朝日新聞の戦争責任

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131文責:名無しさん
 さすがは敏腕記者としてならした細川である。彼は日本の敗戦
を見通していたばかりでなく、軍上層部とも率直に絶望的な戦況
について意見交換していた。しかし、これまで見てきたように朝
日紙面には、敗戦を予測する記事どころか、戦況の悪化を冷静に
伝える記事もない。勝ち目のない戦いと知っていながら、朝日は
戦争遂行を国民に訴えていたのか。
 このエピソードからは国民に真実をかくしてはばからない当時
の朝日新聞の姿勢がかい間見えるようだ。国民が必要とする事実
を伝えないことが当時の社内で当たり前だったからこそ、細川は
自らの報道責任を自覚することなく、戦後著作にうっかり書いて
しまったのではないだろうか。
 この本は昭和40年に加筆・修正され、「朝日新聞外史」として秋
田書店から再び刊行されているが、このエピソードは削除されて
いる。戦後20年を経て、細川はこの逸話が意味する罪の重さによ
うやく気付いたのではないだろうか。