(無限小数を網羅していることの証明 1)
数列Aが有限小数しか含んでいないと仮定する。
そうすると,数列Aのリストの桁も有限桁の下限を持つことにな
る。しかし,リストに含まれる小数の総数は,桁の下限を n 桁 と
すると,10^n 個であるから,n が有限個とすると,総数も有限個。
だが,これは数列Aが限りなく並び続けていけるという自明な事実
に反し,矛盾。
つまり,数列Aは無限小数を含む。
さらに,数列Aは順列の原理に従っているから,リストの桁までの
全ての小数を網羅している。
よって,数列Aは,全ての無限小数を網羅する。
(無限小数を網羅していることの証明 2)
まず,任意の無限小数を1つ考える。たとえば,
π-3 = 0.14159265…
この無限小数の小数点以下 n 桁までの有限小数を表した数列をa_n
とする。すなわち,
a_1 = 0.1
a_2 = 0.14
a_3 = 0.141
・
・
など。すると,この数列の極限は
lim[n→∞]a_n = π-3
となる。つまり,
0 =< (π-3) - a_∞ < ε
となり,結局,
π-3 = a_∞
更に,全ての無限小数について,同様の数列,b_n, c_n, d_n, …
を考えることができ,これらの極限も無限小数と一致する。
そして,数列Aは,これらの数列a_n, b_n, c_n, d_n, ……を全て
含んでいる。
よって,数列Aは無限小数を網羅している。
(無限小数を網羅していることの証明 3)
仮に,数列Aが無限小数を含んでいないとすると,数列Aのリス
トとは別に,無限小数のみを並べたリストを考えることができる(こ
のリストが無限小数を網羅しているかどうかまでは問わない。以下,
この無限小数の数列を数列Bという)。
ところで数列Aは順列に従って並べられているので,数列Aの桁
がある範囲では,全ての小数が並べられている。つまり,数列Bに
並べられた無限小数も,数列Aと重複する桁の範囲では,数列Aに
あるいずれかの小数と同じ小数の並びにすぎない。
とすると,数列Aと数列Bの2つのリストが違うリストとなるため
には,数列Bのリストの桁が,数列Aのリストの桁よりも,明らかに
下まであることを示さなければならないが,数列Aのリストの桁に下限
などないから,これは矛盾。
よって,数列Aと異なる数列Bのリストというものは,存在するこ
とができず,数列Aは無限小数も含んでいるということができる。