「韓国叩き」沈静化? 五輪柔道男子で過熱
ロンドン五輪が始まる前、ネット・ウオッチャーらの間で注目されたのは「韓国叩(たた)き」の
過熱がどこまで高まるかだった。日本のネットでは韓流スターや韓国企業へのバッシングが大きな
潮流の一つにもなっている。国と国がぶつかり合う五輪が始まれば、より過熱するのではないかと
予測されていたが、これが微妙な状況だ。
柔道男子66キロ級で旗判定が覆るという前代未聞の結末となった海老沼匡選手と韓国の
チョジュンホ選手の対戦後、日本のネット社会では「さも被害者みたいな態度とるなよ」などという
書き込みが目立った。ただ、チョ選手は敗者復活戦を勝ち上がって海老沼選手と同じ銅メダルを獲得し、
「同じメダルを取れてうれしい」と発言。すがすがしい言葉に、韓国叩きは沈静化した。
今回の五輪では、韓国人選手に判定のトラブルが集中している。フェンシングでは韓国人選手が
優勢の中、試合の「残り1秒」が長引き、その間にポイントを奪われ敗れた。日本のネットでも
「さすがにこれは可哀想(かわいそう)」などという同情が書き込まれた。
そんな中で、思わぬ形で韓国叩きの材料になったのが、男子サッカーのスイス−韓国戦後に起きた
舌禍騒動だ。この試合中、韓国選手へのイエローカードを誘発したとされるスイス選手に対し、
韓国側からの非難が殺到。これに驚いたスイス選手がツイッターで韓国人を侮辱する言葉をつぶやき、
これが問題発言となり、彼はチームから追放されるに至った。
この問題は日本には一切関係ないのだが、ネットではスイスの選手を擁護し「韓国人は問題起こし
すぎだろ」などというバッシングが過熱した。少ない中でも韓国叩きの材料を見つけ、罵詈(ばり)雑言を
浴びせて留飲を下げたいユーザーが日本のネット社会には多いことをあらためて感じさせた。