・ 確かに、それはちょっといやだね。 ただ、ヒントでほとんどど解けると思うけど。 実は、俺は演習問題が好きではないw 演習問題を解くヒマがあったらその本の先を読みたいほう。 ただでさえ、一冊の本を読みきるのは難しいんだから。 だいたい、簡単そうな命題は演習問題の一種と思ってるからね。 なるべく、その命題の証明を読む前に自分でその証明を考えて見る。 ある程度考えてからその証明を読むようにしている。 こうすると、その証明と自分の考えていた方向が一致している場合は その証明の理解が早い。 こういうと、最初に述べたこと(ただでさえ、一冊の本を読みきる のは難しい)と矛盾するようだけど、証明を見る前に自分で考える というのは、結局理解が早まる場合が多いから矛盾してはいない。
演習問題も著者は理解が早まると思って載せてる場合が多いと思うけどね。
706 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/27(金) 11:04:22
別に演習問題不要と言ってるわけではないので、誤解のないように。
707 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/27(金) 11:35:37
> 要するにLangの「どうだ、こんなに短く纏めたぞ」という書き方が面白くない。 > Langの書き方は、知らない人間が読んで判るようにはならないし、知っている人間にとってはペダンティックなだけだし。 それは誤解だと思うけどね。 行間の詰まった証明が常にいいかどうかは微妙。 丁寧な証明なら理解しやすいというのは、命題によっては必ずしも当てはまらない。 もしそれが本当なら、数学の理解にこんなに苦労しないって。
708 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/10/27(金) 11:52:49
数学の命題の証明の理解というのは論理以外の要素があると思う。 だからいくら丁寧に論理を積み重ねてもわからないものがある。 論理以外の何かと問われても困るけどね。 直感という人もいる。イメージだという人もいる。 ある種の感覚だと思うけどね。 その感覚を掴むことが出来たときに、理解出来たと思う。 この感覚を養うには色々の具体例を調べるとか演習問題を解くとか すると有効なんだろうね。 つまり、慣れ。その数学的対象というか数学的世界に対する土地勘 みたいなものが必要となる。 この土地勘を持った人には自明と思える事でも、そうでない人には いくら丁寧に説明してもわからない。
そおーゆう言葉で説明できない「物」を可能な限り排除するために 概念、用語が発明されてきたのだと思うのだが。 先端領域では、論理的に難の無い説明や証明が無くて、この手の 怪しい「物」で構成された証明や説得しか無かったりするよね。 ε-δ以前の古の極限理論なんかはその典型。
711 :
132人目の素数さん :2006/10/27(金) 12:45:30
んだんだ!!
712 :
132人目の素数さん :2006/10/27(金) 12:48:02
文脈外れでも言ってることに間違いはない罠(w
713 :
132人目の素数さん :2006/10/27(金) 15:16:10
いや、Kummerの言ってる事は核心をついてるよ。しかも最短を行こうとするのは 数学では常道。ただ、100人中98人にはついていけなくなるだけ。 「思考の省略が数学である。」と言う人もいるほど。 多くは(俺なんかでもそうだが)かなり「うろうろ」しないと「わからない」事の方が 多い。また、はたから見てると「わかった」気になってる奴の方が多い。 それははずかしめでもなんでもなく俺でも「わかった」気になってるだけの 事項は多いよ。深みが全く違ってくる。自分で展開して発展させていければ、 まずまちがいなく「わかっている」がそれ以外はむしろ知ってるだけと言ってもいいくら いだよ。(しかも人に確認してもらう事も結構重要かもしれない。)
>>709 が言ってる事も無論、ほんとうだが、
発明する方にはよくわかってたからできた事であって、依然として
『そおーゆう言葉で説明できない「物」』
が(むしろ、新しい説明、証明で)増殖している様にしか見えない事も事実。
正直、背後にあるなにがしかは依然として「でかい」まま。
ともかく、この分野(代数的整数論)は広い。知ってるだけにまで到達するのにでも 正直、気が遠くなる。ノイキルヒ一冊でもざっと見てみるだけでも時間かかる。 で、内容の話へどうぞ。
>>716 ノイキルヒ一冊で「知っている」のレベルに到達できるんですか?
本当なら買いだな。
俺はよくは知らん。あれ一冊本屋でざっと見てみろ。 おそらく、あの本事態がざっと概観してるんだろうが、あれで知ってるレベル かどうかも俺は知らん。 俺が知ってるのはあの一冊でさえ、気が遠くなるって話だけ。
整数論の分野(どこでも)は人によって全然違ってくる。 なんでもいいから、片端からざっとみてれば、それだけはわかる。 で、Kummerから始まってるのは事実なんだよ。 Kummerから始めるのは、俺には正しい気がするよ。 もういいだろう、内容の話へどうぞ。
94
722 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/01(水) 14:14:25
>>648 に戻る。
任意の有理素数 p の Z[η] での素イデアル分解を調べたい。
>>359 で Z[ζ] の商体を Q(ζ) と書いたが、同様に Z[η] の商体を
Q(η) と書く。つまり、Q(η) = Q(η_0, η_1, ..., η_(e-1)) である。
Q(ζ) は Q の Galois 拡大である。その Galois 群 を G とする。
G は位数 λ - 1 の巡回群である。
従って、Q(ζ) も Q(η) の Galois 拡大である。
[Q(ζ) : Q(η)] = f だから、その Galois 群 H は位数 f の
巡回群である。よって、[G : H] = e である。
まず p = λ の場合を考える。
>>200 より、λ = ε(1 - ζ)^(λ-1) となる。
ここでεは単数である。
>>202 より 1 - ζ は円分素数である。
よって (1 - ζ)Z[ζ] = L は素イデアルであり、
λZ[ζ] = L^(λ - 1) である。
L ∩ Z[η] = P とおく。
>>581 より λZ[η] = P^e, PZ[ζ] = L^f である。
94
93
92
726 :
132人目の素数さん :2006/11/04(土) 10:05:39
Who is KING???
727 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/11/04(土) 13:47:11
talk:
>>726 I'm the King of kings.
91
>内容の話へどうぞ。 なんか違和感の感じる日本語・・・
730 :
132人目の素数さん :2006/11/05(日) 04:36:22
>729 > なんか違和感の感じる日本語・・・ 何か違和感を感じさせる日本語・・・
>内容の話へどうぞ
→本題へどうぞ
>なんか違和感を感じる日本語…
→なんか違和感のある日本語…
orなんか違和感を覚える日本語…
>>730 は同じノリの為スルー、良いノリだけど。
732 :
132人目の素数さん :2006/11/05(日) 07:42:17
どうぞ内容へ話の
734 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/06(月) 11:39:29
>>722 の続き。
今度は p ≠ λ の場合を考える。
>>564 の記号を使う。
p の mod λ の指数を f' とする。e' = (λ - 1)/f' とおく。
p を含む Z[ζ] の極大イデアルは e' 個ある。
これ等を Q_0, .., Q_(e'-1) とおく。
S = {Q_0, .., Q_(e'-1)} とおく。
今まで何度か見てきたように、G は集合 S に推移的に作用する。
よって H' = {σ∈ G; σ(Q_0) = Q_0} とおくと、
[G: H'] = e' である。
よって |H'| = f' である。ここで、|H'| は H' の位数を表す。
Z[η] ∩ Q_i は Z[η] の 0 でない素イデアルだから極大イデアル
である。これ等のなかで相異なるものを P_0, ..., P_(r-1) とする
>>564 より、pZ[η] = P_0 ∩...∩ P_(r-1) である。
Z[η] ∩ Q_0 = P_0 と仮定してよい。
前スレ1の639 より H は集合 T = {Q_i; Z[η] ∩ Q_i = P_0 } に
推移的に作用する。H ∩ H' = {σ∈ H; σ(Q_0) = Q_0} だから
|T| = [H : H ∩ H'] である。ここで、|T| は T の元の個数を表す。
G は巡回群だから、|H ∩ H'| = gcd(f, f') である。
ここで、gcd(f, f') は f と f' の最大公約数を表す。
よって、 |T| = f/gcd(f, f') となる。
つまり P_0 の上にある Z[ζ] の素イデアルの個数は f/gcd(f, f')
である。
735 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/06(月) 12:17:14
今度は r、つまり p の上にある Z[η] の素イデアルの個数を求めよう。
>>734 より r|T| = e' である。
よって、 r = e'gcd(f, f')/f
一方、良く知られた公式より ff' = gcd(f, f') lcm(f, f') である。
ここで、lcm(f, f') は f と f' の最小公倍数を表す。
これは f と f' の各素因数分解を考えれば容易にわかる。
よって、gcd(f, f')/f = f'/lcm(f, f') となる。
よって、r = e'f'/lcm(f, f') = (λ - 1)/lcm(f, f') である。
Kummer ◆g2BU0D6YN2 はクマーと呼ぶことにしよう
実際それが正しい発音だ
87
739 :
132人目の素数さん :2006/11/07(火) 01:44:27
King is a Jabroni!!!!!
