2つの文字の置換(j,k)
σ(j)=k, σ(k)=j
を互換という。互換に対しては、(j,k)^(-1)=(j,k) が成立する.
〔補題〕
n個の文字の任意の置換σは、(n-1)個以下の互換の"積"として表わされる.
(略証) nに関する帰納法による.
まづ、n=1,2 のときは明らか. (恒等置換は0個の互換の"積"と考える.)
n-1個以下の文字の置換については成立すると仮定し、n文字の置換についても成立することを証明しよう。
σ(n)=n ならばσは(n-1)文字の置換と考えられるから、帰納法の仮定により(n-2)個以下の互換の"積"として表わされる。
σ(n)≠n のとき τ=(n,σ(n))・σ とおけば τ(n)=n. よってまた帰納法の仮定によりτは(n-2)個以下の互換の"積"として表わされる。
故に σ=(n,σ(n))・τ は(n-1)個以下の互換の"積"で表わされる. (終)
佐武: 「行列と行列式」 裳華房 (1958) p.42-43
k_1,k_2,……,k_(r-1),k_r をr個の文字とするとき、
σ(k_1)=k_2, σ(k_2)=k_3, ……, σ(k_(r-1))=k_r, σ(k_r)=k_1.
のような置換を巡回置換といい、(k_1,k_2,…,k_r)で表わす.
任意の置換は、いくつかの巡回置換の"積"として表わされる.
問2. 巡回置換について、(k_1,k_2,……,k_(r-1),k_r)^(-1) = (k_r,k_(r-1),……,k_2,k_1)
問4. r文字の巡回置換は、(r-1)個の互換の"積"として表わされる.
(k_1,k_2,……,k_(r-1),k_r) = (k_1,k_r)(k_1,k_(r-1))…(k_1,k_2).
佐武: 「行列と行列式」 裳華房 (1958) p.42-43