やっちゃた!今日の朝日のドキュン記事 その3

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556 出た!お家芸の弱者養護!
今日の社説より
■運転免許――病者締め出しでは

運転免許の停止や取り消しなどにかかわるルール変更の素案を警察庁が発表し、28日まで一般から意見を募集している。

 違反点数がたまると免許停止や取り消しになることは、ドライバーであれば常識だろう。変更案は、この制度を悪質な違反をして重大な事故を起こした人に厳しくすることと、
特定の病気を持つ人に免許を与えるか否かの基準をつくることから成る。

 悪質な運転者への処分強化は、ぜひやるべきだ。だが、病気の人に関する規定は、大きな問題をはらんでいると思う。

 精神分裂病やてんかん、失神、糖尿病などを挙げ、「発作が起こる(安全な運転に支障を及ぼす)おそれがない場合に限り免許を与える」としているのだ。

 「運転に支障をきたすことが明らかな場合は免許を与えない」というのであれば、理解できる。だが、広く「将来のおそれ」を問うのはおかしいのではないか。

 どんな病気でも、将来の発作について医師は「可能性は低い」と判断できても、「絶対起こらない」と保証はできない。素案通りなら、病院に通ってうまく症状を抑えている人でも免許が取れなくなっ
てしまう。少なくとも、その基準が明確でなければ窓口で混乱するのは避けられない。

 規制には、免許の取得時や更新時に病歴や病状の申告が必要になる。偏見にさらされている病気もある。それでも申告を求めるとすれば、プライバシーの保護など最大限の配慮と工夫が必要だろう。

 そもそも、この素案が出てきたのは、道路交通法が改正されたからである。からだや精神の障害を理由に、
各種の免許や資格の取得を制限するのは障害者の社会参加推進の見地から好ましくない、
という政府の方針に基づいた改正だった。

 現在は「精神病者、知的障害者、てんかん病者、目が見えない者、耳が聞こえない者または口がきけない者、
政令で定める身体の障害のある者」に免許を与えないとなっている。それが今年改正されて
「政令に定める者には、免許を与えないことができる」と変わった。来年6月の改正法施行を前に、政令の素案が示されたわけだ。

 交通の安全を確保したいという思いは当然だ。しかし、事故を起こす「おそれ」のある者をすべて排除することは不可能だ。ひたすら規制を厳しくすれば、病気を隠して免許を
取る人が増えかねない。それでは、かえって事故の危険性が増す。

 障害者の社会参加を進めるという法改正の精神を忘れてはならない。運転が、日常生活に欠かせない地域もある。病状によって、運転すべきでないときもあるだろう。
だが、試験に合格したら、だれもが免許を取得できるのが原則であるべきだ。

 警察庁は、社会の各層の意見を聞くために素案を発表したという。意見募集の期間が短いのが気になるが、多くの人が関心を持ち、積極的に意見を寄せてほしい。