740 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/11/07(火) 02:22:54
741 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/08(水) 10:01:24
最も簡単な場合である e = 2, f = (λ - 1)/2 の場合を
やや詳しく調べる。
λ - 1 は偶数だから f = (λ - 1)/2 は常に有理整数であることに
注意する。
f 項周期から構成される円分整数全体のなす環 Z[η] = Z[η_0, η_1]
を考える。このとき、Q(η) = Q(η_0, η_1) は有理数体上2次の
拡大体である。
Z[η] における有理素数 p の分解の様子は
>>722 ,
>>735 から
分かっているが、もっと詳しく調べる。
記号は
>>722 ,
>>735 を踏襲する。
p = λ の場合は、
>>722 より λZ[η] = P^2 となる。
p ≠ λ の場合を以下に述べる。
Fermat の小定理から p^(λ - 1) ≡ 1 (mod λ) だから
p^(λ - 1)/2 ≡ ±1 (mod λ) である。
p^(λ - 1)/2 ≡ 1 (mod λ) なら
f'|f だから lcm(f, f') = f
よって
>>735 より r = (λ - 1)/f = 2 である。
この逆も言える。
p^(λ - 1)/2 ≡ -1 (mod λ) なら
lcm(f, f') = λ - 1 となり
>>735 より r = 1 である。
この逆も言える。
742 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/08(水) 12:39:54
a を mod λ の原始根とし、p ≡ a^k (mod λ) とする。 容易に以下の同値関係が得られる。 p^(λ - 1)/2 ≡ 1 (mod λ) ⇔ a^(k(λ - 1)/2) ≡ 1 (mod λ) ⇔ k が偶数 ⇔ 合同方程式 x^2 ≡ p (mod λ) が有理整数解を持つ 同様に p^(λ - 1)/2 ≡ -1 (mod λ) ⇔ a^(k(λ - 1)/2) ≡ -1 (mod λ) ⇔ k が奇数 ⇔ 合同方程式 x^2 ≡ p (mod λ) が有理整数解を持たない
743 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/08(水) 12:40:56
ここで初等整数論で周知だが、用語の定義を行う。 定義 q を奇素数、c を q と素な有理整数とする。 合同方程式 x^2 ≡ c (mod q) が有理整数解を持つなら c は q を法として(または mod q で) 平方剰余であるという。 そうでないとき、c は q を法として平方非剰余であるという。
744 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/08(水) 12:51:23
>>741 ,
>>742 ,
>>743 をまとめると以下のようになる。
λを奇素数とし、Z[η] = Z[η_0, η_1] を (λ - 1)/2 項周期から
構成される円分整数全体のなす環とする。
p を有理素数で p ≠ λ とする。
pZ[η] が Z[η] の相異なる2個の素イデアルの積となるためには
p が λ を法として平方剰余であることが必要十分である。
pZ[η] が Z[η] の素イデアルであるためには
p が λ を法として平方非剰余であることが必要十分である。
86
746 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/08(水) 16:31:41
p を奇素数とする。
有理整数全体の集合 Z から {-1, 0, 1} への写像 (*/p) を
以下のように定義する。
a が p で割れるとき (a/p) = 0
a が p と素で p を法として平方剰余(
>>743 )のとき (a/p) = 1
a が p と素で p を法として平方非剰余(
>>743 )のとき (a/p) = -1
(a/p) を Legendre の記号と呼ぶ。
747 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/08(水) 16:36:26
以下、特に断らない限り (a/p) は a が p と素の場合のみを扱う。 1) a ≡ b (mod p) なら (a/p) ≡ (b/p) (mod p) これは定義から明らか。 2) r を mod p の原始根とし、a ≡ r^k (mod p) とする。 このとき (a/p) = (-1)^k である。 これも明らかだろう。 3) (ab/p) ≡ (a/p)(b/p) (mod p) これは 2) から出る。 4) (a/p) ≡ a^{(p - 1)/2} (mod p) 証明 r を mod p の原始根とし、a ≡ r^k (mod p) とする。 a^{(p - 1)/2} ≡ r^{k(p - 1)/2} (mod p) である。 一方、Fermat の小定理から r^(λ - 1) ≡ 1 (mod p) だから r^{(λ - 1)/2} ≡ -1 (mod p) である。 よって k が偶数なら r^{k(p - 1)/2} ≡ 1 (mod p) k が奇数なら r^{k(p - 1)/2} ≡ -1 (mod p) これと 2) から 4) が出る。 証明終
748 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/08(水) 16:47:57
>>744 の続き。
2次体論(後述)から有理素数 p で Z[η] で分岐するもの、つまり
pZ[η] が Z[η] の素イデアルの2乗になるのは、Q(η) の
判別式(後述) d の素因子だけである。
さらに、一般に2次体の判別式 は 奇素数の平方では割れない
(後で証明する)。
一方、例えば
>>741 からわかるように、有理素数 p で Z[η] で
分岐するものは λ のみである。
よって、d と λ は符号を除いて一致する。
これと2次体の判別式の性質(後述)から
λ ≡ 1 (mod 4) のときは d = λ
λ ≡ -1 (mod 4) のときは d = -λ
となる。
2次体論から奇素数 p ≠ λ の Z[η] における素イデアル分解
の様子は d が mod p で平方剰余か否かにより決まる。
詳しく以下のようになる(後で証明する)。
pZ[η] が Z[η] の相異なる2個の素イデアルの積となるためには
d が p を法として平方剰余であることが必要十分である。
pZ[η] が Z[η] の素イデアルであるためには
d が p を法として平方非剰余であることが必要十分である。
749 :
132人目の素数さん :2006/11/08(水) 16:57:17
ばかだな
750 :
132人目の素数さん :2006/11/08(水) 17:01:36
やめとけ
751 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/08(水) 17:23:55
>>748 の続き。
>>744 と
>>748 の結果を Legendre の記号(
>>746 )で書くと、
以下のようになる。
1) λ ≡ 1 (mod 4) のとき:
(p/λ) = (λ/p) となる。
2) λ ≡ -1 (mod 4) のとき:
(p/λ) = (-λ/p) となる。
>>747 より
(-λ/p) = (-1/p)(λ/p) = {(-1)^(p-1)/2} (λ/p)
よって
(p/λ) = {(-1)^(p-1)/2} (λ/p)
λ ≡ 1 (mod 4) のとき (λ-1)/2 は偶数
λ ≡ -1 (mod 4) のとき (λ-1)/2 は奇数
に注意して 1) と 2) を1つにまとめると
(p/λ) = (-1)^{((p-1)/2)((λ-1)/2)} (λ/p)
となる。
両辺に (λ/p) を掛けて
(p/λ)(λ/p) = (-1)^{((p-1)/2)((λ-1)/2)}
これは平方剰余の相互律と呼ばれている。
752 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/08(水) 17:46:57
>>744 と
>>748 でみたように2次体 Q(η) における有理素数 p の
分解の様子を円分体論と2次体論で別々に調べると自然に平方剰余の
相互律が得られる。
>>752 立法剰余や4乗剰余の相互法則もやっていただけますか?
85
755 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 08:53:33
>>746 >p を奇素数とする。
>有理整数全体の集合 Z から {-1, 0, 1} への写像 (*/p) を
>以下のように定義する。
補足すると、{-1, 0, 1} は Z の部分集合とみている。
756 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 08:59:07
>>747 以下のように訂正する。
1) a ≡ b (mod p) なら
(a/p) = (b/p)
3) (ab/p) = (a/p)(b/p)
757 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 09:16:17
758 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 09:23:25
平方剰余の相互律の表現として
(p/λ)(λ/p) = (-1)^{((p-1)/2)((λ-1)/2)}
が有名だけど、これより、
>>751 の
1) λ ≡ 1 (mod 4) のとき:
(p/λ) = (λ/p) となる。
2) λ ≡ -1 (mod 4) のとき:
(p/λ) = (-λ/p) となる。
のほうが意味が分かりやすいだろう。
759 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 12:29:36
>>748 で述べた2次体についての事実を証明しよう。
ただし、今は2次体論に深入りはしない。
2次の代数体を略して2次体と呼ぶ。
つまり有理数体の2次の拡大体のことである。
因みに、このスレおよび後のスレでは断らない限り代数体は複素数体の
部分体と考える。
K を2次体とする。
K の元で Q に含まれないものをαとすれば。
K = Q(α) となる。
α の満たすモニックな有理係数の既約多項式を
X^2 + bX + c とする。
中学校(?)で習った2次方程式の根の公式より
α = (-b ±√(b^2 - 4c))/2 である。
β = √(b^2 - 4c) とおけば、K = Q(β) である。
b^2 - 4c は有理数だから b^2 - 4c = k/h となる有理整数 k, h
がある。
h√(k/h) = √(hk) だから K = Q(√(hk)) である。
hk = (t^2)m とする。ここで t, m は有理整数で m は平方因子を
持たない。つまり素数の平方で割れない。
このような t, m が存在することは hk を素数の積に分解すれば
明らかだろう。
√(hk) = t√m だから K = Q(√m) である。
760 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 13:17:03
>>759 の続き。
K = Q(√m) となる平方因子を持たない m は K により一意に決まる。
証明
Q(√m) = Q(√m') とする。
