本日付、宮城版TOPに掲載
中国産は「悪」 在日の心痛む
主婦 林 智(千葉県市川市54歳)
中国産冷凍ギョーザによる薬物中毒事件で、日本国内はてんやわんやになっている。
だが、今回の騒ぎによって、どれだけ在日中国人の心が傷つけられ、痛めつけられただろうか。
私は、中国人医師の父と日本人教師の母の間に生まれた。中国の大学で現代文学を教えていたが、
88年に日本に永住帰国した。
当初、日本は経済が豊かで自由な国と思っていた。
「人間は高い所に登り、水は低い所に流れる」という中国のことわざにあるように、私は失われた
時間を取り戻そうと必死に勉強し、働き、日本の社会に飛び込んだ。
けれど、私の母国は中国だ。自分の国に関する良いニュースがあればうれしいし、悪いことがあれば
悲しくて悔しい。
思うと、中国で40年も暮らしていた私の母も、母国・日本に関するニュースを聞くたびに、
私と同じようにうれしくなったり悲しくなったりしたに違いない。
でも、日本では「報道が自由」といくら言っても、報道には重大な責任が伴うことを自覚してほしい。
少なくとも、「中国産がすべて悪い」というような報道で日本国民の感情をあおり立てるようなことは
慎重にすべきだと思う。