233 :
132人目の素数さん:
雑な言い方をするとこうなる。
解の公式があったとするときに、その中に現れて来る冪根に着目する。
k-乗根が式に含まれている場合に、その『値』はk個ある。そのどれを
表すかは任意でなければ(代数の関係としては)おかしい。すると、
ある式が方程式の不定元としての係数からなる有理式、それの冪根、
その冪根を含んだ有理式、、、、という構造を持っているときに、
中に現れる冪根の個数を最小にしたときに、それらの冪根が任意の
分枝を取るときに、その式の値は常に元の方程式の根になっていな
ければ、おかしい。(おおざっぱな言い方だけどもね)
すると、解の公式に現れる任意の根号の分枝を取り換えると、
そのような置換は、公式が表すはずの根の組の置換を生じるはずである。
たとえば公式に含まれる任意の平方根を符号を変えると、解の公式が
表す根の組が入れ替わる。
解の公式に立方根が含まれているなら、その任意の立方根を一の三乗根
倍に置き換えたとすると、解の公式が表す根の組が入れ替わる。
このような考察を重ねていくと、解の公式で冪根の分枝の置換により
方程式の根の置換が引き起こされることと、既約なN次の置換群の正規な
部分群が巡回置換によって生成されるということになる。しかし、それは
Nが5以上では無理(5次の交代群は単純で真の正規部分群を持たない)
(ラグランジュの分解式や、既約性に関する考察、などなど細かい点は
端折りすぎだが、アウトラインはこういう感じである。)
234 :
132人目の素数さん:04/01/06 13:27
これが、ア-ベル(とガロア)の理論で、関心を持った人は、高木貞二の
代数学講義という培風館からでている本をみると一章がそれの解説に
充てられているのでよかろう。
一般係数の場合には既約な5次方程式は冪根のみによっては解けない
でよく、もちろんそれ以上高次な方程式も解けないことはすぐに云えるが、
逆に冪根のみで解かれる方程式はどのようなものかという観点からア-ベル
はア-ベル方程式(方程式の群が可換であるもの)を見出し、ガロアが
もっとも一般的に、方程式の群が可解(正規部分群の列でその前後の商群が
すべてア-ベル群であるようなもの)である場合に解けて、その解の
表示も与えられることを示した。これを一般化した体の理論では
ガロア対応と呼んでいる。