ここで m と m' は平方因子を持たない有理整数である。
√m = a + b√m' となる有理数 a, b がある。
両辺のトレースを取る。
Tr(√m) = √m - √m = 0
Tr(a + b√m') = a + b√m' + a - b√m' = 2a
よって a = 0
よって
√m = b√m' である。
両辺のノルムを取る。
N(√m) = (√m)(-√m) = -m
N(b√m') = (b√m')(-b√m') = -(b^2)m'
よって
m = (b^2)m'
m は平方因子を持たないから b^2 = 1 である。
よって m = m'
証明終
761 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 13:26:37
>>760 ノルムを使うまでもなかった。
√m = b√m' の両辺の平方をとれば m = (b^2)m' となるw
762 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 13:32:24
>>760 トレースも使わなくていい。
√m = a + b√m'
の両辺の平方をとれば
m = a^2 + (b^2)m' + 2ab√m'
これから ab = 0 が出る。
b = 0 は有り得ないから a = 0 となる。
763 :
132人目の素数さん :2006/11/09(木) 14:39:51
764 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 15:17:35
今後、断らない限り2次体を Q(√m) のように書いたとき m は 平方因子を持たない有理整数とする。 2次体 Q(√m) に含まれる代数的整数のなす環を決定しよう。 α = a + b√m を(代数的)整数とする。ここで、 a, b は有理数で ある。 Tr(α) = (a + b√m) + (a - b√m) = 2a は有理整数である。 N(α) = (a + b√m)(a - b√m) = a^2 - m(b^2) も有理整数である。 4(a^2 - m(b^2)) = (2a)^2 - m(2b)^2 は有理整数である。 2a は有理整数だから m(2b)^2 は有理整数である。 m は平方因子を持たないから 2b は有理整数である。 2a = k 2b = l とおく。 k^2 - (l^2)m = 4(a^2 - (b^2)m) = 4N(α) より k^2 ≡ (l^2)m (mod 4) ここで補題を用意する。
765 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 15:20:54
補題 m を 4 の倍数でない有理整数とする。 k, l を有理整数で k^2 ≡ (l^2)m (mod 4) とする。 このとき、m ≡ 1 (mod 4) なら k ≡ l (mod 2) つまり k と l は偶奇が一致する。 m ≡ 1 (mod 4) でないなら k と l はともに偶数である。 証明 まず、以下の事実に注意する。 偶数の平方は mod 4 で 0 と合同である。 奇数の平方は mod 4 で 1 と合同である。 仮定より、 m ≡ 1 (mod 4) なら k^2 ≡ l^2 (mod 4) m ≡ 2 (mod 4) なら k^2 ≡ (l^2)2 (mod 4) m ≡ 3 (mod 4) なら k^2 ≡ (l^2)3 (mod 4) 以上の3つの場合に補題の主張が成立つことは、始めの注意から わかる。 m は 4 の倍数でないから上記で場合が尽くされる。 証明終
85
767 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 15:50:02
>>764 の続き。
m は平方因子を持たないから 4 の倍数でない。
>>765 より、m ≡ 1 (mod 4) なら k ≡ l (mod 2) である。
よって k = l + 2t となる有理整数 t がある。
α = a + b√m = (k + l√m)/2 = (l + 2t + l√m)/2
= t + l(1 + √m)/2
ω = (1 + √m)/2 とおく。
Tr(ω) = 1
N(ω) = (1 - m)/4
だから ω は
(X - ω)(X - ω') = X^2 - X + (1 - m)/4 = 0 の根である。
ここで、ω' は ω の共役、つまり (1 - √m)/2 である。
(1 - m)/4 は m ≡ 1 (mod 4) より有理整数である。
よって、ω は(代数的)整数である。
αは Q(√m) に含まれる任意の整数であるから
Q(√m) の整数環 R は Z + Zω である。
m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら
>>765 より、k と l はともに偶数である。
よって a と b はともに有理整数である
よって Q(√m) の整数環 R は Z + Z√m である。
768 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 16:29:54
>>767 より2次体 Q(√m) の整数環 R は Z[ω] = Z + Zω の形を
している。
ここで m ≡ 1 (mod 4) なら ω = (1 + √m)/2 であり、
m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら ω = √m である。
注意すべきは、m ≡ 1 (mod 4) なら Z + Z√m は整数環とならない
ことである。つまり整域 Z[√m ] = Z + Z√m は整閉ではない。
よって Z[√m ] は Dedekind 整域ではない。
この事実が、歴史的には2次体の整数論が円分体の
整数論より後に出現した理由と思われる。
まず、代数的整数という概念自体が Gauss や Dirichlet の頃には
明確に意識されていなかった。
Kummer もそうだろう。何故なら 円分体 Q(ζ) の整数環は
(彼 にとって幸運にも) Z[ζ] = Z + Zζ + ... + Zζ^(λ-2)
であるから、円分体論において代数的整数という概念は自明すぎて
殆ど意識の必要がないから。
代数的整数という概念がなければ m ≡ 1 (mod 4) の場合の
2次体 Q(√m) の整数環が意識に上ることはまずないだろう。
したがって、Z[√m ] が整閉でないことに起因する素イデアル分解
の一意性の不成立が大きな困難となる。
86
85
771 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/09(木) 17:33:51
数論及び代数幾何で整域の整閉性が重要である根本理由は付値環が
整閉であるという事実からきていると思われる。
離散付値環については既に述べた(特に
>>542 の証明参照)。
離散とは限らない付値環については後で説明するかもしれない。
クマーは何故こんな所で独演会を開いているのか? それなりの研究環境があれば相応の場所があると思うが。 洒落なのか?
773 :
132人目の素数さん :2006/11/09(木) 18:44:01
本を読むだけでは研究にならんよ
TeXがわからないところを見ると論文を出版したことがないのだろう。
定年間際の教官かも知れんぞ。
80
78
780 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/10(金) 09:36:08
勘違いしてる人がいるかもしれないので言っておくが、 このシリ−ズで扱う予定の題材は約50年前には完成されていたもの。 ほとんどは100年以上前に発見されていた。 この場で俺自身の研究なり独自の視点を発表しようなんて考えは まったくない。 独自性があるとしたらアプローチの仕方、題材の取捨選択など。 わずかだがオリジナルな証明もあるかもしれない(実際、既にある)。 なお、このシリ−ズを書く一番の理由は俺自身の勉強のため。 他の理由もあるが、それらは2次的なもの。
おい、おまいら!
漏れが履修直後ながら、
更にその意義を受講してるをだから、
邪魔するでない!
というわけで、
クマーは「本題へどうぞ」(
>>731 引用)。
77
783 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/10(金) 10:24:44
2次体 Q(√m) の整数環における有理素数 p の素イデアル分解
の様子を調べる前に問題をやや一般化しておく。
f(X)をモニックな有理整数係数の多項式で Q[X] したがって
Z[X] で既約とする。 f(X) の次数を n とする。
f(X) の複素数体での根を θ_0, ..., θ_(n-1) とする。
ここで f(X) の判別式について復習しよう。
根の差積をΔとする。つまり Δ = Π(θ_i - θ_j) である。
ここで積は i < j となる対 (i, j) 全体を動く。
d = Δ^2 は θ_0, ..., θ_(n-1) の対称式だから f(X) の係数の
多項式で表せる。よって d は有理整数である。
このことは、以下のようにしても分かる。
Galois 拡大 Q(θ_0, ..., θ_(n-1))/Q の任意の自己同型 σ
は、θ_0, ..., θ_(n-1) の置換を引き起こす。
よって、σ(d) = d となるから d ∈ Q である。
一方、
>>159 より d は代数的整数である。
>>158 より有理整数環は整閉だから d は有理整数である。
d を f(X) の判別式という。
77
78
77
787 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/10(金) 10:36:43
>>783 の判別式の定義とそれが有理整数であることは f(X) の既約性を
仮定しなくてもそのまま成立つことを注意しておく。
ただし、f(X) が重根をもつ場合は、その根を重複度だけ並べて
考える。この場合、判別式は 0 になる。
788 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/10(金) 12:01:56
さて、θ をf(X) の根の一つ、例えば θ = θ_0 としよう。
Q(θ) は n 次の代数体である。
ここで Z[θ] は整閉であると仮定する(これが重要)。
Q(θ) の素因子(
>>555 )を決定しよう。
有理素数 p を任意にとる。
有理整数環 Z から有限素体 Z/pZ への標準射を φ: Z → Z/pZ とする。
f(X) を mod p で考えて、Z/pZ 係数の多項式 f~(X) が
得られる。つまり f~(X) は f(X) の係数に φ を作用させて得られる
ものである。
f~(X) の判別式も
>>783 >>787 と同様に定義できる。
これが φ(d) であることは(d はf(X)の判別式)、対称式の理論より
判別式がその多項式の係数の多項式となることから分かる。
このことは、対称式の理論を使わないで Galois 理論からも以下の
ようにしてわかる。
789 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/10(金) 12:37:16
>>783 のように Galois 拡大 Q(θ_0, ..., θ_(n-1))/Q を考える。
Q(θ_0, ..., θ_(n-1)) の整数環を S とする。
つまり S は Z の Q(θ_0, ..., θ_(n-1)) における整閉包である。
Cohen-Seidenbergの定理(前スレ1の520)より pZ の上にある
