将棋・囲碁の指し手って何通り?

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(1) チェッカー/ドローツ
必勝法は見つかっていないが、現在コンピュータは人間を圧勝しているレベル。

可能な盤面の数は約10^31通りで、必勝法は見つかっていない。
1955年から1965年にかけて、IBMのArthur L. Samuel(後にスタンフォード大学教授)は
チェッカーのプログラムを開発を行った。
実際にSamuelのプログラムが世界チャンピオンを破ったことは一度もないのだが、
しばしば誤解されて伝わっている。
1994年、アルバータ大学教授Jonathan Schaefferらのグループにより作られた
"Chinook 1994"は、当時の世界チャンピオンDerek Oldburyを3勝0敗9分の成績で
破った。同年"Chinook 1994"は、実質的な世界チャンピオンとされる数学者、
フロリダ大学教授Marion Tinsley(生涯を通じて破れたのは、対Chinook戦を含めても
9度のみ)への再挑戦で、1勝0敗8分の成績を修める。
なお、Tinsleyは最後の試合後、体調不良で病院に運ばれたが、癌が発見された。
一年後逝去。
その後もチェッカーのプログラムは世界チャンピオンを破っている。

(2) オセロ/8x8リバーシ
可能な盤面の数は約10^58通りで、必勝法は見つかっていない(白の勝率が数%高い)。
なお6x6リバーシの必勝法は、1993年にノッティンガム大学教授Joel F. Feinsterin
によって示されている(17-19で白の2石勝)。
1980年6月 アタリ社のDavid Levyらのグループが作ったソフト"The Moor"という
プログラムが世界チャンピオン井上博氏を4石差で破った。但しこれは単発の勝利。
1997年、NECのMichael Buro(現在アルバータ大学教授)らが開発した"Logistello"が、
世界チャンピオン村上健氏を6勝0敗0分の成績で破った。
その後もオセロのプログラムは世界チャンピオンを破っている。
(3) 五目並べ/連珠(可能な盤面の数は五目並べ(15x15)・連珠ともに約10^70通り)
コンピュータの実力は日本の連珠アマの三段〜四段レベル
但し連珠の現行ルールに従わない五目並べなどでは、必勝法が確立されている。

明治期の日本では、禁じ手無しの五目並べは先手必勝とされていたが、
今日に至るまで紹介されてきた分析は基本珠型に縛られない場合の解析が不完全で、
また複数の海外の研究者によって幾つかの間違いが指摘されている。
1992年、L. Victor Allis (当時Maastricht大学の学生)は、珠型ルールと禁じ手の
ない五目並べ、及び長連のみを禁じ手とした五目並べ(15x15)が先手必勝であることを
示した。彼の論文(1993年発表)によると、コンピュータを使って解析した結果、
禁じ手無しの五目並べは、138,790通りの黒の勝ち方があり、
長連禁止の五目並べも、153,284通りの黒の勝ち方がある。
そして共に最長でも35手(黒18手目)で詰みが決まる。
なお、これらの膨大な棋譜の中で、どれが最善かは決定されていない。

また珠型ルールの縛りのない、禁じ手(三三・四四・長連)ありの連珠も
黒必勝が2001年に判明している。証明したのはブダペスト大学の
グループ(W'agner & Vir'ag)で、613,674通りの黒の勝ち方があるが、
やはりこれらの中でどれが最善であるかは決定していない。

現在連珠は禁じ手のほかに対局ルールを採用しているが、
これらを採用しない限り黒番の必勝ということになる。
418主な2人零和有限確定完全情報ゲームの現状 (続き):04/10/27 22:55:50
(4) チェス(可能な盤面の数は約10^123通り)
コンピュータの実力は、世界チャンピオンと互角レベル

1996年2月 カスパロフ (当時PCA世界チャンピオン) VS Deep Blue
     1勝3敗2分でカスパロフの勝ち
このカスパロフの1敗の方が当時のチェス界では衝撃的だった。

1997年5月 カスパロフ (当時PCA世界チャンピオン) VS Deep Blue
     3勝1敗2分でDeep Blueの勝ち
世間的にはこの勝負でもってコンピュータが人間に勝利したと報じられているが、
Deep Blueの勝ち逃げという側面もある。カスパロフはIBMとの勝負に
応じてしまったため、PCA(カスパロフがFIDEから独立して作った組織)の
スポンサーとなったインテルの金銭的援助を失い、
PCAは実質的な活動を停止することとなる。

2002年10月 クラムニク (現PCA世界チャンピオン) VS Deep Fritz
     2勝2敗4分で引き分け
2003年1月 バレーエフ VS Hiarcs-X
     4分で引き分け
2003年2月 カスパロフ (元FIDE,PCA世界チャンピオン) VS Deep Junior
     1勝1敗4分で引き分け
2003年11月 カスパロフ (元FIDE,PCA世界チャンピオン) VS X3D Fritz
     1勝1敗2分で引き分け
2004年10月 ポノマリョフ (前FIDE世界チャンピオン) VS Hydra
     0勝2敗でHydraの勝ち

(5) 将棋(可能な盤面の数は約10^220通り):コンピュータの実力はアマ四段〜五段レベル
(6) 囲碁(可能な盤面の数は約10^360通り):コンピュータの実力はアマ初級〜初段レベル