複素関数論スレッド§2

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1857年にリーマンはリーマン面を定義し、種数g≧2のリーマン面は3g-3個のパラメータを持つことを見いだし、モジュライの理論が誕生した。
1930年代の後半から1940年代の前半にはタイヒミュラーによる擬等角写像とタイヒミュラー空間の理論によってモジュライ理論の新しい進展が始まった。
タイヒミュラーの理論ではリーマン面上の2次微分が重要な役割を果たすことが明らかにされたが、複素1次元空間から一般次元にそのままの形で拡張することは出来なかった。
リーマンから100年後の1950年代になると小平−スペンサーの複素多様体の変形理論が登場し、一般次元にモジュライ理論を拡張することが出来るようになった。
小平−スペンサーの理論は、複素構造の無限小1次変形がベクトル場の芽の層がなす1次元コホモロジー群の元で記述できることを示した。
セールの双対定理によれば、この1次元コホモロジー群はタイヒミュラーの理論におけるリーマン面上の2次微分がなす空間の双対空間である。
このようにタイヒミュラーの理論において2次微分が登場する理由が明らかとなったのである。