S の素イデアル P が存在する。S/P は Z/pZ の整拡大整域で Z/pZ は
体だから前スレ1の515 より S/P も体である。つまり P は
極大イデアルである。これ等のことは S が Dedekind 整域であること
を使ってもわかるが、我々はまだそこまで行ってない。
S から S/P への標準射を Φ: S → S/P とする。
Φ の Z への制限が φ である。
各 θ_i は代数的整数だから、θ_0, ..., θ_(n-1) の mod P の
剰余類が意味をもち、これ等を (θ_0)~, ..., (θ_(n-1))~ とする。
つまり、Φ(θ_0) = (θ_0)~, ..., Φ(θ_(n-1)) = (θ_(n-1))~
である。
f(X) = (X - θ_0)...(X - θ_(n-1)) の両辺の係数にΦを作用
させると
f~(X) = (X - (θ_0)~)...(X - (θ_(n-1))~) となる。
d = Δ^2 = Π(θ_i - θ_j)^2 にΦを作用させると、
φ(d) = Π((θ_i)~ - (θ_j)~)^2
となる。この右辺は f~(X) の判別式である。
証明終
790 :
132人目の素数さん :2006/11/10(金) 13:18:41
>Cohen-Seidenbergの定理(前スレ1の520)より pZ の上にある >S の素イデアル P が存在する。 何だか知らないが大袈裟だな
791 :
132人目の素数さん :2006/11/10(金) 13:19:48
TeXが出回る前に院を中退
792 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/10(金) 14:01:49
>>790 大袈裟と思うならここで証明してもらうと助かる。
793 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/10(金) 14:55:50
Ωを Z/pZ の代数的閉包とする。
>>788 より p が f(X) の判別式 d の約数であるための必要十分条件は
f~(X) の判別式 φ(d) が 0 であること、即ち f~(X) が Ω において
重根をもつことである。
p が d の約数でないときの Q(θ) の p を割る素因子(
>>555 ) は
>>510 以降の議論で決定している。
ここでは p が d の約数である場合を考える。
とは言っても
>>510 以降の議論と重なる部分も多い。
復習の意味も兼ねて重複を厭わないで述べることにする。
f(X) を mod p で既約多項式に分解して
f(X) ≡ (g_0(X)^(m_1)...(g_(e-1)(X))^(m_(e-1)) (mod p)
とする。ここで 各 g_i(X) はモニックで互いに異なる。
m_1, ..., m_(e-1) は 1 以上の有理整数である。
f(X) は mod p で Ω において重根をもつから m_1, ..., m_(e-1)
の中に 2 以上の値をもつものがある。
g_0(X) を mod p で考えて、そのΩにおける根の1つをω_0とする。
T(X) ∈ Z[X] で T(θ) = 0 なら T(X) = f(X)U(X) となる
U(X) ∈ Z[X] がある。よって T(X) は mod p で g_0(X) で
割り切れる。よって T~(ω_0) = 0 である。
ここで T~(X) は T(X) の係数を mod p の剰余類におきかえたもの。
以上から Z[θ] からΩへの環準同型 Φ_0 で Φ_0 (θ) = ω_0 となる
ものが存在することがわかる。
つまり、V(X) ∈ Z[X] にたいして Φ_0(V(θ)) = V~(ω_0) である。
794 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/10(金) 14:59:59
訂正 >793 >f(X) を mod p で既約多項式に分解して >f(X) ≡ (g_0(X)^(m_1)...(g_(e-1)(X))^(m_(e-1)) (mod p) >とする。ここで 各 g_i(X) はモニックで互いに異なる。 >m_1, ..., m_(e-1) は 1 以上の有理整数である。 >f(X) は mod p で Ω において重根をもつから m_1, ..., m_(e-1) >の中に 2 以上の値をもつものがある。 f(X) を mod p で既約多項式に分解して f(X) ≡ (g_0(X)^(m_0)...(g_(e-1)(X))^(m_(e-1)) (mod p) とする。ここで 各 g_i(X) はモニックで互いに異なる。 m_0, ..., m_(e-1) は 1 以上の有理整数である。 f(X) は mod p で Ω において重根をもつから m_0, ..., m_(e-1) の中に 2 以上の値をもつものがある。
795 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/10(金) 15:15:22
>>794 >f(X) は mod p で Ω において重根をもつから m_0, ..., m_(e-1)
>の中に 2 以上の値をもつものがある。
これは各 g_i(X) が mod p で重根をもたないということを前提と
している。これは有限体が完全体であることによる。
796 :
132人目の素数さん :2006/11/10(金) 22:39:03
772-776,778,790-791は五月蠅えな。 何処かで、誰かの事を基地害扱いしていたのはこやつ等か? だとしたら、天に唾しているんじゃねえか?
798 :
132人目の素数さん :2006/11/11(土) 16:13:02
>797 生憎と俺はKummerではないぜ。 とにかく雑音を書込むのは読む邪魔だから止めてくれ。
雑音がいやなら信者だけのメーリングリストを作るのもよかろう。
>>798 ここは公開の掲示板だから、たまに入る横レスは甘受するしかないぞ。うんこレスが20行
続いたりするわけじゃないんだしな。
74
>>796 >だとしたら、天に唾しているんじゃねえか?
このセリフが限りなくクマーくさいw
俺はどっちの味方でもないけど 天に例えるってすごいなw いわゆるゴッドか
そういじめるな。見物を楽しむのもいいだろ。
805 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/13(月) 19:49:15
>>793 の続き。
Φ_0 の核を求める。
h(X) ∈ Z[X] で Φ_0(h(θ)) = 0 とする。
Φ_0(h(θ)) = h~(ω_0) = 0 だから
h(X) ≡ g_0(X)T(X) (mod p) となる T(X) ∈ Z[X] がある。
よって h(X) = g_0(X)T(X) + pR(X) となる R(X) ∈ Z[X] がある。
よって、h(θ) = g_0(θ)T(θ) + pR(θ) となる。
つまり、h(θ) は Z[θ] において p と g_0(θ) で生成されるイデアル
(p, g_0(θ)) に含まれる。
つまり Ker(Φ_0) ⊂ (p, g_0(θ)) である。
逆の包含関係は明らかだから Ker(Φ_0) = (p, g_0(θ)) である。
(p, g_0(θ)) = P_0 とおく。
P_0 は Z[θ] の極大イデアルである。
Z[θ]/P_0 は Z/pZ の m_0 次の拡大体である。
つまり、p^(m_0) 個の元からなる有限体である。
806 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/13(月) 19:50:11
pZ[θ] の素イデアル分解を調べるには、剰余環 Z[θ]/pZ[θ] を 調べるのがよい。 まず Z[θ] = Z[X]/(f(X)) に注意する(等号は同型を表す)。 pZ[θ] = (pZ[X] + (f(X)))/(f(X)) だから Z[θ]/pZ[θ] = Z[X]/(p, f(X)) 一方、Z[X]/(p, f(X)) = (Z/pZ)[X]/(f~(X)) である(等号は同型を表す)。 よって Z[θ]/pZ[θ] = (Z/pZ)[X]/(f~(X)) である(等号は同型を表す)。 一方、中国式剰余定理(前スレ1の341)より (Z/pZ)[X]/(f~(X)) = Π(Z/pZ)[X]/(g_i~(X))^(m_i) この右辺の各因子 (Z/pZ)[X]/(g_i~(X))^(m_i) は (Z/pZ)[X]/(g_i~(X)) を剰余体とするArtin局所環である。
807 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/13(月) 19:52:04
>>512 をやや拡張して
G(θ) = (g_0(θ)^(m_0)...(g_(e-1)(θ))^(m_(e-1)) とおき、
Ψ_0(θ) = G(θ)/g_0(θ) とおく。
つまり
Ψ_0(θ) = (g_0(θ)^(m_0 -1)...(g_(e-1)(θ))^(m_(e-1)) である。
f(X) ≡ (g_0(X)^(m_0)...(g_(e-1)(X))^(m_(e-1)) (mod pZ[X])
だから
f(X) ≡ Ψ_0(X)g_0(X) (mod pZ[X])
f(θ) = 0 だから
Ψ_0(θ)g_0(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ])
一方、
>>806 より
Z[θ]/pZ[θ] = (Z/pZ)[X]/(f~(X)) だから(等号は同型を表す)。
h(X) ∈ Z[X] のとき
h(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ]) と
h(X) が mod pZ[X] で f(X) で割り切れることは同値である。
よって
Ψ_0(θ)h(θ)≡ 0 (mod pZ[θ]) と
Ψ_0(X)h(X) が mod pZ[X] で f(X) で割り切れることは同値である。
これは h(X) が mod pZ[X] で g_0(X) で割り切れることは同値である。
よって h(θ)≡ 0 (mod P_0) と同値である。
これから Ψ_0(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ]) とならないことが分かる。
何故なら 1 ≡ 0 (mod P_0) とはならないから。
808 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/13(月) 19:59:06
命題
(Ψ_0(θ)^k) h(θ)≡ 0 (mod (p^k)Z[θ]) が任意の整数 k ≧ 1 に
ついて成り立つなら、h(θ) = 0 である。
証明
h(θ) ≠ 0 として矛盾を導く。
(Ψ_0(θ)^k) h(θ)≡ 0 (mod (p^k)Z[θ]) より
(Ψ_0(θ)/p)^k ∈ (1/h(θ))Z[θ]
よって
Z[Ψ_0(θ)/p] ⊂ (1/h(θ))Z[θ]
(1/h(θ))Z[θ] は有限生成アーベル群だから
Z[Ψ_0(θ)/p] もそうである。
よって Ψ_0(θ)/p は Z 上整である(前スレ1の505)。
しかし、
>>807 より Ψ_0(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ]) ではないから、
Ψ_0(θ)/p は Z[θ] に含まれない。
これは、Z[θ] が整閉であるという仮定に反する。
証明終
809 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/13(月) 20:03:38
定義
有理整数 k ≧ 1 に対し
