昨日02/27(金)の朝日朝刊東京版17面「声」欄より
「労働者に夢は今もあるのか」
無職 泉 栄 (東京都東村山市 80)
朝日俳壇(8日朝刊)に「マルクスは我が青春の虎落(もがり)笛」の一句を見つけて体
が震えた。
戦後の日本は荒れていた。貧しい労働者は賃上げや雇用条件改善、クビ切り反対など
スローガンを叫び、ストをした。
朝鮮戦争が起こり、特需景気に沸いたが、戦争が終わると一転して不況に見舞われた。
企業は次々と首切りして生き残りを図った。製鉄や繊維、鉱業、製紙などの大企業は
何百人もの首切りを相次いで発表した。労働者は首切りに反対して立ち上がり、時には
血まみれの闘いにもなった。
このつらい闘争を支えたエネルギーがマルクスだった。不当な搾取や格差のない社会、
成熟した社会主義からその先にある共産主義へ。そんな夢を追いかけた。夢があった
から労働者は強かったのではないか。
いま日本では非正規社員失職、派遣切りのニュースがあふれている。しかし、労働者
はおとなし過ぎる。その怒りや情熱をフランスのようにデモで表現するわけでもない。
彼らには追いかける夢が存在するのだろうか。