>>286 ついでに調べた内容も(厳密ではなく大雑把なものですが)書き込んでおきます。
こちらの復習にも丁度良いので。
複素数zに対し,実部Re[z]=x,虚部Im[z]=y,絶対値|z|=r,偏角arg[z]=θ,とおきます。
iを虚数単位として z=x+i*y=r*(cosθ+i*sinθ) (x,y,r,θは実数) と表わせます。
オイラーの公式 e^(iθ)=cosθ+i*sinθ から話を始めます。
オイラーの公式より z=r(cosθ+i*sinθ)=r*e^(iθ) と書き表すことが出来ます。
最初に指数関数e^zについてまとめます。
指数法則 e^(a+b)=e^a*e^b を形式的に用いて
e^z=e^(x+i*y)=e^x*e^(i*y)=e^x*{cos(y)+i*sin(y)} と書くことが出来ます。
このとき、nを整数として
e^{i(θ+2nπ)}=cos(x+2nπ)+i*sin(θ+2nπ)=cosθ+i*sinθ=e^(iθ) より
e^{i(θ+2nπ)}=e^(iθ) が成り立つことに注意します。
さて、e^zのzにz+2nπiを代入します。
e^(z+2nπi)=e^(x+i*y+2nπi)=e^{x+i*(y+2nπ)}=e^x*e^{i*(y+2nπ)}
ここで上の注意より e^{i*(y+2nπ)}=e^(i*y) であるから
e^(z+2nπi)=e^x*e^{i*(y+2nπ)}=e^x*e^(i*y)=e^z となり
e^(z+2nπi)=e^z を得ます。
これは指数関数e^zが周期2πiを持つことを意味しています。
zが複素数であるとき、指数関数は多対一対応の関数になるわけです。
>>292の続き
次に、対数関数log(z)についてまとめます。
z=r*e^(iθ)=r*e^{i(θ+2nπ)} の両辺の対数をとります。
対数の性質 log(a*b)=log(a)*log(b) , log(e^c)=c を形式的に用いて
log(z)=log[r*e^{i(θ+2nπ)}]=log(r)+log[e^{i(θ+2nπ)}]=log(r)+i(θ+2nπ)
と計算できることから、複素数z=r*e^(iθ) ( =r*e^{i(θ+2nπ)} )に対し
log(z)=log(r)+i(θ+2nπ) (ただしr≠0、すなわちz≠0)
で対数関数を定義します。
このときnが任意の整数であるため、log(z)は一意に定まらず、
一対多対応の関数、多価関数になります。
このlog(z)が多価関数となる話がリーマン面の話と関わってきたように思いますが
私はそこまで勉強しなかったため詳しくないので省略します。
さて、zが実数のとき、指数関数e^zの逆関数が対数関数log(z)であり、
複素数zに対する指数関数e^zが多対一対応であって、
複素数zに対する対数関数log(z)が一対多対応となったわけで
上手く話が繋がっているといえば繋がっているのですが、
一対多対応は扱いにくい場合があるので、ここで少し工夫を施します。
一対一対応になるように角度に制限を加えるのです。
逆三角関数の定義の際に行なったのと同様の工夫です。
具体的には、偏角に-π<θ≦πという制限を加えて対数関数を定義します。
複素数z=r*e^(iθ) に対しlog(z)=log(r)+iθ (-π<θ≦π)
(ただしr≠0、すなわちz≠0)
このように定義すれば対数関数log(z)は一対一対応の関数になります。
>>294の続き
最後に累乗関数z^aについてまとめます。
a=e^{log(a)} 及び log(b^c)=c*log(b) より
A^B=e^{log(A^B)}=e^{B*log(A)} となることを形式的に用いて
z^a=e^{a*log(z)} と書ける事から
複素数z,aに対して、累乗関数z^aを
z^a=e^{a*log(z)}
で定義します。
ここで z=-1,a=1/2 を上記の累乗関数z^aの定義式に代入すると
(-1)^(1/2)=e^{(1/2)*log(-1)}
|-1|=1,arg(-1)=π であるから対数関数の定義より
log(-1)=log(1)+i*(π+2nπ)=i*(2n+1)π を得るから
(-1)^(1/2)=e^{(1/2)*log(-1)}=e^{(1/2)*i(2n+1)π}=e^{i*(nπ+π/2)}
(-1)^(1/2)=e^{i(nπ+π/2)}=cos(nπ+π/2)+i*sin(nπ+π/2)=±i
となり (-1)^(1/2)=±i を得ます。
ここで値が一意的に定まらないのはlog(z)が多価関数であるためです。
次に、偏角に-π<θ≦πという制限を加えて、
対数関数が一対一対応の関数となるように定義した場合を考えます。
|-1|=1,arg(-1)=π であるから対数関数の定義より
log(-1)=log(1)+iπ=iπ (-π<π≦π) を得るから
(-1)^(1/2)=e^{(1/2)*log(-1)}=e^{(1/2)*iπ}=e^{i*(π/2)}
(-1)^(1/2)=e^{i*(π/2)}=cos(π/2)+i*sin(π/2)=i
となり (-1)^(1/2)=i を得ます。
以上のように考えて、私は
>>273を書き込みました。以上です。