(Ψ_0(θ)^k) h(θ)≡ 0 (mod (p^k)Z[θ]) のとき、
h(θ) は Φ_0(
>>793 )で定まる素因子で k 回割れるという。
h(θ) が Φ_0 で定まる素因子で k 回割れ、k+1 回では割れないとき
h(θ) は Φ_0 で定まる素因子できっかり k 回割れるという。
810 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/13(月) 20:06:43
補題
k ≧ 1 を有理整数、
h(X) ∈ Z[X] とし、h(θ) が Φ_0(
>>793 ) で定まる素因子で
k 回割れるとする。
定義より (Ψ_0(θ)^k) h(θ) ≡ 0 (mod p^kZ[θ]) だから、
(Ψ_0(θ)^k) h(θ) = (p^k) R(θ) となる
R(θ) ∈ Z[θ] がある。
h(θ) が Φ_0 で定まる素因子できっかり k 回割れるためには、
R(θ) が Φ_0 で定まる素因子で割れないことが必要十分である。
証明
>>807 より R(θ) が Φ_0 で定まる素因子で割れるためには
Ψ(θ)R(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ]) が必要十分である。
このことから命題の主張は明らかである。
証明終
811 :
132人目の素数さん :2006/11/13(月) 20:10:50
812 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/13(月) 20:27:26
このあたり(
>>788 以降) 、Kummer の因子論(理想数論)を Z[θ] で
行っている。
このあたり、私のアイデア。
しかし、たぶん誰かがやっているだろう。
全然、本題とは関係ないが念のため書いておく: >803 > 天に例えるってすごいなw > いわゆるゴッドか 国語辞典を引いて意味を確認してみな。
>802 > このセリフが限りなくクマーくさいw 802の粘着ぶりはチョー賎臭いな。
いやおれはKummerこそチョー賎くさいと思っている。 俺が他の板でその手の連中とやりあったときの経験がそう言っている。
朝陣でも悪さをせず、才能があって社会、コミュニティーに貢献する者であれば問題なし
天に代りてチョンを討つ
819 :
132人目の素数さん :2006/11/14(火) 11:34:03
>816 > 朝陣でも悪さをせず、才能があって社会、コミュニティーに貢献する者であれば問題なし 現実に、日本の大学で教師をやっている連中はそうじゃないのが多いんだよな。
69
68
67
66
65
64
63
62
61
60
830 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/15(水) 17:40:23
>>810 の続き。
>>805 で (p, g_0(θ)) = P_0 とおいた。
P_0 は Z[θ] の極大イデアルである。
簡単のために P = P_0 とおく。
Z[θ] の P による局所化(前スレ1の65と88)を A とおく。
つまり A = Z[θ]_P である。
この局所環 A で以上の議論をしたほうがいいと気付いた。
補題
Ψ_0(θ) ≡ 0 (mod pA) ではない。
証明
Ψ_0(θ) ≡ 0 (mod pA) と仮定して矛盾を導く。
Ψ_0(θ) = pT(θ)/U(θ) となる。
ここで T(θ) と U(θ) は Z[θ] の元で U(θ) は P に含まれない。
Ψ_0(θ)U(θ) = pT(θ)
よって、Ψ_0(X)U(X) は mod pZ[X] で f(X) で割れる。
特に、g_0(X) の m_0 乗で割れる。
U(θ) は P に含まれないから U(X) は mod pZ[X] で g_0(X) で
割れない。よって、Ψ_0(X) は mod pZ[X] で g_0(X) の m_0 乗で
割れる。これは Ψ_0(X) の定義と矛盾する。
証明終
831 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/15(水) 17:51:18
補題
α ∈ A で
Ψ_0(θ)α≡ 0 (mod pA) と すると、
α ∈ PA である。
証明
α = T(θ)/U(θ) となる。
ここで T(θ), U(θ) は Z[θ] の元で U(θ) は P に含まれない。
Ψ_0(θ)T(θ)/U(θ) = pG(θ)/H(θ) となる。
ここで G(θ), H(θ) は Z[θ] の元で H(θ) は P に含まれない。
よって、
Ψ_0(θ)T(θ)H(θ) = pG(θ)U(θ)
よって、Ψ_0(X)T(X)H(X) が mod pZ[X] で f(X) で割れる(
>>806 )。
よって、T(X)H(X) は mod pZ[X] でg_0(X) で割れる。
仮定より、H(X) は mod pZ[X] でg_0(X) で割れない。
よって、T(X) は mod pZ[X] でg_0(X) で割れる。
つまり、T(θ) は P に含まれる。
よって、α ∈ PA である。
証明終
61
60
59
60
59
58
57
839 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/15(水) 21:25:46
補題 C を環、B をその部分環、c を C の元とする。 M を忠実な B[c]-加群で、B 上有限生成とする。 このとき、 c は B 上整である。 証明 M の B 上の生成元を x_1, ..., x_n とする。 c(x_1) = b_(1,1) x_1 + b_(1,2) x_2 + ... + b_(1,n) x_n . . . c(x_n) = b_(n,1) x_1 + b_(n,2) x_2 + ... + b_(n,n) x_n となる B の元 b_(i, j), 1≦i, j≦n がある。 前スレ1の236より det(cE - T)M = 0 となる。 ここで T は b_(i, j) を (i, j) 成分とする行列。 M は忠実な B[c]-加群だから det(cE - T) = 0 である。 ここで E は n 次の単位行列。 この行列式を展開すると、命題の主張が得られる。 証明終
840 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/15(水) 21:47:26
命題
A = Z[θ]_P は離散付値環である。
証明
f(X) ≡ g_0(X)Ψ_0(X) (mod pZ[X])
だから g_0(θ)Ψ_0(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ])
よって g_0(θ)(Ψ_0(θ)/p) ∈ A
他方、p(Ψ_0(θ)/p) = Ψ_0(θ) だから p(Ψ_0(θ)/p) ∈ A
よって P = (p, g_0(θ)) だから P(Ψ_0(θ)/p) ⊂ A
よって PA(Ψ_0(θ)/p) ⊂ A
PA(Ψ_0(θ)/p) ⊂ PA と仮定すると、
PA(Ψ_0(θ)/p)^k ⊂ PA が任意の有理整数 k ≧ 1 に対し成り立つ。
M = PA
c = Ψ_0(θ)/p
とおけば、
>>839 が適用できて Ψ_0(θ)/p は A 上整。
A は整閉だから(前スレ1の584)、Ψ_0(θ)/p ∈ A となる。
これは
>>830 に反する。
よって PA(Ψ_0(θ)/p) = A となる。
よって PA = (p/Ψ_0(θ))A となる。
>>534 より A は離散付値環である。
証明終
58
57
56
55
54
53
52
848 :
132人目の素数さん :2006/11/16(木) 12:10:49
このやろう、数字だけで残り埋める気か。
梅梅 梅はうめー
850 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/16(木) 12:48:51
>>839 は前スレ2の551を拡張したもの。
証明も殆ど同じ。
>>840 は
>>839 の代わりに前スレ2の551がそのまま使える。
>>839 を書いた時点では前スレ2の551のことを忘れていた。
今後もこのようなことはあるだろう。
851 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/16(木) 13:05:00
>>831 は PA ∈ Ass(A/pA) であることを示している。
よって前スレ2の589(及び590)からも A は離散付値環であること
がわかる。しかし、前スレ2の589の証明も本質的には
>>840 の
それと同じ。
Kummerの因子論と同様の方法で A が離散付値環であることを
証明したかったんだが、中途半端に終った。
しかし、
>>809 の定義は具体的に付値を計算することを可能
にするものであり、Kummerの方法の有効性を示している。
49
48
>848 > このやろう、数字だけで残り埋める気か。 何か知らんが1分ごとにやっているようだな。 余程暇なんだろうから放っておけ。
48
47
46
45
44
860 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/17(金) 15:47:23
命題
>>840 より A = Z[θ]_P は離散付値環である。
これに付随する正規離散付値(
>>547 ,
>>550 )をνとする。
k ≧ 1 を有理整数とする。
h(θ) ∈ Z[θ] がΦ_0(
>>793 )で定まる素因子できっかり k 回
割れる(
>>809 )なら ν(h(θ)) = k となる。
証明
h(θ) ∈ Z[θ] がΦ_0で定まる素因子できっかり k 回割れるとする。
定義より (Ψ_0(θ)^k) h(θ) ≡ 0 (mod p^kZ[θ]) だから、
(Ψ_0(θ)^k) h(θ) = (p^k) R(θ) となる
R(θ) ∈ Z[θ] がある。
>>810 より R(θ) は P に含まれない。
よって ν(R(θ)) = 0 である。
一方、
>>840 の証明より PA = (p/Ψ_0(θ))A だから
ν(p/Ψ_0(θ)) = 1 である。
h(θ) = (p/Ψ_0(θ))^k R(θ) だから
ν(h(θ)) = k である。
証明終
44
43
863 :
132人目の素数さん :2006/11/18(土) 01:04:23
Introduction to cyclotomic fields. kore iine!!!!!
43
42
41
40
39
869 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/18(土) 11:03:26
>>863 それは岩沢理論に重点をおいてるね。
ちょっとペラペラ眺めただけどちょっとがっかりした。
円分体の類数計算についてあまり書いてないんで。
これについて詳しく書いてある本誰かしりませんか?
37
871 :
132人目の素数さん :2006/11/18(土) 12:40:44
>>869 上智大学数学講究録に
木村達雄、円分体の代数的類数公式
など沢山ある。
Lang, Cyclotomic Fields I & II, Springer
Ch. 3 解析的類数公式
なども。
872 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/18(土) 12:53:40
>>871 有難うございます。
>上智大学数学講究録に
このサイトを見ましたが上記の他にも面白そうなのがありますね。
873 :
132人目の素数さん :2006/11/18(土) 12:54:38
additive constantって何?
