劒大刀(つるぎたち)いよよ研ぐべし古(いにしへ)ゆ清(さや)けく負ひて來にしその名ぞ
渡る日の影に競ひて尋ねてな清きその道またも遇はむ爲
大伴家持
《剣大刀いよよ磨ぐべし》と云うと同時に、世間虚仮を思い、出家遁世を思うところ、
政治の世界、権謀術数の世界のいやらしさへの嫌悪が、一貫して家持の心の奥に
潜んでいて、彼に公の歌晴の歌を作る一方で、私の歌褻の歌を作らせる。
それは家持の心の弱さとも云えようが、むしろやさしさ、柔軟さというべきで、
それでこそ家持は詩人でもあるのだ。 山本健吉著『大伴家持』
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