産経抄ファンクラブ第108集

このエントリーをはてなブックマークに追加
440文責・名無しさん
【産経抄】9月8日
「北京パラリンピック」の開会式で入場する中国選手団のなかに、盲導犬の
姿があった。授賞式でも壇上に上がることになっている。

▼その存在が、広く知られるようになったのは、日本でベストセラーに
なった『盲導犬クイールの一生』によるところが大きい。2004年に中国
でも翻訳、出版され、映画も公開された。大連で、盲導犬の育成が始まった
のも同じころだ。

▼パラリンピックは、1948年にロンドン郊外の病院で、第二次世界大戦
の負傷兵士らの治療のために開かれたアーチェリー大会が起源だという。
史上最多の147カ国・地域から4000人以上が参加するまでになった
北京パラリンピックの開催は、中国にとって五輪と同様に大きな意味をもつ。

▼全人口の6%に当たる約8300万人の障害者が、健常者と交流する機会は
極めて限られているようだ。そんな差別意識が根強い社会に変化をもたらす
ことができなければ、中国がいくら大国だとふんぞり返っても、先進国への
道は、閉ざされたままだからだ。

▼確かに、北京では最近、急速にバリアフリー化が進んでいるらしい。
地下鉄駅には、スロープやエレベーターが設置され、点字ブロックも目に
つくようになった。5年前にできた規定では、市内のデパートや映画館など
の公共施設に、犬を連れて出入りすることが禁止されているが、大会期間中
は盲導犬の利用が特別に許可されることになった。

▼中国政府の弱者重視の姿勢が、国内外に向けた単なるポーズや、「偽装」
でないことを祈るばかりだ。そうでないというなら、まずやるべきことが
ある。盲目の人権弁護士として知られる陳光誠氏ら、弱者のために戦い、
投獄されている人たちを一刻も早く釈放することだ。