874 :
132人目の素数さん :2006/11/18(土) 13:00:10
875 :
132人目の素数さん :2006/11/18(土) 13:09:23
>>874 掲示板では意味の取り違えはよくあるんで、その言い方は
ちょっと
876 :
132人目の素数さん :2006/11/18(土) 13:23:11
877 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/18(土) 14:12:18
命題
>>860 の逆も成り立つ。
つまり ν(h(θ)) = k ≧ 1 なら h(θ) はΦ_0で定まる素因子で
きっかり k 回割れる。
証明
h(θ) ∈ P だから
>>807 の最後で述べたことより
Ψ_0(θ)h(θ)≡ 0 (mod pZ[θ]) となる。
>>808 より ある有理整数 s があり、h(θ) はΦ_0で定まる素因子で
きっかり s 回割れる。
よって、
>>860 よりν(h(θ)) = s である。
よって k = s となる。
証明終
878 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/18(土) 14:37:19
>>860 ,
>>877 より、任意に与えられた h(θ) ∈ Z[θ] の P に関する
付値が計算できる。
k = 1, 2, 3,... と順に変化させて
(Ψ_0(θ)^k) h(θ) ≡ 0 (mod (p^k)Z[θ]) となるかを判定していけ
ばいい。
この判定は左辺を、関係式 f(θ) = 0 を利用して θ の n-1 次以下の
多項式に変形してから、その係数が p^k で割れるかをみればいい。
(Ψ_0(θ)^k) h(θ) を θ の n-1 次以下多項式に変形するのは
k-1回目の結果が使える。
879 :
132人目の素数さん :2006/11/18(土) 14:55:47
>>878 k = 1, 2, 3,... として Ψ_0(θ)^k を前もって θ の
n-1 次以下の多項式に変形しておくといいだろうね。
33
32
31
30
29
885 :
132人目の素数さん :2006/11/18(土) 16:04:02
p の P に関する付値(
>>860 ) ν(p) を決定する。
G(X) = (g_0(X)^(m_0)...(g_(e-1)(X))^(m_(e-1)) とおく。
f(X) ≡ G(X) (mod pZ[X])
だから(
>>794 )、
G(θ) ≡ 0 (mod pZ[θ]) である。
よって、
G(θ)^(m_0-1) ≡ 0 (mod (p^(m_0-1))Z[θ]) である。
Ψ_0(X) = (g_0(X)^(m_0 -1)...(g_(e-1)(X))^(m_(e-1)) で
あったから(
>>807 )
(Ψ_0(X)^(m_0) は G(X)^(m_0-1) で割れる
(両者の各g_i(X)のべき指数を考えよ)。
よって、
Ψ_0(θ)^(m_0) ≡ 0 (mod (p^(m_0-1))Z[θ]) である。
両辺に p を掛けて、
Ψ_0(θ)^(m_0) p ≡ 0 (mod (p^(m_0))Z[θ]) である。
よって、ν(p) ≧ m_0 となる。
続く。
29
28
27
28
27
26
25
893 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 16:46:54
ν(p) = m_0 を示すために、ここでちょっとわき道に寄る。
Z[θ] の任意の 0 でない素イデアル M を考える。
M の 0 でない元 α の Q 上の最小多項式 を
h(X) = X^r + a_1 X^(r-1) + ... + a_r とする。
α は代数的整数だから各 a_i は有理整数である(
>>160 )。
α^r + a_1 α^(r-1) + ... + a_r = 0
だから
a_r ∈ M である。α≠ 0 だから a_r ≠ 0 である。
よって M ∩ Z は Z の 0 でない素イデアルである。
よって M ∩ Z = pZ となる素数 p がある。
>>806 より
Z[θ]/pZ[θ] = (Z/pZ)[X]/(f~(X)) である(等号は同型を表す)。
(注意)
>>806 以降の議論のほとんどは p が f(X) の判別式の約数という
仮定がなくても成り立つことは明らかだろう。
M/pZ[θ] は Z[θ]/pZ[θ] の 0 でない素イデアルである。
よって M/pZ[θ] は (Z/pZ)[X]/(f~(X)) の 0 でない素イデアル
に対応する。よってある (g_i~(X)) に対応する。
よって M = (p, g_i(θ))Z[θ] である(
>>805 )。
よって Z[θ]_M は離散付値環である(
>>840 )。
M は Z[θ] の任意の 0 でない素イデアルだったから
>>605 より、Z[θ] の 0 でないイデアルは素イデアルの冪積として
一意に分解される。
894 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 17:16:27
pZ[θ] を含む素イデアルは P_i = (p, g_i(θ)) であるから pZ[θ] = Π(P_i)^(k_i) となる。ここで各 k_i は1以上の有理整数。 よって中国式剰余定理(前スレ1の341)より Z[θ]/pZ[θ] = ΠZ[θ]/(P_i)^(k_i) となる。 ここで次に述べる補題より Z[θ]/(P_i)^(k_i) = Z[θ]_(P_i)/(P_i)^(k_i)Z[θ]_(P_i) となる (等号は同型を表す)。
895 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 17:49:28
補題 A を環 m をその極大イデアル、n ≧ 1 を有理整数とすると、 A/m^n は A_m/(m^n)A_m に標準的に同型である。 証明 標準射 A → A_m と標準射 A_m → A_m/(m^n)A_m の合成 φ: A → A_m/(m^n)A_m を考える。 A_m の任意の元は a/s と書ける。ここで a ∈ A で s ∈ A - m である。 s の mod m^n の剰余類は局所環 A/m^n の可逆元だから a ≡ sb (mod m^n) となる b ∈ A がある。 a/s - b/1 = (a - sb)/s ∈ (m^n)A_m よって a/s ≡ b/1 (mod (m^n)A_m) よってφ: A → A_m/(m^n)A_m は全射である。 次にφの核を求める。 a ∈ A がこの射の核に含まれるとすると、 a/1 ∈ (m^n)A_m だから s ∈ A - m があり、 sa ∈ m^n となる。 つまり sa ≡ 0 (mod m^n) である。 s の mod m^n の剰余類は局所環 A/m^n の可逆元だから a ≡ 0 (mod m^n) となる。 よって φ の核は m^n である。 証明終
896 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 18:28:27
>>894 のつづき。
Z[θ]/(P_i)^(k_i) の元の個数を求めたい。
>>894 より、これは
Z[θ]_(P_i)/(P_i)^(k_i)Z[θ]_(P_i) の元の個数と同じである。
ここで補題を用意する。
補題
B を単項イデアル整域とし、p をその素元とする。
i ≧ 1 を任意の整数とする。
Bp^i/Bp^(i+1) は B-加群として B/Bp と同型である。
証明
B から Bp^i への写像を b ∈ B に b(p^i) を対応させることにより
定義する。この写像を標準射 Bp^i → Bp^(i+1) と合成させて
B-加群としての射 B → Bp^i/Bp^(i+1) が得られる。
この核は Bp である。
証明終
897 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 18:33:49
>>896 の補題は、証明から分かるように B が単なる環で p がその
非零因子なら成り立つ。
加群の単射自己準同型についての定理に一般化できる。
899 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 19:11:14
訂正
>>896 >この写像を標準射 Bp^i → Bp^(i+1) と合成させて
この写像を標準射 Bp^i → Bp^i/Bp^(i+1) と合成させて
900 :
132人目の素数さん :2006/11/19(日) 20:15:33
Kummerちゃん?
