>>151 ■ヒューマニスト・大江健三郎の日本人離れした“邪悪さ”(SPA! 2003.12/30・2004.1/6合併号)
坪内祐三:大江さんには、とんでもないエピソードがいろいろあるからね。
福田和也:そのうち連続殺人で挙げられても全然不思議じゃない、みたいな邪悪さ。
〜中略〜
坪内:ある雑誌に大江健三郎が――ここがまた大江さんらしいんだけど「中上健次」という名
前は出さずに、「少し前に某文芸誌で対談したある若手実力派作家から、石原慎太郎がこん
なことを書いているといって、その記事のコピーが送られてきた」と、やるわけだよ。
福田:有名な“波事件”だ。しかし、わははは、大江さんの所には、いつもコピーが送られ
てくるんですな。(*まず捏造っちゅうこと)
坪内:その送られてきたコピーというのは、石原慎太郎が講演で大江健三郎のことを批判して
いる――という内容で。それを読んだ大江健三郎は、すぐに石原慎太郎批判を始めたんだけ
ど、その複雑な構造!
福田:ですなあ。
坪内:大江は石原とはナイスにつき合ってて、一方で中上健次とも仲良くしてて、その中上か
らコピーが送られて来て、それで批判を始める、だからね。しかも中上は中上で、その頃、
今その大江や石原の世代の作家で生きていると言えるのは石原慎太郎しかいない、とか言っ
てたんだよ。