くまくまナハハ
23
22
904 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 20:31:17
B = Z[θ]_(P_i) とし m = (P_i)Z[θ]_(P_i)、k = k_i とおく。
B/m^k の元の個数を求めよう。
簡単のために、有限集合 S の濃度を |S| で表す。
B/m は Z[θ]/P_i に同型であり、
Z[θ]/P_i = Z[θ]/(p, g_i(θ)) は (Z/pZ)[X]/(g_i~(X)) に同型である。
ここで g_i~(X) は g_i(X) の係数を mod p で還元した多項式。
g_i(X) の次数を f_i とすると (Z/pZ)[X]/(g_i~(X)) は有限体 Z/pZ の
次数 f_i の拡大体だから p^(f_i) 個の元からなる。
よって、|B/m| = |(Z/pZ)[X]/(g_i~(X))| = p^(f_i) である。
B は離散付値環である(
>>840 )から
m^i/m^(i+1) は B/m と B-加群として同型である(
>>896 )。
よって |m^i/m^(i+1)| = p^(f_i) である。
B のイデアルの列 B ⊃ m ⊃ ... ⊃ m^k より、
|B/m^k| = (p^(f_i))^k
よって
>>894 より
|Z[θ]/pZ[θ]| = Π|Z[θ]/(P_i)^(k_i)| = p^(Σ(k_i)(f_i))
この左辺は p^n だから
n = Σ(k_i)(f_i) となる。
22
23
22
21
20
19
>>king 死ね
17
16
15
14
13
917 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 20:47:48
他方、
>>806 より
Z[θ]/pZ[θ] = (Z/pZ)[X]/(f~(X)) = Π(Z/pZ)[X]/(g_i~(X))^(m_i)
(等号は同型を表す)。
(Z/pZ)[X] は単項イデアル整域だから
>>896 の補題が使えて
>>904 と同様にして |(Z/pZ)[X]/(g_i~(X))^(m_i)| = (p^(f_i))^(m_i)
である。
よって、
|Z[θ]/pZ[θ]| = Π|(Z/pZ)[X]/(g_i~(X))^(m_i)| = p^(Σ(m_i)(f_i))
この左辺は p^n だから
n = Σ(m_i)(f_i) となる。
>>904 より
n = Σ(k_i)(f_i) だから、
Σ(m_i)(f_i) = Σ(k_i)(f_i) である。
>>885 より、ν_i(p) ≧ m_i であるが、
ν_i(p) = k_i であるから k_i ≧ m_i となる。
よって、上記の等式より k_i = m_i である。
つまり、ν_i(p) = m_i である。
13
12
11
10
11
10
9
8
926 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 21:06:45
>>917 より任意の有理素数 p の Z[θ] における素因子分解、
または同じことだが素イデアル分解が決定されたことになる。
pZ[θ] = Π(P_i)^(m_i) を素イデアル分解とすると、
m_i ≧ 2 となる i があるのは p が f(X) の判別式を割るときかつ
そのときのみである(
>>793 )。
このような p を Z[θ] において分岐するという。
927 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/19(日) 21:50:40
2次体 Q(√m) の話に戻る。
>>768 より Q(√m) の整数環 R は Z[ω] = Z + Zω の形を
している。
ここで m ≡ 1 (mod 4) なら ω = (1 + √m)/2 であり、
m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら ω = √m である。
Q(√m)/Q は 2次のGalois拡大であり、そのGalois群は位数2の巡回群である。
その生成元をσとする。σ(√m) = -√m である。
一般に Q(√m) の元αに対して σ(α) をαの共役と呼ぶ。
αの共役をα' と書くことにする。
元αのノルム N(α)を N(α) = αα' で定義する。
元αのトレース Tr(α)を Tr(α) = α + α' で定義する。
αが整数なら N(α) と Tr(α) は有理整数である。
m ≡ 1 (mod 4) なら
N(ω) = ((1 + √m)/2)((1 - √m)/2) = (1 - m)/4
Tr(ω) = (1 + √m)/2 + (1 - √m)/2 = 1
よって
ω の Q 上のモニックな最小多項式 f(X) は
(X - ω)(X - ω') = X^2 - Tr(ω)X + N(ω) = X^2 - X + (1 - m)/4
この判別式 D は D = (ω - ω')^2 = m
m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら、
ω = √m の Q 上のモニックな最小多項式 f(X) は
(X - ω)(X - ω') = X^2 - m
この判別式 D は D = (ω - ω')^2 = 4m
9
8
7
6
5
933 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/20(月) 00:01:34
>>917 >この左辺は p^n だから
>n = Σ(m_i)(f_i) となる。
これは
f(X) ≡ (g_0(X)^(m_0)...(g_(e-1)(X))^(m_(e-1)) (mod p)
の両辺の次数を比較すればすぐ出る。
3
2
1
0
938 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/11/20(月) 06:41:52
939 :
132人目の素数さん :2006/11/20(月) 09:14:18
kingは神
940 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/20(月) 09:50:59
>>898 >加群の単射自己準同型についての定理に一般化できる。
そうですね。
A を環、M を A-加群、f を A の元で M-正則(前スレ1の179)とする。
つまり、f の引き起こす A-加群の自己準同型射 M → M が単射とする。
i ≧ 1 を任意の整数とする。
このとき M/fM と (f^i)M/(f^(i+1))M は A-同型になる。
証明も
>>896 と同じ。
この補題は M-正則列(前スレ2の941)の理論で使われる。
M ⊃ fM ⊃ ... ⊃ (f^i)M ⊃ (f^(i+1))M ⊃ ...
は M のフィルターを与える。
このあたりを
>>143 以降で述べるつもりだったが、中断した。
fはAの元の掛け算作用と限らず一般のA加群の単射自己準同型で M/ImfとImf^n/Imf^n+1の同型がいえる。 余計な突っ込み、お邪魔しました。
942 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/20(月) 11:47:01
>fはAの元の掛け算作用と限らず一般のA加群の単射自己準同型で 実質的には同じことなんですけどね。 A を環として、A-加群 M の自己準同型環 Hom(M, M) を R とする。 f を R の元で単射とする。 B = Z[f] を f と R の単位元で生成される R の部分環とする。 M は自然に B-加群となる。 このとき f は M を B-加群とみて M-正則となる。 >余計な突っ込み、お邪魔しました。 とんでもないです。 しかし、この話題でこれ以上はご勘弁をw
おっしゃるとおりです。お邪魔しました。
-3
0.02
すげえ粘着ぶりw 俺も大体の経緯は知ってるけど、ちょっと異常でコワスwww こういうのがストーカーになったりするんだろうな。。。
500KB-471KB=29KB
-5
>946 > 俺も大体の経緯は知ってるけど だったら何とか出来ないか? (といってもストーカーみたいな奴じゃ無理か・・・)
まあ、なくても誰も困らないスレだからどうでもいいけど。
-8
952 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/21(火) 09:46:05
>>927 の続き。
p を有理素数として、p の Z[ω] における素因子分解を考える。
ω の Q 上のモニックな最小多項式を f(X) とする。
>>926 より f(X) を mod p で既約多項式に分解すれば p の素因子分解が
得られる。
このため、補題を用意する。
953 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/21(火) 09:48:16
補題 K を標数が2でない体とする。 f(X) = X^2 + bX + c を K の元を係数にもつ2次の多項式とする。 この判別式を D とする つまり D = b^2 - 4c である。 1) D = 0 のとき f(X) は K において重根をもつ。 2) D ≠ 0 かつ方程式 X^2 = D が K において根をもつとき、 f(X) は K において異なる2根をもつ。 3) D ≠ 0 かつ方程式 X^2 = D が K において根をもたないとき、 f(X) も K において根をもたない。 証明 中学校で習った2次方程式の根の公式より明らか。
954 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/21(火) 09:49:40
補題 K = Z/2Z = {0, 1} を2元体とする。 f(X) = X^2 + bX + c を K の元を係数にもつ2次の多項式とする。 この判別式を D とする つまり D = b^2 - 4c = b^2 = b である。 1) D = 0 のとき f(X) は K において重根をもつ。 2) D ≠ 0 かつ c = 0 のとき f(X) は K において異なる2根をもつ。 2) D ≠ 0 かつ c ≠ 0 のとき f(X) は K において根をもたない。 証明 自明である。
-8
>950 > まあ、なくても誰も困らないスレだからどうでもいいけど。 それを言うなら、2ちゃんねる自体「なくても誰も困らない」。 それに前にも書いたが、雑音が入ると読み難いんだな。
957 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/21(火) 11:46:18
>>952 の続き。
ω の Q 上のモニックな最小多項式を f(X) とする。
f(X) の判別式を D とする。
p を奇素数とする。
>>926 と
>>953 より
1) p が D の約数 のとき pZ[ω] = P^2 となる。
ここで P は Z[ω] の素イデアルで |Z[ω]/P| = p である。
2) D が p と素で mod p の平方剰余のとき
pZ[ω] = (P_0)(P_1) となる。
ここで P_0, P_1 は Z[ω] の相異なる素イデアルで
|Z[ω]/P_0| = |Z[ω]/P_0| = p である。
3) D が p と素で mod p の平方非剰余のとき
pZ[ω] は素イデアルである。
958 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/21(火) 11:51:00
次に p = 2 の場合を考える。
>>926 と
>>927 と
>>954 より
1) 2 が D の約数 のとき 2Z[ω] = P^2 となる。
ここで P は Z[ω] の素イデアルで |Z[ω]/P| = 2 である。
2) D が 2 と素(従って m ≡ 1 (mod 4))で
(1 - m)/4 ≡ 0 (mod 2)
つまり、m ≡ 1 (mod 8) のとき
2Z[ω] = (P_0)(P_1) となる。
ここで P_0, P_1 は Z[ω] の相異なる素イデアルで
|Z[ω]/P_0| = |Z[ω]/P_0| = 2 である。
3) D が 2 と素(従って m ≡ 1 (mod 4))で (1 - m)/4 ≡ 1 (mod 2)
つまり、m ≡ 5 (mod 8) のとき
2Z[ω] は素イデアルである。
959 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/21(火) 12:58:02
>>956 >それを言うなら、2ちゃんねる自体「なくても誰も困らない」。
世間知らずだな。2ちゃんなくなったら自殺者でるぞw
961 :
132人目の素数さん :2006/11/21(火) 17:25:26
962 :
132人目の素数さん :2006/11/21(火) 18:07:36
横レスだが、俺は結構このスレが好きだな。 実は俺も学部生でこの領域に興味がある。 特に、岩澤理論やらElliptic Curveやら、そしてその先にある Birch and Swinnerton-Dyerの予想やら。 とりあえず、Ireland & Rosenの数論を読んで基礎を勉強している。 いずれ、Kummerのここでやろうとしてることがわかればいい。
>960 > 2ちゃんなくなったら自殺 する奴等って一体如何いう神経構造なんだ?
965 :
132人目の素数さん :2006/11/21(火) 21:13:57
>963
>
>>962 > 今のうちにやめといたほうがいいよ
専攻したら問題だろうが、趣味でやる分には問題なかろう。
966 :
132人目の素数さん :2006/11/21(火) 22:18:30
Birch&Sminnerton-Dyler Conjecture にチャレンジしようと 試みているのなら、趣味の域で止めといたほうが無難だよ。 (Ireland&Rosen をお茶の子サイサイにあげちゃう位の 力量があれば話は別だが)
967 :
β ◆aelgVCJ1hU :2006/11/21(火) 22:29:58
>>960 2chが無くなったら自殺するようなヤツラなら、
2chが健在の内に、そのうちに自殺するよ。
Birch&Sminnerton-Dyler Conjecture なるほど。確かに止めといたほうが無難そうだなw
970 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/11/22(水) 08:24:34
talk:
>>969 お前に何が分かるというのか?
971 :
962 :2006/11/22(水) 10:53:23
>>963 >>965 いや、この領域が一番興味あるので多分この領域について卒論を書くと思うよ。
>>966 Ireland&Rosenはお茶の子とは言わなくても、難しいのは確かだけど理解する分には
問題がないです。章の後の問題も全部解くようにしてます。
Ireland&Rosenを半年で問題を終えた後に、
同じGTM出版のProblems in Algebraic Number Theoryを買って代数的数論を
勉強するつもり。ついでに、代数幾何もね。
そしたらこの分野の論文を読むくらいの力量は着いてくるのかと想定しているが。
972 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/22(水) 12:50:53
>>957 の 1) 2) 3) の各素イデアルの生成元を求めよう。
>>805 がその方法となる。
>>805 は 判別式が p で割れないときも
そのまま適用できる。
まず 1) の場合を考える。
つまり p が f(X) の判別式 D の約数 のときを調べる。
>>927 より m ≡ 1 (mod 4) のとき ω = (1 + √m)/2 であり、
f(X) = X^2 - X + (1 - m)/4 である。
この判別式 D は m である。
仮定より m ≡ 0 (mod p) だから、
2次合同方程式 X^2 - X + (1 - m)/4 ≡ 0 (mod p) の根の公式より
X^2 - X + (1 - m)/4 ≡ (X - k)^2 (mod p) となる。
ここで k は 2k ≡ 1 (mod p) を満たす整数である。
m ≡ 1 (mod 4) だから k として (1 - m)/2 が取れる。
>>805 より P = (p, ω - k) である。
ω - k = (1 + √m)/2 - (1 - m)/2 = (m + √m)/2
よって、P = (p, (m + √m)/2) である。
P はイデアルだから (m + √m)/2 + (m + √m)/2 = m + √m を含む。
m は p で割れるから m ∈ P である。
よって、√m ∈ P である。よって (p, √m) ⊂ P となる。
一方、ω√m = (m + √m)/2 = ω - k となる。
よって、ω - k ∈ (p, √m) とる。
よって P = (p, √m) である。
973 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/22(水) 13:27:11
訂正
>>805 >Z[θ]/P_0 は Z/pZ の m_0 次の拡大体である。
>つまり、p^(m_0) 個の元からなる有限体である。
Z[θ]/P_0 は Z/pZ の f_0 次の拡大体である。
つまり、p^(f_0) 個の元からなる有限体である。
ここで、 f_0 は g_0(X) の次数。
974 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/22(水) 13:58:33
m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら ω = √m である。
f(X) = X^2 - m である。
この判別式 D は 4m である。
p は奇素数で D を割るから m を割る。
よって f(X) ≡ X^2 (mod p) となる
>>805 より P = (p, ω) = (p, √m) である。
975 :
962 :2006/11/22(水) 15:31:13
だれかこのスレの前のdat落ちしてる二つのスレを保存した人いる? Kummerさん記録に残してるのかな? 最初から読みたいので。
>にくちゃんねるも今年で閉鎖 ソース教えてくれ
979 :
132人目の素数さん :2006/11/22(水) 16:08:48
このスレもそろそろ終わりなので後で見たい人は保存して おいたほうがいいよ。
thx
このスレで終わりにして欲しい
次スレに期待
983 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/23(木) 07:20:03
>>974 の続きを書いたとしてもこのスレじゃちょっと終わりそうもない。
イデアルの自由アーベル群としての基底の話もするつもりなので。
ということで雑談。
類体論における高木の位置は日本ではもちろん高いけど外国、特に米国
ではそうでもないみたいだね。Artin の方が高いようだ。
そもそも、類体論において高木が決定的なブレークスルーを行ったという
認識があまりない。さすがにHasseは認識しているが。
誰だったか名前は忘れたが高木はWeberの予想を証明したと書いていた。
つまり高木の結果はWeberにより予想されていたと。
それが本当だとすると高木は問題解決者ということになる。
Weberは確かに一般イデアル類群を考えていたが
これは虚数乗法との関連で見出されたもの。
高木は、彼の結果は意外だったと書いている。
とても本当のこととは思えなかったので、どこかに間違いがあるはず
だと一生懸命探したが見つからなかったと。
984 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/11/23(木) 09:34:26
talk:
>>982 お前に何が分かるというのか?
985 :
132人目の素数さん :2006/11/23(木) 11:49:12
所でクムメルさんってどう云う立場の人なの? 本ばかりでなく論文まで読んでるなんて。 論文は大学関係者か、それに繋がりのある人じゃないと手に入らないでしょ。 AMSに入っているとか。 学会には出席したことあるの? 発表はしなくても聞くだけでも。 もっとも最近の学会発表はトンデモが結構多いけど。
二百六十九日。
987 :
962 :2006/11/23(木) 19:01:10
>>985 こいつは数学に関する知識はあるけど、Latexとか基本的なtypesettingとか
知らないから、多分年を取ったどっかの大学の先生か、趣味で数学をやってる
人かなんかでしょ。
別に大学関係者じゃなくても論文は読めるっしょ。ArXiveとかあるんだから。
AMSなんて大げさだな。
988 :
132人目の素数さん :2006/11/23(木) 19:56:16
命題 M を x_1, ..., x_n を基底とする自由アーベル群とする。 N を M の部分群で M/N が有限群となるものとする。 このとき、N は n 次の自由アーベル群で y_1 = a_(1, 1) x_1 y_2 = a_(2, 1) x_1 + a_(2, 2) x_2 . . y_i = a_(i, 1) x_1 + a_(i, 2) x_2 + ... + a_(i, i) x_i . . y_n = a_(n, 1) x_1 + a_(n, 2) x_2 + ................ + a_(n, n) x_n の形の基底を持つ。 ここで a_(1, 1)a_(2, 2)...a_(n, n) ≠ 0 である。 証明は後述。
989 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/23(木) 20:09:55
>>988 の証明
M/N の位数を g とする。
n に関する帰納法を使う。
n = 1 のときは命題の主張は明らか。
よって n > 1 とする。
M から有理整数環の加法群 Z へのアーベル群としての射 φ を
φ(b_1 x_1 + b_2 x_2 + ... + b_n x_n) = b_n で定義する。
g x_n ∈ N だから g ∈ φ(N) である。
よって φ(N) = Za となる a > 0 がある。
この a を a_(n, n) とおく。
φ(y_n) = a_(n, n) となる y_n がある。
y_n は
y_n = a_(n, 1) x_1 + a_(n, 2) x_2 + ... + a_(n, n) x_n との形に書ける。
z を N の任意の元とする。
φ(z) = a_(n, n)q と書ける。
φ(z - q(y_n)) = 0 だから
z - q(y_n) ∈ Z(x_1) + ... + Z(x_(n-1)) ∩ N である。
よって
N = Z(x_1) + ... + Z(x_(n-1)) ∩ N + Z(y_n)
となる。
ここで
L = Z(x_1) + ... + Z(x_(n-1)) とおくと、
L/(L ∩ N) は (L + N)/N と同型で (L + N)/N は M/N の部分群だから
有限群である。
よって、L と L ∩ N に対して帰納法の仮定を適用すればよい。
証明終
990 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/23(木) 20:52:29
>>989 の補足。
N = Z(x_1) + ... + Z(x_(n-1)) ∩ N + Z(y_n)
が Z(x_1) + ... + Z(x_(n-1)) ∩ N と Z(y_n) の直和であることは
Z(x_1) + ... + Z(x_(n-1)) ∩ Z(y_n) = 0 から分かる。
したがって帰納法の仮定より y_1, ..., y_ n は Z 上 一次独立となる。
991 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/23(木) 21:00:36
命題
>>988 において M/N の位数は a_(1, 1)a_(2, 2)...a_(n, n) である。
証明
M の任意の元 w = c_1 x_1 + c_2 x_2 + ... + c_n x_n をとる。
c_n = a_(n, n)q_n + r_n, 0 ≦ r_n < a_(n, n) とすると。
w - q_n(y_n) = d_1 x_1 + d_2 x_2 + ... + d_(n-1) x_(n-1) + r_n x_n
となる。
これを繰り返して
w - q_1 y_1 - q_2 y_2 - ... - q_n y_n
= r_1 x_1 + r_2 x_2 + ... + r_n x_n
ここで 0 ≦ r_i < a_(i, i) である。
r_1 x_1 + r_2 x_2 + ... + r_n x_n ∈ N なら
r_1 = r_2 = ... = r_n = 0 となることは y_1, ..., y_n の作り方から分かる。
よって M/N の代表元として r_1 x_1 + r_2 x_2 + ... + r_n x_n の形の元が
とれる。
証明終
1000ならking氏ね
993 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/23(木) 21:56:11
>>988 の 訂正
>ここで a_(1, 1)a_(2, 2)...a_(n, n) ≠ 0 である。
ここで 各 a_(i, i) > 0 である。
1000ならking氏ね
クンマー拡大!
996 :
Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/11/23(木) 21:57:54
>>988 の a_(1, 1), ..., a_(n, n) は x_1, ..., x_n と N により
一意に決まる。
例えば a_(n, n) は
b_1 x_1 + b_2 x_2 + ... + b_n x_n ∈ N となる最小の
有理整数 b_n > 0 である。
証明は読者に任す。
998 :
KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2006/11/23(木) 21:59:12
998
何かと思ったらkingか。 あぼーんしてたから 一瞬わけわからんかったw
1001 :
1001 :
Over 1000 Thread このスレッドは1000を超えました。 もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。